JPH09115541A - 燃料電池システムおよびその運転方法 - Google Patents

燃料電池システムおよびその運転方法

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JPH09115541A
JPH09115541A JP7297580A JP29758095A JPH09115541A JP H09115541 A JPH09115541 A JP H09115541A JP 7297580 A JP7297580 A JP 7297580A JP 29758095 A JP29758095 A JP 29758095A JP H09115541 A JPH09115541 A JP H09115541A
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JP
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hydrogen
fuel cell
fuel
gas
carbon dioxide
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JP7297580A
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Masayoshi Taki
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料電池の発電効率を低下させることなく、
システムにおける水素利用率を向上させて全体としての
エネルギ効率を向上させる。 【解決手段】 燃料電池システム10は、メタンと二酸
化炭素と水との供給を受け水素と二酸化炭素とを主成分
とする燃料ガスを生成する改質器20と、改質器20に
より生成された燃料ガスの供給を受けて発電する燃料電
池30とを備える。改質器20には、二酸化炭素とし
て、燃料電池30から排出される燃料ガス系の排ガスが
供給される。燃料ガス系の排ガスには、燃料電池30で
発電に使用されなかった水素が混在するが、この水素
は、そのまま改質器20を通過して燃料電池30に供給
される。この結果、システムにおける水素利用率の向上
が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池システム
およびその運転方法に関し、詳しくは、炭化水素から水
素と二酸化炭素を主成分とする燃料ガスを生成する改質
器と、この生成した燃料ガス中の水素を燃料として発電
する燃料電池とを備える燃料電池システムおよびその運
転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の燃料電池システムとして
は、天然ガスから水素を主成分とする燃料ガスを生成す
る改質器と、この改質器により生成された燃料ガスの供
給を受けて発電する燃料電池とを備える燃料電池システ
ムが提案されている(例えば、特開平5−114414
号公報等)。
【0003】このシステムの改質器は、天然ガスと水
(水蒸気)とを原材料として次式(1)に示すいわゆる
水蒸気改質反応と、この水蒸気改質反応により副生する
一酸化炭素と水(水蒸気)とによる次式(2)に示すい
わゆるシフト反応とにより、全体としては次式(3)に
より、水素と二酸化炭素とを主成分とする燃料ガスを生
成する。これらの反応は全体としては吸熱反応であるこ
とから、この反応に必要な熱(エネルギ)を供給するた
めに、改質器には、反応部を加熱するバーナが設けられ
ている。
【0004】
【数1】
【0005】こうして生成された燃料ガスは燃料電池に
供給されるが、燃料電池には、発電効率をより良くする
ために、即ち燃料電池の燃料ガスの出口付近に配置され
た電極部分でも他の部分と同様に次式(4)および
(5)に示す電気化学反応を行なって発電するように、
燃料電池が必要とする水素量に対し20ないし30%程
度過剰な水素量となる燃料ガスが供給される。したがっ
て、燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスには未
使用の水素ガスが含まれることになる。上記システムで
は、この燃料ガス系の排ガスを、改質器の反応部を加熱
するバーナに送って、排ガス中の未使用の水素を燃料と
して燃焼している。
【0006】
【数2】
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、排ガス
中の未使用の水素を改質器の反応部を加熱するための燃
料として使用するのでは、全体としてのエネルギ効率が
低下してしまうという問題があった。排ガス中の未使用
の水素は、天然ガスから吸熱を伴って生成されるもので
あるから、改質器の反応部を加熱するための燃料として
天然ガスをそのまま用いた場合に比し、吸熱によるエネ
ルギの分だけ燃焼により発生するエネルギが小さくなっ
てしまう。
【0008】こうした問題に対し、燃料電池に供給する
燃料ガスの供給量を発電に必要な量にできればよいが、
こうすると、燃料電池の燃料ガスの出口付近に配置され
た電極部分には、電気化学反応に必要な十分な量の水素
が供給されず、燃料電池の発電効率を低下させてしま
う。
【0009】本発明の燃料電池システムおよびその運転
方法は、燃料電池の発電効率を低下させることなく、シ
ステムにおける水素利用率を向上させて全体としてのエ
ネルギ効率を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の燃料電池システムは、炭化水素と二酸化炭素とか
ら水素と一酸化炭素とを主成分とする中間ガスを生成す
る第1反応部と、該生成した中間ガスと水とから水素と
二酸化炭素とを主成分とする燃料ガスを生成する第2反
応部とを有する炭化水素改質器と、該炭化水素改質器に
より生成した燃料ガスの供給を受け、該燃料ガス中の水
素を燃料として発電する燃料電池と、を備える燃料電池
システムであって、前記燃料電池から排出される燃料ガ
ス系の排ガスの少なくとも一部を、前記炭化水素改質器
が有する前記第1反応部に前記中間ガスを生成する原料
の一部として供給する排ガス供給手段を備えることを要
旨とする。
【0011】この燃料電池システムは、炭化水素改質器
の第1反応部が、供給された炭化水素と二酸化炭素とか
ら水素と一酸化炭素とを主成分とする中間ガスを生成
し、炭化水素改質器の第2反応部が、この生成した中間
ガスと水とから水素と二酸化炭素とを主成分とする燃料
ガスを生成する。燃料電池は、炭化水素改質器により生
成した燃料ガスの供給を受け、燃料ガス中の水素を燃料
として発電する。そして、排ガス供給手段は、燃料電池
から排出される燃料ガス系の排ガスの少なくとも一部
を、炭化水素改質器が有する第1反応部に中間ガスを生
成する原料の一部として供給する。
【0012】ここで、燃料ガス系の排ガスには、燃料ガ
スの主成分である二酸化炭素と燃料電池で使用されなか
った水素とが含まれる。したがって、燃料ガス系の排ガ
スの一部を炭化水素改質器の第1反応部に供給すること
により、排ガス中の二酸化炭素を原料として再利用する
ことができる。しかも、燃料電池で使用されなかった水
素がそのまま炭化水素改質部を通り抜けて燃料ガスと共
に燃料電池に供給されるから、炭化水素改質器により生
成される水素量に対する燃料電池により消費される水素
量の比である水素の利用率を高くすることができ、運転
効率をより良くすることができる。
【0013】本発明の前記燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスから水
素を分離する水素分離手段と、該分離された水素を前記
燃料電池に燃料として供給する水素供給手段とを備え、
前記排ガス供給手段は、前記水素分離手段により水素が
分離された残余のガスの少なくとも一部を、前記炭化水
素改質器が有する前記第1反応部に前記中間ガスを生成
する原料の一部として供給する手段である態様とするこ
ともできる。
【0014】この態様では、水素分離手段が、燃料電池
から排出される燃料ガス系の排ガスから水素を分離し、
水素供給手段が、分離された水素を燃料電池に燃料とし
て供給する。そして、排ガス供給手段は、水素分離手段
により水素が分離された残余のガスの少なくとも一部
を、炭化水素改質器が有する第1反応部に中間ガスを生
成する原料の一部として供給する。
【0015】この態様とすれば、燃料ガス系の水素を分
離して燃料として燃料電池に供給するから、燃料電池シ
ステムにおける水素の利用率を高くすることができ、運
転効率をより良くすることができる。もとより、水素を
分離した残余のガスの少なくとも一部を炭化水素改質器
が有する第1反応部に供給するから、排ガス中の二酸化
炭素を再利用することができる。
【0016】また、前記燃料電池システムにおいて、前
記排ガス供給手段により前記炭化水素改質器が有する前
記第1反応部に供給されなかった残余の排ガスから水素
を分離する水素分離手段と、該分離された水素を前記燃
料電池に燃料として供給する水素供給手段とを備える態
様とすることもできる。
【0017】この態様では、水素分離手段が、排ガス供
給手段により炭化水素改質器が有する第1反応部に供給
されなかった残余の排ガスから水素を分離し、水素供給
手段が、この分離された水素を燃料電池に燃料として供
給する。この態様とすれば、排ガス供給手段により炭化
水素改質器が有する第1反応部に供給されなかった残余
の排ガス中の水素を分離して燃料として燃料電池に供給
するから、燃料電池システムにおける水素の利用率を高
くすることができ、運転効率をより良くすることができ
る。
【0018】前記燃料電池システムにおいて、前記燃料
電池から排出される燃料ガス系の排ガスから二酸化炭素
を分離する二酸化炭素分離手段を備え、前記排ガス供給
手段は、該二酸化炭素分離手段により分離された二酸化
炭素の少なくとも一部を、前記炭化水素改質器が有する
前記第1反応部に前記中間ガスを生成する原料の一部と
して供給する手段である態様とすることもできる。
【0019】この態様では、二酸化炭素分離手段が、燃
料電池から排出される燃料ガス系の排ガスから二酸化炭
素を分離し、排ガス供給手段が、二酸化炭素分離手段に
より分離された二酸化炭素の少なくとも一部を、炭化水
素改質器が有する第1反応部に中間ガスを生成する原料
の一部として供給する。この態様とすれば、排ガス中の
二酸化炭素を再利用することができる。
【0020】こうした二酸化炭素分離手段を備える燃料
電池システムにおいて、前記二酸化炭素分離手段により
二酸化炭素が分離された残余のガスを前記燃料電池に燃
料として供給する残余ガス供給手段を備える態様とする
こともできる。こうすれば、排ガス中の含まれる水素が
燃料として燃料電池に供給されるから、燃料電池システ
ムにおける水素の利用率を高くすることができ、運転効
率をより良くすることができる。
【0021】これらの各態様の燃料電池システムにおい
て、前記炭化水素改質器は、前記燃料ガス中の一酸化炭
素を選択的に酸化して二酸化炭素とする選択酸化反応部
を備える態様とすることもできる。こうすれば、燃料ガ
ス中の一酸化炭素についての許容濃度が極めて低いタイ
プの燃料電池でもシステムの構成とすることができる。
【0022】また、前記燃料電池システムにおいて、前
記炭化水素は、メタンである態様とすることもでき、あ
るいは、炭素数の異なる複数の化合物を含むガスである
態様とすることもできる。
【0023】本発明の燃料電池システムの運転方法は、
炭化水素と二酸化炭素とから水素と一酸化炭素とを主成
分とする中間ガスを生成する第1反応部と、該生成した
中間ガスと水とから水素と二酸化炭素とを主成分とする
燃料ガスを生成する第2反応部とを有する炭化水素改質
器と、該炭化水素改質器により生成した燃料ガスの供給
を受け、該燃料ガス中の水素を燃料として発電する燃料
電池とを備える燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスの少な
くとも一部を、前記炭化水素改質器が有する前記第1反
応部に前記中間ガスを生成する原料の一部として供給す
ることを要旨とする。
【0024】この運転方法によれば、燃料ガス系の排ガ
スには燃料ガスの主成分である二酸化炭素と燃料電池で
使用されなかった水素とが含まれるから、燃料ガス系の
排ガスの一部を炭化水素改質器の第1反応部に供給する
ことにより、排ガス中の二酸化炭素を原料として再利用
することができる。しかも、燃料電池で使用されなかっ
た水素がそのまま炭化水素改質部を通り抜けて燃料ガス
と共に燃料電池に供給されるから、燃料電池システムに
おける水素の利用率を高くすることができ、運転効率を
より良くすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は、本発明の好適な一実施例
である燃料電池システム10の構成の概略を例示するブ
ロック図である。図示するように、燃料電池システム1
0は、メタンを貯蔵するメタンタンク12と、水を貯蔵
する水タンク14と、メタンタンク12から供給される
メタンを改質して水素と二酸化炭素とを主成分とする燃
料ガスを生成する改質器20と、改質器20で生成され
る燃料ガスと酸素を含有する酸化ガス(例えば、空気)
との供給を受けて発電する燃料電池30と、改質器20
および燃料電池30の運転を制御する電子制御ユニット
40とから構成される。
【0026】改質器20は、メタンタンク12からのメ
タンと燃料電池30から排出される燃料ガス系の排ガス
との供給を受けて次式(6)に示す反応式により一酸化
炭素と水素とを主成分とする改質ガスを生成する改質反
応部22と、改質ガス中の一酸化炭素と水タンク14か
ら供給される水とを式(7)に示す反応式により二酸化
炭素と水素とにして改質ガスを燃料ガスにするシフト反
応部24と、シフト反応部24では反応しきれずに燃料
ガス中に残存した微量の一酸化炭素をブロワ27により
供給される空気中の酸素により選択的に酸化して二酸化
炭素として燃料ガス中の一酸化炭素濃度を低減する選択
酸化部28と、シフト反応部24と選択酸化部28との
連絡管に設けられシフト反応部24により生成される燃
料ガス中の一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素センサ
26とを備える。なお、改質反応部22の反応とシフト
反応部24の反応とを合わせた全体としての反応は、式
(8)に示すとおりである。
【0027】
【数3】
【0028】改質反応部22には、上式(6)の反応を
促進する触媒(例えばNi系触媒)が充填されている。
また、式(6)の反応が吸熱反応であることから、この
反応に必要な熱量を供給するために、改質反応部22
は、メタンタンク12から供給されるメタンと、燃料電
池30から排出される燃料ガス系の排ガスの一部とを燃
焼する燃焼部23を備える。この他、改質反応部22
は、図示しないが、反応部内部の温度を検出する温度セ
ンサを備える。こうした改質反応部22は、信号線によ
り電子制御ユニット40に接続されており、電子制御ユ
ニット40により、改質反応部22の運転温度を所定温
度(実施例の場合は750℃)に保つ運転温度制御およ
び改質反応部22へのメタンおよび燃料ガス系の排ガス
の供給量制御がなされる。なお、改質反応部22の運転
温度制御は、温度センサにより検出される反応部内部の
温度に基づいて燃焼部23へのメタンの供給量を制御す
ることにより行なわれる。
【0029】シフト反応部24には、上式(7)の反応
を促進する触媒(例えば、Cu−ZnO系触媒)が充填
されている。シフト反応部24は、図示しないが、反応
部内部の温度を検出する温度センサと、反応部内部の温
度を調節する温度調節機構(例えば、熱交換器等)とを
備える。シフト反応部24は、信号線により電子制御ユ
ニット40に接続されており、電子制御ユニット40に
より、シフト反応部24の運転温度を所定温度(実施例
の場合は250℃)に保つ運転温度制御およびシフト反
応部24への水の供給量制御がなされる。なお、実施例
のシフト反応部24で行なわれる運転温度制御は、改質
反応部22が750℃に保たれることによりシフト反応
部24に供給される改質ガスも750℃程度の温度とな
っていること及び式(7)が発熱反応であることから、
熱交換器に循環される冷却水の流量を調節して反応部内
部を冷却する制御となる。
【0030】選択酸化部28には、水素リッチガス中の
少量の一酸化炭素の酸化反応を水素の酸化反応に優先し
て行なう触媒(例えば、Ru系触媒)が充填されてい
る。また、選択酸化部28は、図示しないが、反応部内
部の温度を検出する温度センサと、反応部内部の温度を
調節する温度調節機構(例えば、熱交換器等)とを備え
る。選択酸化部28は、信号線により電子制御ユニット
40に接続されており、電子制御ユニット40により、
選択酸化部28の運転温度を所定温度(実施例の場合は
90℃)に保つ運転温度制御およびブロワ27から選択
酸化部28への空気の導入量制御がなされる。なお、実
施例の選択酸化部28で行なわれる運転温度制御は、シ
フト反応部24が250℃に保たれることから、シフト
反応部24における運転温度制御と同様に熱交換器に循
環される冷却水の流量を調節して反応部内部を冷却する
制御となる。また、空気の導入量制御は、シフト反応部
24により生成される燃料ガス中の一酸化炭素濃度を一
酸化炭素センサ26により検出し、検出した一酸化炭素
濃度に応じた酸素量、即ち燃料ガス中の一酸化炭素のす
べてを酸化して二酸化炭素とするのに十分な酸素量とな
る空気量を演算し、この演算結果に基づいて選択酸化部
28に設けられた図示しない空気導入口のバルブの開度
を調整することにより行なわれる。
【0031】燃料電池30は、固体高分子型の燃料電池
であり、その単一セル構造として図2に示す構造を備え
る。図示するように、セルは、フッ素系樹脂等の固体高
分子材料により形成されたプロトン導電性の膜体である
電解質膜31と、白金または白金と他の金属からなる合
金の触媒が練り込められたカーボンクロスにより形成さ
れ触媒が練り込められた面で電解質膜31を挟持してサ
ンドイッチ構造とするガス拡散電極としてのアノード3
2およびカソード33と、このサンドイッチ構造を両側
から挟みつつアノード32およびカソード33とで燃料
ガスおよび酸化ガスの流路を形成するセパレータ34,
35と、セパレータ34,35の外側に配置されアノー
ド32およびカソード33の集電極となる集電板36,
37とにより構成されている。図2では、説明のため燃
料電池30の単一セルの構成を示したが、実際には、セ
パレータ34,アノード32,電解質膜31,カソード
33,セパレータ35をこの順に複数組積層し、その積
層端に集電板36,37を配置することにより、燃料電
池30は構成されている。なお、燃料電池30は、図示
しないが、内部の温度を検出する温度センサや温度調節
機構を備え、電子制御ユニット40により運転温度の制
御がなされる。
【0032】燃料電池30の燃料ガス系の入口は、燃料
ガス供給管29により改質器20と接続されており、改
質器20で生成された燃料ガスが燃料ガス供給管29を
介して供給される。また、燃料電池30の燃料ガス系の
排ガスの出口は、排ガス供給管38により改質器20の
改質反応部22の供給口に接続されており、燃料ガス系
の排ガスが改質反応部22に供給される。また、排ガス
供給管38には分岐管38Bが分岐しており、改質反応
部22に供給される残余の排ガスが改質反応部22の燃
焼部23に供給され燃焼されるようになっている。
【0033】電子制御ユニット40は、マイクロコンピ
ュータを中心とした論理回路として構成され、詳しく
は、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算
等を実行するCPU42と、CPU42で各種演算処理
を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が
予め格納されたROM44と、同じくCPU42で各種
演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的に読
み書きされるRAM46と、各部の各種センサからの検
出信号を入力すると共にCPU42での演算結果に応じ
て各部に駆動信号を出力する入出力ポート48等を備え
る。
【0034】次に、こうして構成された燃料電池システ
ム10の運転について説明する。燃料電池30が供給さ
れた燃料ガス中の水素のすべてを発電に用いることがで
きるものであれば、燃料電池30には、燃料電池30で
消費される水素量を計算し、計算された水素量となる燃
料ガスを供給すればよい。この場合、改質反応部22に
は、計算された水素量を発生する量のメタンおよび二酸
化炭素が供給されることになる。しかし、燃料電池30
を構成する各セルが均等に、かつ各セルのどの部分でも
効率よく発電するようにするためには、燃料電池30で
消費する水素量より20〜30%程度過剰な水素量とな
る燃料ガスを燃料電池30に供給する必要がある。した
がって、燃料電池30から排出される燃料ガス系の排ガ
スには、燃料電池30で使用されなかった水素が含まれ
ることになる。
【0035】いま、燃料電池システム10が、改質反応
部22に供給されるメタン量が1[モル/分]で燃料電
池30から排出される燃料ガス系の排ガスに含まれる二
酸化炭素量および水素量がそれぞれ2[モル/分]およ
び2α[モル/分]の定常運転状態にあるとする。改質
反応部22に供給される1[モル/分]のメタンに対
し、上式(6)の反応における当量の二酸化炭素は1
[モル/分]であるから、改質反応部22には、燃料電
池30から排出される燃料ガス系の排ガスの半分を供給
することになる。したがって、改質反応部22には、1
[モル/分]の二酸化炭素が供給されるに伴ってα[モ
ル/分]の水素が供給されることになる。改質反応部2
2に供給されたα[モル/分]の水素は改質反応部22
をそのまま通過し、1[モル/分]のメタンと1[モル
/分]の二酸化炭素とは上式(6)の反応により2[モ
ル/分]の一酸化炭素と2[モル/分]の水素とになる
から、シフト反応部24へは、2[モル/分]の一酸化
炭素と(2+α)[モル/分]の水素が供給されること
になる。なお、燃料電池30から排出される燃料ガス系
の排ガスの残りの半分は、改質反応部22の燃焼部23
に導入され、排ガス中の水素はこの燃焼部23で燃焼さ
れる。
【0036】シフト反応部24には、2[モル/分]の
一酸化炭素と(2+α)[モル/分]の水素の他に2
[モル/分]の水が供給される。シフト反応部24に供
給された一酸化炭素と水は、上式(7)の反応により2
[モル/分]の二酸化炭素と2[モル/分]の水素とに
なり、(2+α)[モル/分]の水素は、そのままシフ
ト反応部24を通過する。したがって、選択酸化部28
には、2[モル/分]の二酸化炭素と(4+α)[モル
/分]の水素とが導入されることになる。なお、選択酸
化部28に導入される燃料ガス中の一酸化炭素濃度は、
水素濃度や二酸化炭素濃度に比して極めて小さいから、
燃料電池30に供給される二酸化炭素および水素の量
は、選択酸化部28に導入されるこれらの量と同じと考
えてもよい。実際は、選択酸化部28で酸化される一酸
化炭素量の分だけ二酸化炭素量が増加し、選択酸化部2
8に導入される酸素量が過剰なときには、その過剰分に
応じた水素が酸化されるから、この分だけ水素量が減少
することになる。
【0037】燃料電池30では、燃料電池30を構成す
る各セルで供給された燃料ガス中の(4−α)[モル/
分]の水素を上式(4)および(5)の電気化学反応に
より消費して発電し、2[モル/分]の二酸化炭素と2
α[モル/分]の水素とを排出する。
【0038】ここで、改質反応部22に供給される水素
量α[モル/分]は、燃料電池30に供給される燃料ガ
ス中の水素量に対する燃料電池30で消費する水素量の
比である水素消費率Sを用いて次式(9)によって表わ
される。例えば、水素消費率Sが80%のときには、水
素量αは0.444[モル/分]となる。したがって、
改質器20により生成される水素量に対する燃料電池3
0により消費される水素量の比である水素利用率Rは、
次式(10)によって表わされる。例えば、水素消費率
Sが80%のときには水素利用率Rは88.9%とな
り、燃料電池30から排出される燃料ガス系の排ガスの
全量を燃焼部23に導入するタイプの水素利用率Rの8
0%に比し、水素をより効率よく用いることができる。
【0039】 α=4(100−S)/(100+S) …(9) R={1−(α/4)}×100 …(10)
【0040】以上説明した実施例の燃料電池システム1
0によれば、燃料電池30から排出される燃料ガス系の
排ガスの一部を再利用することができる。しかも、燃料
ガス系の排ガスに含まれる水素が再び燃料電池30に供
給されるから、システムにおける水素利用率Rを高くす
ることができ、全体としてのエネルギ効率をより高くす
ることができる。
【0041】実施例の燃料電池システム10では、燃料
電池30を固体高分子型の燃料電池として構成したが、
固体高分子型に限られるものではなく、例えば、リン酸
型燃料電池など、水素を燃料とする燃料電池であれば如
何なる種類の燃料電池であってもよい。この場合、実施
例の燃料電池システム10では、改質器20が選択酸化
部28を備える構成としたが、燃料電池30が一酸化炭
素の許容濃度が高いタイプの燃料電池(例えば、リン酸
型燃料電池など)では、一酸化炭素濃度を極微量とする
必要がないから改質器20が選択酸化部28を備えない
構成としてもよい。選択酸化部28を備えない改質器で
は、燃料ガス中の一酸化炭素濃度を検出する必要もない
ので、一酸化炭素センサ26も備える必要がない。
【0042】また、実施例の燃料電池システム10で
は、改質反応部22で生成される改質ガスの原料として
メタンを供給したが、エタンやプロパン等のパラフィン
系炭化水素を原料として供給する構成、エチレンやプロ
ピレン等のオレフィン系炭化水素またはアセチレン系炭
化水素あるいは芳香族炭化水素等を原料とする構成とし
てもよい。また、原料として単一の炭化水素を改質反応
部22に供給してもよく、あるいは、複数種の炭化水素
の混合ガスを改質反応部22に供給するものとしてもよ
い。例えば、メタンを主成分とする天然ガスをそのまま
供給するものとしてもよい。このように、メタン以外の
炭化水素を改質反応部22に供給する場合やメタンを含
め複数種の炭化水素の混合ガスを改質反応部22に供給
する場合、上式(6)ないし(8)に代えて、次式(1
1)ないし(13)により、改質反応部22に供給する
炭化水素量に対して当量となる二酸化炭素量を計算し、
この量となるよう燃料電池30から排出される燃料ガス
系の排ガスを供給することになる。
【0043】
【数4】
【0044】次に本発明の第2の実施例である燃料電池
システム10Bについて説明する。図3は、第2実施例
の燃料電池システム10Bの構成の概略を例示するブロ
ック図である。図示するように、第2実施例の燃料電池
システム10Bは、燃料ガス系の排ガスから水素を分離
する水素分離器50を備えること等を除き、第1実施例
の燃料電池システム10と同一の構成をしている。した
がって、第2実施例の燃料電池システム10Bの構成の
うち第1実施例の燃料電池システム10と同一の構成に
ついては同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0045】第2実施例の燃料電池システム10Bが備
える水素分離器50は、排ガス供給管38により燃料電
池30と接続しており、燃料電池30から燃料ガス系の
排ガスの供給を受ける。また、水素分離器50は、水素
供給管52により、改質器20から燃料電池30に燃料
ガスを供給する燃料ガス供給管29と接続しており、燃
料ガス系の排ガスから分離した水素を、燃料ガス供給管
29内の燃料ガスに圧入するようになっている。水素分
離器50は、残ガス供給管54により改質器20の改質
反応部22に接続されており、この残ガス供給管54を
介して燃料ガス系の排ガスから水素を分離した残余のガ
ス(残ガス)を改質反応部22に供給する。残ガス供給
管54には、分岐管54Bが設けられており、残ガスの
うち改質反応部22で必要とする量以上の余剰のガス
が、この分岐管54Bにより外気に放出される。
【0046】図4は、水素分離器50の構成の概略を例
示する説明図である。水素分離器50は、排ガス供給管
38から燃料ガス系の排ガスが導入される排ガス室50
aと、燃料ガス系の排ガスから水素が分離される水素室
50bと、排ガス室50aおよび水素室50bの隔壁を
なす水素透過膜50cとから構成される。水素透過膜5
0cは、パラジウム合金により厚さ50〜80μmの膜
状に形成されている。以下に、この水素透過膜50cに
よる水素分離の様子について図5を用いて説明する。
【0047】排ガス室50aに導入された排ガス中の水
素分子は、水素透過膜50cの表面で2個の水素原子に
解離し、水素透過膜50cに電子を放出すると共にプロ
トン(水素イオン)として吸蔵される。なお、こうした
パラジウム合金による水素の吸蔵はよく知られている。
水素透過膜50cに吸蔵されたプロトンは、排ガス室5
0aの水素濃度(水素分圧)と水素室50bの水素濃度
(水素分圧)との濃度差(分圧差)によって水素濃度の
高い方から低い方に水素透過膜50c内を移動する。い
ま、水素室50bの水素を水素供給管52により燃料電
池30へ供給して水素室50bの水素濃度を低くすれ
ば、プロトンは、排ガス室50a側から水素室50b側
へ水素透過膜50c内を移動する。水素透過膜50c内
を移動したプロトンは、水素透過膜50cの水素室50
b側表面で、反対側で放出した電子を得て水素原子とし
て水素透過膜50c表面に現われ、2個の水素原子がパ
ラジウム合金(水素透過膜50c)を触媒として水素分
子となり、水素透過膜50cから離れる。
【0048】こうした水素分離の原理から、水素分離器
50による水素分離の効率をアップするには、水素透過
膜50cと排ガスとの接触面積を大きくし、排ガス室5
0aの圧力を水素室50bに比して高くすればよいこと
が容易に解る。例えば、水素透過膜50cをパラジウム
合金により直径1mm程度のチューブ状に形成し、この
チューブに排ガスを圧送する構成とすることができる。
こうした場合、チューブの内側が排ガス室50aとな
り、チューブの外側が水素室50bとなる。
【0049】次に、こうして構成された第2実施例の燃
料電池システム10Bの運転について説明する。なお、
基本的には、第1実施例の燃料電池システム10の運転
と同様であるから、同様の運転箇所についての詳細な説
明は省略する。
【0050】いま、第2実施例の燃料電池システム10
Bが、改質反応部22に供給されるメタン量が1[モル
/分]で燃料電池30から排出される燃料ガス系の排ガ
スに含まれる二酸化炭素量および水素がそれぞれ2[モ
ル/分]およびβ[モル/分]の定常運転状態にあると
する。改質反応部22には、メタンタンク12から1
[モル/分]のメタンと、残ガス供給管54を介して水
素分離器50から1[モル/分]の二酸化炭素とが供給
される。水素分離器50から供給される残ガスは、水素
分離器50で水素が分離されているから水素は含まれ
ず、二酸化炭素のみのガスとなる。実際は、水素分離器
50で排ガス中の水素の全量を完全に分離するのが困難
であることから、残ガスに若干の水素が混在する場合も
ある。
【0051】改質器20では、改質反応部22で上式
(6)の反応が、シフト反応部24で上式(7)の反応
が行なわれて、2[モル/分]の二酸化炭素と4[モル
/分]の水素が生成される。燃料ガス供給管29には、
水素分離器50で分離された燃料ガス系の排ガス中の水
素のβ[モル/分]が圧入されるから、燃料電池30に
は、2[モル/分]の二酸化炭素と(4+β)[モル/
分]の水素とが供給されることになる。燃料電池30で
は、こうした燃料ガス中の4[モル/分]の水素を発電
に用いて消費し、2[モル/分]の二酸化炭素とβ[モ
ル/分]の水素とを排出する。燃料電池30から排出さ
れた2[モル/分]の二酸化炭素とβ[モル/分]の水
素とは、前述したように、水素分離器50により分離さ
れて、β[モル/分]の水素は水素供給管52により燃
料ガス供給管29に圧入され、2[モル/分]の二酸化
炭素のうちの1[モル/分]は改質反応部22に供給さ
れ、残る1[モル/分]の二酸化炭素は、分岐管54B
から外気に排出される。
【0052】以上の運転により燃料電池30から排出さ
れる水素量βは、燃料電池30の水素消費率Sを用いて
示せば次式(14)となり、例えば、水素消費率Sが8
0%のときには、1[モル/分]となる。また、燃料電
池システム10Bの水素利用率Rは、改質器20により
生成される水素の全量が燃料電池30で消費されるから
100%となる。
【0053】β=400/S−4 …(14)
【0054】なお、上述したように水素分離器50で排
ガス中の水素の全量を完全に分離するのが困難であるこ
とから、残ガスに若干の水素が混在する場合もあり、こ
の場合には、若干量の水素が二酸化炭素と共に改質反応
部22に供給され、若干量の水素が二酸化炭素と共に分
岐管54Bにより外気に排出されるから、水素利用率R
は100%にならない。この場合、分岐管54Bを改質
反応部22の燃焼部23に接続し、若干量の水素を燃焼
した後に外気に排出するものとするのが好ましい。
【0055】以上説明した第2実施例の燃料電池システ
ム10Bによれば、燃料電池30から排出される燃料ガ
ス系の排ガス中の水素を分離して再び燃料電池30に燃
料として供給するから、燃料電池システム10における
水素の利用率を向上させることができ、全体としてのエ
ネルギ効率をより高めることができる。しかも、水素を
分離した後の残余のガス(残ガス)を改質器20の改質
反応部22に改質ガスを生成する原料として再利用する
ことができる。
【0056】第2実施例では、燃料電池30から排出さ
れる燃料ガス系の排ガスの全量を水素分離器50に導入
して排ガス中の水素を分離したが、図6の燃料電池シス
テム10Cに示すように、排ガスの半分をそのまま改質
反応部22に供給し、残る半分を水素分離器55に導入
する構成としてもよい。なお、水素分離器55は、第2
実施例の燃料電池システム10Bが備える水素分離器5
0と同一の構成をしている。
【0057】この燃料電池システム10Cでは、燃料電
池30から排出される燃料ガス系の排ガスの半分がその
まま改質反応部22に供給されるから、1[モル/分]
の二酸化炭素の供給に伴って(β/2)[モル/分]の
水素が供給されることになる。改質反応部22に供給さ
れた水素は、そのまま改質反応部22,シフト反応部2
4および選択酸化部28を通過するから、改質器20か
らは2[モル/分]の二酸化炭素と(4+β/2)[モ
ル/分]の水素とが燃料ガスとして供給されることにな
る。一方、水素分離器55は、導入された燃料ガス系の
排ガスの半分を(β/2)[モル/分]の水素と1[モ
ル/分]の二酸化炭素とに分離する。分離された水素は
水素供給管58により燃料ガス供給管29に圧入され、
二酸化炭素は排気管59により外気に排出される。した
がって、燃料電池30には、2[モル/分]の二酸化炭
素と(4+β)[モル/分]の水素とが供給されること
になる。
【0058】以上説明した第2実施例の変形例である燃
料電池システム10Cによれば、水素分離器55で燃料
ガス系の排ガスの半分を分離すればよいから、全量を分
離する水素分離器50に比して小型化することができ
る。もとより、燃料電池システム10Cにおける水素利
用率Rを向上させ、エネルギ効率をより高くすることが
できる。
【0059】次に本発明の第3の実施例である燃料電池
システム10Dについて説明する。図7は、第3実施例
の燃料電池システム10Dの構成の概略を例示するブロ
ック図である。図示するように、第3実施例の燃料電池
システム10Dは、燃料ガス系の排ガスから水素を分離
する水素分離器50に代えて燃料ガス系の排ガスから二
酸化炭素を分離する二酸化炭素分離器60を備える点を
除き、第2実施例の燃料電池システム10Bと同一の構
成をしている。したがって、第3実施例の燃料電池シス
テム10Dの構成のうち第2実施例の燃料電池システム
10Bと同一の構成については同一の符号を付し、その
説明は省略する。
【0060】第3実施例の燃料電池システム10Dが備
える二酸化炭素分離器60は、排ガス供給管38により
燃料電池30と接続しており、燃料電池30から燃料ガ
ス系の排ガスの供給を受ける。また、二酸化炭素分離器
60は、二酸化炭素供給管66により、改質器20の改
質反応部22に接続されており、燃料ガス系の排ガスか
ら分離した二酸化炭素を改質反応部22に供給する。二
酸化炭素供給管66には、分岐管67が設けられてお
り、分離した二酸化炭素のうち改質反応部22で必要と
する量以上の余剰の二酸化炭素をこの分岐管67により
外気に放出する。二酸化炭素分離器60は、残ガス供給
管68により、改質器20から燃料電池30に燃料ガス
を供給する燃料ガス供給管29と接続しており、燃料ガ
ス系の排ガスから二酸化炭素を分離した後の残余のガス
(残ガス)を、燃料ガス供給管29内の燃料ガスに圧入
するようになっている。
【0061】図8は、二酸化炭素分離器60の構成の概
略を例示する説明図である。二酸化炭素分離器60は、
二酸化炭素を優先的に吸着するゼオライト(合成ゼオラ
イト:米国ユニオン・カーバイト社製 商品名「モレキ
ュラーシーブス」)が二酸化炭素吸着剤として充填され
た2個の吸着部62A,62Bと、この2個の吸着部6
2A,62Bと排ガス供給管38との配管に設けられた
流入バルブ63A,63Bと、吸着部62A,62Bと
二酸化炭素供給管66との配管に設けられた二酸化炭素
排出バルブ64A,64Bと、吸着部62A,62Bと
残ガス供給管68との配管に設けられた残ガス排出バル
ブ65A,65Bとを備える。
【0062】ゼオライトは、図9の二酸化炭素の吸着保
持量と温度との関係および図10の二酸化炭素の吸着保
持量と圧力との関係から解るように、温度を低くし圧力
を高くすると二酸化炭素の吸着保持量が大きくなり、温
度を高くし圧力を低くすると二酸化炭素の吸着保持量が
小さくなる。したがって、例えば、吸着部62Aの流入
バルブ63Aおよび残ガス排出バルブ65Aを開、二酸
化炭素排出バルブ64Aを閉とすると共に、吸着部62
Aの圧力を高くし温度を低くすれば、燃料ガス系の排ガ
ス中の二酸化炭素は、吸着部62Aに充填された二酸化
炭素吸着剤(ゼオライト)に吸着され、残ガス排出バル
ブ65Aからは二酸化炭素を含まない残ガス、即ち燃料
電池システム10では水素が排出される。こうして排ガ
ス中の二酸化炭素を二酸化炭素吸着剤に吸着させた後
に、吸着部62Aの流入バルブ63Aおよび残ガス排出
バルブ65Aを閉、二酸化炭素排出バルブ64Aを開と
すると共に、吸着部62Aの圧力を低くし温度を高くす
れば、二酸化炭素吸着剤に吸着された二酸化炭素は、二
酸化炭素吸着剤から離脱して二酸化炭素排出バルブ64
Aから排出される。
【0063】実施例の二酸化炭素分離器60では、2個
の吸着部62A,62Bのうち、一方の吸着部の流入バ
ルブおよび残ガス排出バルブを開,二酸化炭素排出バル
ブを閉とすると共にその圧力を高くし温度を低くして充
填された二酸化炭素吸着剤で排ガス中の二酸化炭素を吸
着すると同時に、他方の吸着部の流入バルブおよび残ガ
ス排出バルブを閉,二酸化炭素排出バルブを開とすると
共にその圧力を低くし温度を高くして充填された二酸化
炭素吸着剤に吸着した二酸化炭素を離脱させて改質反応
部22に供給する。そして、所定時間経過したときに、
二酸化炭素の離脱を行なう吸着部と、二酸化炭素の吸着
を行なう吸着部とを切り換えるよう各バルブの操作およ
び各吸着部の圧力の調整,温度の調整を行なう。このよ
うに二酸化炭素分離器60では、2個の吸着部62A,
62Bを交互に二酸化炭素の吸着および離脱に使用する
から、燃料ガス系の排ガス中の二酸化炭素を連続して分
離することができる。
【0064】こうして構成された第3実施例の燃料電池
システム10Dの運転は、水素分離器50に代えて二酸
化炭素分離器60を運転する点を除き、第2実施例の燃
料電池システム10Bの運転と同様である。二酸化炭素
分離器60の運転は、燃料ガス系の排ガスから二酸化炭
素を分離する点で燃料ガス系の排ガスから水素を分離す
る第2実施例の水素分離器50と相違するが、燃料ガス
系の排ガスの主成分が二酸化炭素と水素であることか
ら、これらの一方の分離は他方の分離と同じ結果ととな
る。したがって、第3実施例の燃料電池システム10D
の定常運転状態における各部のガスの主成分の比は、第
2実施例の燃料電池システム10Bの定常運転状態にお
ける各部のガスの主成分の比と同じになる。したがっ
て、第3実施例の10Dでも、第2実施例の燃料電池シ
ステム10Bと同様に、燃料電池30から排出される燃
料ガス系の排ガス中の水素量βは、上式(14)により
表わされ、例えば、燃料電池30の水素消費率Sが80
%のときには、1[モル/分]となり、燃料電池システ
ム10Dの水素利用率Rは100%となる。
【0065】なお、二酸化炭素分離器60の吸着部62
A,62Bで完全に二酸化炭素を吸着させ水素のみを残
ガス供給管により燃料ガス供給管29に圧入することが
困難であること、二酸化炭素の吸着を行なっている吸着
部を二酸化炭素の離脱を行なうよう切り換える際に吸着
部内の水素が二酸化炭素と共に改質反応部22に供給さ
れること等により、実際は、若干の二酸化炭素が水素と
共に残ガス供給管68により燃料ガス供給管29に圧入
され、若干の水素が二酸化炭素と共に改質反応部22に
供給されるから、燃料電池システム10Dにおける水素
利用率Rは、100%を若干下回ることになる。なお、
この場合、分岐管67を改質反応部22の燃焼部23に
接続し、混在する水素を燃焼した後に外気に排出するも
のとするのが好ましい。
【0066】以上説明した第3実施例の燃料電池システ
ム10Dによれば、燃料電池30から排出される燃料ガ
ス系の排ガス中の二酸化炭素を分離して改質器20の改
質反応部22に改質ガスを生成する原料として再利用す
ることができる。しかも、二酸化炭素を分離した後の残
余のガス(残ガス)を再び燃料電池30に燃料として供
給するから、改質器20により生成した水素の燃料電池
30による利用率を向上させることができ、全体として
のエネルギ効率をより高めることができる。
【0067】以上、本発明の実施の形態について説明し
たが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるも
のではなく、例えば、第2実施例の燃料電池システム1
0Bやその変形例の燃料電池システム10C,第3実施
例の燃料電池システム10Dの改質器20の改質反応部
22に原料としてエタンやプロパン等のパラフィン系炭
化水素を原料として供給する構成、エチレンやプロピレ
ン等のオレフィン系炭化水素またはアセチレン系炭化水
素あるいは芳香族炭化水素等を原料とする構成、複数種
の炭化水素の混合ガスを供給する構成など、本発明の要
旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し
得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である燃料電池システ
ム10の構成の概略を例示するブロック図である。
【図2】燃料電池30を構成する各セルの構成の概略を
例示する説明図である。
【図3】第2実施例の燃料電池システム10Bの構成の
概略を例示するブロック図である。
【図4】水素分離器50の構成の概略を例示する説明図
である。
【図5】水素分離の様子を説明する説明図である。
【図6】第2実施例の変形例である燃料電池システム1
0Cの構成の概略を例示するブロック図である。
【図7】第3実施例の燃料電池システム10Dの構成の
概略を例示するブロック図である。
【図8】二酸化炭素分離器60の構成の概略を例示する
説明図である。
【図9】吸着部62A,62Bに充填されるゼオライト
の二酸化炭素の吸着保持量と温度との関係を例示するグ
ラフである。
【図10】吸着部62A,62Bに充填されるゼオライ
トの二酸化炭素の吸着保持量と圧力との関係を例示する
グラフである。
【符号の説明】
10…燃料電池システム 10B…燃料電池システム 10C…燃料電池システム 10D…燃料電池システム 12…メタンタンク 14…水タンク 20…改質器 22…改質反応部 23…燃焼部 24…シフト反応部 26…一酸化炭素センサ 27…ブロワ 28…選択酸化部 29…燃料ガス供給管 30…燃料電池 31…電解質膜 32…アノード 33…カソード 34,35…セパレータ 36,37…集電板 38…排ガス供給管 38B…分岐管 40…電子制御ユニット 42…CPU 44…ROM 46…RAM 48…入出力ポート 50…水素分離器 50a…排ガス室 50b…水素室 50c…水素透過膜 52…水素供給管 54…残ガス供給管 54B…分岐管 55…水素分離器 58…水素供給管 59…排気管 60…二酸化炭素分離器 62A,62B…吸着部 63A,63B…流入バルブ 64A,64B…二酸化炭素排出バルブ 65A,65B…残ガス排出バルブ 66…二酸化炭素供給管 67…分岐管 68…残ガス供給管

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化水素と二酸化炭素とから水素と一酸
    化炭素とを主成分とする中間ガスを生成する第1反応部
    と、該生成した中間ガスと水とから水素と二酸化炭素と
    を主成分とする燃料ガスを生成する第2反応部とを有す
    る炭化水素改質器と、 該炭化水素改質器により生成した燃料ガスの供給を受
    け、該燃料ガス中の水素を燃料として発電する燃料電池
    と、 を備える燃料電池システムであって、 前記燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスの少な
    くとも一部を、前記炭化水素改質器が有する前記第1反
    応部に前記中間ガスを生成する原料の一部として供給す
    る排ガス供給手段を備える燃料電池システム。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスから水
    素を分離する水素分離手段と、 該分離された水素を前記燃料電池に燃料として供給する
    水素供給手段とを備え、 前記排ガス供給手段は、前記水素分離手段により水素が
    分離された残余のガスの少なくとも一部を、前記炭化水
    素改質器が有する前記第1反応部に前記中間ガスを生成
    する原料の一部として供給する手段である燃料電池シス
    テム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記排ガス供給手段により前記炭化水素改質器が有する
    前記第1反応部に供給されなかった残余の排ガスから水
    素を分離する水素分離手段と、 該分離された水素を前記燃料電池に燃料として供給する
    水素供給手段とを備える燃料電池システム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の燃料電池システムであっ
    て、 前記燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスから二
    酸化炭素を分離する二酸化炭素分離手段を備え、 前記排ガス供給手段は、該二酸化炭素分離手段により分
    離された二酸化炭素の少なくとも一部を、前記炭化水素
    改質器が有する前記第1反応部に前記中間ガスを生成す
    る原料の一部として供給する手段である燃料電池システ
    ム。
  5. 【請求項5】 前記二酸化炭素分離手段により二酸化炭
    素が分離された残余のガスを前記燃料電池に燃料として
    供給する残余ガス供給手段を備える請求項4記載の燃料
    電池システム。
  6. 【請求項6】 前記炭化水素改質器は、前記燃料ガス中
    の一酸化炭素を選択的に酸化して二酸化炭素とする選択
    酸化反応部を備える請求項1ないし5いずれか記載の燃
    料電池システム。
  7. 【請求項7】 前記炭化水素は、メタンである請求項1
    ないし6いずれか記載の燃料電池システム。
  8. 【請求項8】 前記炭化水素は、炭素数の異なる複数の
    化合物を含むガスである請求項1ないし6いずれか記載
    の燃料電池システム。
  9. 【請求項9】 炭化水素と二酸化炭素とから水素と一酸
    化炭素とを主成分とする中間ガスを生成する第1反応部
    と、該生成した中間ガスと水とから水素と二酸化炭素と
    を主成分とする燃料ガスを生成する第2反応部とを有す
    る炭化水素改質器と、 該炭化水素改質器により生成した燃料ガスの供給を受
    け、該燃料ガス中の水素を燃料として発電する燃料電池
    とを備える燃料電池システムの運転方法であって、 前記燃料電池から排出される燃料ガス系の排ガスの少な
    くとも一部を、前記炭化水素改質器が有する前記第1反
    応部に前記中間ガスを生成する原料の一部として供給す
    る燃料電池システムの運転方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103618099A (zh) * 2013-11-18 2014-03-05 上海合既得动氢机器有限公司 利用即时制得的氢气进行发电的***及方法
US8871422B2 (en) 2005-09-22 2014-10-28 Hitachi Chemical Dupont Microsystems Ltd. Negative-type photosensitive resin composition, pattern forming method and electronic parts
JP2016175818A (ja) * 2015-03-23 2016-10-06 住友精化株式会社 水素の製造方法、および水素製造システム
JP2016184501A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 東京瓦斯株式会社 燃料電池システム
JP6084314B1 (ja) * 2016-01-26 2017-02-22 東京瓦斯株式会社 燃料電池システム
CN111747378A (zh) * 2020-08-04 2020-10-09 摩氢科技有限公司 一种甲醇水燃料重整制氢***

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