JPH09224566A - 加糖練乳様乳製品およびその製造方法 - Google Patents

加糖練乳様乳製品およびその製造方法

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JPH09224566A
JPH09224566A JP8058588A JP5858896A JPH09224566A JP H09224566 A JPH09224566 A JP H09224566A JP 8058588 A JP8058588 A JP 8058588A JP 5858896 A JP5858896 A JP 5858896A JP H09224566 A JPH09224566 A JP H09224566A
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milk
condensed milk
lactose
sugar
sweetened condensed
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JP8058588A
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Minoru Morita
稔 守田
Mikie Takaine
未来絵 高稲
Yukio Uchida
幸生 内田
Masaharu Aiuchi
雅治 相内
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 乳糖含量を、含有する水分の乳糖溶解度
以下に低減したことを特徴とする加糖練乳様乳製品。乳
糖含量は、水分100重量部に対し、18重量部以下に
低減されていることが好ましい。原料乳をろ過膜処理し
た濃縮乳に糖を添加して、練乳中の乳糖含量を、含有す
る水分の乳糖溶解度以下になるように調整した後、殺菌
(荒煮)することを特徴とする加糖練乳様乳製品の製造
方法。原料乳をろ過膜処理して糖を添加し、殺菌(荒
煮)した後、乳糖含量を含有する水分の乳糖溶解度以下
になるように調整することを特徴とする加糖練乳様乳製
品の製造方法。 【効果】 保存中や流通過程において、褐変化や乳糖の
粗大結晶の生成が著しく抑制される。また、本発明の加
糖練乳様乳製品を加工食品の原料として用いた場合にお
いても、褐変化が抑制され、本来の色調を有する良好な
加工食品を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳糖含量が低減さ
れた加糖練乳様乳製品およびその製造方法に関する。本
発明の加糖練乳様乳製品は、乳糖含量が低減されている
ため、保存中の褐変化が抑制され、かつ乳糖の粗大結晶
の生成がない。また、この加糖練乳様乳製品は、加工食
品の原料として用いる場合、その製造工程で加熱されて
も、褐変化が抑制され、乳糖の粗大結晶の生成もない。
【0002】
【従来の技術】通常、加糖練乳は、原料乳に対して約15
〜16%の蔗糖を添加し、これを殺菌(荒煮)した後、約
2.5倍程度に濃縮し、この濃縮乳を冷却してシーディン
グを行い、微細な乳糖結晶を析出させて容器に充填する
という工程を経て製造されている。このようにして製造
された加糖練乳は、浸透圧が高いため、防腐性が高く、
保存性の良好な食品である。しかも、牛乳本来の風味を
有している上、濃厚感があり、また、濃縮されているた
めに使用しやすいといった理由等から、アイスクリーム
や製菓・製パン用の原料として、あるいは、家庭では調
理の材料や果物等のトッピング用として広く利用されて
いるものである。
【0003】しかしながら、加糖練乳は、このように利
用範囲が広いにもかかわらず、製品の品質を長期間にわ
たって維持することが困難な製品である。すなわち、保
存中や流通過程で褐変(褐色化)や乳糖の粗大結晶の生
成等があり、それに起因して風味や食感が低下するとい
った問題がある。また、加工食品の原材料として用いた
場合、その製造工程で加熱されると、褐変化し易いとい
った問題もある。褐変化すると、得られた加工食品自体
が本来の色調を失って、茶褐色を呈するようになる。特
に、白色を基調とする製品では、製品価値が失なわれる
こともある。褐変は、主に加糖練乳中に含まれる糖と蛋
白質の反応(以下、メイラード反応という)によって起
こるものであるが、温度と糖度が高いほど促進される。
また乳蛋白質自身の変化によっても起こることもある。
保存中や流通過程でこの褐変が起こると加糖練乳は光沢
を失って、くすんだ色調を呈するようになり、製品価値
を失うといった問題がある。
【0004】加糖練乳中に含まれる糖は、原料乳由来の
乳糖と添加糖である蔗糖等から構成されているが、乳糖
は還元性の高い糖であるため、非還元糖である蔗糖に比
較して褐変されやすいという特徴がある。これらの褐変
は、保存中や流通過程、あるいは加工食品の製造工程で
冷却と加温が繰り返されるとより促進される。また、乳
糖結晶の生成についても、加糖練乳は濃縮されているた
めに、乳糖含量が水分100重量部に対して30重量部以上
になっており、過飽和状態にあり、しかも、乳糖は結晶
性が非常に高い糖であるため、高度に濃縮されると、ど
うしても製品に対する粗大結晶生成の影響を避けること
ができない。加糖練乳は、通常、原料ミックス(原料乳
に蔗糖等の糖類を添加したもの)を濃縮した後冷却し、
α−乳糖を添加してシーディングを行い、微細な乳糖結
晶をあらかじめ析出させて、保存中や流通過程において
乳糖の粗大結晶が生成しないように処理がされている。
【0005】しかし、このように加糖練乳の製造工程で
シーディングを行って乳糖を微細な結晶にしても、保存
中や流通過程で冷却・加温という温度変化が与えられる
と、微細な乳糖同士が結合して粗大結晶が生成し、摂取
したとき舌にザラツキ感がでて非常に食感が悪くなる。
因みに、この乳糖結晶に関して、製品中の乳糖結晶の径
の大きさが10μm以下であれば、ザラツキ感がないが、1
5μm以上になるとザラツキ感が生じ、20μm以上になる
と容器の底に乳糖結晶の沈澱(糖沈)を生じるといわれ
ている。
【0006】上記のように加糖練乳は、保存中や流通過
程で褐変化が起こったり、乳糖の粗大結晶の生成といっ
た品質の低下があるため、これを防止することが種々試
みられ、提案されている。例えば、乳成分中のカルシウ
ムの一部を除去又は不活性化した還元脱脂乳、あるいは
カルシウムを含まないナトリウムカゼイン溶液に加温融
解したバター又はバターオイルを加え、混合しながら高
圧で均質化処理し、得られた還元クリ−ムに、還元脱脂
乳および精製蔗糖を添加して溶解殺菌後、減圧濃縮する
還元加糖全脂練乳の製造方法が開示されている(特開昭
51-76460号公報)。さらに、加糖練乳が充填された容器
内を減圧し、空気分圧を0.3気圧以下とするか、また
は、容器内の空気を不活性ガスで置換し、残存空気の含
有比を30%以下にする加糖練乳の製造方法が開示されて
いる(特開昭54-98363号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭51-76460号
公報に開示された還元加糖全脂練乳の製造方法は、還元
脱脂乳を用いることによって保存中の褐変化や非流動性
化等の品質劣化現象を阻止しようとするものである。し
かし、この方法によって得られた加糖練乳は、保存中の
褐変化防止や非流動性化防止についての効果は、ある程
度期待できるとしても、乳糖については、本来の脱脂乳
を用いたものと変わることがないため、粗大結晶の生成
の問題についは、従来の加糖練乳と何ら変わることがな
い。また、この還元加糖全脂練乳を加工食品の原料とし
て用いた場合には、製造工程で加熱されると、やはり褐
変化は避けられないといった問題もある。また、上記特
開昭54-98363号公報に開示された加糖練乳の製造方法
は、容器内の空気含量を低減させて長期間保存しても、
流動性を失わないようにしたものである。しかし、この
方法においても、乳糖の粗大結晶の生成を防止すること
について考慮されておらず、また褐変化防止についても
絶対的な効果を奏するものではない。
【0008】本発明者らは、上記の問題点に鑑み、褐変
化や、乳糖の粗大結晶の生成を防止できる加糖練乳につ
いて検討した。その結果、原料乳の乳糖を除去し、練乳
中の乳糖含量を特定量以下に低減させることにより、目
的とする加糖練乳が得られるとの知見を得て、本発明を
完成させた。すなわち、本発明は、保存中や流通過程、
あるいは加工食品の製造工程で加熱されても褐変化が低
減され、また、乳糖の粗大結晶の生成のない加糖練乳様
乳製品とその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、次のような加糖練乳様乳製品を提供す
るものである。すなわち、本発明の加糖練乳様乳製品
は、乳糖含量を、含有する水分の乳糖溶解度以下に低減
したことからなる加糖練乳様乳製品である。この加糖練
乳様乳製品は、乳糖含量が、水分100重量部に対し、18
重量部以下に低減されていることが好ましい。本発明は
また、本発明の加糖練乳様乳製品の製造方法を提供する
ものである。すなわち、本発明の加糖練乳様乳製品の製
造方法は、原料乳をろ過膜処理した濃縮乳に糖を添加し
て、乳糖含量を、練乳中に含有する水分の乳糖溶解度以
下になるように調整した後、殺菌(荒煮)することから
なる製造方法である。本発明の加糖練乳様乳製品の製造
方法はまた、原料乳をろ過膜処理して糖を添加し、殺菌
(荒煮)後、乳糖含量を、練乳中に含有する水分の乳糖
溶解度以下になるように調整することからなる製造方法
である。本発明の製造方法において、乳糖含量は水分10
0重量部に対して18重量部以下であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の「加糖練乳様乳製品」は、乳及び乳製品の成分
規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52
号)で規定されている「加糖れん乳」および「加糖脱脂
れん乳」の規格にはよらないものである。尚、本発明の
「加糖練乳様乳製品」には、「加糖全脂練乳様乳製品」
および「加糖脱脂練乳様乳製品」を包含するものであ
る。本発明の加糖練乳様乳製品の製造における出発原料
としては、生乳や脱脂乳、あるいはこれらを一旦粉乳に
したものを、水性媒体に溶解した還元乳を用いることが
できる。本発明においては、これらの原料乳を、例え
ば、分画分子量10万Da以下、好ましくは5000〜50000
Daの限外ろ過膜(以下、UF膜という) 、またはポアサ
イズ0.05μm 以下の精密ろ過膜(以下、MF膜という) を
用いて、原料乳の温度を5〜60℃、運転圧力0.5〜10kg/
cm2でろ過膜処理して乳糖を透過液側に透過させ、濃縮
液側の乳糖含有量を水分100重量部に対して18重量部以
下で、全固形分率を40%以上に調整し、濃縮乳とする。
尚、上記のろ過膜処理に際して、ダイアフィルトレーシ
ョンを実施することにより、濃縮乳の乳糖含量を容易に
低減させることができる。このようにして得られた濃縮
乳は、蛋白質を主成分として、低減された乳糖、脂肪、
水分、およびビタミンやミネラル等を含有する。
【0011】上記のようにして得られた乳糖含量が低減
された濃縮乳を予熱した後、糖類(蔗糖やぶどう糖ある
いは果糖等)、好ましくは精製した蔗糖を添加する。添
加糖が蔗糖の場合には、製品中で水分100重量部に対し
て64重量部以下になるように添加することが好ましい。
蔗糖の添加量が65重量部以上となると、低温で保存した
場合に、比較的大きな蔗糖の結晶が生成しやすくなるた
めである。このように濃縮乳に糖類を添加した後は、常
法に従って殺菌(荒煮)して加糖練乳様乳製品とする。
その殺菌方法としては、例えば、75〜83℃で5〜10分間
保持殺菌するか、110〜120℃で2〜5秒間の瞬間殺菌方法
を採用することができる。また、得られた加糖練乳様乳
製品が、ろ過膜処理において、濃縮率が低かったり、ダ
イアフィルトレーションによって加水され、目標とする
固形分率40%以上に満たない場合には、上記の殺菌(荒
煮)処理後、さらにエバポレーター等の濃縮機により所
定濃度まで減圧濃縮してもよい。そして、このようにし
て得られた濃縮乳をサリター式冷却器、チューブラー式
冷却器もしくは円筒撹拌式冷却器等で10℃以下に冷却し
た後、容器に充填することが好ましい。
【0012】本発明の加糖練乳様乳製品の製造方法の特
徴のひとつは、ろ過膜処理により乳糖含量を低減しなが
ら濃縮するため、従来の加糖練乳の製造工程において必
須とされていた濃縮乳のシーディングを全く必要としな
い点にある。すなわち、従来の加糖練乳では、乳糖が、
水分100重量部に対して18重量部以上、通常は約30重量
部含まれていたため、保存中や流通過程において、乳糖
の粗大結晶の生成や沈澱があり、シーディングが必須で
あったが、本発明の加糖練乳様乳製品では、乳糖が水分
100重量部に対して18重量部以下に低減されているため
に、過飽和状態になることがなく、粗大結晶の生成や沈
澱が全くない。これにより、本発明の加糖練乳様乳製品
の製造工程では、技術的に難しいといわれているシーデ
ィング工程を省略することができ、工程の簡略化が図れ
るものである。その他、ろ過膜処理によって濃縮される
ために、さらに減圧濃縮(例えば真空蒸発濃縮)したと
しても、この濃縮工程でのコスト低減を図ることがで
き、また得られた製品も、熱履歴が低減されることから
粘度上昇が抑制され、品質的にも好影響を与えるもので
ある。
【0013】上記のようにして得られた本発明の加糖練
乳様乳製品は、乳糖含量が、水分100重量部に対し18重
量部以下に低減されているため、乳糖の粗大結晶の生成
や沈澱がないだけでなく、褐変化も抑制される。この褐
変は、一般的な製造方法によって製造された加糖練乳で
は、保存中や流通過程で温度変化が与えられたり、ある
いは加工食品の原料として用いられる場合、その製造工
程で加熱されると生じるものであるが、本発明の加糖練
乳様乳製品では、これらの工程においても褐変化が低減
される。
【0014】以下、実施例を示して本発明を具体的に説
明すると共に、試験例を示して本発明の効果をより明確
にする。
【実施例】
実施例1 脂肪分率が3.7重量%の生乳40kgを、分画分子量が8000D
aで、有効膜面積が0.5m2のUF膜(コーク(米)社製;
HFK131) に供給して、温度50℃、運転圧力5kg/cm2で、
濃縮倍率約4.8倍に濃縮して、8.3 kgの濃縮乳を得た。
この濃縮乳から5kgを分取して73℃に加温し、蔗糖6.3kg
を徐々に加えて溶解した。そして、75℃で10分間保持し
て殺菌(荒煮)し、加糖練乳様乳製品11.3kgを得た。この
全脂加糖練乳様乳製品の乳糖含量は、水分100重量部あ
たり約5.9重量部であった。
【0015】実施例2 脂肪分率が3.7%の生乳40kgを、分画分子量が8000Da
で、有効膜面積が0.5m2のUF膜(コーク(米)社製;H
FK131) に供給して、温度50℃、運転圧力5kg/cm2の条件
で加熱しながら、ダイアフィルトレーションを行い、乳
糖の約77%を除去した。このようにして乳糖を低減させ
たダイアフィルトレーション液40kgから5kgを分取して7
3℃に加温し、蔗糖1.111 kgを徐々に加えて溶解した。
そして、75℃で10分間保持して殺菌(荒煮)し、更にエ
バポレーターで2.9倍になるまで減圧濃縮して加糖練乳
様乳製品2.1kgを得た。この全脂加糖練乳様乳製品の乳
糖含量は、水分100重量部に対し、約8.6重量部であっ
た。
【0016】試験例1 実施例1および2で得られた加糖練乳様乳製品を10℃で
60間保存後、対照として市販の全脂加糖練乳を用い、そ
れぞれの成分組成、色差(褐変化の程度を表す)、粘度
について測定した。その測定結果を表1に示す。尚、一
般分析については常法に従って分析し、色差は、色彩色
差計(ミノルタ社製;CR-100)を、粘度は、B型粘度計
(東京計器(株)製;BL型)を用いて測定した。
【0017】
【表1】 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 測定項目 実施例1 実施例2 市販加糖練乳 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 一般分析 水分 (%) 27.1 27.8 26.5 脂肪 (%) 8.3 8.1 8.3 蛋白質(%) 7.6 7.7 7.9 灰分 (%) 0.7 0.9 1.8 蔗糖 (%) 55.0 53.2 44.2 乳糖 (%) 1.6 2.4 11.3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 乳糖含量/水分100重量部 5.9 8.6 42.6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 色差 L 値 65.8 64.1 75.5 a 値 -5.2 -5.4 -6.6 b 値 -6.0 -7.6 11.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 粘度(cp) 500 420 2000 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0018】表1から明らかなごとく、実施例1および
2で得られた加糖練乳様乳製品は、乳糖含量が市販の全
脂加糖練乳に比較して約1/5 〜1/7に低減され、色差の
b値(+の場合は、黄色が強く、−の場合は青色が強い
ことを示す)も、マイナス値となり、全脂加糖練乳様乳
製品は褐変化が抑制された。また粘度についても1/4〜1
/5に低減されて、流動性の高い全脂加糖練乳様乳製品で
あることが判る。
【0019】実施例1で得られた加糖練乳様乳製品およ
び市販の加糖練乳を用いて、饅頭およびブラマンジェを
調製し、それぞれの製品の色差を測定した。また、実施
例2の加糖練乳様乳製品と市販の加糖練乳について、強
制劣化による乳糖結晶生成試験を行い、乳糖粗大結晶の
生成状態を観察した。 試験例2 (饅頭の調製) (1) 白並あん250gにグラニュー糖25gを加え、少量の水
を入れて練った後、実施例1で得た全脂加糖練乳様乳製
品15gを加え、練り上げた。一方、外皮は、実施例1で
得た全脂加糖練乳様乳製品92.5gに、鶏卵15gと重曹2gを
加えて撹拌した後、薄力粉95gを添加して練り上げ1時
間冷蔵庫で寝かせ外皮とした。この外皮で包あんし、表
面に牛乳を塗り、オーブンを用いて180℃で15分間焼き
上げ、試験試料品とした。 (2) 実施例1で得られた全脂加糖練乳様乳製品に代え
て、市販の全脂加糖練乳を用い、上記の方法同様に饅頭
を調製し、対照品とした。 (3) 上記の(1)の試験試料品および(2)の対照品の饅頭の
外皮の色差を測定した。その結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】表2から明らかなように、L値(値が大き
ければ大きいほど白色が強く、値が小さければ黒色が強
いことを示す。)については、試験試料品の方が対照品
より高く、一方、a 値(値が大きければより赤色が強い
ことを示し、値が小さければ緑色の強いことを示す)に
ついては、試験試料品は、対照品の約1/2 程度になっ
た。即ち、このことより、L値が高い試験試料品は、対
照品より色調が明るい饅頭であり、また、a値が低い試
験試料品は、対照品より赤色が抑えられて焦げの少ない
饅頭であることが明らかである。即ち、本発明の加糖練
乳様乳製品を用いて製造した饅頭では、褐変が著しく抑
制された。
【0022】試験例3 (ブラマンジェの調製) (1) コーンスターチ13gに牛乳180gを加えて、混合して
沸騰させた。これにあらかじめ水325gでふやかせたゼラ
チン11gを加え、さらに実施例1で得られた全脂加糖練
乳様乳製品280gを加えて撹拌した後、冷却して生クリー
ム150gとホワイトキュラソー45gを添加して撹拌した。
これを型に流し込み、冷却してブラマンジェを調製し、
試験試料品とした。 (2) 実施例1で得られた全脂加糖練乳様乳製品に代え
て、市販の全脂加糖練乳を用い、上記の方法同様にブラ
マンジェを調製し、対照品とした。 (3) 上記の(1)の試験試料品、および(2)の対照品のブラ
マンジェの色差を測定した。その結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】表3から明らかなごとく、L値とa値につい
ては、試験試料品および対照品ともに数値上あまり変わ
らないが、b値については、試験試料品の方が対照品よ
り低い値を示している。これは黄色が薄く、より白色を
呈する色調を示すもので、実施例1で得られた全脂練乳
様乳製品の褐変化が抑制されて、牛乳本来の色が出現し
たことが判る。
【0025】試験例4 (強制劣化による乳糖結晶生成試験)実施例2で得た全
脂加糖練乳様乳製品(試験試料品)と市販全脂加糖練乳
(対照品)1kgを50℃に加熱した後、5℃まで冷却する強
制劣化試験を2時間毎に5回行った。その後5℃で10時
間保持した後、それぞれの試料の乳糖粗大結晶の生成状
態を偏光顕微鏡で観察した。その結果、試験試料品では
乳糖の結晶が全く観察されなかった。しかし、対照品に
は、20μm以上の粗大結晶が乳糖の結晶中23%生成され
ており、また乳糖の結晶の平均粒径も17μmであった。
また、この強制劣化試験を行った試験試料品と対照品を
それぞれ200mlの缶容器に充填して10℃の温度下に10日
間保存して開缶したところ、試験試料品では乳糖結晶の
沈澱が全く見られなかったが、対照品では底一面に乳糖
の結晶が沈澱していた。また、官能検査を実施したとこ
ろ、試験試料品は粘度の上昇もなく、口に含んだときサ
ラサラした感触を有し、風味も良好であった。一方、対
照品は、増粘しており、口に含んだときもザラツキ感が
あり、しかも褐変化しているために焦げ臭があり、加糖
練乳としては不適当なものであった。
【0026】
【発明の効果】本発明の加糖練乳様乳製品は、乳糖含量
が、水分の乳糖溶解度以下、好ましくは、水分100重量
部に対して18重量部以下に低減されているため、保存中
や流通過程において、褐変化や乳糖の粗大結晶の生成が
著しく抑制される。また、本発明の加糖練乳様乳製品を
加工食品の原料として用いた場合、その製造工程におい
て冷却と加温を繰り返し受けても、褐変化が抑制される
ので、本来の色調を有する良好な加工食品を製造するこ
とができる。また、本発明の加糖練乳様乳製品は、従来
の加糖練乳に比べて粘度が低く、口に含んだときサラサ
ラした感触を有し、風味もフラットで好ましい。さら
に、本発明の加糖練乳様乳製品は、原料乳をろ過膜処理
により乳糖含量を低減して濃縮することを特徴としてお
り、従来必須とされていたシーディングを全く必要とせ
ず、工程の簡略化を図ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年3月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】実施例2 脂肪分率が3.7%の生乳40kgを、分画分子量が8
000Daで、有効膜面積が0.5mのUF膜(コー
ク(米)社製;HFK131)に供給して、温度50
℃、運転圧力5kg/cmの条件で加水しながら、ダ
イアフィルトレーションを行い、乳糖の約77%を除去
した。このようにして乳糖を低減させたダイアフィルト
レーション液40kgから5kgを分取して73℃に加
温し、蔗糖1.111kgを徐々に加えて溶解した。そ
して、75℃で10分間保持して殺菌(荒煮)し、更に
エバポレーターで2.9倍になるまで減圧濃縮して加糖
練乳様乳製品2.1kgを得た。この全脂加糖練乳様乳
製品の乳糖含量は、水分100重量部に対し、約8.6
重量部であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳糖含量を、含有する水分の乳糖溶解度
    以下に低減したことを特徴とする加糖練乳様乳製品。
  2. 【請求項2】 乳糖含量が、水分100重量部に対し、
    18重量部以下に低減されていることを特徴とする請求
    項1記載の加糖練乳様乳製品。
  3. 【請求項3】 原料乳をろ過膜処理した濃縮乳に糖を添
    加して、乳糖含量を、練乳中に含有する水分の乳糖溶解
    度以下になるように調整した後、殺菌(荒煮)すること
    を特徴とする加糖練乳様乳製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 原料乳をろ過膜処理して糖を添加し、殺
    菌(荒煮)した後、乳糖含量を、練乳中に含有する水分
    の乳糖溶解度以下になるように調整することを特徴とす
    る加糖練乳様乳製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 乳糖含量が、水分100重量部に対し1
    8重量部以下になるように調整することを特徴とする請
    求項3または4に記載の加糖練乳様乳製品の製造方法。
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