JPH0885316A - 後輪懸架装置 - Google Patents

後輪懸架装置

Info

Publication number
JPH0885316A
JPH0885316A JP22383694A JP22383694A JPH0885316A JP H0885316 A JPH0885316 A JP H0885316A JP 22383694 A JP22383694 A JP 22383694A JP 22383694 A JP22383694 A JP 22383694A JP H0885316 A JPH0885316 A JP H0885316A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
vehicle body
width direction
bush
vehicle width
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22383694A
Other languages
English (en)
Inventor
Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP22383694A priority Critical patent/JPH0885316A/ja
Publication of JPH0885316A publication Critical patent/JPH0885316A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】制動時の車両安定性を向上させると共にサスペ
ンションアームの前後剛性を下げることが可能な後輪懸
架装置を提供することを目的としている。 【構成】アクスル1の下部領域に、前後一対のブッシュ
を介してロアアーム2が連結している。ロアアーム2
は、車幅方向内方に延び、前後に並ぶ一対の連結点を介
して、車体側部材に連結している。その各連結点に介装
されるブッシュ3,4のうち、車体前後方向前側のブッ
シュ4は異方性ブッシュである。この異方性ブッシュ4
は、車幅方向外方に向けて上向きとなる傾斜方向に沿っ
た径方向の剛性が低く設定されている。アクスル1の上
部領域と車体側部材とが、アッパアーム7を介して揺動
可能に連結している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、後輪懸架装置に係り、
特に、制動時のワインドアップ方向のモーメントをA型
若しくはH型のサスペンションアームで受ける後輪懸架
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の後輪懸架装置としては、例えば特
開昭63−270205号公報や実開昭60−4480
6号公報等に記載されているものがある。特開昭63−
270205号公報に記載されているものは、図12に
示すように、車輪支持部材40の上部領域及び下部領域
が、それぞれ車幅方向に延在するH型アーム41,42
を介して車体側部材に連結して、上下方向へ揺動可能と
なっている。
【0003】そして、下部領域に配置されたロアアーム
41と車体支持部材と連結点の揺動軸を、側面視,車体
前方側が上向きとなるように傾斜させて設定すると共
に、上部領域に配置されたアッパアーム42と車体支持
部材との連結点の揺動軸を、平面視、車体前方側が車幅
方向内方を向くように傾斜させて設定している。これに
よって、エンジンブレーキの際に入力される前後力の入
力に対して、トーイン方向のトー変化を与えて走行安定
性の向上を図っている。
【0004】また、実開昭60−44806号公報に記
載されているものは、セミトレーリングアーム式の後輪
懸架装置であって、サスペンションアーム(セミトレー
リングアーム)の車体前後方向後側に車輪支持部材が連
結されていると共に、車体前後方向前側が、車幅方向に
並ぶ2点を介して上下揺動可能に車体側部材へ連結され
ている。そして、その車体側部材への連結点のうち車幅
方向外側の連結点に介装されるブッシュに異方性ブッシ
ュを採用し、該異方性ブッシュは、車幅方向に軸線を向
けた揺動軸を挟んだ略車体前後方向位置であって、水平
面に対して−10度から30度だけ傾いた位置にすぐり
を設けたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭63−270205号公報に記載されている後輪懸
架装置では、H型アームの変位によってトー角を規定す
る構造となっているために、前後力によってH型アーム
の車輪支持部側が後方へ押されるとH型アームは、図1
3に示す如くトーアウト傾向に回動変位する(図13
中、破線から実線の位置に変位する)。このため、上記
トーイン効果が小さくなるという問題がある。
【0006】この問題は、ハーシュネスの軽減のために
サスペンションアームの前後剛性を下げるべく、H型ア
ームの取付け点に使用されるブッシュの剛性を低下させ
る程顕著に表れる。また、上記実開昭60−44806
号公報に記載されている後輪懸架装置では、車輪に前後
力が入力した場合に、すぐりを設けた車幅方向外側のブ
ッシュが大きく撓み、サスペンションアーム及び車輪支
持部材がトーアウト方向に回動変化する。この結果、制
動時の車両安定性が乱れるという問題がある。
【0007】以上、説明してきたように、上記のような
従来の構成をもったサスペンションアームによって、直
接、車輪のトー角を規定するような型式の後輪懸架装置
にあっては、特に、前後入力に対する車輪のトーアウト
傾向を防止して、制動時の車両安定性を向上させること
と、サスペンションアームの前後剛性を下げて突起乗り
越し時の乗り心地を向上させることを、両立させること
が困難である。
【0008】本発明は、上記のような問題点に着目し
て、制動時の車両安定性を向上させると共にサスペンシ
ョンアームの前後剛性を下げることが可能な後輪懸架装
置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうち請求項1に記載された後輪懸架装置
は、車輪支持部材の下部領域と車体側部材とが、車幅方
向に延在するH型アームによって連結され、そのH型ア
ームと車輪支持部材、及びH型アームと車体側部材は、
それぞれ車体前後方向で並ぶ2点で、揺動軸を車体前後
方向に向けたブッシュを介して揺動可能に連結されてい
る後輪懸架装置において、上記H型アームと車体側部材
との連結点に介装されるブッシュの少なくとも一方を、
車幅方向外方に向けて上向きとなる傾斜方向に沿った径
方向の剛性を低く設定した異方性ブッシュで構成したこ
とを特徴としている。
【0010】本発明のうち請求項2に記載された後輪懸
架装置は、車輪支持部材の下部領域と車体側部材とが、
車幅方向に延在するH型アームによって連結され、その
H型アームと車輪支持部材、及びH型アームと車体側部
材は、それぞれ車体前後方向で並ぶ2点で、揺動軸を車
体前後方向に向けたブッシュを介して揺動可能に連結さ
れている後輪懸架装置において、上記H型アームと車輪
支持部材との連結点に介装されるブッシュの少なくとも
一方を、車幅方向外方に向けて上向きとなる傾斜方向に
沿った径方向の剛性を低く設定した異方性ブッシュで構
成したことを特徴としている。
【0011】本発明のうち請求項3に記載された後輪懸
架装置は、車輪支持部材の下部領域と車体側部材とが、
車幅方向に延在するA型アームによって連結され、ま
た、上記車輪支持部材と車体側部材とが、該A型アーム
よりも車体前後方向後方位置で、車幅方向に延在するト
ーコントロールリンクによって連結されている後輪懸架
装置において、A型アームと車体側部材とを連結する車
体前後方向で並ぶ2点のうち、一方の連結点に介装され
るブッシュを、車幅方向外方に向けて下向きとなる傾斜
方向に沿った径方向の剛性を低く設定した異方性ブッシ
ュで構成し、かつ、トーコントロールリンクの軸線を、
車幅方向外方に向けて車体前後方向前側に傾けると共に
上記A型アームと車体側部材とを連結する2点のうち他
方の連結点と車輪側取付け点とを通る直線と、上記トー
コントロールリンクの軸線を通る直線とが、平面視,車
幅方向車輪側で交差するようにトーコントロールリンク
及びA型アームを配置したことを特徴としている。
【0012】本発明のうち請求項4に記載された後輪懸
架装置は、車輪支持部材の下部領域と車体側部材とが、
車幅方向に延在するA型アームによって連結され、ま
た、上記車輪支持部材と車体側部材とが、該A型アーム
よりも車体前後方向後方位置で、車幅方向に延在するト
ーコントロールリンクによって連結されている後輪懸架
装置において、A型アームと車体側部材とを連結する車
体前後方向で並ぶ2点のうち、一方の連結点に介装され
るゴムブッシュを、車幅方向外方に向けて上向きとなる
傾斜方向に沿った径方向の剛性を低く設定した異方性ブ
ッシュで構成し、かつ、トーコントロールリンクの軸線
を、車幅方向外方に向けて車体前後方向後側に傾けると
共に上記A型アームと車体側部材とを連結する2点のう
ち他方の連結点と車輪側取り取付け点とを通る直線と、
上記トーコントロールリンクの軸線を通る直線とが、平
面視,車幅方向車体側で交差するようにトーコントロー
ルリンク及びA型アームを配置したことを特徴としてい
る。
【0013】上記各構成の発明のいずれかに対して、請
求項5に記載されているように、上記異方性ブッシュ
は、弾性体であるブッシュ本体にすぐりを設けること
で、すぐり形成位置の剛性を低くすることで実現したし
たことを特徴とするとよい。
【0014】
【作用】フート・ブレーキ等によって車輪の接地面に車
体前後方向の制動力が入力されると、該入力によってワ
インドアップ方向のモーメントが発生する。このモーメ
ントによって、車輪支持部材におけるリンク連結部及び
H型アームの車体側連結部に対して、それぞれ車体前後
方向前側を下方に押し下げると共に車体前後方向後側は
上方に押し上げる偶力が入力される。
【0015】これに鑑みて、請求項1に記載された発明
の作用を説明する。ここで、以下の作用の説明では、ブ
ッシュの外筒側がH型アームに固定されると共にブッシ
ュの内筒側が車体側部材に連結しているとして、まず説
明する。ブッシュの外筒側が車体側部材に固定されてい
ると共にブッシュの内筒側がH型アームに固定された構
成であっても同じである。
【0016】まず、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向前側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによってH型アームの車体前後
方向前側部分は下方に押し下げられるため、そのH型ア
ームと一体に固定されている外筒側が下方に移動し、相
対的に内筒側が上方に移動する。このとき、異方性ブッ
シュは車幅方向外方且つ上方位置の剛性が低く設定され
ているので、上記内筒側は相対的に上方に移動しつつ車
幅方向外方に移動する。
【0017】しかし、内筒側は車体側部材に取り付けら
れているので、外筒側、即ちH型アームにおける車体前
後方向前側の車体側部分が車幅方向内方に移動する。こ
れによって、H型アームにトーイン方向の回動変位が付
与される。このH型アームのトーイン方向への回動変位
によって、車輪支持部材にトーイン方向のトー変化が生
じる。
【0018】ここで、ブッシュの外筒側が車体側部材に
固定されている構成では、H型アームの車体前後方向前
側部分が下方に押し下げられると、そのH型アームと一
体に固定されている内筒側が下方に移動するが、車幅方
向内方且つ下方位置の剛性が低いために、該内筒は車幅
方向内方に移動しつつ下方に移動して、上記と同様な作
用が発生する。
【0019】次に、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向後側に採用した場合を考えると、上記ワインドア
ップモーメントによってH型アームの車体前後方向後側
部分は上方に押し上げられるため、そのH型アームと一
体に固定されている外筒側が上方に移動し、相対的に内
筒側が下方に移動する。このとき、異方性ブッシュは車
幅方向内方且つ下方位置の剛性を低く設定されているの
で、上記内筒側は相対的に下方に移動しつつ車幅方向内
方に移動する。
【0020】しかし、内筒側は車体側部材に取り付けら
れているので、外筒側、即ちH型アームにおける車体前
後方向前側の車体側部分が車幅方向外方に移動する。こ
れによって、H型アームにトーイン方向の回動変位が付
与される。このH型アームのトーイン方向への回動変位
によって、車輪支持部材にトーイン方向のトー変化が生
じる。
【0021】ここで、ブッシュの外筒側が車体側部材に
固定されている構成では、H型アームの車体前後方向後
側部分が上方に押し上げられると、そのH型アームと一
体に固定されている内筒側が上方に移動するが、車幅方
向外方且つ上方位置の剛性が低いために、該内筒は車幅
方向外方に移動しつつ下方に移動して、上記と同様な作
用が発生する。
【0022】また、ブッシュの一部の剛性を低く設定す
ることで、ブッシュ全体の前後剛性が低く設定される。
次に、請求項2に記載された発明の作用を説明する。こ
こで、以下の作用の説明では、ブッシュの外筒側がH型
アームに固定されると共にブッシュの内筒側が車輪支持
部材に連結しているとして説明する。ブッシュの外筒側
が車輪支持部材に固定されていると共にブッシュの内筒
側がH型アームに固定された構成であっても同じであ
る。
【0023】まず、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向前側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによって、H型アームの車体前
後方向前部分における車輪支持部材は下方に押し下げら
れるため、そのH型アームと一体に固定されている外筒
側が上方に移動し、相対的に内筒側が下方に移動する。
【0024】このとき、異方性ブッシュは車幅方向外方
且つ下方位置の剛性が低く設定されているので、上記内
筒側は相対的に下方に移動しつつ車幅方向内方に移動す
る。内筒側は車輪支持部材に連結しているので、車輪支
持部材における車体前後方向前側部分が車幅方向内方に
変位し、もって車輪支持部材にトーイン方向の回動変位
が付与される。
【0025】ここで、ブッシュの外筒側が車輪支持部材
に固定されている構成では、車輪支持部材側が下方に押
し下げられると、そのH型アームと一体に固定されてい
る内筒側は上方に移動するが、車幅方向外方且つ上方位
置の剛性が低いために、該内筒は車幅方向外方に移動し
つつ上方に移動し、相対的に外筒側が車幅方向内方且つ
下方に移動して、上記と同様な作用が発生する。
【0026】なお、このように、車輪支持部材の車体前
後方向前側が、車幅方向内方に変位することで、該車輪
支持部材からH型アームの車体前後方向前側部分に、車
幅方向内方に向かう力が入力されると共に、上記ワイン
ドアップモーメント自体によって該H型アームの車体前
後方向前側部分に上方に向かう力が入力されるため、全
体として、H型アームの車体前後方向前側部分には、車
幅方向内方且つ上方に向かう力が負荷されることとな
る。このとき、請求項2に係る発明に使用される異方性
ブッシュにおける、車幅方向内方且つ上方に向かう径方
向の剛性は低く設定されていないので、上記制動時にお
ける所定のワインドアップ剛性を確保可能となってい
る。
【0027】次に、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向後側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによってH型アームの車体前後
方向後側における車輪支持部材は、上方に押し上げられ
るため、そのH型アームと一体に固定されている外筒側
が下方に移動し、相対的に内筒側が上方に移動する。こ
のとき、異方性ブッシュは車幅方向外方且つ上方位置の
剛性が低く設定されているので、上記内筒側は相対的に
上方に移動しつつ車幅方向外方に移動する。
【0028】内筒側は車輪支持部材に連結しているの
で、車輪支持部材における車体前後方向後側部分が車幅
方向外方に変位し、もって車輪支持部材にトーイン方向
の回動変位が付与される。ここで、ブッシュの外筒側が
車輪支持部材に固定されている構成では、H型アームの
車体前後方向後側部分が下方に押し上げられると、その
H型アームと一体に固定されている内筒側が下方に移動
するが、車幅方向内方且つ下方位置の剛性が低いため
に、該内筒は車幅方向内方に移動しつつ下方に移動し、
相対的に外筒側が車幅方向外方且つ上方に移動して、上
記と同様な作用が発生する。
【0029】なお、このように、車輪支持部材の車体前
後方向後側が、車幅方向外方に変位することで、該車輪
支持部材からH型アームの車体前後方向前側部分に、車
幅方向外方に向かう力が入力されると共に、上記ワイン
ドアップモーメント自体によって該H型アームの車体前
後方向後側部分に下方に向かう力が入力されるため、全
体として、H型アームの車体前後方向後側部分には、車
幅方向外方且つ下方に向かう力が負荷されることとな
る。このとき、請求項2に係る発明に使用される異方性
ブッシュにおける、車幅方向外方且つ上方に向かう径方
向の剛性は低く設定されていないので、上記制動時にお
ける所定のワインドアップ剛性として従来と同程度の剛
性を確保可能となっている。
【0030】また、ブッシュの一部の剛性を低く設定す
ることで、ブッシュ全体の前後剛性が低く設定される。
次に、請求項3に記載された発明の作用を説明する。フ
ート・ブレーキ等によって車輪の接地面に車体前後方向
の制動力が入力されると、該入力によってワインドアッ
プ方向のモーメントが発生する。このモーメントによっ
て、A型アームに対して、車体前後方向前側を下方に押
し下げると共に車体前後方向後側は上方に押し上げる偶
力が入力される。
【0031】ここで、以下の作用の説明では、ブッシュ
の外筒側がA型アームに固定されると共にブッシュの内
筒側が車体側部材に連結しているとして説明する。ブッ
シュの外筒側が車体側部材に固定されていると共にブッ
シュの内筒側がA型アームに固定された構成であっても
同じである。まず、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向前側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによってA型アームの車体前後
方向前側部分は下方に押し下げられるため、そのH型ア
ームと一体に固定されている外筒側が下方に移動し、相
対的に内筒側が上方に移動する。
【0032】このとき、異方性ブッシュは車幅方向内方
且つ上方位置の剛性が低く設定されているので、上記内
筒側は相対的に上方に移動しつつ車幅方向内方に移動す
る。しかし、内筒側は車体側部材に取り付けられている
ので、外筒側、即ちA型アームにおける車体前後方向前
側の車体側部分が車幅方向外方に移動する。これによっ
て、A型アームにトーアウト方向の回動変位が付与され
る。
【0033】ここで、ブッシュの外筒側が車体側部材に
固定されている場合には、H型アームと一体となってい
る内筒側が下方に移動する際に、車幅方向外方且つ下方
の剛性が低いために、該内筒側が下方に移動しつつ車幅
方向外方に移動して、上記と同様な作用が発生する。こ
のA型アームの回動変位によって、該A型アームの車輪
側連結点は、車体前後方向後側の車体側取付け点を中心
に車体前後方向後方に回動する。この回動によって車輪
支持部材を介してトーコントロールリンクの車輪側連結
点も車体側連結点を中心にして車体前後方向後方に回動
する。
【0034】このとき、トーコントロールリンクと、車
輪支持部材と、A型アームにおける車体前後方向後側の
車体側連結点と車輪側連結点を結んだ直線部分と、によ
って台形リンクが構成されている共に、トーコントロー
ルリンクは車輪側連結点が平面視,車体前後方向前側に
傾いて配置され、さらに、車幅方向外方に車輪支持部材
の瞬間回転中心が位置しているため、上記A型アームの
トーアウト方向の回動変位によって、車輪支持部材に対
してトーイン方向の回動変位が付与される。
【0035】次に、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向後側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによってA型アームの車体前後
方向後側部分は上方に押し上げられるため、そのH型ア
ームと一体に固定されている外筒側が上方に移動し、相
対的に内筒側が下方に移動する。このとき、異方性ブッ
シュは車幅方向外方且つ下方位置の剛性が低く設定され
ているので、上記内筒側は相対的に下方に移動しつつ車
幅方向外方に移動する。
【0036】しかし、内筒側は車体側部材に取り付けら
れているので、外筒側、即ちA型アームにおける車体前
後方向後側の車体側部分が車幅方向内方に移動する。こ
れによって、A型アームにトーイン方向の回動変位が付
与される。ここで、ブッシュの外筒側が車輪支持部材に
固定されている場合には、H型アームと一体となってい
る内筒側が上方に移動する際に、車幅方向内方且つ外方
の剛性が低いために、該内筒側が上方に移動しつつ車幅
方向内方に移動して、上記と同様な作用が発生する。
【0037】このA型アームの回動変位によって、該A
型アームの車輪側連結点は、車体前後方向前側の車体側
取付け点を中心に車体前後方向後方に回動する。この回
動によって車輪支持部材を介してトーコントロールリン
クの車輪側連結点も車体側連結点を中心にして車体前後
方向後方に回動する。このとき、トーコントロールリン
クと、車輪支持部材と、A型アームにおける車体前後方
向前側の車体側連結点と車輪側連結点を結んだ直線部分
と、によって台形リンクが構成されている共に、トーコ
ントロールリンクは車輪側連結点が平面視,車体前後方
向前側に傾いて配置され、さらに、車幅方向外方に車輪
支持部材の瞬間回転中心が位置しているため、上記A型
アームのトーイン方向の回動変位によって、車輪支持部
材に対してトーイン方向の回動変位が付与される。
【0038】また、ブッシュの一部の剛性を低く設定す
ることで、ブッシュ全体の前後剛性が低く設定される。
次に、請求項4に記載された発明の作用について説明す
る。フート・ブレーキ等によって車輪の接地面に車体前
後方向の制動力が入力されると、該入力によってワイン
ドアップ方向のモーメントが発生する。このモーメント
によって、A型アームに対して、車体前後方向前側を下
方に押し下げると共に車体前後方向後側は上方に押し上
げる偶力が入力される。
【0039】ここで、以下の作用の説明では、ブッシュ
の外筒側がA型アームに固定されると共にブッシュの内
筒側が車体側部材に連結しているとして説明する。ブッ
シュの外筒側が車体側部材に固定されていると共にブッ
シュの内筒側がA型アームに固定された構成であっても
同じである。まず、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向前側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによってA型アームの車体前後
方向前側部分は下方に押し下げられるため、そのH型ア
ームと一体に固定されている外筒側が下方に移動し、相
対的に内筒側が上方に移動する。
【0040】このとき、異方性ブッシュは車幅方向外方
且つ上方位置の剛性が低く設定されているので、上記内
筒側は相対的に上方に移動しつつ車幅方向外方に移動す
る。しかし、内筒側は車体側部材に取り付けられている
ので、外筒側、即ちA型アームにおける車体前後方向前
側の車体側部分が車幅方向内方に移動する。これによっ
て、A型アームにトーイン方向の回動変位が付与され
る。
【0041】このA型アームの回動変位によって、該A
型アームの車輪側連結点は、車体前後方向後側の車体側
取付け点を中心に車体前後方向前方に回動する。この回
動によって車輪支持部材を介してトーコントロールリン
クの車輪側連結点も車体側連結点を中心にして車体前後
方向前方に回動する。このとき、トーコントロールリン
クと、車輪支持部材と、A型アームにおける車体前後方
向後側の車体側連結点と車輪側連結点を結んだ直線部分
と、によって台形リンクが構成されている共に、トーコ
ントロールリンクは車輪側連結点が平面視,車体前後方
向後側に傾いて配置され、さらに、車幅方向内方に車輪
支持部材の瞬間回転中心が位置しているため、上記A型
アームのトーアウト方向の回動変位によって、車輪支持
部材に対してトーイン方向の回動変位が付与される。
【0042】次に、本願発明の異方性ブッシュを車体前
後方向後側の連結点に採用した場合を考えると、上記ワ
インドアップモーメントによってA型アームの車体前後
方向前側部分は上方に押し上げられるため、そのH型ア
ームと一体に固定されている外筒側が上方に移動し、相
対的に内筒側が下方に移動する。このとき、異方性ブッ
シュは車幅方向内方且つ下方位置の剛性が低く設定され
ているので、上記内筒側は相対的に下方に移動しつつ車
幅方向内方に移動する。
【0043】しかし、内筒側は車体側部材に取り付けら
れているので、外筒側、即ちA型アームにおける車体前
後方向後側の車体側部分が車幅方向外方に移動する。こ
れによって、A型アームにトーアウト方向の回動変位が
付与される。このA型アームの回動変位によって、該A
型アームの車輪側連結点は、車体前後方向後側の車体側
取付け点を中心に車体前後方向前方に回動する。この回
動によって車輪支持部材を介してトーコントロールリン
クの車輪側連結点も車体側連結点を中心にして車体前後
方向前方に回動する。
【0044】このとき、トーコントロールリンクと、車
輪支持部材と、A型アームにおける車体前後方向前側の
車体側連結点と車輪側連結点を結んだ直線部分と、によ
って台形リンクが構成されている共に、トーコントロー
ルリンクは車輪側連結点が平面視,車体前後方向後側に
傾いて配置され、さらに、車幅方向内方に車輪支持部材
の瞬間回転中心が位置しているため、上記A型アームの
トーアウト方向の回動変位によって、車輪支持部材に対
してトーイン方向の回動変位が付与される。
【0045】また、ブッシュの一部の剛性を低く設定す
ることで、ブッシュ全体の前後剛性が低く設定される。
上記各異方性ブッシュの所定方向への剛性を低くする手
段は、例えば、請求項5に記載された構成によって実現
する。即ち、すぐりを設けた方向の剛性が低く設定され
る。
【0046】
【実施例】本発明の実施例について説明する。まず構成
を説明すると、図1に示すように、図示しない車輪が車
輪支持部材であるアクスル1へ回転自在に支持されてい
る。そのアクスル1の下部領域には、H型アームからな
るロアアーム2の外端部が連結している。
【0047】上記アクスル1とロアアーム2とは、車体
前後方向に並ぶ2点を介して連結していて、その各連結
点には、それぞれブッシュ3が介装され所定方向に揺動
可能となっている。上記各ブッシュ3は、それぞれ、図
2に示すように、外筒3aと内筒3bとが所定間隔をあ
けて入れ子状に配置され、その外筒3aと内筒3bとの
間にゴム体からなるブッシュ本体3cが介装されて構成
されていて、ともに、軸を車体前後方向に向けた状態
で、外筒3a側が、ロアアーム2に一体的に固定されて
いると共に、内筒3b側が、取付けボルトを介してアク
スル1の下部に連結している。
【0048】また、上記ロアアーム2は、車幅方向内方
に延び、図示しないサスペンションメンバ等の車体側部
材に連結している。上記ロアアーム2と車体側部材と
は、車体前後方向に並ぶ2点を介して連結していて、そ
の各連結点には、それぞれブッシュ3,4が介装されて
所定方向に揺動可能となっている。
【0049】上記各ブッシュ3,4は、それぞれ、外筒
3a,4aと内筒3b,4bとが所定間隔をあけて入れ
子状に配置され、その外筒3a,4aと内筒3b,4b
との間にゴム体からなるブッシュ本体3c,4cが介装
されて構成されていて、共に、軸を車体前後方向に向け
た状態で、外筒3a,4a側が、ロアアーム2に一体的
に固定されていると共に、内筒3b,4b側が、取付け
ボルトを介して図示しない車体側部材に連結している。
【0050】ここで、上記車体側の一対のブッシュ3,
4のうち、車体前後方向前側のブッシュ4には、異方性
ブッシュが採用されている。この異方性ブッシュ4は、
図2に示すように、内筒4bに対して、車幅方向外方且
つ上方、及び車幅方向内方且つ下方位置のブッシュ本体
4c位置に、すぐり5が形成されている。これによっ
て、該異方性ブッシュ4は、車幅方向外方に向けて上向
きとなる傾斜方向に沿った径方向の剛性が低く設定され
ると共に、全体としての車体前後方向の剛性も低く設定
されることになる。
【0051】なお、内筒4bに対して、車幅方向外方且
つ下方、及び車幅方向内方且つ上方位置のブッシュ本体
4c位置には、それぞれ補強板6が埋設されて、ブッシ
ュ3として最小限必要な剛性を確保している。また、上
記アクスル1の上部領域と車体側部材とが、車幅方向に
延在しIアームからなるアッパアーム7を介して揺動可
能に連結している。
【0052】そして、車体前後方向に向けた揺動軸を中
心に上記ロアアーム2及びアッパアーム7が上下揺動す
ることで、アクスル1及び車輪がバウンド・リバウンド
可能となっている。上記のような構成の後輪懸架装置で
は、フート・ブレーキ等によって、車輪の接地面に車体
前後方向後方に向かう制動力が入力されると、該入力に
よってワインドアップ方向のモーメントが発生する。こ
のモーメントによって、ロアアーム2に対して、車体前
後方向前側部分を下方に押し下げると共に車体前後方向
後側武運を上方に押し上げる偶力が入力される。
【0053】このとき、ロアアーム2における車体前後
方向前側のブッシュ3,4に注目すると、上記ワインド
アップモーメントによってロアアーム2の車体前後方向
前側部分は下方に押し下げられるため、そのロアアーム
2と一体に固定されている外筒3a,4a側が下方に移
動し、相対的に内筒3b,4b側が上方に移動する。こ
のとき、車体側に介装された異方性ブッシュ4は車幅方
向外方且つ上方位置の剛性が低く設定されているので、
上記内筒4b側は相対的に上方に移動しつつ車幅方向外
方に移動する。
【0054】しかし、内筒4b側は車体側部材に取り付
けられているので、外筒4a側、即ちロアアーム2にお
ける車体前後方向前側の車体側部分が車幅方向内方に移
動する。これによって、ロアアーム2にトーイン方向の
回動変位が付与される。このロアアーム2に発生したト
ーイン方向の回動変位により、ロアアーム2の車体前後
方向前側且つ車輪側のブッシュ3を介して、アクスル1
の車体前後方向前側が車幅方向内方に変位して、該アク
スル1にトーイン方向の回動変位が発生する。
【0055】なお、車体前後方向前側における車体側の
ブッシュ4(異方性ブッシュ)が撓む際に車輪側のブッ
シュ3も撓むが、車体側の異方性ブッシュ4の撓み量の
方が大きいので、全体としてアクスル1の車体前後方向
前側が車幅方向内方に変位する。このように、ブレーキ
ペダルを踏むことによってフート・ブレーキを掛ける
と、アクスル1、さらには後輪にトーイン方向のトー変
化が生じて、制動時の車両安定性が向上する。
【0056】また、車両走行時に、後輪が路面の突起部
を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後方向の
力が入力された場合を考えると、ロアアーム2に入力さ
れるワインドアップモーメントは、上記と逆方向とな
る。即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力による作
用により、ロアアーム2における車体前後方向前側部分
にあっては、車幅方向外方且つ上方に向かう力が入力さ
れるが、車体側の異方性ブッシュ4では、すぐり5を設
けることで、ブッシュ全体の剛性が低く設定されている
と共に撓み方向がすぐり5形成方向であるため、該ブッ
シュを従来よりも多く撓ませることができて、サスペン
ションの前後剛性を従来よりも低くされている。即ち、
従来に比べて、ハーシュネスの軽減上,有利となる。
【0057】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ4
における外筒4a側がロアアーム2に固定されると共に
内筒4b側車体側部材に連結した構成で説明している
が、該異方性ブッシュ4における内筒4b側がロアアー
ム2に取付けボルトを介して連結されると共に外筒4a
側車体側部材に固定された構成であってもよい。この場
合には、異方性ブッシュ4に着目したとき、上記のよう
な制動によってロアアーム2の車体前後方向前側が押し
下げられると、該ロアアーム2と一体的になっている内
筒4bが下方に移動するが、下方且つ車幅方向内側の剛
性が低いために、該内筒4bは下方に移動しつつ車幅方
向内方に移動して、上記と同様な作用・効果を発揮す
る。
【0058】次に、第2実施例について説明する。第1
実施例と同様な部材には同一の符号を付して説明する。
第2実施例の後輪懸架装置の基本構成は、上記第1実施
例と同様である。但し、ロアアーム2における車体側取
付け点に介装されるブッシュの構成が相違するだけであ
る。
【0059】即ち、ロアアーム2における車体側取付け
点に介装される一対のブッシュのうち、車体前後方向前
側のブッシュ3には、従来と同様な剛性を等方的に構成
したブッシュ3を採用し、且つ、車体前後方向後側のブ
ッシュに対して、上記第1実施例で説明した異方性ブッ
シュ4を採用した例である。上記のような構成の後輪懸
架装置では、フート・ブレーキ等によって、車輪の接地
面に車体前後方向後方に向かう制動力が入力されると、
該入力によってワインドアップ方向のモーメントが発生
する。このモーメントによって、ロアアーム2に対し
て、車体前後方向前側部分を下方に押し下げると共に車
体前後方向後側部分を上方に押し上げる偶力が入力され
る。
【0060】このとき、ロアアーム2における車体前後
方向後側のブッシュ3に注目すると、上記ワインドアッ
プモーメントによってロアアーム2の車体前後方向後側
部分は上方に押し上げられるため、そのロアアーム2と
一体に固定されている外筒3a,4a側が上方に移動
し、相対的に内筒3b,4b側が下方に移動する。この
とき、車体側の異方性ブッシュ4は車幅方向内方且つ下
方位置の剛性が低く設定されているので、上記内筒4b
側は相対的に下方に移動しつつ車幅方向内方に移動す
る。
【0061】しかし、内筒4b側は車体側部材に取り付
けられているので、外筒4a側、即ちロアアーム2にお
ける車体前後方向後側の車体側部分が車幅方向外方に移
動する。これによって、ロアアーム2にトーイン方向の
回動変位が付与される。このロアアーム2に発生したト
ーイン方向の回動変位により、ロアアーム2の車体前後
方向後側且つ車輪側のブッシュ3を介して、アクスル1
の車体前後方向後側が車幅方向外方に変位して、該アク
スル1にトーイン方向の回動変位が発生する。
【0062】なお、車体前後方向後側における車体側の
ブッシュ4(異方性ブッシュ)が撓む際に車輪側のブッ
シュ3も撓むが、車体側の異方性ブッシュ4の撓み量の
方が大きいため、全体としてアクスル1の車体前後方向
後側が車幅方向外方に変位する。このように、ブレーキ
ペダルを踏むことでフート・ブレーキを掛けると、アク
スル1、さらには後輪にトーイン方向のトー変化が生じ
て、制動時の車両安定性が向上する。
【0063】また、車両走行時に、後輪が路面の突起部
を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後方向の
力が入力された場合を考えると、ロアアーム2に入力さ
れるワインドアップモーメントは、上記と逆方向とな
る。即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力による作
用により、ロアアーム2における車体前後方向後側部分
にあっては、車幅方向内方且つ下方に向かう力が入力さ
れるが、車体側の異方性ブッシュ4では、すぐり5を設
けることで、ブッシュ3全体の剛性が低く設定されてい
ると共に撓み方向がすぐり5形成方向であるため、該ブ
ッシュ3を従来よりも多く撓ませることができて、サス
ペンションの前後剛性を従来よりも低くされている。即
ち、従来に比べて、ハーシュネスの軽減上,有利とな
る。
【0064】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ4
における外筒4a側がロアアーム2に固定されると共に
内筒4b側車体側部材に連結した構成で説明している
が、該異方性ブッシュ4における内筒4b側がロアアー
ム2に取付けボルトを介して連結されると共に外筒4a
側車体側部材に固定された構成であってもよい。この場
合には、異方性ブッシュ4に着目したとき、上記のよう
な制動によってロアアーム2の車体前後方向後側が押し
上げられると、該ロアアーム2と一体的になっている内
筒4bが上方に移動するが、上方且つ車幅方向外側の剛
性が低いために、該内筒4bは上方に移動しつつ車幅方
向外方に移動して、上記と同様な作用・効果を発揮す
る。
【0065】また、上記第1実施例、又は、第2実施例
では、車体側のブッシュにおける車体前後方向前側,若
しくは後側のみに、上記構成の異方性ブッシュを採用し
た例で説明しているが、車体前後方向両側のブッシュ
に、ともに、上記構成の異方性ブッシュを採用してもよ
い。この場合には、上記両作用・効果の相乗によって、
制動時にさらにトーイン方向のトー変化をアクスル1及
び車輪に付与可能となると同時に、ハーシュネスの軽減
上,更に有利となる。
【0066】次に、第3実施例について説明する。な
お、上記実施例と同様な部材については同一を符号を付
ける。第3実施例の後輪懸架装置の基本構成は、上記第
1実施例と同様であり、ブッシュの構成のみが相違して
いる。即ち、図3に示すように、車体前後方向前側且つ
車輪側のブッシュに異方性ブッシュ8を採用すると共
に、それ以外のブッシュには、従来と同様な剛性が等方
的に構成されているブッシュ3を採用している。
【0067】上記異方性ブッシュ8は、図3に示すよう
に、従来と同様な基本構成で、内筒8bと外筒8aとの
間にゴム体からなるブッシュ本体8cが介装されて構成
されてなり、該ブッシュ本体8cにおける、内筒8bに
対して、車幅方向内方且つ上方、及び車幅方向外方且つ
下方位置に、すぐり9が設けられている。これによっ
て、該異方性ブッシュ8は、車幅方向外方に向けて下向
きとなる傾斜方向に沿った径方向の剛性が低く設定さ
る。
【0068】なお、内筒8bに対して、車幅方向外方且
つ上方、及び車幅方向内方且つ下方位置のブッシュ本体
8c位置には、それぞれ補強板10が埋設されて、ブッ
シュとして必要な剛性を確保している。上記のような構
成の後輪懸架装置では、フート・ブレーキ等によって、
車輪の接地面に車体前後方向後方に向かう制動力が入力
されると、該入力によってワインドアップ方向のモーメ
ントが発生する。このモーメントによって、アクスル1
に対して、車体前後方向前側部分を下方に押し下げると
共に車体前後方向後側部分を上方に押し上げる偶力が入
力される。
【0069】このとき、ロアアーム2における車体前後
方向前側のブッシュ3,8に注目すると、上記ワインド
アップモーメントによって相対的にロアアーム2の車体
前後方向前側部分は上方に押し上げられるため、そのロ
アアーム2と一体に固定されている外筒3a,8a側が
上方に移動し、内筒3b,8b側が下方に移動する。こ
のとき、車体側の異方性ブッシュ8は車幅方向内方且つ
内方位置の剛性が低く設定されているので、上記内筒8
b側は相対的に下方に移動しつつ車幅方向内方に移動す
る。
【0070】このとき、内筒8b側はアクスル1に取り
付けられているので、アクスル1における車体前後方向
前側部分が車幅方向内方に移動する。これによって、ア
クスル1にトーイン方向の回動変位が発生する。なお、
車体前後方向前側における車輪側のブッシュ8(異方性
ブッシュ)が撓む際に車体側のブッシュ3も撓むが、車
輪側の異方性ブッシュ8の撓み量の方が大きいので、全
体としてアクスル1の車体前後方向前側が車幅方向内方
に変位する。
【0071】このように、ブレーキペダルを踏むことで
フート・ブレーキを掛けると、アクスル1、さらには後
輪にトーイン方向のトー変化が生じて、制動時の車両安
定性が向上する。ここで、上記ワインドアップモーメン
トによって、ロアアーム2の車体前後方向前側部分に
は、相対的に上方に向かう力が入力されると共に、上記
アクスル1のトーイン変化によって車幅方向内方に向か
う力が入力される。このために、ロアアーム2の車体前
後方向前側部分には、全体として、車幅方向内方かつ上
方に向かう力が入力されることになる。このとき、本実
施例の異方性ブッシュ8では、車幅方向内方かつ上方に
向かう径方向の剛性が高く設定されているため、該ワイ
ンドアップモーメントに対する剛性が高くなり、制動時
のばね下振動等を防止する上で有利となっている。
【0072】また、車両走行時に、後輪が路面の突起部
を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後方向の
力が入力された場合を考えると、ロアアーム2に入力さ
れるワインドアップモーメントは、上記と逆方向とな
る。即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力による作
用により、ロアアーム2における車体前後方向前側部分
にあっては、車幅方向外方且つ下方に向かう力が入力さ
れるが、車体側の異方性ブッシュ8では、すぐり9を設
けることで、ブッシュ3全体の剛性が低く設定されてい
るため、該ブッシュ8を従来よりも多く撓ませることが
できて、サスペンションの前後剛性を従来よりも低くさ
れている。即ち、従来に比べて、ハーシュネスの軽減
上,有利となる。
【0073】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ8
における外筒8a側がロアアーム2に固定されると共に
内筒8b側がアクスル1に連結した構成で説明している
が、該異方性ブッシュ8における内筒8b側がロアアー
ム2に取付けボルトを介して連結されると共に外筒8a
側がアクスル1に固定された構成であってもよい。この
場合には、異方性ブッシュ8に着目したとき、上記のよ
うな制動によってロアアーム2の車体前後方向前側が押
し上げられると、該ロアアーム2と一体的になっている
内筒8bが上方に移動するが、上方且つ車幅方向外側の
剛性が低いために、該内筒8bは相対的に上方に移動し
つつ車幅方向外方に移動する。これによって、ロアアー
ム2から見ると、制動時にアクスル1の車体前後方向前
側が車幅方向内方に変位するなど、上記と同様な作用・
効果を発揮する。
【0074】次に、第4実施例について説明する。な
お、上記実施例と同様な部材には同一の符号を付ける。
第4実施例の後輪懸架装置の基本構成は、上記第3実施
例と同様であり、ブッシュの構成のみが相違している。
即ち、車体前後方向後側且つ車輪側のブッシュ8に異方
性ブッシュを採用すると共に、それ以外のブッシュ3に
は、従来と同様な剛性が等方的に構成されているブッシ
ュ3を採用している。
【0075】上記異方性ブッシュ8は、第3実施例で説
明した異方性ブッシュ8を同一構造で(図3参照)、内
筒8bと外筒8aとの間にゴム体からなるブッシュ本体
8cが介装されて構成されてなり、該ブッシュ本体8c
における、内筒8bに対して、車幅方向内方且つ下方、
及び車幅方向外方且つ上方位置に、すぐり9が設けられ
ている。これによって、該異方性ブッシュ8は、車幅方
向外方に向けて上向きとなる傾斜方向に沿った径方向の
剛性が低く設定されている。
【0076】上記のような構成の後輪懸架装置では、フ
ート・ブレーキ等によって、車輪の接地面に車体前後方
向後方に向かう制動力が入力されると、該入力によって
ワインドアップ方向のモーメントが発生する。このモー
メントによって、アクスル1に対して、車体前後方向前
側を下方に押し下げると共に車体前後方向後側は上方に
押し上げる偶力が入力される。
【0077】このとき、ロアアーム2における車体前後
方向後側のブッシュ3に注目すると、上記ワインドアッ
プモーメントによってロアアーム2の車体前後方向後側
部分は相対的に下方に押し下げられるため、そのロアア
ーム2と一体に固定されている外筒3a,8a側が下方
に移動し、内筒3b,8b側が上方に移動する。このと
き、車体側の異方性ブッシュ8は車幅方向外方且つ上方
位置の剛性が低く設定されているので、上記内筒8b側
は相対的に上方に移動しつつ車幅方向外方に移動する。
【0078】このとき、内筒8b側はアクスル1に取り
付けられているので、アクスル1における車体前後方向
後側部分が車幅方向外方に移動する。これによって、ア
クスル1にトーイン方向の回動変位が発生する。なお、
車体前後方向後側における車輪側のブッシュ8(異方性
ブッシュ)が撓む際に車体側のブッシュ3も撓むが、車
輪側の異方性ブッシュ8の撓み量の方が大きいので、全
体としてアクスル1の車体前後方向後側が車幅方向外方
に変位する。
【0079】このように、ブレーキペダルを踏むことで
フート・ブレーキを掛けると、アクスル1、さらには後
輪にトーイン方向のトー変化が生じて、制動時の車両安
定性が向上する。ここで、上記ワインドアップモーメン
トによって、ロアアーム2の車体前後方向後側部分に
は、下方に向かう力が入力されると共に、上記アクスル
1のトーイン変化によって車幅方向外方に向かう力が入
力される。このために、ロアアーム2の車体前後方向前
側部分には、全体として、車幅方向外方かつ下方に向か
う力が入力されることになる。このとき、本実施例の異
方性ブッシュ8では、車幅方向外方かつ上方に向かう径
方向の剛性が高く設定されているため、該ワインドアッ
プモーメントに対する剛性が高くなり、制動時のばね下
振動等を防止する上で有利となっている。
【0080】また、車両走行時に、後輪が路面の突起部
を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後方向の
力が入力された場合を考えると、ロアアーム2に入力さ
れるワインドアップモーメントは、上記と逆方向とな
る。即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力による作
用により、ロアアーム2における車体前後方向後側部分
にあっては、車幅方向内方且つ上方に向かう力が入力さ
れるが、車体側の異方性ブッシュ8では、すぐり9を設
けることで、ブッシュ全体の剛性が低く設定されている
ため、該ブッシュ8を従来よりも多く撓ませることがで
きて、サスペンションの前後剛性を従来よりも低くされ
ている。即ち、従来に比べて、ハーシュネスの軽減上,
有利となる。
【0081】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ8
における外筒8a側がロアアーム2に固定されると共に
内筒8b側がアクスル1に連結した構成で説明している
が、該異方性ブッシュ8における内筒8b側がロアアー
ム2に取付けボルトを介して連結されると共に外筒8a
側アクスル1に固定された構成であってもよい。この場
合には、異方性ブッシュ8に着目したとき、上記のよう
な制動によってロアアーム2の車体前後方向前側が押し
下げられると、該ロアアーム2と一体的になっている内
筒8bが下方に移動するが、上方且つ車幅方向内側の剛
性が低いために、該内筒8bは相対的に下方に移動しつ
つ車幅方向内方に移動する。これによって、ロアアーム
2から見ると、制動時にアクスル1の車体前後方向後側
が車幅方向外方に変位するなど、上記と同様な作用・効
果を発揮する。
【0082】なお、上記第3,第4実施例では、車輪側
の一対のブッシュのうちの一方にのみ異方性ブッシュ8
を採用した例で説明しているが、車輪側の一対のブッシ
ュを共に上記説明した異方性ブッシュ8としてもよい。
更に、上記第1,第2実施例のように車体側ブッシュに
対しても第1,第2実施例に記載された異方性ブッシュ
4を採用して、8個全部のブッシュを異方性ブッシュ
4,8としてもよい。
【0083】次に、第5実施例について説明する。まず
構成を説明すると、図4に示すように、図示しない車輪
が車輪支持部材であるアクスル20に回転自在に支持さ
れている。そのアクスル20の下部領域に、A型アーム
からなるロアアーム21の一端部が上下揺動可能に連結
している。そのロアアーム21は、車幅方向内方に延
び、車体前後方向で並ぶ一対の連結点を介して図示しな
い車体側部材に連結している。
【0084】そのロアアーム21と車体側部材との上記
前後の連結点には、それぞれブッシュ22,23が介装
されて揺動可能となっている。そのブッシュ22,23
は、それぞれ、所定間隔をあけて入れ子状に配置された
内筒23b及び外筒23aと、両筒間に介装されたゴム
体からなるブッシュ本体23cから構成されていて、外
筒23a側がロアアーム21に一体的に固定されている
と共に、内筒23b側が取付けボルトを介して車体側部
材に連結している。
【0085】さらに、上記ブッシュ22,23のうち車
体前後方向前側に設けられたブッシュ23は、すぐり2
4によって異方性ブッシュ23となっている。即ち、図
5に示すように、内筒23bに対して車幅方向内方且つ
上方、及び車幅方向外方且つ下方位置にそれぞれ、すぐ
り24を設けることで、車幅方向外方に向けて下向きと
なる傾斜方向に沿った径方向の剛性が低く設定されてい
る。
【0086】また、アクスル20の上部領域と車体部材
とが、上下揺動可能に、Iアームからなるキャンバコン
トロールアーム25を介して連結されている。また、ア
クスル20の上部領域と上記ロアアーム21とが、ワイ
ンドアップリンク26を介して連結されている。また、
アクスル20から車体前後方向後方に向けて腕が延びて
いると共に、該腕の先端部に対して上下揺動可能に、ト
ーコントロールリンク26が連結している。該トーコン
トロールリンク26は、車幅方向内方に延び、その内端
部を軸を上下に向けたブッシュ22を介して車体側部材
に連結している。
【0087】このトーコントロールリンク26は、図6
に示すように、車輪側端部の方が車体側端部よりも車幅
方向前側に位置することで、軸線が車体前後方向に傾い
ている。また、ロアアーム21における車体前後方向後
側の車体側取付け点と車輪側取付け点とを通る直線L1
とトーコントロールリンク26の軸線に沿った直線L2
とが、平面視、車幅方向外方で交差するように上記ロア
アーム21は配置されている。
【0088】上記のような構成の後輪懸架装置では、フ
ート・ブレーキ等によって、車輪の接地面に車体前後方
向後方に向かう制動力が入力されると、該入力によって
ワインドアップ方向のモーメントが発生する。このモー
メントによって、ロアアーム21に対して、車体前後方
向前側を下方に押し下げると共に車体前後方向後側は上
方に押し上げる偶力が入力される。
【0089】このとき、ロアアーム21における車体前
後方向前側に介装された異方性ブッシュ23に注目する
と、上記ワインドアップモーメントによってロアアーム
21の車体前後方向前側部分は下方に押し下げられるた
め、そのロアアーム21と一体に固定されている外筒2
3a側が下方に移動し、相対的に内筒23b側が上方に
移動する。
【0090】このとき、車体側の異方性ブッシュ23は
車幅方向内方且つ上方位置の剛性が低く設定されている
ので、上記内筒23b側は相対的に上方に移動しつつ車
幅方向内方に移動する。しかし、内筒23b側は車体側
部材に取り付けられているので、外筒23a側、即ちロ
アアーム21における車体前後方向前側の車体側部分が
車幅方向外方に移動する。これによって、ロアアーム2
1にトーアウト方向の回動変位が付与される。
【0091】このロアアーム21に発生したトーアウト
方向の回動変位により、図7に示すように、ロアアーム
21における車輪側取付け点は、車体前後方向後側の車
体側取付け点を中心にして車体前後方向後方に回動変位
し、これによって、アクスル20を介してトーコントロ
ールリンク26の車輪側取付け点も車体側取付け点を中
心にして車体前後方向方向に向けて回動変位する。
【0092】このとき、車体側部材と、トーコントロー
ルリンクと、アクスル20と、ロアアーム21における
車体前後方向後側の車体側連結点と車輪側連結点を結ん
だ直線部分と、によって台形リンクが構成されている共
に、トーコントロールリンクは車輪側連結点が平面視,
車体前後方向前側に傾いて配置され、さらに、車幅方向
外方にアクスル20の瞬間回転中心C1が位置している
ため、上記ろアアーム21のトーアウト方向の回動変位
によって、アクスル20に対してトーイン方向の回動変
位が付与される。
【0093】このように、ブレーキペダルを踏むことで
フート・ブレーキを掛けると、アクスル20、さらには
後輪にトーイン方向のトー変化が生じて、制動時の車両
安定性が向上する。また、車両走行時に、後輪が路面の
突起部を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後
方向の力が入力された場合を考えると、ロアアーム21
に入力されるワインドアップモーメントは、上記と逆方
向となる。
【0094】即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力
による作用により、ロアアーム21における車体前後方
向前側部分にあっては、車幅方向外方且つ上方に向かう
力が入力されるが、車体側の異方性ブッシュ23では、
すぐり24を設けることで、ブッシュ22全体の剛性が
低く設定されているため、該ブブッシュ22を従来より
も多く撓ませることができて、サスペンションの前後剛
性を従来よりも低くされている。即ち、従来に比べて、
ハーシュネスの軽減上,有利となる。
【0095】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ2
3における外筒23a側がロアアーム21に固定される
と共に内筒23b側車体側部材に連結した構成で説明し
ているが、該異方性ブッシュ23における内筒23b側
がロアアーム21に取付けボルトを介して連結されると
共に外筒23a側車体側部材に固定された構成であって
もよい。
【0096】この場合には、異方性ブッシュ23に着目
したとき、上記のような制動によってロアアーム21の
車体前後方向前側が押し下げられると、該ロアアーム2
1と一体的になっている内筒23bが下方に移動する
が、下方且つ車幅方向外側の剛性が低いために、該内筒
23bは下方に移動しつつ車幅方向外方に移動して、上
記と同様な作用・効果を発揮する。
【0097】また、上記実施例では、ワインドアップリ
ンク26を、アクスル20の上部領域とロアアーム21
との間に架設しているが、ロアアーム21とトーコント
ロールリンク26、又はロアアーム21とキャンバコン
トロールアーム25を連結するように架設しても構わな
い。次に、第6実施例について説明する。なお、上記第
5実施例と同様な部材には同一の符号を付ける。
【0098】第6実施例の基本構成は、第5実施例と同
様であるが、ロアアーム21と車体側部材とを連結する
ブッシュの構成のみが相違している。即ち、車体前後方
向前側に介装されるブッシュには、従来と同様な剛性が
等方的なブッシュ22を採用し、且つ、車体前後方向後
側に介装されるブッシュには、上記第5実施例で説明し
たものと同様な(図5参照)、車幅方向外方に向けて下
向きとなる傾斜方向に沿った径方向の剛性が低く設定さ
れている、異方性ブッシュ23を介装したものである。
【0099】上記のような構成の後輪懸架装置では、フ
ート・ブレーキ等によって、車輪の接地面に車体前後方
向後方に向かう制動力が入力されると、該入力によって
ワインドアップ方向のモーメントが発生する。このモー
メントによって、ロアアーム21に対して、車体前後方
向前側を下方に押し下げると共に車体前後方向後側は上
方に押し上げる偶力が入力される。
【0100】このとき、ロアアーム21における車体前
後方向後側に介装された異方性ブッシュ23に注目する
と、上記ワインドアップモーメントによってロアアーム
21の車体前後方向後側部分は上方に押し上げられるた
め、そのロアアーム21と一体に固定されている外筒2
3a側が上方に移動し、相対的に内筒23b側が下方に
移動する。
【0101】このとき、車体側の異方性ブッシュ23は
車幅方向外方且つ下方位置の剛性が低く設定されている
ので、上記内筒23b側は相対的に下方に移動しつつ車
幅方向外方に移動する。しかし、内筒23b側は車体側
部材に取り付けられているので、外筒23a側、即ちロ
アアーム21における車体前後方向前側の車体側部分が
車幅方向内方に移動する。これによって、ロアアーム2
1にトーアウト方向の回動変位が付与される。
【0102】このロアアーム21に発生したトーアウト
方向の回動変位により、図8に示すように、ロアアーム
21における車輪側取付け点は、車体前後方向前側の車
体側取付け点を中心にして車体前後方向後方に回動変位
し、これによって、アクスル20を介してトーコントロ
ールリンク26の車輪側取付け点も車体側取付け点を中
心にして車体前後方向方向に向けて回動変位する。
【0103】このとき、車体側部材と、トーコントロー
ルリンク26と、アクスル20と、ロアアーム21にお
ける車体前後方向後側の車体側連結点と車輪側連結点を
結んだ直線部分と、によって台形リンクが構成されてい
る共に、トーコントロールリンク26は車輪側連結点が
平面視,車体前後方向前側に傾いて配置され、さらに、
車幅方向外方にアクスル20の瞬間回転中心が位置して
いるため、上記ロアアーム21のトーアウト方向の回動
変位によって、アクスル20に対してトーイン方向の回
動変位が付与される。
【0104】このように、ブレーキペダルを踏むことで
フート・ブレーキを掛けると、アクスル20、さらには
後輪にトーイン方向のトー変化が生じて、制動時の車両
安定性が向上する。また、車両走行時に、後輪が路面の
突起部を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後
方向の力が入力された場合を考えると、ロアアーム21
に入力されるワインドアップモーメントは、上記と逆方
向となる。
【0105】即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力
による作用により、ロアアーム21における車体前後方
向前側部分にあっては、車幅方向外方且つ上方に向かう
力が入力されるが、車体側の異方性ブッシュ23では、
すぐり24を設けることで、ブッシュ22全体の剛性が
低く設定されているため、該ブブッシュ22を従来より
も多く撓ませることができて、サスペンションの前後剛
性を従来よりも低くされている。即ち、従来に比べて、
ハーシュネスの軽減上,有利となる。
【0106】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ2
3における外筒23a側がロアアーム21に固定される
と共に内筒23b側を車体側部材に連結した構成で説明
しているが、該異方性ブッシュ23における内筒23b
側がロアアーム21に取付けボルトを介して連結される
と共に外筒23a側車体側部材に固定された構成であっ
てもよい。
【0107】この場合には、異方性ブッシュ23に着目
したとき、上記のような制動によってロアアーム21の
車体前後方向前側が押し上げられると、該ロアアーム2
1と一体的になっている内筒23bが上方に移動する
が、上方且つ車幅方向内側の剛性が低いために、該内筒
23bは上方に移動しつつ車幅方向内方に移動して、上
記と同様な作用・効果を発揮する。
【0108】また、第5,第6実施例では、ロアアーム
21における車輪側取付け点のうち一方にのみ上記異方
性ブッシュ23を採用した例で説明しているが、前後両
車輪側取付け点に対して、共に上記異方性ブッシュ23
を採用してもよい。次に、第7実施例について説明す
る。なお、第5実施例と同様な部材には同一の符号を付
ける。
【0109】第7実施例の基本構成は、第5実施例と同
様であり、ロアアーム21及びトーコントロールリンク
26の配置位置、及びロアアーム21における車体前後
方向前側の車体側連結点に介装されるブッシュの構成が
相違している。即ち、ロアアーム21における車体前後
方向前側の車体側連結点に介装されるブッシュの構成
は、図9に示すように、内筒30bに対して、車幅方向
外方且つ上方、及び車幅方向内方且つ下方位置に、それ
ぞれすぐり31が形成されることで、車幅方向外方に向
けて上向きとなる傾斜方向に沿った径方向の剛性が低く
設定されている。
【0110】また、トーコントロールリンク26は、図
10に示すように、車輪側端部の方が車体側端部よりも
車幅方向後側に位置することで、軸線が車体前後方向に
傾いている。また、ロアアーム21における車体前後方
向後側の車体側取付け点と車輪側取付け点とを通る直線
とトーコントロールリンク26の軸線に沿った直線と
が、平面視、車幅方向内方で交差するように上記ロアア
ーム21は配置されている。
【0111】上記のような構成の後輪懸架装置では、フ
ート・ブレーキ等によって、車輪の接地面に車体前後方
向後方に向かう制動力が入力されると、該入力によって
ワインドアップ方向のモーメントが発生する。このモー
メントによって、ロアアーム21に対して、車体前後方
向前側を下方に押し下げると共に車体前後方向後側は上
方に押し上げる偶力が入力される。
【0112】このとき、ロアアーム21における車体前
後方向前側に介装された異方性ブッシュ30に注目する
と、上記ワインドアップモーメントによってロアアーム
21の車体前後方向前側部分は下方に押し下げられるた
め、そのロアアーム21と一体に固定されている外筒3
0a側が下方に移動し、相対的に内筒30b側が上方に
移動する。
【0113】このとき、車体側の異方性ブッシュ30は
車幅方向外方且つ上方位置の剛性が低く設定されている
ので、上記内筒30b側は相対的に上方に移動しつつ車
幅方向外方に移動する。しかし、内筒30b側は車体側
部材に取り付けられているので、外筒30a側、即ちロ
アアーム21における車体前後方向前側の車体側部分が
車幅方向内方に移動する。これによって、ロアアーム2
1にトーイン方向の回動変位が付与される。
【0114】このロアアーム21に発生したトーイン方
向の回動変位により、図11に示すように、ロアアーム
21における車輪側取付け点は、車体前後方向後側の車
体側取付け点を中心にして車体前後方向前方に回動変位
し、これによって、アクスル20を介してトーコントロ
ールリンク26の車輪側取付け点も車体側取付け点を中
心にして車体前後方向前方に向けて回動変位する。
【0115】このとき、車体側部材と、トーコントロー
ルリンクと、アクスル20と、ロアアーム21における
車体前後方向後側の車体側連結点と車輪側連結点を結ん
だ直線部分と、によって台形リンクが構成されている共
に、トーコントロールリンクは車輪側連結点が平面視,
車体前後方向後側に傾いて配置され、さらに、車幅方向
内方にアクスル20の瞬間回転中心が位置しているた
め、上記A型アームのトーイン方向の回動変位によっ
て、アクスル20に対してトーイン方向の回動変位が付
与される。
【0116】このように、ブレーキペダルを踏むことで
フート・ブレーキを掛けると、アクスル20、さらには
後輪にトーイン方向のトー変化が生じて、制動時の車両
安定性が向上する。また、車両走行時に、後輪が路面の
突起部を乗り越すなどして、ホィールセンタに車体前後
方向の力が入力された場合を考えると、ロアアーム21
に入力されるワインドアップモーメントは、上記と逆方
向となる。
【0117】即ち、上記ホィールセンタへの前後力入力
による作用により、ロアアーム21における車体前後方
向前側部分にあっては、車幅方向外方且つ上方に向かう
力が入力されるが、車体側の異方性ブッシュ30では、
すぐり31を設けることで、ブッシュ22全体の剛性が
低く設定されていると共に撓み方向がすぐり31形成方
向であるため、該ブブッシュ22を従来よりも多く撓ま
せることができて、サスペンションの前後剛性を従来よ
りも低くされている。即ち、従来に比べて、ハーシュネ
スの軽減上,有利となる。
【0118】なお、上記実施例では、異方性ブッシュ3
0における外筒30a側がロアアーム21に固定される
と共に内筒30b側車体側部材に連結した構成で説明し
ているが、該異方性ブッシュ30における内筒30b側
がロアアーム21に取付けボルトを介して連結されると
共に外筒30a側車体側部材に固定された構成であって
もよい。
【0119】この場合には、異方性ブッシュ30に着目
したとき、上記のような制動によってロアアーム21の
車体前後方向前側が押し下げられると、該ロアアーム2
1と一体的になっている内筒30bが下方に移動する
が、下方且つ車幅方向内側の剛性が低いために、該内筒
30bは下方に移動しつつ車幅方向内方に移動して、上
記と同様な作用・効果を発揮する。
【0120】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の後輪
懸架装置では、ブッシュの構造を変更するという簡単な
手段によって、制動の際に、後輪にトーイン変化を発生
させて、制動時の車両安定性を図ることが可能になると
いう効果がある。同時に、ブッシュの一部の剛性を低く
設定することで、サスペンションの前後剛性を低く設定
されてハーシュネス等を低減し車両の乗り心地を向上す
ることもできるという効果がある。
【0121】上記ブッシュの剛性を低く設定する手段と
しては、例えば、請求項5に記載された手段を採用する
ことで容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例の後輪懸架装置を示す
概略斜視図である。
【図2】本発明に係る第1実施例の異方性ブッシュを示
す側面図である。
【図3】本発明に係る第3実施例の異方性ブッシュを示
す側面図である。
【図4】本発明に係る第5実施例の後輪懸架装置を示す
概略斜視図である。
【図5】本発明に係る第5実施例の異方性ブッシュを示
す側面図である。
【図6】本発明に係る第5実施例のロアアームとトーコ
ントロールリンクとの位置関係を示す概略平面図であ
る。
【図7】本発明に係る第5実施例の制動時の挙動を示す
図である。
【図8】本発明に係る第6実施例の制動時の挙動を示す
図である。
【図9】本発明に係る第7実施例の異方性ブッシュを示
す側面図である。
【図10】本発明に係る第7実施例のロアアームとトー
コントロールリンクとの位置関係を示す概略平面図であ
る。
【図11】本発明に係る第7実施例の制動時の挙動を示
す図である。
【図12】従来の後輪懸架装置を示す斜視図である。
【図13】従来の後輪懸架装置における制動時の挙動を
示す図である。
【符号の説明】
1 アクスル 2 ロアアーム(H型アーム) 3 ブッシュ 4 異方性ブッシュ 4a 外筒 4b 内筒 4c ブッシュ本体 5 すぐり 8 異方性ブッシュ 9 すぐり 26 トーコントロールリンク 23 異方性ブッシュ 24 すぐり

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪支持部材の下部領域と車体側部材と
    が、車幅方向に延在するH型アームによって連結され、
    そのH型アームと車輪支持部材、及びH型アームと車体
    側部材は、それぞれ車体前後方向で並ぶ2点で、揺動軸
    を車体前後方向に向けたブッシュを介して揺動可能に連
    結されている後輪懸架装置において、 上記H型アームと車体側部材との連結点に介装されるブ
    ッシュの少なくとも一方を、車幅方向外方に向けて上向
    きとなる傾斜方向に沿った径方向の剛性を低く設定した
    異方性ブッシュで構成したことを特徴とする後輪懸架装
    置。
  2. 【請求項2】 車輪支持部材の下部領域と車体側部材と
    が、車幅方向に延在するH型アームによって連結され、
    そのH型アームと車輪支持部材、及びH型アームと車体
    側部材は、それぞれ車体前後方向で並ぶ2点で、揺動軸
    を車体前後方向に向けたブッシュを介して揺動可能に連
    結されている後輪懸架装置において、 上記H型アームと車輪支持部材との連結点に介装される
    ブッシュの少なくとも一方を、車幅方向外方に向けて上
    向きとなる傾斜方向に沿った径方向の剛性を低く設定し
    た異方性ブッシュで構成したことを特徴とする後輪懸架
    装置。
  3. 【請求項3】 車輪支持部材の下部領域と車体側部材と
    が、車幅方向に延在するA型アームによって連結され、
    また、上記車輪支持部材と車体側部材とが、該A型アー
    ムよりも車体前後方向後方位置で、車幅方向に延在する
    トーコントロールリンクによって連結されている後輪懸
    架装置において、 A型アームと車体側部材とを連結する車体前後方向で並
    ぶ2点のうち、一方の連結点に介装されるブッシュを、
    車幅方向外方に向けて下向きとなる傾斜方向に沿った径
    方向の剛性を低く設定した異方性ブッシュで構成し、か
    つ、トーコントロールリンクの軸線を、車幅方向外方に
    向けて車体前後方向前側に傾けると共に上記A型アーム
    と車体側部材とを連結する2点のうち他方の連結点と車
    輪側取付け点とを通る直線と、上記トーコントロールリ
    ンクの軸線を通る直線とが、平面視,車幅方向車輪側で
    交差するようにトーコントロールリンク及びA型アーム
    を配置したことを特徴とする後輪懸架装置。
  4. 【請求項4】 車輪支持部材の下部領域と車体側部材と
    が、車幅方向に延在するA型アームによって連結され、
    また、上記車輪支持部材と車体側部材とが、該A型アー
    ムよりも車体前後方向後方位置で、車幅方向に延在する
    トーコントロールリンクによって連結されている後輪懸
    架装置において、 A型アームと車体側部材とを連結する車体前後方向で並
    ぶ2点のうち、一方の連結点に介装されるゴムブッシュ
    を、車幅方向外方に向けて上向きとなる傾斜方向に沿っ
    た径方向の剛性を低く設定した異方性ブッシュで構成
    し、かつ、トーコントロールリンクの軸線を、車幅方向
    外方に向けて車体前後方向後側に傾けると共に上記A型
    アームと車体側部材とを連結する2点のうち他方の連結
    点と車輪側取り取付け点とを通る直線と、上記トーコン
    トロールリンクの軸線を通る直線とが、平面視,車幅方
    向車体側で交差するようにトーコントロールリンク及び
    A型アームを配置したことを特徴とする後輪懸架装置。
  5. 【請求項5】 上記異方性ブッシュは、弾性体であるブ
    ッシュ本体にすぐりを設けることで、すぐり形成位置の
    剛性を低くすることで実現したしたことを特徴とする請
    求項1から請求項4のいずれかに記載された後輪懸架装
    置。
JP22383694A 1994-09-19 1994-09-19 後輪懸架装置 Pending JPH0885316A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22383694A JPH0885316A (ja) 1994-09-19 1994-09-19 後輪懸架装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22383694A JPH0885316A (ja) 1994-09-19 1994-09-19 後輪懸架装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0885316A true JPH0885316A (ja) 1996-04-02

Family

ID=16804487

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22383694A Pending JPH0885316A (ja) 1994-09-19 1994-09-19 後輪懸架装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0885316A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001071729A (ja) * 1999-09-07 2001-03-21 Toyota Motor Corp ダブルウィシュボーン式サスペンション
JP2003025820A (ja) * 2001-07-11 2003-01-29 Fuji Heavy Ind Ltd 独立懸架式サスペンション
JP2007008455A (ja) * 2005-07-01 2007-01-18 Audi Ag 自動車後輪の独立車輪懸架装置
US7540554B2 (en) * 2003-01-22 2009-06-02 Edscha Ag Hinge
JP2012025292A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Nissan Motor Co Ltd インホイールモータ車両のサスペンション装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001071729A (ja) * 1999-09-07 2001-03-21 Toyota Motor Corp ダブルウィシュボーン式サスペンション
JP2003025820A (ja) * 2001-07-11 2003-01-29 Fuji Heavy Ind Ltd 独立懸架式サスペンション
JP4592226B2 (ja) * 2001-07-11 2010-12-01 富士重工業株式会社 独立懸架式サスペンション
US7540554B2 (en) * 2003-01-22 2009-06-02 Edscha Ag Hinge
JP2007008455A (ja) * 2005-07-01 2007-01-18 Audi Ag 自動車後輪の独立車輪懸架装置
JP2012025292A (ja) * 2010-07-26 2012-02-09 Nissan Motor Co Ltd インホイールモータ車両のサスペンション装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2931670B2 (ja) 車両用懸架システム
JPH11129717A (ja) フロントサスペンション装置
JPH0986124A (ja) フロントサスペンション装置
JP2518349B2 (ja) 車輌用リヤサスペンション
JPH05162518A (ja) 車両のサスペンション装置
US5158320A (en) Suspension system for vehicles
JP3659081B2 (ja) ダブルウィシュボーン式サスペンション
JPH0885316A (ja) 後輪懸架装置
JP3468014B2 (ja) 車両用サスペンションのトレーリングアーム支持構造
JPH05169941A (ja) 車両のサスペンション装置
JP4366822B2 (ja) トレーリングアーム式リアサスペンション
JP3083305B2 (ja) 独立懸架式サスペンション
JPS6053412A (ja) 自動車のリヤサスペンション
JP2002046438A (ja) 車両用リヤサスペンション装置
JP2761044B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP3170032B2 (ja) 自動車のフロントサスペンション
JP3209467B2 (ja) 自動車用後輪サスペンション装置
JP2761045B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JP3767078B2 (ja) 操舵輪用サスペンション装置
JPH07164847A (ja) サスペンションメンバのマウント構造
JPH055682B2 (ja)
JPH08238913A (ja) フロントサスペンション装置
JPH07246816A (ja) 車両用懸架装置
JPH0885313A (ja) サスペンション装置
JP3171344B2 (ja) 車両のサスペンション装置

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040406