JPH0848573A - 高ジルコニア溶融耐火物 - Google Patents
高ジルコニア溶融耐火物Info
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- JPH0848573A JPH0848573A JP6208249A JP20824994A JPH0848573A JP H0848573 A JPH0848573 A JP H0848573A JP 6208249 A JP6208249 A JP 6208249A JP 20824994 A JP20824994 A JP 20824994A JP H0848573 A JPH0848573 A JP H0848573A
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Abstract
ルによる破損を防止し、さらに電気抵抗を高くする。 【構成】 化学成分として、ZrO2の含有量が85〜
96重量%であり、SiO2の含有量が3〜8重量%で
あり、Al2O3の含有量が0.1〜2重量%であり、
B2O3の含有量が0.05〜3重量%であり、BaO
とSrOとMgOの含有量が合わせて0.05〜3重量
%であり、Na2Oの含有量が0.05重量%以上であ
り、かつNa2OとK2Oの含有量が合わせて0.05
〜0.6重量%であり、Fe2O3とTiO2の含有量
が合わせて0.3重量%以下であり、P2O5とCuO
が実質的に含まれない。
Description
高耐食性で割れのない高ジルコニア溶融耐火物、特に4
00〜600℃における熱的スポーリング特性および電
気的特性を著しく向上させた高ジルコニア溶融耐火物に
関するものである。
りZrO2(ジルコニア、あるいは酸化ジルコニウムと
もいう)を多量に含む溶融耐火物が多用されている。こ
の理由は、ZrO2(ジルコニア)が溶融ガラスに対し
て特に耐食性の大きい金属酸化物だからである。例え
ば、この様な溶融耐火物として、ZrO2を34〜41
重量%含むAl2O3−ZrO2−SiO2質溶融耐火
物(以下、AZS系耐火物という)や、ZrO2を80
重量%以上含む高ジルコニア溶融耐火物などが使用され
ている。
物の使用が特に増加している。
次に説明するような優れた特徴を有するからである。Z
rO2(ジルコニア)の含有量が高いことと、組織が緻
密であることから、高ジルコニア溶融耐火物は、あらゆ
る種類の溶融ガラスに対して耐食性に優れているという
特徴を有する。さらに、溶融ガラスと接触した際に、耐
火物とガラスの界面に反応層を作らないので、ガラス中
にストーンやコードを発生させることがないという特徴
も有する。従って、この高ジルコニア溶融耐火物を使用
して溶融されたガラスには、ストーンやコードが非常に
少ない。
学成分に起因してガラス中に泡が発生する現象、いわゆ
る発泡に関しては、高ジルコニア溶融耐火物を十分な酸
化状態にすることによって、あるいは高ジルコニア溶融
耐火物中に含まれるFe2O3(三酸化二鉄)、TiO
2(二酸化チタン)、CuO(酸化第二銅)などの成分
を一定量以下にすることによってほとんど解消してい
る。
融耐火物は、一般用ガラスの分野に限らず、非常に特殊
なガラスの分野でも、ガラスを溶解するための炉材とし
て使用されている。
分を占める単斜晶系ジルコニア結晶と少量のガラス相か
ら構成されている。ジルコニア結晶は、1150℃付近
で急激な体積変化を伴って単斜晶系と正方晶系の可逆的
な変態を起こすことが良く知られている。
耐火物を得るためには、この変態に伴う体積変化をガラ
ス相に吸収させることが大きな課題である。
ろな提案がされている。
には、SiO2(シリカ、あるいは二酸化ケイ素ともい
う)を1〜4重量%含み、かつSiO2の含有量に対す
るAl2O3(アルミナ、あるいは酸化アルミニアムと
もいう)の含有量の比(Al2O3/SiO2)を0.
5〜1.0とし、かつCaO(酸化カルシウム)とMg
O(酸化マグネシウム)を僅かに添加した成分が提案さ
れている。その他にも、特開昭56−129675号公
報には、P2O5(五酸化二リン)を添加することによ
ってガラス相を軟らかくすることが提案されている。
な化学成分のガラス用の溶解炉として、電気による溶融
炉が増えたことから、高ジルコニア溶融耐火物の電気抵
抗を高くすることも課題になっている。
59576号公報には、導電性の良いアルカリ金属酸化
物の含有量を減少させ、かつP2O5とB2O3(三酸
化二ホウ素)を添加してガラス相を形成することが提案
されている。その他にも、特開昭63−285173号
公報には、Na2O(酸化ナトリウム)を含有せずに、
イオン半径の大きいK2O(酸化カリウム)、Rb2O
(酸化ルビジウム)、Cs2Oなどを含有し、かつアル
カリ土類金属酸化物を含有して、ガラス相を形成した電
気抵抗の高い高ジルコニア溶融耐火物が開示されてい
る。その他にも、特開平4−193766号公報には、
アルカリ土類金属酸化物を含有してガラス相を形成した
電気抵抗の高い高ジルコニア溶融耐火物が開示されてい
る。
ることも課題になっている。
56575号公報には、P2O5はガラス相中において
ジルコン形成剤として働く性質を有するので、熱サイク
ルに対する抵抗を向上させるためには、P2O5を含有
しない方が良いという提案がされている。
物においては、作製時に割れのない高ジルコニア溶融耐
火物を得ることや、高い電気抵抗を有する高ジルコニア
溶融耐火物を得ることや、熱サイクルに対する特性に優
れた高ジルコニア溶融耐火物を得ることが主な目的であ
り、それぞれの目的を達成するために数多くの改善提案
がされている。
高ジルコニア溶融耐火物を使用してガラス溶解炉を築炉
した場合は、築炉後の昇温途中で高ジルコニア溶融耐火
物のコーナー部が割れて飛んだり、炉内面として使用さ
れた高ジルコニア溶融耐火物の表面の一部が貝殻状とな
って剥がれたりする事故や、さらに重大な例としては、
ペーブとして使用された高ジルコニア溶融耐火物がほぼ
全域にわたって爆発的に割れて飛散する事故が起きてい
る。
事故は、炉の設計や昇温の失敗などによって起こり得る
が、炉の設計や昇温などが良好である場合にも起きてい
る。
外の溶融耐火物、例えばAZS系耐火物、コランダム系
耐火物、α−βアルミナ系耐火物、ムライト系耐火物を
使用した場合は、そのような破損事故が起こらない。し
たがって、前述の破損事故は、高ジルコニア溶融耐火物
に特有な現象であると考えられる。
分において、溶融ガラスに対する耐食性が非常に弱くな
る。そのため、溶融ガラス中にストーンやコードなどの
欠陥を生成したり、破損部分の割れた隙間に溶融ガラス
が入り込むことによって侵食を助長したり、泡を巻き込
んだりして重大なガラス欠陥を引き起こすという問題が
生じる。このように、従来は、前述の高ジルコニア溶融
耐火物の利点を最大限に引き出すことができないという
問題がある。
明するために、後述の実施例1〜14と同様の方法で、
前述の従来の提案による化学成分を含む高ジルコニア溶
融耐火物(比較例1〜14)を作製し、それらについ
て、表面の残留応力、片面加熱時の破損の有無、熱サイ
クルによる亀裂の有無を調べた。その結果を表1に示
す。
公報および特開平2−156575号公報に開示された
化学成分の耐火物すなわち比較例1、2および比較例
3、4、5においては、いずれも作製時点で割れは無
く、耐火物表面に残留応力として圧縮力が残存してお
り、その圧縮力の大きさは50MPaを越えていた。ま
た、特開昭63−285173号公報および特開平4−
193766号公報に開示された化学成分の耐火物すな
わち比較例6、7および比較例8〜11においては、い
ずれも作製時点での割れは無く、耐火物表面に残留応力
として張力が残存し、その張力の大きさは80MPaを
越えていた。そして、比較例1〜11においては、いず
れも片面加熱時に破損が生じていた。
示された組成の耐火物すなわち比較例12、13におい
ては、残留応力が小さく、片面加熱時の破損はなかっ
た。しかし、熱サイクルによる亀裂が発生した。
AZS系耐火物、コランダム系耐火物、α−βアルミナ
系耐火物、ムライト系耐火物においては、表面に残留応
力として張力が残存する。これらの耐火物の中で、最も
大きい張力が残存するのは、ZrO2を34重量%含む
AZS系耐火物であり、その張力の大きさは50MPa
を越えることはない。しかも、これらの耐火物において
は、片面加熱時に破損が生じない。
耐火物と比較例1〜14を比較すると明らかなように、
残留応力の種類や大きさが、片面加熱時の破損の要因で
ある。
冷する過程で発生する。したがって、残留応力は、使用
する鋳型の種類や徐冷速度によって大きく影響を受ける
と考えられる。
だけでは、残留応力の種類や大きさを制御することがで
きない。例えば、鋳型の種類や徐冷速度を同様にして前
述の従来の高ジルコニア溶融耐火物をそれぞれ作製した
場合、それらの中には、残留応力の種類として張力を持
つものと、圧縮力を持つものがある。つまり、全く逆の
種類の残留応力を持つ2種類の高ジルコニア溶融耐火物
が存在し、残留応力の種類が制御されていない。
損を防止できたとしても、比較例12〜14のように熱
サイクルによる割れがある場合は、前述の同様の問題が
生じる。
実験を重ねた結果、本発明者らは、高ジルコニア溶融耐
火物のガラス相の成分を調整することにより、膨脹係数
を変化させて残留応力を制御できることを見出した。
融耐火物の常温での曲げ強度は、本発明者らの測定によ
れば90〜130MPaの範囲である。つまり、高ジル
コニア溶融耐火物に発生する張力または圧縮力がこの範
囲を越えると、亀裂が入って破損する。
ルコニア溶融耐火物が昇温される場合は、その加熱面が
高温になって膨脹しようとするので、それと反対の力で
ある圧縮力が耐火物表面に働く。したがって、高ジルコ
ニア溶融耐火物の表面における残留応力が圧縮力である
場合は、加熱による圧縮力と残留応力の合力が高ジルコ
ニア溶融耐火物の表面に働くことから、残留応力が比較
的小さくても昇温時に割れなどの破損が起きやすい。一
方、残留応力が張力である場合は、加熱による圧縮力が
残留応力を解放する方向に働くことから、残留応力が比
較的大きくても昇温時に割れなどの破損が起きにくい。
割れが生じないようにするためには、残留応力が圧縮力
の場合に、前述の特開昭56−129675号公報、特
開平2−156575号公報に提案されている耐火物の
圧縮力よりも小さくし、残留応力が張力の場合に、特開
昭63−285173号公報、特開平4−193766
号公報に提案されている耐火物の張力よりも若干小さく
すべきである。
系耐火物、α−βアルミナ系耐火物、ムライト系耐火物
が、築炉後のガラス炉において昇温時に高ジルコニア溶
融耐火物と違って破損しないのは、各耐火物の表面に残
っている残留応力が、その耐火物の機械的強度を越えな
い大きさの張力であることによる。
有の破損は、400〜600℃で全て起こっている。つ
まり、耐火物のガラス相が軟化する前に、比較的低温で
全て起こっている。
いようにするためには、ガラス相を構成する成分の選択
が極めて重要であることは明らかである。
や、作製時に耐火物に亀裂などの欠陥が出ないようにす
ることや、熱サイクルによって亀裂が出ないようにする
ことも望まれている。そのためにも、ガラス相の化学成
分を工夫する必要がある。
62−59576号公報に、電気抵抗を高くするため
に、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属酸化物を添加
せずに作製された高ジルコニア溶融耐火物が示されてい
る。しかし、この耐火物は、溶融ガラスと接触すること
によって、イオンの拡散を生じる。それによって、溶融
ガラス成分と耐火物のガラス相成分の置換が起こり、耐
火物の電気抵抗が低くなるという現象が生じる。
63−285173号公報には、大きなイオン半径を有
して置換を起こしにくいアルカリ金属酸化物のK2O、
アルカリ土類金属酸化物のBaOやSrOを添加するこ
とが示されている。しかし、この耐火物においては、残
留応力として張力が大きく、片面加熱時に破損しやすい
という問題がある。
提案は、作製時に得られた耐火物に割れが発生しないよ
うに、ガラス相の成分について種々の工夫を行ってい
る。しかし、実際にガラス炉を築炉して熱上げをしたと
きに起こりうる状況、すなわち片面加熱時の状況につい
て、充分に考慮がなされている訳ではない。
公報は、極めて小さい試料を炉内に入れて熱サイクルに
対する抵抗性を調べている。しかし、小さい試料の全体
が炉内に入っていることから、試料に部分的な温度差が
出にくく、実際の耐火物の使用条件とは大きく異なる。
実際の耐火物の使用条件では、次のように耐火物に部分
的な温度差が生じる。実際のガラス炉においては、築炉
した後に炉内を昇温していくため、炉壁として使用され
る耐火物は炉内部分と炉外部分の間で温度差を生じる。
すなわち、昇温時において、各耐火物の炉内面と炉外面
が同じ温度になることはない。
て、従来の高ジルコニア溶融耐火物に特有の破損、つま
り片面加熱時の破損を防止し、しかも熱サイクルに対す
る抵抗性を向上させることを目的とする。さらに電気抵
抗を向上させることも目的とする。
に種々の研究を重ねた結果、本願の第1発明は、化学成
分として、ZrO2の含有量が85〜96重量%であ
り、SiO2の含有量が3〜8重量%であり、Al2O
3の含有量が0.1〜2重量%であり、B2O3の含有
量が0.05〜3重量%であり、BaOとSrOとMg
Oの含有量が合わせて0.05〜3重量%であり、Na
2Oの含有量が0.05重量%以上であり、かつNa2
OとK2Oの含有量が合わせて0.05〜0.6重量%
であり、Fe2O3とTiO2の含有量が合わせて0.
3重量%以下であり、P2O5とCuOが実質的に含ま
れないことを特徴とする高ジルコニア溶融耐火物を要旨
とする。
て、ZrO2の含有量が90〜95重量%であり、Si
O2の含有量が3〜5.5重量%であり、Al2O3の
含有量が0.1〜1.5重量%であり、B2O3の含有
量が0.05〜2重量%であり、BaOとSrOとMg
Oの含有量が合わせて0.05〜2重量%であり、Na
2Oの含有量が0.05重量%以上であり、かつNa2
OとK2Oの含有量が合わせて0.05〜0.3重量%
であり、Fe2O3とTiO2の含有量が合わせて0.
3重量%以下であり、P2O5とCuOが実質的に含ま
れないことを特徴とする高ジルコニア溶融耐火物を要旨
とする。
ことは、0.05重量%以下の含有量であるということ
であり、意図的に添加しないことを意味する。
表面に残留する残留応力は、80MPa以下の張力、ま
たは50MPa以下の圧縮力であることが好ましい。
5〜0.55重量%であり、電気抵抗が150Ω・cm
以上であることが好ましい。
含有量は、85〜96重量%、好ましくは90〜95重
量%である。ZrO2が96重量%より多い場合は、割
れの無い耐火物が得られず、85重量%より少ない場合
は、溶融ガラスに対する耐食性が劣る。
しくは3〜5.5重量%である。SiO2はガラス相を
形成するための必須成分である。3重量%より少ない場
合は、ガラス相を形成することができない。8重量%よ
り多い場合は、溶融ガラスに対する耐食性が劣る。
%、好ましくは0.1〜1.5重量%である。Al2O
3は残留応力の張力を小さくし、しかも溶融物の流れを
良くする性質がある。0.1重量%より少ない場合は、
そのような性質が生かされない。2重量%より多い場合
は、残留応力の圧縮力を大きくし、しかも安定したガラ
ス相を形成できないので、割れのない耐火物が得られな
い。
%、好ましくは0.05〜2重量%である。B2O3は
硼珪酸ガラスを形成するために必須の成分であり、本発
明において重要な役割を果たしている。例えば、高ジル
コニア溶融耐火物の作製時において割れを抑制するのに
大きな役割を果たす。0.05重量%より少ない場合
は、このような役割を果たせない。3重量%より多い場
合は、残留応力の張力を大きくするという問題がある。
さらに過度に添加した場合は、高ジルコニア溶融耐火物
に吸湿性をもたせ、それによりH3BO4を形成し風化
を生じて耐火物組織に悪い影響を与えるという現象が生
じる。
などのアルカル金属酸化物を添加するので、極めて安定
な硼珪酸ガラスを形成することができ、それによって前
述の現象を防止できる。この硼珪酸ガラスは、ガラス相
としても安定である。Na2OやK2Oは、B2O3を
安定な硼珪酸ガラスにするために不可欠な成分である。
トロンチウム)、MgOの含有量は、合計で0.05〜
3重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。それ
によって、十分安定なガラス相を形成するので、ガラス
相を調整するために非常に重要である。0.05重量%
より少ない場合は、安定なガラス相を形成できない。
金属酸化物であり、ガラス相の成分である。それらは、
溶解時の揮発が少なく成分調整が容易であるから、安定
なガラス相を形成する性質がある。このため、高ジルコ
ニア溶融耐火物を加熱した場合に、仮に高ジルコニア溶
融耐火物からアルカリ金属の一部が揮発してガラス相が
変化しても、P2O5と違ってジルコンなどの結晶を生
成させることがなく、熱サイクルに対する抵抗を極端に
低下させることがないという利点がある。
スク、ブラウン管ガラス、液晶用ガラスには、BaO、
SrO、MgOが含まれている場合が多い。従って、電
子用ガラスの溶解炉に本発明の高ジルコニア溶融耐火物
を使用した場合、溶融ガラスと耐火物のガラス相の両方
に同じ成分が含まれることから、イオンの拡散が起こり
にくく、耐火物の侵食が遅くなるという利点もある。
必須成分であるが、その含有量の合計が3重量%より多
い場合は、B2O3と同様に残留応力の張力を大きくす
る働きがある。
少なくとも1種類を含有すればよく、2種類以上の任意
のものを組み合わせて含有することもできる。しかし、
それぞれの性質やガラス相中での安定性を考慮すると、
少なくともBaOを含有することが好ましい。つまり、
1種類を使用する場合は、BaOを優先的に含有し、2
種類以上を含有する場合は、BaOとSrO、あるいは
BaOとMgO、あるいはBaOとSrOとMgOを組
合せて含有することが効果的である。
であり、かつNa2OとK2Oを合わせた含有量は、
0.05〜0.6重量%、好ましくは0.05〜0.3
重量%である。つまり、Na2Oだけ含有するか、また
はNa2OとK2Oを組み合わせて含有する。それによ
って、残留応力の張力を小さくする。しかし、Na2O
とK2Oを合わせた含有量が0.6重量%より多い場合
は、残留応力の圧縮力を大きくする。
しては、Na2OとK2Oの他に前述のAl2O3があ
る。しかし、その含有量に制限があるため、Na2Oと
K2Oを含有せずにAl2O3だけを含有する場合は、
B2O3およびアルカリ土類金属酸化物で発生する張力
を十分に緩和できない。ゆえに、Na2OおよびK2O
は、この点からも重要な作用をもつ成分である。
添加した場合は、例えば比較例6、7のように、残留応
力としての張力を小さくすることができないので、片面
加熱時に破損が生じ、しかも熱サイクルに対する抵抗が
劣るため良くない。
特性を向上させるために、つまり高電気抵抗にするため
に、Na2Oの含有量とK2Oの含有量をそれぞれ0.
05〜0.55重量%にすることが好ましい。つまり、
Na2OとK2Oをそれぞれ0.05重量%以上含有す
ることが効果的である。最も効果の大きいのは、Na2
OとK2Oを等モル比で添加することである。
Oを含有することにより、片面加熱時の破損を防止し、
しかも高電気抵抗にすることができる。
まない高ジルコニア溶融耐火物においては、張力を小さ
くし、圧縮力を大きくする働きがあり、ガラス相を軟ら
かくするため、作製時に割れがない耐火物を作るために
有効である。しかし、B2O3と同時に添加する場合
は、低融点ガラスを形成し化学的な耐久性を極端に低下
させる性質がある。P2O5は、この他に、熱サイクル
に対する抵抗性を低下させる性質や、原料の吸湿性によ
り緻密な耐火物を作りにくい性質がある。それに、Cu
Oは、割れを少なくする点で効果を奏するが、溶融ガラ
スを着色することから、CuOを含む耐火物の使用は制
限される。
CuOやP2O5の添加をしない。つまり、本発明は、
実質的にCuOとP2O5を含有しない。
て混入しうるが、割れの発生に影響することから、それ
らの含有量は合わせて0.3重量%を越えてはならな
い。
ける残留応力は、80MPa以下の張力、または50M
Pa以下の圧縮力である。好ましくは、残留応力が60
MPa以下の張力、または30MPa以下の圧縮力であ
る。それによって、諸特性に優れた高ジルコニア溶融耐
火物になる。例えば、片面加熱時の破損や、熱サイクル
による破損を防止することができる。
融耐火物について説明する。
として、ZrO2の含有量が85〜96重量%であり、
SiO2の含有量が3〜8重量%であり、Al2O3の
含有量が0.1〜2重量%であり、B2O3の含有量が
0.05〜3重量%であり、BaOとSrOとMgOの
含有量が合わせて0.05〜3重量%であり、Na2O
の含有量が0.05重量%以上であり、かつNa2Oと
K2Oの含有量が合わせて0.05〜0.6重量%であ
り、Fe2O3とTiO2の含有量が合わせて0.3重
量%以下であり、P2O5とCuOが実質的に含まれ
ず、割れのないことを特徴とする。
は、化学成分として、ZrO2の含有量が90〜95重
量%であり、SiO2の含有量が3〜5.5重量%であ
り、Al2O3の含有量が0.1〜1.5重量%であ
り、B2O3の含有量が0.05〜2重量%であり、B
aOとSrOとMgOの含有量が合わせて0.05〜2
重量%であり、Na2Oの含有量が0.05重量%以上
であり、かつNa2OとK2Oの含有量が合わせて0.
05〜0.3重量%であり、Fe2O3とTiO2の含
有量が合わせて0.3重量%以下であり、P2O5とC
uOが実質的に含まれず、割れのないことを特徴とす
る。
物の表面における残留応力が80MPa以下の張力、ま
たは50MPa以下の圧縮力である。
05重量%以上であり、電気抵抗が150Ω・cm以上
である。
物に含まれる化学成分とそれらの含有量を示す。表2中
の含有量の欄に記載の記号「−」は、0.05重量%未
満の含有量を示し、実質的に含まないことを意味する。
また、「≦0.3」は、0.3重量%以下の含有量を示
す。また、Fe2O3とTiO2については、それらの
合計の含有量を示す。
製造された。
た人工ジルコニアを用意し、この人工ジルコニアに、A
l2O3、SiO2、B2O3、Na2O、K2O、B
aO、SrO、MgO等を粉末原料として各実施例の所
定の割合で加え、これらを混合した後、アーク電気炉内
で溶融し、内部寸法100×150×350mmの黒鉛
製鋳型に注入して鋳造し、バイヤーアルミナの粉末中に
埋没させて室温になるまで徐冷した。このようにして表
2の化学成分を有する各実施例の高ジルコニア溶融耐火
物を製造した。
の破損の有無を調べるために、各実施例について次の方
法で試験した。高ジルコニア溶融耐火物を資料とし、大
きさ100×150×350mmの引け巣のない試料3
枚を耐火物の上に並べて、それらの周囲を断熱材で囲っ
た。そして、試料の上方に発熱体を設け、試料の150
×350mmの面を加熱した。このようにして加熱され
た面は、0.1℃/分の割合で常温から1000℃まで
昇温した。このときの試料の破損の有無、つまり片面加
熱時の破損の有無を観察した。その結果を表2に示す。
留歪ともいう)を次の方法で測定した。各実施例の高ジ
ルコニア溶融耐火物を試料とし、歪みゲージを使った穿
孔法によって、大きさ100×150×350mmの引
け巣のない試料の表面における6カ所の残留応力を測定
した。その測定結果を表2に示す。ただし、残留応力が
圧縮力の場合は、その絶対値の最大値に+を付けて示
し、張力の場合は、その絶対値の最大値に−を付けて示
す。前述のように、高ジルコニア溶融耐火物に特有な昇
温時の破損は、表面の残留応力と密接な関係にある。
MPa以下の圧縮力、または80MPa以下の張力であ
るので、高ジルコニア溶融耐火物は、片面加熱の試験に
おいて破損しない。
ために、各実施例について次のような方法で試験を行っ
た。まず、大きさ30×40×40mmの試料を各実施
例の高ジルコニア溶融耐火物から切り出した。次に、1
250℃に60分間保持した後、800℃に60分間保
持した。これを1回として20回繰り返した。そして、
各資料について割れの有無を観察した。その結果を表2
に示す。
おける電気抵抗を測定した。その結果を表2に示す。表
2中の電気抵抗の欄に記載の記号「−」は、化学成分か
ら容易に推定できるため測定の対象としなかったことを
示す。
明の化学成分の範囲内であり、残留応力が50MPa以
下の圧縮力、または80MPa以下の張力であれば、割
れのない優れた特性を有する高ジルコニア溶融耐火物が
得られる。例えば、片面加熱時の破損を防止したり、熱
サイクルによる破損を防止することができる。
力、または50MPa以下の張力である場合は、さらに
優れた特性を有する高ジルコニア溶融耐火物が得られ
る。
2OとK2Oを同時に添加することが効果的である。
Na2Oの含有量が、その他の実施例と比較して多く、
しかも片面加熱による破損が無かった。その理由は、B
2O3やBaO、SrO、MgOなどの添加によって、
Na2Oの働きが抑えられて残留応力の圧縮力が小さく
なったからである。
較例1〜14を比較する。
て、B2O3、BaO、SrO、MgOを含有せず、P
2O5を含有する。そのため、Na2Oの作用およびN
a2OとP2O5の相互作用により、残留応力として残
った圧縮力が大きく、片面加熱の試験においてはコーナ
ー角欠および面の一部の剥離などの破損があった。
って、B2O3、BaO、SrO、MgOを含有しな
い。そのため、Na2O、Al2O3、SiO2がガラ
ス相の主成分であり、残留応力として残った圧縮力が大
きく、片面加熱時に破損があった。特に、比較例3は、
500℃付近で大きく割れて飛散した。
て、Na2Oを含有せず、アルカリ金属酸化物としてK
2Oだけを含有し、残留応力として残った張力が80M
Paより大きい。そのため、片面加熱による割れが発生
する。さらに、熱サイクルによる割れも発生する。
て、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属酸化物を含ま
ない。そのため、残留応力としてかなり大きい張力が残
った。この耐火物を片面加熱試験した結果、大きい圧縮
力の場合と異なって飛散せずに、長さ方向に2分割する
ように割れが生じた。
含まないことによって、高電気抵抗の特性を有する。
ルカリ金属酸化物としてNa2OとK2Oを等モル添加
することによって、高電気抵抗にし、しかも片面加熱時
の破損を防止することができる。例えば、実施例9は、
Na2OとK2Oを等モル添加して、さらにB2O3お
よびイオン半径の大きいアルカリ土類金属酸化物のBa
Oを添加することによって高電気抵抗の耐火物を得てい
る。
って、BaO、SrO、MgOを含有せず、P2O5を
含有する。そのため、残留応力として残った張力は小さ
い。しかし、P2O5を含有していることから、熱サイ
クルの試験においては表面が厚さ方向に剥がれ落ちる現
象が見られた。これは、P2O5の揮発によって、試料
の表面と内部でガラス相の成分が変わり膨脹率が変わる
ためである。
Na2Oを含有せず、アルカリ金属酸化物としてK2O
だけを含有し、残留応力として残った圧縮力が小さく、
片面加熱の試験においても破壊が生じない。しかし、ア
ルカリ金属酸化物としてK2Oだけを含有し、Na2O
を含有しないので、熱サイクルに対する抵抗が弱かっ
た。従って、K2Oを添加する場合はNa2Oと同時に
添加する必要がある。
ない。
研磨したり、切断したりしてもよい。それによって、残
留応力をある程度だけ減少させることができる。ただ
し、このような方法によっては、残留応力を大巾に解消
することはできない。
O2の含有量が85〜96重量%であり、SiO2の含
有量が3〜8重量%であり、Al2O3の含有量が0.
1〜2重量%であり、B2O3の含有量が0.05〜3
重量%であり、BaOとSrOとMgOの含有量が合わ
せて0.05〜3重量%であり、Na2Oの含有量が
0.05重量%以上であり、かつNa2OとK2Oの含
有量が合わせて0.05〜0.6重量%であり、Fe2
O3とTiO2の含有量が合わせて0.3重量%以下で
あり、P2O5とCuOが実質的に含まれないので、表
面における残留応力を制御して片面加熱時の破損を防止
し、しかも熱サイクルによる破損を防止することができ
る。
ニア溶融耐火物における特有の破損、特に築炉後の熱上
げ時の比較的低い温度でよく起きる破損、例えば亀裂、
角欠、剥がれ(ピーリング)、爆裂的飛散など、いわゆ
る熱的スポーリングに対する抵抗特性を著しく向上させ
て、熱上げ時に破損を完全に無くすことができる。
ガラスを着色しないという特長を持つことができる。
高耐食性で割れのない高ジルコニア溶融耐火物、特に4
00〜600℃における熱的スポーリング特性および電
気的特性を著しく向上させた高ジルコニア溶融耐火物に
関するものである。
りZrO2(ジルコニア、あるいは酸化ジルコニウムと
もいう)を多量に含む溶融耐火物が多用されている。こ
の理由は、ZrO2(ジルコニア)が溶融ガラスに対し
て特に耐食性の大きい金属酸化物だからである。例え
ば、この様な溶融耐火物として、ZrO2を34〜41
重量%含むAl2O3−ZrO2−SiO2質溶融耐火
物(以下、AZS系耐火物という)や、ZrO2を80
重量%以上含む高ジルコニア溶融耐火物などが使用され
ている。
物の使用が特に増加している。
次に説明するような優れた特徴を有するからである。Z
rO2(ジルコニア)の含有量が高いことと、組織が緻
密であることから、高ジルコニア溶融耐火物は、あらゆ
る種類の溶融ガラスに対して耐食性に優れているという
特徴を有する。さらに、溶融ガラスと接触した際に、耐
火物とガラスの界面に反応層を作らないので、ガラス中
にストーンやコードを発生させることがないという特徴
も有する。従って、この高ジルコニア溶融耐火物を使用
して溶融されたガラスには、ストーンやコードが非常に
少ない。
学成分に起因してガラス中に泡が発生する現象、いわゆ
る発泡に関しては、高ジルコニア溶融耐火物を十分な酸
化状態にすることによって、あるいは高ジルコニア溶融
耐火物中に含まれるFe2O3(三酸化二鉄)、TiO
2(二酸化チタン)、CuO(酸化第二銅)などの成分
を一定量以下にすることによってほとんど解消してい
る。
融耐火物は、一般用ガラスの分野に限らず、非常に特殊
なガラスの分野でも、ガラスを溶解するための炉材とし
て使用されている。
分を占める単斜晶系ジルコニア結晶と少量のガラス相か
ら構成されている。ジルコニア結晶は、1150℃付近
で急激な体積変化を伴って単斜晶系と正方晶系の可逆的
な変態を起こすことが良く知られている。
耐火物を得るためには、この変態に伴う体積変化をいか
にしてガラス相に吸収させるかが大きな課題である。
ろな提案がされている。
には、SiO2(シリカ、あるいは二酸化ケイ素ともい
う)を1〜4重量%含み、かつSiO2の含有量に対す
るAl2O3(アルミナ、あるいは酸化アルミニアムと
もいう)の含有量の比(Al2O3/SiO2)を0.
5〜1.0とし、かつCaO(酸化カルシウム)とMg
O(酸化マグネシウム)を僅かに添加した成分が提案さ
れている。その他にも、特開昭56−129675号公
報には、P2O5(五酸化二リン)を添加することによ
ってガラス相を軟らかくすることが提案されている。
な化学成分のガラス用の溶解炉として、電気による溶融
炉が増えたことから、高ジルコニア溶融耐火物の電気抵
抗を高くすることも課題になっている。
59576号公報には、導電性の良いアルカリ金属酸化
物の含有量を減少させ、かつP2O5とB2O3(三酸
化二ホウ素)を添加してガラス相を形成することが提案
されている。その他にも、特開昭63−285173号
公報には、Na2O(酸化ナトリウム)を含有せずに、
イオン半径の大きいK2O(酸化カリウム)、Rb2O
(酸化ルビジウム)、Cs2Oなどを含有し、かつアル
カリ土類金属酸化物を含有して、ガラス相を形成した電
気抵抗の高い高ジルコニア溶融耐火物が開示されてい
る。その他にも、特開平4−193766号公報には、
アルカリ土類金属酸化物を含有してガラス相を形成した
電気抵抗の高い高ジルコニア溶融耐火物が開示されてい
る。
ることも課題になっている。
8175号公報には、P2O5はガラス相中においてジ
ルコン形成剤として働く性質を有するので、熱サイクル
に対する抵抗を向上させるためには、P2O5を含有し
ない方が良いという提案がされている。
物においては、作製時に割れのない高ジルコニア溶融耐
火物を得ることや、高い電気抵抗を有する高ジルコニア
溶融耐火物を得ることや、熱サイクルに対する特性に優
れた高ジルコニア溶融耐火物を得ることが主な目的であ
り、それぞれの目的を達成するために数多くの改善提案
がされている。
高ジルコニア溶融耐火物を使用してガラス溶解炉を築炉
した場合は、築炉後の昇温途中で高ジルコニア溶融耐火
物のコーナー部が割れて飛んだり、炉内面として使用さ
れた高ジルコニア溶融耐火物の表面の一部が貝殻状とな
って剥がれたりする事故や、さらに重大な例としては、
ペーブとして使用された高ジルコニア溶融耐火物がほぼ
全域にわたって爆発的に割れて飛散する事故が起きてい
る。
事故は、炉の設計や昇温の失敗などによって起こり得る
が、炉の設計や昇温などが良好である場合にも起きてい
る。
外の溶融耐火物、例えばAZS系耐火物、コランダム系
耐火物、α−βアルミナ系耐火物、ムライト系耐火物を
使用した場合は、そのような破損事故が起こらない。し
たがって、前述の破損事故は、高ジルコニア溶融耐火物
に特有な現象であると考えられる。
分において、溶融ガラスに対する耐食性が非常に弱くな
る。そのため、溶融ガラス中にストーンやコードなどの
欠陥を生成したり、破損部分の割れた隙間に溶融ガラス
が入り込むことによって侵食を助長したり、泡を巻き込
んだりして重大なガラス欠陥を引き起こすという問題が
生じる。このように、従来は、前述の高ジルコニア溶融
耐火物の利点を最大限に引き出すことができないという
問題がある。
明するために、後述する実施例1〜14と同様の方法
で、前述の従来の提案による化学成分を含む高ジルコニ
ア溶融耐火物(比較例1〜14)を作製して、それらに
ついて、表面の残留応力、片面加熱時の破損の有無、熱
サイクルによる亀裂の有無を調べた。その結果を表1に
示す。
6−129675号公報および特開平3−28175号
公報に開示された化学成分の耐火物すなわち比較例1、
2および比較例3、4、5においては、いずれも作製時
点で割れは無く、耐火物表面に残留応力として圧縮力が
残存しており、その圧縮力の大きさは50MPaを越え
ていた。また、特開昭63−285173号公報および
特開平4−193766号公報に開示された化学成分の
耐火物すなわち比較例6、7および比較例8〜11にお
いては、いずれも作製時点での割れは無く、耐火物表面
に残留応力として張力が残存し、その張力の大きさは8
0MPaを越えていた。そして、比較例1〜11におい
ては、いずれも片面加熱時に破損が生じていた。
示された組成の耐火物すなわち比較例12、13におい
ては、残留応力が小さく、片面加熱時の破損はなかっ
た。しかし、熱サイクルによる亀裂が発生した。
AZS系耐火物、コランダム系耐火物、α−βアルミナ
系耐火物、ムライト系耐火物においては、表面に残留応
力として張力が残存する。これらの耐火物の中で、最も
大きい張力が残存するのは、ZrO2を34重量%含む
AZS系耐火物であり、その張力の大きさは50MPa
を越えることはない。しかも、これらの耐火物において
は、片面加熱時に破損が生じない。
耐火物と比較例1〜14とを比較すると明らかなよう
に、残留応力の種類や大きさが、片面加熱時の破損の要
因である。
冷する過程で発生する。したがって、残留応力は、使用
する鋳型の種類や徐冷速度によって大きく影響を受ける
と考えられる。
だけでは、残留応力の種類や大きさを制御することがで
きない。例えば、鋳型の種類や徐冷速度を同様にして前
述の従来の高ジルコニア溶融耐火物をそれぞれ作製した
場合、それらの中には、残留応力の種類として張力を持
つものと、圧縮力を持つものがある。つまり、全く逆の
種類の残留応力を持つ2種類の高ジルコニア溶融耐火物
が存在し、残留応力の種類が制御されていない。
損を防止できたとしても、比較例12〜14のように熱
サイクルによる割れがある場合は、前述の同様の問題が
生じる。
実験を重ねた結果、本発明者らは、高ジルコニア溶融耐
火物のガラス相の成分を調整することにより、膨脹係数
を変化させて残留応力を制御できることを見出した。
融耐火物の常温での曲げ強度は、本発明者らの測定によ
れば90〜130MPaの範囲である。つまり、高ジル
コニア溶融耐火物に発生する張力または圧縮力がこの範
囲を越えると、亀裂が入って破損する。
ルコニア溶融耐火物が昇温される場合は、その加熱面が
高温になって膨脹しようとするので、それと反対の力で
ある圧縮力が耐火物表面に働く。したがって、高ジルコ
ニア溶融耐火物の表面における残留応力が圧縮力である
場合は、加熱による圧縮力と残留応力の合力が高ジルコ
ニア溶融耐火物の表面に働くことから、残留応力が比較
的小さくても昇温時に割れなどの破損が起きやすい。一
方、残留応力が張力である場合は、加熱による圧縮力が
残留応力を解放する方向に働くことから、残留応力が比
較的大きくても昇温時に割れなどの破損が起きにくい。
割れが生じないようにするためには、残留応力が圧縮力
の場合に、前述の特開昭56−129675号公報、特
開平3−28175号公報に提案されている耐火物の圧
縮力よりも小さくし、残留応力が張力の場合に、特開昭
63−285173号公報、特開平4−193766号
公報に提案されている耐火物の張力よりも若干小さくす
べきである。
系耐火物、α−βアルミナ系耐火物、ムライト系耐火物
が、築炉後のガラス炉において昇温時に高ジルコニア溶
融耐火物と違って破損しないのは、各耐火物の表面に残
っている残留応力が、その耐火物の機械的強度を越えな
い大きさの張力であることによる。
有の破損は、400〜600℃で全て起こっている。つ
まり、耐火物のガラス相が軟化する前に、比較的低温で
全て起こっている。
いようにするためには、ガラス相を構成する成分の選択
が極めて重要であることは明らかである。
や、作製時に耐火物に亀裂などの欠陥が出ないようにす
ることや、熱サイクルによって亀裂が出ないようにする
ことも望まれている。そのためにも、ガラス相の化学成
分を工夫する必要がある。
62−59576号公報に、電気抵抗を高くするため
に、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属酸化物を添加
せずに作製された高ジルコニア溶融耐火物が示されてい
る。しかし、この耐火物は、溶融ガラスと接触すること
によって、イオンの拡散を生じる。それによって、溶融
ガラス成分と耐火物のガラス相成分の置換が起こり、耐
火物の電気抵抗が低くなるという現象が生じる。
63−285173号公報には、大きなイオン半径を有
して置換を起こしにくいアルカリ金属酸化物のK2O、
アルカリ土類金属酸化物のBaOやSrOを添加するこ
とが示されている。しかし、この耐火物においては、残
留応力として張力が大きく、片面加熱時に破損しやすい
という問題がある。
提案は、作製時に得られた耐火物に割れが発生しないよ
うに、ガラス相の成分について種々の工夫を行ってい
る。しかし、実際にガラス炉を築炉して熱上げをしたと
きに起こりうる状況、すなわち片面加熱時の状況につい
て、充分に考慮がなされている訳ではない。
報は、極めて小さい試料を炉内に入れて熱サイクルに対
する抵抗性を調べている。しかし、小さい試料の全体が
炉内に入っていることから、試料に部分的な温度差が出
にくく、実際の耐火物の使用条件とは大きく異なる。実
際の耐火物の使用条件では、次のように耐火物に部分的
な温度差が生じる。実際のガラス炉においては、築炉し
た後に炉内を昇温していくため、炉壁として使用される
耐火物は炉内部分と炉外部分の間で温度差を生じる。す
なわち、昇温時において、各耐火物の炉内面と炉外面が
同じ温度になることはない。
て、従来の高ジルコニア溶融耐火物に特有の破損、つま
り片面加熱時の破損を防止し、しかも熱サイクルに対す
る抵抗性を向上させることを目的とする。さらに電気抵
抗を向上させることも目的とする。
に種々の研究を重ねた結果、本願の第1発明は、化学成
分として、ZrO2の含有量が85〜96重量%であ
り、SiO2の含有量が3〜8重量%であり、Al2O
3の含有量が0.1〜2重量%であり、B2O3の含有
量が0.05〜3重量%であり、BaOとSrOとMg
Oの含有量が合わせて0.05〜3重量%であり、Na
2Oの含有量が0.05重量%以上であり、かつNa2
OとK2Oの含有量が合わせて0.05〜0.6重量%
であり、Fe2O3とTiO2の含有量が合わせて0.
3重量%以下であり、P2O5とCuOが実質的に含ま
れないことを特徴とする高ジルコニア溶融耐火物を要旨
とする。
て、ZrO2の含有量が90〜95重量%であり、Si
O2の含有量が3〜5.5重量%であり、Al2O3の
含有量が0.1〜1.5重量%であり、B2O3の含有
量が0.05〜2重量%であり、BaOとSrOとMg
Oの含有量が合わせて0.05〜2重量%であり、Na
2Oの含有量が0.05重量%以上であり、かつNa2
OとK2Oの含有量が合わせて0.05〜0.3重量%
であり、Fe2O3とTiO2の含有量が合わせて0.
3重量%以下であり、P2O5とCuOが実質的に含ま
れないことを特徴とする高ジルコニア溶融耐火物を要旨
とする。
ことは、0.05重量%以下の含有量であるということ
であり、意図的に添加しないことを意味する。
表面に残留する残留応力は、80MPa以下の張力、ま
たは50MPa以下の圧縮力であることが好ましい。
5〜0.55重量%であり、電気抵抗が150Ω・cm
以上であることが好ましい。
含有量は、85〜96重量%、好ましくは90〜95重
量%である。ZrO2が96重量%より多い場合は、割
れの無い耐火物が得られず、85重量%より少ない場合
は、溶融ガラスに対する耐食性が劣る。
しくは3〜5.5重量%である。SiO2はガラス相を
形成するための必須成分である。3重量%より少ない場
合は、ガラス相を形成することができない。8重量%よ
り多い場合は、溶融ガラスに対する耐食性が劣る。
%、好ましくは0.1〜1.5重量%である。Al2O
3は残留応力の張力を小さくし、しかも溶融物の流れを
良くする性質がある。0.1重量%より少ない場合は、
そのような性質が生かされない。2重量%より多い場合
は、残留応力の圧縮力を大きくし、しかも安定したガラ
ス相を形成できないので、割れのない耐火物が得られな
い。
%、好ましくは0.05〜2重量%である。B2O3は
硼珪酸ガラスを形成するために必須の成分であり、本発
明において重要な役割を果たしている。例えば、高ジル
コニア溶融耐火物の作製時において割れを抑制するのに
大きな役割を果たす。0.05重量%より少ない場合
は、このような役割を果たせない。3重量%より多い場
合は、残留応力の張力を大きくするという問題がある。
さらに過度に添加した場合は、高ジルコニア溶融耐火物
に吸湿性をもたせ、それによりH3BO4を形成し風化
を生じて耐火物組織に悪い影響を与えるという現象が生
じる。
Oなどのアルカル金属酸化物を添加するので、極めて安
定な硼珪酸ガラスを形成することができ、それによって
前述の現象を防止できる。このような硼珪酸ガラスは、
ガラス相としても安定である。Na2OやK2Oは、B
2O3を安定な硼珪酸ガラスにするために不可欠な成分
である。
トロンチウム)、MgOの含有量は、合計で0.05〜
3重量%、好ましくは0.05〜2重量%である。それ
によって、十分安定なガラス相を形成するので、ガラス
相を調整するために非常に重要である。0.05重量%
より少ない場合は、安定なガラス相を形成できない。
金属酸化物であり、ガラス相の成分である。それらは、
溶解時の揮発が少なく成分調整が容易であるから、安定
なガラス相を形成する性質がある。このため、高ジルコ
ニア溶融耐火物を加熱した場合に、仮に高ジルコニア溶
融耐火物からアルカリ金属の一部が揮発してガラス相が
変化しても、P2O5と違ってジルコンなどの結晶を生
成させることがなく、熱サイクルに対する抵抗を極端に
低下させることがないという利点がある。
スク、ブラウン管ガラス、液晶用ガラスには、BaO、
SrO、MgOが含まれている場合が多い。従って、電
子用ガラスの溶解炉に本発明の高ジルコニア溶融耐火物
を使用した場合、溶融ガラスと耐火物のガラス相の両方
に同じ成分が含まれることから、イオンの拡散が起こり
にくく、耐火物の侵食が遅くなるという利点もある。
必須成分であるが、その含有量の合計が3重量%より多
い場合は、B2O3と同様に残留応力の張力を大きくす
る働きがある。
少なくとも1種類を含有すればよく、2種類以上の任意
のものを組み合わせて含有することもできる。しかし、
それぞれの性質やガラス相中での安定性を考慮すると、
少なくともBaOを含有することが好ましい。つまり、
1種類を使用する場合は、BaOを優先的に含有し、2
種類以上を含有する場合は、BaOとSrO、あるいは
BaOとMgO、あるいはBaOとSrOとMgOを組
合せて含有することが効果的である。
であり、かつNa2OとK2Oを合わせた含有量は、
0.05〜0.6重量%、好ましくは0.05〜0.3
重量%である。つまり、Na2Oだけ含有するか、また
はNa2OとK2Oを組み合わせて含有する。それによ
って、残留応力の張力を小さくする。しかし、Na2O
とK2Oを合わせた含有量が0.6重量%より多い場合
は、残留応力の圧縮力を大きくする。
しては、Na2OとK2Oの他に前述のAl2O3があ
る。しかし、その含有量に制限があるため、Na2Oと
K2Oを含有せずにAl2O3だけを含有する場合は、
B2O3およびアルカリ土類金属酸化物で発生する張力
を十分に緩和できない。ゆえに、Na2OおよびK2O
は、この点からも重要な作用をもつ成分である。
添加した場合は、例えば比較例6、7のように、残留応
力としての張力を小さくすることができないので、片面
加熱時に破損が生じ、しかも熱サイクルに対する抵抗が
劣るため良くない。
特性を向上させるために、つまり高電気抵抗にするため
に、Na2Oの含有量とK2Oの含有量をそれぞれ0.
05〜0.55重量%にすることが好ましい。つまり、
Na2OとK2Oをそれぞれ0.05重量%以上含有す
ることが効果的である。最も効果の大きいのは、Na2
OとK2Oを等モル比で添加することである。
Oを含有することにより、片面加熱時の破損を防止し、
しかも高電気抵抗にすることができる。
まない高ジルコニア溶融耐火物においては、張力を小さ
くし、圧縮力を大きくする働きがあり、ガラス相を軟ら
かくするため、作製時に割れがない耐火物を作るために
有効である。しかし、B2O3と同時に添加する場合
は、低融点ガラスを形成し化学的な耐久性を極端に低下
させる性質がある。P2O5は、この他に、熱サイクル
に対する抵抗性を低下させる性質や、原料の吸湿性によ
り緻密な耐火物を作りにくい性質がある。それに、Cu
Oは、割れを少なくする点で効果を奏するが、溶融ガラ
スを着色することから、CuOを含む耐火物の使用は制
限される。
CuOやP2O5の添加をしない。つまり、本発明は、
実質的にCuOとP2O5を含有しない。
て混入しうるが、割れの発生に影響することから、それ
らの含有量は合わせて0.3重量%を越えてはならな
い。
ける残留応力は、80MPa以下の張力、または50M
Pa以下の圧縮力である。好ましくは、残留応力が60
MPa以下の張力、または30MPa以下の圧縮力であ
る。それによって、諸特性に優れた高ジルコニア溶融耐
火物になる。例えば、片面加熱時の破損や、熱サイクル
による破損を防止することができる。
融耐火物について説明する。
として、ZrO2の含有量が85〜96重量%であり、
SiO2の含有量が3〜8重量%であり、Al2O3の
含有量が0.1〜2重量%であり、B2O3の含有量が
0.05〜3重量%であり、BaOとSrOとMgOの
含有量が合わせて0.05〜3重量%であり、Na2O
の含有量が0.05重量%以上であり、かつNa2Oと
K2Oの含有量が合わせて0.05〜0.6重量%であ
り、Fe2O3とTiO2の含有量が合わせて0.3重
量%以下であり、P2O5とCuOが実質的に含まれ
ず、割れのないことを特徴とする。
は、化学成分として、ZrO2の含有量が90〜95重
量%であり、SiO2の含有量が3〜5.5重量%であ
り、Al2O3の含有量が0.1〜1.5重量%であ
り、B2O3の含有量が0.05〜2重量%であり、B
aOとSrOとMgOの含有量が合わせて0.05〜2
重量%であり、Na2Oの含有量が0.05重量%以上
であり、かつNa2OとK2Oの含有量が合わせて0.
05〜0.3重量%であり、Fe2O3とTiO2の含
有量が合わせて0.3重量%以下であり、P2O5とC
uOが実質的に含まれず、割れのないことを特徴とす
る。
物の表面における残留応力が80MPa以下の張力、ま
たは50MPa以下の圧縮力である。
05重量%以上であり、電気抵抗が150Ω・cm以上
である。
融耐火物に含まれる化学成分とそれらの含有量を示す。
表2中の含有量の欄に記載の記号「−」は、0.05重
量%未満の含有量を示し、実質的に含まないことを意味
する。また、「≦0.3」は、0.3重量%以下の含有
量を示す。また、Fe2O3とTiO2については、そ
れらの合計の含有量を示す。
のようにして製造された。
た人工ジルコニアを用意し、この人工ジルコニアに、A
l2O3、SiO2、B2O3、Na2O、K2O、B
aO、SrO、MgO等を粉末原料として各実施例の所
定の割合で加え、これらを混合した後、アーク電気炉内
で溶融し、内部寸法100×150×350mmの黒鉛
製鋳型に注入して鋳造し、バイヤーアルミナの粉末中に
埋没させて室温になるまで徐冷した。このようにして表
2の化学成分を有する各実施例の高ジルコニア溶融耐火
物を製造した。
の破損の有無を調べるために、各実施例について次の方
法で試験した。高ジルコニア溶融耐火物を資料とし、大
きさ100×150×350mmの引け巣のない試料3
枚を耐火物の上に並べて、それらの周囲を断熱材で囲っ
た。そして、試料の上方に発熱体を設け、試料の150
×350mmの面を加熱した。このようにして加熱され
た面は、0.1℃/分の割合で常温から1000℃まで
昇温した。このときの試料の破損の有無、つまり片面加
熱時の破損の有無を観察した。その結果を表2に示す。
留歪ともいう)を次の方法で測定した。各実施例の高ジ
ルコニア溶融耐火物を試料とし、歪みゲージを使った穿
孔法によって、大きさ100×150×350mmの引
け巣のない試料の表面における6カ所の残留応力を測定
した。その測定結果を表2に示す。ただし、残留応力が
圧縮力の場合は、その絶対値の最大値に+を付けて示
し、張力の場合は、その絶対値の最大値に−を付けて示
す。前述のように、高ジルコニア溶融耐火物に特有な昇
温時の破損は、表面の残留応力と密接な関係にある。
MPa以下の圧縮力、または80MPa以下の張力であ
るので、高ジルコニア溶融耐火物は、片面加熱の試験に
おいて破損しない。
ために、各実施例について次のような方法で試験を行っ
た。まず、大きさ30×40×40mmの試料を各実施
例の高ジルコニア溶融耐火物から切り出した。次に、1
250℃に60分間保持した後、800℃に60分間保
持した。これを1回として20回繰り返した。そして、
各資料について割れの有無を観察した。その結果を表2
に示す。
おける電気抵抗を測定した。その結果を表2に示す。表
2中の電気抵抗の欄に記載の記号「−」は、化学成分か
ら容易に推定できるため測定の対象としなかったことを
示す。
明の化学成分の範囲内であり、残留応力が50MPa以
下の圧縮力、または80MPa以下の張力であれば、割
れのない優れた特性を有する高ジルコニア溶融耐火物が
得られる。例えば、片面加熱時の破損を防止したり、熱
サイクルによる破損を防止することができる。
力、または50MPa以下の張力である場合は、さらに
優れた特性を有する高ジルコニア溶融耐火物が得られ
る。
2OとK2Oを同時に添加することが効果的である。
Na2Oの含有量が、その他の実施例と比較して多く、
しかも片面加熱による破損が無かった。その理由は、B
2O3やBaO、SrO、MgOなどの添加によって、
Na2Oの働きが抑えられて残留応力の圧縮力が小さく
なったからである。
較例1〜14を比較する。
て、B2O3、BaO、SrO、MgOを含有せず、P
2O5を含有する。そのため、Na2Oの作用およびN
a2OとP2O5の相互作用により、残留応力として残
った圧縮力が大きく、片面加熱の試験においてはコーナ
ー角欠および面の一部の剥離などの破損があった。
って、B2O3、BaO、SrO、MgOを含有しな
い。そのため、Na2O、Al2O3、SiO2がガラ
ス相の主成分であり、残留応力として残った圧縮力が大
きく、片面加熱時に破損があった。特に、比較例3は、
500℃付近で大きく割れて飛散した。
て、Na2Oを含有せず、アルカリ金属酸化物としてK
2Oだけを含有し、残留応力として残った張力が80M
Paより大きい。そのため、片面加熱による割れが発生
する。さらに、熱サイクルによる割れも発生する。
て、Na2O、K2Oなどのアルカリ金属酸化物を含ま
ない。そのため、残留応力としてかなり大きい張力が残
った。この耐火物を片面加熱試験した結果、大きい圧縮
力の場合と異なって飛散せずに、長さ方向に2分割する
ように割れが生じた。
含まないことによって、高電気抵抗の特性を有する。
ルカリ金属酸化物としてNa2OとK2Oを等モル添加
することによって、高電気抵抗にし、しかも片面加熱時
の破損を防止することができる。例えば、実施例9は、
Na2OとK2Oを等モル添加して、さらにB2O3お
よびイオン半径の大きいアルカリ土類金属酸化物のBa
Oを添加することによって高電気抵抗の耐火物を得てい
る。
って、BaO、SrO、MgOを含有せず、P2O5を
含有する。そのため、残留応力として残った張力は小さ
い。しかし、P2O5を含有していることから、熱サイ
クルの試験においては表面が厚さ方向に剥がれ落ちる現
象が見られた。これは、P2O5の揮発によって、試料
の表面と内部でガラス相の成分が変わり膨脹率が変わる
ためである。
Na2Oを含有せず、アルカリ金属酸化物としてK2O
だけを含有し、残留応力として残った圧縮力が小さく、
片面加熱の試験においても破壊が生じない。しかし、ア
ルカリ金属酸化物としてK2Oだけを含有し、Na2O
を含有しないので、熱サイクルに対する抵抗が弱かっ
た。従って、K2Oを添加する場合はNa2Oと同時に
添加する必要がある。
ない。
研磨したり、切断したりしてもよい。それによって、残
留応力をある程度だけ減少させることができる。ただ
し、このような方法によっては、残留応力を大巾に解消
することはできない。
O2の含有量が85〜96重量%であり、SiO2の含
有量が3〜8重量%であり、Al2O3の含有量が0.
1〜2重量%であり、B2O3の含有量が0.05〜3
重量%であり、BaOとSrOとMgOの含有量が合わ
せて0.05〜3重量%であり、Na2Oの含有量が
0.05重量%以上であり、かつNa2OとK2Oの含
有量が合わせて0.05〜0.6重量%であり、Fe2
O3とTiO2の含有量が合わせて0.3重量%以下で
あり、P2O5とCuOが実質的に含まれないので、表
面における残留応力を制御して片面加熱時の破損を防止
し、しかも熱サイクルによる破損を防止することができ
る。
ニア溶融耐火物における特有の破損、特に築炉後の熱上
げ時の比較的低い温度でよく起きる破損、例えば亀裂、
角欠、剥がれ(ピーリング)、爆裂的飛散など、いわゆ
る熱的スポーリングに対する抵抗特性を著しく向上させ
て、熱上げ時に破損を完全に無くすことができる。
ガラスを着色しないという特長を持つことができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 化学成分として、ZrO2の含有量が8
5〜96重量%であり、SiO2の含有量が3〜8重量
%であり、Al2O3の含有量が0.1〜2重量%であ
り、B2O3の含有量が0.05〜3重量%であり、B
aOとSrOとMgOの含有量が合わせて0.05〜3
重量%であり、Na2Oの含有量が0.05重量%以上
であり、かつNa2OとK2Oの含有量が合わせて0.
05〜0.6重量%であり、Fe2O3とTiO2の含
有量が合わせて0.3重量%以下であり、P2O5とC
uOが実質的に含まれないことを特徴とする高ジルコニ
ア溶融耐火物。 - 【請求項2】 化学成分として、ZrO2の含有量が9
0〜95重量%であり、SiO2の含有量が3〜5.5
重量%であり、Al2O3の含有量が0.1〜1.5重
量%であり、B2O3の含有量が0.05〜2重量%で
あり、BaOとSrOとMgOの含有量が合わせて0.
05〜2重量%であり、Na2Oの含有量が0.05重
量%以上であり、かつNa2OとK2Oの含有量が合わ
せて0.05〜0.3重量%であり、Fe2O3とTi
O2の含有量が合わせて0.3重量%以下であり、P2
O5とCuOが実質的に含まれないことを特徴とする高
ジルコニア溶融耐火物。 - 【請求項3】 表面における残留応力が80MPa以下
の張力、または50MPa以下の圧縮力であることを特
徴とする請求項1または請求項2記載の高ジルコニア溶
融耐火物。 - 【請求項4】 K2Oの含有量が0.05重量%以上で
あり、電気抵抗が150Ω・cm以上であることを特徴
とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の
高ジルコニア溶融耐火物。
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