JPH0892659A - 連続焼鈍炉における鋼帯の浮上湾曲方法および装置 - Google Patents

連続焼鈍炉における鋼帯の浮上湾曲方法および装置

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JPH0892659A
JPH0892659A JP25956694A JP25956694A JPH0892659A JP H0892659 A JPH0892659 A JP H0892659A JP 25956694 A JP25956694 A JP 25956694A JP 25956694 A JP25956694 A JP 25956694A JP H0892659 A JPH0892659 A JP H0892659A
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steel strip
gas
levitation
temperature
bending
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JP25956694A
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Kazuo Okamura
一男 岡村
Satoru Matsushita
哲 松下
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼帯の座屈変形の発生を確実に防止し、鋼帯
の品質を確保する。 【構成】 鋼帯を移送しつつ焼鈍する連続焼鈍炉で加熱
・焼鈍後の鋼帯を気体圧力により浮上させ、浮上湾曲装
置と鋼帯との間を非接触に保ちつつ鋼帯を湾曲させて移
送方向を変更する鋼帯の浮上湾曲方法において、鋼帯の
材質、板厚、焼鈍温度ならびに通板速度によって定めら
れる所定温度範囲に加熱した気体を、前記湾曲部の内側
に設けた浮上湾曲装置から鋼帯へ吹き付ける。 【効果】 鋼帯の形状不良による歩留低下を解消できる
と共に、通板速度を安定して一定速度に保持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋼帯の連続焼鈍にお
いて、堅型式連続焼鈍炉のような堅型加熱炉で加熱、均
熱化処理した鋼帯を鋼帯の搬送方向を変えて搬送するた
めに必要となる鋼帯の浮上湾曲方法および装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】冷間圧延された鋼帯は、加工硬化して強
度が著しく上昇し、延性が著しく低下して加工性が極め
て悪くなっている。このため、成形加工に供するには、
再結晶後、結晶粒を適度の大きさに成長せしめ、さらに
深絞り性に有利な結晶方位とするための焼鈍が施され
る。冷間圧延された鋼帯の焼鈍には、鋼帯の進行方向に
上流側から加熱帯、均熱帯、冷却帯の順に配置された堅
型や横型などの多帯式の連続焼鈍炉が使用されるが、ラ
イン長さ短縮のため堅型連続焼鈍炉を用いるのが一般的
である。堅型連続焼鈍炉は、設備高さを抑制する目的か
ら、堅型加熱・均熱炉を通った鋼帯は、冷却帯に搬入す
る前に水平方向あるいは180度逆方向に湾曲させて転
送する設備構造となっていることが多い。
【0003】堅型連続焼鈍炉内で鋼帯をロールに巻き付
けて湾曲する方法は、図9に示すとおり、ロールによる
冷却によって生じる鋼帯91の熱応力に起因する鋼帯9
1の座屈変形による耳波92や中波93、縦折れ94や
蛇行、あるいは鋼帯表面の擦り傷の発生などの問題が生
じることが知られている。この対策としては、気体を鋼
帯に向けて噴出して得られる静圧を利用し、鋼帯を浮上
させるフロータを、搬送方向に湾曲させて連接すること
によって、鋼帯を非接触で湾曲して転送するベンドフロ
ータ方式が検討されている(例えば「材料とプロセス」
Vol15(1992),p.1494〜1497)。
しかし、この方法は、高温の鋼帯に用いると、鋼帯と噴
出気体との温度差によって鋼帯が冷却されるという問題
がある。例えば、鋼帯の幅端部は、噴出気体が流出する
ために冷却が促進され、鋼帯幅方向に温度分布が生じて
反り変形が生じる。
【0004】上記鋼帯幅端部からの気体流出を低減する
方法としては、流体噴出口に連通すると共にフロータ内
に鋼帯の幅方向に亘り連設される複数個のチャンバと、
これらのチャンバにそれぞれ独立した流量の流体を供給
し得る流体供給手段を有する鋼帯支持用フロータ(特開
昭61−281827号公報)、鋼帯支持用フロータノ
ズルに炉内ガスを循環供給する昇圧ファンを多段昇圧フ
ァンとし、この多段昇圧ファンにより多段昇圧ファンの
耐熱温度以下である炉内ガスを昇圧したのち、この昇圧
ガスが鋼帯温度以下のとき、昇圧ガスを直火バーナ式燃
焼室で鋼帯温度付近に昇温してフロータノズルに供給す
る一方、フロータノズルの圧力を制御する方法(特開平
3−90521号公報)、鋼帯が転送される軌跡に沿っ
て複数個のフロータを連設し、該フロータ相互間に、噴
出した流体を回収する通路を設けたベンドフロータ(特
開平4−297528号公報)等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
61−281827号公報に開示の鋼帯支持用フロータ
は、狭幅の鋼帯においても十分な浮上高さを確保するこ
とを目的としており、浮上湾曲装置内部での幅端部の過
冷却を低減できることはあっても、浮上湾曲装置の入側
で生じる急冷現象を防止することはできない。また、特
開平3−90521号公報に開示の方法は、加熱炉内で
用いるものであって、冷却帯をかねる浮上湾曲装置で用
いるものではない。なぜならば、特開平3−90521
号公報に開示の方法では、気体の加熱目標として与えら
れる鋼帯の材料温度は加熱炉での熱処理温度であり、図
1に示すように、加熱帯1と冷却帯2との間で用いられ
る浮上湾曲装置3では、鋼帯4は種々の不特定要因で冷
却されるため、鋼帯4の温度を気体の加熱温度の目標値
とすることは意味をなさない。仮に気体の加熱温度を均
熱温度とした場合、湾曲装置3出側まで均熱帯が続くの
と同じこととなり、浮上湾曲装置3出側すなわち冷却帯
2の入側において急冷されるために、縦折れ6や耳波7
等の座屈変形が発生することになる。したがって、加熱
帯1の後段に設置される浮上湾曲装置3では、鋼帯4を
適度に冷却し、浮上湾曲装置3の入側および出側におい
ても変形を発生させないことが要求される。さらに、特
開平4−297528号公報に開示のベンドフロータ
は、浮上湾曲装置内で生じる鋼帯の幅端部の過冷却を抑
えるには効果があるが、浮上湾曲装置の入側で生じる過
冷却を防止することができない。浮上湾曲装置の入側と
出側では、噴出気体は鋼帯の幅方向だけではなく、鋼帯
の搬送方向にも流出し、特に、図1(b)に示すよう
に、浮上湾曲装置3を均熱帯5の後段に設けた場合に
は、浮上湾曲装置3の入側から均熱帯5側に流出する噴
出気体によって加熱後の鋼帯4が急冷され、縦折れ6や
耳波7等の座屈変形が発生することを本発明者らは見い
だした。したがって、鋼帯の座屈変形を根絶するために
は、浮上湾曲装置内部で生じる鋼帯の温度不均一のみで
なく、浮上湾曲装置の入側で生じる過冷却現象を防止す
る必要がある。
【0006】この発明の目的は、上記従来技術の欠点を
解消し、連続焼鈍炉で加熱後の鋼帯を浮上湾曲させて搬
送する際の鋼帯の座屈変形の発生を確実に防止し、鋼帯
の品質を確保すると共に、安定して鋼帯を通板できる連
続焼鈍炉における鋼帯の浮上湾曲方法ならびに装置を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく連続焼鈍炉で加熱後の鋼帯を浮上湾曲装置
を用い浮上湾曲させて搬送するについて種々試験研究を
重ねた。その結果、浮上湾曲装置は、図3に示すとお
り、互いに内向き設けられた一対のスリットノズル31
から気体を噴出させて鋼帯32に衝突させ、このときに
生じる静圧によって鋼帯32を浮上させる装置であり、
原理的にはホーバークラフトと同じものである。このと
き、鋼帯32に衝突した気体は、鋼帯32の幅方向なら
びに長手方向の両方に流出する。この浮上湾曲装置を連
続焼鈍炉に使用する場合、浮上湾曲装置を加熱・均熱炉
の後段に配置すると、鋼帯に座屈変形が生じる。これ
は、鋼帯を浮上させるために噴出させている気体が鋼帯
に温度むらを生じさせ、その結果発生する熱応力によっ
て鋼帯に塑性変形や塑性座屈現象が現れるためである。
すなわち、静圧支持部では、気体の対流熱伝達係数は低
く、鋼帯は主として放射冷却によって温度低下を生じ
る。しかし、浮上湾曲装置の入側ならびに出側や鋼帯幅
端部においては、気体の流出速度が大きくなるために、
気体の対流熱伝達係数は急激に増加し、静圧支持部に比
べて鋼帯は急激な温度低下を起こす。したがって、鋼帯
に座屈変形を発生させないためには、流出気体による抜
熱現象を抑え、鋼帯に生じる温度むらを少なくするのみ
でなく、浮上湾曲装置の入側で生じる過冷却現象を防止
することが肝要であることを究明し、この発明に到達し
た。
【0008】すなわち本願の第1発明は、鋼帯を移送し
つつ焼鈍する連続焼鈍炉で加熱・焼鈍後の鋼帯を気体圧
力により浮上させ、浮上湾曲装置と鋼帯との間を非接触
に保ちつつ鋼帯を湾曲させて移送方向を変更する鋼帯の
浮上湾曲方法において、鋼帯の材質、板厚、焼鈍温度な
らびに通板速度によって定められる所定温度範囲に加熱
した気体を、前記湾曲部の内側に設けた浮上湾曲装置か
ら鋼帯へ吹き付けることを特徴とする連続焼鈍炉におけ
る鋼帯の浮上湾曲方法である。
【0009】また、本願の第2発明は、鋼帯を移送しつ
つ焼鈍する連続焼鈍で加熱・焼鈍後の鋼帯を気体圧力に
より浮上させ、浮上湾曲装置と鋼帯との間を非接触に保
ちつつ湾曲させて鋼帯の移送方向を変更する浮上湾曲装
置において、気体を鋼帯に向けて噴出する気体噴出ノズ
ルと、噴出気体を回収する噴出気体機構と、回収した気
体を循環させて気体噴出ノズルに再び供給するための回
収気体循環機構と、循環気体を所定温度に保持するため
の加熱機構とを有することを特徴とする鋼帯の浮上湾曲
装置である。
【0010】さらに、本願の第3発明は、鋼帯を移送し
つつ焼鈍する連続焼鈍工程で加熱・焼鈍後の鋼帯を気体
圧力により浮上させ、浮上湾曲装置と鋼帯との間を非接
触に保ちつつ湾曲させて鋼帯の移送方向を変更する浮上
湾曲装置において、鋼帯の幅方向に設けた少なくとも2
個以上の気体噴出ノズル群と、噴出気体を回収する噴出
気体機構と、それぞれのノズル群と回収気体循環機構と
の間に設けたチャンバーと、それぞれのチャンバー内に
設けた噴出気体の温度を制御可能な加熱制御機構と、そ
れぞれのノズル群からの噴出気体の温度を制御する制御
機構とを有することを特徴とする鋼帯の浮上湾曲装置で
ある。
【0011】
【作用】まず、浮上湾曲装置において鋼帯に座屈変形が
発生する理由を説明する。本発明者らは、浮上湾曲装置
における縦折れ発生について鋭意実験を重ねた結果、縦
折れ発生は以下の原因であることを究明した。浮上湾曲
装置のノズルより噴出され鋼帯に衝突した気体は、前記
したとおり、鋼帯の幅端部とサイドガイドとの隙間から
流出すると同時に、その多くは浮上湾曲装置の入側およ
び出側から流出する。縦型連続焼鈍炉における加熱・均
熱帯の後段において浮上湾曲装置を用いた場合、浮上湾
曲装置の入側から流出する気体によって鋼帯の温度は加
熱・均熱帯から浮上湾曲装置に至るまでの間で図4に示
すように低下する。この温度低下によって加熱・均熱帯
出側から浮上湾曲装置入側までの間(空送部)の鋼帯の
幅中央部には、図5(b)(c)に示すように幅方向の
圧縮応力が発生する。正確には、この圧縮応力の大きさ
は鋼帯の長手方向の温度勾配の変化量、すなわち長手方
向の温度勾配の微分値に比例するが、図5(a)に示す
とおり、均熱帯内では一般に長手方向の温度変化はな
く、また、均熱帯から浮上湾曲装置までの距離は、操業
中変化することはないので、鋼帯幅方向の圧縮応力の大
きさは均熱帯出側から浮上湾曲装置までの温度低下に比
例すると考えて良い。この鋼帯幅方向の圧縮応力は、鋼
帯に塑性座屈を生じさせ、いわゆる縦折れを発生させ
る。均熱帯出側から浮上湾曲装置入側までの空送部にお
ける温度低下は、通板速度が遅くなるほど空送部を通過
する時間が長くなるため大きくなるので、通板速度が遅
くなるほど鋼帯幅方向の圧縮応力が大きくなり、縦折れ
が発生しやすくなる。鋼帯の連続焼鈍は、有限長さの鋼
帯を継ぎ足しながら行うが、このコイル継ぎ作業時に通
板速度を低下せざるを得ず、コイル継ぎ時に縦折れの発
生頻度が高い理由は以上のことで説明できる。
【0012】また、浮上湾曲装置における耳波発生につ
いて以下の原因を見出した。浮上湾曲装置の入側および
出側においては、既に述べたように搬送方向に対して外
向きに噴出気体が流出するが、この気体の鋼帯幅方向の
流出速度を詳細に調査した結果、図6に示すように、鋼
帯61のどちらか一方の幅端部に片寄った偏流となり易
いことが判明した。このため、鋼帯61は、均熱帯出側
から浮上湾曲装置62入側に至るまでの間に急冷される
だけではなく、さらに幅方向に温度偏差を生じることに
なる。幅方向に相対的に低温な領域においては、長手方
向の引張り応力が働き、均熱帯から浮上湾曲装置までの
間の温度勾配によつて生じる図5(b)に示す幅端部引
張り応力に重畳し、鋼帯のどちらか一方の幅端部の長手
方向引張り応力が増加する。この引張り応力が材料の降
伏応力を超えた場合には、塑性伸びが生じる。この塑性
伸び部分は、鋼帯が浮上湾曲装置を通過し、その後の冷
却帯において鋼帯の幅方向温度偏差が減少した時点で、
圧縮応力となり耳波が発生することとなる。
【0013】以上の発生機構より、座屈変形の発生を防
ぐためには、浮上湾曲装置からの流出気体による鋼帯の
抜熱を低減し、縦折れについては、均熱帯出側から浮上
湾曲装置に至るまでの温度低下を減少させること、耳波
については、浮上湾曲装置の入側で生じる幅方向温度偏
差を減少することが重要になる。気体の対流による鋼帯
からの抜熱熱流束qは q=h(Ts−Tg) (1)式 で与えられる。ここでhは熱伝達係数であり、流速にあ
る程度比例する。Tsは鋼帯の表面温度、Tgは気体の
温度である。熱伝達係数hは偏流の流速によって決まる
が、偏流は一種のゆらぎ現象であり、その大きさや発生
位置を予測し、それを防止することは困難である。一
方、連続焼鈍開始後の気体の温度は、鋼帯からの吸熱に
よって除々に増加するが、定常状態に達した後も、鋼帯
の均熱温度、例えば、1100℃に対して気体の温度は
700〜800℃であり、気体と鋼帯との間に300〜
400℃もの温度差が存在する。したがって、鋼帯から
の抜熱を低減するためには、気体を加熱して気体の温度
を上昇させ、鋼帯との温度差を低減することが有効な方
法である。
【0014】本願の第1発明において、気体の加熱目標
温度を鋼帯の材質、板厚、焼鈍温度ならびに搬送速度に
よって定めることは次の理由による。鋼帯に塑性変形が
生じるか否かは、発生熱応力の大きさと降伏応力の大き
さによって決定される。この降伏応力の値は、材質と温
度によって異なる。問題となる熱応力の発生位置は、均
熱帯出側から浮上湾曲装置入側であるが、鋼帯温度が最
も高い均熱帯出側温度、すなわち焼鈍温度における降伏
応力で代表させることが可能である。したがって、降伏
応力の小さい材質の鋼帯や、焼鈍温度が高く鋼帯が均熱
帯出側から浮上湾曲装置入側を通過するときに降伏応力
が小さい温度域にある鋼帯などは、気体の加熱温度を上
げて、鋼帯の温度低下量や幅方向の温度偏差を小さく
し、幅中央部の幅方向圧縮応力ならびに鋼帯幅端部の引
張り応力を小さくすることによって降伏応力以下に抑え
る必要がある。なお、一般に焼鈍温度は、材質に応じて
決められることが多い。鋼帯に座屈変形が発生する限界
の応力(臨界座屈応力)の大きさは、鋼帯の板厚の2乗
に比例する。したがって、座屈変形の発生を防止するに
は、板厚が薄い鋼帯ほど気体の加熱温度を上げて、発生
熱応力を降伏応力以下に抑える必要がある。鋼帯に発生
する幅方向圧縮応力の大きさは、前記したように、均熱
帯出側から浮上湾曲装置入側までの間の温度低下に比例
し、この温度低下は、通板速度が小さくなるほど大きく
なる。したがって、縦折れを防止するには、通板速度が
小さいほど気体の加熱温度を上げて、発生熱応力を降伏
応力以下に抑える必要がある。
【0015】また、本願の第2発明において、気体噴出
ノズルは浮上湾曲装置において鋼帯を静圧浮上させるた
めに必要であり、気体を回収する機構は、連続焼鈍開始
後気体温度は除々に上昇するので、この熱エネルギーを
積極的に利用して気体を加熱するために必要なエネルギ
ーを節約するためである。また、循環気体を所定温度に
まで加熱する機構は、既に述べたように鋼帯からの抜熱
量を低減して発生熱応力を抑制し、座屈変形の発生を防
止する上で必須であるためである。さらに、本願の第3
発明におけるノズル群とは、浮上湾曲装置の幅方向およ
び長手方向に設ける複数のノズルを、鋼帯の幅方向位置
よってグループ化したものである。それぞれのノズル群
は、浮上湾曲装置にユニット(図3に示す長手方向に対
向する一対のノズルからなる)を長手方向に連設して構
成されている。1つのノズル群を構成するユニットの個
数は、個々のユニットの浮上力の合計が鋼帯の張力に対
抗できるよう定める。気体噴出ノズル群を幅方向に少な
くとも2個以上とする理由は、浮上湾曲装置の入側から
流出する気体が幅方向に偏流となった場合に、気体の流
出する側のノズル群を流れる気体温度を他のノズル群の
気体温度よりも高温にすることによって、鋼帯幅方向温
度むらをより低減できるからである。ノズル群に連通す
るチャンバーは、噴出気体を加圧するために通常用いら
れるが、本発明ではこの加圧気体をさらに加熱するため
の一時貯蔵庫を兼ねる。チャンバー内での気体の加熱
は、チャンバー内壁にガスバーナーを埋め込み、ガスを
燃焼させて加熱することで行われる。さらに、加熱制御
機構は、気体を所定温度にまで加熱するために必要であ
る。このチャンバーはそれぞれのノズルに直結して設け
る必要はなく、鋼帯の幅方向温度偏差を低減する目的の
ものであるから、長手方向に対抗するノズル群にしては
図2に示すように同じチャンバーで気体の加熱を行った
後、加圧気体が圧力差によって個々のノズル群に供給さ
れる構造とすれば十分である。
【0016】次に気体を加熱するに際して好ましい温度
範囲について述べる。まず、縦折れを防止する観点か
ら、浮上湾曲装置入側において最低必要な温度を求め
る。これは、本発明を適用しない場合について、種々の
搬送速度における浮上湾曲装置入側温度と鋼帯の縦折れ
発生有無とを調査することによって、例えば板厚0.6
mm、鋼帯幅1280mmの場合、図7に示すように求
められる。この浮上湾曲装置入側での必要温度(Ts)
aimは、均熱帯出側温度(焼鈍温度であり、材質によ
って決まる)と板厚によって変化するので、各材質、板
厚毎に図7に示したように実機試験によって決定するの
が最も確実である。さて、必要温度(Ts)aimが得
られたら次に、湾曲装置入り側において鋼帯の温度を必
要温度以上とする為の噴出気体の温度を次のように定め
る。先ず、均熱帯出側からの鋼帯の温度変化は、次の式
で表される。
【0017】
【数1】 ただし、Lは均熱帯出側からの距離、Ts0は均熱帯出
側における鋼帯の温度、cは鋼帯の比熱、pは鋼帯の比
重、tは鋼帯の板厚、vは搬送速度であり、hは式
(1)において説明した熱伝達係数である。均熱帯出側
から浮上湾曲装置入側までの距離をL0、図8で求められ
た浮上湾曲装置入側での鋼帯の必要温度を(Ts)ai
mとすると、浮上湾曲装置入側での鋼帯の温度を必要温
度(Ts)aim以上に保つための気体温度の条件は
【0018】
【数2】 と表される。
【0019】例えば、図7に示した鋼帯の場合の気体の
必要温度は、各搬送速度において図8のように表され、
搬送速度vが10m/min低下する毎に気体を最低で
も約30℃づつ加熱する必要のあることがわかる。図8
は必要な気体の加熱温度の理論的な下限を示すものであ
るが、実際の操業においては、鋼帯温度の変動を考慮し
て、この理論的下限値+20℃以上に保つことが望まし
い。また、理論的下限値の上限値は、特に必要なもので
はないが、気体加熱に不必要なエネルギーを費やさない
という経済性を考慮すると、理論的下限値+40℃を超
える場合は、加熱を一時的に停止する等の方法が好まし
い。
【0020】また、本願の第3発明において、鋼帯の幅
方向に気体の加熱温度を制御する理由は、浮上湾曲装置
入側からの流出気体が偏流した場合に、鋼帯幅方向温度
差をより効率よく低減できるからである。鋼帯からの抜
熱速度は、流出気体の温度上昇によって低減されるた
め、鋼帯の幅方向に気体の加熱温度を制御しなくとも、
鋼帯の温度偏差はある程度小さくできる。しかし偏流の
度合が大きい場合には、偏流部の温度偏差に対応して鋼
帯の全噴出気体の加熱温度を図8の場合よりも更に高温
にする必要があり、加熱エネルギーの無駄が生じる。そ
こで、偏流が生じている方の鋼帯端のみ気体の加熱温度
をより高温にすることによって、鋼帯の幅方向温度偏差
を低減できると共に、加熱エネルギーの省力を図ること
ができる。流出気体の偏流は、常に決まった側に生じる
というものではないので、浮上湾曲装置の入側におい
て、鋼帯温度の測定や流出気体の流速の測定を行って偏
流を検出し、どちらの側の気体の加熱温度をより高温化
するかを判断することが好ましい。
【0021】
【実施例】
実施例1 図1(a)に示す連続焼鈍炉において、湾曲半径が3.
5mの浮上湾曲装置3を、均熱帯5出側から浮上湾曲装
置3入側までの間隔を2.4mで設置し、鋼帯幅128
0mmのSUS304ステンレス鋼帯を対象として、焼
鈍温度1100℃、均熱帯5の出側における鋼帯4の温
度を1100℃に保持し、浮上湾曲部での鋼帯4のライ
ン張力0.35kgf/mm2で、噴出気体には、空気
を使用し、気体加熱は無酸化ガスバーナーを浮上湾曲装
置3の図示しないチャンバー内で燃焼させることによっ
て噴出気体温度を791〜940℃に加熱し、搬送速度
20〜120m/min、板厚0.4〜0.8mmの条
件で本発明の方法を実施した。本発明を用いて気体加熱
を行った場合の鋼帯形状を目視により観察した。その結
果を従来の噴出気体の加熱を行わない結果と比較して表
1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1に示すとおり、この発明の方法ならび
に浮上湾曲装置を用いた本発明例は、所定温度にまで噴
出気体を加熱することによって、鋼帯の板厚によらず、
縦折れの発生が確実に防止できている。これに対し、噴
出気体を加熱しない比較例では、いずれも一部に軽微な
縦折れか顕著な縦折れが発生している。
【0024】実施例2 実施例1における連続焼鈍炉における浮上湾曲装置3と
して、図2に示すとおり、鋼帯の幅方向に2列、長手方
向に複数の気体噴出ノズル21を湾曲半径3.5mで配
置し、各チャンバー22内に無酸化ガスバーナー23を
4本配置し、各チャンバー22に浮上湾曲装置からの回
収排気24をブロワ25で昇圧して供給し、所定温度に
加熱したのち気体噴出ノズル21群から噴出させ、浮上
湾曲装置から排気回収ブロワ26で回収した回収排気2
4を循環する方式の浮上湾曲装置を、均熱帯5出側から
浮上湾曲装置3入側までの間隔を2.4mで設置し、鋼
帯幅1280mmのSUS430ステンレス鋼帯を対象
として、焼鈍温度830℃、均熱帯5の出側における鋼
帯4の温度を830℃に保持し、浮上湾曲部での鋼帯4
のライン張力0.35kgf/mm2で、噴出気体に
は、空気を使用し、気体加熱は無酸化ガスバーナー23
を各チャンバー22内で燃焼させることによって幅方向
の噴出気体温度を制御して556℃に加熱した本願第3
発明と、幅方向の噴出気体温度を制御しないで647℃
に加熱した本願第2発明について、搬送速度70m/m
in、板厚1.0mmの条件で実施した。本発明を用い
て気体加熱を行った場合の鋼帯形状を目視により観察し
た。その結果を従来の噴出気体の加熱を行わない結果と
比較して表2に示す。なお、表2中のBFは浮上湾曲装
置を示す。
【0025】
【表2】
【0026】表2に示すとおり、従来の比較例では、耳
波が生じている。これに対し、鋼帯幅方向の気体加熱制
御を行わず十分に加熱した本願第2発明では、耳波の発
生を防止することができる。また、気体加熱温度の幅方
向加熱制御を行った本願第3発明では、幅方向の温度偏
差が低減し、耳波の発生を防止できると共に、気体の平
均加熱温度を本願第2発明の例よりも低減することがで
き、加熱エネルギーの省力化に有利である。
【0027】
【発明の効果】以上述べたとおり、本発明の方法あるい
は装置を用いることによって、鋼帯の連続焼鈍工程の加
熱・均熱帯後段に浮上湾曲装置を設ける場合の鋼帯の座
屈変形の発生を、安定して確実に防止することが可能で
あり、鋼帯の形状品質を高めて形状不良による歩留低下
を解消できると同時に、通板速度を安定して一定速度に
保つことができ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】浮上湾曲装置を備えた連続焼鈍設備の説明図
で、(a)図は全体配置図、(b)図は浮上湾曲装置前
後の拡大斜視図である。
【図2】噴出気体の加熱温度を鋼帯幅方向に変化させる
場合の浮上湾曲装置の一例を示す一部切欠き斜視図であ
る。
【図3】気体浮上の原理を説明するための模式図であ
る。
【図4】均熱帯から浮上湾曲装置出側までにおける鋼帯
幅中央部のライン方向温度変化を模式的に示すグラフで
ある。
【図5】ライン方向温度変化によって鋼帯に生じる幅方
向の圧縮応力を示すもので、(a)図はライン方向の温
度の説明図、(b)図は鋼帯幅方向の圧縮と端部の引張
り曲げ応力の説明図、(c)図は鋼帯幅中央部の圧縮応
力分布の説明図である。
【図6】浮上湾曲装置からの流出気体の速度分布状態を
示す模式図である。
【図7】板厚0.6mm、鋼帯幅1280mmの鋼帯の
搬送速度と浮上湾曲装置入側温度と縦折れ発生領域との
関係を示すグラフである。
【図8】図7において求められた浮上湾曲装置入側にお
ける鋼帯の必要温度985℃を達成するための鋼帯の搬
送速度と噴出気体温度との関係を示すグラフである。
【図9】鋼帯に生じる座屈変形を説明するための模式図
で、(a)図は耳波、中波の説明図、(b)図は縦折れ
の説明図である。
【符号の説明】
1 加熱帯 2 冷却帯 3 浮上湾曲装置 4、32、61、91 鋼帯 5 均熱帯 6、94 縦折れ 7、92 耳波 21 気体噴出ノズル 22 チャンバー 23 無酸化ガスバーナー 24 回収排気 25 ブロワ 26 排気回収ブロワ 31 スリットノズル 93 中波

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼帯を移送しつつ焼鈍する連続焼鈍炉で
    加熱・焼鈍後の鋼帯を気体圧力により浮上させ、浮上湾
    曲装置と鋼帯との間を非接触に保ちつつ鋼帯を湾曲させ
    て移送方向を変更する鋼帯の浮上湾曲方法において、鋼
    帯の材質、板厚、焼鈍温度ならびに通板速度によって定
    められる所定温度範囲に加熱した気体を、前記湾曲部の
    内側に設けた浮上湾曲装置から鋼帯へ吹き付けることを
    特徴とする連続焼鈍炉における鋼帯の浮上湾曲方法。
  2. 【請求項2】 鋼帯を移送しつつ焼鈍する連続焼鈍で加
    熱・焼鈍後の鋼帯を気体圧力により浮上させ、浮上湾曲
    装置と鋼帯との間を非接触に保ちつつ湾曲させて鋼帯の
    移送方向を変更する浮上湾曲装置において、気体を鋼帯
    に向けて噴出する気体噴出ノズルと、噴出気体を回収す
    る噴出気体機構と、回収した気体を循環させて気体噴出
    ノズルに再び供給するための回収気体循環機構と、循環
    気体を所定温度に保持するための加熱機構とを有するこ
    とを特徴とする鋼帯の浮上湾曲装置。
  3. 【請求項3】 鋼帯を移送しつつ焼鈍する連続焼鈍工程
    で加熱・焼鈍後の鋼帯を気体圧力により浮上させ、浮上
    湾曲装置と鋼帯との間を非接触に保ちつつ湾曲させて鋼
    帯の移送方向を変更する浮上湾曲装置において、鋼帯の
    幅方向に設けた少なくとも2個以上の気体噴出ノズル群
    と、噴出気体を回収する噴出気体機構と、それぞれのノ
    ズル群と回収気体循環機構との間に設けたチャンバー
    と、それぞれのチャンバー内に設けた噴出気体の温度を
    制御可能な加熱制御機構と、それぞれのノズル群からの
    噴出気体の温度を制御する制御機構とを有することを特
    徴とする鋼帯の浮上湾曲装置。
JP25956694A 1994-09-28 1994-09-28 連続焼鈍炉における鋼帯の浮上湾曲方法および装置 Pending JPH0892659A (ja)

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