JP3976477B2 - 熱転写記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融性あるいは昇華性のインクを記録媒体に転写する記録装置に係り、特に供給リールと巻き取りリールとの間に張架された記録媒体にインク像を形成する熱転写記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融性あるいは昇華性のインクによって中間記録媒体に一旦インク像を形成し、その後、その中間記録媒体に形成されたインク像を記録媒体に転写する再転写方式のカード記録装置が知られ、種々の提案がなされている。図7は、このようなカード記録装置の構成を示す図である。
【0003】
ここで示すカード記録装置は、帯状ベースフィルムに溶融性のインクあるいは昇華性のインクが塗布され、供給リール251と巻き取りリール252との間に張架されたインクフィルム253と、供給リール254と巻き取りリール255との間に張架された中間記録媒体256と、インクフィルム253のインクを中間記録媒体256に転写させる加熱部257と、加熱部257を構成するサーマルヘッド258と共にインクフィルム253と中間記録媒体256とを挟持するプラテンローラ259と、中間記録媒体256に転写されたインク像を記録媒体260に転写させるヒートローラ261と押圧ローラ262で構成された加熱部263とを有する。
【0004】
そして、インクフィルム253と中間記録媒体256とを密着させた状態でインクフィルム253及び中間記録媒体256を搬送し、加熱部257によってインクフィルム253のインクを加熱して中間記録媒体256にインク像を形成し、インク像形成後の中間記録媒体256を加熱部263に搬送し、中間記録媒体256に形成されたインク像を記録媒体260に転写させるようにしたものである。
【0005】
ここで、インクフィルム253を搬送するための供給リール251及び巻き取りリール252、そして、中間記録媒体256を搬送するための巻き取りリール255は、共にDCモータにより駆動され、中間記録媒体256を搬送するための供給リール254はステップモータにより駆動されている。
【0006】
なお、このステップモータは、入力されるパルスの数で回転が制御されるモータであり、中間記録媒体256の供給リール254の駆動に用いることで、中間記録媒体256の搬送量を精度良く制御することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、中間記録媒体256を搬送するための巻き取りリール255をDCモータで駆動した場合、DCモータの回転開始時に回転速度が不安定となるため、中間記録媒体256に転写されるインク像に濃度ムラが発生しやすいという問題があった。つまり、供給リール254の駆動制御が正確に行われてもDCモータの回転が不安定であるため、回転開始時にはインク像に濃度ムラが発生しやすいという問題があった。
【0008】
図8は、DCモータの回転始動時における回転速度を説明するための図である。同図に示す如くモータが回転を始めてからしばらくの間は、回転速度が安定しない。より正確には、回転開始時に速度遅延が発生して、これを挽回すべく転写を行う規定速度以上に回転速度が一旦上昇し、その後、規定速度に近づいていく。
【0009】
このような特性で中間記録媒体256の巻き取りリール255を駆動し、中間記録媒体256にインク像を形成する場合、プラテンローラ259がサーマルヘッド258側に圧接されているため、加熱部257にて負荷が発生し、供給リール254が送り出す分だけの中間記録媒体256を巻き取りローラ255が巻き取れない状態となる。なお、加熱部257でのインク転写時には、ヒートローラ261は押圧ローラ262と離間しているため、加熱部263にて負荷は発生しない。
【0010】
従って、加熱部257の上流側で中間記録媒体256にたるみが生じ、インク像に濃度ムラが発生する原因となっていた。ここで、巻き取りリール255を駆動するDCモータの回転力を強めて中間記録媒体256に与えるテンションを高めれば、中間記録媒体256のたるみを防止することが可能となる。ところが、一般的に中間記録媒体256の基材シートは25μm以下と非常に薄いため、このようにテンションを高めると基材シートの伸びの影響により中間記録媒体256を安定して搬送することができなくなってしまうという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明に係る熱転写記録装置は、以下の〔1〕を特徴とする。
【0012】
すなわち、
〔1〕帯状ベースフィルムに溶融性のインクあるいは昇華性のインクが塗布され、インクフィルム供給リールとインクフィルム巻き取りリール間に張架されたインクフィルムと、ステップモータにより駆動され、テープ状の中間記録媒体における未使用部分が巻かれている中間記録媒体供給リールと、DCモータにより駆動され、前記中間記録媒体における使用済部分が巻き取られる中間記録媒体巻き取りリールと、前記インクフィルムと前記中間記録媒体における未使用部分とを密着させた状態で加熱することにより、前記インクフィルムのインクを、前記中間記録媒体に転写させる第1の転写部と、前記中間記録媒体に転写されたインク像を、記録媒体に再転写する第2の転写部とを備え、前記第1の転写部によるインク転写時は、前記ステップモータの駆動により前記中間記録媒体供給リールで前記中間記録媒体を巻き取りながら転写を行い、前記第1の転写部は、前記インクフィルム上の所定記録単位毎にインクを転写し、前記インクフィルム上の各記録単位における前記インクフィルム供給リールに近い側より転写を開始する構成にして成ることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の熱転写記録装置について、図面を参照して説明する。図1は本発明の熱転写記録装置を示す正面図、図2は図1の熱転写記録装置の断面図、図3は本発明の熱転写記録装置を示す部分斜視図、図4は本発明の熱転写記録装置の第1及び第2の加熱部のローラモード切替えを示した図、図5及び図6は本発明の熱転写記録装置によるインクフィルムの転写方向を説明するための図である。
【0014】
まず、図1を用いて本発明の熱転写記録装置の構成を説明する。
図1において、インクフィルム1はインク塗布面をプラテンローラ4側に向けて供給リール5と巻き取りリール6との間に張架されている。インクフィルム1は、帯状ベースフィルム上に溶融性あるいは昇華性のイエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の3色もしくはイエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4色のインクを周期的に塗布したものである。
【0015】
供給リール5及び巻き取りリール6にはインクフィルム1を搬送するための動力源となるDCモータ21、22が図示しない減速機構を介して連結される。DCモータ21、22にはエンコーダが内臓されており回転角や回転数が検出できる。供給リール5に連結されたDCモータ21はインクフィルム1を巻戻したり、また適正なバックテンションを付与できるよう、供給リール5の回転方向とは逆方向に駆動可能となっている。
【0016】
また、供給リール5におけるインクフィルム1の残量に応じて、DCモータ21へ印加する電圧を変化させ、常に一定のバックテンションが付与される。残量(=巻径)の検出は後述するセンサ25を通過するインクフィルム1の1フレームに対する前記DCモータ21の回転角を検出することで算出できる。
【0017】
同様に巻き取りリール6に連結されたDCモータ22は、インクフィルム1を巻き取ると共に、記録時において巻径に応じた電圧を印加することによって適性な引っ張りテンションを付与している。さらに、DCモータ21、または、22に内蔵されたエンコーダによってインクフィルム1の搬送量を検出して搬送量の制御を行っている。
【0018】
インクフィルム1の外側(ベースフィルム側)には第1の加熱部500であるサーマルヘッド3が固定配置されており、その反対側(インク塗布面側)にはプラテンローラ4が前記サーマルヘッド3に圧接・離間するように配置されている。インクフィルム1の架橋経路上にはインクの頭出しセンサ25が設けられ、インクフィルム1の頭出し(Yインク)を行い、2色目以降の頭出し(M,C,Kインク)はDCモータ21、または、22に内蔵されたエンコーダによって行う。尚、センサ25はインクフィルム1に設けた検出マークや色境界を検出させるもの等が有る。さらに、インクフィルム1はガイド部材26a〜26cに案内されて巻き取りリール6に巻き取られる。
【0019】
中間記録媒体7は、特開平8-175034号公報に記載される通りであり、帯状基材シートと、その一方の面に設けられた透明受像層とから構成される。そして、透明受像層が基材シートから剥離可能になっており、中間記録媒体7には、画像を記録するフレーム毎に検出マークが印刷されている。この中間記録媒体7は、供給リール8と巻き取りリール9との間に透明受像層をインクフィルム1側に向けて張架されている。
【0020】
供給リール8には中間記録媒体7を搬送するための動力源となるパルスモーター(ステップモータ)31が、巻き取りリール9にはDCモータ32が減速機構を介して連結される。また、巻き取りリール9に連結したDCモータ32にはエンコーダが内臓されており回転角や回転数が検出できる。
【0021】
中間記録媒体7は供給リール8からガイド部材30a、プラテンローラ4、さらに中間記録媒体7のフレーム頭出しをするセンサ33を経てガイド部材30b、そして第2の加熱部300であるヒートローラ14と押圧ローラ15との間を通ってガイド部材30cへと案内されて巻き取りリール9に巻き取られる。従って、サーマルヘッド3とプラテンローラ4との間でインクフィルム1のインクと中間記録媒体7の透明受像層とが対向する。また、前記ヒートローラ14は押圧ローラ15に対して圧接・離間が可能となっている。
【0022】
さらに図4を用いて前記ヒートローラ14と前記プラテンローラ4のモード切替えについて説明する。前記ヒートローラ14はカム66の回動によって押圧ローラ15に対して圧接・離間するのに対し、前記プラテンローラ4は、サーマルヘッド3に対し圧接・離間を行う。
【0023】
プラテンローラ4の駆動機構は、前記プラテンローラ4の両端に設けた第1のアーム71、前記第1のアーム71の軸で一体となって回動する回動軸70、さら前記回動軸70を回動させるための第2のアーム74、前記第2のアーム74に回動トルクを伝達するリンク75、回転トルクを推進力に変換して前記リンク75に伝達するカム66があり、前記カム66を回動させるために減速機構を介してステップモータがある。このようにカム66は前記ヒートローラ14とプラテンローラ4の圧接・離間をカム66の位相を変えて行い、図4のA/B/Cの3モードに対応している。
【0024】
つまり、Aモードでは、ヒートローラ14が押圧ローラ15から離間すると共に、プラテンローラ4がサーマルヘッド3から離間する状態をとり、Bモードでは、ヒートローラ14が押圧ローラ15から離間する一方、プラテンローラ4がサーマルヘッド3に圧接する状態をとり、Cモードでは、ヒートローラ14が押圧ローラ15に圧接する一方、プラテンローラ4がサーマルヘッド3から離間する状態をとる。
【0025】
次に図1と、図1のA-A断面を示した図2、図1のA-A断面以下の斜視図である図3を用いて、本カード記録装置における記録媒体の搬送構造及び動作について説明する。図1において、ホッパー部100は、記録媒体2(以下カードと言う)を長手方向が水平になるように(図においてカード短手側の板厚が見える)複数枚並べ一枚づつ繰り出されるようにゲートを設けたケース101、カード2を繰り出すピックアップローラ102、前記ピックアップローラ102にカード2が圧接するように付勢するスプリング103、押板104で構成され、このホッパー部100はカード2を装填する時正面手前に引き出せる構造にしてある。
【0026】
また、前記ホッパー部100より繰り出されたカード2の表面に付着した塵埃を除去する一対のクリーニングローラ105、繰り出されたカード2を検出するセンサ106、一対のカード搬送ローラ107ごと回転してカード2の向きを変えるカード反転部150が設けられており、前記カード反転部150は、次の回転位相を有する。
1) ホッパー部100より繰り出されたカード2を引き継ぐ。
2) カード2を下流の搬送ローラに受け渡す。
3) カード2の表裏を反転する。
4) 情報記録部(後述)でのエンコードエラーカードを矢印“D”方向に排出する。
以上の4モードが可能にしてある。
【0027】
そして、このカード反転部150はカード記録装置の最側面寄りに配置してあるのでエンコードエラーカード排出口を前記矢印“D”のように傾斜させることで余計な部品を必要としないでカードを排出できる。
【0028】
次に図1のA−A断面を示した図2を用いて、以降のカード搬送経路を説明する。図2に示すカード搬送ローラ108は、カード搬送ローラ110a、110b、110cの回転軸中心線に対して傾斜角“α” が10度〜40度に設定され、また、カード2との接触長さ(=ローラ幅)“B”が15mm以下で、且つ、カード2の長手方向の中心線X−Xよりカードガイド109側でカード2と接するように配置されている。
【0029】
このように配置することによって、カード2の短手方向を搬送方向としてもスムースな搬送が行える。つまり、斜めに搬送されてきたカード2の角“C”が前記カードガイド109に当接しつつ姿勢を正す場合であっても、図に示す角度“β”が小さく、且つローラ幅が小さいほど、カード2の角“C”を中心にカード2の回転がスムースに行われ、また薄いカードにおいても挫屈が起きにくくなる。さらに詳しく説明すると、前記カード2との接触長さ“B”が大きいとカード搬送力“Y”が大きくなるがカード2の姿勢を正すためのカード2の回転を妨げる力も大きくなり結果として角“C”を傷めたりする副作用が発生する。
【0030】
このようにして位置決めされ姿勢を正されたカード2は次の搬送ローラ110aへ引き継がれ、カード検出センサ111がカード2の後端を検出したらカード搬送モータであるステップモータのステップ数をカウントし所定のカウントにて停止させる。
【0031】
このカウント数は磁気ヘッド120等を有する情報記録部200の位置と、カード2の磁気ストライプ及び外部端子付きICカードであれば端子位置と、予め決められたホッパーへの並べる向きによって決められる。このようにしてカード2の停止位置は搬送ローラ110aか110bに保持された位置となる。
【0032】
尚、搬送ローラ110a及び110bはカード長手方向全域に渡ってニップを有するゴム等の摩擦係数の大きな弾性体としているので後述する情報記録時に必要なカードの保持力と磁気情報記録時のカード2の振動を低減できるので信頼性の高い情報記録がおこなえる。
【0033】
また、情報記録部200には、JIS X6302(磁気ストライプ付きクレジットカードの磁気的情報記録様式)に定められた「I型」及び「II型」に対応した磁気ヘッドとJIS X6303(外部端子付きICカードの物理的特性)に対応するコンタクトとの3種類中の2種類を組み合わせてカード搬送経路の上下に配置しても、また1種類のみの配置でも良い。
【0034】
JIS X6303(外部端子付きICカードの物理的特性)に対応するコンタクトは所定の位置でカード2を停止させた後、コンタクトをカード2の外部端子に当接させて情報の記録再生を行い、それ以外の時はカード搬送経路上方に待避している。磁気ヘッドにおける磁気情報記録再生手段はカード2を所定の位置で停止させた後、磁気ヘッド120をカード2の磁気ストライプに沿って走査して行う。
【0035】
前記情報記録部200で正常に記録再生できなかったカードは前記カード反転部150に戻されエラーカード排出口より排出される。情報の記録再生が終了したカードは前述した第2の加熱部300に移送され、前記ヒートローラ14と前記押圧ローラ15の間にカード2と前記中間記録媒体7の画像面を合わせて加熱・加圧され画像の転写が行われる。
【0036】
ここで、前記ヒートローラ14と前記押圧ローラ15のニップ位置から前記中間記録媒体7のガイド部材30cまでの距離はカード2の短手方向の長さより大きく設定してある。この理由は、転写後のカード2と前記中間記録媒体7の基材シートの剥離を可能な限り低温の状態で行った方が良い結果となることを経験上知っており、前述の設定にすればカード2の後端が前記ニップ位置を通過した後に所定の時間停止することによって十分な冷却が行え、結果、良好な転写ができるからである。
【0037】
画像が転写されたカード2は前記中間記録媒体7と貼り付いた状態で搬送され、前記ガイド部材30cの位置で剥離、次工程のカード反り矯正部400に移送される。カード反り矯正部400は前記第2の加熱部300に用いた前記ヒートローラ14と同形態のヒートローラ130を押圧ローラ131に圧接・離間可能にカード2の画像転写面と反対面に設けて、第2の加熱部300における転写時に発生するカード2の熱収縮歪みを反対面からも加熱して歪みを除去させるものである。カード反り矯正部400を通過したカード2はカード排出ローラ110cを経て装置外に排出される。
【0038】
以上のようにカード搬送部は、カード2の短手方向を搬送方向として略垂直上方に一枚ずつ分離してカード2を繰り出すようにしたホッパー部100を記録装置の最下部に配置し、繰り出されたカード2を保持しカード2の向きを変換するカード反転部150と、カード反転部150から送り出されたカード2を所定の位置で停止させ、カード2の情報記録部に情報を記録再生する情報記録再生部200とカード2に画像を転写する第2の加熱部300を順に前記ホッパー部100の上に配置した構成としている。
【0039】
次に、前記中間記録媒体7にインク像を形成する過程からカード2にインク像を転写する迄をさらに詳しく説明する。まず、前記中間記録媒体7を搬送するステップモータ31及びDCモータ32を駆動し中間記録媒体7に付加されている検出マークをマークセンサ33で検出し、この検出結果に基づきステップモータ31及びDCモータ32に印加する電圧を設定する。また、同様にインクフィルム1に設けられる検出マークや色境界をセンサ25で検出し、この検出結果に基づきDCモータ21及び22に印加する電圧を設定する。
【0040】
そして、前記中間記録媒体7のフレームと前記インクフィルムの先頭色(第1色目)の位置を合わせて、プラテンローラ4をサーマルヘッド3に圧接しながらインクフィルム1及び中間記録媒体7を供給リール8及び供給リール5で巻き取る。つまり、インクフィルム1及び中間記録媒体7を加熱部500よりマークセンサ33側に一旦搬送し、その後センサ25側に搬送させながらインク像を中間記録媒体7に転写する。その際は、サーマルヘッド3に所定の電流を流すことで、インクフィルム1のインクを溶融あるいは昇華させて中間記録媒体7の受像層に転写する。
【0041】
この時、巻き取りリール9は、中間記録媒体7を送り出すことになるが、大きなバックテンションがかからないように、つまり、中間記録媒体7へのテンションが高まり過ぎないように、中間記録媒体7を送り出す方向に僅かな電圧を与えても良い。また、DCモータ32から巻き取りリール9への伝達機構の一部にクラッチを配置しておいて、中間記録媒体7を供給リール8側に搬送する際には、DCモータ9の負荷を完全に遮断するようにしても良い。なお、プラテンローラ4は駆動力を持ってなく、中間記録媒体7との間の摩擦力で回転する。
【0042】
図5は、本発明の記録装置によるインクフィルム転写方向を示す図であり、同図で示す斜線領域は、インクフィルム1上で既に中間記録媒体7にインクが転写された部分を示している。なお、同図は、インクフィルム1に、イエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の3色のインクが周期的に塗布されている場合の例を示している。
【0043】
ここで、インクフィルム1から中間記録媒体7にインクが転写される順番を更に詳しく説明する。ここで示すインクフィルム1の搬送方法では、イエロ(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の順に各色毎にインクの転写が行われるが、その際、供給リール5に近い部分から順に転写が開始される。
【0044】
従って、図5に示すマゼンタ(M)の転写は、インクの転写が行われていないシアン(C)側の部分からインクの転写を終えているイエロ(Y)側へと行われる。そして、マゼンタ(M)の転写を終えると、巻き取りリール6によりインクフィルム1がシアン(C)のイエロ(Y)側の部分まで巻き取られ、次にシアン(C)の転写が開始される。
【0045】
その際、中間記録媒体7は、インクフィルム1と同一方向に搬送される。つまり、マゼンタ(M)の転写中は、供給リール8により中間記録媒体7が巻き取られ、マゼンタ(M)の転写を終えると、マゼンタ(M)の転写中に巻き取られた分だけ巻き取りリール9により中間記録媒体7が巻き取られる。そして、マゼンタ(M)が転写されているインク像の上に、シアン(C)が重ね合わされるように転写される。
【0046】
以上のように、インクの転写中は、ステップモータ31が駆動する供給リール8により中間記録媒体7が巻き取られるため、中間記録媒体7を安定して搬送することができ、転写されるインク像に濃度ムラが発生することはない。
【0047】
また、以上のようにインクフィルム1を往復搬送するのではなく、一方向にのみ搬送しても良い。つまり、供給リール5をDCモータ22で駆動し、巻き取りリール6をDCモータ21で駆動するよう、両リールを差し替えてインクを転写させても良い。
【0048】
図6は、このようにしてインクリボン1を搬送する際のインクフィルム転写方向を示す図であり、同図に示す如く、マゼンタ(M)の転写を、インクの転写を終えているイエロ(Y)側の部分からインクの転写を行っていないシアン(C)側の部分へと行い、そして、マゼンタ(M)の転写を終えると、シアン(C)の転写を、インクの転写を終えているマゼンタ(M)側の部分からインクの転写を行っていないイエロ(Y)側の部分へと行う。
【0049】
以上のように、供給リール5をDCモータ22で駆動し、巻き取りリール6をDCモータ21で駆動した場合には、インクフィルム1の搬送方向が一方向になるため、DCモータ21及び22の駆動制御を簡略化できるが、このようにしてインクフィルム1を搬送した場合、各色のインク転写完了時に図に示す如く皺が発生することがある。
【0050】
つまり、イエロ(Y)の転写完了時には、インクの転写を行っていないマゼンタ(M)側に皺が発生し、マゼンタ(M)の転写完了時には、インクの転写を行っていないシアン(C)側に皺が発生するため、各色のインク転写開始時は、この皺の影響によりインク像が乱れる可能性がある。これに対し、図5で示したインクフィルム1の搬送方法では、皺は常にインクの転写を終えた側に発生するため、より良好なインク像を形成することが可能となる。
【0051】
インク像を形成したら中間記録媒体7及びインクフィルム1の搬送を停止し、(この時ステップモータ31をホールド状態にしつつDCモータ32には巻き取り電圧を印加して中間記録媒体7に適正なテンションを付与している)プラテンローラ4をサーマルヘッド3から離間させる。
【0052】
次にステップモータ31を駆動し、中間記録媒体7を巻き取りリール9に巻き取りながらステップモータ31のパルス数を所定数カウントしたところで停止させる。このパルス数は、インク像形成前に求めた駆動周波数と第1の加熱部500から第2の加熱部300迄の距離とから算出することができる。
【0053】
ここでカード2をヒートローラ14と押圧ローラ15のニップ上迄搬送し、ヒートローラ14を圧接すると略同時に押圧ローラ14の回転と中間記録媒体7の搬送を行いカード2にインク像を転写させる。転写が終了したらヒートローラ14を押圧ローラ15から離間させる。
【0054】
カード2の両面にインク像を転写する場合には、カード2と中間記録媒体7を貼り付けた状態で中間記録媒体7を巻戻しながらガイド部材30bのところでカード2と中間記録媒体7を剥離させ、前記カード反転部150側へ回転している搬送ローラ110b、110aを経てカード反転部150内でカード2の搬送を停止させ、カード反転部150を180度回転させてカード2の表裏を変え、前述同工程を経てインク像を転写する。
【0055】
尚、両面にインク像を転写した場合には、両面から加熱されるので前述した熱収縮歪みは発生しない。よって反り矯正部400のヒートローラ130は加熱しなくて良い。以下前述した工程を経てカード2を排出する。
【0056】
なお、インク像を形成していない透明受像層を複数回転写することでカード2に転写された画像の耐摩耗性をアップさせることができる。即ち、前記中間記録媒体7に転写されたインク像を前記記録媒体に再転写させた後、前記中間記録媒体7の第1の加熱部500におけるインク像形成工程を省略するか、サーマルヘッド3に電流を流さないでインク像を形成しない透明受像層を前記第2の加熱部300で再度転写することにより、画像の耐摩耗性をアップさせることができる。
【0057】
なお、その際には、前述の両面にインク像を転写する工程と同様に、搬送ローラ110bをカード反転部150側へ回転させてカード2を所定の箇所まで搬送し、第2の加熱部300側に再度搬送すれば良いことは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
本発明に係る熱転写記録装置によれば、インクフィルムのインクを中間記録媒体に転写する際に、ステップモータで駆動される中間記録媒体供給リールにより中間記録媒体を巻き取りながら転写を行うため、中間記録媒体を安定して搬送することができ、中間記録媒体に形成されるインク像に濃度ムラが発生しにくいという効果を奏する。
【0059】
また、インクフィルム上の所定記録単位毎にインクを転写し、インクフィルム上の各記録単位におけるインクフィルム供給リールに近い側より転写を開始するので、転写部の加熱によりインクフィルムに発生する皺の影響によりインク像が乱れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る熱転写記録装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例に係る熱転写記録装置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る熱転写記録装置を示す部分斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る熱転写記録装置の第1及び第2の加熱部のモード切り替えを示す図である。
【図5】本発明の熱転写記録装置によるインクフィルムの転写方向を示す図である。
【図6】インクフィルム転写方向の他の例を示す図である。
【図7】従来のカード記録装置を示す図である。
【図8】DCモータの回転始動時における回転速度を説明するための図である。
【符号の説明】
1、256…インクフィルム
5、8、251、254…供給リール
6、9、252、255…巻き取りリール
7、256…中間記録媒体
200…情報記録部
300…第2の加熱部
400…反り矯正部
500…第1の加熱部
257…加熱部
Claims (1)
- 帯状ベースフィルムに溶融性のインクあるいは昇華性のインクが塗布され、インクフィルム供給リールとインクフィルム巻き取りリール間に張架されたインクフィルムと、
ステップモータにより駆動され、テープ状の中間記録媒体における未使用部分が巻かれている中間記録媒体供給リールと、
DCモータにより駆動され、前記中間記録媒体における使用済部分が巻き取られる中間記録媒体巻き取りリールと、
前記インクフィルムと前記中間記録媒体における未使用部分とを密着させた状態で加熱することにより、前記インクフィルムのインクを、前記中間記録媒体に転写させる第1の転写部と、
前記中間記録媒体に転写されたインク像を、記録媒体に再転写する第2の転写部とを備え、
前記第1の転写部によるインク転写時は、前記ステップモータの駆動により前記中間記録媒体供給リールで前記中間記録媒体を巻き取りながら転写を行い、前記第1の転写部は、前記インクフィルム上の所定記録単位毎にインクを転写し、前記インクフィルム上の各記録単位における前記インクフィルム供給リールに近い側より転写を開始する構成にして成ることを特徴とする熱転写記録装置。
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