JPH09131276A - 機能性ボディタオル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ボディタオルとして必要な諸機能を備えた経
糸及び緯糸の基布設定と併せ、所望の硬さ等が得られる
粗剛性天然繊維等のパイル糸条部とを組み合わせた機能
性ボディタオルを提供する。 【構成】 速乾性及び吸水性等を有する基布経糸部と、
泡立ち、乾燥性、軽量性及び寸法安定性等を有する基布
緯糸部に、風合い測定数値に基づく所望の硬さ等が得ら
れるパイナップル繊維等の粗剛性天然繊維からなるパイ
ル糸条部とを組み合わせて限りなく網羅的、集約的に機
能性を発現できる構成とする。 【効果】 従来のボディタオルの難点を解消し、所望の
風合い測定数値に基づく皮膚刺激、泡立ち、洗浄性、速
乾性、軽量性、寸法安定性等の諸機能を備えた機能性タ
オルとして効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は機能性ボディタオルに関
し、ボディタオルとして必要な諸機能を備えた基布経糸
部および緯糸部の設定と併せ、風合い測定数値に基づく
所望の硬さ等が得られる粗剛性天然繊維等のパイル糸条
部とを組み合わせた構成からなる機能性ボディタオルに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来よりタオルは一般に浴布とも呼ば
れ、古くから我々の日常生活にきわめて関係の深いもの
であり、通常のタオル地という場合、ループを片面又は
両面に織り出したもので、主に綿糸で経糸を輪奈につく
って織った浴布を指称している。また、古くよりあかす
り布又は単にあかすりと呼ばれ、入浴の際に肌の垢をこ
すり落とすのに用いるものがよく知られており、あかす
り布、或いは垢すりたおるとしては、たとえば強度の波
状ナイロン単糸１５Ｄを複数本を束状に引揃えたものを
緯糸とし、軽度の波状または直線状のナイロン単糸１５
Ｄを経糸として製織した垢すりたおる（実公昭和４４−
１２２２４号公報）、ナイロン糸とポリプロピレン糸の
捲縮糸を緯糸としナイロン糸の細い糸を経糸として製織
し、ポリプロピレン糸の融点以上の温度で熱セットして
クレ−プ状の皺をだした垢すりタオル（実公昭４８−３
１７４１号公報）、さらに経パイル及び経地糸が綿糸
で、緯糸が綿糸及び疎水性合成繊維マルチフィラメント
糸を２本交互に用い、そのうち１本が反パイル面側に露
出する部分を有する浴用タオル（実公平５−３１１５号
公報）等が提案されているが、ボディウォッシュタオル
としても、単に洗うだけでなく、適度な刺激を肌に与え
て血行をよくし、マッサージ等の効果も得られる共に、
せっけん泡立ちのよさ、肌触り、感触、洗浄性、さらに
使い易さなど、機能性を網羅的、集約的に備えたものが
望まれている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来タ
オルとして、綿、麻等の天然繊維、合成繊維およびこれ
らからなるタオルが多数提案されており、前者は一般に
親水性、吸水性に富み、ソフトな肌触りを持つが、浴用
タオルとしては水中や湿潤状態では柔らかすぎ、泡立ち
や乾燥性が悪く、摺擦効果が劣る等の欠点がある。後者
ではいずれも比較的粗硬性を有し、水中でも粗硬性が失
われずあかすりタオル等として賞用されているが、近年
肌への刺激等の粗硬さに起因し肌が黒色化する障害とな
っており、また、吸水性が劣る為ソフトな浴用タオルが
別途に必要となる。さらに、綿糸や合成繊維とからなる
タオルでは粗硬性や吸水性は合成繊維製タオルに比し良
好であるが、タオルが肌に当接する面によって綿製や合
成繊維製のタオルとあまり使用感に違いがなく、合成繊
維を打ち込んだタオルでは合繊繊維が露出する傾向のた
め肌触り等は解消されていない。たとえばポリアミド系
合成繊維素材等からなる浴用タオル又は垢すりの場合、
せっけんの泡立ちがよく水切れが早く衛生的で、半硬直
性を有する構成素材の特性から普通の綿タオル等では期
待し得ない皮膚への摩擦、刺激が得られる反面、特有の
チクチクした感触や使用後摩擦による黒皮症等の欠点が
ある。この為、本発明者は、さきに綿糸等の経糸並びに
緯糸の比較的粗い布地の緯方向に麻等の粗硬性繊維より
なる毛羽状部を有するシェニ−ル糸状組糸を織り込んで
なる身体摩擦用布地（実公昭６３−３５６７６号公
報）、さらに特願平７−２２４７７０号（浴用絹しぼタ
オル）では、刺激肌触り等が弱く柔らかで良いが、せっ
けんの泡立ちや滑りが悪い等の難点のある絹素材浴用タ
オルの改良に関し提案している。ところで、タオルのう
ち、ボディウォッシュタオルの場合も、一般にタオルと
しては、吸水性に富み、通気性が大であり、洗濯等によ
く耐える特性を有することが必要であるが、さらに、泡
立ち、泡切れ、乾燥性、弾力性等の諸機能と併せて、特
に皮膚に接する凸部分の肌触り、摩擦或いは洗浄効果、
さらに乾燥性を含め使い勝手のよさ、軽量取扱等の機能
を限りなく網羅的、集約的に備えた機能性を具備したボ
ディタオルが望まれている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
従来のボディタオルについて、その長所を生かすと共
に、従来のボディタオル自体並びにその使用上の短所を
も併せて改良することができる機能性を備えたボディタ
オルについ検討した結果、到達したものである。

【０００５】一般に、ボディタオルに要求される機能と
しては、上記の如き諸機能が大切な項目であるが、これ
らの諸機能でも、例えばナイロン等で摩擦や洗浄効果等
を発現できても黒皮症等を生ずるように返って機能性の
阻害要因となる場合もある。このため、本発明において
は、各種構成素材及び織編構造からなるタオル、すなわ
ち衣料としてのタオルの物性値を、たとえば風合い測定
数値を指標として、構成素材および織編構造と諸機能の
関係を分析し、これを風合い計測システムによる測定値
として評価し、構成素材および織編構造と諸機能との関
係にフィ−ドバックせしめ、これらの組み合わせにより
限りなく諸機能を網羅的かつ集約的に発現ならびに均衡
を図った構成としたものである。本発明においては、タ
オルの物性値を風合い計測器ＫＥＳ−ＦＢ計測システム
を用いて測定したものを基準とした。上記ＫＥＳは、衣
料材料としての基本物性を計測するシステムであり、株
式会社消費科学研究所，大阪市住之江区南港北２−１−
１０の開発に係る試験・検査・分析に供されている計測
するシステムで、通常、布の基本力学特性と表面特性を
低荷重域で測定し、布風合いを客観評価するシステムで
あり、測定は、１．引っ張り特性、２．曲げ特性、３．
剪断特性、４．圧縮特性、５．表面特性の５項目につい
て行なう。たとえば、ナイロンタオルと麻パイルタオル
ならびに、醗酵精練処理を施したパイナップル繊維主材
タオルについての上記ＫＥＳ風合い測定数値、すなわら
硬さ（Ｂ）、ざらつき（ＭＭＤ）、弾力性（ＬＣ）、な
らびに泡立ち、乾燥性、軽量性の六角座標については、
図２に示すとおりである。図２において、特に、硬さ
（Ｂ）およびざらつき（ＭＭＤ）の項目で、パイナップ
ル繊維主材タオルは、ナイロン及び麻パイルタオルの突
出傾向に対し、低い数値に調整が図られていることを示
している。

【０００６】本発明に係るボディタオルは、従来のボデ
ィタオルでの難点のうち、（１）せっけんの泡立ち、水
切りの改善、速乾性および吸水性、（２）比較的均一な
横幅を持たせる寸法安定性や回復性ならびに軽量性、さ
らに圧縮性の維持等を充足する地経糸よりなる基布経糸
部、ならびに基布緯糸部の基本的織編組織とし、さら
に、上記の風合い測定数値評価に基づき、（３）硬さ、
弾力性、すなわち硬さ、泡立ち洗浄性、およびざらつき
肌触りについては、皮膚に接する凸部分であるパイル糸
条部の構成に、たとえば醗酵精練を施し可紡性のあるパ
イナップル繊維や麻等の粗剛性天然繊維及び／又は他の
繊維を撚り合わせたパイル糸条部の構成とし、これらを
所望により適宜組み合わせたものから選ばれた構成とす
ることによって限りなくボディタオルとしての諸機能を
網羅的、かつ集約的に充足し得る機能的なボディタオル
の構成としたものである。

【０００７】本発明は、タオル基布において、地経糸は
速乾性及び吸水性を有する吸水性アクリル系繊維等の基
布経糸部と、泡立ち、乾燥性、薄手軽量性及び寸法安定
性等を有するポリアミド系捲縮糸等の基布緯糸部より構
成され、かつ所望の風合い測定数値に基づき、粗剛性天
然繊維の一種又は二種以上及び／又は他の繊維を撚り合
わせたパイル糸条部を間隔を設けて縦筋条に形成せし
め、前記基布経糸部および基布緯糸部と組み合わせた構
成よりなることを特徴とする機能性ボディタオルを提供
するものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は本発明のボディタオルの全
体を示す外観斜視図、図２はボディタオルの物性値を風
合い計測器ＫＥＳ−ＦＢシリ−ズにより測定したＫＥＳ
風合い測定数値評価及び性能比較評価を示す説明図であ
る。図３は、パイル糸条部の構成を示す部分拡大側面説
明図、図４はパイル糸の一例を示す部分拡大説明図であ
る。本発明に係るボディタオル基布１の地経糸２は、例
えば吸水性アクリル繊維、２０番手等のごとき、速乾性
並びに吸水性の繊維素材から選ばれたものを採用した基
布経糸部３とし、また、緯糸４には、ナイロンクリンプ
糸７等を用い、例えばナイロンクリンプ糸、２１０デニ
−ル／１５フィラメント、ナイロン２１０デニ−ル／１
５フィラメントストレ−ト糸との交織のごとき、泡立
ち、乾燥性、薄手軽量性及び寸法安定性、回復性や圧縮
性等の諸機能を発揮し得る基布緯糸部５よりなる構成と
する。

【０００９】本発明において、基布経糸部では、速乾性
および吸水性を有する、たとえば吸水性アクリル繊維等
が適当であり、また、基布緯糸部では、泡立ち、乾燥
性、薄手軽量性および横幅寸法安定性等を有する、たと
えばポリアミド系繊維はヤング率が高く、腰が強く皮膚
への刺激が強すぎるが、本発明においては、基布緯糸部
として使用するものであり、緯方向に挿入する繊維糸条
として好適である。その他、ポリアミド系マルフィラメ
ント糸のほか、再生ポリエステル繊維、ポリエチレン
系、ポリプロピレン系等のポリオレフィン系合成繊維か
ら選ばれたものが挙げられ、これら糸条の糸使い、繊
度、フィラメント数、打ち込み本数の比率等を変えるこ
とができる。そして、本発明に係るボディタオルでは、
従来のポリアミド系やポリエステル系等のフィラメント
捲縮加工糸或いは融点以上の熱処理を施した粗硬性等の
特徴とは異なる他、皮膚刺激でも基布緯糸部の構成に挿
入した疎水性合成繊維等の繊維糸条が接触面に露出しな
い構成となっている。

【００１０】本発明において、基布緯糸部の緯糸の種類
は、ポリアミド系合成繊維、たとえばナイロンフィラメ
ントブライト糸、クリンプまたはストレ−トが適当であ
り、ナイロンフィラントブライト糸、２１０ｄ／１５
Ｆ，２１０ｄ／１２Ｆ，３００ｄ／１０Ｆ，２５０ｄ／
２４Ｆのごとく、ブライト糸を用いることにより、外観
上も透明感があり軽やかさを感ぜしめる緯糸の構成とす
る。また、緯糸の繊度は、機能性ボディタオルとしての
機能の一つとして、１５０〜３００デ−ル、好ましくは
２００〜２５０デニ−ルであり、この範囲では曲げ剛
性、圧縮硬さ、弾力性においても適当であり、この数値
以下では腰のないソフトすぎる風合いのボディタオル基
布１となり、また上記数値以上では硬い風合いのボディ
タオル基布となる。

【００１１】本発明において、従来、あかすりタオルと
しての長所を生かす構成として、たとえばナイロンクリ
ンプ糸を構成の一部分としている。すなわち、前記基布
緯糸部の緯糸に、たとえばナイロンクリンプ糸を挿入し
た場合、糸条間の織目からウェ−ブ状の波状ナイロン糸
が現出し、多数のフィラメント糸からなるので、波状壁
によって形成される凹凸構造のため、単糸と違い多数の
空間ができ、その空間に洗浄剤（泡）を大量に含んだ構
成となっている。また、使用した際に基布は不規則に伸
縮し、糸条間の織目を通る空気によって吸蔵、排出し、
良好な泡立ちが得られる。あかすり後は、タオルを水で
すすぐことで付着した脂肪垢、汚れ類はきれいに脱落す
るのですすぎ性がよく、綿タオルに比べてカビ発生、臭
いのつくことなく清潔、衛生的なものになる。このクリ
ンプ糸の挿入は、タオル全体の風合い、触感面において
も良好なものであり、機能性の付与においも非常に大き
な役割を果たすものである。

【００１２】次に、本発明において、パイル糸条部８
は、皮膚に接する凸部分を形成するものであり、上記風
合い計測数値評価に基づく、硬さ（Ｂ）のＹ軸方向の突
出を調整ないし抑制し、たとえば粗剛性天然繊維等のそ
れぞれの素材、織編組織等が集約された独特の風合いを
発揮し得る構成となっている。本発明で、粗剛性天然繊
維としては、醗酵処理が施されたパイナップル繊維の
他、亜麻、***、ラミ−、ジュ−ト等の幹繊維を意味す
るが、特にパイル糸として、上記の醗酵処理が施して可
紡性を高めたパイナップル繊維、及び他の繊維との混紡
が適当である。該パイナップル繊維は、パイナップルの
葉から取り出した極細の繊維脈を紡績にかけ得られる
が、該パイナップル繊維の断面は平均０．３ｄの極細繊
維の集合によって構成され、単繊維は短く平均３〜９ｍ
／ｍ、軽く、吸水性１２％、発散性９８％はラミ−麻に
匹敵している。また、化学精練や酵素処理して可紡性を
高めることもでき、綿、麻等に近い独特の風合いがあ
り、また、他の天然繊維、合成繊維等との混紡が自由で
あり、ソフトで特有の風合いが得られるものであるた
め、本発明におけるパイル糸条部の構成として適当であ
る。

【００１３】本発明において、パイル糸条部８の構成
で、パイル糸６は水を含んだときの重さを軽減する為に
も、細番手ないし中番手で、かつ短いパイル糸条部８の
構成が適当である。通常デニ−ル（太さ）が細いもの
は、柔らかく肌触りが良く、パイルは弱くヘタリ易い
が、本発明で粗剛性天然繊維に要求されるものは、極力
デニ−ル（太さ）が細く、硬直でヘタリにくいパイルで
あることが必要であるため、従来品に比べ、シャリ感
（粗硬性）、触感風合い（清涼感）、ならびに水を含ん
だときの重さを軽減する為にも、細番手ないし中番手の
パイル糸で、かつパイルの基布基準面より突出する高
さ、パイル長を低くした構成により、たとえば麻等の粗
剛性天然繊維を用いたパイルの弱点を補強する要因とな
り、ボディタオルとして望まれる機能をさらに補強する
ことができる。

【００１４】本発明におけるパイル糸条部８の構成にお
いて、パイナップル繊維、たとえばパイナップル繊維紡
績糸１４ｓ／２（パイナプル繊維６０％、ラミ−麻４０
％）の表面に、ポリエステル合成繊維フィラメント糸等
のフィラメント糸１０を捲撚した構成とすることができ
る。この場合、該パイナップル繊維紡績糸は表面の毛羽
立ちが多く、さらに製織上も綜絖や筬との摩擦によって
益々毛羽立ち易い為、毛羽を焼き去るガス焼き処理を施
したガス糸とするのが適当である。

【００１５】本発明におけるパイル糸条部８の構成にお
いて、ボディタオルとしての諸機能を限りなく備えた基
布経糸部および緯糸部に加え、パイナップルまたは麻な
どの粗剛性葉脈繊維から選ばれた一種又は二種以上の混
紡糸の如きパイル糸６を形成し、さらにフィラメント糸
１０を捲撚するが、前記パイル糸条部８がヘタリ易いの
に対し、ポリエステル合成繊維フィラメント糸等のフィ
ラメント糸１０の捲撚密度を慣用される捲撚数値より多
い構成とするか、或いは該パイル糸条部８の基準線以上
のパイル長さＬを嵩高でないショ−トパイルの形態と
し、たとえば本発明においてパイル長さＬの設定に際
し、パイル形成に使用する地経糸の長さを、地経糸の少
なくとも２〜２．５倍の長さに予め設定して製織し、パ
イル長さＬを抑制したショ−トパイルの形態とすること
ができる。

【００１６】また、たとえばパイル糸条部８のパイル糸
６を、粗剛性葉脈繊維から選ばれた麻繊維とした場合、
下撚追撚・Ｚ方向（３００回／ｍ）を施し、その表面に
フィラメント糸１０を捲撚して構成され、ポリエステル
フィラメント糸，１５０ｄ／２０フィラメントをＳ方向
にシングル捲撚した構成とすることができる。そのフィ
ラメント糸１０の太さは、パイル糸６の太さの２０〜４
０％が適当である。

【００１７】本発明において、例えば該パイル糸条部８
の構成としては、（１）パイナップル繊維、および可紡
性のある他の繊維との混用が可能であり、パイナップル
繊維６０％、ラミ−麻４０％が好適に用いられる。ま
た、（２）麻１０番手、１４／１（ラミ−麻６０％、リ
ネン４０％）＋ポリエステル１５０ｄ／２０フィラメン
ト、シングル捲撚、（３）ミルク蛋白性繊維（商標，シ
ノン）では、シノン４５％、アクリル５５％等が挙げら
れる。

【００１８】本発明において基布緯糸部５の構成では、
例えばパイル糸６、８本〜２４本、約３〜１０ｍｍを構
成単位とし、各単位毎に交互に、パイル糸条部８が存在
しない凹溝部１１、約２〜５ｍｍを形成した構成とする
ことが適当である。たとえば、ボディタオル基布１の構
成において、長手方向に間隔をもって配列されているパ
イル糸条部６の横幅約８ｍｍに対し、基布緯糸部５の凹
溝部１１の横幅を約４ｍｍ、すなわち前者と後者との横
幅の対比を１／２以下とするとき、実質的に凹溝部１１
が身体或いは肌に直接接触しないか、接触したとしても
僅かな摩擦にすぎない構成となっており、ボディタオル
として使用するき、泡立ち、洗浄性、並びに水切り、乾
燥性等を向上させる要因として作用するものである。

【００１９】本発明に係るボディタオルは、速乾性およ
び吸水性を有する基布経糸部３ならびにに泡立ち、乾燥
性、軽量性および横幅寸法安定性等を有する基布緯糸部
５とを基本的構成とし、ボディタオルとして望まれる諸
機能を備えると共に、さらに個人の好み、ニ−ズ等に対
応できる皮膚摩擦や洗浄効果等の範囲については、皮膚
に接するパイル糸条部８の素材に天然繊維の麻等の一種
又は二種以上および／または他の繊維とを撚り合わせた
ものより選ばれた構成とし、前記基布経糸部３ならびに
基布緯糸部５と選択的に組み合わせた構成とし、ボディ
タオルとして望まれる乾燥性、吸水性ならびに泡立ち、
水切りがよく、軽量で取扱い易く、横幅寸法安定性の維
持等、さらにパイル糸条部が表面露出されるので、葉脈
繊維等の粗剛性天然繊維による独特の適当な刺激、洗浄
効果が得られ、ボディタオルとして望まれる諸機能を網
羅的に備えると共に、皮膚摩擦、洗浄効果を別途追随
的、選択的、かつ補完的に組み合わせることができる構
成であり、機能性ボディタオルとしての必要性能を十分
に具備する優れた効果を奏するように働く。

【００２０】

【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例１ 基布地経糸部では、速乾性および吸水性を有する吸水性
アクリル繊維３６ｓ／２，カネボウ・アクアロン（商
標）、織密度、経糸３６本／インチ、筬４３羽・毛中通
し巾２９．５ｃｍ、また基布緯糸部には、ナイロン２１
０デニ−ル／１５フィラメント・ストレ−ト糸、および
ナイロンクリンプ糸との交織、織密度、緯糸４８本／イ
ンチを用い、ボディタオルの経緯糸部の基本的構成とし
た。そして、皮膚に接するパイル糸条部には、表面毛羽
抑えのガス糸処理がされた発酵精錬を施したパイナップ
ル繊維，１４ｓ／２（フィリピン産パイナップル繊維６
０％、ラミ−麻４０％）を用い、前記ＫＥＳ−ＦＢ計測
システムによる風合い測定数値でも、泡立ち、乾燥性な
らびに軽さでは、ナイロンより稍低い麻と同等程度の数
値域で、ざらつき（ＭＭＤ）でもほぼ麻に近い数値域で
あるが、特に硬さ（Ｂ）で麻より低い数値をもつパイナ
ップル繊維及びそれとラミ−麻との混紡糸を使用した構
成となっている。織成後、界面活性剤を使用し、８０℃
（常圧法）、３０分ソ−ピングを行い、脱水、シリンダ
−乾燥（熱風乾燥）、幅出しの加工処理を施した。次い
で、専用のミニヒ−タ−でマットを温めてヒノキチオ−
ルを気化したガス中で約３０分間、ヒノキチオ−ル・マ
イクロカプセルの付着処理を施し、抗菌効果を備えたボ
ディタオルを得た。上記ボディタオルについて、市販他
社ボディタオル製品（パイル麻１００％，グランド綿１
００％）と、せっけん泡立ち状態について対比のため、
顕微鏡写真（拡大倍率２０倍）により観察を行ったとこ
ろ、図５（実施例１製品）並びに図６（市販他社製品）
の図面代用写真にみられるように、実施例１の製品は、
他社製品に比し、良く泡立ちよりきめ細かで、かつクリ
−ミ−な泡立ちであることが判った。また、水切り性で
も従来市販品に比し、格段にすぐれたものであった。ま
た、パイル糸条部は、可紡性処理が施されたパイナップ
ル繊維を主とし、ラミ−麻が混紡された構成が露出状に
形成された形態のため、該パイナップル繊維の独特のソ
フトな風合いが得られ、洗い心地がよく、摩擦、刺激性
においても独特の感触および適度の刺激が得られるもの
であった。さらに、製織後に、防菌加工を施しており、
パイル糸条部に主素材としてパイナップル繊維を用いた
独特の風合いと共に、防菌性が施された肌の美容に適し
たボディタオルであった。

【００２１】図２のボディタオルの風合い測定数値およ
び評価を示す説明図に示すとおり、ＫＥＳ−ＦＢ計測シ
ステムによる風合い測定数値の３段階評価では、たとえ
ば、実施例１の地経糸アクリル１００％、緯糸ナイロン
１００％を用い、吸水性アクリル３６ｓ／２，５５％の
基布地経糸部、及びナイロン２１０デニ−ル／１５フィ
ラメント・ストレ−ト、及びナイロンクリンプ・ブライ
ト糸を交織した４５％の基布緯糸部、ならびにパイナプ
ル繊維６０％、ラミ−麻４０％のパイル糸条部の構成か
らなるサイズ２６×９５ｃｍについての評価デ−タ−を
示している。上記のとおり、硬さ：Ｂ、ざちつき：ＭＭ
Ｄ、軽さ、乾燥性、泡立ち、ＬＣ：弾力性の６項目につ
いて、テストした結果は次のとおりである。 １）泡立ちの良さは、かなり良い。きめ細かな泡立ち。 ２）使い易さは、薄手で、絞り易く、水切り、乾燥性に
優れている。 ３）皮膚刺激性は、硬すぎず、柔らかすぎず、適度な心
地良いシャリ感がある。上記泡立ちの良さは、薄手で、
泡立たせる為、素材、織構造とも関連したタオルの基布
地経糸及び緯糸機構の基本的構成、即ち形態にあるもの
と推定される。このように、上記実施品については、泡
立ちが良く、しなやかで風合い性能を持ち、適度な刺激
で身体の汚れを洗い落とすボディタオル、さらに詳しく
はボディウォッシュタオルとして、従来品に比し格段の
諸機能を充足していることは、その物性数値と充実度な
いし満足度からみても機能性ボディタオルとして限りな
く諸機能を備えた構成となっている。このように、実施
例１で得られたボディタオルは、前記ＫＥＳ−ＦＢ計測
システムによる風合い測定数値からみても、従来のあか
すりタオルとして、種々の長所と併せ欠点も持つナイロ
ンおよび麻と比して、軽さ、乾燥性、泡立ち等のすぐれ
た諸機能能では同程度の諸機能を充足し、その欠点でも
ある硬さ、肌触り等の機能の改善を図り、特に風合いに
おいて、独特のしなやか風合い性能をもつ該パイナップ
ル繊維を主素材とするパイル糸条部の構成により、ボデ
ィタオルとして望まれる物性数値と必要かつ十分条件を
満足する諸機能を限りなく備えた究極のボディタオルを
追求した構成としたものである。

【００２２】実施例２ 基布地経糸部に、速乾性及び吸水性を有する吸水性アク
リル繊維３６ｓ／２，カネボウ・アクアロン（商標）、
織密度、経糸３１本／インチ、筬４３羽・毛中通し巾２
９．５ｃｍ、また、基布緯糸部には、ナイロン２１０デ
ニ−ル／１５フィラメント・ストレ−ト糸、およびナイ
ロンクリンプ糸との交織、織密度、緯糸５０本／インチ
を用い、ボディタオルの経緯糸部の基本的構成とした。
次に、皮膚に接するパイル糸条部には、麻１０番手、１
４／１（ラミ−麻６０％、リネン４０％）＋ポリエステ
ル１５０ｄ／２０フィラメント、シングル捲撚を用い、
生地設計とし、製織した。織成後、界面活性剤を使用
し、８０℃（常圧法）、３０分ソ−ピングを行い、脱
水、シリンダ−乾燥（熱風乾燥）、幅出しの加工処理を
施した。得られたボディタオルの晒上がり製品サイズ
は、２５×９５ｃｍ、総重量は５９ｇであり、ボディタ
オルとして軽量化のものが得られた。上記ボディタオル
について、実施例１と同様に、せっけん泡立ち状態につ
いて対比のため、顕微鏡写真（拡大倍率２０倍）により
観察を行ったところ、市販他社ボディタオル製品（パイ
ル麻１００％，グランド綿１００％）に比し、実施例２
の製品は、良く泡立ちよりきめ細かで、かつクリ−ミ−
な泡立ちであることが判った。また、皮膚刺激性でも、
麻／ポリエステル、シングル捲撚によるパイル糸条部の
構成により、硬すぎず柔らかすぎず、比較的摩擦性をも
った適度な心地よいシャリ感、すっきりさっぱり感が認
められた。さらに薄手で絞り易く、水切り、乾燥性にお
いてもすぐれており、軽量で取扱易い、種々の機能が集
約されたボディタオルであった。従来ナイロンを主材と
したタオルは、一般に速乾性および泡立ち、軽さ等の長
所を有するが、実施例２の製品は、顕微鏡写真（拡大倍
率２０倍）でも泡立ちではナイロンとほぼ同程度であ
り、乾燥性ならびに軽さでは稍低い数値であった。ま
た、前記ＫＥＳ−ＦＢ計測システムによる風合い測定数
値では、ざらつき（ＭＭＤ）、すなわち表面特性の摩擦
係数ＭＭＤでは、一般にナイロン０．０３２４に対し、
麻は０．０２７２と小さく、摩擦刺激が小さい数値とな
っており、実施例２の製品は僅かに低く、さらに硬さ
（Ｂ）では、たとえばナイロン０．１３３に対し、麻は
０．０７９の数値の格差がみられ、従来ナイロンボディ
タオルでの硬さや、肌触りといった感触面での欠点の改
良につながる構成となっていることが認められた。

【００２３】実施例３ 基布地経糸部は、速乾性及び吸水性を有する吸水性アク
リル繊維３６ｓ／２，カネボウ・アクアロン（商標）、
織密度、経糸４４本／インチ、筬４３羽・毛中通し巾３
０．３ｃｍ、ならびに基布緯糸機構には、ナイロンクリ
ンプ糸、２１０デニ−ル／１５フィラメント、およびナ
イロン２１０デニ−ル／１５フィラメント，ストレ−ト
糸の交織であり、織密度、緯糸５０本／インチとし、タ
オルの経糸の基本的構成とした。次に、皮膚に接するパ
イル糸条部には、ミルク蛋白性繊維３３ｓ／１（商標シ
ノン，東洋紡製）シノン４５％、アクリル５５％を用
い、製織した。織成後、界面活性剤を使用し、８０℃
（常圧法）、３０分ソ−ピングを行い、脱水、シリンダ
−乾燥（熱風乾燥）、幅出しの加工処理を施した。次い
で、専用のミニヒ−タ−でマットを温めてヒノキチオ−
ルを気化したガス中で約３０分間、ヒノキチオ−ル・マ
イクロカプセルの付着処理を施し、抗菌効果を備えたボ
ディタオルを得た。さらに、アレルギ−体質、アトピ−
性皮膚炎に抑制効果のあるヨモギの薬草エキスによる草
木染加工を施した。上記により得られたボディタオル
は、パイル糸条部にミルク蛋白性繊維およびアクリル繊
維を混紡した糸条を使用したものであるため、ソフトな
風合いや肌触り、感触を有し、摩擦感も独特の感触をも
つものであった。また、せつけん泡立ちについても、上
記市販ボディタオル製品と顕微鏡写真により対比して
も、泡立ちが良くきめ細かな泡立ちが視認され、洗浄効
果においてもすぐれたものであった。

【００２４】実施例３で得られたボディタオルは、特長
でありながら比較的肌の弱い人にとっては稍過剰である
摩擦や刺激性を持つナイロンまたは麻主材のボディタオ
ルに比し、それらの軽さ、乾燥性、泡立ち等のすぐれた
諸機能を保持しながら、その過剰傾向でもある硬さ、肌
触り等の短所を改善し、上記のごとく諸機能を充足する
ように構成した基布経緯糸機構と、該パイル糸条部にミ
ルク蛋白性繊維を導入した組み合わせによって、硬さ
（Ｂ）を改良する構成としたものである。前記ＫＥＳ−
ＦＢ計測システムによる風合い測定数値からみて、実施
例３で得られたボディタオルは、泡立ち、乾燥性ならび
に軽さで、ナイロン、麻とは低い数値であるが、ざらつ
き（ＭＭＤ）および硬さ（Ｂ）において、それぞれ低い
数値域に位置しており、しなやかな風合い性能を持ち適
度な刺激で体の汚れを洗い落とすボディタオルとして適
したものであった。なお、本発明の一実施例を示した
が、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、そ
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。

【００２５】

【発明の効果】本発明に係るボディタオルは、速乾性、
吸水性等を有する基布経糸部と、泡立ち、乾燥性、軽量
性及び横幅寸法安定性等を有する基布緯糸部とを織成し
た基布を基本的構成とし、ボディタオルとして望まれる
諸機能を限りなく具備せしめると共に、加えてこれに所
望の風合い測定数値に基づき、風合いや皮膚刺激、摩擦
等に対応したパイル糸条部を選択的に組み合わせて製織
した構成である為、ボディタオルとして望まれる諸機能
を網羅的に備えた機能性ボディタオルとして優れた効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のボディタオルの全体を示す外観斜視図
である。

【図２】ＫＥＳ−ＦＢ計測システムによる風合い測定数
値評価及び性能比較評価を示す説明図である。

【図３】本発明のパイル糸条部の構成を示す部分拡大側
面説明図である。

【図４】本発明のパイル糸の一例を示す部分拡大説明図
である。

【図５】実施例１製品のせっけん泡立ち状態を示す顕微
鏡による図面代用写真である。

【図６】市販他社製品のせっけん泡立ち状態を示す顕微
鏡による図面代用写真である。

【符号の説明】

１ ボディタオル基布 ２ 地経糸 ３ 基布経糸部 ４ 緯糸 ５ 基布緯糸部 ６ パイル糸 ７ ナイロンクリンプ糸 ８ パイル糸条部 ９ パイナップル繊維紡績糸 １０ フィラメント糸 １１ 凹溝部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タオル基布において、地経糸は速乾性及
   び吸水性を有する吸水性アクリル系繊維等の基布経糸部
   と、泡立ち、乾燥性、軽量性及び寸法安定性等を有する
   ポリアミド系捲縮糸等の基布緯糸部より構成され、かつ
   所望の物性値を計測した風合い測定数値に基づき、粗剛
   性天然繊維の一種又は二種以上及び／又は他の繊維を撚
   り合わせたパイル糸条部を間隔を設けて縦筋状に形成せ
   しめ、前記基布経糸部および基布緯糸部と組み合わせた
   構成よりなることを特徴とする機能性ボディタオル。
2. 【請求項２】 前記パイル糸条部に、醗酵精練処理が施
   された天然パイナップル繊維、および他の繊維との混紡
   からなるパイル糸を用いてなる請求項１記載の機能性ボ
   ディタオル。