JPH0211314Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は先端に注出口を形成した首部と弾性
を有する胴部とを肩部で一体化して成形してなる
合成樹脂製のチユーブ容器に関するものであり、
特に一旦外部へ押出された内容物の逆流や外気の
流入を阻止する機構を備えたチユーブ容器に関す
るものである。

《従来の技術》 胴部を弾性のある合成樹脂で成形したチユーブ
容器にあつては、該胴部を押圧して内容物を注出
した後に該押圧を解除すると、胴部は弾性的に原
状へ復元するが、この際に生じる負圧のために一
旦注出口から外方へ押出された内容物が外気とと
もに再び容器内へ吸引される現象が発生する。こ
のような現象は内容物の酸化、固化或いは汚染の
原因となるばかりでなく、外気が流入すると、以
後の使用時に胴部への押圧量と内容物の注出量が
比例しなくなつて使用者が所望量の内容物を注出
することが難しくなるとともに、流入した外気が
内容物と混合して注出され該内容物が飛散するこ
とがあるなど、種々の不都合を生じさせる。

そこで、一旦容器外へ押出された内容物や外気
が容器内に逆流することを防止する機構を備えた
チユーブ容器が提案されているが、従来提案され
ているこの種の容器では逆流防止用の弁体を首部
に直接装着する構成を採用しているため、該首部
を通常のチユーブ容器のそれよりも広口径に形成
したり、首部内に小孔を穿設した突出部を形成す
るなど、首部の構成が特殊なものになつていた。

しかしながら、このように首部の構造を特殊化
することは、通常のチユーブ容器、即ち逆流防止
機構の不要なチユーブ容器の首部と成形用金型を
共用することを不可能にし、それぞれの首部を
別々の金型を用いて成形しなければならないた
め、金型の製造コストの上昇や成形作業の煩雑化
といつた問題があつた。

なお、上記の問題点を解決するため本出願人は
以前に実開昭59−26749号公報に示されるような
逆流防止機構を備えたチユーブ容器を提案してい
る。

その構成はチユーブ容器の首部の内側に、上端
が開口し下端に小孔を形成した筒状の中栓を嵌着
し、この中栓の内周壁に複数の凸状突起を円周方
向に分離形成し、凸状突起と中栓下端部間に中栓
の内径より若干小径をなす円板状の弁体を上下動
自在に設けてなり、チユーブ容器の胴部を押圧し
たとき、この圧力により弁体が上昇して中栓下端
の小孔を開口し、この小孔から凸状突起の間を通
つて首部の注出口に至る通路が形成されて内容物
が注出され、胴部への押圧を解除した際にはチユ
ーブの復元力によつて弁体が下降し、小孔を閉塞
して一担チユーブより流出した内容物および外気
のチユーブへの逆流を防止するようにしたもので
ある。

この逆流防止機構を備えたチユーブ容器は通常
のチユーブ容器の首部に前記中栓を嵌着すること
によつて成形することが可能なため、製造コスト
の低下および外観の良さが望めるものである。

《考案が解決しようとする課題》 しかし、前記実開昭59−26749号公報に示され
るようなチユーブ容器ではチユーブ容器を押圧し
て弁体を上昇させて、小孔を開口し、小孔と首部
の注出口とを連結して内容物を押出するようにな
つているが、小孔と首部の注出口との間の容積が
大きく、ここに多量の内容物が留まり、弁体が小
孔を閉塞した後にも、多くの内容物が残留するこ
とになる。

そして、弁体の上のデツドスペースが大きく、
残留内容物も多いため、チユーブへの押圧を解除
して弁体が下降する際にも、一担チユーブ外へ流
出した内容物が外気とともにチユーブ内に逆流さ
れるおそれがある。

また、デツドスペースが大きいために、この
他、内容物を押し出す際に余分な押圧を必要とし
たり、内容物が注出口より一挙に流出されるとい
う不都合が生じてくる。

本考案は上記のような問題点に鑑みてなされた
もので、その目的は通常のチユーブ容器の首部を
そのまま利用できて、製造工程での作業が簡易で
コストも低く、また外観が良いといつた従来の特
徴を持ち合わせるとともに、逆流防止用の弁体上
のデツドスペースが小さく、首部に多量の内容物
が残らず、逆流のおそれがなく、また内容物の押
出す際の操作性に優れた逆流防止機構を備えたチ
ユーブ容器を提供することにある。

《課題を解決するための手段》 上記問題点を解決するため、本考案では先端に
注出口を形成した首部と弾性を有する胴部とを肩
部で一体化して成形してなる合成樹脂製チユーブ
容器において、該首部の内側に下端が開口し上端
面に小孔が穿設された中栓を密着させ、該中栓の
該上端面に円周方向に分離された複数の上方へ延
長する爪片を設け、該爪片の上端を該注出口の直
下に位置させ、該小孔よりも大径の弁体を該上端
面と該爪片の上端との間に上下動自在に介挿し、
該胴部を押圧することによつて該弁体を該爪片の
該上端に当接するまで上昇させ、該小孔を開口す
るとともに該爪片間の間〓部から該注出口に至る
通路を形成してなるのである。

また、前記爪片の前記上端を鉤状に内方へ折曲
してなるのである。

《作用》 まず胴部を指などで押圧すると、弁体は容器内
部の圧力の増加によつて爪片の上端に当接するま
で上昇し、小孔が開口する。そして、これと同時
に小孔から押出された内容物は爪片間の間〓部を
通つて注出口へ至り、その注出口から外部へと注
出される。

一方、胴部への押圧力を除去すると、その胴部
には弾性的に原形へ復元しようとする力が作用
し、小孔から内容物を胴部内に吸引する吸引力が
働く。このため、弁体は中栓の上端面へ瞬間的に
降下し、小孔を閉塞する。

このとき、胴部には内容物を注出した容積分の
復元力がその後も持続されるので、弁体には上記
吸引力が常に作用しており、容器の密封は永続さ
れる。

《実施例》 以下、本考案の好適な実施例につき添附図面を
参照して詳述する。

図は本考案の一実施例に係る逆流防止機構を備
えたチユーブ容器を示し、このチユーブ容器は、
化粧品、薬品、食品等の粘性液状の内容物を外部
へ注出するための注出口１１を先端部に有する首
部１０と、内容物を収容するための胴部１２とか
ら成り、胴部１２はオレフイン系樹脂等の弾性を
有する合成樹脂から押出成形によつて形成された
後、射出成形等によつて形成された首部１０と略
円錐状の肩部１３で一体的に溶着され、内容物を
充填した後にその底部（図示せず）をかしめて閉
じられる。首部１０は一般的なチユーブ容器のそ
れと同じ形状のものが用いられていて、その外周
にはキヤツプ（図示せず）を螺着するためのネジ
１４が周設されている。

そして本考案における逆流防止機構は、首部１
０の内側に取り付けられた中栓２０によつて果さ
れる。

この中栓２０は、第２図に最も明確に示されて
いるように、下端が開口し上端面２１の中央に小
孔２２が穿設された略円筒形状を呈し、上端面２
１の周縁部からは円周方向に分離された複数の爪
片２３が上方へ突設されていて、各爪片２３の上
端２４は内方（上端面２１の中心方向）へ鉤状に
折曲されている。上端面２１の上には小孔２２よ
りも大径の円板状弁体２５が載置され、この弁体
２５は該上端面と爪片２３の鉤状上端２４の間で
上下動自在となつている。弁体２５は合成樹脂、
ステンレスなどから形成され、前者の場合にはそ
の肉厚を100μ〜300μに、また後者であれば20μ〜
30μの範囲内に、それぞれ設定することが好まし
い。また、小孔２２は弁体２５が下方に位置した
時にこれによつて覆われるものであれば良く、例
えば比較的小径の小孔を複数個設けることなども
可能である。

中栓２０は内容物を充填する前に胴部１２の底
部から挿入されて首部１０の内側に密着させられ
るのであるが、図示した実施例では該首部への圧
挿入を容易にするため上端面２１の端縁２６を面
取してあり、また挿入作業時の方向性の明確化と
ストツパーの役割を果すための鍔部２７が中栓２
０の下端に形成されている。また、中栓２０の側
部外周には凹凸部２８が周設されているが、これ
らは首部１０の内周面に形成された対応する凹凸
部２９と嵌合して、中栓２０と首部１０の間の密
封性を増すようになつている。更には、中栓２０
を首部１０内に取り付けた状態で、爪片２３の上
端２４は注出口１１に可及的近接するように形成
されている。

上記のように構成されたチユーブ容器では、第
１図に示された状態から胴部１２を指などで押圧
すると、弁体２５は容器内部の圧力の増加によつ
て爪片２３の上端２４に当接するまで上昇し、小
孔２２が開口するとこれと同時に、小孔２２から
押出された内容物は爪片２３の間の間〓部を通つ
て注出口１１へ至り、該注出口から外部へと注出
される。

そして胴部１２への押圧力を除去すると、該胴
部には弾性的に原形へ復元しようとする力が作用
し、小孔２２から内容物を胴部１２内に吸引する
吸引力が働く。このため、弁体２５は中栓２０の
上端面２１へ瞬間的に降下し、小孔２２を閉塞す
るので、外部へ押出された内容物や外気の逆流入
が完全に阻止されるのである。この場合、小孔２
２は中栓２０の上端面２１に形成されているた
め、該小孔と注出口１１の間の容積は比較的小さ
く、従つて小孔２２が弁体２５によつて閉塞され
た後にそこに残留する内容物の量は少なくてす
む。更には、爪片２３の上端２４を注出口１１に
可及的に近接させることにより、内容物が残留す
るデツドスペースを可及的に減少させ得る。

一方、胴部１２には内容物を注出した容積分の
復元力がその後も持続されるので、弁体２５には
上記吸引力が常に作用しており、容器の密封は永
続されることになる。また、内容物を使用すれば
する程吸引力は大きくなり、密封性はより向上す
る。

尚、上記実施例では爪片２３の上端２４を鉤状
に折曲することとしたが、該爪片の形状はこれに
限られるものではなく、該上端が弁体２５の上方
への移動を抑制し得るものであれば良く、例えば
各爪片を内方へ傾斜させてその上端を該弁体の周
縁よりも内側に位置させることなどの構成も可能
である。

《効果》 上述したように、本考案に係るチユーブ容器で
は、爪片と弁体とで構成した弁機構を内蔵した中
栓を首部の内側に密着することによつて逆流防止
を果すこととしたので、中栓の寸法をこれを取り
付けるチユーブ容器の首部の内径に適合させるこ
とで、極めて簡単に既存のチユーブ容器に逆流防
止機能を付与することが可能となり、従来の首部
自体に逆流防止機構を形成したものと比べて生産
性の向上やコストダウンを達成することが出来る
ものである。また、中栓は首部の内側に取り付け
られるから、外観的には通常のチユーブ容器と異
ならないすつきりしたものとなる。

また、中栓の上端面に小孔が形成されているた
め、該小孔と注出口の間に残留する内容物の量が
少ないほか、爪片の上端を注出口の直下に位置さ
せることとすれば、これらの間のデツドスペース
を殆どなくすことが出来る。

このため、チユーブへの押圧を解除して弁体が
降下する際、小孔から外気とともに一担流出した
内容物が逆流するおそれもなくなり、また弁体が
小孔を閉塞した後に首部に内容物はほとんど残留
しないようになる。

また、チユーブを押圧して内容物を押し出す際
にも、余分な押圧を必要とせず、内容物が一挙に
注出されることもなく、内容物の押出し操作性の
良いものとすることができる。

更に、爪片の上端を内方へ鉤状に折曲させるこ
ととした場合には、弁体の規制をより確実に行な
うことが可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る逆流防止機構
を備えたチユーブ容器を弁体の降下位置で示す断
面図、第２図は該容器の中栓を示す一部破断斜視
図、第３図は該容器を弁体の上昇位置で示す断面
図である。 １０……首部、１１……注出口、１２……胴
部、１３……肩部、２０……中栓、２１……上端
面、２２……小孔、２３……爪片、２４……上
端、２５……弁体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 先端に注出口を形成した首部と弾性を有する
   胴部とを肩部で一体化して成形してなる合成樹
   脂製チユーブ容器において、該首部の内側に下
   端が開口し上端面に小孔が穿設された中栓を密
   着させ、該中栓の該上端面に円周方向に分離さ
   れた複数の上方へ延長する爪片を設け、該爪片
   の上端を該注出口の直下に位置させ、該小孔よ
   りも大径の弁体を該上端面と該爪片の上端との
   間に上下動自在に介挿し、該胴部を押圧するこ
   とによつて該弁体を該爪片の該上端に当接する
   まで上昇させ、該小孔を開口するとともに該爪
   片間の間〓部から該注出口に至る通路を形成し
   てなることを特徴とする逆流防止機構を備えた
   チユーブ容器。 (2) 前記爪片の前記上端を鉤状に内方へ折曲して
   なることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の逆流防止機構を備えたチユーブ容
   器。