JPH09277432A - チタンクラッド鋼板 - Google Patents

チタンクラッド鋼板

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JPH09277432A
JPH09277432A JP8953596A JP8953596A JPH09277432A JP H09277432 A JPH09277432 A JP H09277432A JP 8953596 A JP8953596 A JP 8953596A JP 8953596 A JP8953596 A JP 8953596A JP H09277432 A JPH09277432 A JP H09277432A
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titanium
clad steel
steel plate
titanium alloy
alloy
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JP8953596A
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English (en)
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Hideto Oyama
英人 大山
Yoshitaka Yamamoto
喜孝 山本
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 母材を形成する鋼との接触面を、純チタン又
はチタン低合金とすると、脆い化合物および合金相が生
成され、母材と合せ材との接触性能が低下し、良好なせ
ん断強度が得られない。 【解決手段】 母材を鋼で形成し、この鋼との接触する
合せ材を延性を有するβ型チタン合金で形成したチタン
クラッド鋼板である。また、母材と合せ材との間にβ型
チタン合金よりなる中間媒接材を設け、鋼と純チタン又
はチタン低合金との直接の接触を回避しておく。これら
により、根本的に破壊を支配する脆いTi−Fe2元系のβ
相の生成が抑制されるので、母材と合せ材との接合性が
劣化することなく、チタンクラッド鋼板のせん断強度の
劣化が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば海洋構造物
や陸上構造物など優れた耐食性が要求される構造部材に
利用可能なチタンクラッド鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、チタンの優れた耐食性を生かした
チタンクラッド鋼板には、極軟鋼,軟鋼,低合金鋼など
の鋼材を母材とし、この母材の片面又は両面に純チタン
を合せ材として接合したものが一般に使用されている。
このようなチタンクラッド鋼板の製造方法としては、代
表的な技術に火薬の爆発エネルギーで母材と合せ材とを
接合させる爆着法や、母材と合せ材とを重ね合わせて圧
延する圧延法が使用されている。ただし、前記爆着法
は、製造装置や設備が高価なため、製造コストが上昇
し,量産には不向きであり、特殊な用途に限定せざるを
得ない。これに対し、前記圧延法は、比較的安価に薄板
等の製造も可能で、チタンクラッド鋼板の製造方法とし
て有力である。
【0003】ところで、この圧延法では、圧延に先駆け
900℃前後の高温で加熱が施される。このため、単にチ
タンと鋼とを重ねるだけでは、母材と合せ材との界面
に、加熱に際して鋼中の炭素とチタンとの化合物,チタ
ンと鉄との金属間化合物,或いはチタンと鉄との合金層
が形成され、圧延後もチタンと鋼との界面に残存する。
これらの化合物,合金相は脆いため、せん断強度の低下
が起こり易くなっている。また、若干の製造条件の違い
で、特性がばらつくなど、安定した接合性能を有するチ
タンクラッド鋼板の製造方法には成り得ていない。
【0004】これらを解決すべく多くの研究がなされ、
母材と合せ材との間に中間媒接材を挟み込む方法が提案
されている。例えば、チタン炭化物の形成を抑制すべ
く、炭素含有量の少ない鋼を中間媒接材として用いる方
法が特公平4-65755号公報に開示されている。また、特
公昭63-56033号公報には、中間媒接材として例えばタン
タルやニオブ等のチタンと合金化して脆化を起こさない
金属を母材と合せ材との間に挟み込む方法が開示されて
いる。
【0005】一方、特公平5-65272号公報には、チタン
と鋼との間に銅を挿入し、圧延前の加熱時にチタンと銅
とを反応させて溶融金属層を形成し、この溶融金属層内
に汚染物をも取り込み、圧延にて溶融金属層とともに絞
り出す方法が記載されている。この方法では、鉄又は炭
素とチタンとの反応による脆化層の形成を抑制してお
り、クラッド素材の酸化物等の巻き込みが防止され、実
用化もされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、上記特公平4-65755号公報に開示されているよ
うに、中間媒接材として極低炭素鋼を用いても、安定し
た接合性能が十分に得られないことを確認している。ま
た、上記特公昭63-56033号公報に開示されているよう
に、中間媒接材として高価なタンタルやニオブなどを用
いるものでは、チタンクラッド鋼板が高価なものと成ら
ざるを得ず、実用的ではない。
【0007】一方、上記特公平5-65272号公報記載のよ
うに、銅をチタンと鋼の間に挿入し、溶融金属層を圧延
にて絞り出す方法では、溶融金属が飛散するという安全
上の問題などから設備制約があり、汎用性のある技術と
は成り得ていない。本発明は、上記のような問題点に鑑
みなされたもので、界面に形成される脆性層を極力抑制
することにより、安定した接合性能を有し、かつ、安価
なチタンクラッド鋼板を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明者らは、チタンと鋼とからなる圧延チタンクラッ
ド鋼板の界面せん断挙動に及ぼす要因を鋭意研究した結
果、チタンに鋼中のFeが固溶したTi−Fe2元系のβ相が
鋼との接合性能に大きく影響していることを新たに知見
し、本発明をなすに至った。
【0009】すなわち、本発明の請求項1のチタンクラ
ッド鋼板は、母材が鋼で、合せ材が延性を有するβ型チ
タン合金である。ここで、延性を有するβ型チタン合金
とは、各種β安定化元素のうちのFe,Ni,Wのいずれか
一種を混入させた2元系のβ型チタン合金以外をいう。
すなわち、これらTi−Fe,Ti−Ni,Ti−Wのβ型チタン
合金は延性を殆ど備えていない。本発明は、これらを除
くβ型チタン合金で合せ材が構成されている点を特徴と
するものである。
【0010】チタンと鋼とからなるチタンクラッド鋼板
の製造に当たっては、圧延に先駆けて例えば 900℃の高
温に加熱保持される。この高温加熱のときに、母材を形
成する鋼中のFeが合せ材側へ拡散浸透するなどして、母
材と合せ材との界面には、チタンと炭素との化合物,チ
タンと鉄との金属間化合物などが形成され、これらが母
材と合せ材との接合性能を劣化させる要因と考えられて
いた。
【0011】しかしながら、本発明者らは、これらの化
合物は界面に存在する量がそれほど多くないため、接合
性能を劣化させるもののその影響はそれほど大きくない
こと、そして、根本的に破壊を支配するのは、界面に生
成する層としては最も量的に多い,チタンに鉄が固溶し
た極めて脆いTi−Fe2元系のβ相であることを突き止め
た。
【0012】さらに、鋼との接触面が予め延性を有する
β相単相のβ型チタン合金で形成されていると、Feがβ
型チタン合金側へ拡散浸透しても、そのβ相はそれほど
脆性的にはならないことを見出した。したがって、この
様なβ型チタン合金が合せ材として用いられると、圧延
の加熱時の鋼との接合面に形成される脆化層が抑制さ
れ、この結果、母材と合せ材との接合性能が劣化するこ
とがなく、せん断強度の低下が抑制される。
【0013】また、本発明の請求項2のチタンクラッド
鋼板は、母材が鋼で、合せ材がチタン又はチタン合金で
あり、かつ、延性を有するβ型チタン合金よりなる中間
媒接材が前記母材と前記合せ材との間に設けられている
点を特徴とする。このように、鋼との接触面部分のみに
β型チタン合金の中間媒接材を介装する構成では、合せ
材を純チタン,チタン低合金として接合することが可能
となる。なお、β型チタン合金は純チタン,チタン低合
金との接合性は高い。
【0014】すなわち、優れた耐食性を有する純チタ
ン,チタン低合金でクラッド鋼板の表面を形成すること
により、高耐食性と高せん断強度とを兼備するチタンク
ラッド鋼板が得られる。また、高価なβ型チタン合金
は、中間媒接材として接合面の部分しか用いられていな
いため、安価なものとなる。前記β型チタン合金として
は、V,Mo,Mn,Crのうち1種又は2種以上のβ安定化
元素を含有するものを用いると良い。これらβ安定化元
素は、延性を損なうことなくチタンをβ合金化すること
が可能である。よって、この種の元素を含有して予めβ
合金化されたβ型チタン合金では、良好な延性を有する
β相が得られており、母材からのFeが拡散浸透しても、
そのβ相は脆性的にはならない。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であ
る母材1と合せ材2とからなるチタンクラッド鋼板4を
示している。このチタンクラッド鋼板4では、鋼からな
る母材1と、延性を有するβ型チタン合金からなる合せ
材2とが圧延により接合されている。すなわち、合せ材
2そのものがβ型チタン合金により形成されているもの
である。なお、前記母材1は、鉄基金属材料であれば、
いずれの鋼種でも良い。
【0016】前記合せ材2を形成するβ型チタン合金
は、β相を脆化させないβ安定化元素により予めβ合金
化された延性を有するチタン合金である。前記β安定化
元素としては、V,Mo,Mn,Crの内1種又は2種以上が
使用される(以下、主要β安定化元素という)。この主
要β安定化元素は、各元素の含有率(wt%)が、 V/15+Mo/10+Mn/6.5 +Cr/6.3 >0.6 …… の関係を満たすよう添加されていることが好ましい。
【0017】このような合金が、鋼と接する合せ材2と
して用いられると、高温加熱の際に、鋼中のFeがβ型チ
タン合金側へ拡散浸透しても、そのβ相はあまり脆性的
にならない。このように、合せ材2全体がβ型チタン合
金としたものは、構成が簡単であると共に、母材1と合
せ材2との接合性能が維持され、せん断強度の低下が防
止される。
【0018】なお、前記β型チタン合金において、β安
定化元素のみの添加でβ合金化したβ相は、非熱的オメ
ガ変態が起こり易く、不安定で脆くなる傾向がある。こ
のため、前記主要β安定化元素に加え、例えばα安定化
元素のAlや、中性的元素のSn,Zrなどβ安定化元素以外
の元素を添加するのが好ましい。特に、Al或いはSnは、
β相の不安定性を改善し、延性の向上に寄与する。
【0019】また、Mo,V,Mn,Crの主要β安定化元素
が前記の関係を満足するよう添加されていれば、この
主要β安定化元素に加え、その他のβ安定化元素を添加
しても良い。その他のβ安定化元素としては、例えばF
e,Ni,W,Co,Ta,Nbなどが挙げられる。これらのう
ち、Ta,Nbは、前記β安定化元素に比べ添加量が多くな
るものの、延性を損なうことなくβ合金化することが可
能である。
【0020】一般に、既存のβ型チタン合金は、複数種
類のβ安定化元素が添加され、これらのβ安定化元素の
添加量を固有の値で規格したその和が1以上の合金であ
る。すなわち、β型チタン合金では、各添加元素の含有
率(wt%)が、 V/15+Mo/10+Mn/6.5 +Cr/6.3 +Fe/3.5 +Nb/36+Ta/45+W/22.5+Ni/9 +Co/7 >1 … の関係を満足している。このとき、本実施形態のβ型チ
タン合金は、さらに、主要β安定化元素のMo,V,Mn,
Crが上記関係式を満たすよう添加されている。
【0021】ところで、β型チタン合金は純チタンやチ
タン低合金と比して高価であるため、鋼とβ型チタン合
金とからなるチタンクラッド鋼板4にあっては、母材1
に対してβ型チタン合金(合せ材2)の比率が高くなる
と、勢いチタンクラッド鋼板4が高価と成らざる得なか
った。このため、β型チタン合金の比率を低くするよう
に、Feの拡散浸透に起因する脆化層が形成される接触面
の部分にのみ、延性を有するβ型チタン合金としておい
ても、Feの拡散浸透によるβ相の脆化が抑制され、合せ
材2全体をβ型チタン合金で形成するときに比べ安価に
なる。
【0022】すなわち、図2に示すように、鋼からなる
母材1と純チタン又はチタン低合金からなる合せ材2と
の間に介在する中間媒接材3をβ型チタン合金とするこ
とにより、安価なチタンクラッド鋼板4が得られる。こ
のとき、β型チタン合金は、純チタン又はチタン低合金
と高い接合性を有するため、中間媒接材3と合せ材2と
は高い接合強度を有する。
【0023】このチタンクラッド鋼板4では、腐食環境
下に曝される外表面を形成する合せ材2を高耐食性の純
チタン,チタン低合金とするため、より耐食性が要求さ
れる用途にも適用可能になる。従って、鋼との接触面の
部分にしかβ型チタン合金を用いないため、チタンクラ
ッド鋼板4は安価であると共に、高耐食性と高せん断強
度とを兼備している。
【0024】次に、以上のようなチタンクラッド鋼板4
の製造方法について説明する。まず、中間媒接材3を用
いないチタンクラッド鋼板4の製造法を述べる。母材1
となる板状の鋼材と、合せ材2となるβ型チタン合金と
をそれぞれ適宜の機械加工手段により所望の形状に成形
しておく(以下、クラッド素材という)。そして、母材
1と合せ材2とを積層した後、この積層体を鋼板よりな
るパック材で囲み、溶接密閉して積層体パックを得る。
【0025】この積層体パックを得る際、積層体が密閉
されることで、外部からの新たな大気の侵入が防がれる
と共に積層体が固定されるため、高温加熱時の酸化が防
止される。又、密閉した際の積層体に空隙部分が多い場
合には、内部大気によるクラッド素材の汚染が激しくな
るため接合特性が劣化する。よって、この様な場合、積
層体の密閉に先駆け、積層体パック内部の大気を排気す
ると良い。ただし、密閉した際の積層体に空隙部分が少
ない場合には、積層体内部の大気量は殆どないため、排
気する必要はない。なお、クラッド素材とパック材との
接合を避けるため、積層体とパック材とが接触する部分
には、離型剤を塗布しておくと良い。
【0026】続いて、溶接密閉した積層体パックを予め
650〜1050℃で加熱保持し、これに引き続いて圧延を行
う。このとき、圧延率が高ければ高いほど、母材1と合
せ材2との接合強度は高くなる。本実施形態では圧延率
を何等規定するものではないが、例えば、チタンクラッ
ド鋼板に関しJIS規格で定められているせん断強度の
最低値(140MPa)を満足させるには60%程度の圧延率で
十分である。
【0027】なお、圧延する際の加熱保持は、加熱温度
が 650℃未満では、母材1と合せ材2との接合面でのチ
タンと鉄の相互拡散が起こり難く、十分な接合強度が得
られない。一方、1050℃を越えると、チタンと鉄とは共
晶反応により融解してしまうため上限温度を1050℃とす
る。そして、圧延後の積層体パックに冷却を施し、これ
を解体して積層体を取り出し、チタンクラッド鋼板4を
得る。このとき、熱延後のチタンクラッド鋼板4におい
て、β型チタン合金と鋼とは熱膨張率に差があるため、
冷却が速いと、接合面での塑性緩和が起こり難い。この
ため、薄物では例えば反りが生じ易く、また、残留応力
も大きくなり易い。これを避けるべく、圧延後、圧延終
了温度から塑性緩和の起こり易い 600℃までの温度範囲
を5℃/秒以下の遅い冷却速度で冷却することが好まし
い。この温度を下回れば、いかなる冷却速度で冷却して
も問題はない。
【0028】また、チタンクラッド鋼板4に中間媒接材
3を設ける場合には、純チタン又はチタン低合金を合せ
材2とすると共に、β型チタン合金を中間媒接材3とし
て機械加工を施しておく。そして、中間媒接材3として
β型チタン合金を母材1と合せ材2との間に挟み込んで
積層しておけば良い。なお、前記積層体パックの加熱保
持に引き続いて行われる圧延は、圧延の各パス毎に先後
端を逆転させる、いわゆるリバース圧延を行うこともで
きる。このリバース圧延によると、リバース圧延でない
圧延に比べ界面近傍での塑性変形が全面的に均一に起こ
り易く、より一層安定した接合強度が得られる。また、
このリバース圧延以外にも、全面にわたって均一に塑性
変形を起こさせるという観点から、圧延方向を幅方向に
も行う、いわゆるクロス圧延も有効である。
【0029】又、積層体の密閉作業に掛かるコストの単
価を低減するため、チタンクラッド鋼板の製造におい
て、例えば図3に示すように、1組の積層体5(母材
1,合せ材2,中間媒接材3)を複数積層することもで
きる。この場合、複数組の積層体5を重ねたものを1回
の作業でまとめて密閉することにより、作業回数が減
り、安価なチタンクラッド鋼板4の製造が可能となる。
【0030】なお、このような方法により製造されるク
ラッド鋼板は、鋼板の幅,長さ方向には機械加工で所定
の寸法に仕上げられ、また、鋼板の表面に関しては、機
械加工仕上を行う以外に、酸洗あるいはショットブラス
トで脱スケールして最終的な製品として仕上げられる。
【0031】
【実施例】次に、上記で述べた方法を用いて製造される
チタンクラッド鋼板の接合性能を評価するため、下記に
示す製造条件においてせん断強度の測定を行った。 〔実施例1〕まず、母材として20mm厚の鋼板(SS41)、
合せ材として5mm厚の代表的なβ型チタン合金であるTi
−15V−3Cr−3Sn−3Al合金板を用い、 100mm幅× 1
50mm長に機械加工後、母材と合せ材とを積層した。この
積層体を、パック材としての9mm厚の鋼板にて囲み、排
気、密閉溶接した。
【0032】この密閉した積層体パックを 850℃及び 9
50℃で 6.5時間加熱後、75%の圧延率でリバース圧延で
なく圧延した後、積層体パックを解体して積層体を取り
出しチタンクラッド鋼板を作製した。このとき、熱延後
は空冷し、熱延上り温度から600℃までの冷却速度はお
よそ1℃/秒であった。このとき、クラッド素材とパッ
ク材との接合を避けるため、両者が接触する部分は離型
剤を塗布した。
【0033】また、母材として20mm厚の鋼板(SS41)、
合せ材として5mm厚のJIS1種の純チタン板、中間媒
接材として0.13mm厚のβ型チタン合金(Ti−15V−3Cr
−3Sn−3Al)を用い、同様に 100mm幅× 150mm長に機
械加工後、母材と中間媒接材と合せ材とを積層し、上記
と同様の方法でチタンクラッド鋼板を作製した。そし
て、前記のチタンクラッド鋼板から各々せん断試験片を
5本、長手方向が引張方向となるように種々の場所より
採取し(試料1A,試料1B)、せん断強度を測定した。こ
の測定結果を表1に示す。
【0034】なお、比較例として、母材として22mm厚の
鋼板(SS41)、合せ材として5mm厚のJIS1種の純チ
タン板を用い、中間媒接材を挿入しないものを同様に作
製し(試料1C)、この測定結果も同表に併せて示す。
【0035】
【表1】
【0036】同表より、中間媒接材を用いていない純チ
タンと鋼とのチタンクラッド鋼板(試料1C)では、せん
断強度のばらつきが大きく、安定した接合特性が得られ
ていない。これに対し、β型チタン合金と鋼とのチタン
クラッド鋼板(試料1A)及びβ型チタン合金を中間媒接
材として用いた純チタンと鋼とのチタンクラッド鋼板
(試料1B)では、せん断強度が高位に安定していること
がわかる。 〔実施例2〕母材として20mm厚の鋼板(SS41)、合せ材
として5mm厚のJIS1種の純チタン板、中間媒接材と
して0.13mm厚のβ型チタン合金(Ti−15V−3Cr−3Sn
−3Al)を用い、上記実施例1に示した方法でチタンク
ラッド鋼板を製造し、このクラッド鋼板から試料2Bを採
取し、せん断強度を測定した。
【0037】ただし、積層体は、パック材で囲まれた
後、排気せずに密閉溶接が行われた。そして、この積層
体パックを、 950℃で 6.5時間加熱後、75%の圧延率で
リバース圧延でなく圧延した。このせん断強度の測定結
果は表2に示す通りである。同表より、排気を行った場
合の上記実施例1(表1試料1Bの下段、 950℃加熱)と
比較すると、排気を行わなくとも、ほぼ同等の接合特性
が得られることがわかる。
【0038】
【表2】
【0039】〔実施例3〕まず、母材として20mm厚の鋼
板(SS41)、合せ材として5mm厚のβ型チタン合金(Ti
−15V−3Cr−3Sn−3Al合金板)を用い、上記実施例
1に示した方法でチタンクラッド鋼板を製造し、このク
ラッド鋼板から試料3Aを採取し、せん断強度を測定し
た。
【0040】ただし、積層体パックを作製した後、 630
℃及び 680℃で 6.5時間加熱、75%の圧延率でリバース
圧延でなく圧延し、せん断強度に及ぼす加熱温度の影響
を調べた。また、母材として20mm厚の鋼板(SS41)、合
せ材として5mm厚のJIS1種の純チタン板、中間媒接
材として0.13mm厚のβ型チタン合金(Ti−15V−3Cr−
3Sn−3Al)を用い、加熱温度を 630℃及び 680℃に設
定して上記実施例1に示す方法でチタンクラッド鋼板を
製造すると共に、試料3Bを採取し、せん断強度を測定し
た。
【0041】この結果、上記試料3A,3B においては、加
熱温度が 630℃では積層体パックの解体時にβ型チタン
合金と鉄とが剥離し、クラッド化できないことがわかっ
た。これに対し、 680℃で加熱した場合は、両試料と
も、150MPa程度のせん断強度のチタンクラッド鋼板が得
られた。 〔実施例4〕母材として20mm厚の鋼板(SS41)、合せ材
として5mm厚のJIS1種の純チタン板、中間媒接材と
して0.13mm厚のβ型チタン合金(Ti−15V−3Cr−3Sn
−3Al)を用い、上記実施例1に示した方法でチタンク
ラッド鋼板を製造し、このクラッド鋼板から試料4Bを採
取し、せん断強度を測定した。
【0042】ただし、溶接密閉した積層体パックは、 9
50℃で 6.5時間加熱後、1パス当たり15%程度で総圧延
率75%のリバース圧延を行い、せん断強度に及ぼすリバ
ース圧延の効果を調べた。リバース圧延にて製造したチ
タンクラッド鋼板のせん断試験結果は表3に示す通りで
ある。同表より、リバース圧延を行っていない上記実施
例1(表1試料1Bの下段、 950℃加熱)と比較すると、
せん断強度は、より高位に安定していることがわかる。
【0043】
【表3】
【0044】〔実施例5〕母材として20mm厚の鋼板(SS
41)、合せ材として5mm厚のJIS1種の純チタン板、
中間媒接材として0.13mm厚のβ型チタン合金(Ti−15V
−3Cr−3Sn−3Al)を用い、上記実施例1に示した方
法でチタンクラッド鋼板を製造し、このクラッド鋼板か
ら試料5Bを採取し、せん断強度を測定した。
【0045】ただし、パック材で囲まれた積層体は、排
気をせずに密閉溶接した。そして、この積層体パックを
950℃で 6.5時間加熱後、75%の圧延率でリバース圧延
でなく圧延し、熱延上り温度約 750℃より水冷、油冷、
強制空気冷却することで冷却速度を変え、せん断強度に
及ぼす冷却速度の影響を調べた。表4はその結果で、比
較的冷却速度の遅い強制空気冷却(約5℃/秒)では単
に空冷した上記実施例1(表1試料1Bの下段、排気あ
り,950℃加熱)及び実施例2(表2試料2B、排気せず)
と同等のせん断強度が得られるのに対し、これ以上の高
速冷却ではせん断強度が低下する傾向があり、熱延後5
℃/秒以下での冷却が好ましいことがわかる。
【0046】
【表4】
【0047】〔実施例6〕母材として20mm厚の鋼板(SS
41)、合せ材として5mm厚のJIS1種の純チタン板、
中間媒接材として0.13mm厚のβ型チタン合金(Ti−15V
−3Cr−3Sn−3Al)を用い、 100mm幅× 150mm長に機
械加工後、母材と中間媒接材と合せ材とを積み重ねて1
組の積層体をした。そして、この積層体を接合不必要な
部分には離型剤を塗布して3組重ね、これを9mm厚の鋼
板にて囲み、排気、密閉溶接した。この積層体パックを
950℃で 6.5時間加熱後、1パス15%程度で総圧延率75
%のリバース圧延を行い、3組とも同様にクラッド化す
ることを確認した。
【0048】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のチタンクラ
ッド鋼板は、合せ材にβ型チタン合金を用いるか、又
は、中間媒接材にβ型チタン合金を用いているので、母
材中のFeが拡散浸透してもβ相の脆化が抑制されて、界
面の接合強度が維持され、優れたせん断強度を有するチ
タンクラッド鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る母材と合せ材とから
なるチタンクラッド鋼板を示す断面図である。
【図2】中間媒接材を設けたチタンクラッド鋼板を示す
断面図である。
【図3】複数組のクラッド素材を積層したチタンクラッ
ド鋼板を示す断面図である。
【符号の説明】
1 母材 2 合せ材 3 中間媒接材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材が鋼で、合せ材が延性を有するβ型
    チタン合金であることを特徴とするチタンクラッド鋼
    板。
  2. 【請求項2】 母材が鋼で、合せ材がチタン又はチタン
    合金であり、かつ、延性を有するβ型チタン合金よりな
    る中間媒接材が前記母材と前記合せ材との間に設けられ
    ていることを特徴とするチタンクラッド鋼板。
  3. 【請求項3】 上記β型チタン合金は、V,Mo,Mn,Cr
    のうち1種又は2種以上のβ安定化元素を含有すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のチタンクラッド鋼
    板。
JP8953596A 1996-04-11 1996-04-11 チタンクラッド鋼板 Pending JPH09277432A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7575418B2 (en) * 2004-09-30 2009-08-18 General Electric Company Erosion and wear resistant protective structures for turbine components
JP2010120081A (ja) * 2008-11-20 2010-06-03 Korea Atomic Energy Research Inst 母材の強度を超過する接合強度を有する、中間層を使用した鋼系合金とチタンまたはチタン系合金との高強度異種金属接合方法及び該方法で接合された鋼系合金及びチタンまたはチタン系合金を含む高強度接合合金

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