JPH09152743A - トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびその製造方法およびこれを用いたトナー - Google Patents

トナーバインダー用ポリエステル樹脂およびその製造方法およびこれを用いたトナー

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JPH09152743A
JPH09152743A JP30963695A JP30963695A JPH09152743A JP H09152743 A JPH09152743 A JP H09152743A JP 30963695 A JP30963695 A JP 30963695A JP 30963695 A JP30963695 A JP 30963695A JP H09152743 A JPH09152743 A JP H09152743A
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molecular weight
carboxylic acid
acid
polyester resin
polyester
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Withdrawn
Application number
JP30963695A
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English (en)
Inventor
Kikumi Nakamichi
喜久美 中道
Kota Tanahashi
恒太 棚橋
Tomoko Kubota
智子 久保田
Naomi Sasaki
直美 佐々木
Haruo Okuya
晴夫 奥谷
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Unitika Ltd
Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐オフセット性および低温定着性に優れ、か
つ耐久性に優れ、鮮明な画像特性を与えるトナーに使用
されるトナーバインダー用ポリエステル樹脂およびその
製造方法およびこれを用いたトナーを提供する。 【解決手段】 エーテル化ビスフェノールと、2価カル
ボン酸成分と、3価以上の多価アルコールおよび/又は
3価以上の多価カルボン酸成分とを共重合させて、水酸
基価が10mgKOH/g以下、数平均分子量が200
0以下、数平均分子量/重量平均分子量が2.5以上で
ある低分子量ポリエステル架橋体を得、この低分子量ポ
リエステル架橋体の少なくとも一部が連結剤として配合
された2価アルコールを介して連結されてなるトナーバ
インダー用ポリエステル樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法、静電印刷法などの分野において使用される静電
荷像現像用トナーに好適なトナーバインダー用ポリエス
テル樹脂およびこれを用いたトナーに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の電子写真法は、米国特許第229
7691号明細書や米国特許第2357809号明細書
に記載されているように、光導電性絶縁体よりなるロー
ラー表面上に静電荷像を形成し、これを着色微粉末から
なる乾式現像剤によりトナー像として顕像化する現像工
程と、この後、得られたトナー像を紙などの転写シート
に転写する転写工程と、さらに加熱、加圧などにより永
久定着させる定着工程とからなる。
【0003】最近、複写機においては高速化や小型化お
よび省エネルギー化が志向されており、この要請に応え
る定着工程として、熱効率が良く、コンパクトな機構を
有し、高速化が可能な加熱ローラー定着方式が好ましく
用いられている。
【0004】しかしながら、加熱ローラー定着方式にお
いては、加熱ローラー面とトナー像面が接触するため
に、トナーが加熱ローラー表面に転写し、これが次に送
られてくる紙に転写して画像を汚すという、いわゆるオ
フセット現象が発生する。
【0005】このようなオフセット現象を防止するため
に、特公昭51−23354号公報において、スチレン
系の架橋樹脂をトナーバインダー用樹脂として用いるこ
とが提案された。以来、加熱ローラー定着方式において
は、種々の改善を経ながら、主としてスチレン−アクリ
ル酸系エステル共重合体がトナーバインダー用樹脂とし
て用いられてきた。
【0006】一方、最近では、ポリエステル樹脂が、よ
り低温で定着が可能であり、しかも定着されたトナー像
は塩化ビニル系可塑剤に対する耐久性に優れ、さらに、
透明性に優れカラー化にも対応可能である等の点で、従
来のスチレン−アクリル酸系エステル共重合体等よりも
優れていることが見い出され、トナーバインダー用樹脂
として注目されている。
【0007】一般にポリエステル樹脂は、2価のカルボ
ン酸および/又はその低級エステルと2価のアルコール
との縮合反応により製造されるが、このようにして得ら
れる直鎖状成分のみからなるポリエステル樹脂をトナー
バインダー用樹脂として用いた場合、耐オフセット性が
極めて悪く、良好な転写画像を得ることができない。
【0008】そこで、ポリエステル樹脂をトナーバイン
ダー用樹脂として用いた場合のオフセット現象を改良す
る手段として、特開昭50−75043号公報、特開昭
54−86342号公報および特開昭62−19568
0号公報において、3価のカルボン酸および/又は3価
のアルコールを共重合させることによって得られる三次
元綱目構造を有したポリエステル樹脂を、トナーバイン
ダーとして用いることが提案されている。
【0009】しかしながら、このように3価以上の多価
カルボン酸および/又は3価以上の多価アルコールを共
重合させると、架橋を形成させる縮合反応工程におい
て、架橋反応が急激に進行するため、反応生成物がゲル
化し、反応容器からの払い出しが不可能になる場合があ
る。また、過度に架橋構造を有すると、樹脂の流動性が
低下し、ポリエステル樹脂本来の特質である低温定着性
が損なわれることとなる。
【0010】このような問題を解決する手段として、第
一に、特開平3−54574号公報において、反応温度
および真空度を制御することで急激なゲル化反応をコン
トロールする方法が開示されているが、実質的には、エ
ステル交換反応によって生じる低沸点成分の留出等によ
り重合体の粘度が過度に上昇し、所望の架橋度の樹脂を
得られない等の問題を有するものであった。
【0011】第二に、特開平2−225520号公報で
は、数平均分子量(Mn)が300〜1400である、
直鎖状又は分岐状の低分子量ポリエステルに、3価以上
の成分を共重合させて、架橋を形成する方法が開示され
ている。しかし、この方法においても、やはり重合体の
急激な粘度の上昇は避けがたく、安定した架橋ポリエス
テル樹脂の製造は困難であった。
【0012】以上のように、トナーバインダー用樹脂と
してはポリエステル樹脂が好適とされるものの、ポリエ
ステル樹脂に係る前記の問題を解消するような、耐オフ
セット性、低温定着性を兼ね備えたトナーバインダー用
ポリエステル樹脂は得られていないのが現状であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐オフセッ
ト性および低温定着性に優れ、かつ耐久性に優れ、鮮明
な画像特性を与えるトナーに使用されるトナーバインダ
ー用ポリエステル樹脂およびこれを用いたトナーを提供
することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、2価カルボン酸成
分、2価アルコール成分、3価以上の多価カルボン酸お
よび多価アルコール成分を縮重合させて得られる低分子
量ポリエステル架橋体を2価アルコールで連結したポリ
エステル樹脂が、耐オフセット性および低温定着性に優
れた特性を有することを見いだし本発明に到達した。す
なわち、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0015】1.水酸基価が10mgKOH/g以下、
数平均分子量(Mn)が2000以下、数平均分子量
(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/M
n)が2.5以上である低分子量ポリエステル架橋体の
少なくとも一部が、連結剤として配合された2価アルコ
ールで連結されてなるトナーバインダー用ポリエステル
樹脂。
【0016】2.(a)式(1)で表されるエーテル化
ビスフェノールと、(b)2価カルボン酸および/又は
2価カルボン酸の酸無水物および/又は2価カルボン酸
の低級アルキルエステルと、全アルコール成分又は全酸
成分に対して6〜40モル%(c)の、(c)又は
(d)のいずれか一方とを、180℃以上の温度条件下
でエステル化反応またはエステル交換反応させて、水酸
基価が10mgKOH/g以下、数平均分子量(Mn)
が2000以下、数平均分子量(Mn)と重量平均分子
量(Mw)との比(Mw/Mn)が2.5以上である低
分子量ポリエステル架橋体を得、その後、前記低分子量
ポリエステル架橋体と2価アルコールとを180℃以上
の温度条件下で反応させてトナーバインダー用ポリエス
テル樹脂を得る製造方法。
【0017】
【化5】 ……(1)
【0018】但し、R1 =エチレン基又はプロピレン
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
【0019】また、(c)は、3価以上の多価アルコー
ルであり、(d)は、3価以上の多価カルボン酸および
/又は3価以上の多価カルボン酸の酸無水物および/又
は3価以上の多価カルボン酸の低級アルキルエステルで
ある。
【0020】3.(a)式(1)で表されるエーテル化
ビスフェノールと、(b)2価カルボン酸および/又は
2価カルボン酸の酸無水物および/又は2価カルボン酸
の低級アルキルエステルと、全アルコール成分に対して
3〜20モル%の、(c)3価以上の多価アルコール
と、全酸成分に対して3〜20モル%の、(d)3価以
上の多価カルボン酸および/又は3価以上の多価カルボ
ン酸の酸無水物および/又は3価以上の多価カルボン酸
の低級アルキルエステルとを、180℃以上の温度条件
下でエステル化反応またはエステル交換反応させて、水
酸基価が10mgKOH/g以下、数平均分子量(M
n)が2000以下、数平均分子量(Mn)と重量平均
分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が2.5以上であ
る低分子量ポリエステル架橋体を得、その後、前記低分
子量ポリエステル架橋体と2価アルコールとを180℃
以上の温度条件下で反応させてトナーバインダー用ポリ
エステル樹脂を得る製造方法。
【0021】
【化6】 ……(1)
【0022】但し、R1 =エチレン基又はプロピレン
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
【0023】4.前記1.に記載のトナーバインダー用
ポリエステル樹脂に着色剤を配合することを特徴とする
トナー。本発明のポリエステル樹脂は、低分子量ポリエ
ステル架橋体の少なくとも一部が2価アルコール単量体
で連結されて構成されるため、溶融時の粘性を低く保つ
ことができる。これは、本発明のポリエステル樹脂が、
溶融流動性に優れている低分子量のポリエステル架橋体
を基本構造としており、しかもポリエステル樹脂全体が
過度に高分子量化してはいないため、高分子量体間の分
子鎖の絡み合いによる溶融粘度の上昇が抑制されること
による。
【0024】また、本発明は、特定のエーテル化ビスフ
ェノールを共重合させることを特徴としている。これに
より、ポリエステル樹脂の耐ブロッキング性を保持しな
がら、より溶融流動性を向上させることができ、さらに
本発明のポリエステル樹脂は軟化点が下がり、よってト
ナー特性においては低温定着性が優れたものとなる。
【0025】さらに、本発明のポリエステル樹脂は、比
較的高温度領域(150℃〜250℃)においても溶融
弾性の低下が少ない。一般には、ポリエステル架橋体に
おいても、樹脂温度の上昇に伴って溶融弾性が急激に低
下する。この現象の大きな原因として、分子量分布にお
ける低分子量域成分の急激な弾性低下が挙げられる。と
ころが、本発明のポリエステル樹脂では、低分子量ポリ
エステル架橋体が数平均分子量(Mn)と重量平均分子
量(Mw)との比(Mw/Mn)が2.5以上である架
橋構造を有したものであるため、樹脂全体としてゴム弾
性を維持し易く、比較的高温度領域においても弾性低下
が抑制され、よってトナー特性においては耐オフセット
性が優れたものとなる。
【0026】また、本発明のポリエステル樹脂は、分子
間の凝集力が大きいため、トナーの長期ランニングにお
いても粒子の崩壊が少なく、粒径が保持される。よって
トナー特性においては、耐久性に優れるものとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるエーテ
ル化ビスフェノールとは、オキシエチレン化またはオキ
シプロピレン化されたビスフェノールAをいい、式
(1)により表されるものである。
【0028】
【化7】 ……(1)
【0029】但し、R1 =エチレン基又はプロピレン
基、R2 =エチレン基又はプロピレン基である。そし
て、mおよびnは各々整数であり、しかもmとnとの和
の平均値が2.1〜3.0である。
【0030】すなわち、エーテル化ビスフェノールは、
ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレ
ンオキサイドを整数個付加させたものであり、1モルの
ビスフェノールAに対して平均2.1〜3.0モルのオ
キシエチレンまたはオキシプロピレンを有するものであ
る。オキシエチレンまたはオキシプロピレンがビスフェ
ノールA1モルに対し2.1モル未満の場合、得られる
低分子量ポリエステル架橋体はエーテル化ビスフェノー
ル分子の占有体積が小さくなることで良好な溶融流動性
を示すものの、ポリエステル樹脂においては軟化点が高
くなり、低温定着性が損なわれることとなる。一方、オ
キシエチレンまたはオキシプロピレンがビスフェノール
A1モルに対し3.0モルを超える場合、得られるポリ
エステル樹脂の軟化点が低下し、ガラス転移温度が低く
なるため耐ブロッキング性が損なわれる。また溶融時の
粘着性が高くなりすぎるため、加熱ローラーへの巻き付
きが起こり易くなり、定着紙の良好な払い出しができ
ず、安定な連続定着が困難となる。以上の理由により、
エーテル化ビスフェノールは、さらに好ましくはオキシ
エチレンまたはオキシプロピレンをビスフェノールA1
モルに対して平均2.1モル〜2.8モル有するものが
良い。
【0031】このようなエーテル化ビスフェノールとし
ては、例えば、1モルのビスフェノールAに対してオキ
シプロピレンを平均2.3モル付加させて得られるポリ
オキシプロピレン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンのほかに、ポリオキシエチレ
ン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.8]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシエチレン[2.4]−2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.
1]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン[2.6]−2.2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンなどを挙げることができる。なお、[
]内の数値は、オキシエチレンまたはオキシプロピレ
ンの平均付加数を示すものである(以下、同様)。
【0032】また、本発明においては、必要に応じて、
エーテル化ビスフェノールに他のジオール成分を加えて
共重合させることができる。この場合、他のジオール成
分は、ポリエステル樹脂中の全2価アルコール成分に対
して10モル%未満とすることが好ましい。他のジオー
ル成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3
−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチ
レングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジ
プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ペ
ンタエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、
1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオー
ル、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチ
ル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−
ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、水素化ビス
フェノールA、シクロヘキシルエチレングリコール、
1,2−ジシクロヘキシルエチレングリコール、p−キ
シリレングリコール、m−キシリレングリコールなどが
挙げられる。
【0033】本発明に用いられる2価カルボン酸として
は、脂肪族ジカルボン酸として、マレイン酸、フマール
酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、琥珀
酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン
酸、n−ドデセニル琥珀酸、イソドデセニル琥珀酸、n
−ドデシル琥珀酸、イソドデシル琥珀酸、n−オクテニ
ル琥珀酸、n−オクチル琥珀酸などを挙げることができ
る。また、脂環族ジカルボン酸として、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、水素化2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸などを挙げることができる。さらに、芳香族ジ
カルボン酸として、フタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−メ
チレン二安息香酸などを挙げることができる。
【0034】また、本発明における2価カルボン酸成分
としては、前記の2価カルボン酸のほかに、前記の酸の
酸無水物、前記の酸の低級アルキルエステルを用いるこ
ともでき、これらを単独もしくは混合して用いることが
できる。ここで、前記の酸の低級アルキルエステルを構
成する低級アルキル基としては、炭素数1〜4のメチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基などを例示することができる(以下の低級ア
ルキルエステルを構成する低級アルキル基も同じ)。
【0035】本発明に用いられる3価以上の多価カルボ
ン酸としては、3価または4価のカルボン酸が好まし
く、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シ
クロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレン
トリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、ピロメリット
酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジ
カルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプ
ロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,
2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三
量体酸などを挙げることができる。また、本発明におけ
る多価カルボン酸成分としては、前記の多価カルボン酸
のほかに、前記の酸の酸無水物、前記の酸の低級アルキ
ルエステルを用いることもでき、これらを単独もしくは
混合して用いることができる。
【0036】本発明に用いられる3価以上の多価アルコ
ールとしては、3〜6価のアルコールが好ましく、例え
ば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、2−メチルプロパントリオー
ル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,
5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどを挙げることが
できる。
【0037】本発明のポリエステル樹脂においては、3
価以上の多価カルボン酸成分または多価アルコールの少
なくともいずれか一方を配合することによって、あるい
は3価以上の多価カルボン酸成分と多価アルコールとを
併用することによっても、耐オフセット性および溶融流
動性を効果的に高めることができる。
【0038】これは、本発明のポリエステル樹脂が低分
子量ポリエステルを基本構造としているため、ゲル化に
至ることなく容易に3価以上の多価成分を導入すること
ができるためであり、よって低分子量ポリエステル架橋
体の溶融時の弾性を効果的に付与することができ、耐オ
フセット性が向上するものと考えられる。また、さらに
低分子量ポリエステル架橋体が架橋密度の高いコンパク
トな架橋体となるため、架橋体間の分子鎖の絡まり等が
少なくなり、溶融流動性の向上が期待される。
【0039】多価カルボン酸成分と多価アルコールとの
いずれか一方を共重合させる場合、多価カルボン酸成分
または多価アルコールは、低分子量ポリエステル架橋体
の構成成分である全酸成分または全アルコールに対して
6〜40モル%であり、好ましくはそれぞれ10〜30
モル%である。この3価以上の多価カルボン酸または多
価アルコールの含有割合が6モル%未満の場合、低分子
量ポリエステル架橋体における架橋割合が低いため溶融
時の弾性が低くなり、耐オフセット性が低下する原因と
なる。一方、これら多価カルボン酸または多価アルコー
ルの含有割合40モル%を超える場合、低分子量ポリエ
ステル架橋体は架橋割合が高くなりすぎ、溶融時の弾性
は高いものの、逆に硬質で軟化点が高いものとなり、低
温定着性が損なわれる。
【0040】多価カルボン酸成分と多価アルコールとを
両方併用して共重合させる場合、多価カルボン酸成分お
よび多価アルコールは、低分子量ポリエステル架橋体の
構成成分である全酸成分あるいは全アルコールに対して
それぞれ3〜20モル%であり、好ましくは5〜15モ
ル%である。この3価以上の多価カルボン酸および多価
アルコールのいずれか一方の含有割合が3モル%未満の
場合、低分子量ポリエステル架橋体における架橋割合が
低いため溶融時の弾性が低くなり、耐オフセット性が低
下する原因となる。一方、これら多価カルボン酸および
多価アルコールのいずれか一方の含有割合が20モル%
を超える場合、低分子量ポリエステル架橋体は架橋割合
が高くなりすぎ、溶融時の弾性は高いものの、逆に硬質
で軟化点が高いものとなり、低温定着性が損なわれる。
【0041】本発明において、低分子量ポリエステル架
橋体は、水酸基価が10mgKOH/g以下でなければ
ならず、好ましくは5mgKOH/g以下であるのが良
い。水酸基価が10mgKOH/gを超えると、溶融状
態で低分子量ポリエステル架橋体が個々独立には存在し
難く、2価アルコールによる連結よりも低分子量ポリエ
ステル架橋体の低分子量架橋体同士が直接にエステル結
合により連結してしまう傾向となる。従って、低分子量
ポリエステル架橋体間の屈曲性が低く溶融粘性が高くな
り、得られるトナーバインダー用ポリエステル樹脂は低
温定着性に劣るものとなる。
【0042】本発明において、低分子量ポリエステル架
橋体は、数平均分子量(Mn)が2000以下でなけれ
ばならず、好ましくは500〜1500であるのが良
い。数平均分子量(Mn)が2000を超えると、連結
して得られるポリエステル樹脂は溶融流動性が大幅に低
下し、従って低温定着性に劣るものとなる。
【0043】本発明において、低分子量ポリエステル架
橋体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(M
w)との比(Mw/Mn)、すなわち分散度が2.5以
上でなければならない。分散度(Mw/Mn)が2.5
未満であると、これを2価アルコールにより連結して得
られるポリエステル樹脂のトナー特性において、耐オフ
セット性が低下する傾向となる。
【0044】本発明におけるポリエステル樹脂は、前記
低分子量ポリエステル架橋体の少なくとも一部が、連結
剤として配合された2価アルコールで連結されてなるも
のである。すなわち、一部の低分子量ポリエステル架橋
体が連結されてなる高分子量体が少なくとも存在してお
れば良い。なお、ここで、連結とは、低分子量ポリエス
テル架橋体の末端カルボキシル基と2価アルコールの両
末端水酸基との縮合反応による結合をいう。
【0045】低分子量ポリエステル架橋体を連結する2
価アルコール(以下、連結剤と称す)としては、ポリオ
キシプロピレン[2.3]−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン[2.
2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン[2.8]−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン[2.4]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン[2.1]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオ
キシプロピレン[2.6]−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン[2.
3]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2−
ブテン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、トリプロピレングリコール、ペンタエチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,2−ヘキサンジオー
ル、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−
ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジヒドロキシ
シクロヘキサン、水素化ビスフェノールA、シクロヘキ
シルエチレングリコール、1,2−ジシクロヘキシルエ
チレングリコール、p−キシリレングリコール、m−キ
シリレングリコールなどを挙げることができる。
【0046】また、連結剤としての2価アルコールの配
合割合は、低分子量ポリエステル架橋体の全構成成分1
00モル部に対し、5〜30モル部であることが好まし
く、さらに好ましくは10〜25モル部であるのが良
い。連結剤の配合割合が5モル部未満の場合、得られる
ポリエステル樹脂は低分子量ポリエステル架橋体が連結
して得られる高分子量体の含有率が低くなるため、ガラ
ス転移温度が低くなり、耐ブロッキング性および耐オフ
セット性に悪影響を及ぼすこととなる。一方、連結剤の
配合割合が30モル部を超える場合、得られるポリエス
テル樹脂の耐オフセット性は大きく改善されるが、軟化
点が高くなるため、低温定着性に好ましくない影響を与
えることとなる。
【0047】本発明のポリエステル樹脂は、水酸基価が
5mgKOH/g以下、さらに好ましくは3mgKOH
/g以下であることが好ましい。水酸基価が5mgKO
H/gを超える場合、溶融時において水酸基に起因する
エステル交換、分解反応などが生じ易くなるため、ポリ
エステル樹脂の高次構造の崩壊および溶融粘性の低下が
起こり易く、本発明のトナーの耐オフセット性を有しな
がら低温定着性に優れるという特性を失う原因となる。
すなわち、着色剤、帯電安定剤などを混練するための再
溶融工程での物性低下を低減するために、ポリエステル
樹脂の水酸基価は5mgKOH/g以下であることが好
ましい。
【0048】本発明のポリエステル樹脂は、数平均分子
量(Mn)が5000〜15000であることが好まし
く、さらに好ましくは10000以下であるのが良い。
数平均分子量(Mn)が5000未満の場合、ポリエス
テル樹脂は高分子量体の含有比率が低くなり、耐オフセ
ット性に劣るものとなる。一方、数平均分子量(Mn)
が15000を超える場合、耐オフセット性は良好であ
るが、高分子量体の含有比率が高いため粉砕性が悪く、
しかも軟化点および定着開始温度が高くなり、低温定着
性が損なわれる。
【0049】本発明のポリエステル樹脂は、ガラス転移
温度が55〜75℃、軟化点が80〜155℃の範囲に
あることが好ましい。ガラス転移温度が55℃未満の場
合、耐ブロッキング性が低下し、充分な保存安定性が得
られにくくなる。逆に、ガラス転移温度が75℃を超え
る場合、樹脂の粉砕性が低下するとともに、定着性に悪
影響を及ぼすようになり、好ましくない。また、軟化点
が80℃未満では、トナー粒子が破壊され易く微粉が生
成し易くなり、キャリア表面に付着し、トナー粒子の帯
電性が低下し、耐オフセット性も低下することとなる。
逆に、軟化点が155℃を超える場合、最低定着温度が
高くなるなど好ましくない現象が発生する。
【0050】次に、本発明のトナーバインダー用ポリエ
ステル樹脂の製造方法について説明する。まず、低分子
量ポリエステル架橋体を製造する。すなわち、前述の
(a)エーテル化ビスフェノールと、(b)2価カルボ
ン酸および/又は2価カルボン酸の酸無水物および/又
は2価カルボン酸の低級アルキルエステルと、(c)3
価以上の多価アルコールと、(d)3価以上の多価カル
ボン酸および/又は3価以上の多価カルボン酸の酸無水
物および/又は3価以上の多価カルボン酸の低級アルキ
ルエステルとの内、所定の構成成分を、各々所定の割合
で混合し、180℃以上、好ましくは200〜260℃
の温度条件下でエステル化反応またはエステル交換反応
を行い、低分子量ポリエステル架橋体を得る。
【0051】次いで、この低分子架橋体に、連結剤とし
て2価アルコールを前記の配合割合で混合し、180℃
以上、好ましくは200〜260℃の温度条件下でエス
テル化反応またはエステル交換反応を行い、低分子量架
橋体が2価アルコールを介して連結された本発明のポリ
エステル樹脂を得ることができる。
【0052】低分子量ポリエステル架橋体を得るに際し
ては、前記(b)および(d)の酸成分と、(a)およ
び(c)のアルコール成分との仕込み比率が重要であ
る。つまり、仕込み比率、すなわち全酸成分のモル数を
P、全アルコール成分のモル数をQとしたときに、P/
Qで表される値が、1.1〜3.0となることが好まし
い。仕込み比率(P/Q)が3.0より大きくなる場
合、低分子量ポリエステル架橋体の数平均分子量(M
n)が低く抑えられるという点では好ましいと認めらる
が、未反応の酸成分が多量に残存し、3価以上の多価カ
ルボン酸を構成成分とする場合には、3価以上の多価カ
ルボン酸の反応割合が低下する傾向となる。これによ
り、低分子量ポリエステル架橋体における3価以上の多
価成分の含有割合が減少することとなり、ひいては、分
散度(Mw/Mn)を2.5以上に制御することが困難
となり、耐オフセット性が低下する原因となる。一方、
仕込み比率(P/Q)が1.1より小さくなる場合、全
単量体構成において酸成分とアルコール成分のモルバラ
ンスが均衡に近づくため、低分子量ポリエステル架橋体
は、従来の一括添加型のポリエステル樹脂のように嵩高
く、数平均分子量(Mn)が大きい高分子量の構造体と
なる。すなわち、低分子量ポリエステル架橋体において
水酸基価を10mgKOH/g以下に制御する過程にお
いて既に数平均分子量(Mn)が5000以上の大きな
構造体となる。
【0053】前記のエステル化反応またはエステル交換
反応を行う際には、反応を促進させるために、通常のエ
ステル化触媒、エステル交換触媒を使用することができ
る。また、必要に応じて減圧下にて製造することもでき
る。
【0054】前記条件および操作方法により初めて、低
分子量ポリエステル架橋体の少なくとも一部を2価アル
コールで連結したポリエステル樹脂を構成せしめること
ができる。そして、トナー用途において優れた低温定着
性と耐オフセット性を両立させた、水酸基価が5mgK
OH/g以下、数平均分子量(Mn)が5000〜15
000、ガラス転移温度55〜75℃、軟化点80〜1
55℃を満足するポリエステル樹脂を製造することがで
きる。
【0055】このように本発明は、従来のトナーバイン
ダー用ポリエステル樹脂の製造方法、例えば、2価およ
び3価以上の多官能成分の一括添加による合成法、2官
能成分のみによる直鎖状ポリエステルを3価以上の多官
能成分で架橋させる方法、エポキシ基あるいはイソシア
ネート基などの反応性末端基を有する化合物で架橋させ
る方法、単官能成分により架橋反応を制御する方法とは
明らかに異なり、予め製造した低分子量ポリエステル架
橋体を2価アルコールで連結させることを大きな特徴と
している。これにより、本発明で得られるポリエステル
樹脂は、耐オフセット性を損なうことなく、前記従来法
に基づくポリエステル樹脂に比べて、低温定着性に優れ
た特性を有し、さらに、耐久性、粉砕性、製造安定性な
どに優れた特性を兼ね備えたトナーバインダー用樹脂と
なる。
【0056】本発明のポリエステル樹脂には、トナーバ
インダー用樹脂としての性能を損なわない範囲内、すな
わちポリエステル樹脂中40重量%以下、さらに好まし
くは20重量%以下の範囲内で、公知の熱可塑性樹脂、
例えば本発明以外のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、エチレン−
エチルアクリレート樹脂、フェノール樹脂、スチレン−
ブタジエン樹脂、キシレン樹脂、ブチラール樹脂などを
混合または変性により添加しても良い。これらの熱可塑
性樹脂の中ではスチレン−アクリル酸系エステル共重合
体などのスチレン−アクリル系樹脂が特に好ましい。
【0057】本発明のトナーは、前記の本発明のトナー
バインダー用ポリエステル樹脂に着色剤が配合されたも
のである。本発明のトナーを製造するには、前記本発明
のポリエステル樹脂を主成分とするトナーバインダー用
樹脂中に、着色剤および必要に応じて各種添加剤を配合
し、ボールミルなどにより混合し、混練、粉砕、分級の
各工程を行えば良い。
【0058】本発明のトナーの粒径は、1〜50μm、
好ましくは5〜30μmとすることが適当である。
【0059】本発明のトナーに含有する着色剤として
は、公知のものがすべて使用でき、カーボンブラック、
ニグロシン染料、ベンジジンイエロー、キナクリドン、
ローダミンB、フタロシアニンブルー、アニリンブル
ー、カルコオイルブルー、クロームイエロー、ウルトラ
マリンブルー、メチレンブルー、ローズベンガル等、ま
たはこれらの混合物を挙げることができる。
【0060】必要に応じて添加される添加剤としては、
荷電制御剤、磁性体などを挙げることができる。荷電制
御剤としては、正の荷電制御剤では、ニグロシン系染
料、三級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタ
ン系染料、四級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂
などを挙げることができる。負の荷電制御剤としては、
例えば含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチ
ル酸のアルキル誘導体の金属錯体などを挙げることがで
きる。これらの荷電制御剤はトナーバインダー用樹脂に
対して、0.1〜8.0重量%、好ましくは0.2〜
5.0重量%配合される。
【0061】また、前記の荷電制御剤等のほか、特性改
良剤として、ワックス等のオフセット防止剤や疎水性シ
リカ等の流動性向上剤が考えられるが、本発明のポリエ
ステル樹脂をバインダー樹脂として用いる場合は、これ
らの特性改良剤を加えることなく、特性改良の効果を得
ることができ、また、添加する場合でもその添加量は通
常よりも少なくて良い。
【0062】本発明のトナーは、普通、鉄粉などのキャ
リアと混合することによって二成分現像剤とされるが、
その混合比はキャリア100重量部に対して0.3〜2
0重量部が好ましい。なお、本発明のトナーは磁性体が
含有されるときはそのまま一成分現像剤として、また磁
性体が含有されないときは非磁性一成分現像剤として静
電荷像の現像に供される。
【0063】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。な
お、樹脂の物性およびそれを用いて得られるトナー特性
の評価については、以下に記す各種測定法および評価法
にて行った。
【0064】・ガラス転移温度(℃);示差熱分析装置
(DSC測定装置)を用い、次の操作を行って測定し
た。粉末状サンプル10mgをアルミ製パンに入れ、昇
温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温し、2
50℃において5分放置し、その後10℃/分で20℃
まで冷却する。その後、昇温速度10℃/分で測定し、
ガラス転移領域におけるDSCサーモグラムのピークの
立ち上がり部分からピークの頂点までの間での最大傾斜
を示す接線との接点の温度(℃)を、ガラス転移温度
(以下、Tgと記す)とした。
【0065】・数平均分子量(Mn)および分散度(M
w/Mn);本発明において数平均分子量(Mn)、お
よび数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)と
の比である分散度(Mw/Mn)を算出するための重量
平均分子量の値は、ゲルパーメーションクロマトグラフ
ィーによって測定した値から算出した。測定条件は、温
度40℃で、溶媒としてテトラヒドロフランを1ml/
分の流速で流し、試料濃度10mg/mlのテトラヒド
ロフランの試料溶液を0.5ml注入して測定する。な
お、カラムとしては、1×103 〜2×106 の分子量
領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲル
カラムを複数本組み合わせて行った。試料の分子量測定
にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分
散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数
値とカウント数との関係から算出した。検出器にはRI
(屈折率)検出器を用いた。
【0066】・軟化点(℃);フローテスター((株)
島津製作所製 CFT−500型)を用いて、測定条件
を、荷重20kg/cm2 、ノズル1mmφ×10m
m、予備加熱80℃で5分間、昇温速度3℃/分とし、
サンプル量1.5gとして測定記録し、フローテスター
のプランジャー降下量−温度曲線(軟化流動曲線)にお
けるS字曲線の高さをhとしたとき、高さがh/2とな
るときの温度(℃)を軟化点とした。
【0067】・水酸基価(mgKOH/g);低分子量
ポリエステル架橋体およびポリエステル樹脂の水酸基価
はJIS−K−0070に規定される方法により測定し
た。
【0068】・樹脂の粉砕性;通常の粉砕工程を終わっ
た樹脂を篩にかけ、16メッシュは通過するが、20メ
ッシュは通過しない樹脂粉体を得る。この分級された樹
脂粉体を30.0g精秤(W1 とする)し、コーヒーミ
ル(PHILIPS社製 HR−2170タイプ)にて
15秒間粉砕後、32メッシュの篩にかけ、通過しない
樹脂の重量W2 (g)を精秤し、次式に従い残存率
(%)を求めた。 残存率(%)=W2 (g)/W1 (g)×100 以上の操作を3回行い、平均残存率が、0〜15.0%
の場合を◎、15.1〜30.0%の場合を○、30.
1〜45.0%の場合を△、45.1%〜100%の場
合を×と評価した。
【0069】・耐ブロッキング性;トナーを50℃、相
対湿度40%の条件下で48時間放置したときの凝集の
発生の程度を観察した。そして、凝集塊が認められなか
った場合を○、凝集塊が若干生じた場合を△、凝集塊が
著しく認められた場合を×と評価した。
【0070】・オフセット発生温度(℃);実施例およ
び比較例で得た各電子写真用トナーを4部と、樹脂被覆
を施していないフェライトキャリア(パウダーテック社
製 FL−1530)を96部とを混合して二成分系現
像剤を作成した。次に、この現像剤を使用して市販の複
写機((株)東芝製 BD−9110)にてA4の転写
紙に縦2cm、横5cmの帯状の未定着画像を複数作成
した。次いで、表層がテフロン(ポリテトラフルオロエ
チレンの商品名:登録商標)で形成された熱定着ローラ
ーと、表層がシリコーンゴムで形成された圧力定着ロー
ラーとが対になって回転する定着機を、ローラー圧力が
1kg/cm2 およびローラー速度が200mm/秒に
なるように調節し、前記熱定着ローラーの表面温度を段
階的に上昇させて、A4の転写紙に縦2cm、横5cm
の帯状の画像を複写した。そして、転写紙の余白部にオ
フセットによる汚れが発生するか否かの観察を行い、オ
フセットが発生したときの最低の熱定着ロールの表面温
度をオフセット発生温度(℃)とし、耐オフセット性の
評価とした。
【0071】・最低定着温度(℃);前記の定着機で形
成された定着画像に対して、1kgの荷重を載せた、幅
15mmの砂消しゴムのエッジ部による摺擦を施し、次
式に従い定着率を算出し、定着率が70%を超えるとき
の定着ローラーの温度(℃)を最低定着温度とした。な
お、画像濃度は、反射濃度計(マクベス社製 RD−9
14)を用いて測定した。 定着率(%)=[摺擦後の定着画像の画像濃度/摺擦前
の定着画像の画像濃度]×100
【0072】・転写紙の耐巻き付き性 前記の各現像剤と定着機(熱定着ローラーの表面温度は
170℃に設定した)でコピー試験を行い、転写紙の熱
定着ローラーへの耐巻き付き性評価を行った。転写紙を
連続して50枚、転写機に挿入し、熱定着ローラーへの
巻き付きの起こらなかった場合を○、巻き付きが1枚以
上の転写紙で起こった場合を×とした。
【0073】実施例1 『低分子量ポリエステル架橋体の製造』表1に示す低分
子量ポリエステル架橋体の仕込み組成に従い、酸成分と
して、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸、無水トリメリット酸を、アルコール成分として、
ポリオキシエチレン[2.2]−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパンを、温度計、ステンレス製
撹拌器、流下式コンデンサーを備えた反応器に入れ、窒
素ガス雰囲気下で内温220℃にて撹拌回転数200r.
p.m.で反応を行った。エステル化が開始して反応系より
水の留出が始まってから、水の留出が終了するまで、約
5時間反応を行った。得られた生成物は、水酸基価が
2.0mgKOH/g、数平均分子量(Mn)が110
0、分散度(Mw/Mn)が3.0であったことから、
低分子量ポリエステル架橋体であることを確認した。な
お、留出液のNMR分析において水以外の成分は検出さ
れなかった。
【0074】『ポリエステル樹脂の製造』前記の低分子
量ポリエステル架橋体が生成した反応系に、連結剤とし
てポリオキシエチレン[2.2]−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンを表1の割合に従って添
加し、内温220℃、撹拌回転数200r.p.m.で低分子
量ポリエステル架橋体の連結反応を行った。エステル化
が開始して反応系より水の留出が始まってから、水の留
出が終了するまで、約3時間反応を行った。この時点で
の撹拌トルクメーターは0kg−cmを示した。続い
て、反応系内を10torr以下に減圧し、さらに反応を続
けた。減圧開始から約1.5時間経過した後、反応系の
溶融粘度は徐々に上昇した。この後、撹拌トルクは上昇
し続け、減圧開始から約3時間経過した時点で、撹拌ト
ルクは3.4kg−cmに到達した。その後、撹拌回転
数を200r.p.m.に保ち、約1時間撹拌トルクを観察し
た結果、撹拌トルクは約3.5kg−cmを示し一定で
あったので、この時点で反応を終了させた。そして、通
常の操作により払い出しを行い、ポリエステル樹脂A1
を得た。なお、留出液のNMR分析において水以外の成
分は検出されなかった。得られたポリエステル樹脂A1
の物性を表1に示す。
【0075】実施例2〜10 酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、琥珀酸、無水トリメリッ
ト酸を、アルコール成分として、ポリオキシプロピレン
[2.3]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシエチレン[2.2]−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリメチロー
ルプロパンを、連結剤として、ポリオキシエチレン
[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノールを用い
て、実施例1と同一の製造方法によりポリエステル樹脂
A2〜A10を得た。仕込み組成、低分子量ポリエステ
ル架橋体の物性および得られたポリエステル樹脂(A2
〜A10)の物性を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】比較例1 実施例1と同一の構成成分を同量用いて、実施例1と同
様の反応器に一括投入し、窒素ガス雰囲気下で内温22
0℃にて撹拌回転数200r.p.m.で反応を行った。エス
テル化が開始して反応系より水の留出が始まってから、
水の留出が終了するまで、約6時間反応を行った。この
時点での撹拌トルクメーターは0kg−cmを示した。
続いて、反応系内を10torr以下に減圧し、さらに反応
を続けた。減圧開始から約3時間経過した後、反応系の
溶融粘度は徐々に上昇した。この後、撹拌トルクは上昇
し続け、減圧開始から約6時間経過した時点で、撹拌ト
ルクは3.0kg−cmに到達した。この時点で反応系
内を常圧に戻し、撹拌回転数を200r.p.m.に保ち、撹
拌トルクを観察した結果、撹拌トルクはさらに急激に上
昇し続け、約15分後には重合ポリマーはゲル化を起こ
し、通常の払い出しは不可能であった。
【0078】そこで、前記反応工程において、減圧開始
から約6時間経過し、撹拌トルクが3.0kg−cmに
到達した時点で反応系内を常圧に戻して、撹拌回転数を
200r.p.m.に保った状態において、撹拌トルクが3.
6kg−cmとなった時点で反応を終了させた。そし
て、通常の操作により払い出しを行い、ポリエステル樹
脂B1を得た。このポリエステル樹脂は淡黄色の固体で
あった。得られたポリエステル樹脂B1の物性を表2に
示す。
【0079】比較例2 実施例1と同一の構成成分の内、イソフタル酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、ポリオキシエチレン
[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンを温度計、ステンレス製撹拌器、流下式コンデ
ンサーを備えた反応器に入れ、窒素ガス雰囲気下で内温
220℃にて撹拌回転数200r.p.m.で反応を行った。
エステル化が開始し反応系より水の留出が始まってか
ら、水の留出が終了するまで約4時間反応を行った。次
に実施例1に該当する無水トリメリット酸を加えると、
再び反応系より水の留出が始まり、その水の留出が終了
するまで約3時間反応を行った。この時点での撹拌トル
クメーターは0kg−cmを示した。次に、反応系内を
10torr以下に減圧し、さらに反応を続けた。減圧開始
から約2.5時間経過した後、反応系の溶融粘度は徐々
に上昇した。この後、撹拌トルクは上昇し続けたが、減
圧開始から約5時間経過した時点で撹拌トルクは3. 0
kg−cmに到達した。この時点で反応系内を常圧に戻
し、撹拌回転数を200r.p.m.に保ち、撹拌トルクを観
察した結果、撹拌トルクは徐々に上昇し続け、約40分
後にはトルクは約3.8kg−cmを示し、約60分後
にはゲル化に至り通常の払い出しは不可能であった。
【0080】そこで、上記反応工程において、200r.
p.m.の撹拌回転数下でトルクが約3.8kg−cmとな
った時点で反応工程を終了させた。そして、通常の操作
により払い出しを行い、ポリエステル樹脂B2を得た。
このポリエステル樹脂は淡黄色の固体であった。得られ
たポリエステル樹脂B2の物性を表2に示す。
【0081】比較例3 実施例6と同一の構成成分を同量用いて、実施例1と同
様の反応器に一括投入し、窒素ガス雰囲気下で内温22
0℃にて撹拌回転数200r.p.m.で反応を行った。エス
テル化が開始して反応系より水の留出が始まってから、
水の留出が終了するまで、約6時間反応を行った。この
時点での撹拌トルクメーターは0kg−cmを示した。
続いて、反応系内を10torr以下に減圧し、さらに反応
を続けた。減圧開始から約3時間経過した後、反応系の
溶融粘度は徐々に上昇した。この後、撹拌トルクは上昇
し続け、減圧開始から約6時間経過した時点で、撹拌ト
ルクは3.0kg−cmに到達した。この時点で反応系
内を常圧に戻し、撹拌回転数を200r.p.m.に保ち、撹
拌トルクを観察した結果、撹拌トルクはさらに急激に上
昇し続け、約15分後には重合ポリマーはゲル化を起こ
し、通常の払い出しは不可能であった。
【0082】そこで、前記反応工程において、減圧開始
から約6時間経過し、撹拌トルクが3.0kg−cmに
到達した時点で反応系内を常圧に戻して、撹拌回転数を
200r.p.m.に保った状態において、撹拌トルクが3.
6kg−cmとなった時点で反応を終了させた。そし
て、通常の操作により払い出しを行い、ポリエステル樹
脂B3を得た。このポリエステル樹脂は淡黄色の固体で
あった。得られたポリエステル樹脂B3の物性を表2に
示す。
【0083】比較例4 実施例6と同一の構成成分の内、イソフタル酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、ポリオキシエチレン
[2.2]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンを温度計、ステンレス製撹拌器、流下式コンデ
ンサーを備えた反応器に入れ、窒素ガス雰囲気下で内温
220℃にて撹拌回転数200r.p.m.で反応を行った。
エステル化が開始し反応系より水の留出が始まってか
ら、水の留出が終了するまで約4時間反応を行った。次
に実施例6に該当する無水トリメリット酸、トリメチロ
ールプロパンを加えると、再び反応系より水の留出が始
まり、その水の留出が終了するまで約3時間反応を行っ
た。この時点での撹拌トルクメーターは0kg−cmを
示した。次に、反応系内を10torr以下に減圧し、さら
に反応を続けた。減圧開始から約2.5時間経過した
後、反応系の溶融粘度は徐々に上昇した。この後、撹拌
トルクは上昇し続けたが、減圧開始から約5時間経過し
た時点で撹拌トルクは3. 0kg−cmに到達した。こ
の時点で反応系内を常圧に戻し、撹拌回転数を200r.
p.m.に保ち、撹拌トルクを観察した結果、撹拌トルクは
徐々に上昇し続け、約40分後にはトルクは約3.7k
g−cmを示し、約60分後にはゲル化に至り通常の払
い出しは不可能であった。
【0084】そこで、上記反応工程において、200r.
p.m.の撹拌回転数下でトルクが約3.7kg−cmとな
った時点で反応工程を終了させた。そして、通常の操作
により払い出しを行い、ポリエステル樹脂B4を得た。
このポリエステル樹脂は淡黄色の固体であった。得られ
たポリエステル樹脂B4の物性を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】比較例5〜16 酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、琥珀酸、無水トリメリッ
ト酸を、アルコール成分として、ポリオキシプロピレン
[2.3]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシエチレン[2.2]−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエ
チレン[2.0]−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、ポリオキシエチレン[3.3]−2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパ
ンを用いて、実施例1と同一の製造方法によりポリエス
テル樹脂B5〜B16を得た。仕込み組成、低分子量ポ
リエステル架橋体の物性および得られたポリエステル樹
脂(B5〜B16)の物性を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】『トナーの製造』前記実施例および比較例
で得られたポリエステル樹脂A1〜A10およびB1〜
B16を各々用いて、トナーを製造した。すなわち、以
下の原料をスーパーミキサーで混合し、二軸押出機によ
り溶融混練し、冷却した後、ハンマーミルにより粗粉砕
し、さらにジェットミルにより微粉砕し、次いで分級機
により粒径を整え、平均粒径が11μmの粒度のトナー
を得た。
【0089】次いで、得られたトナー4重量部にフェラ
イトキャリア96重量部を加えて現像剤とし、これを用
いてトナー特性の評価を行った。トナー製造時の樹脂の
粉砕性およびトナー特性の評価結果を表4に示す。
【0090】 ポリエステル樹脂 :100部 カーボンブラック(三菱化成工業(株)製 商品名:MAー100):6.5部 クロム含金属染料(オリエント化学工業(株)製 商品名:S−34) :2部 ポリプロピレン(三洋化成工業(株)製 商品名;ビスコール330P):2部
【0091】
【表4】
【0092】表4の結果から理解されるように、実施例
1〜10で得られた樹脂A1〜A10を用いたトナー
は、いずれも、耐ブロッキング性、低温定着性、耐オフ
セット性、耐巻き付き性の点において特に優れたトナー
特性を示すものであり、高速で良好な画像を環境条件に
よらず安定に形成することができた。
【0093】これに対し、比較例1〜4においては、樹
脂製造において架橋反応の制御が実質的に不可能であ
り、また適宜反応を終了させるに際しても所望の架橋度
に再現性よくコントロールすることは極めて困難であっ
た。さらに、比較例1および3で得られた樹脂B1およ
びB3は嵩高い分子構造であることから、樹脂の軟化点
が高くなり、これらを用いたトナーは低温定着性にも劣
るものであった。
【0094】比較例5および11においては、連結剤を
反応させず低分子量ポリエステル架橋体を減圧重合させ
たのみの系であるため、分子量分布においてその大部分
が低分子量体であり、従って、これらを用いたトナーは
低温定着性には優れるものの、粉砕に際しては微粉が生
じ易く、さらに耐ブロッキング性、耐オフセット性およ
び耐巻き付き性においては極めて劣るものであった。
【0095】比較例6および12においては、架橋成分
量が少ないため、低分子量ポリエステル架橋体の分散度
が低くなり、2価アルコールで連結して得られる樹脂B
6およびB12は架橋構造の少ない高分子量体となり、
従って、これを用いたトナーは粉砕性が悪く、さらに軟
化点が高くなることから低温定着性および耐オフセット
性において大きく劣るものとなった。
【0096】比較例7および13においては、架橋成分
量が過多であるため、樹脂B7およびB13の軟化点が
高くなり、これを用いたトナーは粉砕性および低温定着
性が劣るものであった。
【0097】比較例8および14においては、オキシエ
チレン基の短いエーテル化ビスフェノール成分を含有す
るため、得られた樹脂B8およびB14を用いたトナー
は粉砕性および低温定着性に劣るものであった。
【0098】比較例9および15においては、オキシエ
チレン基の長いエーテル化ビスフェノールを含有してい
るため、得られた樹脂B9およびB15を用いたトナー
は低温定着性は良好であるものの、溶融時の粘着性が増
大するため、耐巻き付き性に極めて劣るものであった。
【0099】比較例10および16においては、低分子
量ポリエステル架橋体の水酸基価が高く、かつ連結剤の
量が過多であるため、得られた樹脂B10およびB16
は軟化点が高くなり、これを用いたトナーは粉砕性およ
び低温定着性が低下するものであった。
【0100】
【発明の効果】本発明のトナーバインダー用ポリエステ
ル樹脂は、低分子量ポリエステル架橋体が2価アルコー
ルを介して連結されて構成されていることから、溶融粘
度の上昇および溶融弾性の低下を抑制することができ、
従って、このポリエステル樹脂を用いることにより、耐
オフセット性に優れたトナーを供給することができる。
【0101】さらに、本発明のポリエステル樹脂は、エ
ーテル化ビスフェノールを構成成分として含んでいるこ
とから、耐ブロッキング性を保持しながら、より溶融流
動性を向上させることができ、本発明のポリエステル樹
脂の軟化点が下がることから、トナー特性においては、
優れた低温定着性を発揮することができる。
【0102】また、本発明のポリエステル樹脂は、分子
間の凝集力が大きいため、トナーの長期ランニングにお
いても粒子の崩壊が少なく、粒径が保持される。よって
トナー特性においては、耐久性に優れるものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 智子 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 佐々木 直美 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 (72)発明者 奥谷 晴夫 静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社 巴川製紙所技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基価が10mgKOH/g以下、
    数平均分子量(Mn)が2000以下、数平均分子量
    (Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/M
    n)が2.5以上である低分子量ポリエステル架橋体の
    少なくとも一部が、連結剤として配合された2価アルコ
    ールで連結されてなることを特徴とするトナーバインダ
    ー用ポリエステル樹脂。
  2. 【請求項2】 低分子量ポリエステル架橋体が、 (a)式(1)で表されるエーテル化ビスフェノール
    と、 (b)2価カルボン酸および/又は2価カルボン酸の酸
    無水物および/又は2価カルボン酸の低級アルキルエス
    テルと、 全アルコール成分又は全酸成分に対して6〜40モル%
    の、(c)又は(d)のいずれか一方と、 からなる共重合体であることを特徴とする請求項1記載
    のトナーバインダー用ポリエステル樹脂。 【化1】 ……(1) 但し、R1 =エチレン基又はプロピレン基、R2 =エチ
    レン基又はプロピレン基である。そして、mおよびnは
    各々整数であり、しかもmとnとの和の平均値が2.1
    〜3.0である。また、(c)は、3価以上の多価アル
    コールであり、(d)は、3価以上の多価カルボン酸お
    よび/又は3価以上の多価カルボン酸の酸無水物および
    /又は3価以上の多価カルボン酸の低級アルキルエステ
    ルである。
  3. 【請求項3】 低分子量ポリエステル架橋体が、 (a)式(1)で表されるエーテル化ビスフェノール
    と、 (b)2価カルボン酸および/又は2価カルボン酸の酸
    無水物および/又は2価カルボン酸の低級アルキルエス
    テルと、 全アルコール成分に対して3〜20モル%の、(c)3
    価以上の多価アルコールと、 全酸成分に対して3〜20モル%の、(d)3価以上の
    多価カルボン酸および/又は3価以上の多価カルボン酸
    の酸無水物および/又は3価以上の多価カルボン酸の低
    級アルキルエステルと、 からなる共重合体であることを特徴とする請求項1記載
    のトナーバインダー用ポリエステル樹脂。 【化2】 ……(1) 但し、R1 =エチレン基又はプロピレン基、R2 =エチ
    レン基又はプロピレン基である。そして、mおよびnは
    各々整数であり、しかもmとnとの和の平均値が2.1
    〜3.0である。
  4. 【請求項4】 水酸基価が5mgKOH/g以下、数
    平均分子量(Mn)が5000〜15000の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記
    載のトナーバインダー用ポリエステル樹脂。
  5. 【請求項5】 ガラス転移温度が55〜75℃の範
    囲、軟化点が80〜155℃の範囲であることを特徴と
    する請求項1から4のいずれか1項に記載のトナーバイ
    ンダー用ポリエステル樹脂。
  6. 【請求項6】 低分子量ポリエステル架橋体を連結す
    る2価アルコールの配合割合が、低分子量ポリエステル
    架橋体の全構成成分100モル部に対し、5〜30モル
    部であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1
    項に記載のトナーバインダー用ポリエステル樹脂。
  7. 【請求項7】 (a)式(1)で表されるエーテル化
    ビスフェノールと、 (b)2価カルボン酸および/又は2価カルボン酸の酸
    無水物および/又は2価カルボン酸の低級アルキルエス
    テルと、 全アルコール成分又は全酸成分に対して6〜40モル%
    の、(c)又は(d)のいずれか一方とを、 180℃以上の温度条件下でエステル化反応またはエス
    テル交換反応させて、水酸基価が10mgKOH/g以
    下、数平均分子量(Mn)が2000以下、数平均分子
    量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/M
    n)が2.5以上である低分子量ポリエステル架橋体を
    得、その後、前記低分子量ポリエステル架橋体と2価ア
    ルコールとを180℃以上の温度条件下で反応させるこ
    とを特徴とするトナーバインダー用ポリエステル樹脂の
    製造方法。 【化3】 ……(1) 但し、R1 =エチレン基又はプロピレン基、R2 =エチ
    レン基又はプロピレン基である。そして、mおよびnは
    各々整数であり、しかもmとnとの和の平均値が2.1
    〜3.0である。また、(c)は、3価以上の多価アル
    コールであり、(d)は、3価以上の多価カルボン酸お
    よび/又は3価以上の多価カルボン酸の酸無水物および
    /又は3価以上の多価カルボン酸の低級アルキルエステ
    ルである。
  8. 【請求項8】 (a)式(1)で表されるエーテル化
    ビスフェノールと、 (b)2価カルボン酸および/又は2価カルボン酸の酸
    無水物および/又は2価カルボン酸の低級アルキルエス
    テルと、 全アルコール成分に対して3〜20モル%の、(c)3
    価以上の多価アルコールと、 全酸成分に対して3〜20モル%の、(d)3価以上の
    多価カルボン酸および/又は3価以上の多価カルボン酸
    の酸無水物および/又は3価以上の多価カルボン酸の低
    級アルキルエステルとを、 180℃以上の温度条件下でエステル化反応またはエス
    テル交換反応させて、水酸基価が10mgKOH/g以
    下、数平均分子量(Mn)が2000以下、数平均分子
    量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/M
    n)が2.5以上である低分子量ポリエステル架橋体を
    得、その後、前記低分子量ポリエステル架橋体と2価ア
    ルコールとを180℃以上の温度条件下で反応させるこ
    とを特徴とするトナーバインダー用ポリエステル樹脂の
    製造方法。 【化4】 ……(1) 但し、R1 =エチレン基又はプロピレン基、R2 =エチ
    レン基又はプロピレン基である。そして、mおよびnは
    各々整数であり、しかもmとnとの和の平均値が2.1
    〜3.0である。
  9. 【請求項9】 請求項1から6までのいずれか1項に
    記載のトナーバインダー用ポリエステル樹脂に着色剤が
    配合されてなることを特徴とするトナー。
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