JPH0912471A - 皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤

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JPH0912471A
JPH0912471A JP7188029A JP18802995A JPH0912471A JP H0912471 A JPH0912471 A JP H0912471A JP 7188029 A JP7188029 A JP 7188029A JP 18802995 A JP18802995 A JP 18802995A JP H0912471 A JPH0912471 A JP H0912471A
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JP
Japan
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thioredoxin
skin
fraction
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thioredoxin reductase
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JP7188029A
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English (en)
Inventor
Atsuhiro Iwamoto
敦弘 岩本
Hitoshi Masaki
仁 正木
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Noevir Co Ltd
Original Assignee
Noevir Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 皮膚組織におけるレドックス制御機構を正常
化し、より活性化して、種々の生理活性を有する皮膚外
用剤を得る。 【構成】 細菌,植物或いは動物由来のチオレドキシン
と、チオレドキシンリダクターゼとを含有させて皮膚外
用剤とする。さらにニコチン酸アミドアデニンジヌクレ
オチドリン酸(NADPH)を配合しても良い。紫外線
等により生じる酸化ストレスから皮膚を保護し、皮膚細
胞を賦活して優れた老化防止,改善作用を発揮し、さら
にチロシナーゼの生合成を阻害することにより、優れた
美白作用を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線等により生じた
酸化ストレスから皮膚を保護し、さらに皮膚の線維芽細
胞の増殖を促進して皮膚の老化を防止し、またチロシナ
ーゼ生成阻害作用により優れた美白効果を発揮し得る、
非常に生理活性の高い皮膚外用剤に関する。さらに詳し
くは、チオレドキシンとチオレドキシンリダクターゼの
複合体、或いは前記複合体と還元型ニコチン酸アミドア
デニンジヌクレオチド(NADPH)とを含有して成る
皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外線,放射線,重金属などにより生じ
た活性酸素種は、動物の生体内において様々な反応を惹
き起こすが、皮膚組織においても、これらの損傷や老化
に深く関与することが知られている。このような酸化ス
トレスに対して、生体内ではさまざまな機構でレドック
ス制御が行われている。そして、かかるレドックス制御
に関わる物質を皮膚外用剤に応用しようとする試みも見
られ、グルタチオンエステルの配合(特公昭48−15
05)、チオレドキシンの金属により触媒される酸化傷
害への応用(特開昭62−246520,同63−23
0637)が知られている。
【0003】しかしながら、上記した従来用いられてい
る技術においては、主としてグルタチオンやチオレドキ
シンの有する還元作用を利用したものであって、生体の
有するレドックス制御機構の正常化といった観点に立っ
たものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】今回、本発明では、皮
膚組織において生体の有するレドックス制御機構を正常
化し、より活性化することにより、酸化ストレスに対す
る抵抗性を向上させ、酸化ストレスにより生じる種々の
傷害反応を防止するという観点に立って、全く新しいタ
イプの皮膚外用剤を得ることを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明において、われわ
れは特にチオレドキシンを中心としたレドックス制御系
に着目し、チオレドキシンとその還元酵素であるチオレ
ドキシンリダクターゼの複合体を皮膚外用剤に配合する
ことにより、酸化ストレスに対する抵抗性の向上,活性
酸素種により生じる皮膚傷害の防止,改善作用の他に、
優れた生理活性が得られることを見い出し、本発明を完
成させるに至った。また、さらに水素供与体である還元
型ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド(NADP
H)を加えることにより、前記の生理活性がさらに高め
られることを見い出した。
【0006】チオレドキシンは、分子量10,000〜
13,000のチオール(SH)基を有する電子伝達タ
ンパク質で、リボヌクレオチドリダクターゼがリボヌク
レオチド二リン酸をデオキシリボヌクレオチド二リン酸
に還元する際の直接の電子供与体として作用する。生体
内においては、チオレドキシンリダクターゼとともにレ
ドックス制御系を形成する。本発明においては、細菌,
植物及び動物由来のチオレドキシン,チオレドキシンリ
ダクターゼ及びNADPHを用いることができる。チオ
レドキシン及びチオレドキシンリダクターゼは精製した
ものを用いてもよいが、細菌や植物より調製したこれら
の活性を有する分画成分をそのまま用いることができ
る。
【0007】チオレドキシン及びチオレドキシンリダク
ターゼ含有画分の調製方法の一例を以下に示す。まずモ
ルモット肝臓より得たアセトンパウダー3gを50mMリ
ン酸カリウム緩衝液(pH7.2)中にて4℃で3時間
抽出した。抽出液を0.5N塩酸で処理しpHを調製し
た後熱処理(65℃)し、Red Sepharose
CL-6Bカラムにてチオレドキシンとチオレドキシ
ンリダクターゼとを分離した。チオレドキシンリダクタ
ーゼ画分は、DEAE-Sephacelカラムにて0
〜0.3M、ついで0.3〜1.0Mの濃度勾配の塩化
カリウムにて溶出させてさらに精製した。一方チオレド
キシン画分についても、DEAE-Sephacelカ
ラムにて0〜0.3Mの塩化カリウムにて溶出させ、イ
ンシュリン還元活性を有する画分を得た。その結果、表
1に示すようなチオレドキシン画分及びチオレドキシン
リダクターゼ画分を得た。ここで、チオレドキシンリダ
クターゼ活性は、1分間に1nmolのNADPHを酸化す
る時1unitとして表した。
【表1】
【0008】上記のチオレドキシン及びチオレドキシン
リダクターゼには、種々の生理活性が認められた。それ
らについて以下に示す。なお、チオレドキシンリダクタ
ーゼ画分としては、表1の(B)画分を用いた。
【0009】(1)紫外線照射による細胞傷害に対する保
護効果 マウスケラチノサイトを喜多野らによる修正MCDB1
53培地にて37℃で24時間培養した後、リン酸緩衝
塩類溶液にて2回洗浄後、Hank’s緩衝液に交換し
て、100μg/mlとしたチオレドキシン及びチオレドキ
シンリダクターゼ画分各100μlを添加し、FL-2
0S・Eランプを光源として300mJ/cm2の中波
長紫外線(UVB)を照射した。照射後、ケラチノサイ
トをMCDB153培地中で37℃で24時間インキュ
ベートし、ニュートラルレッド法により細胞生存率を求
めた。結果は、図1において、UVBを照射しない対照
培養系(1)の生存率を100%として、チオレドキシ
ン及びチオレドキシンリダクターゼを添加しないでUV
Bを照射した系(2)、100μg/mlのNADPHのみ
を添加してUVBを照射した系(3)と比較して示し
た。
【0010】図1より、チオレドキシン画分及びチオレ
ドキシンリダクターゼ画分を添加した系(4)では、こ
れらを添加しなかった対照培養系(2)に比べて、UV
B照射後の細胞生存率は約130%に上昇していた。な
お、NADPHのみを添加した系(3)では、有意な細
胞生存率の上昇は認められなかった。
【0011】(2)線維芽細胞増殖促進効果 ヒト線維芽細胞を10重量%の牛胎仔血清を添加したD
MEM培地にて37℃で24時間培養し、100μg/ml
のチオレドキシン画分及びチオレドキシンリダクターゼ
画分或いはさらに100μg/mlNADPHを各100μ
l添加し、さらに37℃で24時間培養した後、細胞数
をチオレドキシン等を加えない対照(1)、及びNAD
PHのみを添加した系(3)と比較して、図2に示し
た。
【0012】図2より、チオレドキシン画分及びチオレ
ドキシンリダクターゼ画分を添加した系(4)では、対
照(1)に比べて112%の細胞増殖促進効果が認めら
れた。さらにNADPHを加えた系(5)ではほぼ12
0%の細胞増殖促進が見られた。一方、NADPHのみ
を加えた系(3)では、有意な細胞の増殖は認められな
かった。
【0013】(3)チロシナーゼ生合成阻害効果 100μg/mlのチオレドキシン画分及びチオレドキシン
リダクターゼ画分或いはさらに100μg/mlのNADP
Hを、マウスB16メラノーマ細胞の懸濁液(細胞数5
0,000程度)に添加し、10重量%牛胎仔血清を添
加したDMEM培地にて24時間培養を行った後、以下
の方法により細胞中のチロシナーゼ活性を測定した。す
なわち、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)2mlに
1.0重量%のドーパ水溶液0.5ml及び培養細胞液
0.5mlを混合し、37℃にて1時間インキュベートし
た後、405nmにおける吸光度(As)を測定した。対
照として、精製水を添加して同様に培養し、培養細胞液
とドーパ水溶液とをインキュベートして吸光度(Ab)
を測定し、式(1)によりチロシナーゼ生合成阻害率を
求めた。なお、ポジティブコントロールとして乳酸ナト
リウムを最終濃度が0.3mMとなるように添加した系
(6)、及びチオレドキシン画分を単独で添加した系
(7)についても、同様にチロシナーゼ生合成阻害率を
測定した。結果は図3に示した。
【数1】
【0014】図3より明らかなように、チオレドキシン
画分及びチオレドキシンリダクターゼ画分をともに添加
した系(4)においては、細胞中のチロシナーゼ量は対
照(1)の約60%まで減少していた。また、さらにN
ADPHを添加した系(5)においても同程度のチロシ
ナーゼ生合成の阻害が認められた。一方、チオレドキシ
ン画分を単独で添加した系(7)では、対照(1)に比
べて有意なチロシナーゼ生合成量の減少は認められなか
った。
【0015】本発明においては、チオレドキシン及びチ
オレドキシンリダクターゼを水溶液として、或いはこれ
らを含有する植物,動物の抽出画分の状態で外用剤基剤
に添加し、皮膚外用剤とする。皮膚外用剤の剤形として
は、ローション状,ゲル状,乳剤,軟膏等の形態をとる
ことができる。また、柔軟性化粧水,収斂性化粧水,洗
浄用化粧水等の化粧水、エモリエントクリーム,モイス
チュアクリーム,マッサージクリーム,クレンジングク
リーム,メイクアップクリーム等のクリーム類、エモリ
エント乳液,モイスチュア乳液,ナリシング乳液,クレ
ンジング乳液等の乳液類、ゼリー状パック,ピールオフ
パック,粉末パック等のパック類及び洗顔料類といった
種々の製剤形態の化粧料としても提供することができ
る。配合量としては、チオレドキシン及びチオレドキシ
ンリダクターゼを各0.5μg/ml含有する水溶液にし
て、ほぼ皮膚外用剤全量の0.01〜10.0重量%程
度が適当である。チオレドキシン及びチオレドキシンリ
ダクターゼとともに配合し得るNADPHの配合量とし
ても、0.01〜10.0重量%程度が適当である。
【0016】
【作用】本発明に係る皮膚外用剤においては、チオレド
キシン及びチオレドキシンリダクターゼの有する細胞保
護作用,線維芽細胞増殖促進作用及びチロシナーゼ生合
成阻害作用により、紫外線による皮膚の炎症や老化症状
の防止及び改善、皮膚の創傷治癒促進,皮膚のしわ,た
るみの消失,皮膚弾力性の回復等の皮膚細胞の賦活作
用、しみやそばかすの改善や日焼け等の防止,改善とい
った皮膚の美白作用が認められる。
【0017】
【実施例】さらに本発明の特徴について、実施例により
詳細に説明する。
【0018】 [実施例1] 皮膚用クリーム (1)ステアリン酸 1.00(重量%) (2)ステアリルアルコール 4.00 (3)モノステアリン酸グリセリル 3.00 (4)硬化ヒマシ油 7.00 (5)流動パラフィン 14.00 (6)サフラワー油 2.00 (7)セスキオレイン酸ソルビタン 1.00 (8)水酸化ナトリウム 0.05 (9)カルボキシビニルポリマー 0.10 (10)チオレドキシン・チオレドキシンリダクターゼ 0.10 水溶液(各0.5mg/ml) (11)パラオキシ安息香酸メチル 0.10 (12)香料 0.20 (13)精製水 67.45 製法:(1)〜(7)の油相を75℃に加熱溶解する。一方、
(8),(11)を(13)の一部に加えて75℃に加熱溶解し、
これに前述の油相を加えて乳化させた後、(13)の残部に
溶解させて増粘させた(9)を加え、ついで冷却し、40
℃にて(10),(12)を添加し、さらに室温まで冷却する。
【0019】 [実施例2] 液状皮膚外用剤 (1)グリセリン 5.0 (重量%) (2)プロピレングリコール 4.0 (3)エタノール 10.0 (4)チオレドキシン・チオレドキシンリダクターゼ 0.2 水溶液(各0.5mg/ml) (5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (6)精製水 80.7 製法:(5)を(3)に溶解して(6)に加え、(1),(2),(4)を
順次加えて混合,均一化する。
【0020】 [実施例3] 液状皮膚外用剤 (1)グリセリン 5.0 (重量%) (2)エタノール 10.0 (3)チオレドキシン・チオレドキシンリダクターゼ 0.2 水溶液(各0.5mg/ml) (4)NADPH 0.2 (5)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (6)精製水 84.5 製法:(5)を(2)に溶解して(6)に加え、(1),(3),(4)を
順次加えて混合,均一化する。
【0021】 [実施例4] 化粧水 (1)1,3-ブチレングリコール 3.0 (重量%) (2)ソルビトール 2.0 (3)エタノール 2.0 (4)ピロリドンカルボン酸ナトリウム 3.0 (5)胎盤抽出物のチオレドキシン含有画分 1.0 (6)胎盤抽出物のチオレドキシンリダクターゼ含有画分 1.0 (7)カルボキシビニルポリマー1.0重量%水溶液 2.0 (8)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (9)香料 0.2 (10)精製水 85.7 製法:(8)を(3)に溶解して(10)に加え、(1),(2),(4)
〜(7),(9)を順次加えて混合,均一化する。
【0022】 [実施例5] O/W型皮膚用乳剤 (1)白色ワセリン 25.0 (重量%) (2)ステアリルアルコール 25.0 (3)ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 (4)チオレドキシン・チオレドキシンリダクターゼ 0.5 水溶液(各0.5mg/ml) (5)NADPH 0.5 (6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (7)精製水 47.9 (1)〜(3)の油相成分を混合,溶解して均一とし、75℃
に加熱する。一方、(6)及び(7)の水相成分を混合,溶解
して75℃に加熱する。ついで前記水相成分に油相成分
を加えて乳化し、冷却後40℃にて(4),(5)を添加,混
合した後、さらに冷却する。
【0023】 [実施例6] 乳液 (1)スクワラン 5.0 (重量%) (2)白色ワセリン 2.0 (3)ミツロウ 0.5 (4)セスキオレイン酸ソルビタン 0.8 (5)ポリオキシエチレン(20E.O)オレイン酸ソルビタン 1.2 (6)プロピレングリコール 5.0 (7)エタノール 5.0 (8)胎盤抽出物のチオレドキシン含有画分 1.5 (9)胎盤抽出物のチオレドキシンリダクターゼ含有画分 1.5 (10)NADPH 0.1 (11)カルボキシビニルポリマー1.0重量%水溶液 20.0 (12)パラオキシ安息香酸メチル 0.1 (13)水酸化カリウム 0.1 (14)香料 0.2 (15)精製水 57.0 製法:(1)〜(5)の油相成分を混合,溶解して均一とし、
75℃に加熱する。一方、(6),(12),(15)の水相成分
を混合,溶解して75℃に加熱し、これに前記油相成分
を添加して予備乳化し、これに(11)を添加した後ホモミ
キサーにて均一に乳化する。その後冷却し、(13)を加え
てpHを調整した後、40℃にて(7)〜(10)及び(14)を
添加,混合し、さらに冷却する。
【0024】上記実施例について、紫外線による皮膚の
老化の防止効果,創傷治癒効果及び美白効果を評価し
た。
【0025】まず、紫外線による皮膚の老化防止効果に
ついては、戸外で作業する20才〜50才の男女パネラ
ー20名を1群とし、各群にそれぞれ実施例及び比較例
をブラインドにて顔面及び手に使用させ、しわ及び皮膚
弾性の変化を肉眼観察と写真撮影、及び皮膚弾性率の測
定により評価した。使用期間は紫外線照射量の多い4月
〜9月の6カ月間とし、朝と夕方の1日2回使用させ
た。評価は、しわについては「減少」,「やや減少」,
「変化なし」,「増加」の4段階、皮膚弾性については
「上昇」,「やや上昇」,「変化なし」,「低下」の4
段階にて行い、各評価を得たパネラー数にて表2に示し
た。なお、各実施例においてチオレドキシン・チオレド
キシンリダクターゼ水溶液或いはチオレドキシン含有画
分及びチオレドキシンリダクターゼ含有画分を精製水に
代替したものをそれぞれ比較例1〜比較例6とした。
【表2】
【0026】表2より、しわについては、本発明の実施
例使用群において実施例4使用群で「変化なし」と評価
されたパネラーが1例認められたのみで、他の実施例使
用群ではいずれも減少傾向が見られた。特にチオレドキ
シン・チオレドキシンリダクターゼ水溶液の添加量の多
い実施例2,実施例3及び実施例5使用群においては、
しわの減少効果は顕著であった。また、チオレドキシン
画分及びチオレドキシンリダクターゼ画分を配合した化
粧料である実施例4及び実施例6使用群においても、3
5%及び40%のパネラーにおいてしわの明確な減少を
認めていた。
【0027】また、皮膚弾性については、実施例使用群
では皮膚弾性の改善されなかったパネラーは認められな
かった。特に実施例2使用群では85%、実施例3使用
群では95%、実施例5使用群ではすべてのパネラーに
おいて皮膚弾性の明らかな上昇が認められていた。
【0028】一方、比較例使用群ではしわ及び皮膚弾性
について改善傾向の認められたパネラーは見られず、し
わの増加,皮膚弾性の低下と、皮膚の老化症状が促進さ
れ、皮膚症状の悪化したパネラーも認められていた。
【0029】次に、本発明の各実施例と上記した比較例
1〜比較例6について、創傷治癒効果及び抗炎症作用に
ついて評価した。評価は、人工的に創傷又は炎症を生じ
させたマウス各5匹を用い、実施例及び比較例の各試料
を創傷部位又は炎症部位に0.5gずつ1日2回7日間
塗布し、7日目に創傷又は炎症部位の状態を観察して行
った。創傷の治癒については「完全治癒」,「ほぼ治
癒」,「治癒が不完全」の3段階で、抗炎症作用につい
ては「有効」,「やや有効」,「無効」の3段階で評価
した。ここで、創傷の治癒過程の70〜80%程度まで
進行している場合に「ほぼ治癒」と評価し、炎症の改善
が70〜80%程度認められた場合に「やや有効」と評
価した。結果は各評価を得たマウスの数にて表3に示し
た。
【表3】
【0030】表3において、本発明の実施例塗布群で
は、創傷治癒が不完全であると認められたマウスは見ら
れなかった。また、有効な抗炎症作用が見られなかった
マウスも0であった。特に実施例5塗布群においては、
5匹中4匹において完全に創傷の治癒が認められ、全マ
ウスにおいて有効な抗炎症作用が認められた。牛胎盤抽
出物のチオレドキシン画分及びチオレドキシンリダクタ
ーゼ画分をそのまま配合した化粧料である実施例4及び
実施例6塗布群においても、創傷の治癒傾向は全マウス
で認められており、炎症の改善においてもかなり有効で
あった。
【0031】これに対し、比較例塗布群では、いずれに
おいても完全治癒を認めたマウスは見られず、抗炎症作
用についてもほとんど無効と評価された。
【0032】続いて、ヒトにおける皮膚の美白効果を使
用試験により評価した。使用試験は、しみ,そばかす,
日焼け等の色素沈着が顕著に認められる30才〜50才
代の女性パネラー20名ずつを1群とし、各群について
実施例及び比較例の各試料をブラインドにて朝夕各1
回、色素沈着の認められる部位に3カ月間継続して使用
させて行った。美白効果は使用試験終了後の色素沈着部
位のようすを観察して評価した。なお、実施例1〜実施
例3及び実施例5において、各0.5mg/mlのチオレド
キシン・チオレドキシンリダクターゼ水溶液を1.0mg
/mlのチオレドキシン水溶液に代替したものをそれぞれ
比較例7〜比較例9及び比較例11とし、実施例4及び
実施例6において、チオレドキシンリダクターゼ画分を
配合せずにチオレドキシン画分を倍量配合したものを比
較例10及び比較例12とした。結果を表4に示す。
【表4】
【0033】表4より明らかなように、本発明の実施例
使用群においては、実施例4使用群で1例のみ変化を認
めなかったのみで、その他は色素沈着症状の改善が認め
られた。特に実施例2,実施例3及び実施例5使用群で
は、75%〜90%のパネラーにおいて色素沈着の消失
が認められた。チオレドキシン及びチオレドキシンリダ
クターゼの絶対配合量が少ない化粧料である実施例4及
び実施例6使用群でも、30%及び35%のパネラーに
おいて色素沈着の完全な消失が認められた。
【0034】これに対し、比較例使用群では、若干の色
素沈着の改善は認められるが、実施例使用群に比べて改
善の度合いは低く、全く変化を認めないパネラーも全比
較例使用群において認められ、特に比較例10使用群及
び比較例12使用群では、半数以上のパネラーにおいて
色素沈着症状の改善が認められなかった。
【0035】なお、本発明の実施例については、上記使
用試験の間に皮膚刺激性や感作性を認めたパネラーは全
く見られなかった。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、紫
外線による皮膚の老化や炎症を防止し、良好な皮膚の賦
活作用により優れた創傷治癒作用及び抗炎症作用を有
し、さらに優れた美白作用を有する皮膚外用剤を得るこ
とができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 紫外線による細胞傷害防止作用を示す図であ
る。
【図2】 線維芽細胞増殖促進作用を示す図である。
【図3】 チロシナーゼ生合成阻害作用を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 対照 2 Hank’s緩衝液のみを添加した系 3 NADPHのみを添加した系 4 チオレドキシン画分及びチオレドキシンリダクター
ゼ画分を添加した系 5 チオレドキシン画分,チオレドキシンリダクターゼ
画分及びNADPHを添加した系 6 乳酸ナトリウムを添加した系 7 チオレドキシン画分のみを添加した系
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年7月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線等により生じた
酸化ストレスから皮膚を保護し、さらに皮膚の線維芽細
胞の増殖を促進して皮膚の老化を防止し、またチロシナ
ーゼ生成阻害作用により優れた美白効果を発揮し得る、
非常に生理活性の高い皮膚外用剤に関する。さらに詳し
くは、チオレドキシンとチオレドキシンリダクターゼの
複合体、或いは前記複合体と還元型ニコチン酸アミドア
デニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)とを含有し
て成る皮膚外用剤に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明において、われわ
れは特にチオレドキシンを中心としたレドックス制御系
に着目し、チオレドキシンとその還元酵素であるチオレ
ドキシンリダクターゼの複合体を皮膚外用剤に配合する
ことにより、酸化ストレスに対する抵抗性の向上,活性
酸素種により生じる皮膚傷害の防止,改善作用の他に、
優れた生理活性が得られることを見い出し、本発明を完
成させるに至った。また、さらに水素供与体である還元
型ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸(N
ADPH)を加えることにより、前記の生理活性がさら
に高められることを見い出した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】 (3)チロシナーゼ生合成阻害効果 100μg/mlのチオレドキシン画分及びチオレドキシン
リダクターゼ画分或いはさらに100μg/mlのNADP
Hを、マウスB16メラノーマ細胞の懸濁液(細胞数5
0,000程度)に添加し、10重量%牛胎仔血清を添
加したDMEM培地にて24時間培養を行った後、以下
の方法により細胞中のチロシナーゼ活性を測定した。す
なわち、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)2mlに
1.0重量%のドーパ水溶液0.5ml及び培養細胞液
0.5mlを混合し、37℃にて1時間インキュベートし
た後、405nmにおける吸光度(As)を測定した。対
照として、精製水を添加して同様に培養し、培養細胞液
とドーパ水溶液とをインキュベートして吸光度(Ab)
を測定し、式(1)によりチロシナーゼ生合成阻害率を
求めた。なお、ポジティブコントロールとして乳酸ナト
リウムを最終濃度が0.3mMとなるように添加した系
(6)、及びチオレドキシン画分を単独で添加した系
(7)についても、同様にチロシナーゼ生合成阻害率を
測定した。結果は図3に示した。
【数1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 38/44 ADA A61K 37/50 ADA

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チオレドキシン及びチオレドキシンリダ
    クターゼを含有することを特徴とする皮膚外用剤。
  2. 【請求項2】 チオレドキシン及びチオレドキシンリダ
    クターゼと、還元型ニコチン酸アミドアデニンジヌクレ
    オチドリン酸(NADPH)とを含有することを特徴と
    する、皮膚外用剤。
  3. 【請求項3】 皮膚外用剤が化粧料であることを特徴と
    する、請求項1に記載の皮膚外用剤。
  4. 【請求項4】 皮膚外用剤が化粧料であることを特徴と
    する、請求項2に記載の皮膚外用剤。
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