JPH09118973A - 薄膜の作成法および作成装置 - Google Patents

薄膜の作成法および作成装置

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JPH09118973A
JPH09118973A JP30216595A JP30216595A JPH09118973A JP H09118973 A JPH09118973 A JP H09118973A JP 30216595 A JP30216595 A JP 30216595A JP 30216595 A JP30216595 A JP 30216595A JP H09118973 A JPH09118973 A JP H09118973A
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JP
Japan
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thin film
substrate
present
forming apparatus
dry etching
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JP30216595A
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English (en)
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Joshi Shinohara
譲司 篠原
Hidesato Nagata
英里 永田
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IHI Corp
Original Assignee
IHI Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温環境下で使用されても基板の表面から剥
離して絶縁破壊を生じることがない高温絶縁性の優れた
セラミックス化合物からなる薄膜を作成する。 【解決手段】 スイッチ11を接地側に切り替えるとと
もにシャッタ10を開けることにより真空槽4内に収容
された金属製基板5の表面に薄膜作成法によりセラミッ
クス化合物からなる薄膜を形成した後に、スイッチ11
をプラズマ電源12側に切り替えるとともにシャッタ1
0を閉じることにより薄膜の表面にドライエッチングを
行ってからスイッチ11を接地側に切り替えるとともに
シャッタ10を開けることにより薄膜作成法により薄膜
と異種のセラミックス化合物からなる薄膜を形成する処
理を、2回行うことにより、基板2の表面に3層の薄膜
を積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温環境下で使用
されてもセラミックス化合物からなる薄膜が金属製の基
板等から剥離しないようにできる薄膜の作成法および作
成装置に関し、例えばエレクトロニクス素子や計測素子
といった電気部品や電子部品等の表面を絶縁被覆するの
に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】薄膜の作成および薄膜センサとしての利
用が必要になるものの一つに、高温環境下で回転するジ
ェットエンジンのタービンブレードがある。このタービ
ンブレードは発生する振動応力により折損することがあ
るため、タービンブレードに薄膜で構成された薄膜セン
サを取り付けておき、回転時に作用する振動応力の大き
さを直接的に測定することがある。
【0003】超薄型のこのような薄膜センサは、測定対
象(一般に金属部材)の表面にアルミナや二酸化ケイ素
等のセラミックス膜や有機被膜で絶縁層を形成し、この
上に目的のセンサを作る被膜(例えばニクロム膜)をコ
ーティングし、ゲージパターンの加工を行った後、信号
線との結線に都合のよい位置まで電極膜として金、銅等
を薄膜で配線し、薄膜センサの使用環境に応じて前述の
センサおよび電極膜を保護膜でコーティングしたもので
あり、薄膜センサの寸法(センサパターン)は数十マイ
クロメートル〜数ミリメートル、厚さは3〜10μm程
度である。
【0004】この薄膜センサは、極めて薄くかつ小型で
あるためにタービンブレードに取り付けてもタービンブ
レード近傍の空気流に影響を与える心配がなく、タービ
ンブレードに作用する振動応力の大きさを実際に近い状
態で測定できる。
【0005】このような超薄型かつ小型の薄膜センサに
おける絶縁層を基板の表面に成膜するには、基板の表面
を有機洗浄、超音波洗浄ないしはプラズマエッチング等
により洗浄してから、(1)物理蒸着法(PVD)や化
学蒸着法(CVD)等の薄膜作成法を用いて基板の表面
に薄膜を作成する、(2)物理蒸着法や化学蒸着法等の
薄膜作成法を用いて基板の表面にある厚さまで薄膜を形
成した後、薄膜の表面に薄膜を積層させる処理を1回ま
たは2回以上行うことにより2層以上の薄膜を積層させ
た薄膜を作成する、(3)前記(2)の方法において、
次層の薄膜を作成する際に、一旦基板を真空槽から取り
出し再度装入する処理を追加することにより2層以上の
薄膜を積層させた薄膜を作成する等の方法が知られてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らの
検討結果によれば、これらの方法により作成された振動
応力センサは、いずれも、常温環境下では問題なく機能
するが、運転時のジェットエンジンタービンブレードの
表面温度を想定した程度の高温環境下(例えば450℃
程度)で一定時間使用すると、いずれも基板の表面を被
覆する絶縁層の絶縁破壊が発生して振動応力センサとし
て機能しなくなることがわかった。
【0007】図8(a)および図8(b)は、化学蒸着
法により形成過程にある薄膜の構成例を示すモデル構成
図である。図8(a)に示すように、薄膜80の形成の
初期段階では有機洗浄、超音波洗浄ないしはプラズマエ
ッチング等により洗浄された基板81の表面を起点とし
て微少な結晶粒82が多数生成し、これらの結晶粒82
に基づいてエピタキシャルに結晶粒83が生成し、図8
(b)に示すように時間の経過とともに結晶粒83は厚
さ方向に連続的に粗大化する。そのため、(1)に記載
の方法では、薄膜80の厚さ方向への結晶粒83の粗大
化により薄膜80に大きな内部歪みが内包されるととも
に、金属製の基板81の熱膨張係数に対してセラミック
ス化合物からなる薄膜80の熱膨脹係数は小さい。その
ため、高温環境下で一定時間使用すると、薄膜80は内
部歪みおよび熱膨張係数の差により基板81から剥れて
しまい、絶縁破壊が発生する。
【0008】また、薄膜の剥れは発生しない場合であっ
ても真空槽中に微量存在するゴミや被膜小片等が作成途
中の薄膜の内部に取り込まれ、この部分を起点として薄
膜の厚さ方向にピンホール状の欠陥が発生しこの欠陥は
厚さ方向に貫通するように成長する。この欠陥の内部は
通電するため、この方法で作成された薄膜には絶縁破壊
が発生することが多い。
【0009】(2)に記載の方法では、何回かに分けて
薄膜を積層させるために厚さ方向への結晶粒の粗大化が
抑制され薄膜の基板からの剥れは発生し難くなるが、4
50℃程度の高温環境下では各薄膜の界面を起点として
各薄膜が貝殻状に剥離し、絶縁破壊が発生する。
【0010】さらに、(3)に記載の方法では、基板を
真空槽から取り出す度に基板の表面に形成された薄膜が
外気中に含まれる不純物により汚染されるために各薄膜
の膜質が劣下し、比較的低温環境下においても各薄膜の
界面を起点として各薄膜が貝殻状に剥離し、絶縁破壊が
発生する。
【0011】本発明は、このような従来の技術が有する
問題に鑑みてなされたものであり、高温環境下で使用さ
れても基板の表面から剥離して絶縁破壊を生じることが
ない、特に高温における耐剥離性の優れた薄膜の作成法
および作成装置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる薄膜の作
成法は、金属製の基板の表面に例えば物理蒸着法や化学
蒸着法等の薄膜作成法により真空状態でセラミックス化
合物からなる薄膜を形成した後に、真空状態を維持した
まま薄膜の表面に、例えばプラズマエッチングやイオン
エッチング等のドライエッチングを行ってから薄膜作成
法により前記薄膜と同種または異種のセラミックス化合
物からなる薄膜を形成する処理を1回または2回以上行
うことにより、基板の表面に2層以上の薄膜を積層する
ことを特徴とするものである。
【0013】また、本発明にかかる薄膜の作成装置は、
金属製の基板を真空状態で収容する真空槽を備え収容さ
れた基板の表面にセラミックス化合物からなる薄膜を形
成する薄膜形成装置と、真空槽の内部に設けられ真空状
態を維持したまま薄膜形成装置と切り替えられて使用さ
れることにより薄膜の表面のドライエッチングを行うド
ライエッチング装置とを組合せて備えることを特徴とす
るものである。
【0014】本発明にかかる薄膜の作成法によれば、各
薄膜に内包される表面エネルギが大きく蓄積されない段
階でドライエッチングが行われてこの表面エネルギが解
放され、薄膜の表面が掻き乱された状態となる。そのた
め、この上にさらに薄膜を作成すると全く新たな結晶粒
が非エピタキシャルに成長する。そのため、従来法によ
り作成された薄膜に比較すると、結晶粒の厚さ方向への
大きさを小さく抑制できるために薄膜が内包する表面エ
ネルギが大巾に低下し、各薄膜間の密着性が著しく向上
するようになる。
【0015】また、本発明にかかる薄膜の作成法によれ
ば、作成される薄膜は2層以上の薄膜が積層されるとと
もに各薄膜の間でドライエッチングを行うためにある層
の結晶構造がその下層の結晶構造の影響を受けないよう
になる。そのため、薄膜の厚さ方向にピンホール状の欠
陥が貫通して成長することが防止されるため、従来法に
より作成された薄膜に比較すると、薄膜の絶縁破壊に対
する抵抗力が増大するようになる。
【0016】さらに、本発明にかかる薄膜の作成法によ
れば、例えば化学蒸着法や物理蒸着法等の薄膜作成法に
よる薄膜の形成と、例えばプラズマエッチングやイオン
エッチング等のドライエッチングによる薄膜の表面のエ
ッチングとを同一の真空中で行い、1層目の薄膜の作成
開始から最外層の薄膜の作成終了までの間に基板を外気
中に晒すことがなくなるため、吸着ガスや空気中の汚れ
等が薄膜の内部に混入されることが防止され、薄膜の膜
質および密着性がともに向上するようになる。したがっ
て、本発明にかかる薄膜の作成法によれば、内部に不純
物の混入が少なく、厚さ方向に連続した欠陥が存在しな
い薄膜を生成できるようになるために薄膜の密着性が向
上し、特に高温絶縁性の優れた薄膜を作成できるように
なる。一方、本発明にかかる薄膜の作成装置では、真空
状態を維持したままで、真空槽内において薄膜表面のド
ライエッチングおよび薄膜の作成を1回または2回以上
行うことができ、請求項1記載の薄膜の作成法を確実か
つ簡単に実施できるようになる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる薄膜の作成
法および作成装置の一実施の形態を添付図面に基づき詳
細に説明する。
【0018】図1は、本発明にかかる薄膜の作成装置の
一例の概略構成を示しており、図1(a)は薄膜形成装
置2をスパッタリング装置で構成した場合の説明図であ
り、図1(b)はドライエッチング装置3をプラズマエ
ッチング装置で構成した場合の説明図である。
【0019】図1(a)および図1(b)に示すよう
に、本発明にかかる薄膜の作成装置1は、スパッタリン
グ装置2およびプラズマエッチング装置3の双方の機能
を兼ね備えており、接地するかプラズマ電源12に接続
される切替えスイッチ11により切り替えられる。そこ
で、以下の本発明にかかる薄膜の作成装置1の構成の説
明は図1(a)を参照しながら行う。
【0020】図1(a)において、本発明にかかる薄膜
の作成装置1は真空槽4を備えており、図示しない真空
吸引装置で内部をスパッタリングやプラズマエッチング
に必要な真空状態に保持できるようになっている。
【0021】また、この真空槽4には、プラズマエッチ
ングを行うため、内部を不活性ガス雰囲気とする等のた
め、図示しないガス導入系が設けられる。
【0022】真空槽4の内部の上部には基板ホルダ9が
懸吊され、基板5の表面を下方に臨むようにして保持で
きるようになっている。基板ホルダ9の上方近傍には基
板5を所定の温度に加熱保持する図示しない基板加熱系
が設けられる。基板ホルダ9は切替えスイッチ11に電
気的に接続される。
【0023】真空槽4の内部底部には、プラズマ電源7
に接続されたターゲットたるスパッタリング電極6が設
置される。プラズマ電源7はプラズマを発生できるもの
であればよく、例えば高周波電源あるいは直流電源さら
にはマイクロ波電源等を利用できるが、本実施例ではス
パッタリングとプラズマエッチングとを一つの電源で行
うため、高周波電源を用いた。
【0024】スパッタリング電極6の上方には叩き出さ
れた原子の基板5への付着・堆積を阻止することができ
る開閉式のシャッタ10が設けられており、スパッタリ
ングを行っているときには開いておき、後述するプラズ
マエッチングを行っているときには閉じておく。
【0025】このように構成された本発明にかかる薄膜
の作成装置1の動作とともに本発明にかかる薄膜の作成
法について説明する。
【0026】まず、基板ホルダ9に基板5であるタービ
ンブレードを取り付けた後、真空槽4内を真空吸引装置
で吸引する。真空吸引が完了してから、ガス供給系を用
いて真空槽4内に原料ガスを供給する。
【0027】図1(a)に示すように、切替えスイッチ
11を接地側に切替え基板5とスパッタリング電極6と
の間に高電圧を印加し、プラズマ8を発生する。発生し
たプラズマ8中のイオンがスパッタリング電極6の表面
に引き付けられて衝突することによりスパッタリング電
極6を構成する原子が叩き出され、叩き出された原子が
基板5の表面に付着・堆積して、基板5の表面にAl
からなる薄膜が形成される。通常の場合、1回のス
パッタリングによる薄膜は1〜3μm程度の厚さ形成す
ることが薄膜の強度維持の観点から望ましい。
【0028】一方、図1(b)において、本発明にかか
る薄膜の作成装置1は、真空状態を維持したまま切替え
スイッチ11をプラズマ電源12側に切替えるとともに
シャッタ10を閉めた後に原料ガスを供給することによ
り、真空槽4内の基板5の下方空間にプラズマ13が発
生し、発生したプラズマ13中のイオン、電子、励起さ
れた原子さらには遊離原子等の励起活性種により、基板
5の表面における薄膜の表面のドライエッチングが行わ
れ、既に作成された薄膜が有する歪みが緩和され薄膜の
表面エネルギが低下する。通常の場合、プラズマエッチ
ング装置3による1回のエッチング深さは0.001〜
0.1μm程度であり、本実施例では0.1μmとし
た。
【0029】本実施の形態では、まず、本発明にかかる
薄膜の作成装置1を図1(b)に示すようにドライエッ
チング装置3として使用し、真空槽4の内部に支持され
た基板5の表面をプラズマエッチングにより洗浄してか
ら、真空状態を維持したままで原料ガスを供給し切替え
スイッチ11を接地側へ切り替えるとともにシャッタ1
0を開くことにより、本発明にかかる薄膜の作成装置1
を図1(a)に示すようにスパッタリング装置2として
使用し、金属製の基板5の表面にスパッタリングにより
Alからなる薄膜(厚さ:2.2μm程度)を形
成する。
【0030】この後、真空状態を維持したまま原料ガス
を供給し切替えスイッチ11をプラズマ電源12側に切
り替えるとともにシャッタ10を閉めて、本発明にかか
る薄膜の作成装置1を図1(b)に示すようにドライエ
ッチング装置3として使用し、スパッタリングを行った
際の真空状態を維持したままで、形成した薄膜の表面を
0.1μmの深さだけドライエッチングを行う。
【0031】本実施の形態では、このような真空状態を
維持したままでのドライエッチングおよび薄膜形成を3
回繰返し、最終的に金属製の基板の表面に6.3μmの
厚さの積層化された薄膜を形成した。
【0032】こうして作成された薄膜の構成例を図4に
モデル構成図により示す。図4に示すように、形成され
た薄膜40は基板41の表面に、微少な結晶粒43から
なるエッチング層と厚さ方向に成長した結晶粒42から
なる薄膜とが交互に3層ずつ積層された構造となる。結
晶粒42は厚さ方向に成長するが、図8(b)に示す従
来の結晶粒83に比較すると約1/3程度の長さに成長
した時点でエッチング層により結晶粒42の成長が断ち
切られるため、厚さ方向に貫通するような長大な結晶粒
は存在していない。
【0033】図5は、基板の表面に作成された薄膜中の
ピンホール状の欠陥の厚さ方向の生成状況を模式的に示
す説明図であり、図5(a)は本発明にかかる薄膜の作
成法により作成された薄膜の欠陥の生成状況を、図5
(b)は従来の薄膜の作成法により作成された薄膜の欠
陥の生成状況をそれぞれ示す。
【0034】その結果、図5(b)に示すように、従来
法により作成された薄膜51中の欠陥59bは厚さ方向
に貫通して延伸しているものが多いのに対し、図5
(a)に示す本発明法により作成された薄膜50を構成
する薄膜54、56および58中の欠陥59aはエッチ
ング層55、57により厚さ方向に分断されており、薄
膜50の厚さ方向に貫通した欠陥は存在しないことがわ
かる。
【0035】さらに、図5(a)および図5(b)に示
すように、金属製の基板52の表面に形成された薄膜5
0、薄膜51の表面に電極膜Eをコーティングして薄膜
50、51の電気抵抗値を測定して薄膜の絶縁性を評価
した。測定結果を図5(c)にグラフで示す。
【0036】図5(c)にはこれらの薄膜50、51の
温度に対する電気抵抗値R(T)=ΣR(T)、R
(T)=ΣR(T)(ただし、R(T)は欠陥5
9a、59bの絶縁破壊部分の電気抵抗値を示してお
り、R(T)は欠陥の無い場合の絶縁薄膜50の電気抵
抗を示す。)を示すが、本発明にかかる薄膜の作成法に
より作成された薄膜50の電気抵抗値R(T)は、従
来法により作成された薄膜51の電気抵抗値R(T)
に比較すると、各温度域(高温域含む)における電気抵
抗値が大きいことがわかる。したがって、本発明にかか
る薄膜の作成法により作成された薄膜50を有する基板
52は高温環境下で長時間使用されても従来よりも絶縁
破壊は発生し難くなっていることがわかる。
【0037】本実施の形態では、薄膜形成装置としてス
パッタリング装置を用いるとともにドライエッチング装
置としてプラズマエッチング装置を用いたが、薄膜形成
装置、ドライエッチング装置ともにこれに限定されるも
のではなく、これら以外の装置を用いることもできる。
【0038】図2では、薄膜形成装置として真空蒸着装
置またはイオンプレーティング装置を用いる(図2
(a)参照)とともにドライエッチング装置としてプラ
ズマエッチング装置またはイオンエッチング装置を用い
る(図2(b)参照)場合を示す。
【0039】図2(a)および図2(b)において、本
発明にかかる薄膜の作成装置20は真空槽23を有す
る。この真空槽23の内部底部には、真空蒸着またはイ
オンプレーティングを行う際のるつぼ状の薄膜原料供給
装置24が収容されるとともに基板25を下方に向けて
支持する基板ホルダ26が懸吊される。基板ホルダ26
は切替えスイッチ27に電気的に接続されており、切替
えスイッチ27は接地側かプラズマ電源28側のいずれ
かに切替えられる。切替えスイッチ27が接地側に切り
替えられた場合は本発明にかかる薄膜の作成装置20は
薄膜形成装置21(真空蒸着装置またはイオンプレーテ
ィング装置)として作用し、一方、切替えスイッチ27
がプラズマ電源28側に切替えられた場合には本発明に
かかる薄膜の作成装置20はドライエッチング装置22
(プラズマエッチング装置またはイオンエッチング装
置)として作用する。
【0040】さらに、図3は、薄膜形成装置としてCV
D装置を用いる(図3(a)参照)とともにドライエッ
チング装置としてプラズマエッチング装置またはイオン
エッチング装置を用いる(図3(b)参照)場合を示
す。
【0041】図3(a)および図3(b)において、本
発明にかかる薄膜の作成装置30は真空槽31を有す
る。真空槽31の内部には、プラズマ電源38に接続さ
れた薄膜発生装置35と、懸吊された基板ホルダ36に
より下方に向けて保持される基板34とが収容される。
基板ホルダ36は切替えスイッチ39に電気的に接続さ
れており、切替えスイッチ39は接地側かプラズマ電源
37側のいずれかに切替えられる。切替えスイッチ39
が接地側に切り替えられた場合は本発明にかかる薄膜の
作成装置30は薄膜形成装置(CVD装置)32として
作用し、一方、切替えスイッチ39がプラズマ電源37
側に切替えられた場合には本発明にかかる薄膜の作成装
置30はドライエッチング装置33(プラズマエッチン
グ装置またはイオンエッチング装置)として作用する。
【0042】図2または図3に示す本発明にかかる薄膜
の作成装置はともに、図1により示した本発明にかかる
薄膜の作成装置と同様に、洗浄された基板の表面に形成
された薄膜の表面に対して、真空状態を維持したまま
で、ドライエッチングおよび薄膜形成の処理を1回また
は2回以上行うことができる。
【0043】また、本実施の形態では、真空状態を維持
したままで薄膜の形成とドライエッチングとをそれぞれ
3回ずつ行って3層を積層させた場合を例にとったが、
3回に限定されるものではなく、薄膜全体の目標厚さと
1回の薄膜形成の厚さの適正値(1〜3μm)とによ
り、2回または4回以上としてもよい。
【0044】また、積層させる各薄膜は同種のものでも
よいが、薄膜に求める性能に応じて異種のセラミックス
化合物からなるものとしてもよい。例えば、図6に示す
ように、インコネル718からなる基板の表面に、真空
状態を維持したままでNi−Cr製の基礎フィルムを被
覆し、この上にSiからなる薄膜を第1層として
形成し、ドライエッチングを行ってエッチング層を形成
し、この上にAlからなる薄膜を第2層として形
成し、ドライエッチングを行ってエッチング層を形成
し、この上にSiからなる薄膜を第3層として形
成し、ドライエッチングを行ってエッチング層を形成
し、この上にAlからなる薄膜を第4層として形
成し、全体として薄膜を構成する態様を例示することが
できる。
【0045】セラミックス化合物の種類としては、基板
の絶縁被覆を行い得るものであればよく、Al
Siの他に、AlN、SiO、SiO、SiN
さらにはBN等を例示できる。
【0046】このように、基板の表面に積層された基礎
フィルム(0.3μm厚)および薄膜(6.3μm厚)
を絶縁層とし、この絶縁層の表面に、Ni−Cr(0.
5μm厚)およびAu(0.3μm厚)それぞれ積層さ
せて電極膜を構成して、薄膜センサを構成した。
【0047】この薄膜センサの表面を被覆する電極膜の
2箇所について電極膜および基板間に電流を流した際の
抵抗値を測定した。2点について、昇温ステップおよび
薄膜の抵抗値の測定結果を経時的に図7(a)および図
7(b)にグラフでそれぞれ示す。
【0048】図7(a)および図7(b)から本発明に
かかる薄膜の作成法により作成した薄膜は、約420分
間経過時においても10(Mohm)以上の抵抗値が維
持されるとともに700℃程度の高温域でも100(M
ohm)程度の抵抗値が維持され、本発明にかかる薄膜
の作成法により作成された薄膜は絶縁性、特に高温にお
ける絶縁性が優れることがわかる。
【0049】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にか
かる薄膜の作成法では、基板の表面に薄膜を形成した
後、真空状態を維持したままで、ドライエッチングおよ
び薄膜の形成を1回または2回以上行うように構成した
ため、薄膜が内包する内部応力の値が大巾に低減される
とともに、薄膜を厚さ方向に貫通するピンホール状の欠
陥が解消されて、薄膜の高温環境下における耐剥離性お
よび絶縁破壊に対する抵抗性が向上する。
【0050】また、本発明にかかる薄膜の作成法では、
真空状態を維持したままで薄膜の形成およびその表面の
ドライエッチングを行うため、各薄膜の表面が外気中に
含まれる不純物により汚染されない。したがって、薄膜
全体の膜質が劣下せず、薄膜の耐剥離性が向上する。
【0051】一方、本発明にかかる薄膜の作成装置で
は、金属製の基板の表面に真空状態でセラミックス化合
物からなる薄膜を形成する薄膜形成装置と、この真空状
態を維持したままで薄膜形成装置により作成された薄膜
の表面のドライエッチングを行うドライエッチング装置
とを組合せて備えるように構成したため、真空槽内にお
いて基板表面へのドライエッチングおよび薄膜の作成を
1回または2回以上行うことができ、請求項1記載の本
発明にかかる薄膜の作成法を確実に実施できるようにな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる薄膜の作成装置の一例の概略構
成図であり、図1(a)は薄膜形成装置をスパッタリン
グ装置で構成した場合の説明図であり、図1(b)はド
ライエッチング装置をプラズマエッチング装置で構成し
た場合の説明図である。
【図2】本発明にかかる薄膜の作成装置の他の一例の概
略構成図であり、図2(a)は薄膜形成装置を真空蒸着
装置またはイオンプレーティング装置で構成した場合の
説明図であり、図2(b)はドライエッチング装置をプ
ラズマエッチング装置で構成した場合の説明図である。
【図3】本発明にかかる薄膜の作成装置のさらに他の一
例の概略構成図であり、図3(a)は薄膜形成装置をC
VD装置で構成した場合の説明図であり、図3(b)は
ドライエッチング装置をプラズマエッチング装置で構成
した場合の説明図である。
【図4】本発明にかかる薄膜の作成法により作成された
薄膜の構成例を示すモデル構成図である。
【図5】薄膜の内部の欠陥の生成状況を示すモデル図で
あり、図5(a)は本発明例を、図5(b)は従来例を
それぞれ示し、図5(c)は両者の実験結果を示す。
【図6】本発明にかかる薄膜の作成法により作成した他
の薄膜の構成例を示すモデル構成図である。
【図7】図7(a)および図7(b)は、ともに実験結
果を示すグラフである。
【図8】図8(a)および図8(b)は、形成過程にあ
る従来の薄膜の構成例を示すモデル構成図である。
【符号の説明】
1 本発明にかかる薄膜の作成装置 2 薄膜形成装置(スパッタリング装置) 3 ドライエッチング装置(プラズマエッチング装置) 4 真空槽 5 基板 6 スパッタリング電極 7 プラズマ電源 8 プラズマ 9 基板ホルダ 10 シャッタ 11 切替えスイッチ 12 プラズマ電源 13 プラズマ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製の基板の表面に薄膜作成法により
    真空状態でセラミックス化合物からなる薄膜を形成した
    後に、前記真空状態を維持したまま前記薄膜の表面に、
    ドライエッチングを行ってから前記薄膜作成法により前
    記薄膜と同種または異種のセラミックス化合物からなる
    薄膜を形成する処理を1回または2回以上行うことによ
    り、前記基板の表面に2層以上の薄膜を積層することを
    特徴とする薄膜の作成法。
  2. 【請求項2】 金属製の基板を真空状態で収容する真空
    槽を備え収容された前記基板の表面にセラミックス化合
    物からなる薄膜を形成する薄膜形成装置と、前記真空槽
    の内部に設けられ前記真空状態を維持したまま前記薄膜
    形成装置と切り替えられて使用されることにより前記薄
    膜の表面のドライエッチングを行うドライエッチング装
    置とを組合せて備えることを特徴とする薄膜の作成装
    置。
JP30216595A 1995-10-26 1995-10-26 薄膜の作成法および作成装置 Pending JPH09118973A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006111804A1 (ja) * 2005-03-28 2006-10-26 Kanagawa Academy Of Science And Technology 半導体製造方法及び半導体装置
JP2010163662A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 National Institute For Materials Science ドライプロセス装置

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WO2006111804A1 (ja) * 2005-03-28 2006-10-26 Kanagawa Academy Of Science And Technology 半導体製造方法及び半導体装置
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