JPH09277638A - 熱転写記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録動作時にインクシートを巻き取るための
駆動手段を独立して設ける必要のない熱転写記録装置を
提供する。 【解決手段】 プラテンローラ駆動手段に係合する第１
の伝達手段と、インクシート巻取ロールに係合する第２
の伝達手段とからなり、ヘッド支持部材の開閉により各
々が係合，離反し、記録動作においてはプラテンローラ
の回転駆動力をインクシート巻取ロールに伝達してこれ
を回転させることにより、インクシートを巻き取るよう
構成した伝達手段を設けて構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写記録装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５はこの種の熱転写記録装置の構成を
示す図であり、この図において１はサーマルヘッド、２
はプラテンローラ、３は剥離部材、４はガイドローラ、
５はインクシートリボン、６は記録紙、７はインクシー
ト巻取手段である。プラテンローラ２は、記録装置本体
に回転自在に支持されており、サーマルヘッド１はこの
プラテンローラ２の外周面に対して圧接，離反するよう
設けられている。また、プラテンローラ２側より記録紙
６０，インクシート５０が順次積層され、各々ガイドロ
ーラ４を介してプラテンローラ２上に搬送され、サーマ
ルヘッド１によりプラテンローラ２に圧接される。イン
クシート５０は、加熱により昇華或いは溶融するインク
を基材となるベースフィルムの表面に塗布されて形成さ
れている。

【０００３】この熱転写記録装置により記録が行われる
際には、プラテンローラ２およびインクシート巻取ロー
ル５１を回転させて、サーマルヘッド１によりプラテン
ローラ２に押圧されている記録紙６０およびインクシー
ト５０を搬送すると同時に、サーマルヘッド１上に形成
された発熱抵抗体を選択的に駆動することにより、イン
クシート５０の表面に塗布されているインクを記録紙６
０上に転写して記録を行うよう構成されている。転写後
のインクシート５０は、剥離部材３により記録紙６０よ
り剥離されてインクシート巻取りロール５１に巻き取ら
れ、記録済みの記録紙６０は、順次搬送されて排紙され
る。

【０００４】また、転写後のインクシート５０を巻き取
るために、インクシート巻取ロール５１の軸に係合した
従動ギア５３に、インクシート巻取手段７の駆動ギア７
１を歯合させ、この駆動ギア７１により回転駆動力を伝
達させるよう構成されている。

【０００５】この種の熱転写記録装置においては、記録
紙６の交換を容易に行うために、図６に示すように、サ
ーマルヘッド１，インクリボン５を記録装置本体に回動
可能に支持されるカバー部材に取り付け、このカバー部
材を開放するとプラテンローラおよび記録紙ロール６１
が露出し、カバー部材を閉じると記録紙６０，インクシ
ート５０を介して、サーマルヘッド１がプラテンローラ
２に押圧されるよう構成されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来の熱転写記
録装置の場合、インクシートリボン５を支持するインク
シートカセットがカバー部材に取り付けられているの
で、記録動作時にインクシート５０を巻き取る駆動機構
７（駆動モータ（図示せず），駆動ギア７１）をプラテ
ンローラ２を駆動する機構とは別にカバー部材に取り付
けて設けなければならず、部品点数の増加を招き、製作
コストが上昇するという不具合を生じていた。

【０００７】本発明はこれらの不具合を解決するために
なされたもので、記録動作時にインクシートを巻き取る
ための駆動手段を独立して設ける必要のない熱転写記録
装置を提供することを目的とする。更に、インクシート
リボンを開閉カバーに取り付け、このカバー開閉時にイ
ンクシートの弛みが生じない熱転写記録装置を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の熱転写記録装置においては、プラテンロー
ラ駆動手段に係合する第１の伝達手段と、インクシート
巻取ロールに係合する第２の伝達手段とからなり、ヘッ
ド支持部材の開閉により各々が係合，離反し、記録動作
においてはプラテンローラの回転駆動力をインクシート
巻取ロールに伝達してこれを回転させることにより、イ
ンクシートを巻き取るよう構成した伝達手段を設けて構
成した。更に、第２の伝達手段を、インクシート巻取ロ
ールにその回転方向について固定されるよう支持すると
共に、第１の伝達手段に押圧，接触する面に、その一方
が緩傾斜，他方が急傾斜に形成される互いに異なる傾斜
角度を有する２辺からなる頂上部分が尖状に形成される
突起部を、インクシート巻取ロールの軸心に対して放射
状に複数個配設し、ヘッド支持部材の開閉動作時におい
て、第１の伝達手段から急傾斜辺側より尖状突起部が受
ける摩擦力に基づいて、インクシート巻取ロールをイン
クシートを巻き取る方向に回転させるよう作用するよう
構成した。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の熱
転写記録装置について説明する。図１は、本発明の熱転
写記録装置におけるインクシート巻取部および駆動力伝
達部の構成を示す図であり、上述の従来の装置と同一或
いは同等な構成については同一符号を以て示されてい
る。図において１０は記録装置本体に回動可能に支持さ
れるヘッド支持部材としてのヘッドカバーで、このヘッ
ドカバー１０にサーマルヘッド１が取り付けられると共
に、このサーマルヘッド１を挟むようにしてインクシー
ト供給ロール５２，インクシート巻取ロール５１が回転
可能に設けられている。図１はヘッドカバー１０の正面
図であり、サーマルヘッド１およびインクシート供給ロ
ール５２は図示されていない。インクシート巻取ロール
５１は、巻き取り軸としての巻取ロール軸５１０と、こ
の巻取ロール軸５１０の両側部分に取り付けられる第
１，第２のフランジ５１１，５１２からなり、ヘッドカ
バー１０に回転可能に且つ着脱自在に支持されている。
また、インクシート巻取ロール５１は、圧縮バネ５１３
により常時第２のフランジ５１２の方向に付勢されてい
る。

【００１０】本発明の熱転写記録装置の主要な構成であ
る伝達手段８は、第１の伝達手段と第２の伝達手段によ
り構成されている。第２の伝達手段は、インクシート巻
取ロール５１の第２のフランジ５１２に、その回転方向
に固定されるように取り付けられた外フランジ８１と、
この外フランジ８１を常時第１の伝達手段側へ付勢する
圧縮バネよりなる弾性部材８２により構成され、外フラ
ンジ８１はインクシート巻取ロール５１と同期して回転
するよう取り付けられている。第１の伝達手段は、プラ
テンローラ２０と同様に記録装置本体のフレームに回転
可能に取り付けられた回転板８４と、この回転板８４の
回転軸に取り付けられ、ベルト２２を介してプラテンロ
ーラ部２のプーリ２１よりプラテンローラ２０の回転力
が伝達されるプーリ８５により構成されている。更に、
回転板８４の外フランジ８１との接触面には、摩擦パッ
ド８３が取り付けられている。

【００１１】記録紙交換等を行う場合においては、図２
（ａ）に示すように、ヘッドカバー１０を開放してサー
マルヘッド１をプラテンローラ２０から離反させるが、
この状態においては、第１の伝達手段および第２の伝達
手段もそれぞれ離反した状態が維持される。

【００１２】記録動作を行う際、操作者がヘッドカバー
１０を閉じると、サーマルヘッド１がプラテンローラ２
に圧接するとともに、図２（ｂ）に示すように、外フラ
ンジ８１が回転板８４の摩擦パッド８３に面接触し、更
に弾性部材８２の復元力により外フランジ８１が回転板
８４側に付勢されて、第１の伝達手段と第２の伝達手段
が係合される。記録動作においては、図示しない記録装
置の制御部は、プラテンローラ駆動手段を駆動制御して
プラテンローラ２０を回転させる。このプラテンローラ
２０の回転駆動力は、プーリ２１，ベルト２２を介して
第１の伝達手段のプーリ８５に伝達され、これにより回
転板８４が回転駆動される。この時、回転板８４に取り
付けられた表面が高摩擦力を有する摩擦パッド８３は、
弾性部材８２の復元力により圧接されている外フランジ
８１にこの回転力を伝達し、これを回転させる。この外
フランジ８１に伝達される回転力により第２のフランジ
５１２，巻取ロール軸５１０，第１のフランジ５１１が
回転し、これによりインクシート５０がインクシート巻
取ロール５１に巻き取られるよう構成されている。即
ち、本発明の熱転写記録装置においては、記録動作時
に、インクシートを巻き取るための駆動モータを設ける
ことなく、プラテンローラ２０の回転駆動力を伝達する
ことによりインクシートを巻き取ることができる。

【００１３】図３は、本発明の第２の伝達手段における
外フランジ８１の詳細な構成を示す図で、図３（ａ）は
第１の伝達手段の摩擦パッド８３と接触する面の平面を
示す図である。図に示されるように、外フランジ８１の
平面部分には、複数の突起部８１１が、その回転軸，即
ちインクシート巻取ロール５１の回転軸を中心に、放射
状に配列されている。また、図３（ｂ）に示すように、
各突起部８１１は、緩傾斜辺８１２と急傾斜部８１３の
２辺を有する三角錐をなす尖状に形成されており、尚且
つ、この緩傾斜辺８１２と急傾斜辺８１３が同一方向と
なるようにして、回転軸を中心に複数個環状に配列する
よう形成されている（図３（ｂ）左図は、図３（ａ）に
示す部分ａの突起部８１１を拡大した図であり、同右図
はその一部断面を示す図である。）。

【００１４】本発明の伝達手段８においては、このよう
な構成により、第１，第２の伝達手段を係合，離反させ
る際に発生する摩擦力を利用して、インクシート巻取ロ
ール５１に回転力を付与することができる。即ち、図４
（ａ）に示す開放されているヘッドカバー１０を図の矢
印Ａ方向に移動して閉じる場合、図３（ａ）に示すよう
に、外フランジ８１も図のＡ方向に移動する。この外フ
ランジ８１の突起部８１１が形成されている面が、回転
板８４に取り付けられた摩擦パッド８３と接触して擦れ
る際に、図に示す部分ｂの突起部８１１には、摩擦パッ
ド８３よりＣ方向の力が、同様に部分ｃの突起部８１１
にはＥ方向の力が作用する。

【００１５】この時、部分ｂにおいては、外フランジ８
１に生じる摩擦力は、緩傾斜辺８１２における垂直抗
力，即ちＣ方向の力の緩傾斜辺角度に関する正弦成分の
力と、外フランジ８１の表面の摩擦係数に基づいた力と
なる。一方、部分ｃにおける外フランジ８１に生じる摩
擦力は、急傾斜辺８１３における垂直抗力，即ちＥ方向
の力の急傾斜辺角度に関する正弦成分の力と、外フラン
ジ８１の表面の摩擦係数に基づいた力となる。従って、
部分ｃに生じる摩擦力が部分ｂに生じる摩擦力よりも大
きくなり、外フランジ８１全体においては、回転中心か
らみて部分ｃ側半分において生じる摩擦力が大となるこ
とより、外フランジ８１は図のＧ方向に回転するよう力
を受けることとなり、図４（ｂ）に示すように、ヘッド
カバー１０を閉じる場合、外フランジ８１と回転板８４
（摩擦パッド８３）が擦れながら移動する際に、外フラ
ンジ８１およびインクシート巻取ロール５１は、インク
シート５０を巻き取る方向の回転力を付勢される。これ
により、サーマルヘッド１をプラテンローラ２０に圧接
する際に、インクシート５０にテンションを付与するこ
とができ、弛み皺を発生させることなくインクシート５
０のセットを行うことができる。

【００１６】また、図４（ｃ）に示すヘッドカバー１０
を閉じてサーマルヘッド１をプラテンローラ２０に圧接
した状態より、ヘッドカバー１０を開放する場合、ヘッ
ドカバー１０および外フランジ８１は図２（ｂ）および
図３（ａ）に示すＢ方向に移動する。この際、外フラン
ジ８１は弾性部材８２の付勢力により回転板８４（摩擦
パッド８３）に押圧されて、擦れながら移動する。この
外フランジ８１の突起部８１１が形成されている面に
は、図に示す部分ｂの突起部８１１にはＤ方向の力が、
また、部分ｃの突起部８１１にはＦ方向の力がそれぞれ
摩擦パッド８３より作用する。

【００１７】この時、部分ｂにおける外フランジ８１に
生じる摩擦力は、急傾斜辺８１３における垂直抗力，即
ちＤ方向の力の緩傾斜辺角度に関する正弦成分の力と、
外フランジ８１の表面の摩擦係数に基づいた力となる。
一方、部分ｃにおける外フランジ８１に生じる摩擦力
は、緩傾斜辺８１２における垂直抗力，即ちＦ方向の力
の急傾斜辺角度に関する正弦成分の力と、外フランジ８
１の表面の摩擦係数に基づいた力となる。従って、部分
ｃに生じる摩擦力が部分ｂに生じる摩擦力よりも大きく
なり、外フランジ８１全体においては、回転中心からみ
て部分ｃ側半分において生じる摩擦力が大となることよ
り、外フランジ８１は図のＧ方向に回転するよう力を受
けることとなり、図４（ｃ）および図４（ｂ）に示すよ
うに、ヘッドカバー１０を閉じた状態から開放する場
合、外フランジ８１と回転板８４（摩擦パッド８３）が
擦れながら移動する際に、外フランジ８１およびインク
シート巻取ロール５１は、インクシート５０を巻き取る
方向の回転力を付勢される。これにより、サーマルヘッ
ド１をプラテンローラ２０より離反する際に、ガイドロ
ーラ４，サーマルヘッド１，剥離部材３の部分に生じる
インクシート５０の弛み部分を巻き取ることができる。

【００１８】本発明の熱転写記録装置においては、ヘッ
ドカバー１０の開閉動作に伴って、インクシート巻取ロ
ール５１に対してインクシート５０を巻き取る方向の回
転力を付勢することができるので、サーマルヘッド１の
圧接時には、インクシート５０に所定のテンションを与
えながらプラテンローラ２０に圧接することができ、弛
み皺を発生させることなくインクシート５０のセットを
行うことができ、サーマルヘッド１の離反時には、ガイ
ドローラ４，サーマルヘッド１，剥離部材３の部分に生
じるインクシート５０の弛み部分を巻き取ることができ
る。また、インクリボンカートリッジを設ける必要がな
く、これにより従来必要であった記録紙交換時のカート
リッジ保管スペースが不要となるという効果を奏する。

【００１９】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の熱転写記録
装置においては、プラテンローラ駆動手段に係合する第
１の伝達手段と、インクシート巻取ロールに係合する第
２の伝達手段とからなり、ヘッド支持部材の開閉により
各々が係合，離反し、記録動作においてはプラテンロー
ラの回転駆動力をインクシート巻取ローラに伝達してこ
れを回転させることによりインクシートを巻き取るよう
構成した伝達手段を設けて構成したので、記録動作時に
インクシートを巻き取る駆動機構をプラテンローラを駆
動する機構と別に設ける必要がなく、部品点数を削減す
ることができ、製作コストを下げることができる。ま
た、第２の伝達手段を、インクシート巻取ロールにその
回転方向に固定されるよう支持すると共に、第１の伝達
手段に押圧，接触する面に、その一方が緩傾斜，他方が
急傾斜に形成される互いに異なる傾斜角度を有する２辺
からなる頂上部分が尖状に形成される突起部を、インク
シート巻取ロールの軸心に対して放射状に複数個配設
し、ヘッド支持部材の開閉動作時において、第１の伝達
手段から急傾斜辺側より尖状突起部が受ける摩擦力に基
づいて、インクシート巻取ロールをインクシートを巻き
取る方向に回転させるよう作用するよう構成したので、
ヘッドカバーの開閉動作に伴って、インクシート巻取ロ
ールに対してインクシートを巻き取る方向の回転力を付
勢することができ、サーマルヘッドの圧接時には、イン
クシートに所定のテンションを与えながらプラテンロー
ラに圧接することができ、弛み皺を発生させることなく
インクシートのセットを行うことができ、サーマルヘッ
ドの離反時には、ガイドローラ，サーマルヘッド，剥離
部材の部分に生じるインクシートの弛み部分を巻き取る
ことができるという効果を奏する。更に、回転力伝達部
として歯車部材を用いないので、記録紙交換作業等を安
全に行うことができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の熱転写記録装置におけるインクシー
ト巻取部および駆動力伝達部の構成を示す説明図であ
る。

【図２】 本発明の熱転写記録装置における伝達手段の
係合を示す図である。

【図３】 本発明の第２の伝達手段における外フランジ
８１の詳細な構成を示す平面図である。

【図４】 本発明の熱転写記録装置におけるヘッド圧
接，離反動作を示す説明図である。

【図５】 従来の熱転写記録装置の構成を示す図であ
る。

【図６】 従来の熱転写記録装置の構成を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ サーマルヘッド部 ２ プラテンローラ部 ３ 剥離部材 ４ ガイドローラ ５ インクシートリボン ６ 記録紙 ７ インクシート巻取手段 ８ 伝達手段

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 記録装置本体に回転可能に支持され、そ
   の一部周面上に記録紙が巻回されてプラテンローラ駆動
   手段により回転駆動されることにより記録紙を搬送する
   プラテンローラと、 記録装置本体に開閉可能に設けられるヘッド支持部材に
   取り付けられ、このヘッド支持部材の開閉によりプラテ
   ンローラに圧接，離反するサーマルヘッドと、 インクシートが巻回されて形成されるインクシート供給
   ロールおよびインクシートを巻き取るインクシート巻取
   ロールよりなり、各々上記ヘッド支持部材に回転可能に
   取り付けられるインクシートリボンとを有する熱転写記
   録装置において、 上記プラテンローラ駆動手段に係合する第１の伝達手段
   と、インクシート巻取ロールに係合する第２の伝達手段
   とからなり、上記ヘッド支持部材の開閉により各々が係
   合，離反し、記録動作においてはプラテンローラの回転
   駆動力をインクシート巻取ローラに伝達してこれを回転
   させることによりインクシートを巻き取るよう構成した
   伝達手段を有することを特徴とする熱転写記録装置。
2. 【請求項２】 上記第２の伝達手段は、インクシート巻
   取ロールにその回転方向に固定されるよう支持されると
   共に、上記第１の伝達手段の方向に押圧され、この第１
   の伝達手段に押圧，接触する面に、その一方が緩傾斜，
   他方が急傾斜に形成される互いに異なる傾斜角度を有す
   る２辺からなる頂上部分が尖状に形成される突起部が、
   インクシート巻取ロールの軸心に対して放射状に複数個
   配設され、上記ヘッド支持部材の開閉動作時において、
   第１の伝達手段から急傾斜辺側より尖状突起部が受ける
   摩擦力に基づいて、インクシート巻取ロールをインクシ
   ートを巻き取る方向に回転させるよう作用するよう構成
   したことを特徴とする請求項１記載の熱転写記録装置。