JP3575167B2 - 低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた低磁場特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特に、冷蔵庫、エアコン用などの小型モータ、小型制御用モータ、インバータ駆動モータの鉄心材料として好適な電磁鋼板を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パワーエレクトロニクス技術が急速な進歩をとげ、その代表例であるインバーターが産業用の大型機器から家電製品まで幅広く採用されるようになってきた。インバーターの採用により、電気機器の省電力、高効率、高性能、小型化などが実現されている。従来、こうした大型モーターやコンプレッサーモーターの鉄心材料には高磁束密度(B50で評価)、低鉄損(W15/50)が要求されてきた。しかしながらインバーター駆動による大型モーターやコンプレッサーモーターは、起動時には1.2〜1.5T、安定状態では0.8〜1.0T程度で励磁されることが多く、これまで以上に低磁場での磁気特性が重要視されるようになってきた。さらに小型モータ、特に交流モータ、インバータ駆動モータ、小型制御用モータなどは、応答性が重要視され、鉄心材料として使用される電磁鋼板には、磁化曲線の立ち上がりが鋭いこと、即ち、低磁場領域での磁束密度が高いことが要求されている。
【0003】
ところで、電磁鋼板の焼鈍は、従来、鋼板への歪みの導入が少ない横型炉で行われていた。しかし、横型炉において能率を高めるためには炉長を長くする必要があり、このため炉の建設に長大なスペースが必要となるという問題があった。これに対し、縦型炉においては、炉長は十分に長くとれ、またそれに伴う設備スペースの増大は生じない。このため、縦型炉においては高能率で焼鈍を行うことが可能であり、また、炉の建設費も安くなることからコスト的にも有利となる。
【0004】
しかし、縦型焼鈍炉にて電磁鋼板を製造した場合には、鋼板の自重等により、横型炉よりも大きな張力が鋼板に付与されるため、一般に、横型炉で製造された電磁鋼板よりも低磁場特性が劣化していた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、電磁鋼板を縦型焼鈍炉にて製造する場合において、低磁場特性を劣化させることなく無方向性電磁鋼板を製造する方法を提供することを目的としている。
【0006】
前記課題は、
(1) 重量%で、C:0.01%以下、Si:4%以下、Mn:0.1〜0.8%、Al:0.004%以下を含有し、V:0.001〜0.01%、S:0.02%以下、N:0.0010〜0.005%、P:0.2%以下である珪素鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する工程、
(2) 前記熱延鋼板を一回または二回以上の冷間圧延によって冷延鋼板を製造する工程、
(3) 前記冷延鋼板を、鋼板張力が0.7kgf/mm2 以上となる縦型焼鈍炉にて、仕上焼鈍温度TをT≧1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕 (℃)
として仕上焼鈍を行う工程、
(4) 仕上焼鈍温度から500℃までの平均冷却速度を10〜50℃/sとして冷却する工程、
を有することを特徴とする低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法により解決される。
【0007】
なお、Cの含有量を0.005%以下に規定すれば、さらに低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板を製造することができる。
【0008】
(発明に至る経緯)
本発明者らが、縦型焼鈍炉にて製造したtr. Al系の電磁鋼板の低磁場特性の向上を妨げている原因に関し鋭意調査したところ、縦型焼鈍炉においては鋼板の自重および張力により必然的に0.7kgf/mm2 以上の応力が鋼板に付与され、特に、ロールにより曲げ変形が加わる部分においては2〜5kgf/mm2 程度の応力が加わっており、それに伴い、VNの微細析出が促進されること、さらに、微細析出したVNが磁壁の移動を妨げ、低磁場特性を悪化させることが判明した。
【0009】
よって、低磁場特性の優れたものとするためには、VNの析出を防止することが必要となる。VNの析出を防止するためには、鋼中へのVの混入を防止すればよいが、Vは鉱石より不可避的に混入するため不可能である。そこで本発明者らは、仕上焼鈍時にVNを鋼中に完全に固溶させ、焼鈍後の冷却速度を制御することにより、1.0kg/mm2 程度の張力下においてもVNの再析出を防止することが可能となること、また、これにより磁壁移動が容易になり、低磁場特性が非常に良好になることを知見し、この知見に基づいて本発明を完成させた。以下、これらの経緯と各要素の限定理由について、更に詳しく説明する。
【0010】
本発明者らは低磁場特性をより向上させるため、磁壁の移動を妨げる因子について調査を行った。
【0011】
まず始めに、化学組成がSi:0.75%,Mn:0.21%,P:0.100%,S:0.004%,tr. Alの鋼を5 チャージ溶製し、その後鋳造してスラブとした。このスラブを熱間圧延、冷間圧延により板厚0.5mm とし、引き続き縦型炉にて850℃×2分間の仕上焼鈍を施し、5 ℃/sの冷却速度で室温まで冷却した。縦型炉の焼鈍時および冷却時の鋼板張力は0.8kgf/mm2 であった。仕上焼鈍後の鋼板より、外径45mm、内径33mmのリングサンプルを歪みの入らない放電加工により切り出し、一次100turn、二次100turn巻き線後、低磁場特性を測定した。
【0012】
その結果、同一成分の鋼であっても、100A/mに磁化した場合の磁束密度B1 が0.5〜1.0Tと大きくばらつくことが判明した。
【0013】
次に、これらのサンプルの介在物および析出物の観察を行なった。観察は走査型電子顕微鏡(以下SEMと呼ぶ)および透過型電子顕微鏡(以下TEMと呼ぶ)を用いて行ない、SEM観察は鋼板断面を直接観察し、TEM観察は抽出レプリカ観察とした。SEM観察の結果、いずれのサンプルにおいても、1 〜5 μm程度のSiO2 および0.1〜0.5μm程度のMnSが観察され、低磁場特性によらず大きさ、量はほぼ同程度であった。さらにTEM観察を行なったところ、低磁場特性の低い材料においては、数十nm程度の極めて微細な析出物が認められ、それらがVNであることが確認された。
【0014】
このことより、低磁場領域の磁壁移動には数十nmのVNが大きく影響を及ぼしていることを知見した。即ち、鋼板の中のVNを極力低減することが、磁壁の移動を容易にして低磁場特性を高め、逆にVNが多くなると磁壁移動の障害となって低磁場特性を悪化させることが判明した。
【0015】
そこで、こうした微細なVNの生成を防止する手法について検討を行なった。VNの析出を防止するためには、鋼中のVをtr. とすればよいが、Vは鉱石より不可避的に混入するため不可能である。そこで本発明者らは仕上焼鈍時にVNを鋼中に完全に固溶させ、焼鈍後の冷却速度を制御することにより、1.0kgf/mm2 程度の張力下においてもVNの再析出を防止する技術について検討した。以下にその検討内容を詳細に説明する。
【0016】
(1)仕上焼鈍温度
まず、仕上焼鈍前のVNの状態についてTEM観察を行なったところ、数十nmのVNが観察された。このため、VNの析出を抑さえるためには、仕上焼鈍時に再固溶させる必要があると判断した。
【0017】
そこで、まず、VNが固溶する仕上焼鈍温度について検討した。本検討に用いたサンプルはC:0.0025%、Si:1.05%、Mn:0.21%、P:0.08%、tr. Al、S:0.004%、V:0.001〜0.015%、N:0.0010〜0.0060%の範囲で調整したもので、残部はFe及び不可避不純物である。これらを冷間圧延により板厚0.5mmとし、仕上焼鈍温度を650℃×2分間から900℃×2分間の範囲で変化させた。その後、平均冷速100℃/sで室温まで急冷し、サンプルを得た。
【0018】
このようにして得られたサンプルのTEM観察結果を図1に示す。これより、仕上焼鈍温度Tが
T≧1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕 (℃)
であればVNは完全に固溶することがわかる。
【0019】
(2)冷却パターン
このように再固溶したVNは、仕上焼鈍後の冷却速度が遅い場合には再析出してくるものと考えられる。そこで、仕上焼鈍後の冷却速度について検討した。
【0020】
本検討に用いたサンプルはC:0.0025%、Si:1.05%、Mn:0.21%、P:0.08%、tr. Al、S:0.004%、V:0.007%、N:0.0020%、残部はFe及び不可避不純物である。これらを冷間圧延により板厚0.5mmとし、VNが完全に固溶する850℃×2分間の仕上焼鈍を施した。その後、2 〜15℃/sの冷却速度で室温まで急冷し、サンプルを得た。なお、この際の鋼板張力は0.1〜1.5kgf/mm2 の範囲で調整した。
【0021】
このようにして得られたサンプルのTEM観察を行った結果を図2に示す。図2より、横型焼鈍炉において鋼板に付与される張力である0.5kgf/mm2 程度においては、横型焼鈍炉における仕上焼鈍後の平均的な冷却速度である5℃/s程度の冷却速度でもVNは観察されないことがわかる。
【0022】
しかし、縦型焼鈍炉においては鋼板張力は0.7kgf/mm2以上となり、特にロール部においては2〜5kgf/mm2 となる。このような場合には図2より明らかなように、VNの再析出を抑制するためには10℃/s以上の急冷を行う必要がある。
【0023】
以上のことより、縦型焼鈍炉においてVNの再析出を抑制するためには、仕上焼鈍後の冷却速度を10℃/s以上とする必要があることが明らかとなった。
【0024】
(3)急冷終了温度
次に、急冷終了温度について検討した。本検討に用いた鋼板の成分は、C:0.0022%、Si:0.30%、Mn:0.44%、P:0.112%、Al:tr. 、N:0.0025%、S:0.004%、V:0.004%残部はFe及び不可避不純物である。これらを冷間圧延により板厚0.5mmとし、鋼板に張力1.0kgf/mm2 を付与した条件下で、VNが完全に固溶する850℃×2分間の仕上焼鈍を施し、焼鈍後速やかに30℃/sの急冷を開始し、急冷終了温度を750℃から300℃まで変化させた。なお、急冷終了後は5℃/sの一定冷却速度で室温まで冷却を行った。
【0025】
このように急冷を行った場合のVNの析出状態を調査するため、仕上焼鈍板を4%MS系(4%サリチル酸メチル−1%サリチル酸−1%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール)電解液で1g定電位電解し、得られた残渣をアルカリ融解して金属元素を定量することにより、VNとしてのV量を求めた。得られた結果を表1に示す。表1から明らかなように、500℃以下で急冷を終了したサンプルにおいてはVNは全く認められなかった。これに対し、500℃超で急冷を終了したサンプルにおいてはVNが認められ、VNの量は、急冷終了温度が500℃までは、急冷終了温度の上昇に伴い多くなることが判明した。
【0026】
また、急冷終了温度が500℃以下においては、急冷を中止したとしてもVNは析出しないことも明らかとなった。このことは、VNの析出は500℃以上で終了していることを示しており、500℃以下で急冷する必要は無いことを示している。
【0027】
以上のことより、仕上焼鈍後の急冷は500℃まで行えばよく、500℃以下の冷却速度については特に規定する必要はない。
【0028】
【表1】
【0029】
(4)急冷速度の上限
以上の検討によりVNを析出させない急冷条件が明らかとなったが、冷却速度が速くなると、それに伴い、鋼板へ導入される冷却歪みも大きくなるものと考えられる。そこで、次に、急冷速度の上限について検討を行った。本検討に用いた鋼板の成分は、C:0.0022%、Si:0.75%、Mn:0.45%、P:0.110%、Al:tr. 、N:0.0022%、S:0.003%、V:0.005%残部はFe及び不可避不純物である。
【0030】
これらを冷間圧延により板厚0.5mmとし、鋼板に張力1.0kgf/mm2 を付与した条件下で、VNが完全に固溶する850℃×2分間の仕上焼鈍を施し、焼鈍後速やかに500℃まで5〜70℃/sの冷却を行い、500℃から300℃まで5℃/sの徐冷を行った。図3にこのようにして得られた鋼板の830℃から500℃までの平均冷却速度VQとB1 の関係を示す。図3より冷却速度VQが10〜50℃/sの範囲においてはB1 が1.0T以上の良好な値を示している。これに対し、10℃/s未満および50℃/s超においてはB1 は大きく低下している。この10℃/s未満における低磁場特性の低下は、前述したようにVNが析出するためである。10℃/s超においては鋼板中へ冷却歪みが導入されるようになるものの、一方でVNの析出が抑制されるため低磁場特性は良好となる。しかし、冷却速度が50℃/sを超えた場合には、鋼板中へ導入される冷却歪みが非常に大きくなるため低磁場特性が著しく劣化する。以上のことより、急冷速度は10〜50℃/sとする。
【0031】
また、図3から明らかなように、急冷速度のより好ましい範囲は、10〜30℃/sである。
【0032】
(5)VとNの許容範囲
次に本発明が適用できるVとNの上限について検討した。
【0033】
図4は鋼板中のV量およびN量と仕上焼鈍後の磁束密度B1 の関係を示している。図4において、鋼板中の成分は、C:0.0021%、Si:2.05%、Mn:0.45%、P:0.100%、Al:tr、S:0.0020%、V:0.001〜0.015%、N:0.0010〜0.0070%であり、残部はFe及び不可避不純物である。これらを冷間圧延により板厚0.5mmとし、鋼板に張力1.0kgf/mm2 を付与した条件下で、920℃×2分間の仕上焼鈍を施し、800℃から500℃までの平均冷却速度を25℃/sとし、500℃から300℃までの平均冷速を5℃/s一定としサンプルを得た。
【0034】
図4から、V を0.01%以下、N を0.005%以下にすることで、磁束密度B1 は1.00T以上と高くなるが、Vが0.01%超又はNが0.005%超となった場合には本発明の仕上焼鈍条件及び冷却速度条件においても低磁場特性は向上しないことがわかる。
【0035】
この原因を調査するため、Vが0.012%、Nが0.002%の鋼板と、Vが0.003%、Nが0.006%の鋼板のTEM観察を行った。その結果、いずれの鋼板においても微細なVN多数観察された。すなわち、Vが0.01%超又はNが0.005%超となった場合には、本発明の冷却速度においてもVNが再析出し、冷却速度をさらに大きくする必要があることが明らかとなった。
【0036】
しかし前述したように冷却速度を50℃/sよりも大きくした場合には鋼板中に冷却歪みが導入されるため低磁場特性は低下する。以上のことより、Vは0.01%以下、Nは0.005%以下とする。
【0037】
(6)その他の成分の範囲
Cは鉄損を多くする有害な成分でかつ磁気時効の原因となるので0.01%以下とするが、より好ましくは0.005%以下とする。
【0038】
Siは鋼板の固有抵抗を上げ鉄損を少なくするのに有効な成分であるが、4%を超えると冷間圧延が困難となるため上限を4%とする。
【0039】
Mnは鋼板の固有抵抗を上げて鉄損を少なくするのに有効な成分であるため0.1%以上とし、一方、多すぎると磁束密度が低下するため0.8%以下とする。
【0040】
Alは微量に添加した場合には微細なAINを生じ、磁気特性を劣化させる。このため0.004%以下とする。
【0041】
Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために有効な成分であるのである程度含まれている方が好ましいが、0.2%を超えて添加すると鋼板の加工性が低下するため0.2%以下とする。
【0042】
Sは磁気特性を劣化させるMnS等を形成するため、上限を0.02%とする。
【0043】
なお、本発明では、Sb、Sn、Bを磁気特性向上のために添加することは何らさしつかえない。
【0044】
残りの成分は実質的にFeと不可避不純物からなる。ここに、「実質的に」というのは、本発明の技術的思想を害さない範囲で、任意の微量成分が添加されたものをも含む趣旨である。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明の鋼板の製造方法は以下のとおりである。
【0046】
Vが所定の範囲内となった溶鋼を転炉または電気炉で溶製し、脱ガス処理して所定の成分に調整し、造塊鋳造、連続鋳造あるいはストリップキャスタで鋳造し、熱間加工を行う。熱間加工は、分塊圧延、粗圧延、仕上熱延の内、仕上熱延は必須であるが、分塊圧延、粗圧延は鋳造後の鋼塊、鋼片、鋳造板などの厚さ寸法、リジング抑制の要求などにより選択する。
【0047】
熱間圧延後の熱延板焼鈍は行ってもよいが必須ではない。その他、熱間圧延と冷間圧延の間に任意の付加的な工程(酸洗等)を介在させてもよい。次いで、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ2回以上の冷間圧延により所定の板厚とした後に、縦型炉にて仕上焼鈍し所定の冷却速度で冷却する。冷間圧延と仕上焼鈍の間にも、任意の付加的な工程(洗浄等)を介在させてもよい。
【0048】
【実施例】
表2、表3に示す成分の珪素鋼を、転炉で吹練した後に、脱ガス処理して所定の成分に調整後、鋳造し、熱間圧延で板厚2mmの鋼板を得た。次いで、酸洗し、板厚0.5mmまで冷間圧延し、縦型炉にて表2、表3の条件の仕上焼鈍および冷却を行った。仕上焼鈍後の鋼板より、外径45mm、内径33mmのリングサンプルを、歪みの入らない放電加工により切り出し、一次100turn、二次100turn巻き線後、低磁場特性を測定した。
【0049】
表2、表3において、Tは、1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕の値を示す。また、張力は縦型炉における鋼板張力、TFは急冷終了温度、VQは仕上焼鈍温度から急冷終了温度までの平均冷却速度を示す。
【0050】
表2は、Siの範囲が1%以下(主として約0.3%)の珪素鋼についてのデータであり、表3は、Siの範囲が約2%以上の珪素鋼についてのデータである。
【0051】
表2において、鋼板番号1〜5のものは本発明の実施例であり、6〜12のものは比較例である。Siの含有量が低いので、実施例の中にもB1 が0.8(T)と低いものもあるが、いずれの実施例も比較例に比べて高い値を示している。また、実施例においては、W10/50の値も比較例に比べて低い。
【0052】
表3においては、鋼板番号13〜20のものが本発明の実施例であり、21〜31のものが比較例である。実施例においては、B1 がいずれも約1(T)以上となっており、比較例に比べて高い値を示している。また、W10/50の値も、一部の例外を除いて比較例に比べて低い。
【0053】
これらの例から明らかなように、同一のSiのレベルで比較した場合、本発明の電磁鋼板は、比較例に比して良好な低磁場特性を示している。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、珪素鋼板の成分値と仕上焼鈍温度、仕上焼鈍後の冷却速度を規定することにより、鋼板張力が高い縦型焼鈍炉を使用する場合でも、低磁場特性の優れた無方向性電磁鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】V(%)×N(%)の値及び仕上げ焼鈍温度と、VNの有無の関係を示す図である。
【図2】仕上焼鈍時の鋼板張力及び平均冷却速度VQと、VNの有無の関係を示す図である。
【図3】平均冷却速度VQとB1 の関係を示す図である。
【図4】V(%)、N(%)とB1 の関係を示す図である。
Claims (2)
- (1) 重量%で、C:0.01%以下、Si:4%以下、Mn:0.1〜0.8%、Al:0.004%以下を含有し、V:0.001〜0.01%、S:0.02%以下、N:0.0010〜0.005%、P:0.2%以下である珪素鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する工程、
(2) 前記熱延鋼板を一回または二回以上の冷間圧延によって冷延鋼板を製造する工程、
(3) 前記冷延鋼板を、鋼板張力が0.7kgf/mm2 以上となる縦型焼鈍炉にて、仕上焼鈍温度TをT≧1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕 (℃)
として仕上焼鈍を行う工程、
(4) 仕上焼鈍温度から500℃までの平均冷却速度を10〜50℃/sとして冷却する工程、
を有することを特徴とする低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。 - 重量%で、Cの含有量が0.005%以下である他は成分が請求項1に記載の範囲である珪素鋼スラブを使用する請求項1に記載の低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
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