JPH09224719A - 布地の留め具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 係合部材１と被係合部材２とを布地に取付け
るとき、アイロン等のホットプレス手段により簡単かつ
効率良く取付けることができて、作業コストを低廉にで
きる留め具を提供する。 【解決手段】 係合部材１及び被係合部材２の各基布１
１，２１で、その係合部１２や被係合部２２が形成され
る反対側裏面に、それぞれ熱融着性接着剤層３，４を形
成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、衣服のポケットや
ズボンのダブル裾などに使用する布地の留め具に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、衣服の上着やズボンなどに形成す
るポケットの留め具として、ポケットの口部とその蓋体
とにボタン及びボタン孔を係脱可能に設けているが、斯
かるポケットの留め具では、ボタン孔を形成したりボタ
ンを縫着するのに時間がかかってコストが高くなる。

【０００３】また、ズボンのダブル裾には、裾とカブラ
（裾の折返部）との間に留め具としてホックの雌，雄体
を縫着し、これら雌，雄体を係合することにより、前記
カブラが裾の外側に垂れ下がったりすることなく、該カ
ブラが裾に対し常に重なり合って外観良好となるように
保形するようにしている。所が、以上のように、ダブル
裾を保形するのに前記ホックを用いる場合、ズボンにお
ける２つの脚部の内外側つまりズボンの合計４個所にホ
ック付け作業を行う必要があり、また、前記ホックは一
対の雌，雄体から形成されているので、１つのズボンに
対しては合計８回の縫着作業を必要として、作業性が極
めて悪くコストが著しく高くなる。

【０００４】そこで、最近では、ズボンのダブル裾やポ
ケットなどの留め具として、基布の表面に多数の鈎状係
合突起をもつ係合部材と、基布の表面に前記係合突起に
係脱可能な多数のループ状被係合部をもつ被係合部材と
から成る面ファスナーを使用し、この面ファスナーの係
合部材と被係合部材とを、前記ポケットの口部と蓋体
に、また、前記ズボンの裾とカブラにそれぞれラベル付
けミシン等で縫着するようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、以上の面フ
ァスナーを使用する場合、その係合部材と被係合部材と
をそれぞれ各別にラベル付けミシン等で縫着する必要が
あるため、作業効率を充分には高めることができず、作
業コストの更なる低廉化を図ることはできなかった。

【０００６】本発明の目的は、留め具の係合部材と被係
合部材とを布地に取付けるとき、アイロン等のホットプ
レス手段により簡単かつ効率良く取付けることができ
て、作業コストを低廉化できるようにする点にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明は、基布１１の表面に多数の係
合部１２をもつ係合部材１と、基布２１の表面に前記係
合部１１に係合する多数の被係合部２２をもつ被係合部
材２とから成る留め具であって、前記各基布１１，２１
の裏面に熱融着性接着剤層３，４を形成している。

【０００８】請求項２記載の発明は、係合部材１の基布
１１と、被係合部材２の基布２１との大きさを互いに異
ならしめている。

【０００９】

【発明の作用及び効果】請求項１記載の発明によれば、
前記係合部材１と被係合部材２とを例えばポケットの口
部及び蓋体に、またズボンの裾及びカブラ等に取付ける
とき、前記係合部材１と被係合部材２との各基布１１，
２１に設けた各接着剤層３，４をアイロン等のホットプ
レス手段で熱溶融させることにより、前記係合部材１及
び被係合部材をポケットの口部と蓋体、またズボンの裾
とカブラに簡単かつ効率良く取付けることができて、作
業コストを低廉化することができる。

【００１０】請求項２記載の発明によれば、係合部材１
及び被係合部材２の各基布１１，２１が、それぞれ異な
る大きさとされているので、これら係合部材１と被係合
部材２との識別を簡単かつ正確に行うことができる。つ
まり、通常、前記係合部材１には係合部１２として多数
の棒状突起が突設され、また、前記被係合部材２には被
係合部２２として前記棒状突起に係脱可能なループ体が
設けられ、このループ体が設けられる被係合部材２は軟
らかいのに対し、棒状突起が突設される係合部材１は硬
く、この硬い係合部材１が身体一部に触れると衣服の着
心地が悪くなるので、一般的には軟らかい被係合部材２
をポケットが設けられる身ごろ側に、硬い係合部材１を
蓋体側に取付けるようにしているが、斯かる場合に前記
係合部材１と被係合部材２との識別を簡単かつ正確に行
うことができて、硬い係合部材１を誤って身ごろ側に取
付けて着心地を悪くしたりするのを確実に防止すること
ができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】図４は、本発明の好ましい実施形
態として衣服のポケットＡとその蓋体Ｂとの間に取付け
る留め具を示しており、この留め具は、前記蓋体Ｂ側に
取付けられる係合部材１と、前記ポケットＡ側に取付け
られる被係合部材２とにより構成している。

【００１２】また、図１，図３に示すように、前記係合
部材１には、その基布１１の表面に先端が鈎状とされた
棒状突起から成る多数の係合部１２を突設しており、一
方、前記被係合部材２には、その基布２１の表面に前記
係合部１２に係脱可能なループ体から成る多数の被係合
部２２を形成している。

【００１３】そして、前記係合部材１及び被係合部材２
の各基布１１，２１で、その係合突起１２及び被係合部
２２とは反対側の裏面全体に、それぞれポリウレタン樹
脂フィルム（融点７５〜１２０℃、厚さ１００〜１５０
μｍ）から成る熱融着性接着剤層３，４をカレンダ加工
手段等で一体に形成する。

【００１４】図３の実施形態に示す留め具は、前記係合
部材１における基布１１の大きさを前記被係合部材２の
基布２１よりも小さく形成して、これら各基布１１，２
１に設ける係合部１２及び被係合部２２を、前記係合部
材１が被係合部材２のほぼ幅方向中央部に位置されるよ
うに互いに係合させることにより、前記接着剤層３，４
を前記係合部材１及び被係合部材２の外表面側に表出さ
せた状態で、これら係合部材１と被係合部材２とを重合
状に結合一体化させている。

【００１５】図３に示すものは、次のようにして簡単に
製作できる。即ち、図２で示すように、それぞれ長尺で
小幅とされた係合部材１と、該係合部材１よりも広幅と
された被係合部材２とを用い、これら各部材１，２の裏
面側に、該各部材１，２と同一幅とされた長尺なポリウ
レタン樹脂フィルムから成る熱融着性接着剤層３，４を
添わせて加熱圧着し、この後前記係合部材１及び被係合
部材２の係合突起１２と被係合部２２とを、前記係合部
材１が被係合部材２のほぼ幅方向中央部に位置されるよ
うに係合させて、これら係合部材１及び被係合部材２を
互いに重合させて一体状に結合させる。

【００１６】このとき、前記係合部材１及び被係合部材
２の各基布１１，２１には、通常、そのフィラメント糸
の組織構造が弛まないように、これら各基布１１，２１
における前記接着剤層３，４の形成側表面に揆水性を有
する硬化樹脂加工が施され、この樹脂面は平滑で前記接
着剤層３，４を強固には接合一体化することができない
ことから、加工が施された係合部材１及び被係合部材２
を用いる場合は、その各基布１１，２１の樹脂面に凹凸
部を形成するか、強固な接合が可能となるようにプライ
マー処理を施すか、又は、揆水性を有する硬化樹脂に替
わる前記接着剤層３，４との接合一体化が強固になし得
る樹脂を使用することが好ましい。

【００１７】そして、使用時には、同図一点鎖線で示す
ように、長尺状態で結合された係合部材１及び被係合部
材２を所定寸法に裁断して留め具となし、該留め具を例
えば前記ポケットＡの口部近くと蓋体Ｂとの間に介装さ
せて、このポケットＡ又は蓋体Ｂの外方側からアイロン
等でホットプレスし、前記係合部材１及び被係合部材２
の外表面側に設けた各接着剤層３，４を溶融させること
により、該各接着剤層３，４で前記係合部材１及び被係
合部材２をポケットＡの口部近くと蓋体Ｂとに取付け
る。尚、以上の実施形態によれば、前記係合部材１に対
し被係合部材２を大きくしたが、本発明では、前記係合
部材１を被係合部材２に対し大きくすることもできる。

【００１８】以上の取付手段によれば、従来のように、
前記係合部材１と被係合部材２とをそれぞれ各別にラベ
ル付けミシン等で縫着する場合に較べ、これら係合部材
１及び被係合部材２をポケットＡの口部近くと蓋体Ｂと
に簡単かつ効率良く取付けることができて、作業コスト
を低廉にできる。また、前記係合部材１及び被係合部材
２は、予め長尺状態に形成されて使用時に所定寸法に裁
断するようにしているので、ユーザが製品の種類や使用
目的等に応じて自由に裁断し、留め具を任意の大きさに
することができて使用勝手を良好にできる。

【００１９】さらに、前記係合部材１と被係合部材２と
は、それぞれ異なる大きさとしているので、これら係合
部材１と被係合部材２との識別を簡単かつ正確に行うこ
とができる。つまり、前記被係合部２２としてループ体
を設けた被係合部材２は比較的軟らかいのに対し、前記
係合部１２として棒状突起を突設した係合部材１は硬
く、この硬い係合部材１が身体一部に触れると衣服の着
心地が悪くなるのであるが、以上のように、硬い係合部
材１と軟らかい被係合部材２との大きさを異ならしめて
識別可能とすることにより、これら係合部材１と被係合
部材２との取付位置を誤ったりすることなく、軟らかい
被係合部材２を前記ポケットＡが設けられる身ごろ側
に、硬い係合部材１を蓋体Ｂ側に確実に取付けることが
でき、硬い係合部材１を誤ってポケットＡの身ごろ側に
取付けて着心地を悪くしたりするのを確実に防止でき
る。

【００２０】しかも、従来のように、前記係合部材１及
び被係合部材２を前記ポケットＡとび蓋体Ｂとにそれぞ
れ各別にラベル付けミシン等で縫着する場合には、これ
ら係合部材１及び被係合部材２の前記ポケットＡや蓋体
Ｂに対する縫着位置が不正確となり易いのに対し、以上
のように、予め重合一体化された前記係合部材１と被係
合部材２とを前記ポケットＡと蓋体Ｂとの間に介装させ
て、このポケットＡ又は蓋体Ｂの外方側からアイロン等
でホットプレスし、前記各接着剤層３，４を介して前記
係合部材１及び被係合部材２をポケットＡと蓋体Ｂとに
取付けることにより、これらポケットＡ及び蓋体Ｂに対
し前記係合部材１と被係合部材２とを互いに対向状に正
確に取付けることができ、前記蓋体Ｂによるポケット入
口の閉鎖を正確かつ確実に行うことでできる。

【００２１】また、図１に示す留め具は、前記係合部材
１及び被係合部材２の各基布１１，２１をそれぞれ同一
大きさに形成して、これら各基布１１，２１に設ける係
合部１２及び被係合部２２を互いに係合させることによ
り、前記接着剤層３，４を前記係合部材１及び被係合部
材２の外表面側に表出させた状態で、これら係合部材１
と被係合部材２とを重合状に結合一体化させている。

【００２２】この実施形態の場合には、前記係合部材１
と被係合部材２との識別は一見してできないが、前述し
た場合と同様にして留め具の製作を簡単にできながら、
前記係合部材１及び被係合部材２をポケットＡの口部近
くと蓋体Ｂとに簡単かつ効率良く取付けることができ
て、作業コストを低廉にできる。

【００２３】また、以上の各実施形態に示した留め具
は、ズボンのダブル裾を保形する場合にも利用すること
ができ、つまり、互いに重合状に結合一体化された係合
部材１及び被係合部材２をズボンの裾とカブラとの間に
介装させて、これら裾とカブラの外方側からアイロン等
でホットプレスし、前記係合部材１及び被係合部材２の
外表面側に設けた各接着剤層３，４を溶融させることに
より、該各接着剤層３，４で前記係合部材１及び被係合
部材２をズボンの裾とカブラとに取付ける。

【００２４】この場合にも、ズボンの裾とカブラとに前
記係合部材１及び被係合部材２を簡単かつ効率良く取付
けることができて、従来のホックを使用する場合に較べ
作業コストを著しく低廉にでき、しかも、予め重合一体
化された前記係合部材１と被係合部材２とを前記ズボン
の裾とカブラとの間に介装させて熱融着することによ
り、前記係合部材１及び被係合部材２をズボンの裾とカ
ブラとの正確な位置に対向状に取付けることができて、
このカブラが裾の外側に垂れ下がったりすることなく、
該カブラが裾に対し常に重なり合って外観良好となるよ
うに確実に保形できる。

【００２５】さらに、近年では、海外旅行が盛んとな
り、また、パスポートの小型化と相俟って、該パスポー
トや金銭等の貴重品を安全に保管するため、ズボン等の
内側にドルポケットを設け、その入口部に前記係合部材
１及び被係合部材２を取付けることにより、前記ドルポ
ケットを開閉可能とすることが望まれている。

【００２６】そこで、従来では、前記ドルポケットの入
口部に前記係合部材１及び被係合部材２をラベル付けミ
シン等で縫着するようにしていたのであるが、この縫着
時には、前記ドルポケットをズボン等の内側に縫付ける
以前に、これらズボンやドルポケット側に予め前記係合
部材１と被係合部材２とを各別に縫着して置く必要があ
るので、作業効率が悪いばかりか、後加工として前記ポ
ケットをズボン側に縫着したとき、前記係合部材１と被
係合部材２とが互いに位置ずれを起し易く、しかも、こ
れら係合部材１及び被係合部材２を前記ドルポケットの
口際側に取付ければ、該ドルポケットの内部容積を増大
させることができて、海外旅行時等の貴重品入れとして
極めて有利となる反面、前記ドルポケットの口際側に前
記係合部材１や被係合部材２を取付けると、これら係合
部材１や被係合部材２が邪魔になって、ドルポケット入
口部の縫製仕上げ加工ができなくなるので、前記係合部
材１や被係合部材２はドルポケットの口際側から離れた
位置（通常１ｃｍ以上）に取付ける必要があって、前記
ドルポケットの内部容積が小さくなる不都合があった。

【００２７】しかし、以上の各実施形態で示すように、
互いに重合状に結合一体化された係合部材１及び被係合
部材２を用いるときには、前記ドルポケットをズボンの
内側に縫着した後、これらドルポケットの入口内部に前
記係合部材１及び被係合部材２を介装させて、前記ドル
ポケットの表側とズボン生地側との両側からアイロン等
でホットプレスし、前記各接着剤層３，４を介して前記
係合部材１及び被係合部材２をドルポケット内部に取付
けることにより、前記係合部材１と被係合部材２とを互
いに対向状に簡単かつ正確に取付けることができる。

【００２８】しかも、前記係合部材１及び被係合部材２
を前記ドルポケットとズボンとに取付けるときには、す
でに入口部が縫製仕上げされたドルポケットの内部に前
記係合部材１及び被係合部材２を介装させ、これら係合
部材１及び被係合部材２を前記各接着剤層３，４を介し
て取付けることができるので、前記係合部材１や被係合
部材２を前記ドルポケットのごく口際側に近接して取付
けることができ、このため前記ドルポケットの内部容積
を増大させることが可能となって、海外旅行時等の貴重
品入れとして極めて有利な使用ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明にかかる留め具の正面図。

【図２】 同留め具の製作過程を示す斜視図。

【図３】 別の実施形態を示す正面図。

【図４】 同留め具の使用形態を示す縦断面図。

【符号の説明】

１……係合部材 １１…基布 １２…係合部 ２……被係合部材 ２１…基布 ２２…被係合部 ３，４……熱融着性接着剤層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基布（１１）の表面に多数の係合部（１
   ２）をもつ係合部材（１）と、基布（２１）の表面に前
   記係合部（１２）に係合する多数の被係合部（２２）を
   もつ被係合部材（２）とから成る留め具であって、 各基布（１）（２）の裏面に熱融着性接着剤層（３）
   （４）を形成していることを特徴とする布地の留め具。
2. 【請求項２】 係合部材（１）の基布（１１）と、被係
   合部材（２）の基布（２１）との大きさを互いに異なら
   しめている請求項１記載の布地の留め具。