JPH09157978A - 消臭・抗菌性アクリル系合成繊維からなる繊維製品 - Google Patents

消臭・抗菌性アクリル系合成繊維からなる繊維製品

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JPH09157978A
JPH09157978A JP7345581A JP34558195A JPH09157978A JP H09157978 A JPH09157978 A JP H09157978A JP 7345581 A JP7345581 A JP 7345581A JP 34558195 A JP34558195 A JP 34558195A JP H09157978 A JPH09157978 A JP H09157978A
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fine powder
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Akio Nishino
明男 西野
Masahito Ono
雅人 大野
Zenji Wakayama
善治 若山
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐洗濯性を有し、かつ優れた消臭効果と抗菌効
果を併せ持つと共にアクリル系合成繊維の繊維性能、風
合いをそのまま保持する消臭・抗菌性アクリル系合成繊
維からなる紡績糸、中綿、及び繊維製品を提供する。 【解決手段】平均粒径10μm以下のケイ酸金属塩又は
アルミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を1〜2
0重量%含有する消臭・抗菌性アクリル系合成繊維を少
なくとも10重量%有する事を特徴とする紡績糸、中
綿、及び繊維製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐久性に優れ、か
つ日常生活で発生する悪臭の代表であるアンモニア、ア
ミン類、硫化水素、メルカプタン類、酢酸等に対して良
好な消臭性能を有し、且つ黄色ぶどう状球菌、肺炎かん
菌等に対して優れた抗菌性を有するアクリル系合成繊維
を含有する紡績糸、中綿及び繊維製品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】アクリル系合成繊維は衣料、寝装、イン
テリア用に幅広く使われているが、近年、毛布、モケッ
ト、マット、カーペット類の立毛製品並びに靴下、肌
着、シーツ等の編織物、ふとん、ぬいぐるみ、クッショ
ン等の中綿、インソール、フィルターなど各種製品に消
臭性及び抗菌性を有するものが強く要望されてきてい
る。従来から、悪臭として問題視されている臭気を消す
機能を繊維及び繊維製品に付与する方法としては、繊維
への酸性基を有するビニルモノマーのグラフト加工(特
公平3−77308号公報、特公平2−58392号公
報、特開昭62−142562号公報等)、銅化合物
(特開昭61−231202号公報、特開昭62−69
78号公報等)や、各種消臭剤(特開昭61−2580
76号公報、特開昭56−100060号公報等)を繊
維表面へ付着する方法などが知られている。また、繊維
へ消臭機能を有するビニルモノマーを導入する方法とし
ては、酸性基を有するビニルモノマーを共重合し、その
重合体を繊維化するという方法が挙げられる。
【0003】しかしながら、これらの方法のうち、グラ
フト加工は繊維の風合いが変化したり、均一な反応効率
が得られず消臭効果が充分に発揮できなかったり、また
染色工程と類似したグラフト反応を行わねばならず、工
程数の増加、又その際の処理液による加工機、排水の汚
染等の問題が生じてしまう。
【0004】消臭効果のある微粉末を繊維表面へ付着さ
せる後処理加工及び繊維製品に消臭効果のある溶液を浸
潤、塗布、散布するといった後処理加工では、繊維独自
の風合いの低下や、水洗やドライクリーニングによって
剤が脱落し洗濯耐久性が不足する等の欠点がある。
【0005】また、繊維に消臭機能を有するビニルモノ
マーを導入する方法として、重合時に酸性基を有するビ
ニルモノマーを共重合し、その重合体を繊維化する方法
があるが、この方法は消臭効果のある酸性基を有するビ
ニルモノマーが繊維表面よりも繊維内部へ多く存在する
為、酸性基を有するビニルモノマーの導入率の割には悪
臭に直接接触する率が小さく、消臭効果が不十分である
こと、繊維物質の低下、風合いの悪化等の欠点があっ
た。
【0006】これらの加工方法は、ほとんどがアミン類
やアンモニア等の塩基性悪臭、酢酸等の酸性悪臭、又は
硫化水素、メルカプタン類等の悪臭のいずれかにのみ効
果を持ち、塩基性及び酸性の両悪臭及び硫化水素、メル
カプタン類等全ての臭いに対して効果的に作用し、工業
的に安全且つ安価に繊維の生産に利用できるものはほと
んど知られていない。
【0007】また、抗菌性の付与においては、前述した
ような臭気を消す機能を繊維製品に付与する方法と同様
の方法が有る。例えば、繊維製品へ抗菌性を有する化合
物を塗布、スプレーする方法や、抗菌性を有する化合物
溶液へ繊維及び繊維製品を含浸せしめる方法、抗菌性を
有する化合物と樹脂を併用した樹脂加工等が良く知られ
ている。しかし、これらの方法ではその効力に持続性が
無く、かつ付着せしめた化合物が洗濯等によって容易に
脱落してしまうという欠点や繊維独自の風合いを損なう
という欠点等を有している。
【0008】これまでに、抗菌性を有する繊維として、
アクリロニトリルを含む共重合体に金属微粉末を添加、
紡糸する方法(特開昭55−115440号公報等)又
はアゾール誘導体を添加、紡糸する方法(特開昭53−
139895号公報等)が提案されているが、一般的に
は抗菌性付与と消臭性付与は別々に行われており、抗菌
性能と消臭性能の両方の性能を併せ持つ繊維及びその繊
維製品はほとんど無い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は耐洗濯
性を有し、かつ優れた消臭効果と抗菌効果を併せ持つと
共にアクリル系合成繊維の繊維性能、風合いをそのまま
保持する消臭・抗菌性アクリル系合成繊維を含有する紡
績糸、中綿及び繊維製品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均粒径10
μm以下のケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有
効成分とする微粉末を1〜20重量%含有する消臭・抗
菌性アクリル系合成繊維を少なくとも10重量%有する
事を特徴とする紡績糸又は中綿、及び平均粒径10μm
以下のケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩を有効成
分とする微粉末を1〜20重量%含有する消臭・抗菌性
アクリル系合成繊維を少なくとも10重量%有する立毛
製品、編織物、及びインソール、フィルターの群から選
ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする繊維製
品である。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用するアクリル系合成繊維は、少なくとも40重量%
のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系重合
体よりなり、他に共重合可能ないかなる単量体をもあわ
せ用いることが可能である。例えば、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタ
クリル酸アルキルエステル、スチレン、酢酸ビニル、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルエチルエーテル、メ
タクリロニトリル等の中性単量体、アクリル酸、メタク
リル酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチ
レンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルフォン酸等の酸性単量体及びこれら単量体のア
ンモニウム塩、アルカリ金属塩等を適宜組み合わせたも
のを60重量%以下の割合で共重合せしめたものが挙げ
られる。このアクリロニトリル系重合体は懸濁重合、溶
液重合、乳化重合等、如何なる方法によって製造された
ものでも良い。
【0013】本発明で用いられる微粉末としては、酸化
物として表わした3成分組成比で SiO2 :5〜80モル% MOn/2 :5〜65モル% Al2 3 :0〜60モル% (Mは亜鉛、銅、銀、コバルト、ニッケル、鉄、チタ
ン、バリウム、スズ、マグネシウム又はジルコニウムか
ら選ばれる少なくとも一種の金属を、nは金属の原子価
を表わす)に相当するケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸
金属塩を有効成分とするものである。かかる金属塩は、
その結晶に固体酸、固体塩基の両性質を持ち、かつ互い
に中和しあうことなく1つの固体粒子表面に独立して存
在し、両性の吸着面を形成している事から、塩基性悪
臭、酸性悪臭に対し化学的吸着作用による優れた消臭効
果を有し、また比表面積が大きく悪臭との接触効率に優
れ、物理吸着作用も併せ持つ為、効果的に消臭できるも
のと考えられる。また、抗菌性に関しては定かではない
が、微粉末の少なくとも一部に保持した金属イオンに基
づくものと考えられる。
【0014】本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩の微粉末の平均粒径は、粒度分布にも
よるが、10μm以下、好ましくは0.5〜10μm以
下、より好ましくは1〜7μmである。微粉末の平均粒
径が0.5μm未満では凝集が起こりやすく、特殊な分
散装置、分散剤を用いなければ均一分散が困難である。
また、微粉末の平均粒径が10μmを超えると紡糸濾過
圧上昇、糸切れ多発等が起こり操業上好ましくない。
【0015】本発明で用いるケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩の微粉末のBET比表面積は、100m2
/g以上であり、特に150m2 /g以上であることが
好ましい。このBET比表面積が100m2 /gより低
い場合は悪臭との接触効率が低下し、十分な消臭能力を
発揮できない。
【0016】本発明で用いられるケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩の微粉末の添加量は上記アクリロニト
リル系重合体に対して、1〜20重量%である。微粉末
の含有量が1重量%未満では十分な消臭性能を付与出来
ず、また20重量%を超えると繊維性能が低下すると共
に紡糸における可紡性及び紡績性が低下し好ましくな
い。
【0017】本発明に使用する溶媒としては、アクリロ
ニトリル系重合体を溶解し得る溶媒ならばいずれを使用
しても良い。例えば、ジメチルホルムアミド(以下DM
Fと記す)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド、アセトン等の有機溶媒が挙げられるが、これらは
溶解性、溶剤回収、取扱いの点で好ましい。
【0018】アクリロニトリル系重合体に、ケイ酸金属
塩又はアルミノケイ酸金属塩の微粉末を添加、混合する
方法としては、アクリロニトリル系重合体を有機溶媒に
溶解した紡糸原液に、ケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸
金属塩の微粉末を有機溶媒に分散、溶解させた溶液を紡
糸直前に添加、混合すれば良い。本発明で用いられるケ
イ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩の微粉末を有機溶
媒に分散、溶解させる方法、及びその調製溶液をアクリ
ロニトリル系重合体を含む紡糸原液に添加、混合する方
法としては、通常の混合機で充分に混合できる。
【0019】本発明においてケイ酸金属塩又はアルミノ
ケイ酸金属塩の微粉末の有機溶媒の分散濃度は5〜40
重量%である。この濃度が5重量%未満であると紡糸原
液の濃度が下がり、可紡性が低下するとともに繊維物性
が低下する。また、40重量%を超えると、良好な分散
状態が得られず工業的容易に製造することが困難とな
る。
【0020】得られた紡糸原液は通常の口金より紡出さ
れる。紡出方法についてはあらゆる公知の湿式、乾湿
式、乾式の紡糸方法が適用可能であり、通常のアクリル
系合成繊維と同様の条件で行えば良い。また、本発明の
特性を損なわない範囲で通常使用される酸化チタン、難
撚剤、耐光剤、蓄熱剤等を添加することは任意である。
本発明の特性を損なわない範囲でケイ酸金属塩又はアル
ミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を製造する際
に添加物を使用することや、微粉末の分散性改良の為に
添加物を使用することは任意である。
【0021】本発明の紡績糸及び中綿は、上記の新規な
優れた性能を備えたアクリル系合成繊維が含有される点
で特徴的である。かかるアクリル系合成繊維は、好まし
くは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも
15重量%使用される。10重量%未満だとケイ酸金属
塩又はアルミノケイ酸金属塩の微粉末の添加量にもよる
が、消臭性能及び抗菌性能が不足する。
【0022】また、本発明の繊維製品についても、上記
の新規の優れた性能を備えたアクリル系合成繊維が含有
される点で特徴的である。かかるアクリル系合成繊維
は、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは
少なくとも15重量%使用される。10重量%未満だ
と、ケイ酸金属塩又はアルミノケイ酸金属塩の微粉末の
添加量にもよるが、消臭性能及び抗菌性能が不足する。
【0023】混紡する繊維はアクリル繊維、ポリエステ
ル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維、又は綿、羊毛、麻
等の天然繊維である。本発明の中綿とは、ふとん、クッ
ション、ぬいぐるみ等の内部に用いられることを特徴と
し、公知の加工技術によって製造することが出来る。本
発明の繊維製品とは、毛布、カーペット、マット、ハイ
パイル等の立毛製品、シーツ、セーター、ジャージ、靴
下、肌着等の編織物、及び、インソール、フィルターの
群から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とす
る繊維製品であり、公知の加工技術(交編、交織、不織
布)によって製造することが出来る。
【0024】
【実施例】次に実施例を示して、本発明を具体的に説明
する。実施例中の部、%は特に断らない限り、「重量
部」、「重量%」を示す。 (消臭性)繊維製品の消臭性能の評価は、日常生活の悪
臭の代表として、塩基性の悪臭であるアンモニア臭(肉
類の腐敗臭等)、トリメチルアミン臭(魚類の腐敗臭
等)、メルカプタン臭(野菜類の腐敗臭等)、酸性の悪
臭である酢酸臭(汗成分の分解による体臭等)について
以下の方法により行った。
【0025】1.トリメチルアミン(以下TMAと記
す)除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5 l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3 lを入
れる。次いで、TMAを10ppmの濃度になるよう封
入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定し
た。対照として空のテドラーバッグにTMAを10pp
mの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管
でガス濃度を測定し、濃度の減少率からTMAの除去率
を算出した。
【0026】2.アンモニア除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5 l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3 lを入
れる。次いで、アンモニアを40ppmの濃度になるよ
う封入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定
した。対照として空のテドラーバッグにアンモニアを4
0ppmの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に
検知管でガス濃度を測定し、濃度の減少率からアンモニ
アの除去率を算出した。
【0027】3.エチルメルカプタン(以下EMPと記
す)除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5 l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3 lを入
れる。次いで、EMPを20ppmの濃度になるよう封
入し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定し
た。対照として空のテドラーバッグにEMPを20pp
mの濃度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管
でガス濃度を測定し、濃度の減少率からEMPの除去率
を算出した。
【0028】4.酢酸除去率測定法 テドラーバッグ(フッ化ビニリデンフィルム製、5 l)
に繊維試料3gを入れ密封し、さらに窒素ガス3 lを入
れる。次いで、酢酸を20ppmの濃度になるよう封入
し、2時間放置した後に検知管でガス濃度を測定した。
対照として空のテドラーバッグに酢酸を20ppmの濃
度になるよう封入し、2時間放置した後に検知管でガス
濃度を測定し、濃度の減少率から酢酸の除去率を算出し
た。
【0029】(抗菌性)繊維製品の抗菌性能の評価は、
編み地、織物等の繊維製品を被験体として用い、繊維製
品衛生加工協議会制定の抗菌防臭加工製品認定基準「菌
数測定法」により行った。
【0030】(耐洗濯性)耐洗濯性試験は、JIS L
1018の「家庭用電気洗濯法」に準じて行った。
【0031】実施例1〜7及び比較例1〜3 アクリロニトリル系共重合体の製造は、アクリロニトリ
ル(以下ANと記す)/メチルアクリレート/2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ(以
下SAMと記す)=91.2/8.0/0.8からなる
アクリロニトリル系共重合体を、ジメチルホルムアミド
(以下DMFと記す)中にてアゾビスイソブチロニトリ
ルを開始剤として重合し、残存モノマーの除去を行い、
その後、共重合体濃度を20〜30%に調製した。
【0032】微粉末の有効成分であるアルミノケイ酸金
属塩は、組成比がSiO2 :58モル%,Al2 3
7モル%,ZnO:35モル%であり、平均粒径3.5
μm、比表面積が200m2 /gであるものを使用し
た。上記微粉末をDMFに25%となる様にサンドグラ
インダーで均一分散した後、上記アクリロニトリル系共
重合体に表1に示す添加率で添加、混合し、紡糸原液と
した。
【0033】上記紡糸原液を22℃,58%DMF水溶
液中に紡出し、脱溶媒をさせながら延伸、水洗した後、
油剤を付与して、乾燥及び乾燥緻密化を行った。この繊
維は延伸、収縮、クリンプの各工程を通した後、105
℃にて湿熱処理を行った。得られた繊維の紡糸操業性の
結果の判定は、実施例記載の条件で製造した際の濾過
圧、単糸切れ、ローラー巻き付き、繊維への歩留り等を
総合して「○(良好)」,「△(やや不良)」,「×
(不良)」の三段階で行った。また、繊維品質において
は、それぞれの実施例の繊維の強度、伸度、耐光性、染
色性等を通常のアクリル系合成繊維と比較して「○(良
好)」,「×(不良)」の2段階で評価を行った。
【0034】上記工程によって得られた3.0デニール
の消臭性アクリル系合成繊維(A)を38mm定長カッ
トした後、通常の1.5デニールのアクリル繊維(カネ
ボウアクリルXQ3)(B)と表1記載の割合で混打綿
混合して、以後通常の綿紡績を行い、40/ l番手の紡
績糸を得た。次に直径11インチ、22Gの丸編み機を
用いて、フライス組織の生機をつくり、順次精練、漂
白、乾燥、仕上げ、セットを行い丸編みを作成した。
【0035】なお、比較例1〜2は、アクリロニトリル
系共重合体に実施例1〜4で用いた微粉末を範囲外の比
率で添加したもの、比較例3は分散液濃度を範囲外にし
たもの、比較例4は、混紡率を範囲外にしたものであ
り、各工程は実施例と同様に行った。以上の結果をまと
めて表1、表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】 ・菌数測定法、標準布対数増減値 黄色ぶどう状球菌=3.07 肺炎かん菌=3.12
【0038】表1、表2の比較例から明らかな様に、実
施例品は比較例品に比べて優れた消臭性能及び抗菌性能
を有していることがわかる。上記微粉末をアクリロニト
リル系重合体へ0.2%添加した比較例1の場合は、紡
糸操業性、繊維品質は良好であったが、十分な消臭性能
及び抗菌性能は得られなかった。また、上記微粉末を2
5%添加した比較例2の場合は、口金濾過圧上昇、単糸
切れ等紡糸操業性が悪く繊維を得ることが出来なかっ
た。比較例3においては、混紡率が範囲外である為十分
な消臭性能及び抗菌性能が得られなかった。
【0039】実施例8〜10及び比較例4〜5 実施例3〜5の消臭・抗菌性アクリル系合成繊維(A)
を76mm定長カットした後、梳綿機を通してカードス
ライバーを得た。一方3デニールの通常アクリル繊維
(B)(カネボウアクリルXQ3)65万デニールをト
ウリアクターを通してスライバー収縮率22%のトウス
ライバーを得た。更に上記アクリル繊維(A)と(B)
とを表3記載の混紡率で練条機混合した後、通常の梳毛
紡紡績を行い2/28番手の紡績糸を得た。
【0040】次に、パイル糸に上記紡績糸を用い、挿入
糸と鎖糸とにポリエステルフィラメント150d/48
f,200d/48fを用いて、16ゲージ,釜幅26
mmのダブルラッセル機によりマイヤー毛布生地(挿入
糸4000本,鎖糸4000本,パイル糸1000本,
140cm幅,550g/m2 )を得た。次いで、毛布
の表についてはスクリーンプリント、毛布の裏について
は連続無地染色を行い、各々連続スチーミング機によ
り、98℃×20分熱処理を行った。
【0041】さらに、順次水洗、柔軟加工、乾燥、毛さ
ばき(2連式毛割機,4m/分,4パス)、ポリッシャ
ー(エレクトロポリッシャー,8m/分,170℃と1
50℃の2パス)、シャーリング(シャーリングマシー
ン,8m/分,2パス)、裁断、縫製を行い、マイヤー
毛布を得た。なお、比較例4〜5は、実施例1及び実施
例3で用いた消臭・抗菌性アクリル系合成繊維(A)の
混紡率を範囲外にしたものであり、各工程は実施例と同
様に行った。以上の結果を表3、表4に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】 ・菌数測定法、標準布対数増減値 黄色ぶどう状球菌=3.07 肺炎かん菌=3.12
【0044】表3、表4の比較例から明らかな様に、実
施例品は比較例品に比べて優れた消臭性能及び抗菌性能
を有していることがわかる。比較例品は、微粉末の添加
率が範囲内であっても混紡率が範囲外である為十分な消
臭性能及び抗菌性能が得られなかった。
【0045】実施例11〜16及び比較例6〜7 アクリロニトリル系共重合体の製造は、AN/塩化ビニ
リデン/SAM=57/40/3からなるアクリロニト
リル系共重合体を、DMF中にてアゾビスイソバレロニ
トリルを開始剤として重合し、残存モノマーの除去を行
い、その後、共重合体濃度を20〜30%に調製した。
【0046】微粉末の有効成分であるアルミノケイ酸金
属塩としては実施例1〜7と同様のものを使用し、微粉
末をDMFに25%となる様にサンドグラインダーで均
一分散した後、上記アクリロニトリル系共重合体に表5
に示す添加率で添加、混合し、紡糸原液とした。
【0047】上記紡糸原液を18℃,57%DMF水溶
液中に紡出し、脱溶媒をさせながら延伸、水洗した後、
油剤を付与して、乾燥及び乾燥緻密化を行った。この繊
維は延伸、収縮、クリンプの各工程を通した後、105
℃にて湿熱処理を行い3デニールの繊維を得た。
【0048】得られた繊維の紡糸操業性の結果の判定、
及び繊維品質の評価は前記(実施例1〜7及び比較例1
〜3)と同様に行った。上記工程によって得られた3.
0デニールの消臭性アクリル系合成繊維(A’)を梳綿
機に通してカードスライバーを得た。一方、3デニール
の通常のアクリル繊維(B)(カネボウアクリルXQ
3)65万デニールをトウリアクターを通してスライバ
ー収縮率22%のトウスライバーを得た。上記アクリル
繊維(A’)と(B)を表5に示した割合で練条機混合
した後、通常の梳毛紡紡績を行い2/28番手の紡績糸
を得た。次に、パイル糸に上記紡績糸を用い、実施例8
〜10と同様にして、マイヤー毛布を製造した。
【0049】なお、比較例6は、アクリロニトリル系共
重合体に実施例11〜14で用いた微粉末を範囲外の比
率で添加したもの、比較例7は混紡率を範囲外にしたも
のであり、各工程は実施例と同様に行った。以上の結果
をまとめて表5、表6に示した。
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】 ・菌数測定法、標準布対数増減値 黄色ぶどう状球菌=3.07 肺炎かん菌=3.12
【0052】表5、表6から明らかなように、実施例品
は比較例品に比べて優れた消臭性能及び抗菌性能を有し
ていることがわかる。比較例6で示した微粉末の添加率
を範囲外にしたものは紡糸操業性、繊維品質は良好であ
ったが、十分な消臭性能及び抗菌性能は得られなかっ
た。また、比較例7においては、混紡率が範囲外である
為十分な消臭性能及び抗菌性能が得られなかった。
【0053】実施例17〜19 実施例11〜13で用いた消臭性アクリル系合成繊維
(A’)の38mm定長カットした後、通常の1.5デ
ニールのアクリル繊維(カネボウアクリルXQ3)
(B)を表7に示した割合で混打綿混合して、以後通常
の綿紡績を行い、40番手の紡績糸を得た。この紡績糸
からなる経126本/inch、緯80本/inchの
密度で打ち込んだ平織物を作成した。得られた平織物の
消臭性能及び抗菌性能評価を表7,8に示した。表7、
表8から明らかなように、実施例品は優れた消臭効果及
び抗菌効果を有した。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】 ・菌数測定法、標準布対数増減値 黄色ぶどう状球菌=3.07 肺炎かん菌=3.12
【0056】
【発明の効果】本発明の消臭・抗菌性アクリル系合成繊
維からなる繊維製品は、従来より用いられているアクリ
ロニトリル系共重合体に、ケイ酸金属塩又はアルミノケ
イ酸金属塩を有効成分とする微粉末を混合し繊維化する
だけで本来の繊維性能を低下させることなく、耐洗濯性
のある優れた消臭・抗菌性能を付与することを可能とし
たものである。また、通常のアクリル系合成繊維、ポリ
エステル、ナイロン、羊毛等他の繊維と混合して使用す
ることが可能で、消臭性能及び抗菌性能を有する衣料、
毛布、カーペット、マット、靴下、シーツ、布団、カー
テン、中綿等幅広い用途に使用することが出来る為、産
業上極めて有意義なものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A41B 17/00 A41B 17/00 Z A61L 9/01 A61L 9/01 Z B01D 53/86 ZAB B01J 29/06 ZABA B01J 29/06 ZAB D01F 1/10 D01F 1/10 6/18 Z 6/18 D04B 1/16 D04B 1/16 D04H 1/42 W D04H 1/42 B01D 53/36 ZABH

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径10μm以下のケイ酸金属塩又
    はアルミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を1〜
    20重量%含有する消臭・抗菌性アクリル系合成繊維を
    少なくとも10重量%有する事を特徴とする紡績糸又は
    中綿。
  2. 【請求項2】 平均粒径10μm以下のケイ酸金属塩又
    はアルミノケイ酸金属塩を有効成分とする微粉末を1〜
    20重量%含有する消臭・抗菌性アクリル系合成繊維を
    少なくとも10重量%有する立毛製品、編織物、及びイ
    ンソール、フィルターの群から選ばれる少なくとも一種
    からなることを特徴とする繊維製品。
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