JPH09141149A - 自動塗装機の制御方法および制御装置 - Google Patents

自動塗装機の制御方法および制御装置

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JPH09141149A
JPH09141149A JP7300914A JP30091495A JPH09141149A JP H09141149 A JPH09141149 A JP H09141149A JP 7300914 A JP7300914 A JP 7300914A JP 30091495 A JP30091495 A JP 30091495A JP H09141149 A JPH09141149 A JP H09141149A
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田 清 吉
Yutaka Suzuki
木 裕 鈴
Masami Watanabe
辺 正 実 渡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フィードバック制御を行なう自動塗装機の制御
において、塗装面の品質が不良である場合、不良となっ
た品質要因が不明であるために塗装状態に合った正確な
フィードバック制御を行なうことが困難であった。 【解決手段】 空調された塗装ブース内に搬入した被塗
装物を自動塗装機により塗装するに際し、自動塗装機に
より所定の塗装条件下で塗装された被塗装物の塗装面の
塗装品質とこれを左右する品質要因を検知し、塗装品質
の計測値と予め設定された品質基準値の差、および品質
要因の計測値と予め設定された要因基準値の差に基づい
て得た補正の指令により自動塗装機を制御する自動塗装
機の制御方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗装物を自動的
に塗装するのに用いられる自動塗装機の制御方法および
制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来において、例えば自動車の車体塗装
では、自動塗装機により塗装を行い、塗装後に長時間を
かけて塗料を乾燥させたのち、乾燥後の塗装の鮮映性
(平滑性、肉持ち性、光沢度)を検査して塗装品質を評
価することが行われている。そして、自動塗装機の制御
としては、図20に示すように、ブロック101に示す
自動車ボディ等である被塗装物の鮮映性(平滑性)をブ
ロック102における平滑性計測手段で評価した後、ブ
ロック103における塗装品質判定手段において鮮映値
と所定の基準値とを比較し、鮮映値と基準値がずれてい
る場合には、ブロック104における塗装条件制御手段
により、鮮映性が基準値となるようにブロック105の
自動塗装機の塗装制御条件(吐出量など)を補正するこ
ととなっていた。
【0003】この場合、被塗装物の塗装を行う塗装ブー
スの空調精度がある程度大まかであっても、被塗装物の
塗装面の鮮映性(平滑性)の品質を一定に維持すること
ができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、被
塗装物の塗装品質の良否を決める品質要因としては、塗
料吹付け後の塗料の非揮発性成分(以下、「塗着N.
V」とする)または塗着粘度、塗膜厚、塗粒子の微粒化
度、さらに各種塗装ガンの吹付け条件や塗装の焼き付け
条件等が挙げられる。そして、これらの品質要因のう
ち、塗着N.V(塗着粘度)、塗膜厚および塗粒子の微
粒化度は重要な品質要因であり、これらの品質要因をで
きるだけ塗布直後に精度良く定量的に把握する必要があ
り、とくに、自動化ラインで次々に塗装を行うような場
合には、塗装状態の良否をできるだけ精度良く計測し、
速やかに塗装機にフィードバックして次の塗装条件を改
善し、常に最良の塗装状態に保つ必要がある。
【0005】しかしながら、上記したような従来の自動
塗装機の制御にあっては、被塗装物の塗装品質として鮮
映性(平滑性)のみを計測し、その測定した鮮映値が所
定の基準値からずれている場合に、鮮映性が基準値とな
るように自動塗装機の塗装制御条件を補正することとな
っていたため、 (1)被塗装物の塗装品質の鮮映性(平滑性)が不良の
場合、その原因が塗着N.Vの高過ぎによるものなのか
塗膜厚の薄過ぎによるものなのか等が不明であって、不
良の塗装状態に合わせた正確なフィードバック制御をす
ることができない。
【0006】(2)塗装品質の鮮映性(平滑性)が良好
の場合でも塗膜の厚すぎによる過剰品質、塗着N.Vの
低過ぎによる塗膜の垂れ、微粒化度の小さすぎによる塗
着効率の低下等が生じていることがあり、この点につい
ても現状では塗装状態に合わせた正確なフィードバック
制御をすることができない。
【0007】という問題があり、これらの問題点を解決
することが課題であった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のごとき従来の課題に着
目して成されたもので、塗装品質(鮮映性)および品質
要因(塗着N.V、微粒化度、塗膜厚)を計測すること
により、被塗装物の塗装状態に合わせた正確なフィード
バック制御をすることができ、安定した塗装品質の確保
および塗着効率の向上を実現することができる自動塗装
機の制御方法および制御装置を提供することを目的とし
ている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる自動塗装
機の制御方法は、空調された塗装ブース内に搬入した被
塗装物を自動塗装機により塗装するに際し、自動塗装機
により所定の塗装条件下で塗装された被塗装物の塗装面
の塗装品質とこれを左右する品質要因を検知し、塗装品
質の計測値と予め設定された品質基準値の差、および品
質要因の計測値と予め設定された要因基準値の差に基づ
いて得た補正の指令により自動塗装機を制御する構成と
しており、上記の構成を課題を解決するための手段とし
ている。
【0010】本発明に係わる自動塗装機の制御装置は、
図1に基づいて説明すると、空調された塗装ブース内に
搬入した被塗装物を自動塗装機により塗装する際の制御
装置において、自動塗装機(ブロック5)により所定の
塗装条件下で塗装された被塗装物(ブロック1)の塗装
面の塗装品質とこれを左右する品質要因を検知する塗装
状態計測手段(ブロック2)と、塗装状態計測手段によ
って検知された塗装品質の計測値を予め設定された品質
基準値と比較し、検知された計測値が品質基準値とずれ
ている場合に、その計測値と品質基準値の差、および塗
装状態計測手段によって検知された品質要因の計測値と
予め設定された要因基準値の差に基づいて塗装条件の補
正を指令する塗装条件判定手段(ブロック3)と、塗装
条件判定手段からの補正指令に基づいて塗装面の塗装品
質が基準となるように自動塗装機を制御する塗装条件制
御手段(ブロック4)を備えた構成としており、上記の
構成を課題を解決するための手段としている。
【0011】また、本発明に係わる自動塗装機の制御装
置は、請求項3として、請求項2に記載の塗装状態計測
手段が、塗装品質である塗装表面の鮮映性と、品質要因
である塗膜の非揮発性成分、付着粒子の微粒化度および
塗膜厚を計測する手段である構成とし、請求項4とし
て、請求項2および3に記載の塗装状態計測手段が、塗
料の非揮発性成分等の塗料条件を入力する塗料条件入力
手段と、塗装ガン吹き付け時の塗料の微粒化演算手段
と、塗料のシンナー蒸発量を入力するシンナー蒸発量入
力手段と、塗料条件入力手段からの非揮発性成分、微粒
化演算手段からの微粒化度、およびシンナー蒸発量入力
手段からのシンナー蒸発量に基づいて自動塗装機により
所定の塗装条件下で塗装された被塗装物の塗布直後の非
揮発性成分を算出する第1の塗着N.V演算手段1と、
第1の塗着N.V演算手段で算出された塗布直後の塗膜
面の非揮発性成分と塗料条件入力手段からの塗料種情報
に基づいて塗布直後の塗膜面の塗料密度を算出する塗料
密度演算手段と、測定までの時間を入力する測定時間入
力手段と、塗膜面の膜厚を入力する膜厚入力手段と、膜
厚入力手段からの膜厚情報、シンナー蒸発量入力手段か
らのシンナー蒸発量および測定時間入力手段からの測定
時間情報に基づいて塗布後の塗膜面の非揮発性成分を算
出する第2の塗着N.V演算手段を備えている構成と
し、請求項5として、請求項3に記載の微粒化演算手段
が、塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮
像手段と、撮像手段からの画像情報を画像処理する画像
処理手段と、画像処理手段で処理された画像処理データ
に基づいて塗装表面の凹凸波形の波長分布を算出する波
長分布演算手段を備え、波長分布演算手段で算出された
波長分布に基づいて塗料粒子の微粒化度を算出する手段
である構成とし、請求項6として、請求項2および3に
記載の塗装状態計測手段が、塗料の粘度等を入力する塗
装条件入力手段と、塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表
面を撮像する撮像手段と、撮像手段からの画像情報を画
像処理する画像処理手段と、画像処理手段で処理された
画像処理データに基づいて塗装表面の粗さを算出する表
面粗さ演算手段を備え、表面粗さ演算手段で演算された
粗さ度と粗さ度の時間変化量と波長分布演算手段で算出
された波長と塗装条件入力手段からの塗装条件から塗装
膜厚を算出する手段である構成とし、請求項7として、
請求項2および3に記載の塗装状態計測手段が、塗料を
塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手段と、
撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理手段
と、画像処理手段で処理された画像処理データに基づい
て塗装表面の粗さを算出する表面粗さ演算手段を備え、
表面粗さ演算手段で算出された粗さ度から塗膜表面の鮮
映性を算出する手段である構成とし、請求項8として、
請求項4に記載の塗着N.V演算手段が、塗料条件入力
手段の塗料の非揮発性成分とシンナー蒸発量入力手段の
塗料のシンナー蒸発量と微粒化演算手段の塗料粒子径か
ら求めた塗料粒子の表面積の関係から塗布直後の塗膜面
の非揮発性成分を算出する手段である構成とし、請求項
9として、請求項5に記載の波長分布演算手段が、塗装
表面の凹凸波形のパワースペクトルにおける長波長領域
のピーク波長を求める手段であり、微粒化演算手段が、
長波長領域のピーク波長の値と予め定めた塗料粒子径と
の関係から塗料粒子径を算出してそれを微粒化度とする
手段である構成とし、請求項10として、請求項2およ
び3に記載の塗装状態計測手段が、塗装品質である塗装
表面の鮮映性と、これを左右する品質要因である塗膜の
非揮発性成分と付着粒子の微粒化度と塗膜厚等を同一の
撮像手段および同一の画像処理手段で計測する手段であ
る構成とし、請求項11として、請求項2〜4,5,6
および10に記載の塗装状態計測手段を複数備え、これ
らの塗装状態計測手段を被塗装物の塗装面の複数箇所に
配置した構成とし、請求項12として、塗装中に被塗装
物を移動させるコンベアと、コンベアスピード制御手段
を備え、塗装品質の計測値と品質基準値の差および塗膜
厚の計測値と設定した膜厚基準値の差に基づいてコンベ
アスピードを制御する構成としており、上記の構成を課
題を解決するための手段としている。
【0012】
【発明の作用】本発明に係わる自動塗装機の制御方法お
よび制御装置では、塗装品質および品質要因を計測し、
これらの計測値に基づいて自動塗装機のフィードバック
制御を行うことにより、塗装品質が不良となった品質要
因を把握して、その品質要因を解消する正確なフィード
バック制御を行い、これにより塗装品質を高めることと
なる。
【0013】
【実施例】図2は本発明の第1の実施例を示す図であ
り、本発明を車体の自動塗装ラインに適用した場合を示
すブロック図である。
【0014】被塗装物1は、上塗り塗装工程における自
動車のボディであって、塗装ライン上を所定の速度で移
動しながら塗装される。自動塗装機(塗装ガン)5の制
御装置は、塗布直後の被塗装物1の塗装状態すなわち塗
装品質(鮮映性)とこれを左右する品質要因(塗着N.
V、微粒化度、塗膜厚)を同時に計測する塗装状態計測
手段1と、塗装状態計測手段1からの鮮映性の計測値を
予め設定された品質基準値と比較し、計測値が品質基準
値とずれている場合は、同基準値との差、および塗装状
態計測手段により同時に検知された品質要因(塗着N.
V、微粒化度、塗膜厚)の計測値と所定の要因基準値と
の差に見合った塗装条件の補正を指令する塗装条件判定
手段2と、塗装条件判定手段2からの補正指令に基づい
て自動塗装機5の塗装条件を変更する塗装条件制御手段
4を備えている。自動塗装機5は、塗装条件制御手段4
からの制御信号に基づき、次の被塗装物1への塗装を行
う。
【0015】上記の制御装置における塗装状態計測手段
2は、図3に示すように、被塗装物1の塗装表面に対す
る撮像手段6、画像処理手段7、塗装表面の凹凸波形の
パワースペクトルにおける長波長領域のピーク波長を求
める波長演算手段8、波長平均処理手段9、塗料吹き付
け時の微粒化度を算出する微粒化演算手段10、第1の
塗着N.V演算手段11、塗布直後の塗膜面の塗料密度
を算出する塗料密度演算手段12、第2の塗着N.V演
算手段13、塗装条件入力手段15、塗料の非揮発性成
分等を入力する塗料条件入力手段16、シンナー蒸発量
入力手段17、測定までの時間を入力する計測時間入力
手段18、表面粗さ演算手段19、膜厚演算手段20、
および鮮映性演算手段12を備えている。
【0016】次に、塗装状態計測手段2の塗着N.V演
算手段11,13における塗膜面の塗着N.Vの演算原
理とシンナー蒸発量入力手段17におけるシンナー蒸発
量演算とについて説明する。
【0017】図4は、塗装ガン(自動塗装機5)から噴
射された塗料粒子が被塗装面に付着するまでの状況を示
す図である。塗料粒子からは飛行中および付着後に溶剤
(揮発性成分)が蒸発し、塗膜が完全に乾燥した状態で
は非揮発性成分のみが残ることになる。なお、塗料が塗
装ガンから噴射された時点から被塗装物1に付着するま
での時間は、塗装ガンと被塗装体との距離によって変わ
るが、一般に、0.1秒〜0.5秒である。
【0018】上記のごとき状況において、付着直後の塗
着N.VをXとすれば、X1は下記数式1で与えられ
る。
【0019】
【数式1】 また、上記のシンナー蒸発速度Vは、下記数式2で与え
られる。
【0020】
【数式2】 また、塗料粒子の質量Mは、下記数式3で与えられ
る。
【0021】
【数式3】 また、塗料粒子表面積Sは、下記数式4で与えられ
る。
【0022】
【数式4】 したがって、上記の数式3、数式4を数式1に代入する
ことにより、塗着N.V=X(%)を表す数式として
下記数式5が得られる。
【0023】
【数式5】 単位面積当たりのシンナー蒸発量は、蒸発速度V×時間
tで示される。このシンナー蒸発量Vtを上記数式1と
数式5から求めると、下記数式6に示すようになる。
【0024】
【数式6】 なお、シンナー蒸発量Vtは上記数式2に示すように、
塗装前の塗料のN.V(塗料濃度)Xとシンナー混合
比Cと温度Tとの関数であるから、それらの諸量との関
係を予め実験で求めて記憶しておき、これを読み出して
用いればよいが、上記数式6から求めてもよい。
【0025】上記数式5に示すように、塗装条件が一定
であれば、付着後の塗着N.Vは、シンナー蒸発量Vt
と塗料粒子径Rと塗料密度ρから演算で求めることが
できる。図3の実施例においては、シンナー蒸発量Vt
はシンナー蒸発量入力手段17から入力した値を用い、
塗料粒子径Rは微粒化演算手段10で求めた値を用い、
塗料密度ρは塗装条件入力手段15から入力した値を
用いる。
【0026】次に、撮像手段6について説明する。図5
は、撮像手段6の一例を示す断面図である。
【0027】撮像手段6の基本的構成は、光源31、明
暗パターン板32、反射鏡33、レンズ34、CDDカ
メラ35から成る。上記の明暗パターン板32は、所定
間隔(例えば1mm間隔)で直線状のスリットが設けら
れた不透明(または透明板に所定間隔で不透明なストラ
イブパターンを印刷したもの)である。そして光源31
空の平行光線を上記明暗パターン板32と反射鏡33と
レンズ34とを介して塗装面の斜め方向から照射するこ
とにより、被塗装物1上にスリットに対応した縞模様を
つくる。この縞模様は、被塗装体上の凹凸に応じて歪ん
だ波形(例えば図6のごとき)となる。その反射光をC
CDカメラ35で撮像し、上記の歪んだ縞模様、すなわ
ち表面粗さの情報を入力するようになっている。
【0028】上記のごとき縞模様の画像情報を画像処理
し、パワースペクトル周波数分析(例えば高速フーリエ
変換処理:FFT)を行なってパワースペクトルPSを
求める。
【0029】図7は、上記パワースペクトルPSの周波
数特性図であり、縦軸はパワースペクトルPS、横軸は
周波数f(波長λの逆数、f=1/λ)である。
【0030】図7において、第1のピーク波形は、前
記スリットに対応した基本縞による基本波形のパワース
ペクトル、第2のピーク波形は、塗装表面の凹凸波形
の長波長領域(10〜1mm程度)に対応したパワース
ペクトル、、第3のピーク波形は、凹凸波形の中波長
領域(1〜0.1mm程度)に対応したパワースペクト
ル、第4のピーク波形は、凹凸波形の短波長領域
(0.1mm以下)に対応したパワースペクトルを示
す。
【0031】上記のパワースペクトル波形において、凹
凸波形の長波形領域のピーク波長、すなわち第2のピー
ク波形のピーク値に対応した波長λpは、後記のごと
く微粒化度と相関性があり、それによって微粒化度を測
定することができる。
【0032】図3の実施例においては、画像処理手段7
と波長演算手段8とで上記のごとき画像処理とパワース
ペクトルの演算を行なっている。
【0033】次に、波長平均処理手段9では、次のごと
き処理を行なう。
【0034】一般に、自動車の車体塗装のような塗装自
動化ラインでは、上塗り、中塗り、或いは塗装色の違い
等のように、色々な塗料を用いるため、その塗料の種類
に応じた条件を入力する必要がある。また、車体のよう
な大型の被塗装体の場合には、吹き付け面積が大きいた
め、塗装部位によっては塗装条件が必ずしも均一になら
ない場合がある。したがって精度のよい計測を行なうた
めには、塗装表面の複数個所を撮像し、それらの各部位
におけるピーク波長λpの平均値を用いて微粒化演算や
膜厚演算を行なうことが望ましい。
【0035】図3の実施例は、上記の理由により、撮像
手段6では塗装面の複数個所の撮像を行なってその画像
情報を順次演算処理し、求められた複数のピーク波長λ
pを波長平均処理手段9で平均化した値を微粒化演算手
段10へ送る。また、塗装条件入力手段15を設けて塗
装の種類等に応じた情報を入力し、微粒化演算手段10
では、上記の平均化したピーク波長λpの値と塗装条件
とに応じて微粒化度を演算するように構成している。
【0036】次に、微粒化演算手段10における微粒化
度計測の原理について説明する。
【0037】先ず、図8に基づいて、塗装時における塗
装面への塗料粒子の付着と塗装膜面の形成過程について
説明する。
【0038】図8(a)に示すように、塗装ガンから塗
装面へ向けて微粒化した塗料粒子を吹き付ける。この
際、塗料粒子の平均粒子径は、基本的は、塗装条件であ
る塗料速度(下記、、)と空気速度(下記)と
塗料物性(下記)によって決まる。ただし、上記の
〜は次の通りである。
【0039】 塗装ガンの吐出量 塗装ガンのベル回転数 印加電圧 エア圧 塗料物性(粘度、表面張力、密度) なお、ベル回転数とは塗料を微粒化する回転体の回転数
であり、印加電圧とは塗料粒子の静電気を付加するため
に印加する静電圧(50kV程度)であり、エア圧と
は、塗料粒子が周辺に飛散しないように周囲に気流の壁
を作るための気圧である。
【0040】上記のようにして吹き付けられた塗料粒子
は、塗装面に衝突し、つぶれた形で付着する。
【0041】次に、図8(b)に示すように、塗膜形状
の初期には、付着した小さな塗料粒子が大きな塗料粒子
に結合され、より大きな粒子を形成する。そして、さら
に粒子の結合が進み、表面張力と境界張力とによって初
期の塗膜面が形成される。
【0042】上記のように粒子の付着と結合によって塗
膜が形成されていくため、初期の塗膜表面状況は大きな
塗装粒子の粒子径r、粒子衝突速度vx、塗料物性(表
面張力γ、粘度η)等に依存する。例えば、上塗り塗料
の場合、初期塗膜表面の凹凸の高さは数〜数十μm程度
であり、また、凹凸の波長分布は3〜6mm程度の長波
長領域が支配的であることが確認された。そして上記の
長波長領域のピーク波長λと大きな塗料粒子の粒子径r
とには相関性があることが実験によって確認された。
【0043】次に、図8(c)に示すように、上記の初
期塗膜形成後の塗膜表面は、レベリング力(表面張力γ
と重量gとの合成力)によって次第に平坦化して行く。
この平坦化速度は上記のレベリング力と塗料物性(表面
張力γ、粘度η)および膜厚hによって決定される。例
えば、上塗り塗料の場合、平坦化速度は時定数で数十秒
〜数百秒であることが確認されている。
【0044】次に、塗料粒子径と塗膜面の凹凸との関係
について図9〜図12に基づいて詳細に説明する。
【0045】図9に示すように、塗装ガンから吹き付け
られた塗料粒子の粒子径をrとし、それが付着した付着
粒子の幅をλ/2、厚さ(ピーク値)をhとすれば、波
長λの凹凸を持つ塗膜面が形成される。なお、上記付着
粒子の幅λ/2の波長λとの関係は、実験的に求められ
たものであり、ほぼこの程度の値になることが確認され
ている。
【0046】上記の場合における塗料粒子径rは、下記
数式7で示される。
【0047】
【数式7】 上記の理論式をグラフに示すと、図10の破線で示すご
とき曲線となる。しかし、実際には、付着粒子の結合が
あるため、図10の実線で示すような特性となる。この
実験で求めた特性を数式で示すと、下記数式8のように
なる。
【0048】
【数式8】 上記のごとき実験で求めた凹凸のピーク波長λpと塗料
粒子径rとの関係を、付着粒子の結合を考慮して解析す
る。
【0049】まず、図11に示すように、付着粒子径R
は、塗布時間が大きくなるに従って順次大きくなる。こ
の関係を数式で示すと下記数式9のように成る。
【0050】
【数式9】 なお、図11において、塗布時間とは1ケ所に塗布する
持続時間であり、初期粒子径とは付着前の塗料粒子径で
あり、付着粒子径とは最初に付着したときの粒子径であ
る。この付着粒子径Rは塗布時間が長くなるに従って順
次塗布される粒子が係合するので次第に大きくなる。
【0051】また、図12は、塗布時間と塗膜面の凹凸
波長との関係を、実測値(破線)と周波数解析によるパ
ワースペクトルから求めた結果とについて比較した特性
図である。同図12から判るように、パワースペクトル
から求めた値は実測値によく一致している。したがって
パワースペクトルから求めた凹凸波長(前記長波長のピ
ーク波長λp)を用いて付着粒子径Rを求めることがで
きる。さらに、自動塗装機においては、塗布時間は一定
であるから、下記数式10によって塗料粒子径rも求め
ることができる。
【0052】
【数式10】 上記のごとき考察により、基本的には前記数式8によ
り、パワースペクトルから求めた凹凸の長波長領域のピ
ーク波長λpを用いて、塗料粒子径rを求めることがで
きる。具体的には、実験で前記図10の特性を求め、そ
れから数式8の各係数ks、a,βを予め求めておけ
ば、撮像画像から求めたピーク波長λpを用いて塗料粒
子径rを求めることができる。
【0053】なお、塗料粒子の粒子径rは塗料の微粒化
の程度に対応しているから、塗料粒子の粒子径rをその
まま用いて微粒化度を表してもよいし、或いはrの逆
数、もしくは基準値との百分率などを用いて微粒化度を
表すこともできる。
【0054】次に、表面粗さ演算手段19と膜厚演算手
段20における膜厚演算について説明する。
【0055】図13は、塗装後の塗膜の断面図である。
塗装直後には、(a)に示すように、塗装表面は初期の
付着粒子の結合によって凹凸状態になっている。そして
時間の経過と共に、(b)に示すように、レベリング力
によって次第に平滑化され、最終的には、(c)に示す
ように、平滑化状態となる。本実施例においては、この
ような平滑化減少に着目し、ウエット状態における塗装
表面の凹凸状態を測定し、それによって平滑化後、或い
は乾燥後の塗装膜厚を算出するものである。
【0056】上記のごときウエット状態における凹凸状
態を測定するには、光干渉式表面粗さ計など種々の方法
(例えば「機械工学便覧 日本機械学会1989年9月
30日 新版3刷発行 B2編 207頁〜208頁」
に記載)があるが、ここでは撮像手段6で塗装表面を撮
像し、その情報を画像処理する方法について説明する。
【0057】まず、パワースペクトル積分値Pによる平
滑化特性を説明すると、表面の凹凸(ピーク・ツウ・ピ
ーク値)の面積平均値に相当する表面粗さRとパワー
スペクトル積分値Pとは、図14に示すような関係にあ
り、下記数式11、数式12に示す関係がある。
【0058】
【数式11】
【0059】
【数式12】 ただし、上式において、Qは粗さ補正値、kは粗さ変換
係数である。
【0060】パワースペクトル解析値による平均化理論
式の導出では、まず、ウエット塗膜平均化理論式(近似
式)として、表面粗さ度Rは下記数式13で表され
る。
【0061】
【数式13】 ただし、Ra0はRの初期値(時点0すなわち塗装直
後の値)、tは塗装後の経過時間である。また、τは粘
性流体の基本式から導出された時定数であり、後記数式
18に示すごときものである。
【0062】上記数式12を数式13に代入すると、下
記数式14が得られる。
【0063】
【数式14】 ただし、PはPの初期値(時点0における値)であ
り、QはQの初期値である。
【0064】上記数式14において、P、Pをそれぞ
れの補正値Q、Qを含んだ値として、(P−Q
→P、(P−Q)→Pと示せば、数式14は下記数式
15のように表せる。
【0065】
【数式15】 また、時定数τは下記数式16で示される。
【0066】
【数式16】 ただし、ηは塗料の粘度、λは前記の長波長領域のピー
ク波長、γは塗膜の表面張力、hはウエット状態におけ
る膜厚(撮像部分の平均値)である。
【0067】以上から、パワースペクトル解析値による
塗装膜厚hは、下記数式17で示すようになる。
【0068】
【数式17】 ただし、Pは時点tにおけるパワースペクトル積分
値Pの値、Pは時点t(ただし−<t)におけ
るPの値である。なお、τ´は下記数式18で示され
る。
【0069】
【数式18】 ただし、i=1,2であり、η(ti)は塗料の粘度が
塗装後の経過時間の関数であることを示す。すなわち、
塗装条件入力手段15から入力するのは、塗装前におけ
る塗料の粘度ηであるが、塗装後の塗着粘度は、塗装後
の経過時間に応じて変化する値η(t)となる。この
値は、塗料組成(塗料内の揮発成分の割合等)や風速な
どによって定まる値である。
【0070】上記数式17から判るように、塗料の粘度
η、塗膜の表面張力γ、凹凸波形の長波長領域のピーク
波長λ、塗装後の2つの時点t、tにおけるパワー
スペクトル積分値Pの値から、ウエット状態における膜
厚hを求めることができる。上記の各数値のうち、塗料
の粘度ηと塗膜の表面張力γは、塗料の特性によって定
まる値であるから、予め判っている値を入力し、長波長
領域のピーク波長λとパワースペクトル積分値Pの値
は、前記画像情報を処理した値を用いる。
【0071】図15は、上記数式17を用いた平滑化理
論値と測定値を比較したウエット平滑化特性(パワース
ペクトル積分値P)を示す特性図である。図15におい
て、横軸は塗装後の経過時間、縦軸はパワースペクトル
積分値Pである。
【0072】上記の測定は、塗布直後の画像を撮像手段
6で撮影し、パワースペクトル解析を行ったものであ
る。図15から、測定値は理論値とほぼ一致した平滑化
特性となっていることがわかる。
【0073】また、表1は、膜厚60μmと54μmの
2つのサンプルに対して、上記数式17の推定式を用い
て膜厚hを計測した結果を示す表である。
【0074】表1に示すように、数μmの精度で計測可
能であることが判る。
【0075】
【表1】
【0076】図3の実施例においては、撮像手段6、加
増処理手段7、波長演算手段8、表面粗さ演算手段1
9、膜厚演算手段20において、上記のごとき処理を行
ない、撮像個所の膜厚hを求める。
【0077】また、前記数式17においては、塗装後の
2つの時点tとtにおける2つの値P、Pを用
い、粗さ情報の時間変化量を用いて演算している。その
ため、塗装後の2つの時点で同一個所を撮像する必要が
ある。このためには、塗装ライン上の車体の移動に合わ
せて撮像手段6を移動させる必要があるので、装置が複
雑になる。それを避けるためには、次のような方法があ
る。すなわち、被塗装体である車体の他に、テストピー
スを用意して被塗装体と同じ条件で塗装を行ない、時点
(例えばt=10秒、t<t)における値P
は、テストピースの画像情報を処理して求めた値を用
いるようにする。このようにすれば、撮像手段6は時点
(例えば塗装1〜2分後)において1回のみの撮像
を行なえばよい。
【0078】次に、塗装条件判定手段3の作用を図17
に基づいて説明する。
【0079】塗装条件判定手段3は、ステップS1にお
いて、塗装品質が不良すなわち平滑性Hの測定値が下限
値(Hmin)以下(NG)の場合には、ステップS2
において品質補正係数ΔH=1としたのち、ステップS
3において、品質要因の微粒化度Rを上下限の設定管理
幅(Rmax,Rmin)と比較し、微粒化度Rが上下
限の設定管理幅以外(NG)であれば、ステップS4に
おいて、所定値Rとの差に見合ったΔr=Kr(R−
)を塗装機への回転数補正値とし、その補正値を塗
装条件制御手段4に送る。また、ステップS5におい
て、塗膜厚hが上下限の設定管理幅以外(NG)であれ
ば、ステップS6において、所定値hとの差に見合っ
たΔT=Kt(h−h)を自動塗装機5への吐出量補
正値とし、さらに、ステップS7において、塗着N.V
(N)が上下限の設定管理幅以外(NG)であれば、ス
テップS8において、所定値Nとの差に見合ったΔC
=Kc(N−N)を塗料シンナー条件の補正値とす
る。
【0080】次に、塗装品質が良すなわち平滑性Hの測
定値が下限値(Hmin)以上(OK)の場合には、ス
テップS9において品質補正係数ΔH=H−Hとした
のち、ステップS10において品質要因の微粒化度Rが
下限の設定値(Rmin)以下(NG)であれば、微粒
化度が低く塗着効率低下と判断して、先のステップS1
4において、平滑性Hと所定値Hとの差(ΔH=H−
)と微粒化度Rと所定値Rとの差に見合ったΔr
=ΔH×Kr(R−R)を塗装機への回転補正値と
し、その補正値を塗装条件制御手段4に送る。
【0081】また、ステップS11において、塗膜厚h
を設定値(h)と比較し設定値以上(NG)であれ
ば、塗装の厚塗り状態と判断し、ステップS6において
平滑性Hと所定値Hとの差(ΔH=H−H)と塗膜
厚hと所定値Rとの差の見合ったΔT=ΔH×Kt
(h−h)を自動塗装機5への吐出量補正値とし、さ
らに、ステップS12において、塗着N.V(N)が下
限の設定値(Nmin)以下(NG)であれば垂れの発
生可能性有りと判断し、ステップS8において、平滑性
Hと所定値Hとの差(ΔH=H−H)と塗着N.V
(N)と所定値Nとの差に見合ったΔC=ΔH×Kc
(N−N)を塗料シンナー条件の補正値とする。この
ように塗装品質(平滑性)が良好な場合でも、塗着N.
V等の塗装状態計測値と各所定値との比較により最適な
塗装条件の指示を塗装条件制御手段4へ送ることができ
る。
【0082】なお、各比較ステップにおいて計測値が良
好(OK)であると判断したときには、ステップS13
において制御無修正とする。
【0083】そして、塗装条件制御手段4は上記の塗装
条件判定手段3からの各補正値に基づいて自動塗装機5
の塗装条件を変更する。自動塗装機5は上記塗装条件制
御手段4からの制御信号に基づき、次の被塗装物1への
自動塗装を行なう。以上の自動塗装機5の制御を行なう
ことにより、自動塗装ラインでも狙い通りの安定した塗
装品質の確保と無駄塗装のない最適な塗装制御が行なわ
れる。
【0084】図18は本発明の第2の実施例を説明する
ブロック図である。
【0085】この実施例は本発明の第2の実施例を説明
するブロック図である。
【0086】この実施例は複数の塗装状態計測手段2
A,2B,2Cを備え、同時に被塗装物1の塗装面の複
数箇所の塗装品質(平滑性)および品質要因(塗着N.
V、微粒化度、塗膜厚)を計測する。そして、塗装状態
計測手段2A〜2Cの後に設けた平均処理手段41で、
複数の部位について計測した塗装品質(平滑性)および
品質要因(塗着N.V、微粒化度、塗膜厚)のそれぞれ
の平均化した値を求め、その値を塗装条件判定手段3へ
送る。
【0087】ここで、上記塗装状態計測手段2A〜2C
は、先の図3に示す構成のように、塗装品質である塗装
表面の鮮映性(平滑性)と品質要因である塗膜の塗着
N.V(非揮発性成分)と付着粒子の微粒化度と塗膜厚
等を同一の撮像手段(すなわち図4に示す撮像手段6)
と、同時の画像処理手段(すなわち図5に示す画像処理
手段7)で計測する構成とすることにより、装置の簡略
化を図っている。
【0088】上記の構成により、被塗装物1の複数部位
の塗装品質(平滑性)および品質要因(塗着N.V、微
粒化度、塗膜厚)を迅速に測定し、塗装品質(平滑性)
および品質要因(塗着N.V、微粒化度、塗膜厚)のそ
れぞれの平均値を算出することができるので、塗装状態
に合わせたさらに正確なフィードバック制御を行なうこ
とができる。
【0089】図19は本発明の第3の実施例を説明する
ブロック図である。
【0090】この実施例は被塗装物1を搬送するコンベ
ア42のコンベアスピード制御手段43を設けることに
より、塗装条件判定手段3で指示していた平滑性Hと所
定値Hとの差(ΔH=H−H)および塗膜厚hと所
定値hとの差に見合った吐出量補正値ΔT=ΔH×K
t(h−h)の代わりに、平滑性Hと所定値Hとの
差(ΔH=H−H)および塗膜厚hと所定の基準値h
との差に見合ったコンベアスピード補正値ΔV=ΔH
×Kv(h−h)をかけることができ、上記の構成に
より、吐出量の制御だけでなく自動化ラインのコンベア
スピードの制御によっても塗装状態に合わせた正確なフ
ィードバック制御をすることができる。
【0091】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の請求
項1に係わる自動塗装機の制御方法によれば、塗装面に
おける塗装品質とこれを左右する品質要因を計測して、
計測値と基準値との差に基づいて自動塗装機をフィード
バック制御することから、塗装状態に合わせた正確なフ
ィードバック制御を行なうことができ、塗装品質を大幅
に向上させることができと共に、塗着効率の向上などを
図ることができる。
【0092】本発明の請求項2に係わる自動塗装機の制
御装置によれば、被塗装物の塗装状態が不良の場合に、
塗着N.V、微粒化度および塗膜厚等の品質要因の各測
定値とそれぞれの基準値との誤差に見合った補正を行な
うことから、塗装状態に合わせた正確なフィードバック
制御を行うことができると共に、自動塗装ラインでも狙
い通りの安定した塗装品質を確保することができ、さら
には塗着効率の向上なども実現し得る。
【0093】また、被塗装物の塗装状態が良好の場合で
も、塗着N.Vが下限基準値以下であるときには、鮮映
性の計測値と基準値との差および塗着N.Vの計測値と
基準値との差に見合った垂れ修正の補正を行なうことが
でき、微粒化度が下限基準値以下であるときは、鮮映性
の計測値と基準値との差、および微粒化度の計測値と基
準値との差に見合った塗着効率補正を行なうことがで
き、さらに、塗膜厚が基準値以上であるときは、鮮映性
の測定値と基準値との差および塗膜厚の計測値と基準値
との差に見合った厚塗り補正を行なうことができ、安定
した塗装品質を確保することができると共に、塗着効率
の向上も実現し得る。
【0094】本発明の請求項3〜10に係わる自動塗装
機の制御装置によれば、請求項2の効果に加えて、塗装
品質および塗装要因の計測を正確に且つ迅速に行なうこ
とができ、より一層正確なフィードバック制御を行うこ
とができると共に、塗装品質をさらに高めることができ
る。
【0095】本発明の請求項11に係わる自動塗装機の
制御装置によれば、被塗装物における複数箇所において
塗装品質および塗装要因を計測することにより、より一
層正確な計測を行なうことができ、フィードバック制御
に正確な補正値を提供することができると共に、塗装品
質をさらに高めることができる。
【0096】本発明の請求項12に係わる自動塗装機の
制御装置によれば、自動化ラインにおけるコンベアスピ
ードの制御によって塗装状態に合わせたフィードバック
制御を行なうことができ、塗装品質や塗着効率を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的構成を説明するブロック図であ
る。
【図2】本発明の第1の実施例を説明するブロック図で
ある。
【図3】塗装状態計測手段を説明するブロック図であ
る。
【図4】粒子飛行過程における溶剤の蒸発を示す説明図
である。
【図5】撮像手段の一例を示す断面図である。
【図6】撮像手段において被塗装物上に形成されるスリ
ットの縞模様を示す図である。
【図7】パワースペクトルの周波数特性を示すグラフで
ある。
【図8】塗料粒子の付着と塗装面の形成過程を示す断面
説明図である。
【図9】塗料の飛行粒子と付着粒子の関係を示す説明図
である。
【図10】塗料粒子の平均径と波長との関係を示すグラ
フである。
【図11】塗料粒子径と塗布時間の関係を示すグラフで
ある。
【図12】波長と塗布時間の関係を示すグラフである。
【図13】塗膜表面の平坦化現象を示す説明図である。
【図14】表面粗さとパワースペクトルの関係を示すグ
ラフである。
【図15】平滑化理論と測定値の比較を示すグラフであ
る。
【図16】波長とウエット膜厚の関係を示すグラフであ
る。
【図17】塗装条件判定手段の制御を説明するフローチ
ャートである。
【図18】本発明の第2の実施例を説明するブロック図
である。
【図19】本発明の第3の実施例を説明するブロック図
である。
【図20】従来例を説明するブロック図である。
【符号の説明】
1 被塗装物(ボディ) 2 塗装状態計測手段 3 塗装条件判定手段 4 塗装条件制御手段 5 自動塗装機 6 撮像手段 7 画像処理手段 8 波長演算手段 9 波長平均処理手段 10 微粒化演算手段 11 第1塗着N.V演算手段 12 塗料密度演算手段 13 第2塗着N.V演算手段 15 塗装条件入力手段 16 塗料条件入力手段 17 シンナー蒸発量入力手段 18 測定時間入力手段 19 表面粗さ演算手段 20 膜厚演算手段 21 鮮映性演算手段 43 コンベアスピード制御手段

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空調された塗装ブース内に搬入した被塗
    装物を自動塗装機により塗装するに際し、自動塗装機に
    より所定の塗装条件下で塗装された被塗装物の塗装面の
    塗装品質とこれを左右する品質要因を検知し、塗装品質
    の計測値と予め設定された品質基準値の差、および品質
    要因の計測値と予め設定された要因基準値の差に基づい
    て得た補正の指令により自動塗装機を制御することを特
    徴とする自動塗装機の制御方法。
  2. 【請求項2】 空調された塗装ブース内に搬入した被塗
    装物を自動塗装機により塗装する際の制御装置におい
    て、自動塗装機により所定の塗装条件下で塗装された被
    塗装物の塗装面の塗装品質とこれを左右する品質要因を
    検知する塗装状態計測手段と、塗装状態計測手段によっ
    て検知された塗装品質の計測値を予め設定された品質基
    準値と比較し、検知された計測値が品質基準値とずれて
    いる場合に、その計測値と品質基準値の差、および塗装
    状態計測手段によって検知された品質要因の計測値と予
    め設定された要因基準値の差に基づいて塗装条件の補正
    を指令する塗装条件判定手段と、塗装条件判定手段から
    の補正指令に基づいて塗装面の塗装品質が基準となるよ
    うに自動塗装機を制御する塗装条件制御手段を備えたこ
    とを特徴とする自動塗装機の制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の塗装状態計測手段が、
    塗装品質である塗装表面の鮮映性と、品質要因である塗
    膜の非揮発性成分、付着粒子の微粒化度および塗膜厚を
    計測する手段であることを特徴とする自動塗装機の制御
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項2および3に記載の塗装状態計測
    手段が、塗料の非揮発性成分等の塗料条件を入力する塗
    料条件入力手段と、塗装ガン吹き付け時の塗料の微粒化
    演算手段と、塗料のシンナー蒸発量を入力するシンナー
    蒸発量入力手段と、塗料条件入力手段からの非揮発性成
    分、微粒化演算手段からの微粒化度、およびシンナー蒸
    発量入力手段からのシンナー蒸発量に基づいて自動塗装
    機により所定の塗装条件下で塗装された被塗装物の塗布
    直後の非揮発性成分を算出する第1の塗着N.V演算手
    段1と、第1の塗着N.V演算手段で算出された塗布直
    後の塗膜面の非揮発性成分と塗料条件入力手段からの塗
    料種情報に基づいて塗布直後の塗膜面の塗料密度を算出
    する塗料密度演算手段と、測定までの時間を入力する測
    定時間入力手段と、塗膜面の膜厚を入力する膜厚入力手
    段と、膜厚入力手段からの膜厚情報、シンナー蒸発量入
    力手段からのシンナー蒸発量および測定時間入力手段か
    らの測定時間情報に基づいて塗布後の塗膜面の非揮発性
    成分を算出する第2の塗着N.V演算手段を備えている
    ことを特徴とする自動塗装機の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の微粒化演算手段が、塗
    料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手段
    と、撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理手
    段と、画像処理手段で処理された画像処理データに基づ
    いて塗装表面の凹凸波形の波長分布を算出する波長分布
    演算手段を備え、波長分布演算手段で算出された波長分
    布に基づいて塗料粒子の微粒化度を算出する手段である
    ことを特徴とする自動塗装機の制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項2および3に記載の塗装状態計測
    手段が、塗料の粘度等を入力する塗装条件入力手段と、
    塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像する撮像手
    段と、撮像手段からの画像情報を画像処理する画像処理
    手段と、画像処理手段で処理された画像処理データに基
    づいて塗装表面の粗さを算出する表面粗さ演算手段を備
    え、表面粗さ演算手段で算出された粗さ度と粗さ度の時
    間変化量と波長分布演算手段で算出された波長と塗装条
    件入力手段からの塗装条件から塗装膜厚を算出する手段
    であることを特徴とする自動塗装機の制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項2および3に記載の塗装状態計測
    手段が、塗料を塗布した直後の未乾燥塗装表面を撮像す
    る撮像手段と、撮像手段からの画像情報を画像処理する
    画像処理手段と、画像処理手段で処理された画像処理デ
    ータに基づいて塗装表面の粗さを算出する表面粗さ演算
    手段を備え、表面粗さ演算手段で演算された粗さ度から
    塗膜表面の鮮映性を算出する手段であることを特徴とす
    る自動塗装機の制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項4に記載の塗着N.V演算手段
    が、塗料条件入力手段の塗料の非揮発性成分とシンナー
    蒸発量入力手段の塗料のシンナー蒸発量と微粒化演算手
    段の塗料粒子径から求めた塗料粒子の表面積の関係から
    塗布直後の塗膜面の非揮発性成分を算出する手段である
    ことを特徴とする自動塗装機の制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載の波長分布演算手段が、
    塗装表面の凹凸波形のパワースペクトルにおける長波長
    領域のピーク波長を求める手段であり、微粒化演算手段
    が、長波長領域のピーク波長の値と予め定めた塗料粒子
    径との関係から塗料粒子径を算出してそれを微粒化度と
    する手段であることを特徴とする自動塗装機の制御装
    置。
  10. 【請求項10】 請求項2および3に記載の塗装状態計
    測手段が、塗装品質である塗装表面の鮮映性と、これを
    左右する品質要因である塗膜の非揮発性成分と付着粒子
    の微粒化度と塗膜厚等を同一の撮像手段および同一の画
    像処理手段で計測する手段であることを特徴とする自動
    塗装機の制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項2〜4,5,6および10に記
    載の塗装状態計測手段を複数備え、これらの塗装状態計
    測手段を被塗装物の塗装面の複数箇所に配置したことを
    特徴とする自動塗装機の制御装置。
  12. 【請求項12】 塗装中に被塗装物を移動させるコンベ
    アと、コンベアスピード制御手段を備え、塗装品質の計
    測値と品質基準値の差および塗膜厚の計測値と設定した
    膜厚基準値の差に基づいてコンベアスピードを制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載の自動塗装機の制御装
    置。
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