JPH09228138A - 熱可塑性繊維の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

熱可塑性繊維の製造方法およびその製造装置

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JPH09228138A
JPH09228138A JP2893996A JP2893996A JPH09228138A JP H09228138 A JPH09228138 A JP H09228138A JP 2893996 A JP2893996 A JP 2893996A JP 2893996 A JP2893996 A JP 2893996A JP H09228138 A JPH09228138 A JP H09228138A
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roll
yarn
godet roll
godet
heat treatment
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JP2893996A
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Tadashi Koyanagi
小柳  正
Norio Matsunaga
紀男 松永
Takatoshi Miwa
尊敏 三輪
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の直接紡糸延伸法によって得られる熱可
塑性繊維糸条の物性を改良する。すなわち該糸条の基本
物性を実質的に維持した上で、熱収縮特性(沸水収縮
率)と熱応力極値を従来の紡糸―延伸の二段階工程法で
得られる熱可塑性重合体繊維糸条と同等にし、コスト的
に有利な直接紡糸延伸装置で得られる糸条の用途分野を
拡大する。 【解決手段】 2段の加熱型ゴデットロールを有する直
接紡糸延伸装置の2段目を傾斜温度型、好ましくは、テ
ーパー付きゴデットロールとすることによって、加熱延
伸後の熱処理を緊張状態で行うことを特徴とする製造方
法とその装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経済性が高く且つ
連続化プロセスである直接紡糸延伸法によって、汎用性
の高い物性を有する熱可塑性繊維を製造する方法並びに
製造装置に関する。更に詳しくは熱収縮特性が従来の紡
糸―延撚の2段階工程で得られる熱可塑性繊維と同等の
物性である熱可塑性繊維を低コストで且つ大量巻きパッ
ケージの形態で提供可能な製造方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやナイロンなどの熱可塑性
重合体からなる繊維糸条は、図3に示すような溶融紡糸
工程で未延伸糸を製造し、続いてそれを数倍に引き伸ば
す、延伸または延撚の2段階に分かれた工程を経て、製
造されてきた。近年になって2段階工程を連続化した直
接紡糸延伸法(スピンドローテークアップ法とも言う)
が出現し、今ではこれも工業的に広く行われるようにな
ってきた。衣料用繊維糸条用途には図2に示すように2
段均一加熱ゴデットロールプロセス(例えば特開平6−
57532号公報に記載)が一般的である。
【0003】従来の2段階工程プロセスに対する直接紡
糸延伸法のメリットは、工程連続化によるコスト低減と
巻形態がパーン(図5)から大量巻きが可能なチーズ状
パッケージ(図6)に変わったことによる後加工工程で
のコスト低減である。大量巻きになるとクリール回数
(糸準備回数)が減って人手が少なくて済むので後加工
工程でもコスト低下につながるわけである。しかし、こ
の従来の直接紡糸延伸法で得られる熱可塑性繊維と、従
来の2段階工程で得られる熱可塑性繊維とでは、物性が
明確に異なっていた。すなわち、前者は後者に対して沸
水収縮率や熱応力極値が小さい。このために、前者の直
接紡糸延伸法で得られた糸条はコスト的には大いに有利
であるにも拘わらず、用途適用分野に制約がある。
【0004】すなわち、撚糸織物の分野では「シボ立
ち」が不十分、スパンデックス交編分野では「笑い」、
「フカツキ」などの欠点が生じる、アウター分野では一
般にふくらみ感不足等々のことがあり、2段階工程の糸
条がカバーしているかなりの汎用分野に使用出来ていな
いという問題があった。最近の「円高」あるいは「価格
破壊」の時代には、繊維産業における衣料品のコスト低
減が焦眉の急となって来た。従って、2段階工程から直
接紡糸延伸法へのプロセス転換および直接紡糸延伸法で
得られる熱可塑性繊維の用途分野拡大についての要請が
極めて大きくなった。
【0005】本発明の第2ゴデットロールすなわち延伸
兼熱処理ゴデットロールに用いる温度傾斜型ゴデットロ
ールと同類のものは、特開平6−330404号公報お
よび特開平6−330405号公報に記載されている。
この両者の公知技術においては、温度傾斜型ゴデッドロ
ールが、資材向け糸条の多段延伸の第1ゴデットロール
すなわち引取り兼供給ゴデットロールとして使用され、
その目的は延伸時の毛羽発生の防止である。該公報に記
載されているのは、第1ゴデットロールすなわち引き取
り兼供給ゴデットロールに、温度傾斜型ゴデッドロール
を使用しているが、第2ゴデットロールすなわち延伸兼
熱処理ゴデットロールには、従来のゴデッドロールを配
置している直接紡糸延伸装置である。従って、得られる
熱可塑性繊維は、熱応力極値が小さいものとなる次に、
ゴデッドロールの長さ方向で、ゴデッドロール根元側の
糸導入部の直径よりもゴデッドロール先端側の糸出口部
の直径の方が大きい、所謂テーパー型ゴデットロールを
直接紡糸延伸法に使用した先行技術は多数ある。
【0006】特開昭50−83516号公報には直接紡
糸延伸巻取法の引取り兼供給ロールとしてテーパー型ゴ
デットロールを使用した例が記載されている。該公報記
載の技術は、第1ゴデッドロールすなわち引き取り兼供
給ゴデッドロールとしてテーパー型ゴデットロールを配
置し、ゴデッドロール上での糸揺れを防止するものであ
る。しかし、該公報も、第2ゴデッドロールすなわち延
伸兼熱処理ゴデッドロールとしては、公知のロール内部
全体にヒーターを有する均一温度型ゴデッドロールを配
置しているため、得られる熱可塑性繊維は熱応力極値が
小さいものである。
【0007】特開昭55−27171号公報には、約5
000m/分の紡糸速度で、加熱型のテーパー型のゴデ
ットロールによって未延伸糸を引取り、そのゴデットロ
ール上でテーパーを利用して延伸を行う方法が記載され
ている。これは1段のゴデットロールで引取り、延伸、
熱処理まで行ってしまう方法で、5000m/分以上の
高速紡糸繊維に1.2倍位の延伸を施すのが目的であ
る。しかし、該公報記載のテーパー型ゴデットロールは
均一温度型ゴデッドロールであるため、得られる熱可塑
性繊維の熱応力極値は小さいものである。このように傾
斜温度型ゴデットロールおよびテーパー型ゴデットロー
ルおのおのを単独で本発明と異なる目的に使用した先行
技術は存在するが、本発明のように延伸後の緊張熱処理
に使用したものはない。また両者を兼ねたゴデットロー
ルを使用した先行技術は勿論ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の直接紡糸延伸法で得られる熱可塑性繊維の物性を改良
することである。すなわち該繊維糸条の基本物性を維持
した上で、熱収縮率(沸水収縮率)と熱応力極値を従来
の2段階工程法で得られる熱可塑性繊維と同等にし、コ
スト的に有利な直接紡糸延伸法で得られる糸条の用途分
野を拡大することが、本発明の課題である。そして本発
明の目的は上記の課題を解決して従来の2段階工程法と
同等の熱収縮特性、すなわち5%以上の沸水収縮率と
0.28g/d以上の熱応力極値を有する熱可塑性繊維
を、ゴデットロールの段数を増やすことなく、直接紡糸
延伸法で製造する方法および装置の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の2
段階工程法では延撚機の熱板(図3の24)上で糸は緊
張状態で熱処理されるのに対し、従来型の直接紡糸延伸
法では延伸兼熱処理ゴデットロール上で緩和状態で熱処
理され、そのために糸条の緩和収縮が起こることに着目
して、鋭意研究を行った。その結果、延伸兼熱処理ゴデ
ットロールの表面温度に分布を持たせることが、緩和状
態で熱処理されるのを避けるのに有効であることを見出
し、本発明に至った。
【0010】本発明の第一は、熱可塑性重合体を300
0m/分以下の速度で溶融紡糸し、得られた未延伸糸を
2段階の加熱型ゴデットロールを用いて延伸する直接紡
糸延伸法によって、熱可塑性繊維を製造するに際し、該
未延伸糸を引取り兼供給ゴデットロールと延伸兼熱処理
ゴデットロールとの間で加熱延伸して延伸糸となし、次
いでロールの長さ方向においてロール根元側の糸導入部
近傍のロール表面温度が110〜160℃の一定温度に
保たれ、ロール先端側の糸出口部近傍のロール表面温度
が80℃以下の一定温度に保たれた傾斜温度型の延伸兼
熱処理ゴデットロール上で緊張熱処理することを特徴と
する熱可塑性繊維の製造方法である。
【0011】一方、本発明の第二は、引取り兼供給ゴデ
ットロール、延伸兼熱処理ゴデットロールの2段の加熱
型ゴデットロールを有する熱可塑性繊維の製造装置にお
いて、引取り兼供給ゴデットロールが、ロール内部全体
にヒーターを内蔵する均一温度型であり、延伸兼熱処理
ゴデットロールが、ロール内部の片側にヒーターを内蔵
する傾斜温度型であることを特徴とする熱可塑性繊維の
製造装置である。3000m/分以下の速度の溶融紡糸
で得られる未延伸糸は、延伸工程での延伸比が1.5倍
以上となるので、2段のゴデットロールの周速比を利用
した延伸が必要である。5000m/分以上の速度で溶
融紡糸し、1段のテーパー型ゴデットロール上で1.3
以下の延伸を行う、特開昭55−27171号公報記載
の技術対象とは異なる。
【0012】本発明の装置を図1を用いて説明する。本
発明の装置は図1に示すように引取り兼供給ゴデットロ
ール10を有し、且つそれは図7に示すようなロール内
部全体にヒーターを内蔵する均一温度型でなければなら
ない。このゴデットロール上では水分や仕上げ剤を含む
未延伸糸を熱可塑性重合体のガラス転移温度以上に、例
えばポリエチレンテレフタレートでは70℃以上に加熱
する必要があり、そのためには十分な熱量供給が必要
で、均一温度型でなければそれが達成されない。
【0013】次に、本発明の装置は延伸兼熱処理ゴデッ
トロール12を有し、それは図8に示すようなロール内
部の片側に、ヒーターを有する傾斜温度型でなければな
らない。このゴデットロール上で延伸糸を緊張状態で熱
処理し、5%以上の沸水収縮率と0.28g/d以上の
熱応力極値を有する繊維糸条を得るには、この型でなけ
ればならない。もし均一温度型であったなら、如何なる
表面温度設定をしても、緩和状態での熱処理になってし
まい、繊維糸条の熱応力極値が低下する。それは巻取張
力を0.20g/d以下に保つ必要性から、延伸兼熱処
理ゴデットロールの周速を巻取速度よりも数%高目に設
定することから、加熱されたままの繊維糸条の緩和収縮
が起こるからである。
【0014】延伸兼熱処理ゴデットロールは、図9に示
すように傾斜温度型であって且つロールの両端の径を異
にする。すなわち、ロール根元側の糸導入部の直径より
もロール先端側の糸出口部の直径が大きいテーパー型で
あることが好ましい。何故ならば、繊維糸条が、糸導入
部から糸出口部に進むにつれて緊張されつつ、温度が低
下することで、緊張熱処理作用がより顕著となり、熱応
力極値を高めるからである。上記の2種類のゴデットロ
ールに内蔵するヒーターはジャケットヒーター型あるい
は誘導加熱型などの公知のもので良い。本発明の製造方
法は、引取り兼供給ゴデットロール10によって引取ら
れた未延伸を、引取り兼加熱ロール上で加熱し、延伸兼
熱処理ゴデットロール12との間で延伸され、延伸糸と
なさねばならない。
【0015】物性良好な延伸糸となすには、通常はその
熱可塑性重合体のガラス転移温度近傍の温度に加熱する
のが好ましい。この加熱延伸によって得られる延伸糸は
力学的に優れた物性を付与され、衣料用繊維糸条として
の適性を具備するようになる。本発明の製造方法は、加
熱延伸で得られた延伸糸は引続き、糸導入部近傍のロー
ル表面温度が110〜160℃の一定温度に保たれ、糸
出口部近傍のロール表面温度が80℃以下の一定温度に
保たれた傾斜温度型ゴデットロールで熱処理することが
必要である。このことによって延伸糸は糸の導入部付近
で実質的に緊張状態での熱処理のみを受け、糸の出口部
付近では低温故に緩和収縮が回避される。
【0016】糸の導入部近傍の温度が110℃未満で
は、熱処理が不十分で沸水収縮率が15%以上となり、
巻取後の糸条の物性の経時変化が生じる。同じく160
℃を越えると、緊張熱処理とは言え、得られる糸条の沸
水収縮率が5%未満、熱応力極値が0.28g/d未満
となり、本願発明の目的が達成されない。糸導入部近傍
の温度の好ましい範囲は120〜150℃である。糸出
口部近傍の温度は80℃以下でなければならない。80
℃を越えると、糸の出口部付近での緩和収縮が回避出来
ない。糸の出口部近傍の温度の好ましい範囲は60〜3
0℃である。また、傾斜温度型ゴデットロール上での緩
和収縮の回避をより明確にして、緊張熱処理効果をより
顕著にするために、延伸兼熱処理ゴデットロールを傾斜
温度型であって糸の導入部の直径よりも糸の出口部の直
径が大きいテーパー型(図9)とすることが好ましい。
テーパー角度は1.0〜4.0度が好ましい。
【0017】以下に本発明の装置および製造方法を図1
に従って更に詳しく説明する。熱可塑性重合体のペレッ
トをホッパー1に投入し、押出機2で溶融し、溶融ポリ
マーはベンド3を介してスピンヘッド4に供給される。
更に溶融ポリマーはパック5を経て、紡糸口金6より紡
出され、引取り速度に従って伸長されつつ、冷却風8で
冷却固化させられ、未延伸糸条7となる。未延伸糸条7
は仕上げ剤付与装置9によって仕上げ剤を付与される。
その後、未延伸糸条7は引取り兼供給ゴデットロール1
0によって加熱された後、両ゴデットロールの周速比を
利用して延伸され延伸糸11となる。延伸糸11は続い
て傾斜温度型の延伸兼熱処理ゴデットロール12によっ
て緊張熱処理され、インターレーサー13によって交絡
を付与された後、巻取機14によってチーズ状パッケー
ジに巻取られる。
【0018】本発明における熱可塑性重合体はポリエチ
レンテレフタレートおよびその共重合体、ポリカプラミ
ドおよびその共重合体、それ以外のポリエステル、ポリ
アミド、そしてポリプロピレン等のポリオレフィンなど
であり、艶消剤、制電剤、安定剤などの添加剤を含んで
いても良い。以下に本発明を実施例を用いて説明する。
【0019】実施例においては、熱応力極値および極限
粘度を以下の方法で測定した。 (1)熱応力極値 熱応力測定装置(例えばカネボウエンジニアリング社
製、商品名KE−2)を用いて測定する。糸(マルチフ
ィラメント)を20cmの長さに切り取り、これの両端
を結んで輪を作り、測定機に装填する。初荷重0.05
g/d、昇温速度100℃/分の条件で測定し、熱応力
の温度変化をチャートに描かせる。熱応力曲線のピーク
値を読み取る。その値が熱応力極値である。 (2)極限粘度[η] 極限粘度[η]は35℃オルソクロロフェノール中で、
ポリマー濃度1g/dlで測定する。 (3)沸水収縮率(BWS) 糸(マルチフィラメント)に100mg/dの荷重をか
けて試料長L0を測定した後、試料を無荷重の状態で3
0分間沸水処理し、再び100mg/dの荷重をかけて
試料長L1を測定し、次式でBWSを算出する。 BWS={(L1−L0)/L0}×100(%)
【0020】
【発明の実施の形態】
【0021】
【実施例1〜3】、
【比較例1〜2】 極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを、図
1に示す直接紡糸延伸装置を用いて紡糸・延伸を行っ
た。溶融紡糸においては、スピンヘッド4の温度を29
0℃とし、紡糸口金6として0.25mmφの丸孔を3
6孔穿孔した口金より、吐出量41.0g/分で紡糸し
た後、冷却風8を0.65m/secとして冷却固化
し、仕上げ剤付与装置9で仕上げ剤を付与した。次い
で、未延伸糸条7を引取り兼供給ゴデットロール10で
引取り、以下に示す条件で延伸および熱処理を行って、
75d/36fで巻量6kgの実質的に無撚のチーズ状
パッケージ14を得た。なお、本実施例では傾斜温度型
延伸兼熱処理ゴデットロール12の糸導入部温度を表1
に示すように変化させた。
【0022】 引取り兼供給ゴデットロール 直径 220 mmφ (図7) 長さ 250 mm 捲回回数 7 回 速度 2200 m/分 温度 88 ℃ 延伸兼熱処理ゴデットロール 直径 220 mmφ (図8) 長さ 250 mm 捲回回数 7 回 速度 5038 m/分 糸導入部温度 表1 延伸倍率 2.29 倍 巻取速度 4990 m/分
【0023】得られた延伸糸の物性を表1に示す。表1
から明らかなように、延伸兼熱処理ゴデットロールの温
度が、本発明に規定の範囲内である実施例1〜3は、熱
応力極値と沸水収縮率が改良されたものが得られた。比
較例1では、糸導入部近傍の温度が低いため、熱応力極
値は改良されるものの、沸水収縮率が高く、実用に供し
得ないものであった。また、比較例2では、糸出口部の
温度が本発明で規定した範囲外であるため、熱応力極値
が低下したものとなった。
【0024】
【実施例4〜6】溶融紡糸条件は、実施例1と同様に
し、延伸および熱処理を以下の条件で実施した。 引取り兼供給ゴデットロール 直径 220 mmφ (図7) 長さ 250 mm 捲回回数 7 回 速度 2200 m/分 温度 88 ℃ 延伸兼熱処理ゴデットロール 糸導入部直径 220 mmφ (図9) 糸出口部直径 226 mmφ (テーパー角度 1.4度) 長さ 250 mm 捲回回数 7 回 糸導入部速度 5038 m/分 糸導入部温度 表2 延伸倍率 2.29 倍 巻取速度 5058 m/分 得られた延伸糸の物性を表2に示す。表2から明らかな
ように、傾斜型温度型ゴデットロールとテーパー型とを
組み合わせた延伸兼熱処理ゴデットロールを使用した実
施例4〜6は、高い熱応力極値と好ましい沸水収縮率を
有していた。
【0025】
【比較例3〜5】溶融紡糸条件は、実施例1と同様に
し、延伸および熱処理を図2の装置を用いて、以下の条
件で実施した。 引取り兼供給ゴデットロール 直径 220 mmφ (図7) 長さ 300 mm 捲回回数 7 回 速度 2200 m/分 温度 88 ℃ 延伸兼熱処理ゴデットロール 型式 均一温度型 (図7) 直径 220 mmφ 長さ 300 mm 捲回回数 7 回 速度 5038 m/分 温度 表3 延伸倍率 2.29 倍 巻取速度 4990 m/分 得られた延伸糸の物性を表3に示す。表3から明らかな
ように、従来公知の均一温度型の延伸兼熱処理ゴデット
ロールを用いた場合、温度条件をいかに変化させても、
熱応力極値の低い糸条しか得られなかった。
【0026】
【発明の効果】紡糸―延撚の2段階工程で得られる熱可
塑性重合体繊維糸条と同じように、5%以上の沸水収縮
率と0.28g/d以上の熱応力極値を有する熱可塑性
重合体繊維糸条が直接紡糸延伸法でも得られるようにな
った。その結果、直接紡糸延伸法によって製造される熱
可塑性重合体繊維糸条が撚糸物、スパンデックス交編、
アウター衣料などへも用途分野が拡大された。それは原
糸製造コストが安く且つ後加工コストが安い直接紡糸延
伸法の経済効果が幅広い用途分野に生かされることにつ
ながり、ひいては衣料品の低コスト化につながった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直接紡糸延伸法装置の原理を示す模式
図である。
【図2】従来の直接紡糸延伸装置(例えば特開平6−5
7532号公報)の原理を示す模式図である。
【図3】従来の2段階工程の装置の原理を示す模式図で
ある。
【図4】本発明と従来の直接紡糸延伸法の熱応力の一例
を示すグラフである。
【図5】パーンを示す模式図である。
【図6】チーズ状パッケージを示す模式図である。
【図7】均一温度型ゴデットロールを示す模式図であ
る。
【図8】傾斜温度型ゴデットロールを示す模式図であ
る。
【図9】テーパー付き傾斜温度型ゴデットロールを示す
模式図である。
【図10】傾斜温度型ゴデットロールの表面温度分布の
一例を示す模式図である。
【符号の説明】 1 ホッパー 2 押出機 3 ベンド 4 スピンヘッド 5 パック 6 紡糸口金 7 未延伸糸条 8 冷却風 9 仕上げ剤付与装置 10 引取り兼供給ゴデットロール 11 延伸糸 12 延伸兼熱処理ゴデットロール(傾斜温度型) 13 インターレーサー 14 巻取機(および延伸糸チーズ状パッケージ) 15 延伸兼熱処理ゴデットロール(均一温度型) 16 スピンヘッド 17 紡糸口金 18 未延伸糸条 19 仕上げ剤付与装置 20 引取りゴデットロール 21 未延伸糸 22 巻取機(および未延伸糸チーズ状パッケージ) 23 供給ゴデットロール(非加熱型) 24 ホットプレート 25 延伸ゴデットロール(非加熱型) 26 巻取機(および延伸糸パーン) 27 パーン用ボビン 28 チーズ用ボビン 29 内蔵ヒーター(均一温度型ゴデットロール用) 30 内蔵ヒーター(傾斜温度型ゴデットロール用) 31 内蔵ヒーター(テーパー付き傾斜温度型ゴデット
ロール用)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性重合体を3000m/分以下の
    速度で溶融紡糸し、得られた未延伸糸を2段の加熱型ゴ
    デットロールを用いて延伸する直接紡糸延伸法によって
    熱可塑性繊維を製造するに際し、該未延伸糸を引取り兼
    供給ゴデットロールと延伸兼熱処理ゴデットロールとの
    間で加熱延伸して延伸糸となし、ロールの長さ方向にお
    いてロール根元側の糸導入部近傍のロール表面温度が1
    10〜160℃の一定温度に保たれ、ロール先端側の糸
    出口部近傍のロール表面温度が80℃以下の一定温度に
    保たれた傾斜温度型の延伸兼熱処理ゴデットロールで緊
    張熱処理することを特徴とする熱可塑性繊維の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 延伸兼熱処理ロールが、糸導入部の直径
    よりも糸出口部の直径が大きいテーパー型であることを
    特徴とする請求項1記載の熱可塑性繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 引取り兼供給ゴデットロール、延伸兼熱
    処理ゴデットロールの2段の加熱型ゴデットロールを有
    する熱可塑性繊維の製造装置において、引取り兼供給ゴ
    デットロールがロール内部全体にヒーターを有する均一
    温度型ゴデットロールであり、延伸兼熱処理ゴデットロ
    ールがロール内部の片側にヒーターを内蔵する傾斜温度
    型ゴデットロールであることを特徴とする熱可塑性繊維
    の製造装置。
  4. 【請求項4】 延伸兼熱処理ゴデットロールがロール両
    端の直径を異にするテーパー型であることを特徴とする
    請求項3記載の熱可塑性繊維の製造装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003129328A (ja) * 2001-10-18 2003-05-08 Asahi Kasei Corp 前配向糸パッケージとその製造方法
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