JP3048041U - 総裏付ズボン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 裏地を着脱可能にして、ズボンの縫製の能率
の向上を図り、かつ、クリーニング上の問題を解決した
ズボンにすると共に、アイロンかけを容易にしてその実
用性を向上し、更に裏地としての保温や汗の吸収機能を
持たせるようにした総裏付ズボンを提供する。 【解決手段】 総裏付ズボンは、表地で製作されるズボ
ン１’と、該ズボン１’の内側に係合手段１８，２３に
よって着脱自在に固定される裏地ズボン１１とからな
る。ズボン１’自体と裏地ズボン１１とを別々に縫製
し、さらに、腰あて布に縫い付けたホックに裏地ズボン
を着脱可能に取りつける構成としたので、クリーニング
の際には、ズボンから裏地付ズボンを取り外して別々に
洗うことができるので、表地と裏地の素材が異なること
によるクリーニング技術上の問題はなく、またアイロン
かけを容易にして実用性を向上することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、ズボン下兼用ズボンの裏地として使用可能な総裏付ズボンに関する 。

【０００２】

【従来の技術】

一般にスラックスやズボン等（以下、「ズボン」という）１は、通常図５に示 すように、右前２、左前３、右後ろ４、左後ろ５及び腰部６からなり、さらに前 中心部にはファスナー７が縫い付けられ、所定位置にポケット８が縫製された構 成である。 そして、このようなズボン１には、図６に示すように、保温及び汗を吸収して ズボン１の表地を保護するために裏地９が縫製されているものがある。この裏地 ９は、主に脚部の前面に設けられており、ベルト部６の下方からひざ部分を覆う ように左右前２，３の表地の裏面に縫製されている。 さらに夏物のズボン１の場合には、比較的薄手の表地を用いて製作されたり、 白に近い色の表地を用いて製作されることが多い。このような表地を用いてズボ ン１を製作すると、下着等が透けてしまうという問題を生じるため、図７に示す ように、股上部分全体及び脚の前面を覆うように裏地９を付けたものもある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のズボン１の裏地９は、表地等に一体に縫製されていたので、次のよ うな問題がある。すなわち、裏地９の材質は、表地に比べて比較的柔らかい素材 の布地が使用され、この裏地９は、表地の裏面側に重なり合うように縫製されて おり、特に腰部においては、芯材、腰あて及びポケット８の袋布など複数枚の布 地と共に縫製されている。このように、柔らかい素材からなる裏地９を硬い素材 に縫製するのには熟練を要するものであり、また縫製作業の際に、大きな裏地が 邪魔になり、かつ、デザイン上縫い目が表に出ないようにしなければならないの で、縫製の能率の点で問題がある。 また、保温及び汗の吸収といった裏地９の機能から鑑みて、裏地９はズボン１ の内側全体に渡って設けられていることが望ましいものの、表地と裏地を一体に 縫製するズボン１の場合には、大きな裏地は縫製の邪魔になるばかりでなく、縫 製技術上、手間がかかることによって、ズボン１が高価なものとなり好ましくな い。

【０００４】 また、ズボン１をクリーニングする場合には、表地と裏地の素材の違いにより 、各布地の材質に応じたクリーニング液の選択などの技術上の問題があって、場 合によってはクリーニング液を使用できなくなるという問題がある。さらに、ク リーニングの処理によっては裏地９が縮んだりする虞があり、この場合には、表 地に縫製された裏地９が縮むことでズボン１の形状が崩れてしまうという問題を 生じる。そして、クリーニング後にアイロンによってズボン１の形を整える際に 、裏地部分が表地と重なり合っているためにアイロンかけが難しく、例えば裏地 に折れ皺がよってしまうと、この折れ皺はズボンの表面に浮き出てしまって外観 が損なわれることから、実用性の点で問題がある。

【０００５】 本考案は、裏地を着脱可能にすることによって、ズボンの縫製の能率の向上を 図り、かつ、クリーニング上の問題を解決した安価なズボンにすると共に、アイ ロンかけを容易にしてその実用性を向上し、更に裏地としての保温や汗の吸収機 能を持たせるようにした総裏付ズボンを提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記課題を解決するために、請求項１に記載の考案では、ベルト通 し、芯材を縫製してなるズボンの腰部の内側に下端を自由端にした腰当て布を設 け、該腰当て布の下縁内側に係合手段を取り付け、該係合手段に裏地ズボンを着 脱可能に取りつけたことを特徴する。

【０００７】 請求項２記載の考案は、請求項１記載の考案において、前記係合手段の取り付 け位置をベルト通しよりも下側にしたことを特徴とする。

【０００８】 請求項３記載の考案は、請求項１または２に記載の考案において、前記裏地ズ ボンを前記ズボンと相似形にし、裏地ズボンの丈をズボンの裾より５乃至１５ｃ ｍ程度短くしたことを特徴とする。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態である総裏付ズボンについて、添付図面に基づいて 説明する。なお、従来技術の欄で説明した部材には同一の符号を付し、その詳細 な説明については省略する。

【００１０】 本考案の総裏付ズボンは、裏地ズボン（総裏）１１と、ズボン１’（従来技術 の欄のズボン１に対応）とで構成される。裏地ズボン１１は、ズボン１’の内側 に着脱自在に固定され、保温、汗の吸収及び透け防止の機能を有するものであり 、ズボン１’と相似形に製作され、その丈は、ズボン１’の裾より５乃至１５ｃ ｍ程度短くなるように製作される。 具体的には、図１に示すように、裏地ズボン１１は、右前１２、左前１３、右 後ろ１４及び左後ろ１５とで構成され、脇及び股下線に沿ってそれぞれ縫合し、 股ぐりから前中心を前開き部１６として、ズボン１’のファスナー７の長さに対 応させて上端まで開口するように、右前１２及び左前１３とを縫合せず、ほつれ 防止のために端ミシンで処理している。さらに、裏地ズボン１１の上縁を、外表 面側に二つ折りにした後、その折り畳んだ部分を縫製して固定部１７を形成する 。固定部１７の内面には、ズボン１’への着脱手段として、一定間隔ごとに複数 個のホック１８が縫い付けられ、また、前開き部１６の下方にもホック１８が１ 個縫い付けられている。

【００１１】 一方、ズボン１’の腰部６は、図３に示すように、形を保ち整えるためのベル ト芯１９、該ベルト芯１９を包むベルト布２０、ズボン１’の表面側の所定位置 に複数縫い付けられるベルト通し２１及び腰あて布２２で構成されている。腰あ て布２２は、図４に示すように、腰部６の内側に下端が自由端になるように上端 をベルト布２０に縫合して固定され、ポケット８の袋布、ベルト布２０等がよれ てもたつくことを防止し、かつ、デザイン上縫い目が見えないようにしている。 この腰あて布２２は、摩擦の大きい布をその一部に縫合することによって、ズボ ン１’の着用時に、シャツ等がズボン１’から出てしまうことを防止する。

【００１２】 さらに、腰あて布２２の下縁内側には、裏地ズボン１１に縫い付けたホック１ ８に対応させて、係合手段としてのホック２３が複数個縫い付けられている。こ のとき、ホック２３の固定位置は、図３に示すように、ベルト通し２１の固定位 置よりも下方になるように縫い付けることによって、ベルトをする際にホック１ ８，２３が身体に当たることがない。 また、図示省略しているが、裏地ズボン１１の前開き部１６下方に縫い付けら れたホック１８に係合するべく、ズボン１’のファスナー７の下方にホックが縫 い付けられている。

【００１３】 上述した本考案の総裏付ズボンは、図３に示すように、ホック２３に裏地ズボ ン１１のホック１８を係合させて裏地ズボン１１をそれぞれ固定する。上述のよ うに、ズボン１’のホック２３は、腰あて布２２の内側に縫い付けられているの で、図４に一点鎖線で示す裏地ズボン１１の上縁は、腰あて布２２の内側に位置 して固定されるので、総裏付ズボンを履く際に引っかからない。 さらに裏地ズボン１１をズボン１’に固定した後、ズボン１’の内側に重なり 合うように形を整えればよい。このとき裏地ズボン１１は、その表面に縫い代が くるように縫製されるために、ズボン１’に固定した状態では、縫い代のある表 面側がズボン１’の内側に面することになり、裏地ズボン１１の内側は縫い代が 露出していないので、外観に優れ、かつ、引っ掛かりがないので履きやすい。 なお、本考案の実施の形態において、ズボン１’に裏地ズボン１１を固定する ための係合手段としてホックを使用しているが、両者を容易に着脱できるもので あればよく、例えばスナップボタン等であってもよい。

【００１４】

【考案の効果】 以上詳述したように、請求項１記載の考案によれば、表地で製作されるズボン と裏地ズボンとからなる総裏付ズボンとしたので、ズボンの製作の際には、腰当 て布の下縁内側にホックを取り付ける作業が加わるだけなので、通常の裏地を備 えていないズボンの製作手順とほぼ同様に製作できる。さらに、腰あて布に縫い 付けた係合手段に裏地ズボンを着脱可能に取りつける構成としたので、ズボン自 体の縫製と裏地ズボンとを別々に縫製することができることから、ズボンの縫製 を容易にして縫製の能率を向上し、かつ、裏地を任意の生地にすることができ、 安価な総裏付ズボンにすることができる。またクリーニングをする際には、ズボ ンから裏地ズボンを取り外して別々に洗うことができるので、表地と裏地の素材 が異なることによるクリーニング技術上の問題はなく、またアイロンかけを容易 にして実用性を向上することができる。

【００１５】 そして、年代層によってはズボン下を履かないことがあるが、ズボンの内側に 着脱式に裏地ズボンを固定しているため抵抗なく履くことができ、また、裏地ズ ボンを固定しない状態でズボンを履くことも可能であるから、年代層にかかわら ずその汎用性を向上することができる。 さらに、本考案のズボンを履く際には、ズボンの内側に裏地ズボンを固定した 構成としているので、ズボンのポケットの袋布は裏地ズボンの下側に位置するこ とになりズボンの内側に露出しなくなるので、ズボンを履いた際に袋布が折れ曲 がってもたつくことがない。また、ズボン下を履く場合には、先ずズボン下を履 き、続いてズボンを履かなければならないのに対し、本考案の総裏付ズボンを履 く場合には１回で履くことができる。さらに、腰あて布の下縁に裏地ズボンを固 定する構成としたことから、裏地ズボンの重みによって腰あて布がめくれ上がる ことを防止するので外観を損ねることがない。

【００１６】 次に、請求項２記載の考案によれば、係合手段の取り付け位置をベルト通しよ りも下側にしたことから、ベルトをした際に係合手段が身体に当たることがなく 、また、ズボン下の着脱を容易にすることによりその実用性を高めることができ る。

【００１７】 次に、請求項３記載の考案では、裏地ズボンをズボンと相似形にし、裏地ズボ ンの丈をズボンの裾より５乃至１５ｃｍ程度短くしたので、ズボンの内面の広い 範囲に裏地を設けたのと同じになり、保温性や汗の吸収性を向上することができ る。さらに、裏地ズボンの丈をズボンの裾より５乃至１５ｃｍ程度短い丈とする と、裏地ズボンの裾は、脚と間にゆとりのある箇所に位置することから、薄手の ズボンの場合には、裏地ズボンの境界線が透けて見えなくなるので外観もよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の総裏付ズボンの要部である裏地ズボン
を示す正面図である。

【図２】図１に示す裏地ズボンのウエスト部の構成を説
明するための斜視図である。

【図３】本考案の構成部材である総裏付ズボンの要部を
示す正面図である。

【図４】本考案の総裏付ズボンの構成を説明するための
断面図である。

【図５】従来のズボンを示す斜視図である。

【図６】裏布の形状を示す側面図である。

【図７】図６とは異なる裏布の形状を示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１’ ズボン ６ 腰部 １１ 裏地ズボン １８ ホック ２１ ベルト通し ２２ 腰あて布 ２３ ホック

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルト通し、芯材を縫製してなるズボン
   の腰部の内側に下端を自由端にした腰当て布を設け、該
   腰当て布の下縁内側に係合手段を取り付け、該係合手段
   に裏地ズボンを着脱可能に取りつけたことを特徴する総
   裏付ズボン。
2. 【請求項２】 前記係合手段の取り付け位置をベルト通
   しよりも下側にしたことを特徴とする請求項１に記載の
   総裏付ズボン。
3. 【請求項３】 前記裏地ズボンを前記ズボンと相似形に
   し、裏地ズボンの丈をズボンの裾より５乃至１５ｃｍ程
   度短くしたことを特徴とする請求項１または２に記載の
   総裏付ズボン。