JPH09121570A - 振動アクチュエータ - Google Patents

振動アクチュエータ

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JPH09121570A
JPH09121570A JP8128337A JP12833796A JPH09121570A JP H09121570 A JPH09121570 A JP H09121570A JP 8128337 A JP8128337 A JP 8128337A JP 12833796 A JP12833796 A JP 12833796A JP H09121570 A JPH09121570 A JP H09121570A
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vibration
vibrator
contact
elastic body
vibration actuator
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JP8128337A
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English (en)
Inventor
Isao Sugaya
功 菅谷
Takatoshi Ashizawa
隆利 芦沢
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/0005Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing non-specific motion; Details common to machines covered by H02N2/02 - H02N2/16
    • H02N2/001Driving devices, e.g. vibrators
    • H02N2/0045Driving devices, e.g. vibrators using longitudinal or radial modes combined with torsion or shear modes
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02NELECTRIC MACHINES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H02N2/00Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction
    • H02N2/10Electric machines in general using piezoelectric effect, electrostriction or magnetostriction producing rotary motion, e.g. rotary motors
    • H02N2/106Langevin motors

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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 異形モード縮退型の振動アクチュエータに
は、駆動時に、異音が発生してしまったり、駆動効率や
駆動力が低下してしまうという課題があった。 【解決手段】 支持部材15と,支持部材15の外面に
設置され端面である駆動面Dに駆動力を発生する弾性体
11と,支持部材15の周囲に回動自在に設置され弾性
体11に加圧接触される相対運動部材12と,支持部材
15及び弾性体11を固定する固定部材16とを備え、
弾性体11の内周面の一部に、弾性体11と支持部材1
5との位置関係を規制する取付基準部11cが設けられ
る振動アクチュエータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機械変換素子
を接合されて複数の振動モードを発生する弾性体と,こ
の弾性体に加圧接触される相対運動部材とを備える異形
モード縮退型の振動アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】図16は、縦−捩り振動型の振動アクチ
ュエータの従来例の構造を示した斜視図である。
【0003】従来、この種の振動アクチュエータでは、
ステータ(固定子)101は、2つの円柱型の振動子1
02,103間に捩り振動用の圧電素子104が配置さ
れるとともに、振動子103の上側に縦振動用の圧電素
子105が配置される。捩り振動用の圧電素子104は
周方向に分極され、一方、縦振動用の圧電素子105は
厚み方向に分極される。さらに、ロータ(移動子)10
6は、縦振動用の圧電素子105の上側に配置される。
【0004】ステータ101を構成する振動子102,
103及び圧電素子104,105は、シャフト107
のねじ部に螺合されて固定され、ロータ106は、ボー
ルベアリング108を介してシャフト107に回転可能
に設けられる。シャフト107の先端にはばね109を
介してナット110が螺合し、ロータ106をステータ
101に加圧力Fで加圧接触させる。
【0005】捩り振動用の圧電素子104と縦振動用の
圧電素子105とは、発振器111から発振される同一
周波数の電圧を、移相器112により位相制御して駆動
される。
【0006】捩り振動用の圧電素子104は、ロータ1
06が回転するための機械的変位を与え、一方、縦振動
用の圧電素子105はステータ101とロータ106と
の間に働く摩擦力を、圧電素子104による捩り振動の
周期に同期させて周期的に変動させることにより、振動
を一方向への運動に変換するクラッチ的役割を果たして
いる。
【0007】図17は、この従来の振動アクチュエータ
のステータ101を展開して示した斜視図である。捩り
振動用の圧電素子104は、周方向に分極する必要があ
るため、圧電材料を図17に示すように、6〜8個程度
の扇形の小片に一旦分割し、各小片を分極した後に再度
環状に組み合わせていた。なお、符号104aは電極で
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
の振動アクチュエータでは、捩り振動用の圧電素子10
4を環状に組み合わせる時に、形状精度を出すことが難
しかった。
【0009】一方、縦振動用の圧電素子105,及び捩
り振動用の圧電素子104それぞれの面積は、ともに、
ステータ106の断面積と略等しいか、又は、ステータ
106の断面積よりも小さかった。また、シャフト10
7を貫通させるために縦振動用の圧電素子105,及び
捩り振動用の圧電素子104それぞれの中央部に孔を開
ける必要もあり、そのために、縦振動用の圧電素子10
5,及び捩り振動用の圧電素子104それぞれの面積は
さらに小さくなり、振動アクチュエータの高トルク化及
び高回転化をともに図ることが難しかった。
【0010】このような問題を解決するために、本出願
人は、既に特願平6−275022号により、高トルク
及び高回転で駆動することができ、しかも、構造及び製
造がともに容易な異形モード縮退型の振動アクチュエー
タを提案した。
【0011】図18は、この異形モード縮退型の振動ア
クチュエータの一例の構造を示す断面図であり、図19
は、この振動アクチュエータを構成する振動子を抽出し
て示す斜視図である。
【0012】図18において、円柱状の固定軸1の外周
面には、円筒状の弾性体である振動子2が、固定軸1の
略中心部1aに螺合する取付ボルト3a,3bにより貫
着される。
【0013】振動子2は、図18に示すように、二つの
厚肉の半円管状弾性体2a,2bを組み合わせて構成さ
れており、その接合面には、圧電定数d15を用いる捩り
振動用の圧電素子4,4と圧電定数d31を用いる縦振動
用の圧電素子5,5とがそれぞれ2枚ずつ計4枚挟持さ
れる。
【0014】図18及び図19において、振動子2の上
端面である駆動面Dには、中央部に配置されたベアリン
グ6により固定軸1に回動自在に配置された相対運動部
材である移動子7が接触する。
【0015】移動子7は、厚肉円環状の移動子母材7a
と,振動子2の駆動面Dに接触する摺動材7bとから構
成され、移動子母材7aの内周部に嵌合されたベアリン
グ6によって固定軸1に対して位置決めされる。
【0016】また、移動子7は、加圧部材である皿バネ
8(スプリングバネ又は板バネ等であってもよい。)に
より、弾性体2の駆動面Dに適宜接触圧力で加圧接触さ
れる。
【0017】このように、固定軸1は、振動子2を固定
・保持するとともに移動子7を半径方向に回動自在に位
置決めし、振動アクチュエータとして駆動する際の軸振
れの発生を防止する。この固定軸1は、先端にねじ部1
bが形成され、皿バネ8の加圧量を調整するための加圧
力調整部材であるナット9が螺合する。
【0018】このように構成された振動アクチュエータ
は、圧電素子4,5それぞれに図示しない駆動電圧発生
装置から駆動電圧を印加されることにより励振し、振動
子2には捩り振動及び縦振動が調和的に発生する。捩り
振動及び縦振動それぞれの共振周波数が略一致すると、
捩り振動及び縦振動が同時に生じ(縮退)、駆動面Dに
楕円運動が発生し、この楕円運動が駆動力となって、加
圧接触する移動子7が回転駆動される。
【0019】ところで、本発明者らがさらに検討を重ね
た結果、この異形モード縮退型の振動アクチュエータに
は次のような問題があることがわかった。すなわち、振
動子2は、その内面の略全域で固定軸1に接触するた
め、固定軸1及び振動子2それぞれの加工精度等によ
り、振動子2には接触圧が高くなる部分と低くなる部分
とが生じてしまう。
【0020】このような接触圧の不均一が振動子2に生
じている状態で振動アクチュエータを駆動すると、振動
子2に発生する捩り振動及び縦振動により、振動子2の
うちの接触圧が低い部分が固定軸1と干渉して、異音が
発生してしまうという課題があった。
【0021】一方、移動子7を効率よく駆動するため、
又は移動子7の駆動力を大きくするためには、振動子2
の振動損失を低減させる必要がある。しかし、図18及
び図19に示す振動アクチュエータでは、振動子2は、
その内面の略全域で固定軸1に接触するため、振動子2
の振動損失が増加してしまう場合もあり、移動子7の駆
動効率や駆動力が低下してしまうという課題もあった。
【0022】すなわち、振動アクチュエータは、振動子
の共振モードを励起し、これを駆動力として取り出す。
このことから、高効率の振動アクチュエータを得るため
には、振動子に発生する振動振幅を移動子に最大限に伝
達することが必要になる。一方、振動子は、移動子との
位置決めや搭載対象機器等への搭載のために、固定軸に
取り付ける必要がある。この固定軸は、従来、振動子位
置決めを正確に行うためにある程度の位置合わせを行う
ことや、振動子保持のために必要な固定面積を確保する
ことを必要とし、振動子をボルト等により強固に固定す
る必要があった。
【0023】しかし、振動子をボルト等により固定する
と、たとえ、その固定位置が振動子に励起される複数の
振動の節付近であっても、大きな固定面積を用いるとと
もに高剛性な固定法であるため、振動子に発生する各振
動のエネルギー散逸(エネルギー減衰)、つまり振動子
の支持損失は免れることができなかった。
【0024】このような支持損失を少しでも低減するた
め、従来より、固定面積を小さくしたり、支持部材の剛
性を低下させることを目的に振動子と固定軸とをボルト
ではなくピンにより連結・固定すること等も検討されて
きた。
【0025】図20は、振動子2と固定軸1とを、ピン
3cを支持部材として用いることにより、固定した形態
を示す拡大断面図である。ピン3cを用いることによ
り、振動子2の固定面積を低減するとともに、支持部材
の剛性を低下させて振動子2における支持損失を低減す
ることを図るものである。
【0026】図20に示すように、ピン3cを支持部材
として用いることにより、支持損失を低減することは確
かに可能である。しかし、この場合、振動子2と固定軸
1との間の固定面積が減少するため、振動アクチュエー
タの駆動に伴って固定軸1に対して振動子2が振れてし
まう。そのため、振動子2を固定軸1に対して正確に位
置決めするためには、振動子2と固定軸1との間の隙間
に、環状のカラーA1,A2等の別部材を装着する必要
があった。
【0027】また、図20に示すように、振動子2と固
定軸1との間の隙間にカラーA1,A2を用いるにして
も、カラーA1,A2と振動子内周面,固定軸外周面と
の間には、嵌め合いを行うだけの隙間が必要であるた
め、振動子と固定軸との正確な位置決めは極めて難しい
という課題があった。
【0028】さらに、従来は、振動アクチュエータを搭
載対象機器の一部に組み込んだ場合、振動子に発生する
振動が固定軸を介して伝搬し、この振動アクチュエータ
の周囲近傍に搭載されている他の部品(例えばセンサ
等)に悪影響を与えてしまうという課題があった。
【0029】このような場合、振動アクチュエータの駆
動周波数を、前述した他の部品にとって好ましくない周
波数帯域から外すように設計することになる。しかし、
これでは、振動アクチュエータの設計の自由度が著しく
抑制されることになる。
【0030】また、別の対策として、振動アクチュエー
タと他の部品との間の距離をできるだけ大きくすること
や、振動絶縁のために防振材等を振動アクチュエータ近
傍にに設けることも考えれる。しかし、これでは、振動
アクチュエータや搭載対象機器の設計上、様々な拘束要
件を発生させ、設計の自由度を著しく損なうことになっ
てしまう。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述した異形
モード縮退型の振動アクチュエータにおいて、振動子が
固定軸に内周部全域で接触するのではなく、その一部で
固定軸に接触するように構成することにより、上述した
課題の解決を可能としたものである。
【0032】請求項1の発明は、棒状の支持部材と,こ
の支持部材の外面に設置されるとともに、駆動信号によ
り励振されて電気エネルギーを機械エネルギーに変換す
る電気機械変換素子を保持し、端面である駆動面に駆動
力を発生する弾性体と,支持部材の周囲に回動自在に設
置されるとともに、駆動面において弾性体に加圧接触さ
れる相対運動部材と,支持部材及び弾性体を貫通して、
支持部材及び弾性体を固定する固定部材とを備える振動
アクチュエータにおいて、弾性体の内周面の一部には、
弾性体と支持部材との位置関係を規制する取付基準部が
設けられることを特徴とする。
【0033】請求項2の発明は、請求項1に記載された
振動アクチュエータにおいて、支持部材が、軸方向に関
し、取付基準部に当接する接触部と,取付基準部を除く
弾性体の内周面から離間する非接触部とを備えることを
特徴とする。
【0034】請求項3の発明は、請求項2に記載された
振動アクチュエータにおいて、接触部が大径部であると
ともに、非接触部が小径部であることを特徴とする。請
求項4の発明は、請求項2又は請求項3に記載された振
動アクチュエータにおいて、接触部が、支持部材の外周
の一部について形成されることを特徴とする。
【0035】請求項5の発明は、請求項1から請求項4
までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータに
おいて、接触部が、弾性体の捩り振動又は縦振動の節部
に接触する位置に設けられることを特徴とする。
【0036】請求項6の発明は、請求項4又は請求項5
に記載された振動アクチュエータにおいて、接触部の一
部には、さらに、取付基準部に接触しない非接触部分が
形成されることを特徴とする。
【0037】請求項7の発明は、請求項6に記載された
振動アクチュエータにおいて、非接触部分が、接触部に
設けられたざぐり穴により、形成されることを特徴とす
る。
【0038】請求項8の発明は、請求項2から請求項7
までのいずれか1項に記載された振動アクチュエータに
おいて、弾性体には、支持部材の接触部を弾性体の取付
基準部へ向けて当接させる当接部材が設けられることを
特徴とする。
【0039】請求項9の発明は、請求項8に記載された
振動アクチュエータにおいて、当接部材が、固定部材で
あることを特徴とする。請求項10の発明は、請求項8
又は請求項9に記載された振動アクチュエータにおい
て、当接部材が、支持部材の接触部に固定されることを
特徴とする。
【0040】請求項11の発明は、請求項10に記載さ
れた振動アクチュエータにおいて、当接部材が、接触部
の非接触部分を貫通することを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)以下、添付図面を参照しながら、本
発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以降の各実施
形態の説明は、振動アクチュエータとして超音波の振動
域を利用する超音波アクチュエータを例にとって、行
う。
【0042】図1は、本発明の第1実施形態の超音波ア
クチュエータ10を説明する縦断面図である。図2は、
図1における振動子11と固定軸15との固定部を拡大
して示す縦断面図である。また、図3は、図1における
A−A断面図である。さらに、図4は、この超音波アク
チュエータ10に用いる振動子11の構造を示す説明図
であり、図4(A)は上面図、図4(B)は正面図であ
る。
【0043】第1実施形態の超音波アクチュエータ10
は、円柱状の弾性体である振動子11と,振動子11の
端面である駆動面Dに加圧接触する円柱状の相対運動部
材である移動子12とを備える。
【0044】振動子11は、二つの半円管型弾性体11
a,11bと、これらに挟持される2枚ずつ合計4枚の
圧電定数d15を用い振動子11の長手方向に剪断変位を
発生する捩り振動発生用の圧電素子13aと、2枚ずつ
合計4枚の圧電定数d31を用い振動子11の長手方向に
伸縮変位を発生する縦振動発生用の圧電素子13bと、
各圧電素子13a,13bそれぞれに接続される電極1
4とを備える
【0045】半円管型弾性体11a,11bは、本実施
形態ではステンレス鋼(鉄系合金又は銅合金等の他の金
属材料ないしはプラスチック等の弾性材料でもよい。)
により構成されており、このステンレス鋼からなる厚肉
の円管体をその回転軸を含む平面で縦に2分割すること
により製造される。
【0046】圧電素子13a,13bは、いずれも電気
エネルギーを機械的変位(機械エネルギー)に変換する
電気機械変換素子であり、PZT(チタン酸ジルコン酸
鉛)等により矩形の薄板状に形成される。また、電極1
4は、圧電素子13a,13bと同一形状の薄板状を呈
し、本実施形態では銅製電極が使用される。
【0047】振動子11は、圧電素子13a,13b及
び電極14を、図3及び図4に示すように交互に積層す
るとともに、これらを半円管型弾性体11a,11bに
より挟持し、それぞれを接着することによって、組み立
てられる。
【0048】移動子12は、アルミニウム合金等の軽合
金又はステンレス鋼等からなる移動子母材12aを主体
とする。移動子母材12aの2つの平面のうちの振動子
11と接触する側の端面には、振動子11との摺動抵抗
を低減するための摺動材12bが貼付される。
【0049】振動子11の中心部に設けられた中空部
に、棒状の支持部材である固定軸15が挿設される。こ
の固定軸15は本実施形態ではステンレス鋼(銅合金,
アルミニウム合金ないしは樹脂材等であってもよい。)
から製造される。
【0050】固定軸15の略中央部には、図3に示す横
断面形状の大径部15aが設けられており、この大径部
15aの二つの円弧状側面15b,15cのうちの図面
上左側に位置する円弧状側面15bが、半円管型弾性体
11aの内周面に設けられた同一の曲率半径の円周状の
取付基準部11cに押し付けられて接触する。すなわ
ち、この円弧状側面15bは、取付基準部11cに当接
する接触部である。
【0051】そして、互いに押し付けられた円弧状側面
15b及び取付基準部11cを介して、半円管型弾性体
11a,11bに螺着される固定部材であるボルト16
a,16bにより、弾性体11は固定軸15に固定され
る。
【0052】このボルト16a,16bは、固定軸15
の円弧状側面15bを弾性体11の取付基準部11cへ
向けて当接させる当接部材としても機能する。本実施形
態では、もう一つの円弧状側面15cは半円管型弾性体
11bの内周面11dには接触しておらず、固定軸15
は、取付基準部11cにだけ接触して、振動子11の中
空部に対して偏心した状態で配置される。
【0053】振動子11の上端面である駆動面Dには、
中央部に配置されたベアリング17により固定軸15に
回動自在に配置された相対運動部材である移動子12が
接触する。
【0054】移動子12は、本実施形態では加圧部材で
ある皿バネ18(スプリングバネ又は板バネ等であって
もよい。)により、振動子11の駆動面Dに適宜接触圧
力で加圧接触される。
【0055】このように、固定軸15は、振動子11を
固定するとともに移動子12を半径方向に回動自在に位
置決めし、振動アクチュエータとして駆動する際の軸振
れの発生を防止する。この固定軸15は、先端にねじ部
15dが形成され、加圧部材18の加圧量を調整するた
めの加圧力調整部材であるナット19が螺合する。
【0056】固定軸15の他端にはねじ部15eが刻設
されており、固定体20の雌ねじ部20aに螺合する。
このように、振動子11の取付基準部11cだけが固定
軸15に接触しており、振動子11の他の部分は固定軸
15には接触しておらず、振動子11と固定軸15との
間の接触面積(固定面積)が大幅に低減される。そのた
め、振動子11の振動損失が従来よりも著しく低減さ
れ、移動子12の駆動効率や駆動力が向上する。
【0057】また、振動子11と固定軸15との間の接
触面積が大幅に低減されるために、接触部の接触圧力が
均一化される。そのため、超音波アクチュエータ駆動時
のビビリ音等の異音の発生が抑制される。
【0058】また、大径部15aの円弧状側面15bの
曲率半径を、振動子11の内面の曲率半径に一致させる
とともに、固定軸15を振動子11に偏心させて固定す
るため、偏心させない場合に比較すると、接触面積をよ
りいっそう低減でき、さらに大きな効果を得ることがで
きる。
【0059】さらに、前述した図18に示す構造では、
振動子2と圧電素子4,5とを接合した後に、弾性体2
の内径と固定軸1の外径とが一致するように、固定軸1
の外面を機械加工(研削等)を行う必要があったが、本
実施形態では固定軸15を振動子2の中空部に偏心させ
て固定するため、換言すれば、振動子2の中空部の内径
よりも小さな外径の固定軸15を用いるため、固定軸1
5に対するこのような機械加工を行う必要がなくなる。
【0060】図5は、本実施形態の超音波アクチュエー
タ10の駆動回路を示すブロック図である。すなわち、
駆動回路は、駆動信号を発振する発振部31と,この駆
動信号を(1/4)λ(λ:波長)位相差のある信号に
分ける移相部32と,捩り振動用圧電素子13aに入力
する駆動信号を増幅するT増幅部33と,縦振動用圧電
素子13bに入力する駆動信号を増幅するL増幅部34
とから構成される。
【0061】制御回路は、捩り振動を検出する検出部3
5と,検出部35の検出量に応じて発振部の周波数や電
圧等を制御する制御部36とから構成される。検出部3
5は、振動子11の駆動面Dとは反対の底面に貼られた
機械電気変換素子(図示しない)を備え、発生する捩り
に伴ってこの機械電気変換素子に発生する電圧を検出す
ることにより間接的に捩り変位を検出できる。このよう
に、検出部35は、振動子11の捩り振動を電圧によっ
て検出する。移動子12の駆動速度や駆動トルクは、こ
の電圧の値に基づいて推定される。
【0062】制御部36は、検出部35の検出結果によ
り振動子11の駆動周波数や電圧を制御する。例えば、
検出量が所定の値よりも大きい場合には駆動周波数を高
くしたり、電圧を小さくしたりする。一方、検出量が所
定の値よりも小さい場合には駆動周波数を低くしたり、
電圧を高くしたりする。
【0063】次に、図6を参照しながら、本実施形態の
超音波アクチュエータ10において、振動子11に発生
する縦1次振動と捩り1次振動とを組み合わせて、駆動
面Dに楕円運動を生じることを経時的に説明する。
【0064】図6に示すように、捩り振動の周期と、伸
縮振動の周期との位相差を(1/4)λ(λ:波長)ず
らすと、駆動面D上の定点には楕円運動が生じる。t=
(6/4)πの時点では、捩り振動Tの変位は左側に最
大であり、一方、縦振動Tの変位は零である。この状態
では、移動子12は、加圧部材18によって振動子11
の駆動面Dに加圧接触する。
【0065】この状態から、t=(7/4)π〜0〜
(2/4)πまでは、捩り振動Tは、左側の最大から右
側の最大まで変位し、一方、縦振動Tは、零から上側の
最大に変位し再び零に戻る。したがって、振動子11の
駆動面Dの定点は、移動子12を押しながら右方向に回
転し、移動子12は右方向に駆動される。
【0066】次に、t=(2/4)π〜(6/4)πま
では、捩り振動Tは、右側の最大から左側の最大まで変
位し、一方、縦振動Tは、零から下側の最大に変位し再
び零に戻る。したがって、振動子11の駆動面Dの定点
は、移動子12から離れながら左方向に回転するため、
移動子12は左方向へは駆動されない。このときに、移
動子12は、加圧部材18により加圧されていても固有
振動数が異なるため、振動子11の縮みに追従しない。
【0067】なお、捩り振動Tの振動数T1 を捩り振動
Tの共振周波数ω0Tに略一致させるとともに、縦振動L
の振動数L1 を縦振動Lの共振周波数ω0Lに略一致させ
ると、共振して楕円運動が拡大する。
【0068】捩り振動Tの共振周波数ω0T,及び縦振動
Lの共振周波数ω0Lの近似式を下記及びにより示
す。 共振周波数ω0T=Ls×(G/ρ)2 /2 ・・・・・・・ 共振周波数ω0L=Ls×(E/ρ)2 /2 ・・・・・・・ ただし、Ls:振動子の長手方向の長さ,E:縦弾性
率,G:横弾性率,ρ:密度である。
【0069】このように、式及び式によれば、振動
子11の長手方向の長さを調整することにより、捩り振
動Tの共振周波数ω0Tと,縦振動Lの共振周波数ω0L
を近接ないしは一致させるように調整することができ
る。
【0070】(第2の実施形態)図7は、本発明の第2
実施形態の超音波アクチュエータの構造を示す断面図で
ある。
【0071】なお、以降の各実施形態の説明では、前述
した第1実施形態と相違する部分のみを説明し、共通す
る部分については同一の図中符号を付すことにより重複
する説明を省略する。
【0072】本実施形態の超音波アクチュエータ10−
1では、振動子11の外周面下端部近傍に溝状に小径部
21が形成されており、この小径部21によって区切ら
れることにより第1大径部22,第2大径部23が配置
される。
【0073】小径部21は2分割される前の弾性体母材
に、例えば切削加工等の適宜手段により形成される。図
8は、本実施形態の超音波アクチュエータの弾性体11
に、1次の縦振動と2次の捩り振動とが生じることを示
す説明図である。
【0074】本実施形態の超音波アクチュエータ10−
1では、図8(A)に示すように、第1大径部22と第
2大径部23との間に捩り剛性の低い小径部21が設け
られており、かつ第1大径部22の長さが第2大径部2
3よりも長い。したがって、図8(B)に示すように、
捩り振動は、小径部21と第1大径部22の軸方向略中
央部とに振動の節が2つ生じる2次モードとなる。
【0075】一方、縦振動は、小径部21を設けたこと
による弾性体11の形状変化を受け難いため、小径部2
1,第1大径部22及び第2大径部23を含んだ全長の
真中に振動の節が一つ生じる1次モードなる。なお、こ
の場合、駆動面Dは、捩り振動,縦振動とも振幅が大き
い振動の腹になる。
【0076】捩り振動の固有振動数は、小径部21,第
1大径部22及び第2大径部23の合計長さによって決
定されるが、その中でも第2大径部23の長さの影響は
受け難いといった特性がある。一方、縦振動の固有振動
数も、小径部21,第1大径部22及び第2大径部23
の合計長さによって決定されるが、第2大径部23の長
さを変えていくと、固有振動数を変化させていくことが
できる。したがって、第2大径部23の長さを変えてい
くことにより、捩り振動及び縦振動それぞれの固有振動
数を調整して、これらを接近又は一致させることができ
る。
【0077】なお、本実施形態では、捩り振動の節位置
で振動子11を支持するようにしたが、これは前述した
ように、捩り振動が超音波アクチュエータの駆動力に大
きく影響するため、その振動をできるだけ減衰させない
ためである。これは、第1実施形態でも同様に適用でき
る。
【0078】(第3実施形態)図9は、本発明の第3実
施形態の超音波アクチュエータ40の構成を示す縦断面
図である。
【0079】本実施形態は、略述すると、第1実施形態
及び第2実施形態をさらに発展させたものであり、振動
子と固定軸との接触面積をさらに低減することにより、
振動子と固定軸との位置合わせを正確に行いながら、振
動子のエネルギー散逸をより低減するものである。
【0080】振動子41は、駆動信号により励振される
電気機械変換素子である複数の圧電体(図9では図示し
ない。圧電体の配置等は、図9とは90°異なる断面を
示す図10を参照しながら説明する。)と、これらの圧
電体を接合して、圧電体の励振により1次の縦振動と2
次の捩り振動とが生じることにより、駆動面42cに駆
動力が発生する弾性体42a,42bとから構成され
る。
【0081】弾性体42a,42bは、図9に示すよう
に、その外周面に溝状に形成された3つの小径部43
a,43b,43cと,これらの小径部43a〜43c
により区切られて形成される4つの大径部43A,43
B,43C,43Dとを有する。
【0082】弾性体42a,42bは、中空円柱状の弾
性部材を中心軸を含む縦面で2分割することにより得ら
れ、二つの分割面の間に前述した圧電体を挟持する。図
10は、本実施形態で用いる振動子41の構成の説明図
であり、図10(a)は中心線より半分を断面で示す側
面図,図10(b)は図10(a)におけるA−A断
面,B−B断面及びC−C断面を、駆動電圧の印加状況
とともに示す説明図である。
【0083】図10(a)及び図10(b)に示すよう
に、圧電体44a,44bは振動子軸方向に関する3群
からなっており、圧電体44a,44bの各群はそれぞ
れ2層からなる。3群のうちの1群の圧電体は、1次の
縦振動の節付近に圧電定数d31を用いる圧電体44b
を、残りの2群の圧電体は、それぞれ2次の捩り振動の
節付近の2か所に圧電定数d15を用いる圧電体44aを
配置している。
【0084】圧電定数d15を用いる圧電体44aは、弾
性体42a,42bの長手方向に対して剪断変位を発生
する。図10(b)におけるA−A断面,C−C断面そ
れぞれの捩じれる方向が逆になるように圧電体44aを
配置する。圧電体44aがこのように配置されてそれぞ
れが剪断変形すると、振動子41に2次の捩り変位が発
生する。
【0085】後者の圧電定数d15を用いる圧電体44b
は、弾性体42a,42bの長手方向に対して伸縮変位
を発生する。図10(b)におけるB−B断面の2組の
縦振動用圧電体44bは、全てある電位が発生された場
合に、同じ方向に変位が生じるように配置する。
【0086】以上のように、圧電定数d15を用いる捩り
振動用圧電体44aと、圧電定数d31を用いる縦振動用
圧電体44bとを配置すると、捩り振動用圧電体44a
に正弦波電圧を入力することにより振動子41にはそれ
に応じて捩り運動が発生し、一方、縦振動用圧電体44
bに正弦波電圧を入力することにより振動子41にはそ
れに応じて伸縮運動が発生する。
【0087】弾性体42a,42bには、4つの大径部
43A〜43Dの弾性体長さ方向略中心部に、圧電体積
層方向と平行に貫通穴45a,45b,45c,45d
が設けられる。また、後述する固定軸47にも貫通穴4
5a〜45dと同一ピッチで、貫通穴47a〜47dが
形成される。
【0088】そして、前述した図10に示す状態となる
ように、弾性体42a,42bの分割面に圧電体44
a,44bを挟み込み、弾性体42a,42bの中空部
に固定軸47を貫通させ、貫通穴45a〜45d,47
a〜47dにボルト46a〜46dを挿入して、両端部
にナット48a〜48を螺着することにより、弾性体4
2a,42bは圧電体44a,44bを挟み込んだ状態
で、締結される。
【0089】本実施形態では、弾性体42a,42b
は、図9に示すように、1次の縦振動の節付近を含む小
径部43bの内周面を介して、固定軸47に固定され
る。この部分の構造は、後述する図11を参照しなが
ら、詳細に説明する。
【0090】図9において、移動子49は、中空厚肉円
環状の移動子母材49aと、移動子母材49aの振動子
側端面に貼付されて振動子41の駆動面42cに接触す
る摺動材49bとから構成される。移動子母材49aの
反振動子側端面の内周部には、位置決め手段であるベア
リング50が嵌合される。このベアリング50は固定軸
47に固定されており、移動子49は固定軸47に対し
て回動自在に位置決めされる。
【0091】固定軸47の上端部にはねじ部が設けられ
ており、このねじ部に加圧力調整部材であるナット51
が螺着される。また、ベアリング50とナット51との
間には、加圧手段である皿バネ52(スプリングバネや
板バネ等であってもよい。)と、皿バネ52の加圧力を
ベアリング50に伝達する外向きフランジ付きの筒状体
である加圧力伝達部材53とが、固定軸47により保持
される。これにより、ナット51の固定軸47に対する
螺着位置を変更することにより、皿バネ52のバネ力が
変更され、移動子49と振動子41との間の加圧力が調
整される。
【0092】このように、固定軸47は、振動子41の
中空部を貫通して振動子41を固定するとともに、移動
子49を半径方向について回動自在に位置決めする。図
11は、図9における弾性体42a,42bと固定軸4
7との固定状況を示す拡大断面図である。
【0093】図9に示すように、本実施形態において
も、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、弾性体4
2a,42bに発生する縦振動の節位置近傍(捩り振動
の腹位置近傍)の内周面の一部が、取付基準面42cと
してある。
【0094】一方、固定軸軸方向に関して取付基準面4
2cと同一範囲となる固定軸47の一部には、その一部
に取付基準面42cの曲率半径と同一の曲率半径の曲面
を有する大径部54が形成される。大径部54は、この
局面を介して、取付基準面42cに接触する。固定軸4
7の大径部54以外の小径部55は、弾性体42a,4
2bの内周面には接触しない。すなわち、本実施形態に
おいても、大径部54は弾性体42a,42bとの接触
部として作用し、小径部55は非接触部として作用す
る。
【0095】さらに、大径部54の取付基準面42cと
の接触面には、ざぐり穴54aが形成されており、取付
基準面42cとの非接触部分が形成されている。すなわ
ち、本実施形態では、取付基準面42cに接触する大径
部54の局面のうちのざぐり穴54a形成範囲を除く環
状の局面により、大径部54は弾性体42a,42bに
接触する。
【0096】固定軸47に形成された大径部54の接触
面を、弾性体42aの取付基準面42cに密着させた状
態で、固定ボルト56a,56bを大径部54に形成さ
れたねじ穴に螺着させることにより、弾性体42a,4
2bは固定軸47に固定・保持される。なお、固定ボル
ト56aは、ざぐり穴54aを貫通した状態で大径部5
4に螺着される。
【0097】このように、本実施形態では、弾性体42
a,42bと固定軸47との接触面積を最小限とするた
めに、大径部54にざぐり穴54aを設けてある。この
ようにすることにより、振動子内周面に形成された取付
基準面42cに接触する大径部54の接触面積を少なく
することができるため、位置決め精度を低下させること
なく、振動子41に接触する面積を最小限にすることが
できる。
【0098】換言すれば、2つの剛体同士の位置合わせ
は基本的に3点接触により決められるため、位置合わせ
のための接触面積部はその全てが位置合わせに寄与する
ものではなく、部分によっては単に振動を拘束している
に過ぎない部分もあると考えられる。本実施形態は、こ
のような部分にざぐり穴54aを形成するものである。
【0099】なお、本実施形態では、固定軸47に対し
て振動子41を、捩り振動の腹位置近傍で固定したこと
になるため、捩り振動の振動減衰が増加する可能性があ
る。そこで、捩り振動の振動減衰をできるだけ小さくす
るため、大径部54の軸方向両端側には、極細径部57
a,57bを形成して、振動子41に発生する捩り振動
の変位方向に関する捩り剛性の低下を図ってある。
【0100】本実施形態によれば、縦振動に対してはざ
ぐり穴54a付きの大径部54をその振動の節位置に接
触させることにより、捩り振動に対しては固定軸47に
極細径部57a,57bを形成することにより、いずれ
の振動に対しても支持損失を極めて低減しながら、固定
軸47に対して、正確な位置に弾性体42a,42bを
配置することができる。
【0101】特に、振動子の駆動周波数に対して、「振
動子41全体を一つの慣性体とするとともにその時の捩
り剛性を極細径部57a,57bの捩り剛性とするとき
の振動系」によって決定される振動モードの周波数が非
常に低くなることが、支持損失の低減と外部への振動絶
縁との観点からは、望ましい。つまり、前記の条件の場
合、振動子41に発生する振動の振動数は、「振動子4
1全体を一つの慣性体とし、その際の捩り剛性を極細径
部57a,57bの捩り剛性とする時の振動系」によっ
て決定される振動モード群の周波数に対し、極めて高域
であるため、後者の振動系はその振動速度に追従するこ
とができない。したがって、いわゆる「振動絶縁」が発
生し、振動子41の振動は極細径部57a,57bによ
り遮断され、大径部55へは伝搬していき難くなる。
【0102】図10(b)において、駆動回路60は、
図示しない駆動信号を発振する発振部61と、駆動信号
を(1/4)λ(λ:波長)位相差のある信号に分ける
移相部62と、捩り振動用圧電体44aに入力する駆動
信号を増幅するT増幅部63と、縦振動用圧電体44b
に入力する駆動信号を増幅するL増幅部64とから構成
される。
【0103】以上のような構成によると、発振部61は
駆動信号を発振し、その駆動信号は移相部62により2
つの(1/4)λ位相差のある信号に分割され、それぞ
れT増幅部63及びL増幅部64により増幅される。T
増幅部63により増幅された駆動信号は、捩り振動用圧
電体44aに入力され、L増幅部64により増幅された
駆動信号は縦振動用圧電体44bに入力される。
【0104】駆動信号を入力された振動子41には、圧
電体44a,44bの励振により、図12に示すような
腹及び節を有する1次の縦振動と2次の捩り振動とが発
生する。ここで、捩り振動用圧電体44aと縦振動用圧
電体44bとに印加する周期電圧の位相差を、(1/
4)λずらして設定することにより、図13に示すよう
に、楕円運動が駆動面42cに発生する。なお、図13
に示す駆動面42cにおける楕円運動の変化は、図6に
示す変化と同様であるため、図13に関する説明は省略
する。
【0105】このとき、捩り振動は、捩り剛性の弱い小
径部43a,43cの2ヵ所に節が生じ、駆動面が腹と
なる。一方、縦振動は、小径部42b付近に節が生じ、
駆動面が腹となる。この駆動面に加圧された移動子49
は、摩擦的に振動子41より駆動力を受け、駆動され
る。
【0106】ここで、図13に示すように、捩り運動の
周期と伸縮運動の周期との位相差を(1/4)λずらす
と、駆動面上の点は楕円運動が発生する。この捩り振動
の駆動周波数を捩り振動の共振周波数に略一致させると
ともに、縦振動の駆動周波数を縦振動数の共振周波数に
略一致させると、共振して楕円運動が拡大する。
【0107】なお、本実施形態では、振動子41のみで
捩り共振振動数と縦共振周波数とをともに決定すること
ができるため、移動子49の形状を比較的自由に設定す
ることができる。このためには、振動子41から移動子
49への振動伝搬を小さくすることが必要であるが、例
えば、振動減衰の大きな摺動材49b(例えばポリフロ
ン等)を用いたり、移動子母材49aに減衰性の大きな
材料(例えばアルミニウム合金等)を用い移動子49自
体の振動減衰を大きく確保すればよい。
【0108】(第4実施形態)図14は、第4実施形態
の弾性体42a,42bと固定軸47との固定状況を示
す拡大断面図である。
【0109】本実施形態は、図9〜図13に示す第3実
施形態に対して、弾性体42a,42bと固定軸47と
の固定位置を変更して、捩り振動の腹位置近傍(縦振動
の腹位置近傍)により固定したものである。よって、本
実施形態の説明は、第3実施形態に対して相違する部分
のみについて行い、同一の部分については同一の図中符
号を付すことにより、重複する説明を適宜省略する。
【0110】本実施形態では、振動子41に発生する縦
振動の振動変位方向と略垂直方向に関する曲げ剛性を低
下させるために、大径部54の固定軸軸方向の両端側に
複数の剛性低下穴58a,58b,58c,58dが形
成されている。各剛性低下穴58a〜58dは、図面に
直交する方向に互いに平行に形成される。
【0111】これらの剛性低下穴58a〜58dを固定
軸47に形成することにより、縦振動は、固定軸47に
設けた剛性低下穴58a及び58b,剛性低下穴58c
及び58d同士に挟まれる引張剛性が低下した引張剛性
低下部分59a,59bの働きによって縦振動変位を拘
束することなく、自然に近い状態で共振することが可能
となる。これにより、振動子41の支持損失を著しく低
減することが可能となる。
【0112】特に、振動子41の駆動周波数に対して、
「振動子41全体を一つの慣性体、その時の引張剛性を
引張剛性低下部分59a,59bの捩り剛性としたとき
の振動系」で定まる振動モードの周波数が非常に低くな
ることが、支持損失の低減と外部への振動絶縁との観点
からは望ましい。
【0113】(第5実施形態)図15は、第5実施形態
の弾性体42a,42bと固定軸47との固定状況を示
す拡大断面図である。
【0114】本実施形態は、略述すれば、図11に示す
第3実施形態の固定軸と、図14に示す第4実施形態の
固定軸とを組み合わせたものである。すなわち、本実施
形態は、図9〜図13に示す第3実施形態,図14に示
す第4実施形態に対して、弾性体42a,42bと固定
軸47との固定位置を変更して、縦振動の腹位置近傍か
つ捩り振動の腹位置近傍(大径部43C)により固定し
たものである。
【0115】本実施形態の固定位置は、縦振動の節位
置,捩り振動の節位置の双方を外れており、振動減衰の
解消の観点からは好ましくない。そこで、固定軸47の
大径部54の近傍に、剛性低下穴58a〜58dを形成
して縦振動の減衰を抑制するとともに、極細径部57
a,57bを形成して捩り振動の減衰を抑制するように
してある。固定軸47の支持をこの位置で行う必要があ
る場合に有効である。
【0116】(変形形態)各実施形態では、捩り1次−
縦1次又は、捩り2次−縦1次の振動モードを生じる振
動子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではな
く、捩りm次−縦n次(m,n:自然数)の振動モード
を生じる振動子について等しく適用できるものである。
【0117】また、電気機械変換素子として圧電素子を
用いたが、本発明はかかる態様のみに限定されるもので
はなく、電気エネルギーを機械的変位(機械エネルギ
ー)に変換できるものであれば等しく適用できる。例え
ば、磁歪素子や電歪素子等を替わりに用いることができ
る。また、振動子を構成する弾性体の形状は、円筒型に
限定されるものではなく、例えば四角柱状にしてもよ
い。
【0118】さらに、各実施形態の説明では、振動アク
チュエータとして超音波の振動域を利用する超音波アク
チュエータを例にとったが、本発明にかかる振動アクチ
ュエータはこのような態様に限定されるものではなく、
他の振動域を利用する振動アクチュエータについても等
しく適用することが可能である。
【0119】
【発明の効果】請求項1から請求項11までのいずれか
の本発明によれば、弾性体である振動子が固定軸に内周
部全域で接触するのではなく、その一部で固定軸に接触
するように構成するため、正確な位置決めを容易に行う
ことができる。また、接触部の面積を小さくすることに
より、支持損失をできるだけ抑制して、正確な位置決め
を容易に行うことができるとともに、振動アクチュエー
タ駆動時における異音の発生,駆動効率や駆動力の低下
が解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の超音波アクチュエータ
を説明する縦断面図である。
【図2】図1における振動子と固定軸との固定部を拡大
して示す縦断面図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】第1実施形態の超音波アクチュエータに用いる
振動子の構造を示す説明図であり、図4(A)は上面
図、図4(B)は正面図である。
【図5】第1実施形態の超音波アクチュエータの駆動回
路を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態の超音波アクチュエータにおい
て、振動子に発生する縦1次振動と捩り1次振動とを組
み合わせて、駆動面Dに楕円運動を生じることを経時的
に示す説明図である。
【図7】第2実施形態の超音波アクチュエータの構造を
示す断面図である。
【図8】第2実施形態の超音波アクチュエータの弾性体
に、1次の縦振動と2次の捩り振動とが生じることを示
す説明図である。
【図9】本発明の第3実施形態の超音波アクチュエータ
の構成を示す縦断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態で用いる振動子の構成
の説明図であり、図10(a)は中心線より半分を断面
で示す側面図,図10(b)は図10(a)におけるA
−A断面,B−B断面及びC−C断面を、駆動電圧の印
加状況とともに示す説明図である。
【図11】図9における弾性体と固定軸との固定状況を
示す拡大断面図である。
【図12】駆動信号を入力された振動子に発生する、腹
及び節を有する1次の縦振動と2次の捩り振動とを示す
説明図である。
【図13】第3実施形態の超音波アクチュエータにおい
て、振動子に発生する縦1次振動と捩り2次振動とを組
み合わせて、駆動面Dに楕円運動を生じることを経時的
に示す説明図である。
【図14】第4実施形態の弾性体と固定軸との固定状況
を示す拡大断面図である。
【図15】第5実施形態の弾性体と固定軸との固定状況
を示す拡大断面図である。
【図16】縦−捩り振動型の振動アクチュエータの従来
例を示した斜視図である。
【図17】縦−捩り振動型の振動アクチュエータのステ
ータを展開して示した斜視図である。
【図18】異形モード縮退型の振動アクチュエータの構
造を示す断面図である。
【図19】異形モード縮退型の振動アクチュエータを構
成する弾性体を抽出して示す斜視図である。
【図20】従来の固定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
10,10−1 振動アクチュエータ 11 振動子(弾性体) 11a,11b 半円管状弾性体 11c 取付基準部 11d 内周面 12 移動子(相対運動部材) 12a 移動子母材 12b 摺動材 13a,13b 圧電素子 14 電極 15 固定軸(支持部材) 15a 大径部 15b,15c 円弧状側面 15d ねじ部 16a,16b ボルト(固定部材,当接部材) 17 ベアリング 18 加圧部材 19 加圧力調整部材 21 小径部 22 第1大径部 23 第2大径部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 棒状の支持部材と,前記支持部材の外面
    に設置されるとともに、駆動信号により励振されて電気
    エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機械変換素
    子を保持し、端面である駆動面に駆動力を発生する弾性
    体と,前記支持部材の周囲に回動自在に設置されるとと
    もに、前記駆動面において前記弾性体に加圧接触される
    相対運動部材と,前記支持部材及び前記弾性体を貫通し
    て、前記支持部材及び前記弾性体を固定する固定部材と
    を備える振動アクチュエータにおいて、 前記弾性体の内周面の一部には、前記弾性体と前記支持
    部材との位置関係を規制する取付基準部が設けられるこ
    とを特徴とする振動アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された振動アクチュエー
    タにおいて、 前記支持部材は、軸方向に関し、前記取付基準部に当接
    する接触部と,前記取付基準部を除く前記弾性体の前記
    内周面から離間する非接触部とを備えることを特徴とす
    る振動アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載された振動アクチュエー
    タにおいて、 前記接触部は大径部であるとともに、前記非接触部は小
    径部であることを特徴とする振動アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載された振動
    アクチュエータにおいて、 前記接触部は、前記支持部材の外周の一部について形成
    されることを特徴とする振動アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1
    項に記載された振動アクチュエータにおいて、 前記接触部は、前記弾性体の捩り振動又は縦振動の節部
    に接触する位置に設けられることを特徴とする振動アク
    チュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5に記載された振動
    アクチュエータにおいて、 前記接触部の一部には、さらに、前記取付基準部に接触
    しない非接触部分が形成されることを特徴とする振動ア
    クチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載された振動アクチュエー
    タにおいて、 前記非接触部分は、前記接触部に設けられたざぐり穴に
    より、形成されることを特徴とする振動アクチュエー
    タ。
  8. 【請求項8】 請求項2から請求項7までのいずれか1
    項に記載された振動アクチュエータにおいて、 前記弾性体には、前記支持部材の前記接触部を前記弾性
    体の前記取付基準部へ向けて当接させる当接部材が設け
    られることを特徴とする振動アクチュエータ。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載された振動アクチュエー
    タにおいて、 前記当接部材は、前記固定部材であることを特徴とする
    振動アクチュエータ。
  10. 【請求項10】 請求項8又は請求項9に記載された振
    動アクチュエータにおいて、 前記当接部材は、前記支持部材の前記接触部に固定され
    ることを特徴とする振動アクチュエータ。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載された振動アクチュ
    エータにおいて、 前記当接部材は、前記接触部の前記非接触部分を貫通す
    ることを特徴とする振動アクチュエータ。
JP8128337A 1995-08-22 1996-05-23 振動アクチュエータ Pending JPH09121570A (ja)

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