JPH089007Y2 - 液体吐出機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、液体収納室内に収納した化粧用等の種々粘
性の液体を簡単な押圧操作で、確実に、かつ、適量づつ
外部に吐出できるようにした液体吐出機構に関する。

（従来の技術） 例えば、実開昭59−13210号公報に、容器本体と押圧
力が加わったとき変形する可撓性蓋体とからなる液体収
納室の、蓋体に設けた吐出口に至る流通経路の途中に、
蓋体の押圧操作時に開弁する弁機構を設けたものが開示
されている。

また、例えば、特公昭55−3232号公報に、容易には変
形しない口頸部と容易に変形する胴部及び底壁とを有す
る液体収納室の口頸部のところに弁機構を設けたものが
開示されている。

（考案が解決しようとする課題） 実開昭59−13210号公報に開示のものでは、常に内部
を負圧状態にするので、経時的に内部に空気が侵入し、
収納した液体の経時的変質を誘起してしまう。また、こ
の内部に侵入した空気は吐出阻害の原因になるので、液
体収納室全体としての変形が不十分で残存液体が多いこ
ととも相俟って、液体の定量吐出性がきわめて不十分で
ある。更に、液体収納室が容器本体と可撓性蓋体とから
なっているので、なるべく空気が存在しないように液体
を充填することも困難であるし、液体収納室を弁機構を
形成する部材の一つとして利用しているので、弁機構を
形成する上で液体収納室を分離しておくことができず、
組立てが面倒であり、それゆえ、生産性にも劣る。ここ
で特に、液体を充填してから、組立てを完了させなけれ
ばならないことは、組立て途中における液体の漏れを生
じないようにするための多大の注意を余儀なくされる。

また、特公昭55−3232号公報に開示のものは、実開昭
59−13210号公報に開示のものと比べれば、液体の減少
に応じて縮小する軟質の液体収納室を用いているので、
内部を負圧化しないことによる液体の定量吐出の点及び
収納した液体の経時的変質の防止の点で都合がよい。ま
た、液体の充填も比較的容易であるし、この充填にあた
って空気を液体収納室内部に存在させることも抑制する
ことはできる。しかし、該公報に開示のものにおいて
も、液体収納室を弁機構を形成する部材の一つとして利
用しているので、生産性上の問題がある。それにまた、
該公報に開示のものでは、作動部材を背の高い液体収納
室の上部に外方から取り付けているが、これでは、やや
もすると、液体収納室の下部に位置する液体が上から吸
引される前に、液体上方の液体収納室の周壁面が収縮
し、互いに内壁を密着し合い、その結果、収納液体が充
分存在するにも拘らず消費不能となってしまう。この
点、液体収納室の胴部上部では容易には変形しない口頸
部の性質を徐々に合わせ有するようにしておけば、液体
収納室の内壁が密着し合うことも抑制できるであろう
が、このようにすると、変形し難い部分が増える分だ
け、やはり、消費することなく残存する液体量を増やし
てしまうことになる。

（課題を解決するための手段） まず、上述した生産性の改善の観点からは、内部を吸
引室とするシリンダーと、外部と連通する吸引通路を有
するピストンと、これらシリンダーとピストンとを互い
に反発し合うよう張設される弾撥体と、前記シリンダー
に設けた弁であって、前記シリンダーと前記ピストンと
が互いに近づく方向に相対的摺動をしたとき開き得る第
１の弁と、前記ピストンに設けた弁であって、前記シリ
ンダーと前記ピストンとが互いに離れる方向に相対的摺
動をしたとき開き得る第２の弁とよりなる、シリンダー
とピストンとの液密摺動構造を有する二重弁機構を備え
た組立体を用いることにより、液体収納室に組立て上の
分離性を付与する。

また、液体の消費残量に拘らず、簡単な押圧操作で、
確実に、かつ、適量づつ液体を吐出でき、しかも、液体
充填にあたって液体収納室内部に空気が存在したり、ま
た、経時的に、液体収納室内部に空気が侵入することに
よる液体の変質も抑制できるものとするために、液体収
納室としては、液体の減少に応じて縮小する軟質のもの
を用いるが、それも、上記した生産性の改善を更に進め
るとともに、消費されずに残存する液体分を充分に抑制
して無駄なく吐出できるものとするために、フィルム材
よりなる偏平な袋状のものとし、上記組立体の第１の弁
がこの液体収納室より露出するように、また、上記組立
体のピストンの下端部がこの液体収納室の内底面に当接
し得るものとする。

即ち、本考案は、内部を吸引室とするシリンダーと、
外部と連通する吸引通路を有するピストンと、これらシ
リンダーとピストンとを互いに反発し合うよう張設され
る弾撥体と、前記シリンダーに設けた弁であって、前記
シリンダーと前記ピストンとが互いに近づく方向に相対
的摺動をしたとき開き得る第１の弁と、前記ピストンに
設けた弁であって、前記シリンダーと前記ピストンとが
互いに離れる方向に相対的摺動をしたとき開き得る第２
の弁とよりなる、シリンダーとピストンとの液密摺動構
造を有する二重弁機構を備えた組立体を、縮小変形可能
なフィルム材よりなる偏平な袋状の液体収納室に、前記
第１の弁が該液体収納室より露出するように、また、前
記ピストンの下端部が該液体収納室の内底面に当接し得
るように配置してなる液体吐出機構を要旨とするもので
ある。

（実施例） 第１図乃至第３図に基づいて一例の説明をする。尚、
上下に関する表現は図面の方向による。

円筒状のシリンダー１は内部に吸引室２を有し、上端
部に上方のみに開き得る第１の弁３を有している。該弁
３はシリンダー１の上端開口部４を密閉し得るものであ
り、シリンダー１の上端部に薄肉板を一体あるいは別体
に設けることにより（図示のものは別体）構成されてい
て、無負荷状態では閉じるようになっている。また、シ
リンダー１の外周には鍔５が形成されている。

円筒状のピストン６は上部外面に前記吸引室２に摺動
自在に密嵌される摺接部７を有し、側面に内部空間と外
部とを連通する吸引通路８を有し、上端部に上方にのみ
に開き得る第２の弁９を有している。この弁９はピスト
ン６の上端開口部10を密閉し得るものであり、ピストン
６の上端部に薄肉板を一体あるいは別体に設けることに
より（図示のものは別体）構成されていて、無負荷状態
では閉じるようになっている。また、ピストン６の下端
部には鍔11が形成されている。尚、図示の摺接部７は、
ピストン６上部外面に形成された環状溝に嵌着したＯリ
ングとなっているが、ピストン６上部外面を直接吸引室
２内面に摺接するようにしてもよい。

シリンダー１とピストン６の両鍔5,11間には、これら
シリンダー１とピストン６とが互いに反発し合うよう
に、コイルスプリング等の弾撥体12が張設してある。ま
た、参照符号13はシリンダー１の下端部内面に形成され
たリブ、同14は該リブ13と係合するようにピストン６の
外周に設けられた段部をそれぞれ示す。即ち、シリンダ
ー１とピストン６とは弾撥体12で互いが反発し合うよう
に弾圧されるものの、その最伸長位置はリブ13と段部14
との係合によって規制されている。

以上のものからなるのが弁機構を備えた組立体Ａであ
り、この組立体Ａを液体収納室15内に配置することによ
って、液体吐出機構Ｂとなっている。

液体収納室15は縮小変形可能なフィルム材よりなり、
開口部16を有する偏平な袋状となっている。フィルム材
は、樹脂や金属等の適宜のものであってよいが、防湿性
に優れ、縮小変形し易く、強度に富むフィルムを偏平な
袋状に加工形成したものが好ましい。ちなみに、図示の
ものは、２枚の円形状のフィルムの周部を適宜手段によ
り一体化することにより袋状に加工形成してある。

ここで、液体吐出機構Ｂの作製は、例えば、次のよう
にして行ない得る。

まず、シリンダー１の外周に弾撥体12を嵌めた後、シ
リンダー１の下方よりピストン６を挿入して摺接部７を
吸引室２内に嵌挿する。このとき、摺接部７がリブ13を
乗り越える際に生じる抵抗はシリンダー１及びピストン
６の弾性変形で許容されるので無理なく嵌挿できる。尤
も、摺接部７とリブ13とが当接する部分にテーパー面を
形成しておけばより嵌挿は容易となり、図示のもので
は、リブ13の下端面をテーパー面としてある。

一方、液体収納室15には、開口部16とは別に組立体Ａ
を挿入し得る開口部分を袋状に加工形成するにあたって
残しておく。組立体Ａをこの開口部分から挿入後、液体
収納室15の開口部16とシリンダー１の上端部とを位置合
わせし、開口部16周辺をシリンダー１の鍔５上面に液密
に止着する。そして、前記開口部分より液体を液体収納
室15内に充填し、液密に閉じる。

次に、第４図と第５図に基づき、上述した液体吐出機
構Ｂにおける液体吐出の説明をする。

まず、第１図の状態でシリンダー１の第１の弁３近傍
及びピストン６下方の液体収納室15外面を押圧して、シ
リンダー１とピストン６とを弾撥体12の弾撥力に抗して
近接させる。この近接過程では第２の弁９は閉じたまま
であるから、シリンダー１の吸引室２内の液体が第１の
弁３を押し上げて開かせ、上端開口部４より吐出する。
初期状態として吸引室２内に空気が存在する場合は、ま
ず、この空気が吐出される。次に、前記押圧を解くと、
シリンダー１とピストン６は弾撥体12の弾撥力で復帰す
ることになる。この復帰工程では、前述とは逆に第１の
弁３が閉じたままであり、吸引室２が負圧になり、吸引
通路８を介してピストン６の内部空間に流入した液体が
第２の弁９を押し上げて開かせ、上端開口部10より吸引
室２に流入する。液体収納室15は、このときの液体の吸
引室２内への流入、即ち、消費に伴って縮小変形する。

また、第６図に基づき、液体吐出機構Ｂを種々形態の
外装容器内に収容して使用できる一例として、浅底の円
筒容器17内に液体吐出機構Ｂを収容した例について説明
する。

外装容器17は底面中央に孔18を有し、上方開口部に、
中央に取付孔19及びその周囲に傾斜面として形成された
受皿20を有する上板21が取り付けられている。液体吐出
機構Ｂは容器17と上板21で区画された空間22に収容され
ており、シリンダー１の上端部を前記取付孔19に嵌着し
第１の弁３を外部に露出している。また、ピストン６下
方の液体収納室15外面には前記孔18より顕出する操作ノ
ブ23が固着されている。この操作ノブ23を指先で上方に
押圧すればピストン６がシリンダー１に近接し液体収納
室15内の液体を受皿20に吐出することができる。

（考案の効果） 上述したように、本考案の液体吐出機構は、内部を吸
引室とするシリンダーと、外部と連通する吸引通路を有
するピストンと、これらシリンダーとピストンとを互い
に反発し合うよう張設される弾撥体と、前記シリンダー
に設けた弁であって、前記シリンダーと前記ピストンと
が互いに近づく方向に相対的摺動をしたとき開き得る第
１の弁と、前記ピストンに設けた弁であって、前記シリ
ンダーと前記ピストンとが互いに離れる方向に相対的摺
動をしたとき開き得る第２の弁とよりなる、シリンダー
とピストンとの液密摺動構造を有する二重弁機構を備え
た組立体を、縮小変形可能なフィルム材よりなる偏平な
袋状の液体収納室に、前記第１の弁が該液体収納室より
露出するように、また、前記ピストンの下端部が該液体
収納室の内底面に当接し得るように配置してなるので、
液体の消費残量に拘らず、簡単な押圧操作で、確実に、
かつ、適量づつ液体を吐出でき、しかも、液体充填にあ
たって液体収納室内部に空気が存在したり、また、経時
的に、液体収納室内部に空気が侵入することによる液体
の変質も極力抑制でき、またしかも、生産性が良好であ
るし、消費されずに残存する液体分を充分に抑制して無
駄なく吐出することもできる。加えてまた、種々形態の
外装容器内に収容して使用することもできる。ここで、
外装容器に収容するにあたって、二重弁機構を備えた組
立体におけるピストンの下端部は液体収納室の内底面に
固定されていないので、縮小変形可能なフィルム材より
なる偏平な袋状の液体収納室が変形することによる収容
の容易性は極めて高いし、収容後、ピストンの下端部を
液体収納室の内底面に当接させるようにしておくこと
で、ピストンをシリンダーに対して動かすようなものと
することも、また、シリンダーをピストンに対して動か
すようなものとすることもできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を説明するもので、第１図は液
体吐出機構の断面図、第２図は同斜視図、第３図は第１
図のシリンダーとピストンの斜視図、第４図と第５図と
は第１図のものにおける弁機構の動作説明図、第６図は
液体吐出機構を容器内に収容した一例を示す断面図。 Ａ…弁機構を備えた組立体、Ｂ…液体吐出機構、１…シ
リンダー、２…吸引室、３…第１の弁、４…上端開口
部、５…鍔、６…ピストン、７…摺接部、８…吸引通
路、９…第２の弁、10…上端開口部、11…鍔、12…弾撥
体、13…リブ、14…段部、15…液体収納室、16…開口
部、17…外装容器、18…孔、19…取付孔、20…受皿、21
…上板、22…空間、23…操作ノブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】内部を吸引室とするシリンダーと、外部と
   連通する吸引通路を有するピストンと、これらシリンダ
   ーとピストンとを互いに反発し合うよう張設される弾撥
   体と、前記シリンダーに設けた弁であって、前記シリン
   ダーと前記ピストンとが互いに近づく方向に相対的摺動
   をしたとき開き得る第１の弁と、前記ピストンに設けた
   弁であって、前記シリンダーと前記ピストンとが互いに
   離れる方向に相対的摺動をしたとき開き得る第２の弁と
   よりなる、シリンダーとピストンとの液密摺動構造を有
   する二重弁機構を備えた組立体を、縮小変形可能なフィ
   ルム材よりなる偏平な袋状の液体収納室に、前記第１の
   弁が該液体収納室より露出するように、また、前記ピス
   トンの下端部が該液体収納室の内底面に当接し得るよう
   に配置してなる液体吐出機構。