JPH092988A - グリセリルエーテル化多価アルコール及びその製造方法 - Google Patents

グリセリルエーテル化多価アルコール及びその製造方法

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JPH092988A
JPH092988A JP7154192A JP15419295A JPH092988A JP H092988 A JPH092988 A JP H092988A JP 7154192 A JP7154192 A JP 7154192A JP 15419295 A JP15419295 A JP 15419295A JP H092988 A JPH092988 A JP H092988A
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JP
Japan
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group
polyhydric alcohol
general formula
oxygen atom
hydroxyl groups
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JP7154192A
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English (en)
Inventor
Katsumi Kita
克己 喜多
Hiroshi Kamiya
寛 紙谷
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 グリセリルエーテル化多価アルコール(1)及
びその製造方法。 G[(AO)xB]y (1) 〔G:OHを3個以上有する多価アルコールの全てのOHの
Hを除いた残基。A:C2〜4のアルキレン基。B:
H、基(イ)又は基(ロ) 【化1】 (R:C8〜24のアルケニル基。)であって少なくとも
1個は基(イ)又は(ロ)。x:0〜10。y:Gの水酸基由来
酸素原子数。〕 【効果】 水分散系でサーモトロピック液晶を形成し、
潤滑性に優れ、ほとんどの溶剤に相溶性を示し、水と混
合すると均一に容易に分散する等の特性を有し、香粧品
用の基剤、乳化剤、湿潤剤、可溶化剤、液晶形成剤等と
して有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化粧料等の基剤、乳化
剤、可溶化剤、潤滑剤、液晶形成剤等として有用な、新
規なグリセリルエーテル化多価アルコール及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
ソルビタンエステルのポリオキシアルキレンエーテル等
のポリオールエステル類は、香粧品や化粧品の乳化剤、
可溶化剤、潤滑剤として利用されてきた。しかしなが
ら、かかるポリオールエステル類は、エステル基を有す
るがゆえに、水溶液中での安定性が必ずしも十分ではな
く、化粧品や香粧品に利用した場合、その性能の安定性
が不十分となることがあった。
【0003】一方、自然界には、エーテル結合を有する
多価アルコールの誘導体が多数存在するが、それらのな
かでグリセリンのモノアルキルエーテル(以下、「グリ
セリルエーテル」と称する)が特によく知られている。
例えば、魚類の脂質中には、パルミチルグリセリルエー
テル、ステアリルグリセリルエーテル及びオレイルグリ
セリルエーテルが含まれている。
【0004】グリセリルエーテルは、先に述べたポリオ
ールエステル類に比べ、水溶液での安定性に優れ、また
そのW/O型乳化特性を利用して、化粧品基剤等への幅
広い利用がなされている(特開昭49-87612号公報、特開
昭49-92239号公報、特開昭52-12109号公報等)。
【0005】更に、かかるグリセリルエーテルが種々の
有用な特性を有する非イオン界面活性剤である点に注目
して、グリセリルエーテルと類似の分子構造を有するポ
リオールエーテル化合物を多価アルコールより誘導する
試みがなされている(米国特許第2258892号明細書、特
公昭52-18170号公報、特開昭53-137905号公報、特開昭5
4-145224号公報等)。これらグリセリルエーテル誘導体
の中で、イソステアリル基のような分岐アルキル基を有
する分岐アルキルグリセリルエーテル(油化学、第36
巻、第8号、588〜598頁(1987))や、ジグリセリンに分
岐アルキル基を導入したジグリセリンの分岐アルキルエ
ーテル(特公昭63-24496号公報、特開昭59-175445号公
報等)は、優れたW/O型乳化特性を有する非イオン界
面活性剤として香粧品や化粧品に利用されてきた。
【0006】しかしながら、上記の分岐アルキルグリセ
リルエーテルやジグリセリンの分岐アルキルエーテル
は、優れたW/O型乳化特性を有する反面、親水性が低
いため、シャンプー、リンスあるいは化粧水のような水
分含量の高い香粧品に使用する場合、水への分散性が悪
く乳化不良を起こす場合があり、そのため使用量が制限
され十分な効果を期待できないという問題があった。
【0007】従って、化粧料等の基剤、乳化剤、可溶化
剤、潤滑剤等として有用な非イオン界面活性剤の開発が
望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意研究を行った結果、後記一般式(1)で表
される新規なグリセリルエーテル化多価アルコールが、
水分散系にてサーモトロピック液晶を形成し、非常に優
れた潤滑性を示し、ほとんど全ての溶剤に対して相溶性
を示し、かつ水と混合したときほとんど均一に容易に分
散する等の特性を有すること、更に化粧料等の基剤、乳
化剤、可溶化剤、潤滑剤、液晶形成剤等としてこれまで
にない非常に優れた性能を示すことを見いだし、本発明
を完成した。
【0009】すなわち、本発明は次の一般式(1)で表さ
れるグリセリルエーテル化多価アルコール及びその製造
方法を提供するものである。 G[(AO)xB]y (1) 〔G:水酸基を3個以上有する多価アルコールにおける
すべての水酸基の水素原子を除いた残基を示す。 A:炭素数2〜4のアルキレン基を示し、-(A1O)x-の
末端炭素原子はGの水酸基由来酸素原子とエーテル結合
し、末端酸素原子はBと結合する。 B:それぞれ水素原子又は一般式(イ)もしくは(ロ)
【0010】
【化4】
【0011】(R:炭素数8〜24の直鎖又は分岐のアル
ケニル基を示す。)で表される基を示し、-(AO)x-の
末端酸素原子又はGの水酸基由来酸素原子に結合する。
但し、y個のB基のうち、少なくとも1個は基(イ)又は
(ロ)である。 x:〔-AO-の全付加モル数〕/yであって、0〜10の
数を示す。 y:Gの水酸基由来酸素原子の数を示す。〕
【0012】一般式(1)中、Gで表される多価アルコー
ル残基としては、例えばグリセリン、ペンタエリスリト
ール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、グ
リコシド類、下記一般式(2)
【0013】
【化5】
【0014】〔a:2〜20の数を示す。〕で表されるポ
リグリセリン、エリスリトール、イノシトール、キシリ
トール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリ
トール、ヘプチトール、オクチトール、1,2,3,4-ペンタ
ンテトロール、1,3,4,5-ヘキサンテトロール、ソルビタ
ン、マンニタン、ラフィノース、ゲンチアノース、ショ
糖、フルクトフラノース、フルクトピラノース、グルコ
ピラノース、キシロース、ガラクトース、マンノース、
マルトース、ソルビオース、マルトトリオース、マルト
テトラオース、マルトペンタオース、α-シクロデキス
トリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリ
ン等の多価アルコール(GHy)からすべての水酸基の
水素原子を除いたものが挙げられる。
【0015】上記多価アルコールのうち、グリコシド類
としては、例えば(a)グルコース、ガラクトース、フル
クトース、マンノース、キシロース等の単糖類、マルト
ース、イソマルトース、乳糖、ショ糖等の二糖類、ある
いはセルロース、デンプン、アミロース等の多糖類と、
(b)メタノール、エタノール、プロパノール等の低級ア
ルコール類又はエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、グリセリン、エリスリトール、ソルビトール等の
多価アルコール類とを、酸触媒の存在下に反応せしめる
公知の手段により得られたものを挙げることができる。
具体的には、メチルグルコシド、エチルグルコシド、プ
ロピルグルコシド、オクチルグルコシド、デシルグルコ
シド、ドデシルグルコシド、オレイルグルコシド、2-エ
チルヘキシルグルコシド、メチルマルトシド、エチルマ
ルトシド等のアルキルグリコシド類;2-ヒドロキシプロ
ピルグルコシド、2,3-ジヒドロキシプロピルグルコシ
ド、2-ヒドロキシエチルグルコシド等のヒドロキシアル
キルグリコシド類;メトキシエチルグルコシド、エトキ
シエチルグルコシド等のアルキルエーテルグリコシド
類;マルチトール、ラクチトール等の還元末端が還元さ
れたオリゴ糖類などを挙げることができる。
【0016】また、上記多価アルコールのうちポリグリ
セリン(2)は、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラ
グリセリン、ペンタグリセリンに代表されるような、グ
リセリンを公知の方法により縮合して得られるポリグリ
セリンである。かかるポリグリセリン(2)の平均縮合度
aは2〜20であるが、縮合度が高いと親水性が高くなり
すぎて十分な性能が得られない場合があるため、平均縮
合度aは2〜10、特に2〜4の範囲が好ましい。
【0017】これらのGのうち、グリセリン、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロー
ルアルカン、ソルビトール、マンニトール、グリコシド
類及びポリグリセリン(2)から選ばれる多価アルコール
のすべての水酸基の水素原子を除いた残基が好ましく、
特にトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、
メチルグルコシド、エチルグルコシド、メチルマルトシ
ド、マルチトール及び2,3-ジヒドロキシプロピレングル
コシドから選ばれる多価アルコールのすべての水酸基の
水素原子を除いた残基が好ましい。
【0018】なお、一般式(1)中のyで表されるGの水
酸基由来酸素原子の数は、上記多価アルコールの種類に
固有の数であり、3以上の数を示す。
【0019】また、一般式(1)中、Aで表される炭素数
2〜4のアルキレン基としては、エチレン、プロピレ
ン、ブチレン等が挙げられるが、特にエチレンが好まし
い。
【0020】一般式(1)中、xは多価アルコールの水酸
基に直接付加したアルキレンオキシ基(-AO-)の1水
酸基当たりの平均付加モル数を示し、0〜10であるが、
0〜3、特に0が好ましい。
【0021】また、一般式(1)中、Bで表される水素原
子、基(イ)又は基(ロ)のうち、基(イ)又は(ロ)におけるR
は、炭素数8〜24の直鎖又は分岐のアルケニル基であ
り、ミリストレイル基、パルミトレイル基、エライジル
基、エルカニル基、ブラシニル基、リノレイル基、リノ
エライジル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数16
〜22のものが好ましい。
【0022】これらのBは、y個のうち少なくとも1個
が基(イ)又は(ロ)であることが必要であるが、なかでもy
個のうち1個のみが基(イ)又は(ロ)であるのが好ましい。
【0023】本発明のグリセリルエーテル化多価アルコ
ール(1)は、例えば、次の反応式に従って、一般式(3)で
表される水酸基を3個以上有する多価アルコール又はそ
のアルキレンオキシド付加体と一般式(4)で表されるア
ルケニルグリシジルエーテルを、塩基性触媒の存在下で
反応させることにより製造される。
【0024】
【化6】
【0025】〔G、A、B、R、x及びy:前記の意味
を示す。〕
【0026】本反応により、多価アルコール又はそのア
ルキレンオキシド付加体(3)にアルケニルグリシジルエ
ーテル(4)が開環付加し、この際、エポキシ環の開環の
方向によって基(イ)又は(ロ)のいずれかが形成されるが、
そのいずれも非イオン界面活性剤として好適に使用する
ことができる。
【0027】例えば、ペンタエリスリトールのグリシジ
ルエーテル1モル付加体を得る場合の反応を例示すれば
次の通りである。
【0028】
【化7】
【0029】本発明の製造方法における原料である化合
物(3)のうち、水酸基を3個以上有する多価アルコール
(GHy)としては、先に挙げたものを使用することが
できる。
【0030】本発明で用いられる水酸基を3個以上有す
る多価アルコール中には、目的とする多価アルコール以
外の不純物が含まれる場合があるが、これら多価アルコ
ールは、実用上問題がなければ不純物を含んだまま使用
してもよく、問題がある場合は公知の方法により精製し
て用いることができる。
【0031】例えば、ペンタエリスリトール中には、ペ
ンタエリスリトールが縮合したジペンタエリスリトール
やトリペンタエリスリトールが含まれている場合があ
り、ソルビトールやマンニトール中には、少量のグルコ
ース等の還元糖が含まれている場合があり、ポリグリセ
リン中には、未反応のグリセリンが混入している場合が
あり、そのまま用いると、これら不純物のグリシジルエ
ーテル付加体が少量副生する。これらは、製品の性能、
品質等に支障がなければそのまま使用してもよく、支障
がある場合は、晶析操作等により精製して使用するのが
好ましい。
【0032】また、化合物(3)のうち、上記多価アルコ
ールのアルキレンオキシド(-AO-)付加体としては、
例えばポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキ
シプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエチレン・
ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、ポリオキシエ
チレンソルビトール、ポリオキシプロピレンソルビトー
ル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンソルビ
トール、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール、ポ
リオキシプロピレンペンタエリスリトール、ポリオキシ
エチレン・ポリオキシプロピレンペンタエリスリトー
ル、ポリオキシエチレンマンニトール、ポリオキシプロ
ピレンマンニトール、ポリオキシエチレン・ポリオキシ
プロピレンマンニトール、ポリオキシエチレンマルチト
ール、ポリオキシプロピレンマルチトール、ポリオキシ
エチレン・ポリオキシプロピレンマルチトール、ポリオ
キシエチレンソルビトール、ポリオキシプロピレンソル
ビトール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン
ソルビトール等が挙げられる
【0033】かかる多価アルコールのアルキレンオキシ
ド付加体は、常法に従って、例えば、必要により適当な
溶媒中で水酸化ナトリウム等の塩基の存在下、上記多価
アルコールを加熱しながらアルキレンオキサイドを液状
又は気体状で加えて反応することにより製造することが
できる。
【0034】これら水酸基を2個以上有する多価アルコ
ール又はそのアルキレンオキシド付加体(3)は、単独で
又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0035】アルケニルグリシジルエーテル(4)は、常
法に従って、例えば必要により適当な溶媒中でROH
(R:前記と同じ意味を示す。)にエピクロルヒドリン
を反応させることにより合成することができる。アルケ
ニルグリシジルエーテル(4)は、単独で又は2種以上を
組み合わせて使用することができる。
【0036】多価アルコール又はそのアルキレンオキシ
ド付加体(3)とアルケニルグリシジルエーテル(4)との反
応モル比は、目的とするグリセリルエーテル化多価アル
コール(1)のエーテル化度によって適宜選択することが
できる。例えば、グリセリルエーテル1モル付加体の含
量の高いものを得るには、通常1.2:1.0〜10.0:1.0の
比率で化合物(3)を過剰に使用すればよく、1モル付加
体の生成量及び化合物(3)の回収を考慮すれば、1.5:1.
0〜5.0:1.0の比率が好ましい。また、グリセリルエー
テル2モル付加体の含量の高いものを得るには、通常0.
3:1.0〜1.1:1.0の比率でアルケニルグリシジルエーテ
ル(4)を過剰に使用すればよく、2モル付加体の生成量
を考慮すれば、0.4:1.0〜0.8:1.0の比率が好ましい。
【0037】本反応は、通常無溶媒で行われるが、化合
物(3)及び化合物(4)の混合を助ける目的で有機溶媒を使
用するのが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば
ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられ、化
合物(3)に対して0.1〜10.0倍容量用いるのが好ましい。
【0038】また、触媒としては、塩基性触媒が用いら
れる。一般にエポキシ基の反応触媒としては酸触媒又は
塩基性触媒を用いることができるが、本発明においては
酸触媒を用いた場合、副反応として、生成したグリセリ
ルエーテル化多価アルコールのエーテル結合の分解反応
や水酸基の脱水反応が生じるため好ましくない。本発明
に用いられる塩基性触媒としては、特に限定されない
が、反応性及び経済性の点から、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチ
ラート、水素化ナトリウム等が挙げられる。これら塩基
性触媒は、多価アルコール又はそのアルキレンオキシド
付加体(3)に対して0.01〜20.0重量%、特に0.1〜10.0重
量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0039】反応は、50〜200℃、特に80〜150℃で行う
のが好ましい。反応温度が50℃未満では反応速度が遅
く、200℃を超えると生成物が着色してしまうので好ま
しくない。
【0040】なお、本反応において、反応系中に水分が
存在するとアルケニルグリシジルエーテル(4)のエポキ
シ基が水と反応してグリセリルエーテルが副生するた
め、まず有機溶媒に多価アルコール又はそのアルキレン
オキシド付加体(3)を溶解又は分散させ、加熱して乾燥
窒素ガスを吹き込んだり、減圧下で加熱脱水したりして
水分を除去してから、アルケニルグリシジルエーテル
(4)を加えて反応させるのが好ましい。
【0041】反応終了後、例えば酢酸、クエン酸等の有
機酸又は硫酸、塩酸、リン酸等の無機酸を加えて触媒を
中和し、次いで反応に用いた有機溶媒を除去する。有機
溶媒は、反応生成物の熱分解を避けるため、減圧下、通
常120℃以下の温度で除去するのが好ましい。
【0042】上記反応により、本発明のグリセリルエー
テル化多価アルコール(1)は、通常、多価アルコール又
はそのアルキレンオキシド付加体(3)1分子にアルケニ
ルグリシジルエーテル(4)が1分子付加した1モル付加
体、2分子付加した2モル付加体のほかに多価アルコー
ル又はそのアルキレンオキシド付加体(3)1分子に3分
子以上のアルケニルグリシジルエーテル(4)が付加した
多モル付加体の混合物として得られる。このようにして
得られたグリセリルエーテル化多価アルコール(1)は、
通常かかる混合物のまま非イオン界面活性剤として使用
することができるが、性能や製品への配合上の理由等で
問題がある場合は、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー、溶媒抽出等の公知の精製方法を用いて精製して用い
ることができる。
【0043】また、本発明のグリセリルエーテル化多価
アルコール(1)には、上記のほかに、未反応のグリコシ
ドを含有する場合がある。かかるグリセリルエーテル化
多価アルコール(1)は、実用上問題がなければ未反応グ
リコシドを含有したままで使用することができるが、問
題がある場合には、例えば酢酸エチル、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム等の有機
溶媒を用いた2層の抽出溶媒系を用いる方法や、スミス
薄膜蒸留等の公知の精製方法により精製して用いること
ができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の実施例において、1H-NMRスペクト
ルは、BRUKER社製「AC-200P NMR SPECTROMETER」を用
い、CDCl3(D2O存在下)を溶媒とし、濃度3%、内部標
準TMS、25℃の条件で測定した。また、IRスペクトル
は、日立製作所製「270-30赤外分光光度計」を用い、25
℃でKBr液膜法により測定した。
【0045】実施例1 ペンタエリスリトール87g、ジメチルスルホキシド200
g及び水酸化ナトリウム1gを500mlフラスコに入れ、1
05℃に加熱して溶解し、乾燥窒素ガスを吹き込み、水及
びジメチルスルホキシドを約20g留出させて反応系中の
水分を除去した。これにオレイルグリシジルエーテル41
gを1時間かけて滴下した後、105℃で4時間撹拌しな
がら反応させた。反応終了後、反応混合物に酢酸1.5g
を加えて触媒を中和し、減圧下、ジメチルスルホキシド
を80℃で完全に蒸留除去し、その残留物に99%エタノー
ルを加えて析出した未反応ペンタエリスリトールを濾別
した。得られた濾液を、減圧下でエタノールを留去した
後、残渣に水500ml及び酢酸エチル500mlを加えて酢酸エ
チル抽出を行い、酢酸エチル可溶性画分より溶媒を留去
して、淡黄色の粗精製物65gを得た。この粗精製物を、
シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、アセト
ン:ヘキサン=2:1の溶出溶媒で分離精製を行い、目
的物の溶出画分を集めて溶媒を留去し、ペンタエリスリ
トールのオレイルグリシジルエーテル1モル付加体15g
(収率30%)を得た。
【0046】水酸基価 481(計算値 484)1 H-NMR(CDCl3):δ(ppm) 5.34(2H,m,-CH=CH-), 3.92(1H,m,-CHOH-),3.65(6H,s,-C
(CH2 OH)3), 3.48(8H,m,-OCH2 -),2.03(4H,b,-CH2 -C=),
1.30-1.59(24H,b,-(CH2 )12-),0.88(3H,m,-CH3 ) IR(液膜)cm-1: νO-H(-OH) 3200-3400 νC-H(アルケン伸縮) 3048 νC-H(伸縮)(-CH2-,-CH3) 2850, 2920 νC=C(伸縮) 1644 νC-H(変角)(-CH2-,-CH3) 1375, 1460 νC-O(-C-O-) 1110, 1035, 1010
【0047】実施例2 ソルビトール89g、N-メチルピロリドン100g及び水酸
化ナトリウム1gを300mlフラスコに入れ、100℃に加熱
して溶解し、乾燥窒素ガスを吹き込み、水及びN-メチル
ピロリドンを約10g留出させて反応系中の水分を除去し
た。これにオレイルグリシジルエーテル34gを2時間か
けて滴下した後、110℃で4時間撹拌しながら反応させ
た。反応終了後、反応混合物に酢酸1.5gを加えて触媒
を中和し、減圧下、N-メチルピロリドンを80℃で完全に
蒸留除去し、その残留物にアセトン500gを加え、析出
した未反応ソルビトールを濾別した。得られた濾液を、
減圧下でアセトンを留去して、粗精製物42gを得た。こ
の粗精製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より、クロロホルム:メタノール=5:1の溶出溶媒で
分離精製を行い、目的物の溶出画分を集めて溶媒を留去
し、ソルビトールのオレイルグリシジルエーテル1モル
付加体20gを得た。
【0048】水酸基価 651(計算値 660)1 H-NMR(CDCl3):δ(ppm) 5.32(2H,m,-CH=CH-), 3.35-3.94(15H,m,-OCH2 -,-O-CH
-),2.00(4H,b,-CH2 -C=), 1.34-1.58(24H,b,-(CH2 )12-),
0.86(3H,m,-CH3 ) IR(液膜)cm-1: νO-H(-OH) 3200-3400 νC-H(アルケン伸縮) 3045 νC-H(伸縮)(-CH2-,-CH3) 2840, 2910 νC=C(伸縮) 1642 νC-H(変角)(-CH2-,-CH3) 1370, 1455 νC-O(-C-O-) 1030-1110
【0049】比較例1 ペンタエリスリトール70g、ジメチルスルホキシド200
g及び水酸化ナトリウム1gを500mlフラスコに入れ、1
00℃に加熱して溶解し、乾燥窒素ガスを吹き込み、水及
びジメチルスルホキシドを約20g留出させて反応系中の
水分を除去した。これにステアリルグリシジルエーテル
33gを2時間かけて滴下した後、110℃で5時間撹拌し
ながら反応させた。反応終了後、反応混合物に酢酸1.5
gを加えて触媒を中和し、減圧下、ジメチルスルホキシ
ドを80℃で完全に蒸留除去し、その残留物にアセトン50
0gを加えて析出した未反応ペンタエリスリトールを濾
別した。得られた濾液を、減圧下でアセトンを留去して
粗精製物45gを得た。この粗精製物を、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより、アセトン:ヘキサン=
1:2の溶出溶媒で分離精製を行い、目的物の溶出画分
を集めて溶媒を留去し、ペンタエリスリトールのステア
リルグリシジルエーテル1モル付加体22g(収率47%)
を得た。なお、NMR及びIRスペクトル分析より、得られ
た化合物はペンタエリスリトールのステアリルグリシジ
ルエーテル1モル付加体であることを確認した。
【0050】試験例1 実施例及び比較例で得られたグリセリルエーテル化多価
アルコール並びに従来知られている化合物について、室
温での性状及び水への分散性(濃度5重量%)を調べ
た。結果を表1に示す。 (評価方法)室温での性状は、肉眼観察によった。水へ
の分散性は、試料1gを30ml容サンプルビンに採取し、
そこに試料濃度5重量%になるようにイオン交換水を加
えた後、サンプルビンを1分間振とうし、5分間静置し
てから分散状態を肉眼観察した。
【0051】
【表1】
【0052】試験例2 実施例で得られた本発明のグリセリルエーテル化多価ア
ルコールを用い、表2に示す組成のヘアリンス剤を製造
し、そのリンス性能を調べた。結果を表2に示す。 (製造方法)70℃に加熱した水に、同温度に加熱して溶
解した成分を加え、撹拌して混合させた後、撹拌しなが
ら室温まで冷却し、ヘアリンス剤を得た。 (評価方法)今までにコールドパーマ、ブリーチ等の美
容処理を行ったことのない日本人女性の毛髪20g(長さ
15cm)を束ね、この毛髪束をアニオン活性剤を主成分と
する市販シャンプーで洗浄処理した後、表2に示すヘア
リンス剤2gを均一に塗布して30秒間流水ですすぎ洗い
し、タオルドライを行った。この湿潤状態の毛髪束につ
いて、柔軟性、平滑性及び油性感を官能評価した。評価
基準は、特に優れているものは◎、良好なものは○、普
通のものは△、劣るものは×として示した。
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明のグリセリルエーテル化多価アル
コールは、水分散系でサーモトロピック液晶を形成し、
非常に優れた潤滑性を示し、ほとんど全ての溶剤に対し
て相溶性を示し、かつ水と混合したときほとんど均一に
容易に分散する等の特性を有するため、トイレタリーや
化粧品用の基剤、乳化剤、分散剤、湿潤剤、可溶化剤、
液晶形成剤等として極めて有用なものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1)で表されるグリセリルエ
    ーテル化多価アルコール。 G[(AO)xB]y (1) 〔G:水酸基を3個以上有する多価アルコールにおける
    すべての水酸基の水素原子を除いた残基を示す。 A:炭素数2〜4のアルキレン基を示し、-(AO)x-の
    末端炭素原子はGの水酸基由来酸素原子とエーテル結合
    し、末端酸素原子はBと結合する。 B:それぞれ水素原子又は一般式(イ)もしくは(ロ) 【化1】 (R:炭素数8〜24の直鎖又は分岐のアルケニル基を示
    す。)で表される基を示し、-(AO)x-の末端酸素原子
    又はGの水酸基由来酸素原子に結合する。但し、y個の
    B基のうち、少なくとも1個は基(イ)又は(ロ)である。 x:〔-AO-の全付加モル数〕/yであって、0〜10の
    数を示す。 y:Gの水酸基由来酸素原子の数を示す。〕
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、Gがグリセリン、
    ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリ
    メチロールアルカン、ソルビトール、マンニトール、グ
    リコシド類及び下記一般式(2) 【化2】 〔a:2〜20の数を示す。〕で表されるポリグリセリン
    から選ばれる少なくとも1種の多価アルコールのすべて
    の水酸基の水素原子を除いた残基である請求項1記載の
    グリセリルエーテル化多価アルコール。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、Gがトリメチロー
    ルエタン、トリメチロールプロパン、メチルグルコシ
    ド、エチルグルコシド、メチルマルトシド、マルチトー
    ル及び2,3-ジヒドロキシプロピレングルコシドから選ば
    れる少なくとも1種の多価アルコールのすべての水酸基
    の水素原子を除いた残基である請求項1記載のグリセリ
    ルエーテル化多価アルコール。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、Rがオレイル基、
    エライジル基、リノレイル基及びパルミトイル基から選
    ばれる基である請求項1〜3のいずれかに記載のグリセ
    リルエーテル化多価アルコール。
  5. 【請求項5】 一般式(3) G[(AO)xH]y (3) 〔G:水酸基を3個以上有する多価アルコールにおける
    すべての水酸基の水素原子を除いた残基を示す。 A:炭素数2〜4のアルキレン基を示し、-(AO)x-の
    末端炭素原子はGの水酸基由来酸素原子とエーテル結合
    し、末端酸素原子は水素原子と結合する。 x:〔-AO-の全付加モル数〕/yであって、0〜10の
    数を示す。 y:Gの水酸基由来酸素原子の数を示す。〕で表される
    水酸基を3個以上有する多価アルコール又はそのアルキ
    レンオキシド付加体と一般式(4) 【化3】 〔R:炭素数8〜24の直鎖又は分岐のアルケニル基を示
    す。〕で表されるアルケニルグリシジルエーテルを、塩
    基性触媒の存在下で反応させることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のグリセリルエーテル化多価ア
    ルコールの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009227583A (ja) * 2008-03-19 2009-10-08 Daicel Chem Ind Ltd ポリグリセリンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤
JP2011012003A (ja) * 2009-07-01 2011-01-20 Fancl Corp ソフトカプセル用乳化組成物及びソフトカプセル剤
JP2012106957A (ja) * 2010-11-18 2012-06-07 Kao Corp 精製ポリグリセリルモノエーテルの製造方法

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