JPH09295344A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JPH09295344A
JPH09295344A JP9049243A JP4924397A JPH09295344A JP H09295344 A JPH09295344 A JP H09295344A JP 9049243 A JP9049243 A JP 9049243A JP 4924397 A JP4924397 A JP 4924397A JP H09295344 A JPH09295344 A JP H09295344A
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stretching
film
thermoplastic resin
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temperature
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JP9049243A
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Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
Kenji Tsunashima
研二 綱島
Tetsuya Yamagata
哲也 山形
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】1段目の延伸をした後に、該1段目の延伸
方向と直角方向に2段目の延伸をして二軸に配向させる
フィルムの製造方法において、該1段目の延伸前のフィ
ルム形状因子Dが3以下であるフィルムを用いることを
特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。ただし、
フィルム形状因子Dは、フィルム端部の最大厚みdeに
対するフィルム中央部の平均厚みdcとの比率(de/
dc)である。 【効果】長手方向の延伸での幅収縮率が小さくなり、ま
た、二軸配向フィルムの幅方向の物性むらが小さく、厚
み均一性も顕著に改善された生産性の高いフィルムの製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法に関わるものである。更に詳しく言えば、
フィルムの生産性を向上させ、しかも厚みむらの少な
い、平面性に優れた品質の高い熱可塑性樹脂フィルムの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性樹脂フィルムを製造する
方法として、Tダイ口金から押出成形されたエッジ(端
部)の付いたフイルムを延伸する方法が広く用いられて
いる。このエッジは長手方向延伸時の幅収縮を防止する
ために必要なものであり、エッジの厚みを厚くすること
により剛性を高め、延伸時の幅収縮を防止する。
【0003】より具体的には、例えば、高強度フィルム
を製造するにあたり、各種方法が検討され、かつまた、
実施されている。例えば、最も一般的に用いられている
方法は(株)技術情報協会発行の「PETフィルム」1
36頁に記載のように、従来の縦延伸、横延伸を行った
後に、さらに再度縦延伸および/または横延伸を行う方
法が挙げられる。しかし、本方法は、該書に記載のとお
り、既に二軸配向したフィルムを幅収縮を抑えて安定に
再延伸するために多くの困難を伴い、特に、エッジの厚
みを厚く成形する必要がある。そこで最近では、例え
ば、特公平4−455号公報や特開昭61−24282
4号公報のように、再縦延伸や再横延伸工程を用いず
に、その代りに縦延伸を多段階で行うことにより、高強
度フィルムを得る方法が提案されている。しかしなが
ら、このような方法においても、多段階の縦延伸をする
ために幅収縮を抑えるために、エッジの厚みを厚く成形
する必要性は変わらない。
【0004】一方、生産性を高めるために、フィルムの
製造速度を高める検討がなされ、例えば、特開昭49−
44084号公報に記載のように、縦延伸を多段階で行
うことにより縦延伸倍率を高め、その結果として製造速
度を高める方法が挙げられる。このような方法において
も、前述と同じように多段階の延伸における幅収縮を抑
えるために、エッジの厚みを厚く成形する必要がある。
【0005】ところで、熱可塑性樹脂フィルムを延伸す
る場合、「機械的に延伸した倍率に応じて均一に延伸さ
れる、いわゆるドロー延伸」と、「ある一点にくびれが
生じ、そのくびれが伝搬しながら延伸されていく、いわ
ゆるネッキング延伸」と呼ばれる延伸形態が存在する。
一般的なフィルムの延伸はドロー延伸によって行われて
おり、ネッキング延伸の適用例は知られていない。しか
しながらネッキング延伸自体は広く公知の延伸形態であ
り、例えば、共立出版(株)発行の高分子学会編「ファ
イバーをつくる」27頁に記載のように、紡糸において
は、紡糸速度を高速化することにより、ネッキング延伸
が発現することが知られており、実際に紡糸の生産工程
においても採用されている。また、例えば、ポリエステ
ルフィルムにおいて、成形加工学会誌の「成形加工」第
4巻9号(1992年)583頁に記載のように、ネッ
キング延伸現象の解析などが行われているが、フィルム
の場合、紡糸と異なり、二軸に延伸する工程のため、実
際の製造工程には未だ適用されていないのが現状であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、中央の
厚みに比較してエッジ厚みは5〜10倍も厚いために、
エッジと中央部の境界領域で延伸挙動に差が出来、その
結果、延伸時の破れが発生しやすく、さらにエッジと中
央部との熱収縮などの特性に差が有るために製品の平面
性などの特性に悪い影響を及ぼす。また、エッジ部は最
終的に製品とはならないために、エッジを厚くするほど
収率が低下し、生産性が悪化する。ところが、エッジの
ない状態で延伸すれば、幅収縮が大きく幅方向で均一な
品質を有したフイルムを得ることが困難となる。
【0007】本発明は、延伸しても生産性にすぐれ、し
かも品質の均一なフイルムを提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、1段目の延伸
をした後に、該1段目の延伸方向と直角方向に2段目の
延伸をして二軸に配向させるフィルムの製造方法におい
て、該1段目の延伸前のフィルム形状因子Dが3以下で
あるフィルムを用いることを特徴とする熱可塑性樹脂フ
ィルムの製造方法である。
【0009】ただし、フィルム形状因子Dは、フィルム
端部の最大厚みdeに対するフィルム中央部の平均厚み
dcとの比率(de/dc)である。
【0010】ここでいうところのフィルム端部の最大厚
みdeとは、フィルム端部近傍で最も厚みの厚い部分の
フィルム厚みであり、フィルム中央部の平均厚みdcと
は、フィルム端部から幅方向に30mm離れた点から、
反対側のフィルム端部から幅方向に30mm離れた点ま
での距離にあるフィルム厚みの平均値を表す。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細に述べる。本
発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィ
ン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ
メチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベ
ンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレ
ンテレフタレート、および共重合成分として、例えば、
ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリ
アルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン
酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共
重合したポリエステルなどのポリエステル樹脂、その
他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹
脂などを用いることができる。特に、本発明において
は、ポリエステルを用いた場合にその効果が高く、好ま
しい。中でも、ポリエチレン−2,6−ナフタレートや
ポリエチレンテレフタレートが好ましく、特にポリエチ
レンテレフタレートは、安価であるため、非常に多岐に
わたる用途で用いられ、応用・適用効果が高い。また、
これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合または
ブレンドであってもよい。特に、該ポリエステル樹脂
が、液晶性を有する液晶ポリエステルを0.1〜25重
量%、好ましくは0.3〜10重量%、さらに好ましく
は0.5〜5重量%含有する場合は、延伸性が向上し、
本発明の効果を最大限に発揮するので好ましい。含有量
が25重量%を超えると透明性などを阻害するため好ま
しくなく、逆に0.1重量%未満であると延伸性向上効
果が得られない。ここで液晶ポリエステルとは、主鎖お
よび/または側鎖にメソーゲン基を有し、溶融成形性で
あり、かつ液晶成形性であるポリエステルをいう。さら
に、これらの樹脂の中に、各種添加剤、例えば、酸化防
止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、減粘剤、熱安
定剤、滑剤などが添加されていてもよい。
【0012】本発明の熱可塑性樹脂フイルムの1段目の
延伸は、ネッキング延伸のように非常に狭い延伸区間で
の延伸でなければならない。ネッキング延伸とは、延伸
されるところと延伸されないところの境界が生じ、その
境界部にくびれができ、これがだんだん広がっていく延
伸で、また別の表現をとると、ある一点にくびれが生
じ、そのくびれが伝搬しながら延伸されていく延伸形態
であり、延伸区間が非常に狭いために、通常の延伸のよ
うに機械的に設定された広い延伸区間での延伸ではな
く、延伸点が延伸方向と直角の横一線で起こる様な延伸
方式である。その延伸状態が人間の首の様に急激に細く
なることから、ネッキング延伸と呼ばれる。ネッキング
延伸することによる利点として、極短いくびれ部分で制
御される延伸形態であるため、通常のドロー延伸に比較
して延伸に伴う幅の収縮(ネックダウン、ネックインな
どと呼ぶ)が10%以下と非常に小さくなること、さら
に切り落とされて屑となるエッジ部の量が減少すること
が可能となり、生産収率を高めることが可能となる。
【0013】一般に、熱可塑性樹脂フィルムを長手方向
に延伸するには、特公昭30−5639号公報などに示
されたように、その熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移
温度以上で、その結晶化温度以下の温度で延伸区間内で
均一に延伸すること行われてきた。このように、延伸区
間内で均一に延伸すると、延伸方向と直角方向にも延伸
張力がかかるために、幅収縮率として10%を超える様
な幅収縮を起こすなど種々の欠点が生じるが、前述のよ
うなネッキング延伸のように狭い延伸区間で延伸をすれ
ば延伸方向と直角方向に延伸張力がほとんどかからない
ために殆ど幅収縮がおこらず、幅収縮率として10%以
下と非常に小さくなるわけである。ここで、延伸前のフ
ィルム形状因子Dが3を超える厚みを有したエッジを用
いても、ネッキング延伸を適用することにより幅収縮は
抑えられるわけではあるが、エッジが厚いために、本発
明の目的である生産性の向上や幅方向で品質の均一なフ
ィルムが得られないものである。
【0014】このネッキング延伸は、変形(延伸)速
度、延伸温度、延伸湿度、樹脂フイルムの厚さ、および
その厚さむら、樹脂の種類などに大きく左右されるので
ある。フィルムの長手方向のネッキング延伸の場合、延
伸速度が比較的ゆっくりしているので、該熱可塑性樹脂
のガラス転移温度以下にする必要がある。もちろん、現
行の延伸速度を1桁以上速くするとガラス転移温度以上
でもネッキング延伸は可能となる。また、該ネッキング
延伸前のフィルムの該延伸方向の厚みむらは、7%以下
が好ましく、さらに好ましくは5%以下、より好ましく
は3%以下である。この厚みむらが、7%を超えるとネ
ッキング延伸が均一に行われず、延伸後のフィルムの厚
みむらの悪いものになり、実用上使用が限定されること
になる。
【0015】さらにネッキング延伸前の分子配向は、複
屈折の値として0.01〜10(×10−3 )が好まし
く、0.1〜6(×10−3 )の範囲にある程度微配向
していることがさらに好ましく、複屈折の値として0.
01(×10−3 )未満であると、ネッキング延伸が実
用速度で安定した延伸が出来ないためである。これらの
微配向を得る方法の一つとして過冷却押出した溶融体フ
ィルムを引き落し微配向さす方法、すなわち、熱可塑性
樹脂を融解終了温度Tme以上に加熱溶融し、その後該
樹脂を融解終了温度Tme未満、降温結晶化温度Tcb
以上に過冷却して口金から押出すとともに該過冷却溶融
体フィルムを引き延ばすことにより微配向させたフィル
ムを1段目のネッキング延伸に供するのである。別の方
法として、通常の延伸温度より少し高温で1段目の延伸
方向と同じ方向に微延伸して複屈折の値として0.01
〜10(×10−3 )の範囲に微配向させてもよい。
【0016】また、ネッキング延伸の安定性を向上させ
るために、1段目の延伸前のフィルムのガラス転移温度
が熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも10℃低い温度
以下であることが好ましい。延伸されるフィルムの見か
け上のガラス転移温度を低下させることにより、分子の
運動性が高まり、安定して延伸可能となる。ここで、見
かけ上のガラス転移温度を低下させるためには、炭酸ガ
スや水にフィルムを吸収させることにより達成すること
が可能となる。
【0017】一方、ガラス転移温度以下にしてネッキン
グ延伸を発現させる代わりに、通常の延伸同様にガラス
転移温度以上に加熱しながら、しかし、延伸区間を非常
に狭くすることにより、ネッキング延伸的な延伸とな
し、幅収縮を抑えることも好ましい。このときに、該1
段目の延伸を好ましくは30mm以下、さらに好ましく
は20mm以下、より好ましくは10mm以下の非常に
狭い延伸区間とすることが好ましい。延伸区間を30m
m以下とすることで、ネッキング延伸に相当するような
非常に小さな幅収縮量とすることが可能となる。このよ
うな狭い延伸区間を実現するには、該延伸を集光形ラジ
エーションヒーターおよび/または風速10m/秒以
上、好ましくは30m/秒以上の加熱空気を用いて、急
速に、延伸区間を非常に狭くして加熱後、1段目の延伸
をして本発明の熱可塑性フィルムを得ることが好まし
い。また、該1段目の延伸において通常の延伸同様にフ
ィルムのガラス転移点温度以上に加熱し、延伸開始点か
ら、20℃/秒以上の速度で冷却することも好ましい。
機械的な延伸区間が長くても、延伸が開始されると同時
に急速に冷却することにより、延伸を終了させ、見かけ
上の延伸区間を非常に狭くすることが可能となる。冷却
速度を20℃/秒以上とすることにより、ネッキング延
伸に相当するような非常に小さな幅収縮量とすることが
可能となる。
【0018】また、該1段目の延伸に圧延、すなわち少
なくとも2本以上の金属ロール間にフィルムを線圧1ト
ン/cm程度の圧力で挟み込み、金属ロールでフィルム
を薄化押出し、分子配向させる方法をも用いることもで
きる。この時、金属ロール間に潤滑剤としてエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、水、界面活性剤を
含んだ水などをもちいると、比較的小さな線圧で圧延が
可能になる。また、金属ロールを必要に応じて加熱して
もよい。
【0019】一方、本発明により得られる二軸配向フィ
ルムの主軸は長手方向に存在することが好ましい。従
来、長手方向に主軸を有する強力化フィルムを得るため
には、前述のように二軸延伸後に再延伸を行ったり、長
手方向の延伸を多段延伸で行うために、幅方向の収縮が
大きく、生産性が低下していた。本発明の方法を用いる
ことにより、特に長手方向に主軸を有する二軸配向フィ
ルムを得るためには、1段目の延伸後の複屈折Δnは、
0.13を超えていることが好ましい。さらに好ましく
は、0.15を超えるものである。この複屈折Δnが低
いと二軸配向フィルムの主軸が、延伸方法によらず長手
方向に存在しなくなりやすく、また二軸延伸後の長手方
向のフィルムの強度が十分でなくなるためである。さら
に、本発明においては、1段目の延伸後の密度dが13
65(kg/m3 )未満であることが好ましい。さらに
好ましくは、1355(kg/m3 )未満である。密度
dが高まると、結晶化が進みすぎるため、2段目の幅方
向延伸性を悪化させ、遂には延伸できずに破断して破れ
てしまうものである。
【0020】なお、本発明における二軸配向したフィル
ムとは、長手方向、および/または幅方向に延伸・圧延
し、分子配向を与えたフィルムを言う。また、再び長手
および/または幅に延伸操作をかけて、高強度な配向を
付与してもよい。
【0021】また、本発明における長手延伸とは、フィ
ルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸・圧延等
の操作を言い、この延伸は1段階で行ってもよく、ま
た、複数本のロール対等で多段階で行ってもよい。延伸
の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜
15倍程度である。特にポリエチレンテレフタレートを
用いた場合、2〜8倍程度である。また、本発明におけ
る幅方向延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるた
めの延伸を言い、通常は、テンターを用いて、フィルム
の両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延
伸する。延伸の倍率としては、樹脂の種類により異なる
が、通常2〜12倍程度である。なお、延伸の後に、そ
の歪みを除去するために、熱処理(熱固定)を行うこと
もしばしば行われる。熱処理の温度としては、延伸温度
から樹脂の融点近傍までの様々な温度が用途に応じて採
用される。
【0022】次に、本発明のフィルムの製造方法につい
て説明するが、必ずしもこれに限定されるものではな
い。
【0023】まず、熱可塑性樹脂の原料をペレットなど
の形態で用意し、必要に応じて、事前乾燥を熱風中、あ
るいは真空下で行い、押出機に供給する。押出機内にお
いて、融点以上に加熱溶融された樹脂は、溶融状態でフ
ィルタ、ギアポンプ等を連結する加熱されたパイプ中を
通り異物を除去される。この際、ギアポンプを連結する
ことで樹脂の押出量の均一性が向上し、厚みむらの低減
に効果が高い。しかし、ギアポンプにより改善される厚
みむら成分は、波数0.10(1/m)以下といった長
周期の成分であり、ギアポンプの導入だけでは、厚みむ
ら成分の低減は達成できない。押出機よりダイ(口金)
に送られた樹脂はダイで目的の形状に成形された後、吐
出される。この吐出の際の樹脂温度は、通常、融解終了
温度(Tme)以上である。しかし、溶融樹脂の冷却
を、最も間隙の狭い部分であるダイの出口直前のランド
部で行い、熱交換効率を高くして融解終了温度(Tm
e)以下に冷却した後、ダイから過冷却体を高速で引き
取り、該溶融体に複屈折の値として0.01〜10(×
10−3 )程度の範囲に微配向させて、1段目のネッキ
ング延伸を安定させることが出来る。ここでダイとして
は、特に限定はされないが、例えば、澤田慶司著「プラ
スチックの押出成形とその応用」((株)誠文堂新光
社)に説明されているような、内部に円筒状の溝(マニ
ホルド)を有するマニホルドダイ(Tダイとも言う)、
魚の尾のような形状をしたフィッシュテールダイ、その
中間の形状をしたコートハンガダイのいずれでもよい。
フラットダイは、通常、溶融樹脂を幅方向に広げるダイ
ホッパと呼ばれる部分と、樹脂を幅方向に広げた後、目
的の形状に成形する最終部分であり、一定のスリット間
隙を有する平行部分であるランド部と呼ばれる部分から
構成される。樹脂はこのランド部を通過した直後に大気
に解放され、キャスティングドラム上に押出される。
【0024】ダイより吐出される樹脂の温度は、通常、
融解終了温度(Tme)以上であるが、融解終了温度
(Tme)未満、樹脂が結晶性の場合は降温結晶化開始
温度(Tcb)を超える温度範囲で行うことが出来る。
これは、高分子樹脂の場合、溶融状態にある樹脂をTm
e未満に冷却しても短時間では固化しない、いわゆる過
冷却の液相状態を保つためである。しかも、この状態の
樹脂は粘度が高く、引き落しにより分子配向するばかり
か、ダイと冷却ドラム間の膜振動や外乱に対して安定で
あり、厚みむらの小さなフィルムを得ることもできる。
ダイのランド部の冷却手段としては、特に限定はしない
が、例えば、ランド部に冷却のための孔を設け、その中
に冷媒を通す方法がある。冷媒としては、空気、または
水など各種液体状の冷媒を用いることができ、冷媒の温
度、流量をコントロールすることによって、所望の温度
に設定することができる。このようなダイを用いれば、
現行のフィルムの製造に用いている樹脂、装置がそのま
ま使える。また、冷却は樹脂のTcb以上までに止める
ことが好ましい。Tcbよりも低い温度になると樹脂は
結晶化し始め、押出されたフィルムの表面荒れ、押出異
常、流れむらを生じたり、経時で固化し、もはや通常の
押出機では押出困難となるため好ましくない。ダイのラ
ンド部で樹脂を融点以下まで冷却するわけであるが、そ
の際に重要なことは、樹脂を決して固化させないという
ことである。高分子の過冷却状態を利用して、融点以下
であるが、液相状態で押出すことが重要である。なお、
融解終了温度(Tme)、降温結晶化開始温度(Tc
b)は示差走査熱量計(DSC)によって決定すること
ができる。DSCとは熱分析で通常用いられており、物
質の融解、結晶化、相転移、熱分解等の状態変化に伴う
吸熱、発熱を測定する方法である。DSCにて熱可塑性
樹脂の昇温時の融解温度、降温時の結晶化温度を測定す
る場合、公知の方法を用いることができる。
【0025】ダイから吐出されたシート状の溶融樹脂
は、静電気を印加してドラム上に密着させ、キャスティ
ングドラム上で冷却固化され、フィルムに成形さる。こ
の時に得られた複屈折の値として0.01〜10(×1
−3 )程度の範囲に押出時に微配向させておくことが
本発明の一実施態様として好ましい。もちろん、キャス
ト後に予備延伸して上記配向のフィルムを得てもよい。
さらに、若干の結晶性、すなわち結晶化度にして0.5
〜15(%)の結晶化を有するフィルムにしておくこと
が有効である。ここで、上述の様な結晶化度を得るため
に、キャストフィルムをオーブンやロール上で熱処理、
結晶化させることが行われ、この際の熱処理の温度とし
ては、該樹脂のガラス転移温度をTg、融点をTmとす
ると、好ましくは(Tg+10℃)以上、(Tm−50
℃)以下、さらに好ましくは(Tg+20℃)以上、
(Tm−100℃)以下が用いられる。
【0026】このようにして得られたキャストフィルム
の延伸方向の厚みむらは、好ましくは7%以下、さらに
好ましくは5%以下である。
【0027】次に、1段目の延伸を該ポリエステルのガ
ラス転移温度未満の温度で行うことが幅収縮率が10%
以下と小さくなり好ましい。通常の一軸目の延伸は、ガ
ラス転移点以上の温度で行い、均一に延伸しているもの
であるが、本発明者らの検討結果では、ガラス転移温度
以上で延伸した場合、分子運動が活発化しているため、
延伸に伴い、分子配向が進むと共に、安定な結晶構造を
形成するため、長手方向に主軸を有するような長手方向
に強力化したフィルムを得ようとした場合、1段目の延
伸で高度に配向させるために、もはや2段目の幅方向の
延伸を阻害する程度まで結晶化が進行することが明らか
となった。そこで、本発明者らは、高い配向を付与して
も、二軸目の延伸性を保たせるために結晶化を進めない
延伸方法の一つとして、ガラス転移温度未満の延伸方法
や、30mm以下の狭い延伸区間で延伸する方法や、集
光形ラジエーションヒーターおよび/または風速10m
/秒以上の加熱空気で狭い延伸区間を加熱して延伸する
方法、さらに圧延方法などが有効なことが分かった。特
に、ネッキング延伸は、延伸前のフィルムの初期状態を
最適化することにより、安定した生産の可能なネッキン
グ延伸方法が可能となったのである。
【0028】しかも、このようにして得られた1段目延
伸フィルムの複屈折Δnと密度d(kg/m3 )の関係
は、2.14d/1000−2.78≦Δn≦2.14
d/1000−2.71なる範囲内にあると、安定した
二軸延伸フィルムの得られることも明らかとなった。こ
の延伸に好ましい温度範囲は、ガラス転移温度未満の中
でも、特に(ガラス転移温度Tg−50℃)以上、ガラ
ス転移温度Tg未満が好ましく、また、延伸前のフィル
ム初期状態としては、限りなく非晶状態に近い構造、す
なわち、できる限り密度の低い状態であることが好まし
い。そのために、キャスティングドラムへの密着性を高
め、できる限り急冷固化させることが好ましい。この
時、キャスティングドラム上に水膜を介在させることに
より、あるいは延伸前に水の中を通すなどして、フィル
ムに若干、水を含ませると、水による可塑化効果によ
り、ネッキング延伸の安定性が高まることがあり好まし
い。
【0029】このようなネッキング延伸を行う場合、そ
の延伸倍率は、くびれて急激な延伸が起っているネッキ
ング部の分子鎖のほぐれ具合で決まるため、外部的な設
定延伸倍率では制御することができない。すなわち、こ
のネッキング延伸の分子状態で決まる倍率を自然延伸倍
率と呼ぶが、設定延伸倍率が自然延伸倍率未満である
と、フィルムに延伸された部分と延伸されずに残った部
分とが混在することになり、好ましくない。そこで、設
定延伸倍率は自然延伸倍率以上であることが好ましい。
特に、長手方向延伸にこのネッキング延伸を適用した場
合、重要である。ただし、設定延伸倍率が自然延伸倍率
より大きくなりすぎると、破断の原因となるため好まし
くなく、好ましい設定延伸倍率は、自然延伸倍率以上で
あり、(1.3×自然延伸倍率)以下である。ここで、
自然延伸倍率は、樹脂の種類や延伸条件により異なる
が、4〜6倍程度となるために、通常の延伸に比較し、
1段階の延伸で高い延伸倍率を稼ぐことが可能となる。
通常の延伸においては、二軸延伸性を保つために、一軸
目の延伸を1段階で行う場合、せいぜい4倍までしか延
伸倍率を高めることができない。このために多段階に延
伸を組み合わせて、7〜8倍程度までの延伸倍率を達成
しているが、本発明のネッキング延伸方法を用いると、
1段階の延伸で、二軸延伸性を保ったまま、6倍程度の
高い長手方向延伸倍率を得ることができる。
【0030】さらにネッキング延伸方法を用いることに
よる利点として、極短いくびれ部分で制御される延伸形
態であり、通常のドロー延伸に比較し延伸区間が非常に
短いため、延伸に伴う幅の収縮(ネックダウン、ネック
インなどと呼ぶ)が10%以下と非常に小さくなること
が挙げられる。すなわち、通常のドロー延伸において
は、ネックダウン防止のために、フィルムの両端のエッ
ジ部の厚みを厚く成形し、延伸時に支えとなってネック
ダウンを抑えることが行われているが、ネックダウン量
は10%以下に小さくならず、このため切り落とされて
屑となるエッジ部の量も多く、収率を低下させているの
が現状である。
【0031】また、ネッキング延伸の安定性を向上させ
るために、1段目の延伸前のフィルムのガラス転移温度
が熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも10℃低い温度
以下とする方法として、炭酸ガスや水を吸収させる方法
も好ましい。そのために、押出機内に炭酸ガスを注入す
る方法や、成形された未延伸フィルムを水浴中に導いた
り、圧力のかかった炭酸ガスの充満した工程を通すなど
の方法を採用することができる。
【0032】また、見かけ上の延伸区間を非常に狭く
し、ネッキング延伸に相当するような非常に小さな幅収
縮量とするために、冷却速度を20℃/秒以上とするた
めには、加熱された延伸ロールを出たフィルムを水浴に
導き急冷する方法、あるいは、液体窒素等を吹き付ける
方法などを採用することができる。
【0033】このようにして得られた1段目の長手方向
延伸フィルムを2段目の幅方向の延伸を行うわけである
が、好ましい形態は、2段目の延伸をテンターで横延伸
するものである。ここで、2段目の延伸温度は、該ポリ
エステルのガラス転移温度以上、(ガラス転移温度Tg
+30℃)未満であることが好ましい。ここで、ガラス
転移温度Tg未満であると、もはや1段目の延伸で高い
配向を有しており、また、ある程度の結晶化度が付与さ
れているために、2段目の延伸は不可能となってしま
う。一方(ガラス転移温度Tg+30℃)を超えると、
1段目延伸されたフィルムの配向が非常に高いために、
フィルムの結晶化速度が非常に速くなっており、2段目
延伸の予熱中に熱による結晶化が急激に進むため、2段
目の延伸時に破れたり、厚みむらが大きくなったりし
て、2段目の延伸が不可能になる。
【0034】このようにして得られた二軸配向フィルム
は、必要に応じて、その熱寸法安定性を付与するため
に、テンターで把持したまま、緊張状態で、適当な温度
で熱処理を行うことも好ましい。さらに、熱処理後、冷
却しながら寸法を縮めるリラックス処理を行うことで、
より高い熱寸法安定性が得られるので好ましい。ただ
し、熱寸法安定性を追求するあまり、高すぎる熱処理温
度、また、大きすぎるリラックス処理を行うと、強度の
低下を引き起こすので好ましくない。
【0035】このようにして得られたフィルムは、室温
まで徐冷してから、ワインダーにて巻取り、製品とな
る。
【0036】
【物性値の評価方法】
(1)熱特性 示差走査熱量計として、セイコー電子工業(株)製“ロ
ボット”DSC RDC220を用い、データ解析装置
として、同社製ディスクステーション SSC/520
0を用いて、サンプル約10mgをアルミニウム製の受
皿上300℃で5分間溶融保持し、液体窒素で急冷固化
した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。この
時観測されるガラス転移温度のピーク温度をTg、融解
吸熱ピークの開始温度をTmb、ピーク温度をTm、ピ
ーク終了温度をTmeとした。また、サンプル5mgを
300℃で5分間溶融保持した後、降温速度20℃/分
で降温した。この際観測される降温結晶化発熱ピークの
開始温度をTcb、ピーク温度をTc、ピーク終了温度
をTceとした。
【0037】また、フィルムのガラス転移温度は工程で
採取したフィルムを上述の300℃保持および液体窒素
冷却を行わず、直接昇温速度20℃/分で昇温してガラ
ス転移温度を測定した。熱可塑性樹脂のガラス転移温度
は、上述の300℃保持後、液体窒素急冷した後の測定
値を用いた。
【0038】(2)フィルムの長手方向厚みむら アンリツ(株)製フィルムシックネステスタ KG60
1Aおよび電子マイクロメータ K306Cを用い、フ
ィルムの縦方向に30mm幅、10m長にサンプリング
したフィルムを連続的に厚みを測定する。フィルムの搬
送速度は3m/分とした。10m長での厚み最大値Tma
x (μm)、最小値Tmin (μm)から、 R=Tmax −Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave (μm)から 厚みむら(%)=(R/Tave )×100 として求めた。
【0039】(3)複屈折 ベレックコンペンセータを装備した偏光顕微鏡により、
フィルムのリターデーションRdを求めた。Rdをフィ
ルムの厚みで割り、複屈折とした。
【0040】(4)樹脂温度 ダイ内の樹脂温度は、測定したい個所に棒状の熱電対を
挿入する孔を開けて、熱電対を挿入し、樹脂の漏れを防
ぐシールを施して測定した。また、ダイのランド部出口
の温度は、吐出される樹脂の温度をダイの直下で熱電対
により測定した。
【0041】(5)フィルム温度、冷却速度 ミノルタカメラ(株)製の非接触放射温度計505を用
いて、フィルム温度を測定したい部分にスポットを合わ
せて測定した。この際、放射率εは、0.95を用い
た。
【0042】また、1段目の延伸後の冷却速度の測定
は、延伸後のフィルムの位置を変えてフィルム温度を測
定し、その際のフィルム走行速度から計算した。
【0043】(6)結晶化度 臭化ナトリウム水溶液による密度勾配管を作成し、25
℃におけるフィルムの密度を測定する。この密度dか
ら、 結晶化度(%)=[(d−da)/(dc−da)]×
100 とした。ここで、daは非晶密度、dcは完全結晶密度
で、ポリエチレンテレフタレートの場合、文献値より、
da=1335、dc=1455kg/m3 とした。
【0044】(7)ヤング率、F5値 (株)オリエンテック製フィルム強伸度自動測定装置M
ODEL AMF/RTA−100を用いて、試料幅1
0mm、試料長100mm、引張速度300mm/分で
測定した。
【0045】(8)ネックダウン率(幅収縮率) フィルムを延伸する前の幅を測定し、L1 (mm)と
し、延伸後の幅を測定し、L2 (mm)とする。この値
より、 ネックダウン率(%)=[(L1 −L2 )/L1 ]×1
00 とした。
【0046】(9)フィルム形状因子D ダイヤルゲージを用いて、フィルム端部30mmの区間
の厚みを測定し、最も厚みの厚い部分の厚みを、フィル
ム端部の最大厚みdeとし、フィルム端部から幅方向に
30mm離れた点から、反対側のフィルム端部から幅方
向に30mm離れた点までの距離にあるフィルム厚みの
平均値をフィルム中央部の平均厚みdcとした。このd
e、dcより、フィルム形状因子のD=de/dcとし
た。
【0047】
【実施例】以下に、本発明をより明確に表現するため
に、実施例および比較例を示す。
【0048】実施例1 熱可塑性樹脂として、極限粘度0.65のポリエチレン
テレフタレートを用いた。DSCを用いて熱特性を測定
したところ、Tg:69℃、Tmb:240℃、Tm:
255℃、Tme:268℃、Tcb:203℃、T
c:188℃、Tce:174℃であった。このポリエ
チレンテレフタレートのペレットを180℃で3時間真
空乾燥して押出機に供給し、290℃で溶融状態とし、
成形用ダイに供給した。ダイは、リップ幅960mm、
リップ間隙2mm、ランド長45mmのマニホルドダイ
を用いた。本ダイのランド部には、幅方向に直径7mm
の空孔を複数あけ、ここに水を通すことにより冷却可能
な構造としてある。ダイホッパ部の温度は290℃と
し、ランド部には、25℃の冷却水を流量30000c
3 /分通して冷却した。このときのダイ入口での樹脂
の温度は290℃、ランド部入口の樹脂温度285℃、
ランド部出口での樹脂温度243℃であった。この状態
で樹脂を押出し、ダイから押し出された過冷却状態にあ
るフィルムを、静電気を印加しながら表面温度25℃に
保たれたキャスティングドラム上に60m/分の高速で
引き取り、急冷固化した。かくして得られたキャストフ
ィルムのフィルム形状因子D、すなわち、フィルム端部
の最大厚みdeに対するフイルム中央部の平均厚みdc
との比率(de/dc)は1.5であり、その長手方向
厚みむらは3%、複屈折1(×10−3 )、結晶化度
0.8%であった。
【0049】該キャストフィルムを、集光形ラジエーシ
ョンヒーターでフィルムを5mmという局所部分を40
℃に加熱後、1段目の長手方向延伸を、1段階で5.5
倍ネッキング延伸した。この時のネックダウン率(幅収
縮率)は5%、複屈折は0.152、密度は1351
(kg/m3 )であった。
【0050】続いて、長手方向に延伸されたフイルムの
両端をクリップで把持しながらテンタに導き83℃に加
熱された雰囲気中で4.3倍幅方向に延伸した。その後
テンター内で198℃の熱処理を行い、その後均一に徐
冷で室温まで冷やして巻き取り厚み12μmの二軸配向
フイルムを得た。かくして得られたフィルムのヤング
率、および5%伸び時の強度F5値は、長手方向、幅方
向それぞれ9/4.5(GPa)、230/150(M
Pa)であった。この値の幅方向の値の分布はほとんど
なく、幅方向でほぼ一定であった。
【0051】長手方向の延伸をネッキング延伸すること
により、幅収縮は小さく、しかも二軸延伸後の幅方向の
物性も均一であり、収率の高い生産性に優れた製造方法
であることが判る。また、このように長手方向延伸後、
幅方向に延伸したにもかかわらず、得られた二軸配向フ
ィルムは長手方向に強力化されているという特異なフィ
ルムが得られた。
【0052】比較例1 実施例1のキャストフィルムのフィルム形状因子D、す
なわち、フィルム端部の最大厚みdeに対するフイルム
中央部の平均厚みdcとの比率(de/dc)を1.5
から5.0にする以外は実施例1と同様にして該キャス
トフィルムを、集光形ラジエーションヒーターでフィル
ムを5mmという局所部分を40℃に加熱後、1段目の
長手方向延伸を、1段階でネッキング延伸した。しかし
ながら、このようにフィルム形状因子Dが3を超えると
長手方向のネッキング延伸が出来ず、フィルムが破れて
製膜出来なかった。
【0053】比較例2 実施例1と同じように過冷却押出し後、フィルム形状因
子D1.5のフィルムをネッキング延伸の代わりに通常
延伸の98℃に均一加熱して多段階で5.5倍ドロー延
伸を行った。この時のネックダウン率(幅収縮率)は5
8%と非常に大きなものであった。さらに該一軸延伸フ
ィルムを実施例1と同様にして幅方向に延伸し、熱固定
して厚さ12μmのフィルムを得た。
【0054】かくして得られたフィルムの生産収率は非
常に低く、しかもフィルムの幅方向の物性むらが大き
く、幅方向に均一な物性のフィルムは得られなかった。
【0055】実施例2 熱可塑性樹脂として、極限粘度0.82のポリエチレン
テレフタレート99重量%に、液晶ポリエステルとして
p−ヒドロキシ安息香酸(PHB)(75モル%)/エ
チレンテレフタレート(20モル%)/4,4’−ジヒ
ドロキシビフェニル(5モル%)/テレフタル酸(5モ
ル%)共重合体(280℃溶融粘度100ポイズ)1重
量%のブレンド体を用いた。このポリエチレンテレフタ
レートブレンド体のペレットを180℃で2時間真空乾
燥してタンデム押出機に供給し、290℃で溶融し、2
80℃で均一温度にして成形用ダイに供給した。ダイ
は、リップ幅1200mm、リップ間隙2mm、ランド
長35mmのマニホルドダイを用いた。該溶融体に静電
気を印加しながら表面温度25℃に保たれたキャスティ
ングドラム上に60m/分の高速で引き取り、急冷固化
した。かくして得られたキャストフィルムのフィルム形
状因子D、すなわち、フィルム端部の最大厚みdeに対
するフイルム中央部の平均厚みdcとの比率(de/d
c)は1.2であり、その長手方向厚みむらは2%、複
屈折0.1(×10−3 )、結晶化度1.2%であっ
た。
【0056】該キャストフィルムを、集光形ラジエーシ
ョンヒーターでフィルムを3mmという局所部分を55
℃に加熱後、1段目の長手方向延伸を、1段階で6.2
倍ネッキング延伸した。この時の幅収縮率は3%、複屈
折は0.15、密度は1360(kg/m3 )であっ
た。
【0057】続いて、長手方向に延伸されたフイルムの
両端をクリップで把持しながらテンタに導き88℃に加
熱された雰囲気中で4.6倍幅方向に延伸した。その後
テンター内で205℃の熱処理を行い、その後均一に徐
冷で室温まで冷やして巻き取り厚み75μmの二軸配向
フイルムを得た。かくして得られたフィルムのヤング
率、および5%伸び時の強度F5値は、長手方向、幅方
向それぞれ9/4.5(GPa)、230/160(M
Pa)であった。この値の幅方向の値の分布はほとんど
なく、幅方向でほぼ一定であった。
【0058】長手方向の延伸をネッキング延伸すること
により、幅収縮は小さく、しかも二軸延伸後の幅方向の
物性も均一であり、収率の高い生産性に優れた製造方法
であることが判る。
【0059】また、このように長手方向延伸後、幅方向
に延伸したにもかかわらず、得られた二軸配向フィルム
は長手方向に強力化されているという特異なフィルムが
得られた。
【0060】実施例3 実施例1において、押出機内に炭酸ガスを注入し、その
他の条件は同様にして、厚み12μmのフィルムを得
た。このときに未延伸フィルムのフィルム形状因子Dは
1.2であり、その長手方向厚みむらは3%、複屈折1
(×10−3 )、結晶化度0.8%であった。その1段
目の延伸時のネックダウン率(幅収縮率)は3%、複屈
折は0.160、密度は1355(kg/m3 )であっ
た。得られたフィルムのヤング率、および5%伸び時の
強度F5値は、長手方向、幅方向それぞれ9.2/4.
3(GPa)、240/140(MPa)であった。こ
の値の幅方向の値の分布はほとんどなく、幅方向でほぼ
一定であった。
【0061】炭酸ガスを吸収させることにより、実施例
1よりもネッキング延伸の安定性が向上し、より幅収縮
率を抑えることが可能となり、しかもフィルム形状因子
Dが小さいことから、より収率の高い条件となった。
【0062】実施例4 比較例2において、1段目の延伸を、通常延伸の98℃
に均一加熱して1段階で4.0倍延伸する際に、延伸開
始直後に水浴に導き、冷却速度45℃/秒で冷却する以
外は、比較例2の条件で厚み12μmのフィルムを得
た。ここで、1段目の延伸開始点から水浴までの距離は
5mmであった。1段目の延伸時のネックダウン率(幅
収縮率)は7%、複屈折は0.120、密度は1345
(kg/m3 )であった。得られたフィルムのヤング
率、および5%伸び時の強度F5値は、長手方向、幅方
向それぞれ6.1/4.6(GPa)、150/140
(MPa)であった。この値の幅方向の値の分布はほと
んどなく、幅方向でほぼ一定であった。
【0063】1段目の延伸自体はネッキング延伸ではな
いが、延伸区間が非常に短いために、幅収縮を小さく抑
えることが可能となり、生産性の高い条件となった。
【0064】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、幅収縮率の小さ
い長手方向延伸方法を提供するばかりか、二軸延伸後の
幅方向の物性むらの小さい、厚み均一性の優れた、生産
性に優れた製造方法を提供するものである。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1段目の延伸をした後に、該1段目の延
    伸方向と直角方向に2段目の延伸をして二軸に配向させ
    るフィルムの製造方法において、該1段目の延伸前のフ
    ィルム形状因子Dが3以下であるフィルムを用いること
    を特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。ただ
    し、フィルム形状因子Dは、フィルム端部の最大厚みd
    eに対するフィルム中央部の平均厚みdcとの比率(d
    e/dc)である。
  2. 【請求項2】 1段目の延伸がネッキング延伸であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 1段目の延伸をガラス転移温度以下の温
    度で延伸することを特徴とする請求項1または請求項2
    に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 1段目の延伸前のフィルムの延伸方向の
    厚みむらが、7%以下であることを特徴とする請求項1
    〜請求項3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 1段目の延伸前のフィルムの複屈折が
    0.01〜10(×10−3 )であることを特徴とする
    請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フ
    ィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 1段目の延伸前のフィルムのガラス転移
    温度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも10℃低い
    温度以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂を融解終了温度Tme以上
    に加熱溶融し、その後該樹脂を融解終了温度Tme未
    満、降温結晶化温度Tcb以上に過冷却して押出すこと
    により得られたフィルムを1段目の延伸に供することを
    特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 1段目の延伸を30mm以下の狭い延伸
    区間で延伸することを特徴とする請求項1〜請求項7の
    いずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 1段目の延伸を集光形ラジエーションヒ
    ーターおよび/または風速10m/秒以上の加熱空気で
    狭い延伸区間を加熱して延伸することを特徴とする請求
    項1〜請求項8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  10. 【請求項10】 1段目の延伸において延伸開始点から
    20℃/秒以上の速度で冷却することを特徴とする請求
    項1〜請求項9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  11. 【請求項11】 1段目の延伸に圧延を用いることを特
    徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の熱可
    塑性樹脂フィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 二軸配向フィルムの主軸が長手方向に
    存在することを特徴とする請求項1〜請求項11のいず
    れかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂がポリエステルであるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載
    の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 熱可塑性樹脂が液晶性を有するポリエ
    ステルを含有することを特徴とする請求項1〜請求項1
    3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003025424A (ja) * 2001-07-17 2003-01-29 Kuraray Co Ltd エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム
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