JPH09262895A - 熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法

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JPH09262895A
JPH09262895A JP8072803A JP7280396A JPH09262895A JP H09262895 A JPH09262895 A JP H09262895A JP 8072803 A JP8072803 A JP 8072803A JP 7280396 A JP7280396 A JP 7280396A JP H09262895 A JPH09262895 A JP H09262895A
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JP
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film
thermoplastic resin
temperature
die
resin
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JP8072803A
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Akiko Yamamoto
明子 山本
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】熱可塑性樹脂を加熱溶融して口金へ導き、
溶融押出した後急冷固化して得られたキャストフィルム
において、該フィルムの面配向係数(fn)が10×1
−3 ≦fn≦200×10−3 であることを特徴とす
る熱可塑性樹脂フィルム。 【効果】製造プロセスが大幅に簡略化され、そのため高
速化して際の工程安定化が飛躍的の向上し、制御面にお
いても容易となる。しかもフィルムの厚み均一性が顕著
に改善され、二次加工時の蛇行やしわなどのトラブルを
回避することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体用、
コンデンサー用、包装用、感熱孔版用、缶用ラミネート
などとして好適な熱可塑性樹脂フィルムに関するもので
ある。さらに言えば、非常に簡易な装置で一軸または二
軸に配向したフィルムが製造可能で、高速製膜が容易
な、厚みむらが非常に小さい熱可塑性樹脂フィルムおよ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】熱可塑性
樹脂フィルムは、その樹脂の特性に応じて様々な用途に
広く用いられている。例えば熱可塑性樹脂としてポリエ
ステルを例にとると、ポリエステルフィルムはその優れ
た熱安定性、寸法安定性及び機械特性から、磁気記録媒
体用、コンデンサー用、包装用フィルム、プリンターリ
ボンなど様々な工業用途で用いられてる。特に、磁気記
録媒体用などのベースフィルムとして、その有用性は周
知である。
【0003】ところで、熱可塑性樹脂フィルムを成形す
る場合、一般に、押出機により樹脂を溶融し、フィルタ
などを経由して異物を除去してから、成形するフィルム
の形態に合わせたスリットを持った口金(ダイ)より吐
出した後冷却して成形する方法がとられている。また、
フラットダイを用いて配向フィルムを得るためには、得
られたキャストフィルムを長手方向、幅方向に二軸延伸
し、熱処理を施す逐次二軸延伸法も一般的に行われてい
る。また、さらにフィルムの機械物性を高めるため、通
常の二軸延伸の後に再縦延伸、再横延伸することもしば
しば行われている。特に環状のダイを用いて二軸配向チ
ューブ状フィルムを得る場合には、押し出し後、水冷ま
たは空冷してキャストし、フィルムの内側から空気を吹
き込み長手方向、幅方向に二軸延伸し、最後に熱処理す
るチューブラ法が一般的に行われている。
【0004】逐次二軸延伸法の場合、フィルム製造工程
に、多くの工程が存在するため、装置が複雑化すること
によりフィルム破れやエッジロスの増大などの可能性が
高まり、生産効率が低下して、製造コストが高くなると
いう問題がある。また、近年では生産性を高める方策の
一つとして製膜工程高速化の要求が高まっているが、現
在の複雑な装置では工程が安定せず、高速化すると破れ
が多くなり、かえって生産性が低下するという問題も生
じている。そのため、工程簡略化、さらには製造コスト
の大幅ダウンのため様々な検討がなされている。そのひ
とつとして、延伸以前のキャスト段階から配向を付与す
る試みもなされている。ダイ内で結晶性熱可塑性樹脂の
配向物を得る方法として、例えば特公昭53−1198
0号公報が挙げられるが、これはサーキュラーダイを用
いて、ナイロンやポリプロピレンなど高結晶性の熱可塑
性樹脂をダイ内で固化して配向物とするものである。さ
らに、ダイ内で配向物とした後二軸配向皮膜を得る方法
として、特公昭53−19625号公報が挙げられる
が、これはダイの径を絞り、押出圧力によって二軸配向
皮膜を得るものであり、押出機に高圧力を必要とするた
め、ダイ本体、口金への負荷が大きく、変形、耐久性低
下の原因となる。またフラットダイを用いて押出し配向
フィルムとする方法として、例えば特開平2−8961
7号公報、特開平3−222711号公報などが提案さ
れているが、これらは液晶ポリマの持つ易配向性を利用
したものであり、汎用性がなく、液晶のような特異なポ
リマを用いることによるコストアップは免れない。
【0005】また一方で、工程が複雑化するとフィルム
の品質が安定化せず、大きな問題とされている。例えば
フィルム基本品質の一つである厚み均一性について、製
膜工程別にみると、押出での吐出むら、キャストでのポ
リマー膜振動やキャスティングドラムの回転むら、縦延
伸でのロールの温度むらや回転むら、横延伸でのテンタ
ー内の温度むらや風速むらなどにより厚みむらが悪化す
る。
【0006】そこで従来から厚み均一性のため、様々な
方法が提案されている。例えば、キャスティングドラム
の回転むらを抑える方法(特開昭55−93420号公
報)や、溶融樹脂をキャスティングドラム上に静電気力
で密着させる際に、静電気力を受けやすいように樹脂を
改質する方法(特開昭59−91121号公報)が提案
されているが、いまだ、効果が十分でない。また、ダイ
とキャスティングドラム間(L−D間)のポリマー膜振
動を抑えるために、熱可塑性樹脂の押出温度を下げて、
樹脂の溶融粘度を高める方法(特願平6−70789
号)も提案されているが、いまだ実用化されていない。
また、縦延伸工程では、特開昭60−189422号公
報で、延伸ロール上にフィルムを静電気力で密着させる
方法が提案されている。また、特開昭54−56674
号公報、特開平2−130125号公報などでは、縦延
伸を多段階で行う方法が提案されている。しかし、いま
だ十分な解決に至ってないのが現状である。また、特開
平2−256003号公報や特開平6−175282号
公報に、特有の形態を持った厚みむらを有しないフィル
ムについて記載があるが、その製造方法について明確で
ない。
【0007】現在のところ、工程簡略化の要求が高い一
方で、フィルムの機械特性や寸歩安定性を高めるため
に、様々な装置を付加する場合が多く、簡略化の方向に
は進んでいないのが実状である。
【0008】一方チューブラ法については、逐次二軸延
伸法に比べると簡易な工程であり、またエッジレスもな
く、収率が高いという長所があるが、厚み均一性が悪
い、高速化が困難、厚物は不可などの短所もある。この
ため、様々な改良チューブラ法の検討がなされてきた
が、いまだ十分な効果は得られていない。特に厚み均一
性が悪い理由として、エアを吹き込んで延伸する際にバ
ブルが安定せずに厚みむらとなることがあげられる。
【0009】キャストの段階で押出し配向フィルムとす
る方法として、チューブラ法では相互逆回転口金を用い
て、内側のダイと外側のダイを相互に反対方向に回転し
てダイ内で二軸に配向を付与する方法(例えば特開平1
−130930号公報、特開昭63−199622号公
報など)があるが、これらは液晶ポリマの持つ易配向性
を利用したものであり、汎用性がなく、液晶のような特
異なポリマを用いることによるコストアップは免れな
い。
【0010】また、これまでに、ポリエステル樹脂を低
温化して押出し、高ドラフトによりキャストの段階で配
向を付与する方法(特願平6−312193号)も提案
されているが、これは、ポリマの結晶性が高く、210
℃以下に冷却することはできていなかった。また、21
0℃程度の低温化では、引き取り速度を上げてドラフト
を稼いでもフィルムの配向はそれほど上がらず、工程の
簡易化ができるほどには至っていない。
【0011】このように、製造コストダウン、および工
程、品質の安定化に対する要求は強く、そのために種々
の改善方法が提案されてきたが、その効果はまだ十分で
はなく、製膜工程の簡略化と、厚み均一性に代表される
フィルム基本品質向上の両立は非常に難しい問題となっ
ている。本発明は、上記課題を解決し、延伸工程前の押
出での改良により、フィルム製膜工程の簡略化が可能な
二軸配向熱可塑性樹脂フィルムを提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、熱可
塑性樹脂を加熱溶融して口金へ導き、溶融押出した後急
冷固化して得られたキャストフィルムにおいて、該フィ
ルムの面配向係数(fn)が10×10−3 ≦fn≦2
00×10−3 であることを特徴とする熱可塑性樹脂フ
ィルムに関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明においては、熱可塑性樹脂を加熱溶
融して口金へ導き、溶融押出した後急冷固化して得られ
たキャストフィルムにおいて、該フィルムの面配向係数
(fn)が10×10−3 ≦fn≦200×10−3
範囲にあることが必要となる。ここで、面配向係数(f
n)とは、長手方向、幅方向の含まれるフィルム面内の
分子配向の割合を示したものであり、fnが大きいほど
面方向の配向度が大きくなる。キャストフィルムの段階
でフィルム面内方向に分子配向していることにより、そ
の後の配向付与工程が省略あるいは簡略化可能となるた
め好適である。また製膜速度を上げて生産性を高める場
合にも、工程が少ないために破れなどの発生回数が減
り、収率のアップによる製造コストの大幅ダウンが可能
となる。fnは好ましくは20×10−3 ≦fn≦19
0×10−3 であり、さらに好ましくは30×10−3
≦fn≦180×10−3 である。fnが10×10
−3 未満であると分子配向が弱く、工程の簡略化には至
らないため好ましくない。逆にfnが200×10−3
を超えると、二次加工時にフィルムの破れが発生しやす
くなるため好ましくない。
【0015】フラットダイを用いて溶融押出した後、急
冷固化して得られたシート状フィルムにおいて、該フィ
ルムの複屈折Δnが10×10−3 ≦Δn≦120×1
3 であることが好ましい。また、該フィルムの配向
の主軸は長手方向であることが好ましい。キャストフィ
ルムの段階で長手方向に強く配向していることにより、
縦延伸工程を省略することが可能となる。Δnは、さら
に好ましくは30×10−3 ≦Δn≦115×10−3
であり、より好ましくは50×10−3 ≦Δn≦110
×10−3 である。Δnが10×10−3 未満である
と、長手方向の配向度が非常に小さく、通常の二軸配向
フィルムとして十分な品質を確保するには、縦延伸工程
が必要となるため好ましくない。逆にΔnが120×1
−3 を超えると配向が高くなりすぎて、次の横延伸工
程でフィルム破れが生じるなどの問題が生じるため好ま
しくない。
【0016】また、相互逆回転口金を用いて得られたチ
ューブ状キャストフィルムにおいて、面配向係数(f
n)が10×10−3 ≦fn≦200×10−3 である
ことが好ましい。さらに好ましくは20×10−3 ≦f
n≦190×10−3 であり、より好ましくは30×1
−3 ≦fn≦180×10−3 である。fnが10×
10−3 未満になると通常の二軸延伸フィルムに比べて
配向が小さく、十分なフィルムの性能を満足しないため
好ましくない。逆にfnが200×10−3 を超える
と、二次加工時にフィルムの破れが発生しやすくなるた
め好ましくない。
【0017】すなわち本発明のフィルムは、キャストフ
ィルムの段階で二軸に配向したフィルムであることによ
り、押出し、即製品という非常に簡易な製造プロセスが
可能となる。
【0018】また、本発明における二軸配向キャストフ
ィルムは、その後公知の方法により、長手方向および/
または幅方向に一軸あるいは二軸延伸することも好まし
く行われる。また、得られた二軸配向フィルムを、さら
に長手方向および/または幅方向に延伸して、強度な配
向を付与することも好ましく行われる。
【0019】本発明における熱可塑性樹脂としては、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど
のポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66など
のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレートなどのポリエステル樹脂、その他、ポリアセタ
ール樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂などを用い
ることができる。特に、本発明においては一般的に逐次
二軸延伸が行われ、二次加工時のトラブルの生じやすい
ポリエステルにおいてその効果が大きく好ましい。中で
も、ポリエチレン−2,6−ナフタレートやポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフ
タレートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途
で用いられ、効果が高い。また、これらの樹脂はホモ樹
脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよ
い。また、これらの樹脂の中に、公知の各種添加剤、例
えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子が
添加されていてもよい。
【0020】本発明における熱可塑性樹脂は、低温化し
て押出すほどポリマの配向が上がるため好ましい。特に
限定はしないが、ポリマの降温結晶化開始温度(Tc
b)は、200℃以下であることが好ましい。さらに好
ましくは160℃以下である。ポリエステル樹脂におい
ては、重合時の触媒種を変更することによりポリマの熱
特性が著しく異なることが知られている。我々は鋭意研
究の結果、結晶化速度の小さいポリマを使用することに
より、これまで不可能と思われていた、キャスト工程で
の疑似延伸効果が得られることを見出した。
【0021】具体的には、例えばポリエチレンテレフタ
レート樹脂を使用する場合、重合時の金属触媒としてア
ンチモン系触媒を用いた場合とゲルマニウム系触媒を用
いた場合とでは、ゲルマニウム系触媒の方がTcbが低
下する。Tcbを低下することができれば、ポリマの押
出温度を低下することが可能となり、ポリマの配向性が
上がる。ポリマのTcbが200℃以下になると、口金
から吐出するポリマ温度を200℃以下とすることが可
能となり、ポリマが易配向性を示すため好ましい。さら
に好ましくは、Tcbは160℃以下である。ポリマの
Tcbが200℃以上では、結晶固化を防ぐためには押
出温度も200℃以上にすることが必須となり、この温
度ではキャストフィルムの配向を上げることが困難とな
るため好ましくない。さらに、得られた樹脂を、固相状
態で窒素などの不活性ガス雰囲気下で重合し固有粘度
(IV)を高めることも、樹脂の結晶化速度を低下させ
るために好ましく行われる。特に限定はしないが、固相
重合で得られたポリマのIVは0.75以上であること
が好ましい。さらに好ましくは1.0以上である。
【0022】一方、熱可塑性樹脂には、ポリマの結晶性
を効果的に低下させるためイソフタル酸成分(IPA)
を少なくとも10mol%以上共重合したポリエステル
樹脂も好ましく用いられる。さらに好ましくは、15m
ol%以上、より好ましくは20mol%以上である。
結晶融解エネルギー(ΔHu)(以下単にΔHuと言
う)が35J/g未満が好ましく、ΔHuが35J/g
以上となるとキャストフィルムの段階で配向フィルムと
することが困難となり好ましくない。さらに好ましくは
0<ΔHu(J/g)<35であり、より好ましくは0
<ΔHu(J/g)<20である。ΔHuはポリマの結
晶性を示すものであり、ΔHuが小さいほど結晶性が低
く、ΔHuが0になると非晶性を示す。我々は鋭意研究
の結果、低結晶性、あるいは非晶性のポリマを低温化し
て押し出すことにより、易配向性を示すことを見出し
た。さらに、ポリマ押出温度が低いほど、フィルムの配
向が高まることも見出した。ポリマが固化しない温度範
囲において、限界までポリマ温度を冷却するためには、
該ポリマの結晶性は低いほど好ましい。ここでいうΔH
u、Tg、Tme、Tcbは、示差走査熱量計(DS
C)により公知の方法で簡易に測定することが可能であ
る。
【0023】次に本発明のフィルムを製造するための方
法について詳細に説明するが、必ずしもこれに限定され
るものではない。
【0024】熱可塑性樹脂の原料をペレットなどの形態
で用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風中、あるいは
真空下で行い、押出機に供給する。本発明における溶融
押出の方法としては、一般に市販されている押出機を用
いて、熱可塑性樹脂を供給部に供給し、加熱された押出
機内のスクリュの回転により、樹脂を溶融し、押出機か
ら送り出された溶融樹脂を、加熱された流路(ポリマ
管)内を通して口金に導く。必要に応じてフィルタを通
して異物、変性ポリマを除去し、また、定量供給性を上
げるためにギアポンプを設けても良い。このように導か
れたポリマは口金内部で必要な幅に拡幅され、口金から
吐出された後、冷却固化されキャストフィルムとなる。
ここで、押出機としては、公知の一軸あるいは二軸押出
機を用いることができる。押出機のスクリュの形状は、
適用する熱可塑性樹脂の性質に応じて最適なものを用い
ればよい。本発明における該熱可塑性樹脂の加熱温度と
しては、Tg+100℃以上である。加熱温度は、熱可
塑性樹脂が十分可塑化され、流動性を示す温度以上にす
る必要がある。熱可塑性樹脂が結晶性の場合(ΔHu>
0)、未溶融物の懸念があるため、DSCでの融点のピ
ークにみられる裾野の終わりの温度(融解終了温度Tm
e)以上に加熱することが好ましい。
【0025】ダイより吐出される樹脂の温度は、Tg+
250℃を下回り、Tgを超える温度以上に冷却するこ
と好ましい。熱可塑性樹脂が結晶性の場合(ΔHu>
0)、融解終了温度(Tme)未満、降温結晶化開始温
度Tcbを超える温度にすることが好ましい。高分子樹
脂の場合、溶融状態にある樹脂を冷却しても短時間では
固化しないいわゆる過冷却の液相状態を保つことができ
る。さらに樹脂の結晶化速度を遅くしてやるとTcbが
低下し、過冷却温度範囲が冷温側に広がるため好まし
い。しかも、この状態の樹脂は粘度が高く、ランド部か
ら押し出された後のダイと冷却装置との間の膜振動や外
乱に対して安定であり、厚みむらの小さなフィルムを得
ることができる。
【0026】本発明におけるポリマの冷却は、押出機出
口から口金出口までの工程で行うことが好ましい。口金
に入るまでに冷却する場合には、特に限定はしないが、
冷却機構を有したポリマ管を口金の上流部に配置するこ
とも好ましく行われる。口金内で冷却する場合には、一
定のスリット間隙を有する平行部分であるランド部が、
ポリマとの接触面積が広く、冷却効率が高いため好まし
い。冷却手段としては、ポリマ管あるいはダイのランド
部のいずれにしても、特に限定はしないが、例えば、冷
却のための孔を設け、その中に冷媒を通す方法がある。
冷媒としては、空気、または水など各種液体状の冷媒を
用いることができ、冷媒の温度、流量をコントロールす
ることによって、所望の温度に設定することができる。
【0027】口金としては、特に限定はしないが、平行
口金(フラットダイ)および、円筒口金(サーキュラダ
イ)を用いることが好ましい。
【0028】本発明におけるフラットダイとしては、特
に限定はされないが、例えば、澤田慶司著「プラスチッ
クの押出成形とその応用」(株式会社誠文堂新光社)に
説明されているような、内部に円筒状の溝(マニホル
ド)を有するマニホルドダイ(Tダイとも言う)、魚の
尾のような形状をしたフィッシュテールダイ、その中間
の形状をしたコートハンガーダイのいずれでもよい。フ
ラットダイは、通常、溶融樹脂を幅方向に広げるダイホ
ッパと呼ばれる部分と、樹脂を幅方向に広げた後、目的
の形状に整形する最終部分であり、一定のスリット間隙
を有する平行部分であるランド部と呼ばれる部分から構
成される。樹脂はこのランド部を通過した直後に大気に
開放され、キャスティング上に押出される。この際、ド
ラフト比が高いほど、得られるキャストフィルムの配向
が向上する。ここで、ドラフト比とは、口金の吐出線速
と、キャスティングドラムの引き取り線速の比であり、
(引き取り線速/吐出線速)で表される。
【0029】本発明におけるサーキュラダイとしては、
内側のダイと外側のダイが相互に逆方向に回転するラン
ド部から構成される相互逆回転口金を用いる。冷却さ
れ、高粘度化したポリマが、ランド部を通過する際、ポ
リマ膜の外側のダイと内側のダイが相互に逆回転してい
ることにより、膜の外表面と内表面が、表裏に直交した
分子配向をもつようになる。通常、ポリマはこの相互に
回転するランド部を通過した直後に大気に開放され、そ
の後の水冷槽、および/または空冷槽にて冷却される。
また、口金から吐出されたチューブ状フィルムの内部に
エアーを吹き込んだり、該フィルムをドラフト比を上げ
て引き取ることにより、さらに長手方向および/または
幅方向に延伸することも可能である。
【0030】
【物性値の評価方法】
(1)熱特性 示差走査熱量計として、セイコー電子工業株式会社製
“ロボット”DSC−RDC220を用い、データ解析
装置として、同社製ディスクステーション−SSC/5
200を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製の
受皿上300℃で5分間溶融保持し、液体窒素で急冷固
化した後、室温から昇温速度20℃/分で300℃まで
昇温した。この時、結晶性ポリマの場合、観測される変
曲点の温度をTg、融解の吸熱ピークの開始温度をTm
b、ピーク温度をTm、ピーク終了温度をTmeとし
た。また、結晶融解エネルギー(ΔHu(J/g))は
融解ピークの面積から求めた。この面積は、昇温するこ
とによりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を
続けるとベースラインの位置までもどる面積であり、融
解開始温度位置から終了温度位置までを直線で結び、こ
の面積をデータ解析装置により求めた。次に、300℃
から降温速度20℃/分で室温まで降温し、観測される
発熱ピークの開始温度をTcb、ピーク温度をTc、ピ
ーク終了温度をTceとした。
【0031】(2)フィルムの厚みむら アンリツ社製フィルムシックネステスタKG601Aお
よび電子マイクロメータK306Cを用い、縦方向に3
0mm幅、10m長にサンプリングしたフィルムを連続
的に厚みを測定する。10m長での厚み最大値Tmax
(μm)、最小値Tmin (μm)から、 R=Tmax −Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave (μm)から 厚みむら(%)=R/Tave ×100 として求めた。
【0032】(3)温度 熱可塑性樹脂を押出機から押出された温度Texは、押出
機出口のポリマ管に孔を設け、熱電対を挿入し、樹脂の
漏れを防ぐシールを施して測定した。流路において冷却
された熱可塑性樹脂の温度(Td)は、流路における冷
却部の出口に孔を設け、熱電対を挿入し、樹脂の漏れを
防ぐシールを施して測定した。口金などの壁面温度は、
部材に壁面近傍まで孔を設け、熱電対を挿入して測定し
た。また、口金より吐出される樹脂の温度は、吐出され
る樹脂中に熱電対を挿入し温度が安定化するのを待ち、
測定した。
【0033】(4)ドラフト比 1分間吐出される溶融樹脂の重量を測定し、吐出量Q
(kg/分)を求める。口金出口の樹脂流路の断面積S
(cm2 )と、該溶融樹脂の比重dから、吐出線速Vex
=Q/d/S×10(m/分)を計算する。樹脂がポリ
エチレンテレフタレートの場合、比重は1.2を用い
た。このVexと、キャスティングドラムの周速Vcd(m
/分)より、ドラフト比=Vcd/Vexとした。
【0034】(5)複屈折Δn ベレックコンペンセータを装備した偏光顕微鏡により、
フィルムのリタデーションRdを求めた。Rdをフィル
ムの厚みで割り、複屈折とした。
【0035】(6)面配向係数fn アタゴ社製アッベ屈折率計を用い、光源をナトリウムラ
ンプとして、フィルムの屈折率を測定した。フィルム面
内の長手方向の屈折率nγ、それに直交する幅方向の屈
折率nβ、及び厚さ方向の屈折率nαを求め、下記式に
より面配向係数fnを求めた。
【0036】fn=(nγ+nβ)/2−nα
【0037】(7)破れ 製膜中のフィルム破れ回数を計測し、100時間に0〜
1回生じる程度ならば「○」、2〜3回は「△」、4回
以上のときには「×」、さらにほとんど製膜できないほ
ど破れの生じ、計測不可能なとき「××」とした。
【0038】(8)製膜速度 二軸延伸後のフィルムを巻取る際の、巻取り装置の回転
速度をもって製膜速度とした。縦延伸を行わない場合、
キャスティングドラムの回転速度に等しい。
【0039】(9)固有粘度IV ポリマ溶液の粘度ηと溶媒の粘度η0 の比を、同一の粘
度計によって流下時間(t、t0 )を測定して求め、こ
れを粘度比ηr とする。
【0040】 ηr =η/η0 =(t×d)/(t0 ×d0 ) (ここでdおよびd0 は溶液および溶媒の密度を示し、
希薄溶液の場合d/d0は1としてよい。) ポリマの固有粘度はOCPを溶媒として、25℃におい
て濃度8g/100mlのときのηr を測定し、次式に
よりIVに変換して表示した。
【0041】IV=0.0246×ηr +0.2677
【0042】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。
【0043】実施例1 熱可塑性樹脂として、ゲルマニウム系金属触媒を用いて
重合した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレー
トを、窒素雰囲気下で固相重合して得られた固有粘度
1.4のポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PE
Ge*1.4と表記する)を用いた。DSCを用いて熱特性
を測定したところ、ΔHu:12.0J/g、Tg:7
2℃、Tmb:210℃、Tm:243℃、Tmc:2
60℃、Tcb:148℃、Tc:121℃、Tce:
103℃であった。PETGe*1.4のペレットを180℃
で3時間真空乾燥して押出機に供給し、280℃で溶融
状態とし、フィルタを介して成形用口金に供給した。口
金はリップ間隙1mm、幅400mm、ランド長30m
mのマニホールドダイを用いた。本ダイのランド部に
は、幅方向に直径7mmの空孔を複数あけ、ここに空気
を通すことにより冷却可能な構造としてある。ダイホッ
パ部の温度は280℃とし、ランド部には25℃の冷却
用空気を流量0.10m3 /分通して冷却した。押出機
から押出された樹脂温度は280℃であった。ポリマ管
通過後の口金入口部の温度も280℃であった。ランド
部での樹脂温度は150℃℃であった。口金から押出さ
れたフィルムを、静電気を印加したながら表面温度25
℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化せしめ
て巻取った。キャスティングドラムの回転速度は40m
/分、得られたフィルムの厚みは30μmであった。ド
ラフト比は20であった。得られたフィルムのfnは7
0×10−3 であり、分子配向の主軸は長手方向であっ
た。またキャストフィルムの長手方向の厚みむらは1.
3%であり、厚みむらの良好なフィルムが得られた。ま
た、得られた一軸配向キャストフィルムを横延伸装置に
供し、さらに幅方向に延伸温度90℃、延伸倍率3.5
倍の条件で延伸し、200℃で熱処理を施して延伸フィ
ルムを得た。このとき押出機から巻取り機までの製膜ラ
イン長さは25mと二軸配向フィルムの製膜装置として
は小規模な装置となった。得られたフィルムは二軸に配
向しており、fnは160×10−3 であった。また得
られた延伸フィルムの長手方向の厚みむらは1.1%で
あり、厚みむらの良好なフィルムが得られた。製膜速度
はキャスティングドラムの回転速度と同じ40m/分で
あり、破れはほとんどなく、製膜安定性は良好であっ
た。
【0044】実施例2 実施例1と同様にして、PETGe*1.4樹脂を口金より押
出し、キャスティングドラム上にフィルム成形した。こ
の際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量を、0.08m
3 /分とした。この際、押出機出口のポリマ温度は28
0℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ランド部出口
の樹脂温度は180℃であった。キャスト条件は実施例
1と同様とた。得られたフィルムのfnは50×10
−3 であり、分子配向の主軸は長手方向であった。得ら
れたキャストフィルムの長手方向の厚みむらは1.4%
であり、厚みむらの良好なフィルムが得られた。得られ
た一軸配向キャストフィルムを実施例1と同様の方法に
より、横延伸、熱処理を施して延伸フィルムを得た。得
られた延伸フィルムは二軸に配向しており、fnは12
0×10−3 であった。また延伸後のフィルムの長手方
向の厚みむらは1.2%であり、非常に厚みむらの良好
なフィルムが得られた。破れは実施例1と同様ほとんど
なく、製膜安定性は良好であった。
【0045】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表1に示す。
【0046】実施例3 キャストする際のドラムの回転速度を60m/分とし
て、その他の条件を実施例1と同様にしてキャストフィ
ルムおよび延伸フィルムを得た。得られたキャストフィ
ルムのfnは90×10−3 であり、分子配向の主軸は
長手方向であった。得られたキャストフィルムの長手方
向の厚みむらは1.4%であり、厚みむらの良好なフィ
ルムが得られた。得られた延伸フィルムのfnは180
×10−3であり二軸に配向していた。また延伸後のフ
ィルムの長手方向の厚みむらは1.2%であり、厚みむ
らの良好なフィルムが得られた。製膜速度は60m/分
であり、破れはほとんどなく、製膜安定性は良好であっ
た。
【0047】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表1に示す。
【0048】実施例4 熱可塑性樹脂として、ゲルマニウム系金属触媒を用いて
重合した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレー
トを、窒素雰囲気下で固相重合して得られた固有粘度
0.8のポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PE
Ge*1.8と表記する)を用いた。DSCを用いて熱特性
を測定したところ、ΔHu:19.0J/g、Tg:6
8℃、Tmb:205℃、Tm:230℃、Tmc:2
45℃、Tcb:176℃、Tc:149℃、Tce:
123℃であった。PETGe*1.8のペレットを170℃
で3時間真空乾燥して押出機に供給し、280℃で溶融
状態とし、フィルタを介して成形用口金に供給した。成
形用口金は実施例1と同様とし、口金に流す空気流量を
0.08m3 /分とした。この際、押出機出口のポリマ
温度は280℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ラ
ンド部出口の樹脂温度は180℃であった。キャスト条
件は実施例1と同様とた。得られたフィルムのfnは6
0×10−3 であり、分子配向の主軸は長手方向であっ
た。得られたキャストフィルムの長手方向の厚みむらは
1.4%であり、厚みむらの良好なフィルムが得られ
た。得られた一軸配向キャストフィルムを実施例1と同
様の方法により、横延伸、熱処理を施して延伸フィルム
を得た。得られた延伸フィルムは二軸に配向しており、
fnは140×10−3 であった。また延伸後のフィル
ムの長手方向の厚みむらは1.2%であり、非常に厚み
むらの良好なフィルムが得られた。破れは実施例1と同
様ほとんどなく、製膜安定性は良好であった。
【0049】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表1に示す。
【0050】比較例1 実施例1と同様にして、PETGe*1.4樹脂を口金より押
出した。この際、口金に流す冷却用空気流量を0.18
3 /分とした。このときの押出機出口での樹脂温度は
280℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ランド部
出口での樹脂温度は130℃であった。しかし、押出を
開始してから数分後に樹脂が口金ランド部出口付近で結
晶固化を始め、押出に要する圧力が高すぎて、遂には、
押出すことが不可能になった。
【0051】このときの原料、製膜条件を表1に示す。
【0052】比較例2 実施例2と同様にして、PETGe*1.8樹脂を口金より押
出した。この際、口金に流す冷却用空気流量を0.09
3 /分とした。このときの押出機出口での樹脂温度は
280℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ランド部
出口での樹脂温度は170℃であった。しかし、押出を
開始してから数分後に樹脂が口金ランド部出口付近で結
晶固化を始め、押出に要する圧力が高すぎて、遂には、
押出すことが不可能になった。
【0053】このときの原料、製膜条件を表1に示す。
【0054】比較例3 実施例1と同様にして、PETGe*1.4樹脂を口金より押
出し、キャスティングドラム上にフィルム成形した。こ
の時、口金に冷却用空気を流さなかった。このときの押
出機出口での樹脂温度は280℃、口金入口部の樹脂温
度も280℃、ランド部出口での樹脂温度は279℃で
あった。得られたフィルムのfnは0.3×10−3
あり、面内にはほぼ無配向であった。またキャストフィ
ルムの長手方向の厚みむらは6.8%であり、実施例1
と比較して厚みむらが悪化した。さらに、二軸に配向し
たフィルムを得るため、該キャストフィルムを公知の縦
延伸装置に供し、延伸温度90℃、延伸倍率3.2倍で
長手方向に延伸した後、公知の横延伸装置に供し、延伸
温度90℃、延伸倍率3.5倍で幅方向に延伸し、その
後200℃で熱処理を施して二軸配向フィルムを得た。
得られた二軸配向フィルムのfnは160×10−3
あった。このとき押出機から巻取り機までの製膜ライン
長さは35mと実施例1〜4の製膜装置と比べて大がか
りな装置となった。また得られた延伸フィルムの長手方
向の厚みむらは8.0%であり、厚みむらの悪いフィル
ムとなった。製膜速度は150m/分であり、破れが頻
繁に起こり、とても製膜ができる状態でなかった。
【0055】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表1に示す。
【0056】比較例4 熱可塑性樹脂として、アンチモン系金属触媒を用いて重
合した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート
樹脂(以下、PETSb*0.65 と表記する)を用いた。D
SCを用いて熱特性を測定したところ、ΔHu:40.
5J/g、Tg:72℃、Tmb:230℃、Tm:2
65℃、Tmc:272℃、Tcb:220℃、Tc:
191℃、Tce:163℃であった。PETSb*0.65
のペレットを180℃で3時間真空乾燥して押出機に供
給し、280℃で溶融状態とし、フィルタを介して成形
用口金に供給した。成形用口金は実施例1と同様とし、
口金に流す空気流量を0.04m3 /分とした。この
際、押出機出口のポリマ温度は280℃、口金入口部の
樹脂温度も280℃、ランド部出口の樹脂温度は230
℃であった。キャスト条件は実施例1と同様とた。得ら
れたフィルムのfnは2.0×10−3 であり、極僅か
には配向しているものの実施例1〜4と比較して非常に
小さくなった。得られたキャストフィルムの長手方向の
厚みむらは1.9%であり、厚みむらは良好であった。
さらに、二軸に配向したフィルムを得るため、該キャス
トフィルムを公知の縦延伸装置に供し、延伸温度90
℃、延伸倍率3.0倍で長手方向に延伸した後、公知の
横延伸装置に供し、延伸温度90℃、延伸倍率3.5倍
で幅方向に延伸し、その後200℃で熱処理を施して二
軸配向フィルムを得た。得られた二軸配向フィルムのf
nは160×10−3 であった。このとき押出機から巻
取り機までの製膜ライン長さは35mと実施例1〜4の
製膜装置と比べて大がかりな装置となった。また得られ
た延伸フィルムの長手方向の厚みむらは4.2%であ
り、実施例1〜4と比べ、厚みむらの悪いフィルムとな
った。製膜速度は130m/分であり、破れが頻繁に起
こり、製膜安定性が悪化した。
【0057】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表1に示す。
【0058】実施例5 熱可塑性樹脂として、固有粘度0.65のポリエチレン
テレフタレートに、イソフタル酸成分を25mol%共
重合した共重合ポリマ(以下、PET/I25と表記す
る)を用いた。DSCを用いて熱特性を測定したとこ
ろ、ΔHu:2.1cal/g、Tg:61℃、Tm
b:165℃、Tm:192℃、Tme:205℃であ
った。PET/I25のペレットを120℃で3時間真空
乾燥して押出機に供給し、260℃で溶融状態とし、フ
ィルタを介して成形用口金に供給した。口金は実施例1
と同様とした。ランド部に25℃の冷却用空気を流量
0.12m3 /分流して冷却した。押出機から押出され
た温度は260℃であった。ポリマ管通過後の口金入口
部の温度も260℃であった。ランド部出口での樹脂温
度は110℃であった。口金から押し出されたフィルム
を、静電気を印加しながら表面温度25℃に保たれたキ
ャスティングドラム上で急冷固化せしめ巻取った。この
際の口金とキャスティングドラム間の距離(L−D間)
は30mmであった。キャスティングドラムの回転速度
は40m/分、得られたフィルムの厚みは30μmであ
った。ドラフト比は20であった。得られたフィルムの
fnは43×10−3 であり、分子配向の主軸は長手方
向であった。またキャストフィルムの長手方向の厚みむ
らは1.5%であり、厚みむらの良好なフィルムが得ら
れた。また、得られた一軸配向キャストフィルムを横延
伸装置に供し、さらに幅方向に延伸温度75℃、延伸倍
率3.5倍の条件で延伸し、100℃で熱処理を施して
延伸フィルムを得た。このとき押出機から巻取り機まで
の製膜ライン長さは25mと二軸配向フィルムの製膜装
置としては小規模な装置となった。得られたフィルムは
二軸に配向しており、fnは115×10−3 であっ
た。また得られた延伸フィルムの長手方向の厚みむらは
1.3%であり、厚みむらの良好なフィルムが得られ
た。製膜速度はキャスティングドラムの回転速度と同じ
40m/分であり、破れはほとんどなく、製膜安定性は
良好であった。
【0059】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表2に示す。
【0060】実施例6 実施例5と同様にして、PET/I25樹脂を口金より押
出し、キャスティングドラム上にフィルム成形した。こ
の際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量を、0.05m
3 /分とした。この際、押出機出口のポリマ温度は26
0℃、口金入口部の樹脂温度も260℃、ランド部出口
の樹脂温度は150℃であった。キャスト条件は実施例
5と同様とた。得られたフィルムのfnは22×10
−3 であり、分子配向の主軸は長手方向であった。得ら
れたキャストフィルムの長手方向の厚みむらは2.5%
であり、厚みむらの良好なフィルムが得られた。得られ
た一軸配向キャストフィルムを実施例5と同様の方法に
より、横延伸、熱処理を施して延伸フィルムを得た。得
られた延伸フィルムは二軸に配向しており、fnは10
0×10−3 であった。また延伸後のフィルムの長手方
向の厚みむらは2.1%であり、非常に厚みむらの良好
なフィルムが得られた。破れは実施例5と同様ほとんど
なく、製膜安定性は良好であった。
【0061】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表2に示す。
【0062】実施例7 キャストする際のドラムの回転速度を60m/分とし
て、その他の条件を実施例5と同様にしてキャストフィ
ルムおよび延伸フィルムを得た。得られたキャストフィ
ルムのfnは54×10−3 であり、分子配向の主軸は
長手方向であった。得られたキャストフィルムの長手方
向の厚みむらは1.6%であり、厚みむらの良好なフィ
ルムが得られた。得られた延伸フィルムのfnは130
×10−3であり二軸に配向していた。また延伸後のフ
ィルムの長手方向の厚みむらは1.2%であり、厚みむ
らの良好なフィルムが得られた。製膜速度は60m/分
であり、破れはほとんどなく、製膜安定性は良好であっ
た。
【0063】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表2に示す。
【0064】実施例8 熱可塑性樹脂として、固有粘度0.65のポリエチレン
テレフタレートに、イソフタル酸成分を17.5mol
%共重合した共重合ポリマ(以下、PET/I17.5と表
記する)を用いた。DSCを用いて熱特性を測定したと
ころ、ΔHu=5.0cal/g、Tg:71℃、Tm
b:161.2℃、Tm:211℃、Tme:225℃
であった。実施例5と同様にして、PET/I17.5樹脂
を口金より押出し、キャスティングドラム上にフィルム
成形した。口金に流す樹脂冷却用の空気流量は、0.0
8m3 /分とした。この際、押出機出口の樹脂温度は2
70℃、口金入口部の樹脂温度も270℃、ランド部出
口での樹脂温度は148℃あった。得られたフィルムの
fnは24×10−3 であり、実施例1に比べると配向
が若干小さくなった。また分子配向の主軸は長手方向で
あった。またキャストフィルムの長手方向の厚みむらは
1.8%であり、厚みむらの良好なフィルムが得られ
た。また、得られた一軸配向キャストフィルムを横延伸
装置に供し、さらに幅方向に延伸温度75℃、延伸倍率
3.5倍の条件で延伸し、120℃で熱処理を施して延
伸フィルムを得た。得られたフィルムは二軸に配向して
おり、fnは92×10−3 であった。また得られた延
伸フィルムの長手方向の厚みむらは1.6%であり、厚
みむらの良好なフィルムが得られた。製膜速度はキャス
ティングドラムの回転速度と同じ40m/分であり、破
れはほとんどなく、製膜安定性は良好であった。
【0065】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表2に示す。
【0066】比較例5 実施例5と同様にして、PET/I25樹脂を口金より押
出し、キャスティングドラム上にフィルム成形した。こ
の際、口金に冷却用の空気流量を流さなかった。このと
きの押出機出口での樹脂温度は260℃、口金入口部の
樹脂温度も260℃、ランド部出口での樹脂温度は25
8℃であった。得られたフィルムのfnは0.2×10
−3 であり、面内にはほぼ無配向であった。またキャス
トフィルムの長手方向の厚みむらは6.5%であり、実
施例1と比較して厚みむらが悪化した。さらに、二軸に
配向したフィルムを得るため、該キャストフィルムを公
知の縦延伸装置に供し、延伸温度75℃、延伸倍率3.
2倍で長手方向に延伸した後、公知の横延伸装置に供
し、延伸温度75℃、延伸倍率3.5倍で幅方向に延伸
し、その後100℃で熱処理を施して二軸配向フィルム
を得た。このとき押出機から巻取り機までの製膜ライン
長さは35mと実施例5〜8の製膜装置と比べて大がか
りな装置となった。得られた二軸配向フィルムのfnは
110×10 3 であった。また得られた延伸フィルム
の長手方向の厚みむらは6.9%であり、厚みむらの悪
いフィルムとなった。製膜速度は150m/分であり、
破れが頻繁に起こり、製膜安定性が悪化した。
【0067】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表2に示す。
【0068】比較例6 製膜速度を180m/分として、その他の条件を比較例
5と同様にしてキャストフィルムおよび二軸配向フィル
ムを得た。得られたキャストフィルムのfnは0.2×
10−3 であり、ほとんど無配向であった。得られたキ
ャストフィルムの長手方向の厚みむらは6.5%であ
り、厚みむらが非常に悪化した。得られた二軸配向フィ
ルムのfnは130×10−3 であった。また延伸後の
フィルムの長手方向の厚みむらは7.0%であり、非常
に厚みむらが悪化した。比較例5以上に破れが多く、と
ても安定に長時間製膜できる状態でなかった。
【0069】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表2に示す。
【0070】比較例7 実施例1と同様にして、PET/I25樹脂を口金より押
出し、キャスティングドラム上にフィルム成形した。こ
の際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量を、0.21m
3 /分とした。この際、押出機出口での樹脂温度は26
0℃、口金入口部の樹脂温度も260℃、ランド部出口
での樹脂温度は55℃であった。しかし、樹脂の流動性
が悪化し、押出に要する圧力が高すぎて、遂には、押出
すことが不可能になった。
【0071】このときの原料、製膜条件を表2に示す。
【0072】実施例9 実施例1と同様のPETGe*1.4のペレットを180℃で
3時間真空乾燥して押出機に供給し、280℃で溶融状
態とし、フィルタを介して成形用口金に供給した。口金
は、内側のダイと外側のダイが相互に逆方向に回転する
ランド部から構成されるリップ間隙1mm、ランド長4
0mmの相互逆回転口金を用いた。本ダイのランド部に
は、内外のダイに周方向に直径7mmの空孔を複数あ
け、ここに空気を通すことにより冷却可能な構造として
ある。ダイホッパ部の温度は280℃とし、ランド部に
は25℃の冷却用空気を流量0.09m3 /分通して冷
却した。押出機から押出された温度は280℃であっ
た。ポリマ管通過後の口金入口部の温度も280℃であ
った。ランド部出口での樹脂温度は150℃であった。
ランド部を内外ダイをポリマ流れと直交する方向で、か
つそれぞれ逆の回転方向に10m/分の速度で回転さ
せ、口金から押し出されたフィルムを、空冷リング、水
冷リングを通したのち中心部にエアを吹き込み、100
℃で熱処理を施し、その後水槽内でキャストし、チュー
ブ状の二軸配向キャストフィルムを得た。得られた二軸
配向キャストフィルムの厚みは15μmであった。得ら
れた二軸配向キャストフィルムのfnは120×10
−3 であった。また二軸配向キャストフィルムの長手方
向の厚みむらは1.5%、幅方向の厚みむらは1.6%
であり、厚みむらの良好なフィルムとなった。さらに上
記製膜条件において、熱処理を行う前に、ダイの中央部
にエアーを吹き込んで幅方向に延伸し、さらに引き取り
機にて巻取り速度80m/分で長手方向に延伸し、さら
にその後エアーを吹き込んだ状態で100℃で熱処理を
施して二軸延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルム
のfnは180であった。延伸フィルムの長手方向の厚
みむらは1.7%、幅方向の厚みむらは1.8%と、非
常に厚みむらの良好なフィルムが得られた。製膜速度は
80m/分であり、破れはほとんどなく、製膜安定性は
良好であった。
【0073】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表3に示す。
【0074】実施例10 実施例9と同様にして、PETGe*1.4樹脂を相互逆回転
口金より押出し、チューブ状の二軸配向キャストフィル
ムを得た。この際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量
を、0.05m3 /分とした。この際、押出機出口のポ
リマ温度は280℃、口金入口部の樹脂温度も280
℃、ランド部出口の樹脂温度は180℃であった。キャ
スト条件は実施例9と同様とした。得られたフィルムの
fnは75×10−3 であった。得られたキャストフィ
ルムの長手方向の厚みむらは1.6%、幅方向の厚みむ
らは1.7%であり、厚みむらの良好なフィルムが得ら
れた。さらに実施例9と同様の方法により長手方向、幅
方向に延伸して二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸
延伸フィルムの長手方向の厚みむらは1.8%、幅方向
の厚みむらは1.9%と厚みむらの非常に良好なフィル
ムが得られた。製膜速度は80m/分で、破れがほとん
どなく、製膜安定性は良好であった。
【0075】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表3に示す。
【0076】実施例11 押出条件を実施例9と同様とし、さらに二軸延伸フィル
ムを得る際の製膜速度を120m/分とし、その他の条
件を実施例7と同様にしてキャストフィルムおよび延伸
フィルムを得た。得られた延伸フィルムの長手方向の厚
みむらは1.9%、幅方向の厚みむらは2.0%であ
り、厚みむらの良好なフィルムが得られた。破れはほと
んどなく、製膜安定性は良好であった。
【0077】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表3に示す。
【0078】実施例12 熱可塑性樹脂を実施例4と同様PETGe*0.8とし、ラン
ド部に流す冷却用空気流量を0.05m3 /分とし、そ
の他の条件は実施例9と同様とした。この際、押出機出
口のポリマ温度は280℃、口金入口部の樹脂温度も2
80℃、ランド部出口の樹脂温度は180℃であった。
キャスト条件は実施例9と同様とした。得られたフィル
ムのfnは80×10−3 であった。得られたキャスト
フィルムの長手方向の厚みむらは1.6%、幅方向の厚
みむらは1.7%であり、厚みむらの良好なフィルムが
得られた。さらに実施例9と同様の方法により長手方
向、幅方向に延伸して二軸延伸フィルムを得た。得られ
た二軸延伸フィルムの長手方向の厚みむらは1.8%、
幅方向の厚みむらは2.0%と厚みむらの非常に良好な
フィルムが得られた。製膜速度は80m/分で、破れが
ほとんどなく、製膜安定性は良好であった。
【0079】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表3に示す。
【0080】比較例8 実施例9と同様にして、PETGe*1.4樹脂を口金より押
出した。この際、口金に流す冷却用空気流量を0.12
3 /分とした。このときの押出機出口での樹脂温度は
280℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ランド部
出口での樹脂温度は130℃であった。しかし、押出を
開始してから数分後に樹脂が口金ランド部出口付近で結
晶固化を始め、押出に要する圧力が高すぎて、遂には、
押出すことが不可能になった。
【0081】このときの原料、製膜条件を表3に示す。
【0082】比較例9 実施例12と同様にして、PETGe*1.8樹脂を口金より
押出した。この際、口金に流す冷却用空気流量を0.0
6m3 /分とした。このときの押出機出口での樹脂温度
は280℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ランド
部出口での樹脂温度は170℃であった。しかし、押出
を開始してから数分後に樹脂が口金ランド部出口付近で
結晶固化を始め、押出に要する圧力が高すぎて、遂に
は、押出すことが不可能になった。
【0083】このときの原料、製膜条件を表3に示す。
【0084】比較例10 実施例9と同様にして、PETGe*1.4樹脂を口金より押
出し、チューブ状キャストフィルムを得た。この際、口
金には冷却用空気流量を流さなかった。このときの押出
機出口での樹脂温度は280℃、口金入口部の樹脂温度
も280℃、ランド部出口での樹脂温度は278℃であ
った。得られたキャストフィルムのfnは0.6×10
−3 であり、面内にはほぼ無配向であった。またキャス
トフィルムの長手方向の厚みむらは8.2%、幅方向の
厚みむらは7.9%であり、実施例9と比較して厚みむ
らが悪化した。さらに上記製膜条件において、熱処理を
行う前に、ダイの中央部にエアーを吹き込んで幅方向に
延伸し、さらに引き取り機にて巻取り速度200m/分
で長手方向に延伸し、さらにその後エアーを吹き込んだ
状態で100℃で熱処理を施して二軸延伸フィルムを得
た。得られた延伸フィルムのfnは180であった。延
伸フィルムの長手方向の厚みむらは11.0%、幅方向
の厚みむらは10.8%と、非常に厚みむらの悪いフィ
ルムとなった。また、製膜中破れが頻繁に起こり、とて
も製膜できる状態でなかった。
【0085】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表3に示す。
【0086】比較例11 実施例9と同様にして、PETSb*0.65 樹脂を相互逆回
転口金より押出し、冷却してフィルム成形した。この
際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量を、0.04m3
/分とした。この際、押出機出口での樹脂温度は280
℃、口金入口部の樹脂温度も280℃、ランド部出口で
の樹脂温度は230℃であった。得られたチューブ状キ
ャストフィルムのfnは2.3×10−3 であり、僅か
に配向しているものの実施例9と比較するとほとんど無
配向に近いものであった。キャストフィルムの長手方向
の厚みむらは2.2%、幅方向の厚みむらは2.3%と
良好であった。さらに上記製膜条件において、熱処理を
行う前に、ダイの中央部にエアーを吹き込んで幅方向に
延伸し、さらに引き取り機にて巻取り速度175m/分
で長手方向に延伸し、さらにその後エアーを吹き込んだ
状態で100℃で熱処理を施して二軸延伸フィルムを得
た。得られた延伸フィルムのfnは180であった。延
伸フィルムの長手方向の厚みむらは5.9%、幅方向の
厚みむらは5.3%と、実施例9と比べると厚みむらの
悪いフィルムとなった。また、破れが頻繁に起こり、製
膜安定性が悪化した。
【0087】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表3に示す。
【0088】実施例13 実施例1と同様のPET/I25のペレットを120℃で
3時間真空乾燥して押出機に供給し、260℃で溶融状
態とし、フィルタを介して成形用口金に供給した。口金
は、実施例9と同様の相互逆回転口金を用いた。このと
きランド部には25℃の冷却用空気を流量0.12m3
/分通して冷却した。キャスト条件も実施例9と同様と
した。押出機から押出された温度は260℃であった。
ポリマ管通過後の口金入口部の温度も260℃であっ
た。ランド部出口での樹脂温度は110℃であった。得
られた二軸配向キャストフィルムの厚みは15μmであ
った。得られた二軸配向キャストフィルムのfnは80
×10−3 であった。また二軸配向キャストフィルムの
長手方向の厚みむらは1.6%、幅方向の厚みむらは
1.7%であり、厚みむらの良好なフィルムとなった。
さらに上記製膜条件において、熱処理を行う前に、ダイ
の中央部にエアーを吹き込んで幅方向に延伸し、さらに
引き取り機にて巻取り速度80m/分で長手方向に延伸
し、さらにその後エアーを吹き込んだ状態で100℃で
熱処理を施して二軸延伸フィルムを得た。得られた延伸
フィルムのfnは120×10−3 であり、長手方向の
厚みむらは2.1%、幅方向の厚みむらは2.2%と、
非常に厚みむらの良好なフィルムが得られた。製膜速度
は80m/分であり、破れはほとんどなく、製膜安定性
は良好であった。
【0089】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表4に示す。
【0090】実施例14 実施例13と同様にして、PET/I25樹脂を相互逆回
転口金より押出し、チューブ状の二軸配向キャストフィ
ルムを得た。この際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量
を、0.05m3 /分とした。この際、押出機出口のリ
マ温度は260℃、口金入口部の樹脂温度も260℃、
ランド部出口の樹脂温度は150℃であった。キャスト
条件は実施例7と同様とした。得られたフィルムのfn
は66×10−3 であった。得られたキャストフィルム
の長手方向の厚みむらは2.1%、幅方向の厚みむらは
2.2%であり、厚みむらの良好なフィルムが得られ
た。さらに実施例7と同様の方法により長手方向、幅方
向に延伸して二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延
伸フィルムのfnは95×10−3 であり、長手方向の
厚みむらは2.7%、幅方向の厚みむらは2.9%と厚
みむらの非常に良好なフィルムが得られた。製膜速度は
80m/分で、破れがほとんどなく、製膜安定性は良好
であった。
【0091】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表4に示す。
【0092】実施例15 押出条件を実施例13と同様とし、さらに二軸延伸フィ
ルムを得る際の製膜速度を120m/分とし、その他の
条件を実施例13と同様にしてキャストフィルムおよび
延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムのfnは1
45×10−3であり、長手方向の厚みむらは2.5
%、幅方向の厚みむらは2.7%であり、厚みむらの良
好なフィルムが得られた。破れはほとんどなく、製膜安
定性は良好であった。
【0093】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表4に示す。
【0094】実施例16 熱可塑性樹脂として、実施例8で用いたのと同様のPE
T/I17.5を用いた。実施例13と同様にして、PET
/I17.5樹脂を相互逆回転口金より押出し、チューブ状
の二軸配向キャストフィルムを得た。口金に流す樹脂冷
却用の空気流量は、0.04m3 /分とした。この際、
押出機出口の樹脂温度は270℃、口金入口部の樹脂温
度も270℃、ランド部出口での樹脂温度は148℃あ
った。得られたキャストフィルムのfnは65×10
−3 であり、実施例7に比べると配向が若干小さくなっ
た。また得られたキャストフィルムの長手方向の厚みむ
らは2.2%、幅方向の厚みむらが2.3%であり、厚
みむらの良好なフィルムが得られた。さらに実施例13
と同様の方法により長手方向、幅方向に延伸して二軸延
伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムのfnは
90×10−3 であり、長手方向の厚みむらは2.3
%、幅方向の厚みむらは2.5%と厚みむらの非常に良
好なフィルムが得られた。製膜速度は80m/分で、破
れがほとんどなく、製膜安定性は良好であった。
【0095】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表4に示す。
【0096】比較例12 実施例13と同様にして、PET/I25樹脂を相互逆回
転口金より押出し、チューブ状の二軸配向キャストフィ
ルムを得た。この際、口金に冷却用の空気流量を流さな
かった。このときの押出機出口での樹脂温度は260
℃、口金入口部の樹脂温度も260℃、ランド部出口で
の樹脂温度は258℃であった。得られたキャストフィ
ルムのfnは0.2×10−3 であり、面内にはほぼ無
配向であった。またキャストフィルムの長手方向の厚み
むらは8.9%、幅方向の厚みむらは9.3%であり、
実施例13と比較して厚みむらが悪化した。さらに上記
製膜条件において、熱処理を行う前に、ダイの中央部に
エアーを吹き込んで幅方向に延伸し、さらに引き取り機
にて巻取り速度175m/分で長手方向に延伸し、さら
にその後エアーを吹き込んだ状態で100℃で熱処理を
施して二軸延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルム
のfnは120であった。得られた二軸延伸フィルムの
長手方向の厚みむらは10.5%、幅方向の厚みむらは
11.0%であり、非常に厚みむらの悪いフィルムとな
った。製膜速度は175m/分であり、破れが頻繁に起
こり、製膜安定性が悪化した。
【0097】かくして得られたフィルムの原料、製膜条
件およびフィルム物性を表4に示す。
【0098】比較例13 実施例13と同様にして、PET/I25樹脂を相互逆回
転口金より押出し、冷却してフィルム成形した。この
際、口金に流す樹脂冷却用の空気流量を、0.20m3
/分とした。この際、押出機出口での樹脂温度は260
℃、口金入口部の樹脂温度も260℃、ランド部出口で
の樹脂温度は55℃であった。しかし、樹脂の流動性が
悪化し、遂には、押出すことが不可能になった。
【0099】このときの原料、製膜条件を表4に示す。
【0100】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0101】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の熱可塑性樹脂フィルムは、その製造プロセスが大幅に
簡略化され、そのため高速化して際の工程安定化が飛躍
的の向上し、制御面においても容易となる。しかもフィ
ルムの厚み均一性が顕著に改善され、二次加工時の蛇行
やしわなどのトラブルを回避することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を加熱溶融して口金へ導
    き、溶融押出した後急冷固化して得られたキャストフィ
    ルムにおいて、該フィルムの面配向係数(fn)が10
    ×10−3 ≦fn≦200×10−3 であることを特徴
    とする熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 フラットダイを用いて溶融押出した後、
    急冷固化して得られたシート状フィルムにおいて、該フ
    ィルムの複屈折Δnが10×10−3 ≦Δn≦120×
    10−3 であることを特徴とする請求項1に記載の熱可
    塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 キャストフィルムにおいて、配向の主軸
    が長手方向であることを特徴とする請求項2に記載の熱
    可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    熱可塑性樹脂フィルムを、長手方向および/または幅方
    向に延伸してなる熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 相互逆回転口金を用いて溶融押出した
    後、急冷固化して得られたチューブ状熱可塑性樹脂フィ
    ルムにおいて、該フィルムの面配向係数(fn)が10
    ×10−3 ≦fn≦200×10−3 であることを特徴
    とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のチューブ状熱可塑性樹
    脂フィルムをさらに、長手方向および/または幅方向に
    延伸してなる熱可塑性樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂の溶融押出法において、該
    樹脂を押出機内で融解終了温度(Tme)以上に加熱溶
    融した後、押出機を出てダイのスリットから吐出するま
    での工程で、該樹脂を融解ピーク温度Tmを下回り、T
    cbを超える温度以上に冷却して押出し、分子配向させ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記
    載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂の溶融押出法において、該
    樹脂を押出機内で融解終了温度(Tme)以上に加熱溶
    融して口金に送り込み、口金内マニホールドで目的形状
    に拡幅、成形した後、口金のランド部において該樹脂を
    融解ピーク温度Tmを下回り、Tcbを超える温度以上
    に冷却して押出し、分子配向させることを特徴とする請
    求項7に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂であ
    ることを特徴とする請求項7〜請求項8のいずれかに記
    載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフ
    タレート樹脂であって、該樹脂の降温結晶化開始温度
    (Tcb)が200℃以下であることを特徴とする請求
    項7〜請求項9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  11. 【請求項11】 熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテレフ
    タレート樹脂であって、該樹脂の降温結晶化開始温度
    (Tcb)が160℃以下であることを特徴とする請求
    項7〜請求項9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  12. 【請求項12】 熱可塑性樹脂が、直重合により合成さ
    れたポリエチレンテレフタレート樹脂であって、重合時
    の金属触媒にゲルマニウム系であることを特徴とする請
    求項10に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂が、直重合により合成さ
    れたポリエチレンテレフタレート樹脂であって、さらに
    固有粘度(IV)が0.75以上であることを特徴とす
    る請求項10〜請求項12のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂フィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 結晶融解エネルギー(ΔHu)が35
    J/g未満である熱可塑性樹脂の溶融押出法において、
    該樹脂を押出機内でガラス転移温度(Tg)+100℃
    以上の温度で加熱溶融した後、押出機を出て、ダイのス
    リットから吐出するまでの工程で、該樹脂をTg+25
    0℃を下回り、Tgを超える温度以上に冷却して押出
    し、分子配向させることを特徴とする請求項1〜請求項
    6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方
    法。
  15. 【請求項15】 結晶融解エネルギー(ΔHu)が0<
    ΔHu(J/g)<35である熱可塑性樹脂の溶融押出
    法において、該樹脂を融解終了温度(Tme)以上に加
    熱溶融した後、押出機を出てダイのスリットから吐出す
    るまでの工程で、該樹脂をTmを下回り、Tgを超える
    温度以上に冷却して押出し、分子配向させることを特徴
    とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の熱可塑性
    樹脂フィルムの製造方法。
  16. 【請求項16】 結晶融解エネルギー(ΔHu)が0<
    ΔHu(J/g)<35である熱可塑性樹脂の溶融押出
    法において、該樹脂を融解終了温度(Tme)以上に加
    熱溶融して口金に送り込み、口金内マニホールドで目的
    形状に拡幅、成形した後、口金のランド部において該樹
    脂をTmを下回り、Tgを超える温度以上に冷却して押
    出し、分子配向させることを特徴とする請求項15に記
    載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  17. 【請求項17】 結晶融解エネルギー(ΔHu)が0<
    ΔHu(J/g)<20である熱可塑性樹脂であること
    を特徴とする請求項14〜請求項16のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  18. 【請求項18】 熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂で
    あることを特徴とする請求項14〜請求項17のいずれ
    かに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  19. 【請求項19】 熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタ
    レート樹脂であることを特徴とする請求項14〜請求項
    18のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方
    法。
  20. 【請求項20】 熱可塑性樹脂が、イソフタル酸成分
    (IPA)を少なくとも10mol%以上共重合したポ
    リエステル樹脂であることを特徴とする請求項14〜請
    求項13のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製
    造方法。
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