JPH09302414A - 低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH09302414A
JPH09302414A JP8119924A JP11992496A JPH09302414A JP H09302414 A JPH09302414 A JP H09302414A JP 8119924 A JP8119924 A JP 8119924A JP 11992496 A JP11992496 A JP 11992496A JP H09302414 A JPH09302414 A JP H09302414A
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JP
Japan
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steel sheet
magnetic field
less
low magnetic
cooling rate
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Application number
JP8119924A
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English (en)
Inventor
Yoshihiko Oda
善彦 尾田
Akira Hiura
昭 日裏
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 珪素鋼板の成分値と仕上焼鈍後の冷却パター
ンを規定することにより、低磁場特性の優れた無方向性
電磁鋼板を得る。 【解決手段】 C:0.01%以下、Si:4%以下、
Mn:0.1〜0.8%、Al:0.004%以下また
は0.1〜1%を含有し、Cu:0.05%以下(0を
含む)、S:0.015%以下(0を含む)、N:0.
005%以下(0を含む)、P:0.2%以下(0を含
む)で、残部実質的にFe及び不可避不純物である珪素
鋼スラブを冷延鋼板とし仕上焼鈍後、均熱温度から急冷
開始温度TSまでを10℃/s以下の平均冷却速度VS
で冷却し、600℃から500℃の温度域にある急冷開
始温度TSから300℃までの間を10〜50℃/sの
平均冷却速度VQで急冷する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた低磁場特性を
有する無方向性電磁鋼板に関し、冷蔵庫、エアコン用な
どの小型モータ、小型制御用モータ、インバータ駆動モ
ータの鉄心材料として好適な電磁鋼板を製造する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】パワーエレクトロニクス技術が急速な進
歩をとげ、その代表例であるインバーターが産業用の大
型機器から家電製品まで幅広く採用されるようになって
きた。インバーターの採用により、電気機器の省電力、
高効率、高性能、小型化などが実現されている。従来、
こうした大型モータやコンプレッサモータの鉄心材料に
は高磁束密度(B50で評価)、低鉄損(W15/50)
が要求されてきた。しかしながらインバータ駆動による
大型モータやコンプレッサーモータは、起動時には1.
2〜1.5T、安定状態では0.8〜1.0T程度で励
磁されることが多く、これまで以上に低磁場での磁気特
性が重要視されるようになってきた。
【0003】さらに小型モータ、特に交流モータ、イン
バータ駆動モータ、小型制御用モータなどは、応答性が
重要視され、鉄心材料として使用される電磁鋼板には、
磁化曲線の立ち上がりが鋭いこと、即ち、低磁場領域で
の磁束密度が高いことが要求されている。
【0004】一般に、低磁場での磁気特性は結晶粒径の
増大とともに向上するため、仕上焼鈍もしくは磁性焼鈍
時に粒成長を阻害する因子を出来るだけ低減させる観点
からの検討が行なわれている。また粒成長のドライビン
グフォースを高める観点からの検討も盛んに行なわれて
いる。
【0005】前者は、鋼板中の介在物・析出物の形状・
分布・組成を制御し、結晶粒成長を妨げるピンニングサ
イトを減少させることを狙いとしており、特開昭61−
266059号公報に例示されるとおりである。本号公
報では、直径10μm以上の大きさの介在物を1000
個/mm2 以下に制御し、平均結晶粒径を50μm以上と
することによってB1 特性を向上させている。
【0006】また後者は圧延条件・焼鈍条件を特定の範
囲とすることによって結晶粒成長を実現させるものであ
り、例えば特公平4−34614号公報には、2次冷間
圧延を圧下率1〜15%かつ圧延速度500〜2500
m/min の条件で行なうことによってB1 特性を向上さ
せることが開示されている。また特開平3−20242
4号公報には再結晶焼鈍を実施する際に焼鈍雰囲気を制
御するとともに、加熱速度・均熱温度・均熱時間を特定
の範囲にすると低磁場特性が向上すること、特開平3−
202425号公報には、最終焼鈍を2段階とする方法
が低磁場特性に有効であることが、それぞれ開示されて
いる。
【0007】また低磁場特性には言及していないが、介
在物制御の観点から結晶粒を粗大化させる方法として、
SiおよびS量に対して特定範囲のMn量にすることに
より、凝固過程でのMnSを増大させ、ピンニングサイ
トとして機能しにくい粗大なMnSとする技術が特開平
3−249115号公報に、スラブ加熱温度を1150
℃以下と低い温度に設定し、MnSの再固溶を防止する
ことによって微細に分散しやすい再析出MnS量を制御
する技術が特開昭62−199720号公報に、酸化物
の組成を制御する技術が特開平1−152239号公報
に、それぞれ開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら益々高ま
る省エネルギーの要請、電気機器の効率向上、小型化、
高い応答性に応える低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼
板を得ようとする場合、特開昭61−266059号公
報に示される方法では未だ不十分であり、介在物の単な
る形状・分布制御を越える新たな視点からの検討が必要
である。また特開平3−24115号公報、特開昭62
−199720号公報および特開平1−152239号
公報に示されるような従来概念に基づくMnS、AlN
の粗大化あるいは酸化物の組成制御のみでは目標とする
性能が得られず、これまた新たなメカニズムに基づく検
討が必要である。さらに特公平4−34614号公報、
特開平3−202424号公報および特開平3−202
425号公報に示される方法は複雑な工程をもたらし経
済的に不利である。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みなされた
ものであり、新たな視点に基づき、低磁場特性を向上さ
せた無方向性電磁鋼板を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題は、(1) 重量%
で、C:0.01%以下、Si:4%以下、Mn:0.
1〜0.8%、Al:0.004%以下または0.1〜
1%を含有し、Cu:0.05%以下(0を含む)、
S:0.015%以下(0を含む)、N:0.005%
以下(0を含む)、P:0.2%以下(0を含む)で、
残部実質的にFe及び不可避不純物である珪素鋼スラブ
を熱間圧延して熱延鋼板を製造する工程、(2) 前記熱延
鋼板を一回または二回以上の冷間圧延によって冷延鋼板
を製造する工程、(3) 前記冷延鋼板に仕上焼鈍を施す際
に、均熱温度から急冷開始温度TSまでを10℃/s以
下の平均冷却速度VSで冷却し、600℃から500℃
の温度域にある急冷開始温度TSから300℃までの間
を10〜50℃/sの平均冷却速度VQで急冷する工
程、を有することを特徴とする低磁場特性に優れた無方
向性電磁鋼板の製造方法により解決される。
【0011】なお、Cの含有量を0.005%以下に規
定すれば、さらに低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板
を製造することができる。
【0012】(発明に至る経緯)本発明者らが、低磁場
特性の向上を妨げている原因に関し鋭意調査したとこ
ろ、鋼中に微細に析出しているCuSが磁壁の移動を妨
げていることが判明した。
【0013】よって、低磁場特性の優れたものとするた
めには、CuSの析出を防止することが必要となる。C
uSの析出を防止するためには、鋼中へのCuの混入を
防止すればよいが、そのためには鉱石等を厳選する必要
があり、コストアップとなることは避けられない。そこ
で本発明者らは,仕上焼鈍後の冷却速度を制御すること
によりCuSを固溶させることが可能となること、ま
た、これにより磁壁移動が容易になり、低磁場特性が非
常に良好になることを知見し、この知見に基づいて本発
明を完成させた。以下、これらの経緯と各要素の限定理
由について、更に詳細に説明する。
【0014】(1) 冷却パターン 本発明者らは低磁場特性をより向上させるため、磁壁の
移動を妨げる因子について調査を行った。
【0015】まず始めに、化学組成がC:0.0030
%,Si:1.12%,Mn:0.13%,P:0.0
51%,S:0.003%,Al:0.13%,N:
0.0021%の鋼を10チャージ溶製し、鋳造してス
ラブとした。このスラブを熱間圧延、冷間圧延により板
厚0.5mmとし、引き続き850℃×2分間の仕上焼鈍
を施し、5℃/sの冷却速度で室温まで冷却した。仕上
焼鈍後の鋼板より、外径45mm、内径33mmのリングサ
ンプルを歪みの入らない放電加工により切り出し、一次
100turn、二次100turn巻き線後、低磁場特性を測
定した。
【0016】その結果、同一成分の鋼であっても、磁化
力100A/mまで磁化したときの磁束密度B1 が0.
7〜1.1Tと大きくばらつくことが判明した。
【0017】次に、これらのサンプルの介在物および析
出物の観察を行なった。観察は走査型電子顕微鏡(以下
SEMと呼ぶ)および透過型電子顕微鏡(以下TEMと
呼ぶ)を用いて行ない、SEM観察は鋼板断面を直接観
察し、TEM観察は抽出レプリカ観察とした。SEM観
察の結果、いずれのサンプルにおいても、0.2〜0.
5μm程度のAl2 3 ,AlNおよびMnSが観察さ
れ、低磁場特性によらず大きさおよび量はほぼ同程度で
あった。さらにTEM観察を行なったところ、低磁場特
性の低い材料においては、数十nm程度の極めて微細な
析出物が認められ、それらがCuSであることが確認さ
れた。 このことより、低磁場領域の磁壁移動には数十
nmのCuSが大きく影響を及ぼしていることを知見し
た。即ち、鋼板の中のCuSを極力低減することが、磁
壁の移動を容易にし、低磁場特性を高め、逆にCuSが
多くなると磁壁移動の障害となり、低磁場特性を低下さ
せることが判明した。
【0018】そこで、こうした微細なCuSの生成を防
止する手法について検討を行なった。CuSの析出を防
止するためには、鋼中へのCu、Sの混入を防止すれば
よいが、そのためには鉱石等を厳選する必要があり、コ
ストアップとなることは避けられない。そこで本発明者
らは仕上焼鈍後の冷却速度を制御することにより、Cu
Sを鋼中に固溶させる技術について検討した。
【0019】(a) 急冷開始温度 まず、CuSを固溶させるため仕上焼鈍後、鋼板を急冷
した。鋼板の成分は、C:0.0021%、Si:0.
75%、Mn:0.45%、P:0.100%、Al:
0.30%、N:0.0020%、Cu:0.02%、
S:0.002%、残部がFe及び不可避不純物である
ものを使用した。これを冷間圧延により板厚0.5mmと
し、引き続き850℃×2分間の仕上焼鈍を施し、仕上
焼鈍後の急冷開始温度を800℃から200℃まで変化
させた。急冷開始までの冷速は5℃/s一定とし、急冷
速度は30℃/s一定とした。
【0020】仕上焼鈍後の急冷開始温度と磁束密度B1
の関係を図1に示す。図1より急冷開始温度が500 ℃か
ら600 ℃の場合にはB1 は高くなるが、500℃未満も
しくは600℃超において急冷を開始した場合にはB1
は低下することがわかる。また、急冷開始温度が300
℃以下ではB1 はほぼ一定となることも明らかとなっ
た。
【0021】このように急冷を行った場合のCuSの状
態を調査するため抽出レプリカによるTEM観察を行っ
た。その結果、500℃以上で急冷を開始したサンプル
においてはCuSはほとんど観察されず、その他の析出
物も観察されなかった。これに対し、500℃未満で急
冷を開始したサンプルにおいてはCuSが観察され、C
uSの量は急冷開始温度が300℃までは、急冷開始温
度の低下に伴い多くなることが判明した。このことよ
り、500℃未満におけるB1 の低下はCuSの析出に
起因するものであることがわかる。
【0022】また、急冷開始温度が300℃以下におい
ては、CuSの析出量は変化しないことも明らかとなっ
た。このことは、CuSの析出は300℃以上で終了し
ていることを示しており、300℃以下の領域ではCu
Sの析出は起こらないことが判明した。
【0023】一方、急冷開始温度が600℃超において
は、CuSが観察されないにも関わらずB1 が低下して
いる。これは、熱収縮により鋼板中に歪みが導入される
ためである。このような、歪みの導入は鋼板温度が60
0℃以下となった場合には非常に小さくなる。
【0024】以上のことより、仕上焼鈍温度から少なく
とも600℃までは徐冷し600〜500℃の範囲にお
いて急冷を開始し、300℃まで急冷すれば鋼板への冷
却歪みの導入を押さえつつ、CuSの析出も抑制出来る
ことがわかる。
【0025】(b) 急冷開始温度までの冷却速度 次に均熱温度から急冷開始温度までの冷却速度について
検討した。使用した鋼板の成分は、C:0.0021
%、Si:0.30%、Mn:0.45%、P:0.1
00%、Al:tr(分析で検知せず)、N:0.00
20%、Cu:0.010%、S:0.002%、残部
がFe及び不可避不純物である。この鋼板を冷間圧延に
より板厚0.5mmとし、引き続き830℃×2分間の仕
上焼鈍を施し、均熱温度から600℃までの平均冷却速
度を2℃/s〜15℃/sと変化させ、600℃から3
00℃まで平均冷速30℃/sの急冷を施した。このよ
うにして得られた鋼板の磁束密度B1 を外径45mm内径
33mmのリング試料により測定した。
【0026】図2は、均熱温度から600℃までの平均
冷却速度とB1 の関係を示している。図2より、均熱温
度から600℃までの平均冷却速度が10℃/s以下で
あれば良好な低磁場特性が得られるが、10℃/s超に
おいては低磁場特性が低下することがわかる。これは、
冷却速度が10℃/sを越えると鋼板に冷却歪みが導入
されるためである。以上のことより、600 ℃超での平均
冷却速度は10℃/s以下、より好ましくは5℃/s以下と
する。
【0027】(c) 急冷速度 次にCuSを固溶させるための急冷速度について検討し
た。使用した鋼板の成分は、鋼板Aの成分は、C:0.
0021%、Si:0.30%、Mn:0.45%、
P:0.100%、Al:tr(分析で検知せず)、
N:0.0020%、Cu:0.010%、S:0.0
02%、残部がFe及び不可避不純物であり、鋼板Bの
成分は、C:0.0030%、Si:3.01%、M
n:0.18%、P:0.05%、Al:0.31%、
N:0.0021%、Cu:0.006%、S:0.0
02%、残部がFe及び不可避不純物である。これらを
冷間圧延により板厚0.5mmとし、引き続き鋼板Aには
830℃×2分間、鋼板Bには900℃×2 分間の仕上
焼鈍を施し、均熱温度から550℃までは平均冷速5℃
/sで徐冷し、550℃から急冷を開始し、300℃ま
での平均冷速を3〜100℃/sの範囲で変化させた。
【0028】図3は仕上焼鈍後の冷却速度と磁束密度B
1 の関係を示している。図3 から、冷却速度を10〜5
0℃/sに制御することで、磁束密度B1 は1.10〜
1.15Tと高くなることが分かった。
【0029】このように鋼板の冷却速度を変化させた場
合のCuS の状態を確認するためTEM観察を行った。そ
の結果、冷却速度が10℃/s未満の低磁場での磁束密
度が低い鋼板では、数十nm程度のCuSが観察され
た。これに対して冷却速度が10℃/s以上の低磁場で
の磁束密度の高い鋼板では、微細なCuSはほとんど観
察されず、その他の析出物も観察されなかった。以上の
ことにより、冷却速度を10℃/s以上とすることによ
り、CuSを鋼中に固溶させることが可能となり、それ
により低磁場の磁束密度向上が図れることが判明した。
【0030】また、冷却速度が50℃/s超となった場
合には、CuSは観察されなかったが、低磁場の磁束密
度は低下している。これは鋼板への冷却歪みの導入が大
きくなったためと考えられる。以上のことより、仕上焼
鈍後の急冷速度は10〜50℃/s,より好ましくは1
0〜30℃/sとする。
【0031】(2)Cu、Sの成分範囲 次に本発明が適用できるCu、S量の上限について検討
した。使用した鋼板の成分は、C:0.0021%、S
i:0.30%、Mn:0.45%、P:0.100
%、Al:tr(分析で検知せず)、N:0.0020
%であり、Cuは0.002%から0.07、Sは0.
0005%から0.017%の範囲で調整したもので、
残部はFe及び不可避不純物である。これらの鋼板を冷
間圧延により板厚0.5mmとし、引き続き800℃×2
分間の仕上焼鈍を施し、800℃から600℃までの平
均冷却速度を5℃/sとし、600℃から平均冷速30
℃/sの急冷を開始し、300℃まで急冷を続け、その
後放冷しサンプルを得た。
【0032】図4は鋼板中のCu量およびS量と仕上焼
鈍後の磁束密度B1 の関係を示している。図4から、C
uを0.05%以下、Sを0.015%以下にすること
で、磁束密度B1 は1.10T以上と高くなることが分
かる。
【0033】これに対し、Cuが0.05%を超えた場
合、又はSが0.015%を超えた場合には本発明の冷
却パターンを採用しても低磁場特性は向上しないことが
わかる。
【0034】この原因を調査するため、Cuが0.06
%、Sが0.005%の鋼板とCuが0.01%、Sが
0.016%%の鋼板のTEM観察を行った。その結
果、いずれの鋼板においても微細CuSが多数観察され
た。すなわち、Cuが0.05%を超えた場合、又はS
が0.015%を超えた場合には、本発明の冷却パター
ンを採用してもCuSが再析出し、冷却速度をさらに大
きくする必要があることが明らかとなった。
【0035】しかし前述したように冷却速度を50℃/
sよりも大きくした場合には鋼板中に冷却歪みが導入さ
れるため低磁場特性は低下する。以上のことより、Cu
は0.05%以下、Sは0.015%以下とする。
【0036】(3)その他の成分の範囲 Cは鉄損を多くする有害な成分でかつ磁気時効の原因と
なるので0.01%以下とするが、より好ましくは0.
005%以下とする。
【0037】Siは鋼板の固有抵抗を上げ鉄損を少なく
するのに有効な成分であるが、4%を超えると冷間圧延
が困難となるため上限を4%とする。
【0038】Mnは鋼板の固有抵抗を上げて鉄損を少な
くするのに有効な成分であるため0.1%以上とし、一
方、多すぎると磁束密度が低下するため0.8%以下と
する。
【0039】Alは少量添加した場合には、微細なAl
Nを形成し結晶粒径の成長を阻害するために磁束密度を
低下させ鉄損も多くなる、このため0.004%以下と
する。また0.1%以上と多く添加した場合には、Al
Nが粗大化するために結晶粒径の成長を阻害せず、かつ
固有抵抗を上昇させる。これらの作用で磁束密度を高
め、鉄損を少なくする。一方、1%超えでは、磁束密度
を低下させるので1%以下とする。従って、0.004
%以下または0.1〜1%とする。
【0040】Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために必
要な成分であるが、0.2%を超えて添加すると鋼板の
加工性が低下するため0.2%以下とする。
【0041】Nは焼鈍時の結晶粒の成長を阻害するAl
Nが多くなり、磁束密度を低下させ、鉄損を多くするの
で0.005%以下とする。
【0042】なお、本発明では、Sb、Sn、Bを磁気
特性向上のために添加することは何らさしつかえない。
【0043】残りの成分は実質的にFeと不可避不純物
からなる。ここに、「実質的に」というのは、本発明の
技術的思想を害さない範囲で、任意の微量成分が添加さ
れたものをも含む趣旨である。
【0044】
【発明の実施の形態】本発明の鋼板の製造方法は以下の
とおりである。
【0045】Cuが所定の範囲内となった溶鋼を転炉ま
たは電気炉で溶製し、脱ガス処理して所定の成分に調整
し、造塊鋳造、連続鋳造あるいはストリップキャスタで
鋳造し、熱間加工を行う。熱間加工は、分塊圧延、粗圧
延、仕上熱延の内、仕上熱延は必須であるが、分塊圧
延、粗圧延は鋳造後の鋼塊、鋼片、鋳造板などの厚さ寸
法、リジング抑制の要求などにより選択する。
【0046】熱間圧延後の熱延板焼鈍は行ってもよいが
必須ではない。その他、熱間圧延と冷間圧延の間に任意
の付加的な工程(酸洗等)を介在させてもよい。次い
で、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ2回
以上の冷間圧延により所定の板厚とした後に、仕上焼鈍
し所定の冷却速度で冷却する。冷間圧延と仕上焼鈍の間
にも、任意の付加的な工程(洗浄等)を介在させてもよ
い。
【0047】
【実施例】表1に示す成分の珪素鋼を、転炉で吹練した
後に、脱ガス処理して所定の成分に調整後、鋳造し、熱
間圧延で板厚2mmの鋼板を得た。次いで、酸洗し、鋼板
番号12、13及び30の鋼板は850℃、3時間の熱
延板焼鈍を施し、他はそのまま板厚0.5mmまで冷間圧
延し、表1の条件で仕上焼鈍および冷却を行った。な
お、磁気測定は外径45mm、内径33mmのリングサンプ
ルを用い、一次100turn、二次100turn巻線後、低
磁場特性を測定した。
【0048】表1において、TSは急冷開始温度、VS
は均熱温度から急冷開始温度までの平均冷却温度、VQ
は急冷開始温度から300℃までの平均冷却温度を示
す。
【0049】鋼板番号1〜16が本発明の実施例であ
り、17〜32のものは比較例である。実施例のもの
は、いずれもB1 が1.10T以上の値を示しており、
比較例に比して大きく低磁場特性に優れていることがわ
かる。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、珪
素鋼板の成分値と仕上焼鈍後の冷却パターンを規定する
ことにより、低磁場特性の優れた無方向性電磁鋼板を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 急冷開始温度とB1 との関係を示す図であ
る。
【図2】 均熱温度から600℃までの平均冷却速度V
SとB1 の関係を示す図である。
【図3】 急冷開始温度から300℃までの平均冷却速
度(急冷速度)VQとB1 の関係を示す図である。
【図4】 鋼板中のCu量及びS量とB1 の値を示す図
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) 重量%で、C:0.01%以下、S
    i:4%以下、Mn:0.1〜0.8%、Al:0.0
    04%以下または0.1〜1%を含有し、Cu:0.0
    5%以下(0を含む)、S:0.015%以下(0を含
    む)、N:0.005%以下(0を含む)、P:0.2
    %以下(0を含む)で、残部実質的にFe及び不可避不
    純物である珪素鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造
    する工程、(2) 前記熱延鋼板を一回または二回以上の冷
    間圧延によって冷延鋼板を製造する工程、(3) 前記冷延
    鋼板に仕上焼鈍を施す際に、均熱温度から急冷開始温度
    TSまでを10℃/s以下の平均冷却速度VSで冷却
    し、600℃から500℃の温度域にある急冷開始温度
    TSから300℃までの間を10〜50℃/sの平均冷
    却速度VQで急冷する工程、を有することを特徴とする
    低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、Cの含有量が0.005%以
    下である他は成分が請求項1に記載の範囲である珪素鋼
    スラブを使用する請求項1に記載の低磁場特性に優れた
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
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