JPH088362Y2 - オイルロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は自動二輪車の車体と車輪側間に介装されて路
面からの振動を減衰する緩衝器とフォークを兼ねたフロ
ントフォークの使用に適する油圧緩衝器のオイルロック
装置に関する。

〔従来の技術〕

この種、従来の油圧緩衝器は第２図に示すように車体
側チューブ19内に車輪側チューブ20が摺動自在に挿入さ
れ、車体側チューブ20の下部からダンパーシリンダ22が
起立し、ダンパーシリンダ22内にはピストン23と軸受41
aを介してピストンロッド24が移動自在に挿入される。

ダンパーシリンダ22の上部には上方に開口するオイル
ロックケース38が起立し、ピストンロッド24の上部外周
にはナットを介してオイルロックピース60が上下移動自
在に設けられている。圧縮作動時にはオイルロックピー
ス60がオイルロックケース38内に嵌合し、オイルロック
ケース38内の油の流出を絞ることによりクッションを効
かせるようにしている。オイルロックケース38とキャッ
プ25との間には懸架スプリング26が介装されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記のオイルロック装置では、オイルロックピース60
が高速でオイルロックケース38内に突入するとクッショ
ンが急激に効き、逆にクッションが大きくなり、運転者
に不快感を与え、且つ車両の乗心地を悪くする。

従って本考案の目的は、十分なクッションを効かすこ
とができ、しかも急激でなく、徐々にクッションを効か
せて運転者に不快感を与えない油圧緩衝器のオイルロッ
ク装置を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案の構成は、車体側
チューブ内に車輪側チューブが摺動自在に挿入され、車
輪側チューブの中央にダンパーシリンダが起立し、ダン
パーシリンダ内にピストンを介してピストンロッドが移
動自在に挿入され、ピストンロッドの外端が車体側チュ
ーブと連動し、ダンパーシリンダの上部にオイルロック
ケースを設け、ピストンロッドの外周に上記オイルロッ
クケースに対向するオイルロックピースを設けている油
圧緩衝器に於て、前記オイルロックピースをピストンロ
ッド外周に設けたホルダーの外周に上下移動自在に配置
させると共に当該オイルロックピースの上方にスプリン
グを設け、前記オイルロックピースがオイルロックケー
ス内に侵入した時にオイルロックケース内からの圧力で
オイルロックピースを押し上げスプリングを撓ませるこ
とを特徴とするものである。

〔作用〕

最圧縮時近くになると、先ずオイルロックピースがオ
イルロックケースの入口に侵入し、その時のオイルロッ
クケース内からの圧力でスプリングに抗してオイルロッ
クピースが上方に押し上げられ、ゆっくりとしたクッシ
ョンがオイルロックピースとオイルロックケースの入口
間の絞り抵抗で発生する。スプリングが最圧縮するとオ
イルロックピースがオイルロックケース内に侵入し、両
者の間の絞り抵抗で大きなオイルロック荷重が発生して
クッションを効かせる。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例に係る構成を組み付けたフロン
トフォークの例を第１図にもとづいて説明する。

車体側チューブたるアウターチューブ19内に車輪側チ
ューブたるインナーチューブ20が摺動自在に挿入され、
インナーチューブ20の端部にアクスルブラケットＡと一
体のボトム21が設けられ、ボトム21の中央からダンパー
シリンダ22が起立し、ダンパーシリンダ22内にピストン
23を介して中空ピストンロッド24が移動自在に挿入さ
れ、アウターチューブ19とピストンロッド24はキャップ
25を介して連動し、キャップ25側のシート25aとダンパ
ーシリンダ22の上部に設けたオイルロックケース38との
間に懸架スプリング26を介装してアウターチューブ19を
常時伸び方向に付勢している。

アウターチューブ19は車体側に連結され、インナーチ
ューブ20はアクスルブラケットＡを介して車軸側に連結
されている。但し、上記油圧緩衝器は倒立型であるが、
取り付け位置を逆にして正立型として使用してもよい。

アウターチューブ19の下部内周には軸受30とシール31
とダストシール32とが設けられ、インナーチューブ20の
上部外周には軸受33を設け、軸受30,33を介してインナ
ーチューブ20が摺動している。

インナーチューブ20とアウターチューブ19間には潤滑
油用の油室35が区画されている。

インナーチューブ20の内周にリザーバたる油室36が区
画され、この油室36の上方に気体室37が区画され、油室
36は孔Ｐを介して油室35に通じている。

ダンパーシリンダ22の上端には、中空なオイルロック
ケース38が一体成形されてされて起立している。オイル
ロックケース38の基端38aはヘッドキャップと軸受装置
のハウジングを兼ねている。

ピストン23には上下二つの油室51,52を通じさせる圧
ポートと伸ポートを形成し、この圧ポートの上部にはチ
ェックバルブが設けられ、伸ポートの下部口端には伸バ
ルブが設けられている。

ピストンロッド24の上方にはホルダー64が挿入され、
このホルダー64はスナップリング等のストッパ65で保持
されている。ホルダー64の外周には任意の隙間を介して
オイルロックピース60が上下移動自在に挿入され、オイ
ルロックピース60の下方はストッパ69で支持されてい
る。

ホルダー64のフランジ68はオイルロックピース60の上
部間にはスプリング67が介在され、このスプリング67は
常時スプリングシート70をストッパ71へ当接する方向へ
付勢している。

オイルロックケース38内に圧縮時オイルロックピース
60が侵入するとオイルロックピース60の外周はオイルロ
ックケース38の内周をストロークし、この時オイルロッ
クピース60の外周から油が流出し、オイルロック圧たる
クッションが発生する。

オイルロックケース38には半径方向に向けて油孔13が
形成され、オイルロックケース38内を油室36に通じさせ
ている。

圧縮作動時には、ピストンロッド24が下降し、その侵
入量体積分の油はダンパーシリンダ22内の油室52よりリ
ザーバ側の下部油室36に排出される。

最圧縮近くになると、先ずオイルロックピース60が下
部オイルロックケース38の入口に嵌合し、両者の間から
油がわずかに絞られて油室36の上方に流出し、その時の
抵抗でオイルロックピース60はスプリング67に抗して押
し上げられ、オイルロックピース60はオイルロックケー
ス38内に深く侵入せず、オイルロック作用に先立つてス
プリング67の撓み分だけ急激なオイルロック圧の上昇が
緩和され、運転者に不快感を与えない。

スプリング67が最圧縮するとピストンロッド24の下降
に伴なってオイルロックピース60がオイルロックケース
38内に侵入し、両者の間で油の流出を絞ることによりオ
イルロック圧によるクッションが効く。

〔考案の効果〕

本考案によれば、次の効果がある。

高速で圧縮作動する時、その最圧縮時近くではオイル
ロック作用に先立ってオイルロックピースがスプリング
を圧縮して上昇するから、オイルロックピースがオイル
ロックケース内に深く侵入せず、急激なオイルロック圧
が発生せず、運転者に不快感を与えない。スプリングが
最圧縮すると今度はオイルロックピースがオイルロック
ケース内に侵入し、両者の間で油の流出を絞り、大きな
オイルロック圧によるクッションが効く。

圧縮速度が遅い場合にはオイルロックケース内の圧力
によって生ずるロックピースに作用する推力がスプリン
グの設定荷重より小さく、オイルロックピースは上昇せ
ず、普通のクッションが効く。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る油圧緩衝器の縦断正面
図、第２図は従来の油圧緩衝器の軸受部分の拡大断面図
である。 〔符号の説明〕 19…車体側チューブ 20…車輪側チューブ 22…ダンパーシリンダ 23…ピストン 24…ピストンロッド 38…オイルロックケース 60…オイルロックピース 64…ホルダー 65…ストッパ 67…スプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体側チューブ内に車輪側チューブが摺動
   自在に挿入され、車輪側チューブの中央にダンパーシリ
   ンダが起立し、ダンパーシリンダ内にピストンを介して
   ピストンロッドが移動自在に挿入され、ピストンロッド
   の外端が車体側チューブと連動し、ダンパーシリンダの
   上部にオイルロックケースを設け、ピストンロッドの外
   周に上記オイルロックケースに対向するオイルロックピ
   ースを設けている油圧緩衝器に於て、前記オイルロック
   ピースをピストンロッド外周に設けたホルダーの外周に
   上下移動自在に配置させると共に当該オイルロックピー
   スの上方にスプリングを設け、前記オイルロックピース
   がオイルロックケース内に侵入した時にオイルロックケ
   ース内からの圧力でオイルロックピースを押し上げスプ
   リングを撓ませることを特徴とする油圧緩衝器のオイル
   ロック装置。