JPH09131001A

JPH09131001A - 密閉形圧縮機

Info

Publication number: JPH09131001A
Application number: JP7282111A
Authority: JP
Inventors: Akihiko Ishiyama; 明彦石山; Shigeya Kawaminami; 茂也川南; Masato Kaneko; 正人金子; Katsumi Nagasato; 勝美長里
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1995-10-30
Filing date: 1995-10-30
Publication date: 1997-05-16
Also published as: SG66331A1; KR100193644B1; KR970021730A; CN1061482C; BR9605357A; CN1158510A

Abstract

(57)【要約】【課題】電動機の固定子の変形による該固定子と回転
子との間の隙間寸法の異常変化を防止する。【解決手段】密閉容器１内で、電動機２の固定子２１
が、この固定子２１に設けられたボルト穴２１１を介し
てボルト６で圧縮機構部３に締め付け固定されている。
このボルト６では、その頭部とねじ部との間の部分の外
径がねじ部の外径より大きく、ほぼボルト穴２１１の内
径程度に設定されている。あるいは、図示しないが、ボ
ルト６の外径を一様とした場合、ボルト穴２１１の内径
に弾性的に接触する略円筒形部材を用いる。これによ
り、ボルト穴２１１とボルト６のねじ部の外径で形成さ
れる空隙寸法より小なる空隙寸法が部分的に得られる。【効果】電動機の固定子の積層板のすべりなどによる
変形を防止し、磁気吸引力の増加による電磁音の発生や
異常摩耗などを防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、冷凍空調装置など
に用いられる密閉形圧縮機に係り、特に、電動機の固定
子にボルト穴を設け、このボルト穴を通したボルトを締
め付けることにより、この固定子を圧縮機構部に固定す
るようにした密閉形圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は冷凍空調装置などに用いられる密
閉形圧縮機の中でも代表的な方式であるレシプロ方式の
密閉形圧縮機を示す縦断面図であって、１は密閉容器、
２は電動機、２１は固定子、２２は回転子、２１１はボ
ルト穴、３は圧縮機構部、３１はクランク軸、４は支持
部材、５はバネ、６’はボルトである。

【０００３】同図において、密閉容器１内に電動機２と
圧縮機構部３が収納されており、これら電動機２と圧縮
機構部３とで形成される圧縮機本体は、密閉容器１の内
壁に設けられた支持部材４にバネ５を介して支持されて
いる。一方、電動機２の固定子２１は、この固定子２１
に設けられたボルト穴２１１を介して、ボルト６’によ
り圧縮機構部３に締付け固定されている。一般的に、か
かるボルト６´によって３〜４個所程度で締付けが行な
われている。電動機２で発生する回転駆動力は、クラン
ク軸３１により圧縮機構部３に伝達される。

【０００４】ここで、ボルト６´には、その先端部にね
じ部が設けられ、このねじ部とボルト６´の頭部との間
の部分の外径はねじ部の外径とはほぼ等しくなってい
る。また、固定子２１に設けられたボルト穴２１１の内
径はボルト６´の外径よりもかなり大きく設定されてい
る。以上のことにより、固定子２１の３〜４個所に設け
られたボルト穴２１１と圧縮機構部３〜４個所に設けら
れたボルト６´のねじ部が螺合されるねじ穴（図示せ
ず）との位置関係に若干のバラツキがあっても、夫々の
ボルト穴２１１にねじ穴を容易に合わせることができ、
圧縮機構部３への固定子２１の取付作業が容易になるよ
うにしている。

【０００５】このような構造の密閉形圧縮機は非常に一
般的に用いられており、最近の例では、特開平４−５４
８６号公報，特開平４−１８７８７４号公報あるいは特
公平５ー１０８９９号公報など多数の文献に挙げられて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のような構造の密
閉形圧縮機においては、電動機２の固定子２１と回転子
２２との間の隙間寸法が均一に確保されるのが理想的で
あるが、実際の使用条件においては、圧縮機の製造やこ
の圧縮機を搭載した製品が運搬中などで衝撃を受けるた
場合、例えば、図６（ａ）あるいは同図（ｂ）に示すよ
うに、固定子２１が変形し、これと回転子２２との間の
隙間寸法が均一に保たれなくなる可能性がある。これ
は、一般的に、固定子２１が鋼板を積層された構造とな
っており、また、ボルト６´の外径がボルト穴２１１の
内径よりも小さく、このボルト６´の外面とボルト穴２
１１の内面との間にかなりのスペースがあるために、概
念的には、固定子２１の鋼板が揃っている図７（ａ）に
示す状態が、衝撃などにより、図７（ｂ）に示すよう
に、積層板にすべりが生じて固定子２１が変形するよう
な事態が生ずる場合もあった。

【０００７】このような電動機２の固定子２１の変形が
生ずると、この固定子２１と回転子２２の間の隙間寸法
が一部分で狭まることになり、この結果、固定子２１と
回転子２２との間で発生する磁気吸引力が増加して、次
のような問題が起こる可能性がある。

【０００８】（１）上記間隔寸法がある値よりも小さく
なると、電磁音が発生する。

【０００９】（２）クランク軸３１の電動機２側の端部
は支持されずにフリーであるので、固定子２１のこの磁
気吸引力の増加した部分に回転子２２が引き寄せられ、
この分クランク軸３１が軸受部に対して傾いた状態で回
転することになり、このために、クランク軸３１の先端
の振れ回りが増加して軸受部が片当たり状態となり、軸
受部のその部分に潤滑油が供給されにくくなって異常摩
耗が発生する。

【００１０】（３）電動機２の固定子２１の上記変形が
さらに極端な場合には、固定子２１と回転子２２との間
の隙間寸法が０となり、これら固定子２１，回転子２２
間で接触を起こす。

【００１１】磁気吸引力の大きさは、例えば、次式のよ
うな評価ができる。Ｆ ∝ Ｄｒ・Ｌｒ・Ｂｇ²／ｇ・・・・・・・・（１）ここで、Ｆ：磁気吸引力Ｄｒ：回転子外径Ｌｒ：回転子積厚Ｂｇ：磁束密度ｇ：固定子と回転子との間の隙間である。

【００１２】（１）式から明らかなように、電動機の大
型化（即ち、回転子外径Ｄｒあるいは積厚Ｌｒの拡大）
にともなって磁気吸引力は増大する方向に変化し、従っ
て、上記隙間寸法ｇを所定の値に一様に確保することが
重要な課題となってくる。

【００１３】本発明の目的は、かかる問題を解消し、電
動機の固定子と回転子との間の隙間寸法を一定に保ち、
異常な騒音を防止して信頼性を高めることができるよう
にした密閉形圧縮機を提供することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明は、電動機の固定子に形成されているボルト
穴の内径とこれに差し込まれたボルトの外径とによって
形成される空間内に、このボルトのねじ部の外径とこの
ボルト穴の内径とによって形成される空隙寸法よりも小
なる空隙寸法を形成する手段を設けた。

【００１５】かかる手段を設けることにより、衝撃など
による固定子の変形量が制限され、これら固定子と回転
子との間の隙間寸法をほぼ均一に保つことができるの
で、前述した磁気吸引力の増加による種々の問題を防止
することができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明する。

【００１７】図１は本発明による密閉形圧縮機の一実施
形態を示す縦断面図であって、６はボルトであり、図５
に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省
略する。

【００１８】同図において、ボルト穴２１１は、先の従
来技術と同様に、ボルト６のねじ部が螺合する圧縮機構
部３のねじ穴よりも大径とする。そして、ボルト６とし
ては、その頭部とねじ部との間の部分をねじ部の外径よ
り大径とし、これにより、電動機２の固定子２１のボル
ト穴２１１とこのボルト６との間の空隙寸法が充分小さ
くなるようにしている。

【００１９】かかる小さい空隙寸法を設ける手段として
は、ねじ部を含めたボルト６全長にわたって径を大きく
することも考えられるが、ボルト６の所要の締結力を得
るためのトルクが増大化して生産性が低下するし、ボル
ト６をボルト穴２１１に投入する際の作業性が低下する
ことなどにより、好ましいことではない。これに対し、
ボルト６のねじ部の外径が頭部とねじ部との間の部分の
外径よりも小さくする方が有利であると考えられる。

【００２０】そこで、この実施形態においては、図２
（ａ）にさらに詳細に示すように、ボルト６のねじ部の
外径Ｄ_Bよりもこのねじ部と頭部との間の部分の外径Ｄ₁
を大とし、しかも、この外径Ｄ₁を固定子２１に設けら
れたボルト穴２１１の内径Ｄ０（図２（ｂ））とほとん
ど等しくする。これにより、ボルト６をボルト穴２１１
に挿入したときには、このボルト穴２１１がボルト６に
よってほとんど塞がれ、ボルト穴２１１の内面とボルト
６のねじ部，頭部間の部分の外面との間にほとんどスペ
ースがないようにしている。

【００２１】また、ボルト６の大なる外径Ｄ₁の部分の
長さＬ₁（図２（ａ））は、ボルト穴２１１の長さ、即
ち、固定子２１の積厚Ｌｓの１／２以上に設定する。

【００２２】以上のことからして、ボルト６の外径Ｄ₁
の部分により、ボルト穴２１１が下端から少なくとも固
定子２１の重心部分までは埋め付くされることになる。
衝撃などによって固定子２１が上記のような変形を受け
やすいのは、固定子２１の重心（その厚み方向の中心）
から下側の固定子２１の固定部分から離れた部分であ
り、少なくともこの部分でボルト穴２１１を剛体のボル
ト６で塞ぐことより、固定子２１に衝撃が加わっても、
その変形を防ぐことができる。そして、これにより、特
に、磁気吸引力の影響を受けやすい範囲、即ち、固定子
２１の軸受部から離れた部分と回転子２２との間の隙間
寸法をも所望に確保することができる。

【００２３】なお、ボルト６のねじ部，頭部間の部分の
外径がボルト穴２１１の内径とほとんど等しくしている
ので、図５に示した従来の技術に比べ、固定子２１を圧
縮機構部３にボルト締めする際に、ボルト６のねじ部を
ねじ穴に簡単にねじ込めるかどうかなどの若干の問題が
生ずるが、これは、固定子２１での３〜４個所のボルト
穴２１１と圧縮機構部３での３〜４個所のねじ穴との位
置関係の設定精度高めることによって解消できるし、ま
た、かかる精度を高めることについては、さほど困難な
ことではない。

【００２４】また、この実施形態においても、図５に示
した従来の技術と同様、ボルト穴２１１の内径は圧縮機
構部３に設けられたねじ穴の径よりもかなり大きくして
いるので、かかるボルト穴２１１とねじ穴との位置合わ
せは容易である。

【００２５】図３は本発明による密閉形圧縮機の他の実
施形態の要部を示す部分縦断面図であって、６’は図５
と同様のボルト、７は略円筒状部材であり、前出図面に
対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略
する。

【００２６】同図において、この実施形態においては、
図５に示した従来技術と同様に、ボルト６のねじ部の外
径とこのねじ部，頭部間の外径とを互いに等しくし、か
つ、これら外径を固定子２１に設けられたボルト穴２１
１の内径よりも小さくしたものである。この場合、ボル
ト穴２１１の内面とこれに挿入されてボルト６との間に
かなりの隙間が生ずるが、この隙間を埋めてこの隙間寸
法を充分小さくするための、ボルト穴２１１内に略円筒
形部材７を嵌め込まれる。

【００２７】略円筒形部材７は、図４に示すように、略
Ｃ字形の横断面形状をなした筒状の部材であって、ステ
ンレス鋼のようなばね性を有する材料で形成されてい
る。この略円筒部材７は、その径が縮められるようにし
て、固定子２１のボルト穴２１１にそこから飛び出さな
いように押し込まれる。これにより、略円筒部材７はこ
のボルト穴２１１の内面に弾性的に接触した状態で取り
付けられることになり、固定子２１の積層板のすべりに
よる変形を防止することができる。

【００２８】この略円筒部材７の全長Ｌ₂は固定子２１
の積厚Ｌｓ（図２（ｂ））の１／２以上に設定してお
り、この略円筒部材７はボルト穴２１１の下端から少な
くとも固定子２１の重心位置までに嵌め込まれる。

【００２９】この略円筒部材７が嵌め込まれたボルト穴
２１１にボルト６を挿入して固定子２１を圧縮機構部３
にボルト締めしたとき、このボルト穴２１１の下端から
少なくとも固定子２１の重心位置の部分までがこれらボ
ルト６と略円筒部材７によって埋め付くされ、図１に示
した実施形態と同様に、固定子２１に衝撃が加わって
も、その変形を防ぐことができ、特に、磁気吸引力の影
響を受けやすい範囲、即ち、固定子２１の軸受部から離
れた部分と回転子２２との間の隙間寸法をも所望に確保
することができる。

【００３０】この実施形態は、基本構成としては、図５
に示した従来の技術と同様であり、ボルト穴２１１に上
記の略円筒部材７を設けるという簡単な手段でもって、
上記のような優れた効果が得られるのである。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電動機の固定子の変形による該固定子と回転子との間の
空隙寸法の縮小により発生する磁気吸引力に起因した諸
問題、即ち、電磁音や軸受部の片当たりによる以上摩耗
あるいは固定子と回転子の接触などを防止でき、信頼性
の高い密閉形圧縮機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による密閉形圧縮機の一実施形態を示す
縦断面図である。

【図２】図１に示した第１の実施形態でのボルトと電動
機の固定子に設けられたボルト穴との関係の一具体例を
示す説明図である。

【図３】本発明による密閉形圧縮機の他の実施形態の要
部を示す部分縦断面図である。

【図４】図３における略円筒形部材の一具体例を示す斜
視図である。

【図５】従来の密閉形圧縮機の一例を示す縦断面図であ
る。

【図６】図５に示した従来の密閉形圧縮機での電動機固
定子の変形状態を示す概念図である。

【図７】図６に示した変形状態をさらに詳細に示した概
念図である。

【符号の説明】

１密閉容器２電動機２１固定子２１１ボルト穴２２電動機回転子３圧縮機構部３１クランク軸４支持部材５バネ６ボルト７略円筒形部材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者長里勝美栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地株式会社日立製作所冷熱事業部内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】密閉容器内に電動機と圧縮機構部で構成
される圧縮機本体を収納し、該電動機の固定子が、該固
定子に設けられたボルト穴を介してボルト締めにより、
該圧縮機構部に固定される構造をなす密閉形圧縮機にお
いて、該ボルト穴の内径と該ボルトの外径によって形成される
空間内に、該ボルトのねじ部の外径と該ボルト穴の内径
によって形成される空隙寸法よりも小なる空隙寸法を形
成する手段を設けたことを特徴とする密閉形圧縮機。
【請求項２】請求項１において、前記小なる空隙寸法を形成する範囲が、前記固定子の圧
縮機構部側とは反対側の端面より積厚方向に、前記固定
子の重心位置を包含する距離に設けられたことを特徴と
する密閉形圧縮機。
【請求項３】請求項１または２において、前記小なる空隙寸法を形成する手段が、前記ボルトの外
径を部分的に前記ねじ部の外径寸法よりも大なる径とし
たことを特徴とする密閉形圧縮機。
【請求項４】請求項１または２において、前記小なる空隙寸法を設ける手段として、前記電動機の
固定子の前記ボルト穴の内径に弾性的に係止される略円
筒形部材を用いたことを特徴とする密閉形圧縮機。
【請求項５】請求項４において、前記略円筒形部材におけるその円筒長手方向の断面形状
が略Ｃ字形状を有していることを特徴とする密閉形圧縮
機。
【請求項６】請求項４または５において、前記略円筒形部材が、ステンレスなどのバネ性を有する
金属材料で形成されたことを特徴とする密閉形圧縮機。