JPH0225941Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、圧縮行程時における緩衝能力が向上
し、ストロークが少なくてすみ、フロントダイブ
を防止し操安性にすぐれたフロントフオークの圧
縮行程時減衰力発生装置に関する。

油圧緩衝器は、自動車類に多用されているが、
とくに自動二輪車の前輪には、フオークパイプを
ボトムケース内に摺動自在に嵌合し、フオークパ
イプ内に同軸的に設けピストンを先端部に装着し
たロツドをボトムケース内に同軸的に設けたシー
トパイプ内に摺動自在に嵌合するようにしたいわ
ゆるフロントフオークが用いられている。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする問題点〕

しかして、この型のフロントフオークにおいて
は、従来からピストン部及びシートパイプの取付
部位に設けられているボトムバルブに圧縮行程及
び伸長行程時における減衰力発生機構が設けられ
ていて、圧縮行程時あるいは伸長行程時に衝撃を
緩和する作動をしている。すなわち、圧縮行程時
における減衰力発生は、第２図の側に示すよう
に、前車輪が押し上げられる方向に動くとフオー
クパイプ１と中空ロツド３とがボトムケース２及
びシートパイプ５中に押し込まれる。するとピス
トン部の下方のシートパイプ内の油がピストン４
に設けられている伸長行程時減衰力発生機構１７
を開放し通過するとともに、ピストン４下方の油
がボトムピース部に設けられているボトムバルブ
１８を通過して圧縮行程時減衰力を発生し、シー
トパイプ５とボトムケース２との間の油室Ａ中へ
流入し、さらにシートパイプ５の先端に設けたス
プリングシート部に設けた油路８を通つてフオー
クパイプ１と中空ロツド３との間の油室Ｂ中へ流
入するようになつている。このように圧縮行程時
減衰力は、ボトムバルブで発生するようになつて
いるが、乗心地をソフトにし且つ強い衝撃に対し
てはこれを充分に吸収するという２つの相矛循す
る要求を満たすフロントフオークが望まれる現状
にある。

〔問題を解決するための手段〕

本考案の目的は、これらの要求を満足し、衝撃
吸収性にすぐれ操安性を向上し得るフロントフオ
ークを提供することで、本考案の要旨は、フオー
クパイプをボトムケース内に摺動自在に嵌合しフ
オークパイプ内に同軸的に設け先端部にピストン
を装着したロツドをボトムケース内に同軸的に設
けたシートパイプ内に摺動自在に嵌合しシートパ
イプ先端にロツド及びフオークパイプに摺接し油
路を設けたスプリングシートを固着して油を充填
したフロントフオークにおいて、前記スプリング
シートを一体となる２つのスプリングシート部で
構成し、フオークパイプの内周に摺接しシートパ
イプの開口端側に設けられた一方のスプリングシ
ート部に油路を設け、他方のスプリングシート部
に、前記油路と連通する油路を設け、他方のスプ
リングシート部の油路を閉止するようにロツド外
周にスライドバルブをばねによつて弾止し、２つ
の油路の間に逆止弁を介在してなるフロントフオ
ークの圧縮行程時減衰力発生構造にある。

〔実施例〕

次に、添付の図面に基づいて本考案の実施例を
説明する。第１図は、本考案装置の一実施例を示
し第２図中側の破線で囲む部分の拡大図であ
る。

１は、フロントフオークのフオークパイプであ
つて、円筒状をし、一方は閉止されて取付金具が
取付けられてハンドル側に支持され、車軸側に支
持されているボトムケース２の内周に自在に摺動
し得るように嵌合されている。３は、中空ロツド
であつて、フロントフオーク１の内部に同軸的に
固着され、伸長行程時の減衰力発生機構を設けた
ピストン４を先端部に装着し、ボトムケース２の
内部に同軸的に設けられているシートパイプ５中
を摺動し得るように嵌合されている。スプリング
シートは、２つのスプリングシート部６，７から
成り、２つのスプリングシート部６と７は互いに
締着又は接合されて一体となつている。スプリン
グシート部６はフオークパイプ１とシートパイプ
５との間に形成される油室Ａと、フオークパイプ
１と中空ロツド２との間に形成される油室Ｂとを
連通する油路８があけられており、シートパイプ
５の開口端側に設けられてフオークパイプ１の内
周に摺接するように取付けられ、一方スプリング
シート部７は上記油路８と連通し油室Ｂに開口す
る油路９及び中空ロツド３に平行な油路１０が設
けられ、フオークパイプ１の頂部との間に張架さ
れている主ばね１１を支持し、スプリングシート
部６と７の外周にはフオークパイプ１の内周に摺
接するシリンダガイド１２が設けられている。１
３は、逆止弁であつて、スプリングシート部７の
油路９とスプリングシート部６の油路８との間に
介在して伸長行程時にだけ開くように、ばね１４
によつて弾止されている。１５は、スライドバル
ブであつて、スプリングシート部７の油路１０の
油室Ｂへの開口側を閉止し、圧縮行程時にだけ開
くように中空ロツド３の外周に自在に摺動するよ
うにされ、フオークパイプ１の上端との間に張架
されているばね１６によつて弾止されている。

〔本考案の作用〕

本考案装置はこのように構成されているので、
車輪に上方向へ押し上げる力がかかると、フロン
トフオークのフオークパイプ１がボトムケース２
の中へ押し込まれる。したがつて中空ロツド３も
同時にシートパイプ５内に押し込まれる。これに
伴なつて、シートパイプ５内のピストン４の頂部
とボトムバルブ部との間に形成される油室Ｃ中の
油は押されてピストン４の伸長行程時減衰力発生
機構１７を開放し通過して中空ロツド３とシート
パイプ５との間に形成される油室Ｄへ流入し、又
シートパイプ５のボトムバルブ１８を通つてボト
ムケース２及びフオークパイプ１とシートパイプ
５との間の油室Ａ中へ流入して圧縮行程時の減衰
力を発生する。引続いて、圧縮行程が進行し油室
Ａ内に流入する油が多くなり油室Ａの油圧が上が
ると、油はスプリングシート部６の油路８、及び
スプリングシート部７の油路１０を通つてばね１
６に抗してスライドバルブ１５を押し開いてさら
に圧縮行程時減衰力を発生し、油室Ｂ中へ流入す
る。しかして、この動作中、フオークパイプ１が
押し込まれるにつれてスライドバルブ１５を弾止
するばね１６が圧縮されスレイドバルブ１５をよ
り強くスプリングシート部７に圧接するため、フ
オークパイプ１が押し込まれる程ばね１６のセツ
ト荷重が大きくなり、従つて減衰力も大きくなる
ものである。

次に、大きな石等に乗り上げて急激にフオーク
パイプ１が押し込まれた場合、油室Ａ内の油圧が
急激に上昇するが、油は油路８，１０を通過しス
ライドバルブ１５をばね１６に抗して押し上げて
油室Ｃに流れるためにボトムケース２側からの突
き上げを吸収することができる。

一方、伸長行程において油室Ｄの油は伸長行程
時減衰力発生機構１７を通り油室Ｃに流れると共
に、油室Ｂの油は油路９を通つて逆止弁１３を開
いて油室Ａに流れボトムバルブ１８を通つて減衰
力を発生し油室Ｃに流入する。

〔考案の効果〕

本考案は、通常と同様にボトムバルブに圧縮行
程時減衰力発生機構を設けるとともに、シートパ
イプの開口端側に設けるスプリングシート部に、
スプリングシート部に設けた油路を閉止するスラ
イドバルブ及び逆止弁をそれぞれ弾止して付設し
たので、圧縮行程時にスライドバルブを押し開い
て油が流れることによつて更に、圧縮行程時減衰
力を発生することができ、しかも、これがフロン
トフオークの押し込み位置に応じてばね圧が変わ
る、いわゆる位置依存性のものであつて、従来の
ものに較べて、ボトムバルブの圧縮行程時減衰力
を小さくして乗心地をソフトにすることができる
とともに、衝撃を受けた時にはスライドバルブに
より減衰力を発生するため衝撃の吸収性を向上し
得、フロントフオークのストロークを小さくで
き、フロントフオークがつつ込むいわゆるフロン
トダイブを防止し得、操安性が向上し得るなど大
きな効果が認められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案装置の一実施例を示し第２図
中側の破線で囲む部分の拡大図、第２図は、図
中側に従来のスプリングシート部を、側に本
考案のスプリングシート部を示した要部断面側面
図である。 １……フオークパイプ、２……ボトムケース、
３……中空ロツド、４……ピストン、５……シー
トパイプ、６……スプリングシート部、７……ス
プリングシート部、８，９，１０……油路、１１
……主ばね、１２……シリンダガイド、１３……
逆止弁、１４，１６……ばね、１５……スライド
バルブ、１７……ピストン部の圧縮行程時減衰力
発先機構、１８……ボトムバルブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フオークパイプをボトムケース内に摺動自在に
   嵌合しフオークパイプ内に同軸的に設け先端部に
   ピストンを装着したロツドをボトムケース内に同
   軸的に設けたシートパイプ内に摺動自在に嵌合し
   シートパイプ先端にロツド及びフオークパイプに
   摺接し油路を設けたスプリングシートを固着して
   油を充填したフロントフオークにおいて、前記ス
   プリングシートを一体となる２つのスプリングシ
   ート部６，７で構成し、フオークパイプ１の内周
   に摺接しシートパイプ５の開口端側に設けられた
   一方のスプリングシート部６に第１の油路８を設
   け、他方のスプリングシート部７に、前記第１の
   油路８と連通する２つの油路９，１０を設け、他
   方のスプリングシート部７の一方の油路１０を閉
   止するようにロツド３外周にスライドバルブ１５
   をばね１６によつて弾止し、第１の油路８と他方
   のスプリングシート部の他方の油路９の間に逆止
   弁１３を介在してなるフロントフオークの圧縮行
   程時減衰力発生機構。