JPH09241940A - ポリエステル裏地 - Google Patents

ポリエステル裏地

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Publication number
JPH09241940A
JPH09241940A JP8044733A JP4473396A JPH09241940A JP H09241940 A JPH09241940 A JP H09241940A JP 8044733 A JP8044733 A JP 8044733A JP 4473396 A JP4473396 A JP 4473396A JP H09241940 A JPH09241940 A JP H09241940A
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JP
Japan
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lining
polyester
moisture absorption
fiber
yarn
Prior art date
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Application number
JP8044733A
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English (en)
Inventor
Hiroe Yokoi
宏恵 横井
Tetsuya Obara
徹也 小原
Kazuyuki Adachi
一行 安達
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】吸放湿パラメーター(ΔMR)が1%以上
であるポリエステル系フィラメントを含み、JIS L
1094 B法による摩擦帯電圧が3kv未満であ
り、かつ縫目ずれが2mm以下である織物からなること
を特徴とするポリエステル裏地また吸放湿パラメーター
(ΔMR)が1%以上であるポリエステル系フィラメン
トを含み、JIS L 1094 B法による摩擦帯電
圧が3kv未満であり、かつ目付が60〜130g/m
2 である編物からなることを特徴とするポリエステル裏
地。 【効果】本発明の目的は、前記した従来の技術の問題点
を克服し、大きな吸湿率とソフトな風合を有し、かつ、
ポリエステルの特性である形態安定性や強度保持性を具
備する着用感の快適なポリエステル裏地を提供すること
にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸湿性のあるポリ
エステル裏地に関する。さらに詳しくは、上衣裏、ボト
ム裏、スカート裏などの一般衣料用裏地、学衣用裏地、
スポーツ衣料用裏地、スレーキ、肩パットのくるみな
ど、吸湿性があると快適に着用できる部位に好適に使用
することができるポリエステル裏地に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルに代表される熱可塑性合成
繊維は、形態安定性、機械強度、耐薬品性、耐熱性、洗
濯耐久性などに優れるため、衣料用途や産業用途などを
主体に広く使用されている。
【0003】しかしながら、ポリエステル繊維は極めて
吸湿率が低いため、裏地のように直接肌に触れて、ある
いは肌側に近い状態で着用される場合には、肌からの発
汗によるムレやベタツキなどを生じる。
【0004】さらに、電荷を帯びやすく、摩擦帯電圧が
高くなるため、着用時に肌へのまとわりつきが起こりや
すい。
【0005】このような点で、快適性の点では、天然繊
維やセルロース系合成繊維よりも劣り、裏地用途への進
出は一部限定されているのが実情である。
【0006】この欠点を解消するため、たとえば特公昭
60−475号公報、実公昭60−40612号公報、
あるいは特開昭60−215835号公報に記載されて
いるように、平衡水分率(吸湿率)の高い繊維と合繊繊
維との混繊、合撚、引揃えなどにより布帛として吸湿快
適性を得んとする試みが提案されている。これらの方法
を用いることで確かに快適性は向上するものの、その効
果は十分とはいえず、また、合成繊維を染色する際に一
般に使用される分散染料によって汚染を生じたり、同色
性に劣ったり、合成繊維本来の物理的特性が失われると
いう問題点があった。
【0007】さらに、裏地にはキュプラに代表されるセ
ルロース系合成繊維がよく使われている。キュプラに代
表されるセルロース系合成繊維は、吸湿性が高く快適な
着用が可能であるが、強度が低く、洗濯耐久性が劣り、
さらに、しわがおこり易く、形態安定性に欠けるという
欠点がある。
【0008】また、後加工段階で吸湿性を付与する方法
では、十分な吸湿性を得るためには、吸湿性樹脂を裏地
に多くピックアップさせる必要がある。そのため、裏地
はある程度の厚さが必要であり、裏地のような薄地の布
帛には適さない。また、十分な吸湿性を得ることができ
たとしても、布帛表面に吸湿性樹脂の被膜ができるた
め、風合が剛くなり、裏地に使用することが困難であ
る。さらに、洗濯による樹脂落ちが起こり、耐久性がな
くなるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来の技術の問題点を克服し、大きな吸湿率とソフ
トな風合を有し、かつ、ポリエステルの特性である形態
安定性や強度保持性を具備する着用感の快適なポリエス
テル裏地を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のポリエステル裏
地は前記課題を解決するため以下の構成を有する。
【0011】すなわち、吸放湿パラメーター(ΔMR)
が1%以上であるポリエステル系フィラメントを含み、
JIS L 1094 B法による摩擦帯電圧が3kv
未満であり、かつ縫目ずれが2mm以下である織物から
なることを特徴とするポリエステル裏地である。
【0012】また、吸放湿パラメーター(ΔMR)が1
%以上であるポリエステル系フィラメントを含み、JI
S L 1094 B法による摩擦帯電圧が3kv未満
であり、かつ目付が60〜130g/m2 である編物か
らなることを特徴とするポリエステル裏地である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル裏地を以下
説明する。
【0014】本発明の、ポリエステル裏地は、布帛中に
ポリエステル成分が含まれている裏地を意味しており、
ポリエステル系繊維のみを用いた裏地は勿論よいが、他
に、天然繊維やセルロース系合成繊維との混繊繊維を使
用した裏地や、天然繊維やセルロース系合成繊維と交織
した裏地など何等限定されるものではない。
【0015】本発明の裏地に用いるポリエステル系フィ
ラメントの吸放湿パラメーター(ΔMR)は1%以上と
するものである。吸放湿パラメーター(ΔMR)が1%
に満たないと、吸湿率が低いため、肌からの発汗による
ムレやベタツキなどを防止することが困難になるという
問題がある。
【0016】さらに、着用地の快適性、製糸性、製織性
および製編性の観点から、吸放湿パラメーター(ΔM
R)は1.5〜10%であることが好ましく、3%〜1
0%であることはより好ましい。
【0017】裏地としての吸放湿パラメーター(ΔM
R)は1%以上であるのが好ましい。また、吸湿性に関
して洗濯耐久性に優れていることが好ましく、5回洗濯
後の吸放湿パラメーター(ΔMR)が洗濯前の70%以
内であることが好ましい。
【0018】本発明における吸湿パラメーター(ΔM
R)とは、30℃×90%RHにおける吸湿率(MR
2)と20℃×65%RHにおける吸湿率(MR1)と
の差で表される(ΔMR(%)=MR2−MR1)値の
ことをいう。ここで、ΔMRは衣服着用時の衣服内の湿
気を外気に放出することにより快適性を得るためのドラ
イビングフォースであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運
動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内
温度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との
吸湿率差を表わす。本発明では吸湿性評価の尺度とし
て、このΔMRをパラメーターとして用いる。ΔMRは
大きければ大きいほど吸放湿力が高く、着用時の快適性
が良好であることを表わしている。
【0019】本発明のポリエステル裏地はJIS L
1094 B法(摩擦帯電圧測定法)による摩擦帯電圧
が3kv未満であるのが好ましく、さらに、1kv未満
(実質的には0kv)であるのはより好ましい。
【0020】また、帯電防止効果の洗濯に対する耐久性
の観点から、洗濯5回後の摩擦帯電圧が3kv未満であ
るのが好ましく、1kv未満であるのはより好ましい。
【0021】ここで、洗濯1回とは、市販の自動反転う
ずまき式電気洗濯機の洗濯槽に40±2℃の0.2%弱
アルカリ性合成洗剤液25リットルを入れ、試験布と追
加布の合計重量が約500gとなるように調整した後、
洗濯5分、脱水30秒、すすぎ2分、脱水30秒、すす
ぎ2分、脱水30秒という手順で行ったもののことをい
う。また、すすぎは常温水を用い、オーバーフローさせ
ながら行う。
【0022】従来、後加工で付与された制電性は洗濯を
繰り返すことにより、制電効果が消失するのが一般的で
あるが、本発明のポリエステル裏地は、洗濯を繰返し行
なっても、洗濯による制電性の低下が少ないという、優
れた効果を奏するものである。
【0023】本発明の織物からなるポリエステル裏地
は、タテ方向およびヨコ方向の少なくともいずれかの方
向において縫目ずれが2mm以下とするものである。本
発明においては縫い目ずれは小さいほど好ましく、縫い
目ずれの下限は実質的に0mmである。
【0024】縫目ずれが2mmより大きくなると着用時
に縫い目周辺に目ずれが起こり、衣服外観を乱したり、
裏地が破れやすくなる問題がある。
【0025】本発明の縫目ずれは、JIS L 109
6法(縫目強さ)法により測定して得られる値のことを
いう。
【0026】また、本発明の織物からなるポリエステル
裏地は、経糸および緯糸の織密度がそれぞれ50〜30
0本/インチであって、経糸および緯糸のうち少なくと
もいずれかの単糸繊度が0.1〜10デニール、総繊度
が30〜150デニール、糸強度が3.5g/d以上の
糸を用いるのが好ましく、タテ方向およびヨコ方向の少
なくともいずれかの方向において引裂き強力が700g
以上であるのが好ましい。
【0027】経糸および緯糸の織密度が50本/インチ
に満たないと、縫目ずれや着用時の目ずれが起きやすく
なる傾向がある。
【0028】一方、経糸および緯糸の織密度が300本
/インチを越えると、裏地が厚くなり、軽量感が損なわ
れる傾向がある。
【0029】経糸および緯糸のうち少なくともいずれか
の単糸繊度が10デニール以上であると布帛の風合いが
硬くなり、裏地として使用することが困難となる傾向に
あり、0.1デニール未満であると製糸性が低下する傾
向にある。
【0030】さらに、製織性や裏地の強度などの観点か
ら、経糸および緯糸のうち少なくともいずれかの単糸繊
度は0.5デニール以上であるのがより好ましい。
【0031】また、異繊度混繊糸など単糸繊度の異なる
糸を用いることも、ソフトでかつ張りのある裏地を作製
する観点から好ましい。
【0032】この場合、太繊度の糸に吸湿性ポリエステ
ル繊維を用いると、吸湿率が高く、ソフトでかつ張りの
ある裏地を作製することができ好ましい。
【0033】経糸および緯糸のうち少なくともいずれか
の総繊度が30デニールに満たない場合、製織性、製糸
性が悪くなり、また、はりがない裏地となる傾向があ
る。
【0034】また、経糸および緯糸のうち少なくともい
ずれかの総繊度が150デニールより大きくなると、布
帛の風合いが硬くなり、裏地として使用することが困難
となる傾向にある。
【0035】本発明のポリエステル裏地において、経糸
および緯糸のうち少なくともいずれかの糸の強度が3.
5g/デニール未満、タテ方向およびヨコ方向の少なく
ともいずれかの方向において引裂き強力が700g未満
であると、裏地としての強度を保つことができない傾向
にある。
【0036】本発明の引裂き強力は、JIS L 10
96 D法(引裂き強さ、ペンジュラム法)により測定
する。
【0037】本発明の織物からなるポリエステル裏地の
組織は、平組織、綾組織、朱子組織およびそれらの変化
組織などいずれであってもよく、何等限定されるもので
はない。
【0038】また、本発明の編物からなるポリエステル
裏地は、目付を60〜130g/m2 とするものであ
る。裏地の目付が、60g/m2 未満である場合、はり
のない裏地となり、また、130g/m2 より大きい場
合、裏地の風合いが硬くなったり、軽量感が損なわれた
りする問題がある。
【0039】本発明の編物からなるポリエステル裏地
は、密度が22〜48ウェル/インチおよび30〜80
コース/インチであって、ウェル糸およびコース糸のう
ち少なくともいずれかが単糸繊度0.1〜10デニー
ル、総繊度30〜75デニールであるのが好ましい。
【0040】密度が22ウェル/インチ未満および30
コース/インチ未満であると、裏地の強度の低下や目ヨ
レの発生など裏地として使用することが困難になる上、
製編性が悪くなる傾向にある。
【0041】また、密度が48ウェル/インチを越える
場合および80コース/インチを越えると、布帛の風合
いが硬くなり、軽量感が損なわれ、さらに製織性が悪く
なるため、裏地として使用することが困難になる傾向が
ある。
【0042】また、編物裏地を構成する糸について、コ
ース糸およびウェル糸のうち少なくともいずれかの単糸
繊度が10デニールを越えると布帛の風合いが硬くな
り、裏地として使用することが困難になる傾向がある。
また、0.1デニール未満であると製糸性が低下する傾
向にある。
【0043】さらに、製編性や裏地の強度などの観点か
ら、単糸繊度は、1デニール以上であることがより好ま
しい。
【0044】また、異繊度混繊糸など単糸繊度の異なる
糸を用いることもソフトでかつ張りのある裏地を作製す
る観点から好ましい。
【0045】この場合、太繊度の糸として吸湿性ポリエ
ステル繊維を用いることは、吸湿率が高く、ソフトでか
つ張りのある裏地を作製する観点からより好ましい。
【0046】総繊度が30デニールに満たない場合、製
編性、製糸性が悪くなり、また、はりのない裏地となる
傾向にある。
【0047】また、総繊度が75デニールより大きくな
ると、布帛の風合いが硬くなり、裏地として使用するこ
とが困難となる傾向にある。
【0048】本発明のポリエステル裏地の編地は、経編
地、丸編地、ラッセルおよびダブルラッセルなどのいず
れであってもよく、何等限定されることなく好ましく使
用できる。
【0049】また、編組織は、メッシュ組織、バックハ
ーフ組織、クイーンズコード組織、インターレース組織
など、通常裏地として使用されている編組織であれば何
等限定されることはない。本発明のポリエステル裏地に
おいて、ポリエステル系フィラメントは吸放湿パラメー
ター(ΔMR)が1%以上であるという吸湿率を有する
ものであり、ポリエステル成分を含有するフィラメント
について、特に限定はされないが、製糸性、製織性、染
色性および糸性能の耐久性などを考慮にいれると、次の
繊維を用いることが好ましい。
【0050】すなわち、親水性化合物(A)を共重合し
たポリエステルであって、極性基含有化合物(B)およ
び架橋剤(C)のうち少なくともいずれかを5%以上含
有する吸湿性を有する共重合ポリエステル(D)を含ん
でいる複合繊維、または、ポリエーテルエステルアミド
(E)もしくはポリエーテルエステルアミドと他の熱可
塑性樹脂(F)との混合物を5%以上含んでいる複合繊
維を用いるのが好ましい。
【0051】以下、それぞれの繊維について詳細に説明
する。
【0052】まず、親水性化合物(A)を共重合したポ
リエステルであって、極性基含有化合物(B)および架
橋剤(C)のうち少なくともいずれかを含有する吸湿性
を有する共重合ポリエステル(D)について説明する。
【0053】親水性化合物(A)の分子量は、ポリエス
テルとの相溶性およびポリエステル中における分散性の
観点から600〜20000であることが好ましく、よ
り好ましくは、1000〜10000であり、さらに好
ましくは、2000〜6000である。
【0054】また、親水性化合物(A)としては、エス
テル形成基を1個以上含有する化合物であるのが好まし
く、特に限定されないが、代表的な化合物としてポリオ
キシアルキレン化合物、ポリオキサゾリン類、ポリアク
リルアミドとその誘導体などを用いることができる。そ
の中でも、ポリオキシアルキレン化合物が好ましく、ポ
リオキシエチレン化合物はさらに好ましい。
【0055】さらに、ポリオキシエチレン化合物の中で
も、ポリエチレングリコール化合物が好ましく、結晶化
抑制因子を含むポリエチレングリコールが特に好まし
い。
【0056】ここで、結晶性抑制因子とは、分子鎖中あ
るいは末端に存在し、ポリエチレングリコールの繰り返
し単位の対称性を乱すような有機残基のことをいう。結
晶化抑制とは、示鎖走査熱分析(DSC、昇温条件16
℃/分)によって求めた融点が同じ分子量のポリエチレ
ングリコールの融点より低くなることをいう。
【0057】また、親水性化合物(A)の共重合の割合
は特に限定はされないが、紡糸性の観点から、全ポリマ
ー重量に対して40〜99重量%であることが好まし
い。
【0058】これらの化合物は、大部分ポリエステル中
に共重合されているのが好ましいが、一部についてはポ
リマー中に分散した状態で存在していてもよい。
【0059】共重合ポリエステル(D)中に含有させる
極性基含有化合物(B)として、特に限定はされない
が、下記一般式(I )
【化1】 (式中R1 は有機残基、Xはエステル形成性基でありn
は1以上の正数、Yi はアミノ基、スルホン基、カルボ
キシル基、水酸基、アミド基およびホスホン酸基などの
誘導体の中から選ばれる1つ以上の極性基を示す。(i
≧1の整数))で表される極性基を有する化合物が好ま
しい。
【0060】ここで、含有とは、ポリエステル中に分散
または共重合した状態のことをいうが、特に共重合して
いる状態であるのが好ましい。
【0061】化合物としては、特にスルホン酸塩基を有
する化合物が好ましい。
【0062】極性基含有化合物を含有させることでポリ
マーの吸湿率がさらに高まるばかりか、ポリマー中に水
素結合やイオン性相互結合作用を生じ、繊維とした場合
に経時的な物性の変化が生じにくいという効果が得られ
る。
【0063】糸切れの発生を防止し、かつ経時的な変化
を生じにくくする観点から、極性基含有化合物(B)の
含有量は全ポリマーを構成する酸成分に対して0〜50
モル%であるのが好ましく、さらに好ましくは2〜15
モルである。
【0064】また、共重合ポリエステル(D)中に含有
させる架橋剤(C)としては、該ポリエステルと反応
し、架橋構造を形成する化合物であれば、特に限定はさ
れないが、下記一般式(II)
【化2】 (式中R2 は3〜6価の有機残基、R3 は水素あるいは
アセチル基、R4 は水素あるいはアルキル基、3≦m+
n≦6)で表される多官能化合物を用いることが好まし
い。
【0065】ここで、含有とは、ポリエステル中に分散
している状態のことをいうが、共重合により架橋構造で
ある状態は好ましい。
【0066】化合物としては、トリメリット酸、ピロメ
リット酸などの多官能カルボン酸、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリストールなどのポリオー
ルが好ましいが、特に好ましいのはトリメリット酸であ
る。架橋剤(C)を含有させることで、ポリマーの吸湿
性がさらに高まるばかりでなく、ポリマー中に架橋構造
が形成され、繊維とした場合に経時的な物性の変化が生
じにくいという効果が得られる。
【0067】架橋剤(C)の割合は、全ポリマーを構成
する酸成分に対して0〜30モル%が好ましく、さらに
好ましくは、1〜15モル%、特に好ましくは、2〜1
0モル%である。該範囲とすることにより、吸湿性を高
く保持し、製糸性が良好となり、強度等の繊維物性が向
上するので好ましい。
【0068】また、共重合ポリエステル(D)には、極
性基含有化合物(B)と架橋剤(C)のうち少なくとも
いずれか一方が含有されているのは好ましい。(B)お
よび(C)の両者を含むことはより好ましい。
【0069】また、共重合ポリエステル(D)には、本
発明の目的を損なわない範囲で、酸化チタン、カーボン
ブラックなどの顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩な
どの界面活性剤、各種の抗酸化剤、着色防止剤、耐光
剤、帯電防止剤などが添加されていてももちろんよい。
【0070】次に、ポリエーテルエステルアミド(E)
またはポリエーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂
(F)との混合物について説明する。
【0071】ポリエーテルエステルアミド(E)とは、
同一分子鎖内にエーテル結合、エステル結合を持つブロ
ック共重合体のことをいう。
【0072】より具体的には、ラクタム、アミノカルボ
ン酸、ジアミンとジカルボン酸の塩から選ばれた、1種
もしくは2種以上のポリアミド形成性成分(G)および
ジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコール
からなるポリエーテルエステル形成性成分(H)を重縮
合反応させて得られるブロック共重合体ポリマーを好ま
しく用いることができる。
【0073】ポリエーテルエステルアミドのポリアミド
形成性成分(G)としては、ラクタム類、ω−アミノカ
ルボン酸、ナイロン塩類などを用いることができ、これ
らを、1種または2種以上混合して用いることができ
る。
【0074】好ましいポリアミド形成性成分としてはε
カプロラクタム、ナイロン66塩である。一方、ポリエ
ーテルエステルアミドのソフトセグメントを構成するポ
リエーテルエステル成分(H)としては、炭素数4〜2
0のジカルボン酸とポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ールが好ましい。
【0075】炭素数4〜20のジカルボン酸としては、
脂肪族、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸など
を用いることができ、1種または2種以上混合して用い
ることができる。
【0076】好ましいジカルボン酸は、アジピン酸、セ
バポリグリシンなどのポリアミド、ポリエステル、ポリ
オレフィンなどの汎用熱可塑性樹脂シン酸、デカジ酸、
テレフタル酸、イソフタル酸などである。
【0077】また、ポリ(アルキレンオキシド)グリコ
ールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2
−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(1,3−プ
ロピレンオキシド)グリコール、ポリテトラメチレンオ
キシドグリコール、ポリヘキサメチレンオキシドグリコ
ール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドまたは、
テトラヒドロフランとのランダムまたはブロック共重合
などを用いることができ、特にポリエチレングリコール
が好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの
数平均分子量は300〜10000であるのが好まし
く、より好ましくは、500〜4000の範囲である。
【0078】ポリエーテルエステルアミドブロック共重
合体は、上記したポリアミド形成性成分(G)とポリエ
ーテルエステル形成性成分(H)を重縮合することによ
って得られる。
【0079】熱可塑性樹脂(F)としては、例えば、ナ
イロン66、ナイロン6のようなポリアミド、ポリエス
テル、ポリオレフィンのうち1種または2種以上を用い
ることができる。特に、ナイロン66、ナイロン6、ス
ルホネート化合物を共重合した変性ポリエチレンテレフ
タレートなどがポリエーテルエステルアミドと相容性が
良好で、相互に微分散が可能であり、また、熱水による
膨潤が小さいため好ましい。
【0080】ここで変性ポリエステルの共重合成分とし
て好ましいスルホネート化合物として、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸、5−(テトタアルキル)ホスソニ
ウムスルホイソフタル酸およびそれらのエステル誘導
体、p−ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム、2,5−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンス
ルホン酸カリウムなどを用いることができる。
【0081】該スルホネート化合物の共重合量はポリエ
ーテルエステルアミドとの相容性と得られるブレンド繊
維の物性との兼ね合いから酸成分に対して0.1〜7モ
ル%であるのが好ましく、より好ましくは、0.2〜6
モル%であり、さらに好ましくは、0.5〜5モル%で
ある。
【0082】ポリエーテルエステルアミドと熱可塑性樹
脂(F)との混合比率は、十分な吸湿特性を得ること
や、染色加工工程のような熱水雰囲気下で、膨潤による
繊維表面の割れを防ぐという観点から、5〜50重量%
が好ましく、より好ましくは7〜45重量%であり、さ
らに好ましくは10〜40重量%である。
【0083】繊維形成性重合体として、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロン6、ナ
イロン66などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル
などを用いることができるが、これらに限定されるもの
ではない。衣料用合成繊維としてもっとも汎用性の高
い、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエス
テルを用いることは好ましい。
【0084】複合繊維の形態として、特に限定はされな
いが、芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合中空繊維、海島型複
合繊維、張り合わせ型複合繊維、あるいはブレンド繊維
などを用いることができ、共重合ポリエステル(D)、
ポリエーテルエステルアミド(E)またはポリエーテル
エステルアミドと他の熱可塑性樹脂(F)との混合物な
どの吸湿性を有するポリマーを任意の割合で構成成分と
して用いることができる。
【0085】例えば、図1に示されるような芯鞘型複合
繊維および図2に示されるような芯鞘型複合中空繊維、
共重合ポリエステル(D)、ポリエーテルエステルアミ
ド(E)またはポリエーテルエステルアミドと他の熱可
塑性樹脂(F)との混合物などの吸湿性を有するポリマ
ーを芯部に用い、繊維形成性重合体を鞘部に用いた複合
繊維などを用いることができる。
【0086】この場合、複合複合比率(重量%)は芯/
鞘=5/95〜90/10とすることが好ましい。さら
に好ましくは、7/93〜50/50、特に好ましく
は,10/90〜30/70である。複合比率は、染色
用途および染色なしの用途で任意に選ぶことができる。
芯部の複合比率の下限は、十分な吸湿性を付与する目的
から適宜設定され、上限は、紡糸性の低下や繊維物性の
低下を防ぐ観点から適宜設定され得る。
【0087】芯鞘型複合糸の芯鞘形状は、同心円状や偏
心円状でもよく、繊維形状は丸、多角、H型などの異形
断面でもよい。
【0088】また、図3に示されるような海島型複合繊
維あるいは図4に示されるような張り合わせ型複合繊維
においても、共重合ポリエステル(D)、ポリエーテル
エステルアミド(E)またはポリエーテルエステルアミ
ドと他の熱可塑性樹脂(F)との混合物などの吸湿性を
有するポリマーを島成分あるいは1成分に用い、これら
ポリマーの繊維形成性重合体に対する複合比率は5〜9
0重量%であるのが好ましい。さらに好ましくは7〜5
0重量%であり、特に好ましくは10〜30重量%であ
る。
【0089】複合比率は、染色用途および染色なしの用
途で任意に選ぶことができる。芯部の複合比率の下限
は、十分な吸湿性を付与する目的から適宜設定され、上
限は、紡糸性の低下や繊維物性の低下を防ぐ観点から適
宜設定される。
【0090】また、繊維形成性樹脂へ共重合ポリエステ
ル(D)、ポリエーテルエステルアミド(E)またはポ
リエーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂(F)と
の混合物などの吸湿性を有するポリマーを繊維形成性重
合体に配合したブレンド繊維の場合、これらポリマーの
繊維形成性重合体に対する配合比率は、全ポリマー量に
対して3〜80重量%とするのが好ましい。より好まし
くは、5〜35重量%、さらに好ましくは、7〜30重
量%である。
【0091】配合比率の下限は十分な吸湿性を付与する
目的から適宜設定され、配合比率の上限は、紡糸性の低
下や繊維物性の低下を防ぐ観点から適宜設定される。
【0092】繊維形成重合体に複合する主成分は、前記
した共重合ポリエステルであるが、その効果を損なわな
い範囲で、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステ
ル、ポリカーボネートなどを含んでいてもよい。
【0093】また、繊維形成性重合体には、本発明の目
的を損なわない範囲で、酸化チタン、カーボンブラック
などの顔料、各種の抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、帯
電防止剤などが添加されていてももちろんよい。
【0094】本発明における織物の組織は、平組織、綾
組織、朱子組織およびそれらの変化組織など裏地として
通常使用されている組織であれば、特に限定されるもの
ではない。
【0095】本発明のポリエステル裏地の染加工工程
は、リラックス精練−中間セット−染色−機能性付与加
工−仕上げセット等の通常の加工工程で何等問題はな
く、他に、生機セットを行ったり、風合向上の観点から
アルカリ処理等を行うことは好ましい。
【0096】機能性付与加工としては、帯電防止、消
臭、撥水、防汚および防カビ加工など、布帛の風合をソ
フトに保ち本発明の目的を損なわない範囲であれば、何
等限定されるものではない。
【0097】また、吸湿加工の機能性付与を行うこと
は、布帛の吸湿率が上がり、着用時の快適性が向上し、
より好ましい。
【0098】本発明の裏地は、ボトム裏、袖裏、ポケッ
ト裏、上衣裏、学衣裏など通常織物裏地として使用され
ている部位について、何等限定されることなく使用する
ことができる。
【0099】
【実施例】以下、本発明の実施例により、さらに詳細に
説明する。なお、本発明中の各評価は、次の方法で求め
た。
【0100】[吸放湿パラメータ(ΔMR)]原糸また
は布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と20℃×65%
RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気下、市販の恒
温恒湿器中に24時間放置後の重量との重量変化から、
次式で求めた。(n数:3) 吸湿率(%)=[(吸湿後の重量−絶乾時の重量)/絶
乾時の重量]×100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2と
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を
求めた。
【0101】[強度]市販のテンシロン引張り試験機を
用いて試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で
応力−歪み曲線から値を求めた。(n数:5) [着用時の快適性、まとわりつき]それぞれの布帛を裏
地に用いてスカートを作成し、30℃×65%の恒温恒
湿室内で時速8kmの軽い運動を15分行った後の、被
験者の官能試験により快適性の評価を行い、さらに、ス
カートの脚部へのまとわりつきの有無を調べた。
【0102】快適性評価の結果は、不快:×、やや快
適:△、快適:○、非常に快適:◎で表示した。
【0103】[実施例1]共重合ポリエステルとして、
ジメチルテレフタル酸194部、エチレングリコール1
35部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル2
6.6部、トリメリット酸トリメチル7.5部およびテ
トラブチルチタネート0.1部を加え、エステル交換反
応を行った後、分子量4000のポリエチレングリコー
ル328部を加え、重合を行い共重合ポリエステルを得
た。
【0104】こうして得られた共重合ポリエステルを芯
成分とし、ポリエチレンテレフタレートを鞘成分とし
て、共重合ポリエステルが繊維全重量の20重量%とな
る、50デニール18フィラメントおよび75デニール
36フィラメントの芯鞘型複合中空繊維を得た。これら
の原糸の吸放湿パラメータ(ΔMR)はともに3.4%
であった。
【0105】こうしてひ作製した糸のうち、50デニー
ル18フィラメントの糸を経糸に、75デニール36フ
ィラメントの糸を緯糸に用い、仕上経密度が106本/
インチ、緯密度が84本/インチの平織物を作製した。
【0106】この織物を、リラックス精練、中間セッ
ト、液流染色、仕上セットの染色工程によって裏地を作
製し、こうして得られた裏地を用いてスカートを作製し
た。
【0107】得られたマルチフィラメントの糸強度は経
糸が4.3g/dであり、緯糸が4.1g/dであっ
た。また、得られた織物の引裂き強力は、経方向が10
00gであり、緯方向が1400gであった。縫目ずれ
は縦方向が1.2mmであり、緯方向が1.0mmであ
った。吸放湿パラメーター(ΔMR)は3.4%、5回
洗濯後の吸放湿パラメーター(ΔMR)は3.3%、摩
擦帯電圧は0.1kvであり、5回洗濯後の摩擦帯電圧
は0.3kvであった。
【0108】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。
【0109】評価結果を表1に示す。
【0110】
【表1】 [実施例2〜3]実施例1において、吸湿性ポリマーを
繊維全重量に対して10重量%(実施例2)、7重量%
(実施例3)の比率にした複合繊維を用い、実施例1と
同様の評価を行った。評価結果を併せて表1に示す。
【0111】[実施例4]実施例1の染色工程において
リラックス精練、中間セットの後、15%のアルカリ処
理を行い、その後、液流染色、仕上セットを行うという
染色工程を行った。
【0112】こうして得られた裏地を用い、実施例1と
同様の評価を行った。
【0113】その結果、裏地の風合いは実施例1に比べ
さらに柔らかくなり、着用時の快適性も実施例1に比べ
向上した。評価結果を併せて表1に示す。
【0114】[実施例5]実施例1と同様の糸使いで、
仕上経密度が256本/インチ、緯密度が95本/イン
チの朱子織物を作製した。得られた織物の引裂き強度
は、経方向が1100gであり、緯方向が2900gで
あった。縫目ずれは縦方向が1.0mmであり、緯方向
が0.5mmであった。
【0115】縫製性は、通常の裏地と何等変わることな
く、良好であり、縫目ずれなどは発生しなかった。
【0116】また、着用性についても、強度があり、目
ずれなど起こることなく、また、風合いはソフトで良好
であった。評価結果を併せて表1に示す。
【0117】[比較例1]実施例1において、吸湿性ポ
リマーを繊維全重量に対して3重量%の比率にした複合
繊維を用い、実施例1と同様の評価を行った。評価結果
を表2に示す。
【0118】
【表2】 [比較例2]ポリエステル100%のマルチフィラメン
トを用い、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を
併せて表2に示す。
【0119】[比較例3]ポリエステル100%のマル
チフィラメントを用い、実施例1と同様にして得られた
織物に帯電防止加工した布帛を用い、実施例1と同様の
評価を行った。評価結果を併せて表2に示す。
【0120】[比較例4]実施例1と同様の糸使いで、
仕上経密度が105本/インチ、緯密度が42本/イン
チの平織物を作製した。
【0121】得られた織物の引裂き強力は、経方向が5
20gであり、緯方向が980gであった。縫目ずれは
縦方向が2.5mmであり、緯方向が1.2mmであっ
た。そのため、縫製時に縫目ずれが生じ縫製性が悪かっ
た。さらに、着用後、目ずれが生じ、裏地の強度は低か
った。評価結果を併せて表2に示す。
【0122】[比較例5]実施例1と同様の糸使いで、
仕上経密度が365本/インチ、緯密度が98本/イン
チの朱子織物を作製した。
【0123】得られた織物の引裂き強力は、経方向が1
100gであり、緯方向が3400gであった。縫目ず
れは縦方向が1.0mmであり、緯方向が0.5mmで
あった。
【0124】縫製性は、通常の表地とあまり変わること
はなく、縫目ずれなども見られなかった。
【0125】しかし、着用性については、強度があり、
目ずれなど起こることはなかったが、風合いが硬く表地
に響くものであった。評価結果を併せて表2に示す。
【0126】[比較例6]経糸に60デニール4フィラ
メント、緯糸に75デニール36フィラメントを用い、
さらに、それぞれの糸が、実施例1で用いた吸湿性ポリ
マーを繊維全重量の20重量%含んでいる複合繊維であ
るフィラメントを作製した。これらの糸の吸放湿パラメ
ーター(ΔMR)はともに、3.4%であった。
【0127】このフィラメントで、仕上経密度が106
本/インチ、緯密度が84本/インチの平織物を作製
し、この織物を裏地に用いてスカートを作製した。
【0128】得られた織物の引裂き強力は、経方向が1
100gであり、緯方向が3400gであり、縫目ずれ
は縦方向が1.0mmであり、緯方向が2.1mmであ
った。
【0129】そのため、縫製時に縫目ずれが生じ縫製性
が悪かった。
【0130】また、着用性については、強度があった
が、目ずれが生じやすく、そのうえ、風合いは硬く表地
に響くものであった。評価結果を表3に示す。
【0131】
【表3】 [比較例7]経糸に20デニール、12フィラメント、
緯糸に75デニール、36フィラメントを用い、さら
に、それぞれの糸が、実施例1で用いた吸湿性ポリマー
を繊維全重量の20重量%含んでいる複合繊維であるフ
ィラメントを作製した。
【0132】このフィラメントで、仕上経密度が154
本/インチ、緯密度が84本/インチの平織物を作製
し、この織物を裏地に用いてスカートを作製した。
【0133】得られた織物の引裂き強力は、経方向が9
80gであり、緯方向が590gであり、縫目ずれは縦
方向が1.0mmであり、緯方向が2.2mmであっ
た。
【0134】そのため、縫製時に縫目ずれが生じ縫製性
が悪かった。
【0135】また、着用性については、強度は弱い上、
目ずれが生じやすかった。評価結果を併せて表3に示
す。
【0136】[比較例8]経糸に50デニール、18フ
ィラメント、緯糸に175デニール、48フィラメント
を用い、さらに、それぞれの糸が、実施例1で用いた吸
湿性ポリマーを繊維全重量の20重量%含んでいる複合
繊維であるフィラメントを作製した。
【0137】これらの糸の吸放湿パラメーター(ΔM
R)はともに、3.4%であった。
【0138】このフィラメントで、仕上経密度が106
本/インチ、緯密度が57本/インチの平織物を作製
し、この織物を裏地に用いてスカートを作製した。
【0139】得られた織物の引裂き強度は、経方向が2
600gであり、緯方向が1200gであり、縫目ずれ
は縦方向が1.0mmであり、緯方向が1.6mmであ
った。
【0140】縫製性は、通常の表地とあまり変わること
はなく、縫目ずれなども見られなかった。
【0141】しかし、着用性については、強度があり、
目ずれなど起こることはなかったが、風合いが硬く表地
に響くものであった。評価結果を表3にまとめた。
【0142】[実施例6]実施例1で用いた吸湿性ポリ
マーを繊維全重量の20重量%含んでいる、50デニー
ル、18フィラメントの複合フィラメントを作製した。
【0143】この糸の吸放湿パラメーター(ΔMR)
は、3.4%であった。
【0144】このフィラメントで、仕上編地の密度が2
8ウェル/インチ、44コース/インチ、目付69g/
2 のクィーンズコード組織の経編地を作製し、この編
地を、裏地として、スカートを作製した。得られた編地
は、吸放湿パラメーター(ΔMR)は3.5%、5回洗
濯後の吸放湿パラメーター(ΔMR)は3.4%、摩擦
帯電圧は0.2kvであり、5回洗濯後の摩擦帯電圧は
0.8kvであった。快適性試験では非常に快適(◎)
であり、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなか
った。さらに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適
(◎)であり、スカートの脚部へのまとわりつきは見ら
れなかった。
【0145】また、縫製性は、良好で、着用時の強度も
十分強かった。評価結果を表4に示す。
【0146】
【表4】 [実施例7]実施例6において、仕上編地の密度を44
ウェル/インチ、72コース/インチ、目付125g/
2 のインターレース組織にした丸編地を作製し、同様
の評価を行った。得られた編地は、吸放湿パラメーター
(ΔMR)が3.4%、5回洗濯後の吸放湿パラメータ
ー(ΔMR)は3.2%、摩擦帯電圧は0.3kvであ
り、5回洗濯後の摩擦帯電圧は0.8kvであった。
【0147】快適性試験では非常に快適(◎)であり、
スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さ
らに、洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(◎)であ
り、スカートの脚部へのまとわりつきは見られなかっ
た。
【0148】また、縫製性は、良好で、着用時の強度も
十分強かった。評価結果を併せて表4に示す。
【0149】[比較例9]実施例6と同様の糸を用い、
仕上編地の密度を16ウェル/インチ、44コース/イ
ンチ、目付52g/m2 のクィーンズコード組織にした
経編地を作製した。しかし、編成性が非常に悪く、その
上、布帛は、ハリのないものとなり、裏地として使用す
ることは困難であった。評価結果を表5に示す。
【0150】
【表5】 [比較例10]実施例6と同様の糸を用い、仕上編地の
密度を56ウェル/インチ、44コース/インチ、目付
83g/m2 のクィーンズコード組織にした経編地を作
製した。しかし、編成性が非常に悪く、その上、布帛
は、硬いものとなり、裏地に使用すると表地に響いてし
まうため、裏地として使用することは困難であった。評
価結果を併せて表5に示す。
【0151】[比較例11]実施例6と同様の糸を用
い、仕上編地の密度を44ウェル/インチ、96コース
/インチ、目付147g/m2 のクィーンズコード組織
にした経編地を作製した。
【0152】しかし、編成性が非常に悪く、その上、布
帛は、硬いものとなり、裏地に使用すると表地に響いて
しまうため、裏地として使用することは困難であった。
評価結果を併せて表5に示す。
【0153】[比較例12]実施例6と同様の糸を用
い、仕上編地の密度を28ウェル/インチ、28コース
/インチ、目付58g/m2 のクィーンズコード組織に
した経編地を作製した。しかし、編成性が非常に悪く、
その上、布帛は、ハリのないものとなり、裏地として使
用することは困難であった。
【0154】[比較例13]実施例1で用いた吸湿性ポ
リマーを繊維全重量の20重量%含んでいる、60デニ
ール、4フィラメントの複合フィラメントを作製した。
この糸の吸放湿パラメーター(ΔMR)は、3.4%で
あった。
【0155】このフィラメントを用い、仕上編地の密度
が28ウェル/インチ、44コース/インチ、目付85
g/m2 のクィーンズコード組織の経編地を作製した
が、編成性が非常に悪く、その上、布帛は、硬いものと
なり、裏地に使用すると表地に響いてしまうため、裏地
として使用することは困難であった。評価結果を表6に
示す。
【0156】
【表6】 [比較例14]実施例1で用いた吸湿性ポリマーを繊維
全重量の20重量%含んでいる、20デニール、12フ
ィラメントの複合フィラメントを作製した。この糸の吸
放湿パラメーター(ΔMR)は、3.4%であった。
【0157】このフィラメントを用い、仕上編地の密度
を44ウェル/インチ、72コース/インチ、目付10
5g/m2 のインターレース組織にした丸編地を作製
し、同様の評価を行った。
【0158】しかし、編成性が非常に悪く、その上、得
られた布帛は、目が粗く、ハリのないものとなり、裏地
として使用することは困難であった評価結果を併せて表
6に示す。
【0159】[比較例15]実施例1で用いた吸湿性ポ
リマーを繊維全重量の20重量%含んでいる、150デ
ニール、48フィラメントの複合フィラメントを作製し
た。この糸の吸放湿パラメーター(ΔMR)は、3.4
%であった。
【0160】このフィラメントを用い、仕上編地の密度
が28ウェル/インチ、44コース/インチ、目付15
9g/m2 のクィーンズコード組織の経編地を作製した
が、編成性が非常に悪く、その上、布帛は、厚みがある
うえ硬いものとなり、裏地に使用すると表地に響いてし
まうため、裏地として使用することは困難であった。評
価結果を併せて表6に示す。
【0161】[実施例8]実施例1と同様の共重合ポリ
エステルを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレートを
芯成分として、共重合ポリエステルが繊維全重量の20
重量%となる、25デニール9フィラメントの芯鞘型複
合中空繊維および30デニール36フィラメントのポリ
エチレンテレフタレート繊維が混線されてなるマルチフ
ィラメントを経糸に用い、実施例1で使用した、75デ
ニール36フィラメントの糸を緯糸に用い、仕上経密度
が106本/インチ、緯密度が84本/インチの平織物
を作製した。
【0162】この織物を、リラックス精練、中間セッ
ト、液流染色、仕上セットの染色工程によって裏地を作
製し、こうして得られた裏地を用いてスカートを作製し
た。
【0163】得られたマルチフィラメントの糸強度は経
糸が6.9g/dであり、緯糸が4.1g/dであっ
た。また、得られた織物の引裂き強力は、経方向110
0gであり、緯方向が1800gであり、縫目ずれは縦
方向が1.1mmであり、緯方向が1.0mmであっ
た。吸放湿パラメーター(ΔMR)は1.9%であり、
5回洗濯後の吸放湿パラメーター(ΔMR)は1.8
%、摩擦帯電圧は0.5kvであり、5回洗濯後の摩擦
帯電圧は0.7kvであった。
【0164】快適性試験では快適(○)であり、スカー
トの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さらに、
洗濯5回後の快適性試験も快適(○)であり、スカート
の脚部へのまとわりつきは見られなかった。評価結果を
表7に示す。
【0165】
【表7】 [実施例9]ε−カプロラクタム340部、テレフタル
酸18部、数平均分子量が1000のポリエチレングリ
コール100部を重合反応容器に仕込み、重合反応を行
うことにより、N6成分の割合が45重量%であるポリ
エーテルエステルアミドブロック共重合体を得た。
【0166】こうして得られた、ポリエーテルエステル
アミドブロック共重合体70重量部と5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸を2モル%共重合した変性ポリエチレ
ンテレフタレート30重量部をチップ状態でブレンドし
て芯成分とし、ポリエチレンテレフタレートを鞘成分と
し、50デニール18フィラメントおよび75デニール
36フィラメントの芯鞘型複合中空繊維を得た。これら
の糸の吸放湿パラメーター(ΔMR)は、ともに、2.
5%であった。
【0167】該複合繊維を用い、実施例1と同様の工程
で裏地を作製し、各評価を行った。得られたマルチフィ
ラメントの糸強度は、経糸が3.9g/dであり、緯糸
が4.3g/dであった。また、得られた織物の引裂き
強力は、経方向が980gであり、緯方向が1050g
であり、縫目ずれは縦方向が1.2mmであり、緯方向
が1.1mmであった。吸放湿パラメーター(ΔMR)
は2.3%であり、5回洗濯後の吸放湿パラメーター
(ΔMR)は2.1%、摩擦帯電圧は0.2kvであ
り、5回洗濯後の摩擦帯電圧は0.3kvであった。
【0168】快適性試験では快適(○)であり、スカー
トの脚部へのまとわりつきは見られなかった。さらに、
洗濯5回後の快適性試験も非常に快適(○)であり、ス
カートの脚部へのまとわりつきは見られなかった。評価
結果を併せて表7に示す。
【0169】[実施例10]実施例9で得られた芯鞘型
複合中空繊維を用い、実施例4と同様の工程で裏地を作
成し、各評価を行った。
【0170】その結果、裏地の風合いは実施例9に比べ
さらに柔らかくなり、着用時の快適性も実施例9に比べ
向上した。評価結果を併せて表7に示す。
【0171】[比較例16]実施例9で得られた共重合
ポリエステルを芯成分とし、ポリエチレンテレフタレー
トを鞘成分として、共重合ポリエステルが繊維全重量の
3重量%となる、50デニール18フィラメントおよび
75デニール36フィラメントの芯鞘型複合中空繊維を
得た。これらの糸の吸放湿パラメーター(ΔMR)は、
ともに、0.6%であった。
【0172】該複合繊維を用い、実施例1と同様の織物
を作製し、各評価を行った。
【0173】得られたマルチフィラメントの糸強度は
4.5g/dであった。また、得られた織物の引裂き強
力は、経方向が1400gであり、緯方向が1700g
であり、縫目ずれは縦方向が1.2mmであり、緯方向
が1.1mmであった。吸放湿パラメーター(ΔMR)
は0.5%であり、5回洗濯後の吸放湿パラメーター
(ΔMR)は0.5%であり、摩擦帯電圧は1.2kv
であり、5回洗濯後の摩擦帯電圧は1.8kvであっ
た。
【0174】快適性試験では不快(△)であり、洗濯5
回後の快適性試験も不快(△)であった。
【0175】また、スカートの脚部へのまとわりつきは
見られなかった。評価結果を併せて表7に示す。
【0176】
【発明の効果】本発明によれば、形態安定性、機械強
度、耐薬品性、耐熱性、洗濯耐久性などを有し、かつ、
ポリエステル裏地の欠点である低い吸湿率から発生する
ムレやベタツキ、高い摩擦帯電圧による着用時に肌への
まとわりつきを防ぐことができる。
【0177】また、ボトム裏、袖裏、ポケット裏、上衣
裏、学衣裏など裏地として使用され得るいかなる部位に
用いることも好ましく、きわめて実用性の高いものが得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル裏地に用いる芯鞘型複合
繊維の横断面をモデル的に示す概略図である。
【図2】本発明のポリエステル裏地に用いる芯鞘型複合
中空繊維の横断面をモデル的に示す概略図である。
【図3】本発明のポリエステル裏地に用いる海島型複合
繊維の横断面をモデル的に示す概略図である。
【図4】本発明のポリエステル裏地に用いる張り合わせ
型複合繊維の横断面をモデル的に示す概略図である。
【符号の説明】
1:共重合ポリエステル 2:繊維形成性ポリエステル 3:中空部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸放湿パラメーター(ΔMR)が1%以上
    であるポリエステル系フィラメントを含み、JIS L
    1094 B法による摩擦帯電圧が3kv未満であ
    り、かつ縫目ずれが2mm以下である織物からなること
    を特徴とするポリエステル裏地。
  2. 【請求項2】吸放湿パラメーター(ΔMR)が1%以上
    であるポリエステル系フィラメントを含み、JIS L
    1094 B法による摩擦帯電圧が3kv未満であ
    り、かつ目付が60〜130g/m2 である編物からな
    ることを特徴とするポリエステル裏地。
  3. 【請求項3】親水性化合物を共重合したポリエステルで
    あって、極性基含有化合物および架橋剤のうち少なくと
    もいずれかを含有する共重合ポリエステルを5%以上含
    む複合繊維を用いてなることを特徴とする請求項1また
    は2に記載のポリエステル裏地。
  4. 【請求項4】ポリエーテルエステルアミドまたはポリエ
    ーテルエステルアミドと他の熱可塑性樹脂との混合物を
    5%以上含む複合繊維を用いてなることを特徴とする請
    求項1または2に記載のポリエステル裏地。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002220718A (ja) * 2001-01-22 2002-08-09 Toray Ind Inc 裏 地
CN104278397A (zh) * 2013-07-05 2015-01-14 东丽纤维研究所(中国)有限公司 一种清凉感织物

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