JPH08505817A - 捩れチップ面を具備した切削インサート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 割込み可能切削インサートが上面、底面及び当該両面間に延在する側面を含む。隣り合う２つの切削コーナ間には、レーキ角が切込み深さの増大に従って低減するようにレーキ面が成形されている。この状態で、切刃が最大切込み深さに向けて補強されている。この形態は、例えば表面が硬化の傾向のある材料の工作に際して有効である。

Description

【発明の詳細な説明】 捩れチップ面を具備した切削インサート 発明の背景と要旨 本発明は切粉出し工作工具、具体的には正面フライス等のフライスカッターの ための切削インサートに関する。この切削インサートは好ましくはインサート製 造粉末の加圧成形と焼結によって製造される。切削インサートは上位チップ面、 工作工具の協働支持面に当接状に配置されるようにした下位の平坦底面及び上、 下面間に延在する少なくとも３つの側面を含む。側面の少なくとも１つは切刃を 構成する線に沿って上位チップ面に接続している。 この種のインサートはセメンテッドカーバイド粉末が先ず適当な加圧工具内で 所望形状に成形され、次いでオーブン内で1000℃を越える温度で焼結することに より最終強度を与えられる斯ゝる直接加圧法によって増々製造されるようになっ ている。加圧操作は年を経て精巧になり、この方法が今日では切刃とそれに隣接 するチップ成形面及び可能な補強チアンフアと逃げ面を高精度で成形することを 高度に可能にするようにうまく出来ている。更に、成形工程に続いて生じる引け は加圧工具の寸法設計の際に考慮される。 今日の切削ヂオメトリは増々正の値になる傾向がある、即ちインサートのチッ プ面或いはレーキ面と工作面の法線の間の角度を増々大きくする傾向にある。こ のヂオメトリの理由は、小切削力、従って小エネルギー消費、高寸法精度のため によく出来た切刃及び正の切削ヂオメトリを維持した条件下で逃げ面を選択する 際の大きな選択の自由度等の幾つかの利益が得られるからである。切刃角は非常 に小さい場合が多く、セメンテッドカーバイドの強度限界に近づく 。 多くの場合、低エネルギーの正の切削ヂオメトリは特定の負特性では損なわれ ることになる材料を工作するのに採用される。従って、表面硬化傾向のあるある 程度のタフネスと硬度を有する特定の材料、例えばある種のステンレス鋼とリン 含有鋼、は切削中及び／或いは工作中に自己硬化する性質を有している。具体的 には、最大切込み深さにおける工作によって生じるカットエッジに工作物の自己 硬化特性が現れる。自己硬化が主として切込み深さが大きくなると生起する理由 は切削力と発生熱が、工作により工作物表面に鋭いバリが生じるのと同時に増大 するからである。この工程によって生じるバリはエア冷却により直ちに硬化させ られ、これが切刃に生じる、具体的には最大切込み深さに相当する切刃部分に生 じる応力を増大させる。硬化したバリによって生み出されたこの大きな応力はと きとして、切刃のチッピッグと破損をもたらす。この欠陥の生じる危険は切込み 深さの増大に従って増大する。 本発明の目的は最大切込み深さに相当する切刃のレベルにおけるチッピングと 破損の危険を最小限度に抑えるか、或いは解消することにある。 この目的とその他の目的は切込み深さの方向に進むに従って強度が増大する切 刃を成形することにより達成され、この強度の増大する切刃は切込み深さの方向 に進むに従ってレーキ角を漸減させることによって実現される。 本発明によれは、インサートの逃げ角は好ましくは一定値に維持される。或い はまた、逃げ角をレーキ面と同程度ではないレベルで、僅かに捩ることも可能で ある。逃げ面の角度はレーキ面（すくい面）と同じ捩り度を有してはならない。 それは同程度になれば切刃の強度が切込み深さの増大に従って増大しなくなるか らである。こ のことは本発明の重要な構成要件である。逃げ面も螺旋状に捩られるならば、そ の好ましいピッチはレーキ面のピッチの半分未満であるべきである。 螺旋状捩れレーキ面、即ちチップ面を具備した割付け可能（インデキシャブル ）切削インサートはそれ自体既知のものである。例えばEP−Ａ−239045とEP−Ａ −392730を参照されたい。しかし、これらの切削インサートは切刃角を一定にす るために、等しく捩られたレーキ面と逃げ面を有している。しかし、この先行技 術の形態によれば、これら公知のインサートは本発明の望ましい作用効果を生み 出すことは出来ない。それは切刃が切込み深さの増大する方向に進むに従って漸 次補強されるようになっておらず、そして最大切込み深さのレベルにおいてのチ ッピングと破損の危険が残るからである。 図面の簡単な説明 発明を限定するためではなく、単に説明するために、本発明の好適例を添付図 面を参照して更に詳細に説明する。図における同類の部材には同類の参照番号を 付している。 図１は本発明に係るインサートの斜視図である。 図２は本発明に係るインサートの頂面図である。 図３ａ，３ｂ，３ｃは夫々図２における線Ｉ−II、線II−II、線III−IIIに沿 った切断面図である。 好適例の詳細な説明 図１と図２は正方基本形の割付可能切削インサート１を示している。このイン サートは実質的に平坦な上面、即ちチップ面11と、上面11と平行な底面と、チッ プ面と鋭角をなす逃げ面、即ち側面２， ３とを含む。図１に係る側面は平坦な面２，３から構成され、破断線、即ち交差 線に沿って互いに鈍角をなしている。第２切刃８において、逃げ面３が別の逃げ 面、即ち平坦面４と交差している。第２レーキ面９は第２切刃８に隣接して設け られている。しかし、逃げ、即ちクリアランスのヂオメトリは本発明の必須の構 成要件ではなく、全側面を占める唯一の平坦な或いはやゝ湾曲した逃げ面で作ら れている。更に、少なくとも切刃に接続した側面は平坦な上面11に直角であり得 る。 図１，２から分るように、レーキ面10は２つの隣り合う切削コーナ間に延在し ている。このレーキ面10は本発明の特徴をなす態様で以って成形されている。従 って、レーキ面10は実働切削コーナに隣接した個所から大きなレーキ角で始まり 、この始点角度の適切な値は15°と40°、好ましくは20°と30°の間の値である （図３ａ）。その後に、レーキ角は主切刃５に沿って漸次低減して、最終的に第 ２レーキ面９に隣接した個所で最小値に至り、この最小値の適切な値は５°から 25°、好ましくは10°から20°の値間のである（図３ｃ参照）。第２（副）レー キ面９はチップブレーカとしても機能可能な実質的に垂直な面13で終端になって いる。面13と次の切刃と連携するレーキ面10の間の遷移は遷移面７に亘って作ら れる。この遷移面もコーナ切刃のためのレーキ面として機能する。 レーキ面10は切込み深さが増大するに従って主切刃５を漸次強化させるために 、漸次連続的に螺旋状に捩られている。この形態により、割付け可能インサート は表面硬化傾向のある強靭な材料を工作するときに驚く程に長い寿命のものにな り得る切刃の異なるレベルにおけるレーキ角の大きさと螺旋捩り度合は図３ａ， ３ｂ，３ｃに見ることが出来る。 レーキ面10の内側の上面11の形態は本発明の必須の構成要件では ない。従って、この面はリッジ、バンプ、デインプル等の適当な公知のチップブ レーキングヂオメトリを具備することが出来る。 本発明に係る切削インサートは好ましくはネジ、ロックピン等の適宜のクラン プ具を挿入するための中央貫通孔12を具備している。 図示の例によれば、主切刃は完全に真直である。しかし、これはフライスカッ ター本体におけるインサートの正の傾斜、或いは例外的に負の傾斜にあるときに 、それを償うために外方へやゝ湾曲化させ、それにより工作物の工作面の完全平 坦度を確保するようにすることが出来る。 本発明の原理、好適例及び作用は以上の明細書に記述された。しかし、保護す べき本発明は開示の具体例に限定されるものではない。添附の請求の範囲の精神 と範囲に該当する種々の変形は請求の範囲に包含される。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９５年４月１９日 【補正内容】 請求の範囲（請求の範囲翻訳文第６頁） 請求の範囲 １．切粉出し工作工具、具体的にはフライスカッターのための切削インサート であって、インサート製造粉末の加圧成形と焼結により製造され、上面（11）、 工作工具の協働底支持面に当接状に配置され得る下位の底面及び該両面間に延在 する少なくとも３つの側面を含み、少なくとも１つの側面が主切刃（５）を構成 する線に沿って上面に接続している、斯ゝる構成の切削インサートにおいて、 主切刃に隣接する個所でこれに沿って延在するレーキ面（10）はそのレーキ角 が実働切削コーナ（６）に隣接した個所で最大になり、次の切削コーナに隣接し た個所で最小になるようにレーキ面長に沿って螺旋状に捩られており、各側面（ ２，３）が上面（11）と直角度或いは鋭角度をなす１或いは幾つかの平坦面から 成ることを特徴とする、切粉出し工作工具用の切削インサート。 ２．螺旋状捩れレーキ面が第１実働切削コーナの隣りの個所で15°と40°の間 の値のレーキ角と、次の切削コーナに隣接した個所で５°と25°の間のレーキ角 を有している、請求項１に記載のインサート。 ３．主切刃に接続する少なくとも１つの側面の逃げ角が０°と12°の間の値で ある、請求項１に記載のインサート。 ４．螺旋状捩れ面が20°と30°の間のレーキ角を有している、請求項２に記載 のインサート。 ５．螺旋状捩れ面が10°°と20°の間のレーキ角を次の切削コーナに隣接した 個所に有している、請求項２に記載のインサート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．切粉出し工作工具、具体的にはフライスカッターのための切削インサート であって、上面、工作工具の協働支持面に当接状に配置されるようにした下位の 底面及び該上、下面の間に延在する少なくとも３つの側面を含み、少なくとも１ つの側面が主切刃を構成する線に沿って上面に接続しており、主切刃に隣接して これに沿って延在するレーキ面はレーキ面のレーキ角が第１の実働切削コーナに 隣接した個所で最大になり、次の切削コーナに隣接した個所で最小になるように レーキ面長に沿って螺旋状に捩られている、斯ゝる構成の切粉出し工作工具用の 切削インサート。 ２．螺旋状捩れレーキ面が第１実働切削コーナの隣りの個所で15°と40°の間 の値のレーキ角と、次の切削コーナに隣接した個所で５°と25°の間のレーキ角 を有している、請求項１に記載のインサート。 ３．各側面が上面と直角度をなす少なくとも１つの平坦平面を含む、請求項１ に記載のインサート。 ４．主切刃に接続する少なくとも１つの側面の逃げ角が０°と12°の間の値で ある、請求項１に記載のインサート。 ５．各側面が上面と鋭角をなす少なくとも１つの平坦面を含む、請求項１に記 載のインサート。 ６．螺旋状捩れ面が20°と30°の間のレーキ角を有している、請求項２に記載 のインサート。 ７．螺旋状捩れ面が10°と20°の間のレーキ角を次の切削コーナに隣接した個 所に有している、請求項２に記載のインサート。