JPH09259923A - ポリマー電池及びその製造法 - Google Patents

ポリマー電池及びその製造法

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JPH09259923A
JPH09259923A JP8093313A JP9331396A JPH09259923A JP H09259923 A JPH09259923 A JP H09259923A JP 8093313 A JP8093313 A JP 8093313A JP 9331396 A JP9331396 A JP 9331396A JP H09259923 A JPH09259923 A JP H09259923A
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organic polymer
solvent
battery
electrolyte
polymer
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Mikio Okada
幹雄 岡田
Junichi Toriyama
順一 鳥山
Hideo Yasuda
安田  秀雄
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Japan Storage Battery Co Ltd
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Japan Storage Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温においても高率での充放電が良好な非水
系ポリマー電池を提供する。 【解決手段】 本発明になるポリマー電池は、電解液に
よって湿潤叉は膨潤する性質のある有機高分子を溶解し
た溶媒(a)を、前記有機高分子に対し不溶性で、かつ
溶媒(a)と相溶性のある溶媒(b)で置換して得られ
る孔を有する有機高分子を前記の電解液で湿潤叉は膨潤
したイオン導電性有機高分子電解質を備えることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イオン導電性有機
高分子を用いたポリマー電池に関する。
【0002】
【従来の技術】非水系の電解液を使用し、負極にアルカ
リ金属を使用する電池は、3V以上の高電圧系電池とす
ることが可能であるため、高エネルギー密度電池とする
ことができるが、二次電池においては、充電時のアルカ
リ金属のデンドライト析出によって短絡が発生しやす
く、寿命が短いという欠点があり、また、アルカリ金属
の反応性が高いために、安全性を確保することが困難で
ある。そのために、例えばリチウム電池においては、金
属リチウムのかわりに、金属リチウムのデンドライトが
析出しにくいグラファイトやカーボン等の炭素系負極を
使用し、正極にコバルト酸リチウムやニッケル酸リチウ
ムを使用する、いわゆるリチウムイオン電池が考案さ
れ、高エネルギー密度電池として用いられてきている。
しかし、炭素系負極の利用率が大きくなりインターカレ
ーションが進んだ際に、短絡等による発熱によって電解
液が気化し、急激な電池の内圧上昇がおこった場合に
は、負極中のリチウムと炭素とが反応してリチウムカー
ボンが生成して発熱し、結果としてさらに電池の内圧が
急激に上昇するため、安全性に問題があった。従って、
現在その炭素系負極の利用率は、安全性を考慮して60
%未満(Lix 6 、0≦x<0.6)に制限されてお
り、エネルギー密度の高い実用的な電池が得られないと
いう問題点があった。
【0003】リチウム電池及びリチウムイオン電池(以
後、まとめてリチウム系電池と記す)は、充放電反応に
おいて電極反応に関与するリチウムイオンの量の大部分
が、電解液に溶解しているリチウムイオンではなく、電
極の活物質から放出するリチウムイオンが電解液中を移
動して対極に到達するものであるため、そのリチウムイ
オンの移動距離は長い。しかも、水溶液系電池中のプロ
トン及び水酸化物イオンの輸率が1に近い値を示すのに
対して、リチウム系電池中の電解液中のリチウムイオン
の室温での輸率は通常0.5以下であり、電解質中のイ
オンの移動速度はイオンの濃度拡散に支配され、また有
機電解液は水溶液と比較して粘性が高いためにイオンの
拡散速度が遅い。従って、リチウム系電池では、水溶液
系の電池と比較して高率での充放電性能に劣るという問
題点があった。
【0004】上記リチウム系電池においては、ポリエチ
レン叉はポリプロピレン等の微孔膜がセパレータとして
使用されている。微孔性有機高分子膜の製作法には、主
に湿式法と延伸法とが用いられる。湿式法は、有機高分
子を液体に溶解してシート状に広げたものを、液漕に浸
漬することによって有機高分子を溶解していた液体を除
去して、その液体が抜けた部分を孔とする、方向性のな
い微孔性有機高分子膜の製造法であり(U.K.Pat
ent Application GB No.2,0
26,381 A)、その円形叉は楕円形の孔を有する
微孔膜セパレータは密閉型ニッケルカドミウム電池へ適
用されている(U.S.Pat. No. 5,06
9,990)。延伸法は、有機高分子膜を延伸すること
によって、膜に方向性のある孔をあける微孔膜の製造法
であり(U.S.Pat. Nos. 3,953,5
66; 3,962,153; 4,096,227;
4,110,392; 4,187,390; 4,
194,041; 3,201,364; 4,10
0,238; 4,197,148; 3,679,5
40; 3,870,593)、広く二次電池に適用さ
れている。また、これら以外に、塩やでんぷん等の微粒
子を有機高分子中に加えてシート状にし、その後に微粒
子を液体に溶解させて除去することによる微孔性有機高
分子膜の製作方法もある(U.S.Pat. Nos.
3,214,501; 3,640,829)。ま
た、有機高分子を高温で液体に溶解させ、冷却すること
によって有機高分子を固化させた後に液体を取り除く微
孔性有機高分子膜の製作法もある(U.S.Pat.
Nos. 4,247,498; 4,539,25
6)。また、熱による微孔性有機高分子膜の融解によっ
て孔が塞がるシャットダウン効果を利用して、セパレー
タに電池の安全機構を持たせることが行われている
(U.S.Pat. Nos. 4,650,730;
4,731,304; 4,973,532, J.
Electrochem.Soc.140(1993)
L51)。この機構によって、電池が発熱した状態にな
った場合においても、正極と負極の間を絶縁することが
でき、更なる正負極の反応を抑制することができる。
【0005】非水系電池は、電解質に水溶液を使用した
鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池
などと異なり、電解質に可燃性の有機電解液を使用する
ため、電池の安全な使用を可能にするために様々な安全
機構を設けており、活物質の利用率も制限されている。
従って、電池のコストが高くなり、電池のエネルギー密
度も活物質の理論容量から期待される値よりも大幅に小
さいものとなっている。
【0006】従って、有機電解液の代わりに、より化学
反応性に乏しい固体有機高分子電解質を用いることによ
って電池の安全性を向上させることが試みられている
(Electrochimica Acta 40(1
995)2117)。また、電池形状の柔軟性、製造工
程の簡易化、製造コストの削減等の目的においても固体
有機高分子電解質の適用が試みられている。
【0007】イオン導電性有機高分子としては、ポリエ
チレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどのポリエ
ーテルとアルカリ金属塩との錯体が多く研究されてい
る。しかし、ポリエーテルは十分な機械的強度を保った
まま高いイオン導電性を得ることが困難であり、しかも
導電率が温度に大きく影響されるために室温で十分な導
電率が得られないことから、ポリエーテルを側鎖に有す
るくし型高分子、ポリエーテル鎖と他のモノマーの共重
合体、ポリエーテルを側鎖に有するポリシロキサン叉は
ポリフォスファゼン、ポリエーテルの架橋体などが試み
られている。
【0008】また、ポリエーテル系有機高分子電解質の
ように、塩を溶解したイオン導電性有機高分子では、カ
チオン及びアニオンの両方が移動し、通常室温でのカチ
オンの輸率は0.5以下である。従って、−SO3-や−
COO- のようなアニオン基を有する高分子電解質型イ
オン導電性高分子を合成し、そのカチオンの輸率を1と
することも試みられているが、カチオンが強くアニオン
基に束縛されるためにイオン導電率が非常に低く、電池
に使用することは非常に困難であった。
【0009】さらに、電解液で有機高分子を湿潤叉は膨
潤させることによってゲル状の固体電解質を製作し、非
水系電池に適用することも試みられている。このゲル状
の固体電解質において使用されている有機高分子には、
ポリアクリロニトリル(U.S.Pat. No.
5,219,679, Electrochimica
Acta 37(1992)1851, 37(199
2)1671, 39(1994)2187, J.E
lectrochem.Soc. 137(1990)
1657, J.Appl.Electrochem.
24(1994)298, J.Appl.Poly
m.Sci. 27(1982)4191, Che
m.Mater. 5(1993)1268)、ポリビ
ニリデンフルオライド(PCT/GB92/0178
1, ElectrochimicaActa 28
(1983)833, 28(1993)591)、ポ
リビニルクロライド(U.S.Pat. No. 5,
252,413, J.Electrochem.So
c. 140(1993)L96)、ポリビニルサルフ
ォン(Electrochimica Acta 40
(1995)2289,Solid State Io
nics 70/71(1994)20)、ポリビニル
ピロリジノン等がある。ビニリデンフルオライドとヘキ
サフルオロプロピレンとの共重合体を用いることによっ
て有機高分子の結晶化度を低下させ、電解液で湿潤叉は
膨潤し易くして導電率を向上させることも試みられてい
る(U.S.Pat. No. 5,296,31
8)。また、ニトリルゴム、スチレンブタジエンゴム、
ポリブタジエン、ポリビニルピロリドン等のラテックス
の乾燥によって有機高分子膜を製作し、これを電解液で
湿潤叉は膨潤させることによってイオン導電性有機高分
子膜を製作することも試みられている(J.Elect
rochem.Soc. 141(1994)198
9, J.Polym.Sci.A 32(1994)
779)。このラテックスを用いた有機高分子電解質の
製作においては二種類の有機高分子を混合し、電解液が
染み込み難く強い機械的強度を保つ有機高分子相と、電
解液が染み込みやすく高いイオン導電率を示す有機高分
子相との混合系とすることによって機械的強度とイオン
導電性を供与する有機高分子膜が提案されている。
【0010】また、有機高分子電解質膜の機械的強度の
増強及び扱い易さの向上のために、ポリオレフィンの微
孔性膜の孔中に有機高分子電解質を充填した固体電解質
(J.Electrochem.Soc. 142(1
995)683)や、イオン導電率向上及びカチオンの
輸率の増大等を目的とする無機固体電解質粉末を含む有
機高分子電解質(U.S.Pat. No. 5,41
9,984, J.Power Sources 52
(1994)261, Electrochimica
Acta 40(1995)2101, 40(19
95)2197)についても報告されている。
【0011】以上のように、種々の有機高分子セパレー
タや有機高分子電解質が数多く提案されているが、イオ
ンの拡散という問題を本質的に克服した機能膜はなく、
従って非水系電池の性能は水溶液系電池に比較して十分
なものとは言えなかった。このような問題を解決するた
めに、多孔性イオン導電性有機高分子電解質を用いたポ
リマー電池が提案され、高率充放電特性の改善が図られ
ている(特願平7−26150号)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】有機電解液は、水溶液
と比較してイオンの伝導度が極めて低く、その拡散速度
が遅いために、特に低温において高率での充放電特性が
劣化するという問題点があった。本発明は、上記問題点
に鑑みなされたものであり、多孔性のリチウムイオン導
電性ポリマーを備え、低温においても高率での充放電が
良好な非水系ポリマー電池を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、ポリマー電池の
電解質として全く新しい原理に基づく、電解液によって
湿潤叉は膨潤する性質のある有機高分子を溶解した溶媒
(a)を、前記有機高分子に対し不溶性で、かつ溶媒
(a)と相溶性のある溶媒(b)で置換して得られる孔
を有する有機高分子を、前記の電解液で湿潤叉は膨潤し
たイオン導電性有機高分子電解質を備えることを特徴と
するポリマー電池の発明によって、上記課題を解決す
る。
【0014】
【発明の実施の形態】従来の液体電解質非水系電池で
は、セパレータとしてポリプロピレン叉はポリエチレン
等の多孔性高分子膜を用いており、その孔の中に電解液
を保持することによって、イオンの伝導パスを確保して
いる。この場合、セパレータはイオン伝導において絶縁
物であり、高率での充電及び放電をおこなう際の障害と
なる。また、電解質として、細孔のあいていない、従来
の有機高分子電解質を使用したポリマー電池において
は、電解質中のカチオン及びアニオンの拡散がさらに遅
くなるために、充放電性能が著しく低下するという欠点
があった。 本発明による電池は、従来の非水系電池に
おけるイオン導電性を示さないセパレータ、叉は細孔の
あいていない有機高分子電解質を、細孔の中に非水電解
液を含有した多孔性イオン導電性有機高分子で置き換え
たものであるということができる。本発明による電池に
おいては、電解液内のみでなく有機高分子電解質内をも
イオンが通過可能となり、従来の液体電解質非水系電池
よりも高率での充放電が可能となる。また、本発明によ
る電池においては、多孔性有機高分子電解質の細孔中の
電解液によって、イオンが速く拡散する通路が確保され
ているため、従来のポリマー電池よりも高率での充放電
が良好となる。
【0015】また、正極叉は負極の活物質層の孔中に多
孔性イオン導電性有機高分子を存在させることによって
電極と電解質との界面を多孔性イオン導電性有機高分子
で覆った場合には、高電圧電池であるために問題となる
正極及び負極による非水電解液の酸化及び還元を減少さ
せることができ、充電放置特性を改善することができる
とともに、活物質の利用率が高い場合であっても安全性
に優れた電池とすることができる。この場合において
も、イオン導電性有機高分子が多孔性であるが故に、高
率での充放電が可能となる。また、活物質層の孔中に多
孔性有機高分子を存在させた場合には、活物質層の孔中
に含まれる電解液量を大幅に減少させることができるた
め、正極叉は負極に充放電によって体積変化を生ずる活
物質を使用することによって、活物質の体積変化による
多孔性イオン導電性有機高分子の孔中の電解液の流れが
速くなり、そのためにイオンがその流れに乗ってより遠
くまで運ばれる。従って、電解質中のイオンの移動がス
ムーズに起こり、電池の高率での充放電性能が向上す
る。
【0016】特願平7−26150号においては、多孔
性イオン導電性有機高分子電解質は、有機高分子の乾式
膜にステンレスの細針を用いて、物理的に多数の細孔を
あけて製作していたために、この方法においては、安価
に量産することが困難であり、また、孔の形状が貫通孔
となるために、高多孔度とすると膜の機械的強度が低下
するという問題点があった。また、電極の孔中に多量の
有機電解液を含有させた従来の非水系電池の電極の孔中
の有機電解液を、多孔性有機高分子電解質でおきかえる
ことによって、電極中の有機電解液量を少なくすること
が可能となり、よって電池の充電放置特性を向上させ、
活物質の利用率が高い場合であっても安全性に優れる電
池を製作することが期待できるが、細針を用いて物理的
に有機高分子に孔をあける方法では、電極中の有機高分
子に多孔処理を施すことができなかった。また、細針を
用いて物理的に有機高分子に孔をあける方法では、有機
高分子を電極上に塗布した後に有機高分子に多孔処理を
施すことができなかった。
【0017】本発明においては、多孔性イオン導電性有
機高分子電解質を、有機高分子を溶媒(a)に溶解した
溶液から、有機高分子に対し不溶性で、溶媒(a)と相
溶性がある溶媒(b)を用いて溶媒(a)を溶液中から
取り除く、いわゆる湿式法によって製造する。湿式法に
おいては、有機高分子を溶媒(a)に溶かした溶液を支
持体上に塗布した後に、有機高分子に対し不溶性で、か
つ溶媒(a)と相溶性がある溶媒(b)中に浸漬するこ
とによって微孔有機高分子を製作することができるため
に、多孔性イオン導電性有機高分子電解質を安価に量産
することができる。また、湿式法によって製作される微
孔有機高分子には、貫通孔でなくランダム孔が形成され
るために、同じ多孔度の場合には、細針を用いて物理的
に有機高分子に孔をあけた場合よりも多孔性イオン導電
性有機高分子電解質の機械的強度が強くなる。従って、
正負極間にセパレータとして使用する多孔性イオン導電
性有機高分子電解質膜の厚さを薄くすることができ、電
池を高エネルギー密度化することができる。また、活物
質層の孔中叉は、電極上に有機高分子を溶媒(a)に溶
解した溶液が存在する状態で、電極を有機高分子に対し
不溶性で、溶媒(a)と相溶性がある溶媒(b)中に浸
漬することによって、活物質層の孔中叉は電極上に多孔
性有機高分子を形成することができる。従って、本発明
においては、この多孔性有機高分子の孔中及び有機高分
子中を非水電解液で湿潤叉は膨潤させて多孔性有機高分
子電解質とすることによって、活物質層中に多孔性イオ
ン導電性有機高分子を有する電池、及び電極上に多孔性
イオン導電性有機高分子膜が塗布された電池を安価に量
産することができる。
【0018】
【実施例】
【0019】
【実施例1]以下、本発明を好適な実施例
を用いて説明する。 【0020】正極の製作について説明する。まず、コバ
ルト酸リチウム70Wt%、アセチレンブラック6Wt
%、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)9Wt
%、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)15Wt%
を混合したものを、幅20mm、長さ480mm、厚さ
20μmのステンレスシート上に塗布し、150℃で乾
燥してNMPを蒸発させた。以上の操作をステンレスシ
ートの両面におこなった後に、プレスをして正極とし
た。プレス後の正極の厚さは170μmであり、単位面
積当たりに充填された活物質、導電剤及び結着剤の重量
は、23μg/cm2 であった。
【0021】負極は次のようにして製作した。グラファ
イト81Wt%、PVDF9Wt%、NMP10Wt%
を混合したものを厚さ14μmのニッケルシート上に塗
布し、150℃で乾燥してNMPを蒸発させた。以上の
操作をニッケルシートの両面に対しておこなった後に、
プレスを行い、負極とした。プレス後の負極の厚さは1
90μmであった。
【0022】つぎに多孔性リチウムイオン導電性有機高
分子をつぎのように湿式法によって製作した。分子量6
0,000のポリビニリデンフルオライド(PVDF)
粉末12gを88gのNMPに溶解した。この溶液を水
中に浸漬することによってNMPを洗い流した後に、プ
レスによって多孔度を調節し、多孔度10%、20%、
30%、40%、50%、60%、70%及び80%の
厚さ30μmの湿式法による微孔性PVDF膜を製作し
た。このPVDFのプレスしていない状態の微孔性有機
高分子膜のSEM写真を図1に示す。図からわかるよう
に表面には円形状の孔のあることが確認できる。
【0023】このようにして準備したPVDF微孔性有
機高分子膜、正極及び負極を重ねて巻き、高さ47.0
mm、幅22.2mm、厚さ6.4mmのステンレスケ
ース中に挿入して、角形電池を組み立てた。この電池の
内部に、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカー
ボネート(DEC)とを体積比率1:1で混合し、1m
ol/lのLiPF6 を加えた電解液2.5gを真空注
液によって加え、PVDF微孔性有機高分子の孔中及び
有機高分子中の両方を電解液で膨潤させて微孔性のリチ
ウムイオン導電性有機高分子電解質とした。このように
して、公称容量400mAh程度の、本発明による実施
例1の電池(A)を製作した。さらに、PVDFの分子
量の異なるものを使用することによって、電解液の湿潤
叉は膨潤性を制御できる。
【0024】比較例1として、多孔性のリチウムイオン
導電性有機高分子膜の代わりに、厚さ30μm、多孔度
を変えたポリプロピレン膜を使用したこと以外は上記実
施例1と同一構成である、公称容量が400mAh程度
の、従来から公知の電池(B)を製作した。
【0025】比較例2として、PVDF微孔性有機高分
子膜の代わりに乾式法による連通孔の少ないPVDF膜
を使用したこと以外は前記実施例1と同一構成である、
公称容量が400mAh程度の、従来から公知の電池
(C)を製作した。乾式法による有機高分子膜には、連
通孔はほとんど存在しないが、全く存在しないわけでは
ない。乾式PVDF膜の製作方法は、つぎのとおりであ
る。分子量60,000のポリビニリデンフルオライド
(PVDF)粉末12gを88gのNMPに溶解した。
この溶液を紙の上に薄く広げ、85℃で1時間乾燥する
ことによって厚さ30μmの乾式法によるPVDF膜を
製作した。その表面には孔が観測されなかった。このP
VDFの乾式法による有機高分子膜のSEM写真を図2
に示す。
【0026】これらの電池(A)、(B)及び(C)を
用いて、−10℃において、1CAの電流で4.1Vま
で充電し、続いて4.1Vの定電圧で2時間充電した
後、1CAの電流で2.5Vまで放電した。
【0027】図3は、これらの電池の放電容量と、使用
したリチウムイオン電池の有機高分子電解質叉はセパレ
ータの多孔度の関係を示す図である。図から、本発明に
よる電池(A)は、リチウムイオン導電性有機高分子の
多孔度が10%から80%の間において、リチウムイオ
ン導電性有機高分子ではなくポリプロピレン膜を用いた
従来から公知の電池(B)よりも、優れた放電容量を示
していることが理解される。
【0028】また、有機高分子電解質及びセパレータに
おいては、その多孔度が大きくなると内部短絡及び活物
質の脱落等が問題となる。従って、本発明による有機高
分子電解質の多孔度が10%である電池(A)が、比較
例1の、セパレータの多孔度が80%の電池(B)より
も優れた放電容量を示したことによって、本発明の重要
性を理解することができる。
【0029】図4は、多孔度が40%である実施例1の
電池(A)、多孔度が40%である比較例1の電池
(B)、及び乾式法による有機高分子膜を使用した比較
例2の電池(C)を用いて、図3と同様の実験をおこな
ったときの放電特性を比較したものである。図によっ
て、本発明による電池(A)は、従来から公知の電池
(B)及び(C)と比べて、優れた低温での放電特性を
示すことが理解される。
【0030】[実施例2]PVDFの代わりに、重合度
約1,000のポリ塩化ビニル(PVC)を用いて微孔
性リチウムイオン導電性有機高分子を製作したこと以外
は実施例1と同様にして、多孔度40%の微孔性リチウ
ムイオン導電性有機高分子を備える、公称容量400m
Ah程度の、本発明による実施例2の電池(D)を製作
した。このPVCの微孔性有機高分子のSEM写真を図
5に示す。図からわかるように、表面には円形状の孔の
あることが確認できる。
【0031】比較例3として、湿式法によるPVC微孔
性有機高分子膜の代わりに、乾式法によるPVC膜にス
テンレスの細針を用いて物理的に多孔処理を施した膜を
使用したこと以外は、本発明による実施例2の電池
(D)と同様にして、多孔度40%の微孔性リチウムイ
オン導電性有機高分子を備える、公称容量400mAh
程度の、比較例3の電池(E)を製作した。乾式法によ
るPVC膜の製造法は、PVDFの代わりに重合度約
1,000のPVCを使用したこと以外は比較例2にお
ける乾式膜の製造法と同様である。
【0032】これらの電池(D)、及び(E)を用い
て、−20℃において、1CAの電流で4.1Vまで充
電し、続いて4.1Vの定電圧で2時間充電した後、1
CAの電流で2.5Vまで放電した。
【0033】図6は、これら電池の電池の放電特性を比
較したものである。図によって、本発明による電池
(D)は、比較電池(E)と比べて、優れた低温での放
電特性を示すことが理解される。
【0034】[実施例3]正極活物質としてコバルト酸
リチウムの代わりにニッケル酸リチウムを使用して、実
施例1と同様にして正極を製作した。負極は実施例1と
同様にして製作した。
【0035】つぎに多孔性リチウムイオン導電性有機高
分子をつぎのように製作した。分子量10万のポリアク
リロニトリル(PAN)粉末12gを88gのNMPに
溶解した。この溶液を真空減圧下で正極及び負極上に塗
布することによって活物質層の孔中に溶液を充填し、水
中に浸漬することによってNMPを洗い流し、湿式法に
よって正極及び負極の活物質層の孔中に多孔度40%の
PANの微孔性有機高分子を充填した。
【0036】このようにして準備したPAN微孔性有機
高分子を充填した正極及び負極の間に多孔度が40%で
厚さが30μmの従来から公知のポリエチレンセパレー
タを介在させて巻き、高さ47.0mm、幅22.2m
m、厚さ6.4mmのステンレスケース中に挿入して、
角形電池を組み立てた。この電池の内部に、エチレンカ
ーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)
とを体積比率1:1で混合し、1mol/lのLiPF
6 を加えた電解液2.5gを真空注液によって加え、P
AN微孔性有機高分子を電解液によって膨潤させて微孔
性のリチウムイオン導電性有機高分子電解質とした。こ
のようにして、公称容量400mAh程度の、本発明に
よる実施例3の電池(F)を製作した。
【0037】比較例6として、正極及び負極上にPAN
溶液を塗布した後に、水中に浸漬する代わりに、85℃
で1時間乾燥することによって、乾式法によって正極及
び負極の活物質層の孔中に連通孔がほとんど存在しない
PANを充填したこと以外は前記実施例3と同一構成で
ある、公称容量が400mAh程度の、従来から公知の
電池(G)を製作した。
【0038】比較例7として、活物質層の孔中に有機高
分子を充填しないこと以外は前記実施例3と同一構成で
ある、公称容量が400mAh程度の、従来から公知の
電池(H)を製作した。
【0039】これらの電池(F)及び(G)を用いて、
室温において、1CAの電流で4.1Vまで充電し、続
いて4.1Vの定電圧で2時間充電した後、1CAの電
流で2.5Vまで放電した。
【0040】図7は、これらの電池(F)及び(G)を
用いて、上記の実験をおこなったときの放電特性を比較
したものである。図によって、本発明による電池(F)
は、従来から公知の電池(G)と比べて、優れた低温で
の放電特性を示すことが理解される。
【0041】また、本発明による実施例3の電池(F)
と従来から公知の比較例7の電池(H)とを用いてつぎ
のような安全性の比較試験をおこなった。これらの電池
における相違点は、電池(F)においては正極及び負極
の活物質層の孔中に微孔性有機高分子が充填されている
のに対し、電池(H)においては活物質層の孔中に微孔
性有機高分子が充填されておらず、活物質層が多量の有
機電解液を含んでいるということのみである。これらの
電池(F)及び(H)を用いて、室温において、1CA
の電流で4.5Vまで充電し、続いて4.5Vの定電圧
で2時間充電した後、3mm径の釘を電池に刺して貫通
させた。その結果、本発明による電池(F)においては
安全弁が作動して発煙がなかったのに対し、従来から公
知の電池(H)においては安全弁が作動し、発煙が生じ
た。この安全性試験の結果を、表1に示す。
【0042】これらの結果から、本発明による電池
(F)は低温での放電特性及び安全性の両方において優
れた電池であるということができる。
【0043】前記実施例では、微孔性有機高分子膜を製
作する方法として、有機高分子をNMPに溶解した溶液
を水中に浸漬することによってNMPを除去している
が、有機高分子を溶解する溶媒はNMPに限定されるも
のではなく、有機高分子を溶解するものであればよく、
ジメチルホルミアミド、ジメチルスルホキシド等であっ
てもよい。また、有機高分子を溶解した溶液を浸漬する
液体は水に限定されるものではなく、有機高分子に対し
不溶性で、有機高分子を溶解する溶媒と相溶性があるも
のであればよく、アセトン、メタノール、エタノール等
の両性溶媒であってもよい。このような組み合わせの有
機高分子、有機高分子を溶解する溶媒、及び有機高分子
を溶解した溶液を浸漬する液体を使用して有機高分子溶
液から溶媒を除去した場合には、除去された溶媒が存在
していた部分が孔となる微孔性有機高分子膜を製作する
ことができる。有機高分子を溶解した溶液を浸漬する液
体に非水溶媒を用いた場合には、有機高分子を溶解した
溶液を非水溶媒に浸漬するだけで、乾燥工程がなくても
そのままポリマー電池の電解質として使用することが期
待できる。したがって、この場合には、電池の製造工程
の大幅な簡略化が可能となり、電池のコストを大幅に削
減することができる。
【0044】また、多孔性有機高分子電解質に使用する
有機高分子には、上記のPVDF、PAN及びPVC以
外にも、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレー
ト、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリル、
ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエ
チレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン及びポリ
イソプレンを用いて多孔性有機高分子電解質及びそれを
使用した電池の製作を試みたが、PVDF、PVC及び
PANを用いた場合がとくに優れていた。PANの湿式
法による微孔性有機高分子のSEM写真を図8に示す。
図からわかるように、表面には円形状の孔のあることが
確認できる。
【0045】前記実施例では、有機高分子電解質中の高
分子としてポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロ
ニトリル及びポリ塩化ビニルを使用しているが、これに
限定されるものではなく、ポリエチレンオキシド、ポリ
プロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアクリロニ
トリル、ポリビニリデンフルオライド、ポリ塩化ビニリ
デン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレ
ート、ポリビニルアルコール、ポリメタクリロニトリ
ル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポ
リエチレンイミン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポ
リイソプレン、もしくはこれらの誘導体を、単独で、あ
るいは混合して用いてもよい。また、上記有機高分子を
構成する各種モノマーを共重合させた高分子を用いても
よい。
【0046】また、前記実施例におけるイオン導電性有
機高分子では、イオン導電性を向上させるために、高分
子中に含有させる非水電解液として、またイオン導電性
有機高分子の細孔中に含有させる電解液として、ECと
DECとの混合溶液を用いているが、これに限定される
ものではなく、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホ
キシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2
−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチル
テトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート
等の極性溶媒、もしくはこれらの混合物を使用してもよ
い。また、イオン導電性有機高分子において、高分子中
に含有させる電解液と、細孔中に含有させる電解液とが
異なっていてもよい。
【0047】さらに、前記実施例においては、イオン導
電性有機高分子中及び非水電解液に含有させる塩として
LiPF6 を使用しているが、その他に、LiBF4
LiAsF6 、LiClO4 、LiSCN、LiI、L
iCF3 SO3 、LiCl、LiBr、LiCF3 CO
2 等のリチウム塩、もしくはこれらの混合物を用いても
よい。イオン導電性有機高分子中と非水電解液中で異な
る塩を用いてもよい。
【0048】さらに、前記実施例においては、正極材料
たるアルカリ金属を吸蔵放出可能な化合物として Li
CoO2 やLiNiO2 を使用したが、これに限定され
るものではない。これ以外にも、無機化合物としては、
組成式Lix MO2 、叉はLiy 2 4 (ただし、M
は遷移金属、0≦x≦1、0≦y≦2)で表される、複
合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造
の金属カルコゲン化物を用いることができる。その具体
例としては、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2
4 、Li2 Mn2 4 、MnO2 、FeO2 、V2
5 、V6 13、TiO2 、TiS2 等が挙げられる。ま
た、有機化合物としては、例えばポリアニリン等の導電
性有機高分子等が挙げられる。さらに、無機化合物、有
機化合物を問わず、上記各種活物質を混合して用いても
よい。
【0049】さらに、前記実施例においては、負極材料
たる化合物としてグラファイトを使用しているが、その
他に、Al、Si、Pb、Sn、Zn、Cd等とリチウ
ムとの合金、LiFe2 3 、WO2 等の遷移金属複合
酸化物、WO2 、MoO2 等の遷移金属酸化物、グラフ
ァイト、カーボン等の炭素質材料、Li5 (Li3 N)
等の窒化リチウム、もしくは金属リチウム箔、叉はこれ
らの混合物を用いてもよい。
【0050】以上、リチウムイオン系で記述してきた
が、正負極、ポリマー電解質にナトリウムイオンが関与
する系でもよい。
【0051】本発明においては、湿式法によって製作し
た多孔性イオン導電性有機高分子電解質を使用すること
によって、従来の非水系電池よりも、低温における高率
での充放電特性に優れる電池を製作することができた。
また、湿式法によって製作した多孔性イオン導電性有機
高分子電解質を、正極叉は負極の活物質層の孔中に充填
することによって、高率での充放電特性が良好であり、
より安全性に優れる電池の製作をおこなうことができ
た。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明にかかるポリ
マー電池は、湿式法によって製作した多孔性イオン導電
性有機高分子を備えることを特徴とする。
【0053】これによって、イオン導電性有機高分子の
細孔中に非水電解液を含有させることができるので、電
解液内のみでなく有機高分子電解質内をもイオンが通過
可能となり、従来の液体電解質電池よりも高率での放電
が可能となる。さらに、多孔性有機高分子電解質の細孔
中の電解液によって、イオンが速く拡散する通路が確保
されているため、従来のポリマー電池よりも高率での放
電が可能となる。
【0054】また、正極及び負極と電解質との界面の一
部叉は全体を多孔性イオン導電性有機高分子で覆うこと
によって、高電圧電池であるために問題となる正極及び
負極による非水電解液の酸化及び還元を減少させること
ができ、充電放置特性を改善することができる。この場
合においても、イオン導電性有機高分子が多孔性である
が故に、高率での放電が可能となる。
【0055】また、正極叉は負極の活物質層の孔中に多
孔性イオン導電性有機高分子を存在させることによって
電極と電解質との界面を多孔性イオン導電性有機高分子
で覆った場合には、高電圧電池であるために問題となる
正極及び負極による非水電解液の酸化及び還元を減少さ
せることができ、充電放置特性を改善することができる
とともに、活物質の利用率が高い場合であっても安全性
に優れた電池とすることができる。この場合において
も、イオン導電性有機高分子が多孔性であるが故に、高
率での充放電が可能となる。また、活物質層の孔中に多
孔性有機高分子を存在させた場合には、活物質層の孔中
に含まれる電解液量を大幅に減少させることができるた
め、正極叉は負極に充放電によって体積変化が生ずる活
物質を使用することによって、活物質の体積変化による
多孔性イオン導電性有機高分子の孔中の電解液の流れが
速くなり、そのためにイオンがその流れに乗ってより遠
くまで運ばれる。従って、電解質中のイオンの移動がス
ムーズに起こり、電池の高率での充放電性能が向上す
る。
【0056】本発明においては、多孔性イオン導電性有
機高分子電解質を、有機高分子を溶媒(a)に溶解した
溶液から、有機高分子に対し不溶性で、溶媒(a)と相
溶性がある溶媒(b)を用いて溶媒(a)を溶液中から
取り除く、いわゆる湿式法によって製造する。湿式法に
おいては、有機高分子を溶媒(a)に溶かした溶液を支
持体上に塗布した後に、有機高分子に対し不溶性で溶媒
(a)と相溶性がある溶媒(b)中に浸漬することによ
って微孔有機高分子を製作することができるために、多
孔性イオン導電性有機高分子電解質を安価に量産するこ
とができる。また、湿式法によって製作される微孔有機
高分子には、貫通孔でなくランダム孔が形成されるため
に、同じ多孔度の場合には、細針を用いて物理的に有機
高分子に孔をあけた場合よりも多孔性イオン導電性有機
高分子電解質の機械的強度が強くなる。従って、正負極
間にセパレータとして使用する多孔性イオン導電性有機
高分子電解質膜の厚さを薄くすることができ、電池を高
エネルギー密度化することができる。また、活物質層の
孔中叉は、電極上に有機高分子を溶媒(a)に溶解した
溶液が存在する状態で、電極を有機高分子に対し不溶性
で、溶媒(a)と相溶性がある溶媒(b)中に浸漬する
ことによって、活物質層の孔中叉は電極上に多孔性有機
高分子を形成することができる。従って、本発明におい
ては、この多孔性有機高分子の孔中及び有機高分子中を
非水電解液で湿潤叉は膨潤させて多孔性有機高分子電解
質とすることによって、活物質層中に多孔性イオン導電
性有機高分子を有する電池、及び電極上に多孔性イオン
導電性有機高分子膜が塗布された電池を安価に量産する
ことができる。
【0057】また、ステンレスの細針を用いた物理的な
多孔処理及び塩の析出による多孔処理による多孔膜、及
び延伸法による多孔膜を使用したリチウムイオン電池
と、本発明による湿式法による多孔膜を使用したリチウ
ムイオン電池とを比較した場合、本発明による湿式法に
よる多孔膜を使用したリチウムイオン電池の方が、低温
での充放電特性に著しく優れていた。
【0058】これによって、従来の非水系電池よりも、
低温で高率放電性能がよく、高温においても自己放電が
少なく長期の充電放置特性に優れ、活物質の利用率が高
い場合であっても安全性に優れるポリマー電池を効率的
に量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における本発明による電池(A)に用
いたPVDF微孔性有機高分子のSEM写真である。
【図2】比較例2における従来から公知の電池(C)に
用いた乾式法によるPVDF膜のSEM写真である。
【図3】実施例1における本発明による電池(A)と比
較例電池(B)及び(C)とにおける、多孔度と放電容
量との関係を示す図である。
【図4】実施例1における本発明による電池(A)と比
較例電池(B)及び(C)との放電特性を示す図であ
る。
【図5】実施例2における本発明による電池(D)に用
いたPVC微孔性有機高分子のSEM写真である。
【図6】実施例2における本発明による電池(D)と比
較例電池(E)との放電特性を示す図である。
【図7】実施例3における本発明による電池(F)と比
較例電池(G)との放電特性を示す図である。
【図8】湿式法によって製作したPAN微孔性有機高分
子のSEM写真である。
【表1】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液によって湿潤叉は膨潤する性質の
    ある有機高分子を溶解した溶媒(a)を、前記有機高分
    子に対し不溶性で、かつ溶媒(a)と相溶性のある溶媒
    (b)で置換して得られる孔を有する有機高分子を前記
    の電解液で湿潤叉は膨潤したイオン導電性有機高分子電
    解質を備えることを特徴とするポリマー電池。
  2. 【請求項2】 孔を有する有機高分子の多孔度が10か
    ら80%である請求項1記載のポリマー電池。
  3. 【請求項3】 電解液によって湿潤叉は膨潤する性質を
    有する有機高分子と孔の双方にリチウムイオンを含む電
    解液を備えることを特徴とする請求項1、叉は2記載の
    ポリマー電池。
  4. 【請求項4】 有機高分子としてポリビニリデンフルオ
    ライド、ポリ塩化ビニルもしくはポリアクリロニトリ
    ル、叉はそれらを主成分とする共重合体を使用したこと
    を特徴とする請求項1、2、叉は3記載のポリマー電
    池。
  5. 【請求項5】 溶媒(a)がn−メチル−2−ピロリド
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の
    親プロトン性非プロトン溶媒であり、溶媒(b)が水、
    アセトン、メタノール、エタノール等の両性溶媒である
    ことを特徴とする請求項1、2、3、叉は4記載のポリ
    マー電池。
  6. 【請求項6】 有機高分子溶液の溶媒(a)を溶媒
    (b)に置換したのち、溶媒(b)を全部もしくは一部
    残して得られる、孔を有する有機高分子を備えてなるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、叉は5記載のポ
    リマー電池。
  7. 【請求項7】 孔を有する有機高分子電解質を正極と負
    極との間に介在させてなることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、叉は6記載のポリマー電池。
  8. 【請求項8】 孔を有する有機高分子電解質を正極叉は
    /及び負極の孔中叉は/及び表面に配してなることを特
    徴とする請求項1、2、3、4、5、6、叉は7記載の
    ポリマー電池。
  9. 【請求項9】 正極叉は/及び負極に、充放電によって
    体積変化を生ずる活物質を備えることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7、叉は8記載のポリマー
    電池。
  10. 【請求項10】 孔を有する有機高分子をあらかじめ正
    極と負極との間に介在させるように、電池ケース内に収
    納し、しかるのちに電解液を注入することを特徴とする
    請求項1、2、3、4、5、6、7、8、叉は9記載の
    ポリマー電池の製造法。
  11. 【請求項11】 有機高分子を溶媒(a)に溶解した有
    機高分子溶液を正極叉は/及び負極に塗布し、しかるの
    ちに溶媒(a)を溶媒(b)によって置換して得られる
    孔を有する有機高分子を有する正極叉は/及び負極を電
    池ケース内に収納し、しかるのちに電解液を注入するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8、叉は9記載のポリマー電池の製造法。
  12. 【請求項12】 正極叉は/及び負極の構成材料を有機
    高分子を溶媒(a)に溶解した有機高分子溶液と混合
    し、成形して得られる正極叉は/及び負極を電池ケース
    内に収納し、しかるのちに電解液を注入することを特徴
    とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、叉は9
    記載のポリマー電池の製造法。
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