JPH0864088A - パッファ形ガス遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 消弧性ガスの吹き出しによる発弧、短絡を防
止可能なパッファ形ガス遮断器を提供する。 【構成】 パッファシリンダ２、絶縁ノズル４、可動ア
ーク接触子５等により容器の上部を構成する。容器下部
に、固定アーク接触子６、排気穴１０を備えた固定支え
７を設ける。固定支え７の外周に筒状の固定シールド９
を設ける。固定シールド９を、排気穴１０を覆うよう
に、両接触子の軸方向に長く形成し、その上辺及び下辺
を固定支え７側にやや湾曲させる。固定シールド９と固
定支え７との間に隙間を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、送電系統において電流
遮断に用いられるガス遮断器に係り、特に消弧性ガスに
より高電圧の遮断を可能にするパッファ形ガス遮断器に
関する。

【０００２】

【従来の技術】電力需要は、今後も依然として増加する
傾向にあり、これに伴い送電系統の高電圧化が進んでい
る。そして、高電圧の送電系統においては、優れた絶縁
耐力、消弧能力を有するＳＦ6 ガスを利用したガス遮断
器が用いられている。ガス遮断器は、遮断性能に優れ、
小形化が容易であり、密封構造なため低騒音化や保守点
検の省力化が可能という利点を有する。そして、ガス遮
断器の遮断方式としては、ピストン作用で高圧ガスをつ
くり、接触子間に吹き付けるパッファ形が採用されてい
る。

【０００３】このようなパッファ形ガス遮断器として従
来から用いられているものの一例を、図面を参照して以
下に説明する。すなわち、図５に示すように、ＳＦ6 ガ
ス等の消弧性ガスを封入したパッファシリンダ２が容器
内に摺動可能に設けられている。パッファシリンダ２内
には、可動アーク接触子５が設けられ、さらに可動アー
ク接触子５先端のアークに消弧性ガスを吹き付けるため
のパッファピストン１が設けられている。パッファピス
トン１は、パッファシリンダ２内を摺動可能に設けら
れ、パッファシリンダ２とパッファピストン１によって
パッファ室３が形成されている。パッファシリンダ２の
下端部には、開口部が設けられ、絶縁ノズル４が取り付
けられている。絶縁ノズル４の内側には、可動アーク接
触子５先端のアークに消弧性ガスを導く絞り部４ａが形
成されている。パッファシリンダ２の下端における絶縁
ノズル４の外周には、可動通電接触子１１が設けられて
いる。

【０００４】容器内におけるパッファシリンダ２の下方
には、固定支え７によって支持された固定アーク接触子
６が設けられている。この固定アーク接触子６の上端と
可動アーク接触子５の下端とは、絶縁ノズル４の絞り部
４ａを挟んで対向している。固定支え７における可動ア
ーク接触子５に対応する位置には、固定通電接触子１２
が設けられている。

【０００５】容器の外側面には、パッファシリンダ２に
対応する位置に、筒状の可動シールド１６が設けられて
いる。固定支え７の外側面には、固定通電接触子１２に
対応する位置に筒状の固定シールド９が設けられてい
る。また、固定支え７の下面には、端部シールド１３が
設けられている。固定支え７の側面及び底面には、排気
穴１０ａ，１０ｂが設けられている。排気穴１０ａ，１
０ｂは容器外部のタンク（図示せず）に接続されてい
る。

【０００６】以上のような構成のパッファ形ガス遮断器
における電流遮断動作は以下のように行う。すなわち、
投入時には、パッファシリンダ２は下降していて、可動
アーク接触子５の下端は固定アーク接触子６の上端に接
続されている。この状態から、電流を遮断するためにパ
ッファシリンダ２を上昇させると、固定アーク接触子６
及び可動アーク接触子５間にアーク８が発生する。この
アーク８の発生箇所は絶縁ノズル４の絞り部４ａであ
り、パッファ室３の消弧性ガスはパッファピストン１に
よって圧縮され、絶縁ノズル４の絞り部４ａに導かれる
ので、消弧性ガスがアーク８に吹き付けられて消弧され
る。吹き付けられた消弧性ガスは、アーク８によって高
温の熱ガスとなり、その多くが固定支え７の排気穴１０
ａ，１０ｂを通じて消弧室外のタンクに排気される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うなパッファ形ガス遮断器の従来例には、以下のような
問題点があった。すなわち、アーク８によって熱せられ
た消弧性ガスが、固定アーク接触子６が固定された固定
支え７の領域に流出すると、径方向に急激に広がり、固
定支え７の側面に設けられた排気穴１０ａから多量に吹
き出すことになる。その結果、この排気穴１０ａから吹
き出た消弧性ガスが、固定支え７周囲に設けられている
固定シールド９の端部付近に達して密度を低下させ、タ
ンク又は他相との間で発弧、短絡が生じる可能性があっ
た。

【０００８】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その主たる目
的は、消弧性ガスの吹き出しによる発弧、短絡を防止可
能なパッファ形ガス遮断器を提供することである。

【０００９】第２の目的は、消弧性ガスが可動接触子側
への流出することを防止して、極間の絶縁耐力の低下を
防ぐパッファ形ガス遮断器を提供することである。

【００１０】第３の目的は、固定支えから排出される消
弧性ガス全体を冷却することができるパッファ形ガス遮
断器を提供することである。

【００１１】第４の目的は、固定シールドと容器との間
の消弧性ガスの流れを円滑にするパッファ形ガス遮断器
を提供することである。

【００１２】第５の目的は、固定シールドの絶縁性を向
上させることができるパッファ形ガス遮断器を提供する
ことである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１記載の発明は、消弧性ガスを充填した容
器と、前記接地容器内に移動可能に設けられた可動接触
子と、前記可動接触子に接離可能に設けられた固定接触
子と、前記可動接触子と前記固定接触子との開離動作に
連動して消弧性ガスを圧縮するパッファ装置と、前記パ
ッファ装置からの消弧性ガスを前記可動接触子及び前記
対向接触子の間に発生するアークに導く絶縁ノズルを有
し、前記固定接触子側の容器における側面及び底面に消
弧性ガスを排出するための排気穴が設けられ、前記容器
の外周に円筒状の固定シールドが固定されているパッフ
ァ形ガス遮断器において、前記固定シールドは、前記容
器の側面の排気穴を覆う長さを持つことを特徴とする。

【００１４】請求項２記載の発明は、請求項１記載のパ
ッファ形ガス遮断器において、消弧性ガスの可動接触子
側への流出を遮る仕切り板が、前記容器の側面と前記固
定シールドとの間における可動接触子側の隙間に設けら
れていることを特徴とする。請求項３記載の発明は、請
求項１又は請求項２記載のパッファ形ガス遮断器におい
て、前記固定シールドが、前記容器における排気穴を設
けた底面側の端部よりも長く形成されていることを特徴
とする。

【００１５】請求項４記載の発明は、請求項１、請求項
２又は請求項３記載のパッファ形ガス遮断器において、
前記固定シールドと前記容器との間に、前記固定シール
ド又は前記容器と平行な整流板が配設されていることを
特徴とする。

【００１６】請求項５記載の発明は、請求項１、請求項
２、請求項３又は請求項４記載のパッファ形ガス遮断器
において、前記固定シールドの表面の一部又は全部が絶
縁物に覆われていることを特徴とする。

【００１７】

【作用】上記のような構成を有する本発明の作用は以下
の通りである。すなわち、請求項１記載の発明では、電
流を遮断するために、投入状態にある可動接触子を移動
させて固定接触子と開離させる。このとき、両接触子間
に発生するアークは、パッファ室からの消弧性ガスが吹
き付けられることにより消弧される。これにより熱せら
れた消弧性ガスは容器内の固定接触子側に流れ、排気穴
から排出される。そして、固定シールドは容器の側面の
排気穴を覆う長さを有しているので、側面側の排気穴か
ら流出する消弧性ガスは、固定シールドに沿って軸方向
に流れて冷却される。

【００１８】請求項２記載の発明では、容器側面の排気
穴から流出する消弧性ガスは、固定シールドと容器との
隙間を流れるが、可動接触子側の隙間には仕切り板が設
けられているので、アークにより熱せられた消弧性ガス
が可動接触子側に流れることが防止される。

【００１９】請求項３記載の発明では、固定シールドが
前記容器における固定接触子側の端部よりも長く形成さ
れているので、容器側面の排気穴から流出する消弧性ガ
スは、固定シールドに沿って軸方向に流れて冷却され、
容器底面の排気穴から流出する消弧性ガスに合流する。
したがって、排出される消弧性ガス全体が冷却される。

【００２０】請求項４記載の発明では、固定シールドと
容器との間に整流板が設けられているので、容器側面の
排気穴から流出する消弧性ガスが、旋回を起こすことな
くスムーズに軸方向に流れていく。したがって、ガス流
の乱れによる淀みが生じることが妨げられる。

【００２１】請求項５記載の発明では、固定シールドが
絶縁物に覆われているので、他の機器との絶縁性が増
す。

【００２２】

【実施例】

（１）第１実施例 （ａ）第１実施例の構成 請求項１記載の発明に対応する一実施例を、図面にした
がって以下に説明する。すなわち、図１に示すように、
従来例と同様のパッファシリンダ２、絶縁ノズル４、可
動アーク接触子５等によって容器の上部が構成されてい
る。そして、容器下部には、固定アーク接触子６、排気
穴１０を備えた固定支え７が設けられている。このよう
な固定支え７の外周には、筒状の固定シールド９が設け
られている。固定シールド９は排気穴１０を覆うよう
に、両接触子の軸方向に長く形成され、その上辺及び下
辺は固定支え７側にやや湾曲している。そして、固定シ
ールド９と固定支え７との間には、隙間が設けられてい
る。

【００２３】（ｂ）第１実施例の作用 以上のような構成を有する本実施例の作用は以下の通り
である。すなわち、図１に示すように、開極動作を行う
と固定アーク接触子６及び可動アーク接触子５間にアー
ク８が発生する。このアーク８を消弧するために、パッ
ファピストン１によってパッファ室３の消弧性ガスが圧
縮され、絶縁ノズル４の絞り部４ａに導かれてアーク８
に吹き付けられ、アーク８が消弧される。吹き付けられ
た消弧性ガスはアーク８によって高温の熱ガスとなり、
固定支え７内を通じて固定支え７の側面及び底面に設け
られている排気穴１０ａ，１０ｂから消弧室外のタンク
内に排気される。固定支え７の側面の排気穴１０ａは、
固定シールド９によって覆われているので、排気穴１０
ａから排出した多量の熱ガスは固定支え７と固定シール
ド９との間の空間を軸方向に流れ、その間に固定支え７
及び固定シールド９の表面によって冷却される。そし
て、熱ガスは、固定支え７と固定シールド９の端部との
隙間からタンク内に排出される。

【００２４】（ｃ）第１実施例の効果 以上のような本実施例の効果は以下の通りである。すな
わち、アーク８によって熱せられた消弧性ガスは、固定
シールド９の端部から排出される前に冷却される。この
ため、タンク内に排出される時点ではその密度は高くな
るので、ガス流によるタンク又は同一タンク内にある他
相との絶縁性能の低下が抑えられ、発弧、短絡を防ぐこ
とができる。

【００２５】（２）第２実施例 請求項２記載の発明に対応する一実施例を、第２実施例
として以下に説明する。本実施例は、図２に示すよう
に、固定シールド９と固定支え７との間の空間を、仕切
板１４によって分けたものである。この仕切板１４は、
排気穴１０ａよりも上方（可動シールド１６側）に設け
られている。このような構成にすると、排気穴１０ａか
ら排出される熱ガスは、固定支え７と固定シールド９と
の間を必ず下方に流れ、上方には流れない。したがっ
て、熱ガスが可動側シールド１６と固定シールド９との
間に流れることによる極間の絶縁耐力の低下が防止され
る。

【００２６】（３）第３実施例 請求項３記載の発明に対応する一実施例を第３実施例と
して、以下に説明する。本実施例は、図３に示すよう
に、固定シールド９における可動シールド１６とは反対
側の端部が、固定支え７の端部よりも長く形成され、固
定支え７の端部までシールド可能な形状となっている。

【００２７】このような構成では、排気穴１０ａから排
出された熱ガスは、固定支え７と固定シールド９との間
の空間を冷却されながら下方に流れる。そして、固定支
え７の端部を過ぎたところで、可動アーク接触子５及び
固定アーク接触子６の間から直進して排気穴１０ｂから
流れる熱ガス流に合流する。したがって、排気穴１０ｂ
からタンク内に排出される消弧性ガスの温度をより低下
させることができ、タンク又は他相との絶縁低下による
発弧、短絡が起こりにくくなる。

【００２８】（４）第４実施例 請求項４記載の発明に対応する一実施例を、第４実施例
として以下に説明する。本実施例は、図４に示すよう
に、固定支え７の排気穴１０ａと固定シールド９との間
の空間に軸方向に長い整流板１５を設けたものである。
このような構成にすると、排気穴１０ａから吹き出た熱
ガスが旋回を起こすことなくスムーズに軸方向に流れて
いく。したがって、流れが乱れることによる淀みが生じ
ることが妨げられるので、熱ガスの排気効率及び冷却効
率が向上し、タンク又は他相との絶縁低下による発弧、
短絡が起こりにくくなる。

【００２９】（５）その他の実施例 本発明は以上のような実施例に限定されるものではな
く、各部材の材質、形状、大きさ等は適宜変更可能であ
る。たとえば、請求項５記載の発明に対応する一実施例
として、固定シールドの表面を絶縁物で覆うことによ
り、他の機器との絶縁性を向上させることが考えられ
る。

【００３０】

【発明の効果】以上のような本発明によれば、固定シー
ルドを容器側面の排気口を覆う長さに形成することによ
って、消弧性ガスの吹き出しによる発弧、短絡を防止可
能なパッファ形ガス遮断器を提供することができる。

【００３１】容器と固定シールドとの間に仕切板を設け
ることによって、消弧性ガスが可動接触子側へ流出する
ことを防止して、極間の絶縁耐力の低下を防ぐパッファ
形ガス遮断器を提供することである。

【００３２】固定シールドを容器における固定接触子側
の端部よりも長く形成することによって、固定支えから
排出される消弧性ガス全体を冷却可能なパッファ形ガス
遮断器を提供することができる。

【００３３】固定シールドと前記容器との間に整流板を
設けることによって、固定シールドと容器との間の消弧
性ガスの流れを円滑にするパッファ形ガス遮断器を提供
することができる。

【００３４】固定シールドの表面を絶縁物で覆うことに
よって、固定シールドの絶縁性が向上するパッファ形ガ
ス遮断器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のパッファ形ガス遮断器の第１実施例に
おける開極状態を示す側面断面図である。

【図２】本発明のパッファ形ガス遮断器の第２実施例に
おける開極状態を示す側面断面図である。

【図３】本発明のパッファ形ガス遮断器の第３実施例に
おける開極状態を示す側面断面図である。

【図４】本発明のパッファ形ガス遮断器の第４実施例に
おける開極状態を示す側面断面図である。

【図５】従来のパッファ形ガス遮断器の一例を示す側面
断面図である。

【符号の説明】

１…パッファピストン ２…パッファシリンダ ３…パッファ室 ４…絶縁ノズル ５…可動アーク接触子 ６…固定アーク接触子 ７…固定支え ８…アーク ９…固定シールド １０ａ，１０ｂ…排気穴 １１…可動通電接触子 １２…固定通電接触子 １３…端部シールド １４…仕切板 １５…整流板 １６…可動シールド

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 消弧性ガスを充填した容器と、前記接地
   容器内に移動可能に設けられた可動接触子と、前記可動
   接触子に接離可能に設けられた固定接触子と、前記可動
   接触子と前記固定接触子との開離動作に連動して消弧性
   ガスを圧縮するパッファ装置と、前記パッファ装置から
   の消弧性ガスを前記可動接触子及び前記対向接触子の間
   に発生するアークに導く絶縁ノズルを有し、前記固定接
   触子側の容器における側面及び底面に消弧性ガスを排出
   するための排気穴が設けられ、前記容器の外周に円筒状
   の固定シールドが固定されているパッファ形ガス遮断器
   において、 前記固定シールドは、前記容器の側面の排気穴を覆う長
   さを持つことを特徴とするパッファ形ガス遮断器。
2. 【請求項２】 消弧性ガスの可動接触子側への流出を遮
   る仕切り板が、前記容器の側面と前記固定シールドとの
   間における可動接触子側の隙間に設けられていることを
   特徴とする請求項１記載のパッファ形ガス遮断器。
3. 【請求項３】 前記固定シールドが、前記容器における
   排気穴を設けた底面側の端部よりも長く形成されている
   ことを特徴とする請求項１又は請求項２記載のパッファ
   形ガス遮断器。
4. 【請求項４】 前記固定シールドと前記容器との間に、
   前記固定シールド又は前記容器と平行な整流板が配設さ
   れていることを特徴とする請求項１、請求項２又は請求
   項３記載のパッファ形ガス遮断器。
5. 【請求項５】 前記固定シールドの表面の一部又は全部
   が絶縁物に覆われていることを特徴とする請求項１、請
   求項２、請求項３又は請求項４記載のパッファ形ガス遮
   断器。