JPH0836743A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH0836743A
JPH0836743A JP17462194A JP17462194A JPH0836743A JP H0836743 A JPH0836743 A JP H0836743A JP 17462194 A JP17462194 A JP 17462194A JP 17462194 A JP17462194 A JP 17462194A JP H0836743 A JPH0836743 A JP H0836743A
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JP
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magnetic recording
substrate
fullerene
recording medium
molecules
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JP17462194A
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Inventor
Hideyuki Akimoto
秀行 秋元
Iwao Okamoto
巌 岡本
Kenji Sato
賢治 佐藤
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、CSS方式の磁気ディスク装置に
おいて、磁気記録媒体の静止時に磁気ヘッドが磁気記録
媒体に吸着するのを防止する手段を施した磁気記録媒体
に関し、微小で、かつ大きさ及び密度が均一な凹凸が形
成されることにより、磁気ヘッドの吸着を回避する。 【構成】 基板11上に、下地層13と、磁気記録層1
4と、保護層15とが積層されている磁気記録媒体にお
いて、基板11上に、下地層13上に又は磁気記録層1
4上にフラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの集
合体12が島状に形成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体及びその
製造方法に関し、より詳しくは、CSS(コンタクト・
スタート・ストップ)方式の磁気ディスク装置におい
て、磁気記録媒体の静止時に磁気ヘッドが磁気記録媒体
に吸着するのを防止する手段を施した磁気記録媒体及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図5(a)は、従来例のCSS方式の磁
気ディスク装置を示す要部側面図である。CSS方式の
磁気ディスク装置は、情報を磁気的に記録し、或いは既
に情報が磁気的に記録された磁気ディスク1と、磁気を
介して記録された情報を読み取り、或いは磁気を介して
磁気ディスク1に情報を書き込む磁気ヘッドスライダ2
とを有する。磁気ヘッドスライダ2にはサスペンション
3により磁気ディスク1の方に向かう押圧力が付与され
ている。なお、4は磁気ディスク1に回転を付与する回
転軸である。
【0003】磁気ヘッドスライダ2は、図5(b)に示
すように、磁気ディスク1の静止時にサスペンション3
により押圧されて磁気ディスク1の表面に接触し、図5
(c)に示すように、磁気ディスク1の高速回転に伴
い、空気流により磁気ディスク1の表面から浮き上が
る。このとき、押圧力と浮上力との釣り合いにより磁気
ディスクの表面と磁気ヘッドスライダの間に適度な浮上
隙間(スペーシング)5が形成される。更なる高密度化
につれて、この浮上隙間5はより小さくなってきてお
り、サブミクロンオーダになっている。
【0004】従って、磁気ディスク1の表面の平坦化が
必要であるが、あまり平滑すぎると磁気ディスク1の静
止時に磁気ヘッドスライダ2の記録媒体表面への吸着現
象が生じ、磁気ディスク1の起動時に磁気ヘッドスライ
ダ2や磁気ディスク1に損傷を来す場合がある。このた
め、磁気ディスク1への磁気ヘッド2の吸着が生じず、
かつ磁気記録特性に支障を来さない程度に磁気ディスク
1の表面に微小な凹凸を生じさせる処理が行われてい
る。
【0005】即ち、一つには、磁気ディスク1の基板表
面にテクスチャ処理を施すことにより基板表面を適度に
荒らし、その上に磁気記録層や磁気記録層を保護するた
めの保護層を形成する方法がある。他には、SiO2
の非磁性微粒子を保護層に混在させ、非磁性微粒子の大
きさに対応する適度な粗さの表面を得る方法が試みられ
ている(特開平5−282666号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
基板にテクスチャ処理を施す方法は、研磨用テープなど
を用いた機械的な研磨によるものであり、凹凸の突起部
分が必要以上に鋭く、かつ高くなりがちである。更なる
高密度記録化に伴い、凹凸がより小さく、かつその大き
さや密度が均一なものが求められている現状では、従来
の機械研磨によるテクスチャ処理では十分でなくなって
きている。
【0007】また、非磁性微粒子を混在させる方法で
は、その粒径を10nm以下にするとヘッド吸着現象が
生じ、このため、1インチ平方当たり1Gb以上の記録
密度を実現するための低フライングハイト化を困難なも
のにしている。一方、グラファイトは固体潤滑性を有す
るため、SiO2 粒子の代わりに用いることによりヘッ
ド吸着現象の低減が期待されるが、現状では100nm
以下の微粒子とすることができないため、更なる高密度
記録化に適した磁気記録媒体への適用に対してはあまり
効果が期待できない。
【0008】本発明は、係る従来例の問題点に鑑みて創
作されたものであり、CSS方式の磁気記録装置におい
て、微小で、かつ大きさ及び密度が均一な凹凸が形成さ
れることにより磁気ヘッドの吸着を回避できる磁気記録
媒体及びその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、第1に、基
板上に、下地層と、磁気記録層と、保護層とが積層され
ている磁気記録媒体において、前記基板上に、前記下地
層上に又は前記磁気記録層上にフラーレン構造を有する
炭素分子又はそれらの集合体が島状に形成されてなるこ
とを特徴とする磁気記録媒体によって達成され、第2
に、前記フラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの
集合体はC60分子又はC60分子を主体とするものである
ことを特徴とする第1の発明に記載の磁気記録媒体によ
って達成され、第3に、基板と、下地層と、磁気記録層
と、保護層とを有する磁気記録媒体の製造方法におい
て、前記基板上に、前記下地層上に又は前記磁気記録層
上にフラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの集合
体を島状に形成することを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法によって達成され、第4に、前記基板を加熱した
状態で前記フラーレン構造を有する炭素分子のターゲッ
トにイオンを衝突させて前記ターゲットから前記炭素分
子をスパッタすることにより、前記基板上に,前記下地
層上に又は前記磁気記録層上に前記フラーレン構造を有
する炭素分子又はそれらの集合体を島状に形成すること
を特徴とする第3の発明に記載の磁気記録媒体の製造方
法によって達成され、第5に、前記基板を加熱した状態
で前記フラーレン構造を有する炭素分子の融液から前記
炭素分子を蒸発させ、かつ前記蒸発した炭素分子に電子
照射によりエネルギを付与して蒸着することにより、前
記基板上に,前記下地層上に又は前記磁気記録層上に前
記フラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの集合体
を島状に形成することを特徴とする第3の発明に記載の
磁気記録媒体の製造方法によって達成され、第6に、前
記フラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの集合体
はC60分子又はC60分子を主体とするものであることを
特徴とする第3乃至第5の発明のいずれかに記載の磁気
記録媒体の製造方法によって達成される。
【0010】
【作用】本発明の磁気記録媒体においては、基板上に、
下地層上に又は磁気記録層上にフラーレン構造を有する
炭素(C)分子またはそれらの集合体が島状に形成され
てなる。フラーレンはC60,C70,C76,C78,C80
の炭素分子が混在したものであり、分子径が7〜30Å
と小さく,かつその大きさの揃ったものが得られる。こ
のため、それらの集合したクラスタの大きさも10nm
程度と揃い、かつそれらの密度が均一となる。
【0011】従って、クラスタを被覆する最上層の保護
層の表面には適度な大きさの凹凸であって、大きさ及び
密度が均一な凹凸が生じるため、低フライングハイト化
が可能になる。また、フラーレン構造を有する炭素分子
は固体潤滑性の効果を期待でき、実験によれば、その効
果によると考えられる磁気ヘッドの吸着防止効果も得ら
れた。
【0012】これにより、磁気記録媒体の停止時の磁気
ヘッドの磁気記録媒体への吸着を防止することができ
る。また、本発明の磁気記録媒体の製造方法において、
フラーレン構造を有する炭素分子またはその集合体を島
状に形成するために、基板を加熱した状態で炭素分子の
ターゲットにイオンを衝突させてターゲットから炭素分
子をスパッタするスパッタ法を用い、或いは基板を加熱
した状態で炭素分子の融液から炭素分子を蒸発させ、か
つ蒸発した炭素分子に電子照射によりエネルギを付与し
て蒸着するイオンビーム蒸着法を用いている。
【0013】即ち、スパッタ法或いはイオンビーム蒸着
法により基板等の上に付着した炭素分子もC60,C70
76,C78,C80等フラーレンを構成する分子からな
る。それらは、イオン衝突により或いは電子照射により
得たエネルギ及び基板加熱温度により得たエネルギに応
答し、かつ自己の重さに応答して動き回り、かつ集合
し、適度な大きさのクラスタが均一な密度で基板等の上
に形成される。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例
について説明する。 (1)本発明の第1の実施例に係る磁気記録媒体の製造
方法についての説明 図1(a)〜(d)は本発明の第1の実施例に係る磁気
記録媒体の製造方法について示す断面図である。C60
70,C76,C78,C80等の集合体からなるフラーレン
クラスタを基板上に形成する。また、フラーレンクラス
タを形成するため、スパッタ法を用いる。
【0015】まず、図1(a)に示すように、強化ガラ
スからなる基板11上にフラーレンクラスタ12を形成
する。図3に示すマグネトロンRFスパッタ装置によ
り、フラーレンを焼結したターゲットを用いてスパッタ
法により形成する。以下に、その詳細について述べる。
スパッタ装置の成膜室21内に設けられた対向電極2
4,25のうち一方の対向電極(載置台)24上に基板
11を載置し、排気口22から排気して所定の圧力に保
持する。なお、他方の対向電極25はフラーレンからな
るターゲットとなっている。
【0016】次いで、対向電極24に内蔵のヒータによ
り基板11を加熱して温度約150℃に保持する。続い
て、ガス導入口23を介して成膜室21内にArガスを
導入し、圧力を10mTorr に保持する。次いで、電力密
度2.74W/cm2 の電力を対向電極24,25間に
印加する。これにより、Arガスがプラズマ化し、マグ
ネット27と対向電極24,25による電磁界によりA
rイオンが移動してフラーレンのターゲット25に衝突
し、フラーレン粒子を基板11表面に向かって飛散させ
る。飛散したフラーレン粒子は基板11上に付着する。
【0017】基板11表面に付着したフラーレン粒子
は、基板加熱温度によるエネルギも加わって、基板11
表面上を移動し、集合して10nm程度の適度な大きさ
のフラーレンクラスタ12が形成される。フラーレンは
60,C70,C76,C78,C80等の分子が混在したもの
であり、分子径が7〜30Åと小さい。しかも、基板加
熱温度や印加電力密度を調整することによってそのクラ
スタの大きさや密度の均一なものが得られる。実施例の
場合、クラスタの大きさが10nm程度で揃っている。
【0018】次に、スパッタ法により、Arガス圧5mT
orr ,基板温度280℃の条件で、フラーレンクラスタ
12を被覆して膜厚約50nmのCr膜(下地層)13
を形成する。次いで、スパッタ法により、Arガス圧5
mTorr ,基板温度280℃の条件で、Cr膜13上に膜
厚約15nmのCoCr12Ta2 膜(磁気記録層)14
を形成する。
【0019】次いで、スパッタ法により、Arガス圧1
0mTorr ,基板温度280℃の条件で、CoCr12Ta
2 膜14上に膜厚約10nmのC膜(保護層)15を形
成する。これにより、磁気記録媒体が完成する。このと
き、フラーレンクラスタ12の大きさや密度が均一であ
るため、フラーレンクラスタ12を被覆する最上層の保
護層15の表面には適度な大きさの凹凸であって、大き
さ及び密度が均一な凹凸が生じる。このため、低フライ
ングハイト化が可能になる。
【0020】次に、得られた磁気記録媒体の磁気特性を
調査した。その結果によれば、システムベースプレッシ
ャを5×10-7Torrとして得られた磁気記録媒体の磁気
特性は、tBr=100G・μm,Hc=1700Oe
であり、近年の磁気記録装置に対して十分に対応できる
値であった。なお、tは磁性層の膜厚を表し、Brは記
録後(H=0)の磁気記録媒体の残留磁化を表す。磁気
ヘッドの出力はtBrに比例する。また、Hcは保磁力
を表し、高密度記録を維持するためにはある程度の大き
さのHcが必要になる。
【0021】次に、得られた磁気記録媒体についてフラ
ーレンクラスタ12の密度と磁気ヘッド吸着の相関関係
を調査した。調査はスライド−摩擦係数(μs)特性を
測定することにより行った。測定条件は以下のとおりで
ある。 ・試験機 FJA(富士通オートメーション)製簡易摩擦試験機 ・評価試料 フラーレンクラスタ有り(本発明の実施例) フラーレンクラスタ無し(比較例) ・測定方法 回転数100rpm,1時間の摺動を3回繰り返し、摺 動前後で1rpmにて摩擦係数(μs)を測定した。
【0022】測定結果によれば、フラーレンクラスタ1
2を形成したものは、繰り返し測定を行っても、μsは
0.3以下であった。これに対して、フラーレンクラス
タ12を形成しなかったものは、測定開始時のμsは
0.8程度であり、測定の繰り返しにより磁気記録媒体
の保護層15が破壊するに至った。以上のように、本発
明の第1の実施例によれば、基板11上にフラーレンク
ラスタ12が島状に形成され、その上に下地層13,磁
気記録層14及び保護層15が積層されている。
【0023】上記のように、加熱した基板11上にスパ
ッタ法により形成されたフラーレンクラスタ12は大き
さが10nm程度と揃い、かつ均一な密度を有する。従
って、保護層15の表面には適度な高さの凹凸が適度な
密度で形成される。また、フラーレンクラスタ12は固
体潤滑性の効果を期待でき、その効果によると考えられ
る磁気ヘッドの吸着防止効果を得ることができた。
【0024】これにより、低フライングハイト化が可能
になり、かつ磁気記録媒体の停止時の磁気ヘッドの磁気
記録媒体表面への吸着を防止することができる。 (2)本発明の第2の実施例に係る磁気記録媒体の製造
方法についての説明 図2(a)〜(d)は本発明の第2の実施例に係る磁気
記録媒体の製造方法について示す断面図である。フラー
レンクラスタ12aを磁気記録層14a上に形成する。ま
た、フラーレンクラスタ12aを形成するため、図4に示
すクラスタイオンビーム蒸着装置を用いた。
【0025】まず、図2(a)に示すように、強化ガラ
スからなる基板11a上にスパッタ法により、Arガス圧
5mTorr ,基板温度280℃の条件で、基板11aを被覆
して膜厚約50nmのCr膜(下地層)13aを形成す
る。次いで、スパッタ法により、Arガス圧5mTorr ,
基板温度280℃の条件で、Cr膜13a上に膜厚約15
nmのCoCr12Ta2 膜(磁気記録層)14aを形成す
る。
【0026】次に、CoCr12Ta2 膜14a上にフラー
レンクラスタ12aを形成する。そのために、図4に示す
クラスタイオンビーム蒸着装置を用いる。これは、減圧
中でC60を溶融して蒸発させ、イオンビームにより蒸発
したC60分子からなるクラスタに運動エネルギを与え、
加熱された基板11a上にクラスタを堆積させる。その詳
細を以下に述べる。
【0027】蒸着装置の成膜室31内の保持具38に基
板11aを設置し、保持具38に内蔵されたヒータにより
加熱して温度150℃に保持する。続いて、排気口32
を介して成膜室31を排気し、圧力を1×10-6Torr以
上に保持する。次いで、減圧中で、坩堝(るつぼ)33
に入れたC60固体をヒータ34により温度600℃程度
に加熱し、C60分子を蒸発させる。坩堝33の出口を通
過したC60分子は断熱膨張過程を経て分子クラスタを形
成する。更に、カソード35より放たれた電子流により
これらクラスタを帯電させることでイオンビームとす
る。そして、直流電源37により加速電極36a,36b間
に印加された加速電圧(Vb)−600vでイオンビー
ムを加速し、そのイオンビームを照射して蒸発したC60
分子クラスタに更にエネルギを与える。エネルギを得た
60分子クラスタは基板11a方向に移動し、基板11a表
面に付着する。この場合、蒸着速度は2nm/minと
なる。
【0028】基板11a表面に付着したC60分子クラスタ
は、基板加熱温度によるエネルギも加わって、基板11a
表面上を移動し、集合して適度な大きさのフラーレンク
ラスタ12aが適度な密度で形成される。次いで、スパッ
タ法により、Arガス圧10mTorr ,基板温度160℃
の条件で、CoCr12Ta2 膜14a上に膜厚約10nm
のC膜(保護層)15aを形成する。これにより、磁気記
録媒体が完成する。フラーレンクラスタ12aを被覆する
最上層の保護層15aの表面には適度な大きさの凹凸であ
って、大きさ及び密度が均一な凹凸が生じる。
【0029】次に、得られた磁気記録媒体について表面
粗さ及びグライドハイトを調査した。比較のため、潤滑
剤を塗布した磁気記録媒体についても同様に調査した。
比較試料は次のようにして作成した。即ち、表面粗さR
a=6Åのガラス基板上にCr膜/CoCrTa膜/C
膜を順次形成した後、C膜の表面に潤滑剤を塗布した。
【0030】表面粗さは次のようにして調査した。即
ち、保護層15aの表面に探針を接触させ、表面の凹凸に
従って変動する探針の上下移動量を読み取る。なお、下
記するグライドハイトとは磁気ヘッドがディスクに接触
しない最低浮上量のことをいい、これはほぼRp(中心
線平均粗さRa(JISで定義)を基準とした最大高
さ)に対応するものである。
【0031】調査結果によれば、単体で安定なC60を主
体とするフラーレンクラスタ12aを磁気記録層14a上に
形成した第2の実施例に係る試料では、グライドハイト
30nmが得られた。更に、磁気ヘッド吸着の調査で
は、磁気ディスクの静止時に磁気ヘッドの吸着を回避す
ることができた。一方、比較試料では、表面粗さが12
Å程度となり、グライドハイト18nm程度となった。
更に、この比較試料では、磁気ディスクの静止時に磁気
ヘッドの吸着現象が認められた。
【0032】第2の実施例に係る試料でヘッド吸着を回
避できたのは、次の理由によると考えられる。即ち、C
60を主体とするフラーレンがクラスタを形成し、直径約
10nm程度の固まりとなって磁気記録層14a上に均一
な密度で散在した。これにより、磁気ディスクの表面に
適度な大きさの凹凸が均一な密度で形成された。このた
め、磁気ディスクの静止時に磁気ディスクの表面と磁気
ヘッドの接触面積が減ったことによると考えられる。或
いは、フラーレンクラスタ12aに基づく固体潤滑性の効
果によるものと考えられる。なお、比較試料でヘッド吸
着が生じたのは、凹凸が小さすぎたこと或いは固体潤滑
性の効果が期待できないことによると考えられる。
【0033】以上のように、本発明の第2の実施例によ
れば、磁気記録層14a上にフラーレンクラスタ12aを島
状に形成し、更にその上に保護層15aを積層している。
フラーレン分子は分子径が7〜30Åと小さく,かつそ
の大きさが揃ったものが得られる。従って、これらが集
合したフラーレンクラスタ12aの大きさは10nm程度
で揃い、かつその密度が均一となる。このため、磁気デ
ィスクの表面に適度な大きさの凹凸が均一な密度で形成
される。
【0034】また、フラーレンクラスタ12aに基づく固
体潤滑性の効果を期待でき、磁気ヘッドの吸着防止効果
が得られる。これにより、低フライングハイト化が可能
になり、かつ磁気記録媒体の停止時の磁気ヘッドの磁気
記録媒体への吸着を防止することができる。なお、上記
の実施例では、基板11上に又は磁気記録層14a上にフ
ラーレンクラスタ12又は12aを島状に形成している
が、それらを下地層13又は13a上に形成してもよい。
【0035】また、基板11,11aの材料として強化ガ
ラスを用いているが、Ni−Pやカーボン或いはシリコ
ン等を用いることができる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明の磁気記録媒体に
おいては、基板上に、下地層上に又は磁気記録層上にフ
ラーレン構造を有する炭素分子またはその集合体が島状
に形成されてなる。フラーレンクラスタは適度な大きさ
で揃っており、かつ密度も均一となるため、フラーレン
クラスタを被覆する最上層の保護層の表面には適度な大
きさの凹凸であって、大きさ及び密度が均一な凹凸が生
じる。また、フラーレンクラスタに基づく固体潤滑性の
効果を期待でき、磁気ヘッドの吸着防止効果が得られ
る。
【0037】これにより、低フライングハイト化が可能
になるとともに、磁気記録媒体の停止時の磁気ヘッドの
磁気記録媒体への吸着を防止することができる。また、
本発明の磁気記録媒体の製造方法において、フラーレン
構造を有する炭素分子またはそれらの集合体を島状に形
成するために、基板を加熱した状態でフラーレンターゲ
ットから炭素分子をスパッタするスパッタ法を用い、或
いは基板を加熱した状態で炭素分子を蒸着するイオンビ
ーム蒸着法を用いている。
【0038】即ち、スパッタ法或いはイオンビーム蒸着
法により基板等の上に付着したフラーレン分子の移動に
より、適度な大きさのフラーレンクラスタを均一な密度
で基板等の上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る磁気ディスクの形
成方法について示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る磁気ディスクの形
成方法について示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る磁気ディスクに用
いられるフラーレンクラスタの形成に用いられるスパッ
タ装置について示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る磁気ディスクに用
いられるフラーレンクラスタの形成に用いられるイオン
ビーム蒸着装置について示す側面図である。
【図5】従来例に係るCSS方式の磁気記録装置につい
て示す側面図である。
【符号の説明】
11,11a 基板、 12,12a フラーレンクラスタ、 13,13a Cr膜(下地層)、 14,14a CoCr12Ta2 膜(磁気記録層)、 15,15a C膜(保護層)、 21,31 成膜室、 22,32 排気口、 23 ガス導入口、 24 対向電極(載置台)、 25 対向電極(フラーレンターゲット)、 26 RF電源、 27 マグネット、 33 坩堝(るつぼ)、 34 ヒータ、 35 イオン化フィラメント、 36a,36b 加速電極、 37 直流電源、 38 保持具。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、下地層と、磁気記録層と、保
    護層とが積層されている磁気記録媒体において、 前記基板上に、前記下地層上に又は前記磁気記録層上に
    フラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの集合体が
    島状に形成されてなることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記フラーレン構造を有する炭素分子又
    はそれらの集合体はC60分子又はC60分子を主体とする
    ものであることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 基板と、下地層と、磁気記録層と、保護
    層とを有する磁気記録媒体の製造方法において、 前記基板上に、前記下地層上に又は前記磁気記録層上に
    フラーレン構造を有する炭素分子又はそれらの集合体を
    島状に形成することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記基板を加熱した状態で前記フラーレ
    ン構造を有する炭素分子のターゲットにイオンを衝突さ
    せて前記ターゲットから前記炭素分子をスパッタするこ
    とにより、前記基板上に、前記下地層上に又は前記磁気
    記録層上に前記フラーレン構造を有する炭素分子又はそ
    れらの集合体を島状に形成することを特徴とする請求項
    3記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記基板を加熱した状態で前記フラーレ
    ン構造を有する炭素分子の融液から前記炭素分子を蒸発
    させ、かつ前記蒸発した炭素分子に電子照射によりエネ
    ルギを付与して蒸着することにより、前記基板上に、前
    記下地層上に又は前記磁気記録層上に前記フラーレン構
    造を有する炭素分子又はそれらの集合体を島状に形成す
    ることを特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記フラーレン構造を有する炭素分子又
    はそれらの集合体はC60分子又はC60分子を主体とする
    ものであることを特徴とする請求項3、請求項4又は請
    求項5記載の磁気記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011129241A (ja) * 2009-12-16 2011-06-30 Hitachi Global Storage Technologies Netherlands Bv 垂直型磁気記録ディスクおよび垂直型磁気記録ディスクの製造方法

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