JPH083210A - 重合性組成物及び重合方法 - Google Patents

重合性組成物及び重合方法

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JPH083210A
JPH083210A JP14497794A JP14497794A JPH083210A JP H083210 A JPH083210 A JP H083210A JP 14497794 A JP14497794 A JP 14497794A JP 14497794 A JP14497794 A JP 14497794A JP H083210 A JPH083210 A JP H083210A
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cation
group
acid
compound
substituted
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Application number
JP14497794A
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English (en)
Inventor
Shuichi Sugita
修一 杉田
Kiichi Hosoda
喜一 細田
Hirotoshi Kamata
博稔 鎌田
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機ホウ素化合物を用いて、安定性に優れた
重合性組成物及び効率よく重合を生起せしめる重合方
法。 【構成】 重合性不飽和化合物、ホウ素系重合開始剤及
び酸性化合物を含む重合性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な重合開始システ
ムによって重合する組成物及び重合方法に関する。更に
詳しくは、重合性不飽和化合物の存在下、ホウ素系重合
開始剤を酸性化合物との反応により分解させてラジカル
を発生させ、重合させることの出来る重合性組成物及び
組成物が吸収可能な波長領域の光照射と熱エネルギーの
組み合わせによって重合させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ラジカル重合開始剤は、熱によって
分解しラジカルを発生する化合物、すなわち有機ジアゾ
化合物、有機過酸化物、有機過酸及びそのエステル等、
あるいは紫外線等の光照射によって分子が開裂してラジ
カルを発生し、重合を開始する化合物、すなわちアセト
フェノン類、チオキサントン類、ベンゾフェノン類など
が知られている。しかし熱ラジカル開始剤は、熱によっ
て分解するという特徴故に、化合物自体の熱安定性に問
題があるので低温保存が必要であり、また製造、保存時
における安全性にも問題があり、爆発などの危険性があ
った。また光ラジカル重合開始剤は重合を開始させるた
めに適当な光源が必要であり紫外線重合の場合だと高圧
水銀ランプなどの高価な設備が必要であると共に、紫外
線による発ガン性、オゾン発生等の危険性が指摘されて
いる。
【0003】一方、有機ホウ素化合物をラジカル重合開
始剤に用いる例としては、トリエチルホウ素等のトリア
ルキルホウ素化合物を酸素の存在下分解して重合性不飽
和化合物をラジカル重合する例が知られている(例えば
工業化学雑誌第61巻728頁 1958年発行)。し
かし有機ホウ素化合物は空気中では非常に不安定で発火
等の危険性があり、一般的に用いるのは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来化合物
の安定性が低く重合開始剤として工業的な使用が困難で
あった有機ホウ素化合物を用いて、安全性に優れた重合
性組成物を提供するとともに、効率よく重合を生起せし
める重合方法を提供することを目的する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの課題を
解決するために、ホウ素原子に3個の置換基が付いたト
リアルキルホウ素化合物よりも安定で安全性の高い、ホ
ウ素原子にアルキル基、アリール基などの置換基が4個
付いた4配位のホウ素化合物を重合開始剤として用いる
方法を検討し、重合性不飽和化合物に4配位ホウ素陰イ
オンを陽イオンと組み合わせてイオン対化合物となし、
酸性化合物を共存させることにより重合性組成物が得ら
れ、重合が開始されることを見いだした。また、その組
成物の重合は加熱操作によって促進可能であるが、組成
物が吸収可能な波長領域の光照射を組み合わせると更に
重合が効率よく進行することをも見い出し、本発明を完
成するに至つた。
【0006】4配位ホウ素化合物を重合に用いる例とし
ては、光吸収性カチオン色素とのイオン対を用いて光照
射により重合を開始させる方法が知られていたが(例え
ば特開昭62−143044号公報、特開平1−111
402号公報)、4配位ホウ素化合物を酸性化合物と組
み合わせて重合開始剤として用いる例は全く知られてい
なかった。すなわち本発明によれば、重合性不飽和化合
物と一般式(1)で表わされる4配位ホウ素化合物 一般式(1);
【0007】
【化2】
【0008】(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれ
ぞれ独立してアルキル基、アリール基、アリル基,アラ
ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複
素環基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル
基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキ
ニル基または置換シリル基を示し、Z+ は硫黄陽イオ
ン、酸素陽イオン、炭素陽イオン、ハロゲニウム陽イオ
ン、カチオン色素陽イオン、砒素、コバルト、パラジウ
ム、 クロム、チタン、スズ又はアンチモンの各種金属化
合物の陽イオン、ジアゾニウム陽イオン、モルホリニウ
ム陽イオン、テトラゾリウム陽イオン、アクリジニウム
陽イオンの中から選ばれる陽イオンを示す)及び酸性化
合物を組み合わせて組成物となすことにより本発明の重
合性組成物が得られる。
【0009】本発明における重合反応の機構は必ずしも
明確にはなっていないが、一般式(1)の4配位ホウ素
化合物と酸性化合物が共存することで4配位ホウ素化合
物の分解が起こって3配位のホウ素化合物が生成し、更
に3配位ホウ素化合物が系中に存在する酸素により分解
してラジカルが発生し重合が開始されると推定されてい
る。4配位ホウ素化合物の対イオンである陽イオン(Z
+ )は酸性化合物との反応には直接関与しないので、化
合物の安定性、溶媒や重合性不飽和化合物に対する溶解
性、親和性、原料入手の容易性、製造コスト等を勘案し
て選択することが出来る。あるいは特殊な機能を有する
構造の陽イオンを選択することもでき、例えば感光機能
を有する陽イオンをホウ素陰イオンの対イオンとして、
酸によるラジカル発生と、光による反応を並行して生じ
させることも可能である。その際、200〜2000n
mの波長領域に感光性を有する陽イオンであることが好
ましい。光の透過性、光の安全性等を勘案すると好まし
くは400nm以上、更に好ましくは740nm以上の
波長領域に感光性を有する陽イオンである。
【0010】本発明の陽イオン(Z+ )としては、スル
ホニウム、オキソスルホニウム等の硫黄化合物の陽イオ
ン、フラビリウム、ピリリウム等の酸素陽イオン、トロ
ピリウム、シクロプロピリウム等の炭素陽イオン、ジア
ゾニウム、テトラゾリウム、モルホリニウム、アクリジ
ニウム等の窒素陽イオン、ヨードニウム等のハロゲニウ
ム陽イオン、シアニン、(ポリ)メチン、キサンテン、
チアジン、トリアリールメタン、ピリリウム等の各種カ
チオン色素陽イオン、各種金属化合物の陽イオン等が挙
げられるが、重合開始剤の溶解性、安定性、更には感光
機能等を勘案すると、スルホニウム、オキソスルホニウ
ム等の硫黄陽イオン、ピリリウム等の酸素陽イオン、ト
ロピリウム等の炭素陽イオン、ハロゲニウム陽イオン、
光吸収性色素陽イオン、ジアゾニウム、モルホリニウ
ム、テトラゾリウム等の窒素陽イオン等が好ましい。
【0011】具体例としては、トリメチルスルホニウム
陽イオン、トリフェニルスルホニウム陽イオン、トロピ
リウム陽イオン、シアニン色素などの光吸収性色素陽イ
オン、ジフェニルヨードニウム陽イオン、トリフェニル
スズ陽イオン、トリフェニルアンチモン陽イオン、テト
ラアミンパラジウム陽イオン、ヘキサアミンクロム陽イ
オン、ベンゼンジアゾニウム陽イオン、置換ベンゼンジ
アゾニウム陽イオン(置換基はアルキル基、ジアルキル
アミノ基、アルコキシ基等)、10a−アクリジジニウ
ム陽イオン、アクリジンオレンジ陽イオン等が挙げられ
る。
【0012】光吸収性色素陽イオンの具体例としては、
例えば表1(近赤外光吸収色素陽イオン)、表2(可視
光吸収色素陽イオン)等があり、また200nm以上の
波長領域に感光性を持つホウ素化合物の例は、たとえば
米国特許第3567453号に記載がある。
【0013】
【表1】
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】ホウ素系化合物の陰イオンの具体的な例と
しては、テトラアリールホウ素(アリール基はフェニ
ル、置換フェニル、ナフチル、ピリジル基等)、モノア
ルキルトリフェニルホウ素(アルキル基はn−ブチル
基、n−オクチル基、n−ドデシル基、ナフチル基な
ど)、モノアルキルトリアニシルホウ素(アルキル基は
上記と同様)、ジアルキルジフェニルホウ素(アルキル
基は上記と同様)、ジアルキルジアニシルホウ素(アル
キル基は上記と同様)、テトラn−ブチルホウ素、トリ
n−ブチル(トリフェニルシリル)ホウ素、トリn−ブ
チル(ジメチルフェニルシリル)ホウ素、n−オクチル
ジフェニル(ジn−ブチルフェニルシリル)ホウ素、ジ
メチルフェニル(トリメチルシリル)ホウ素などが挙げ
られる。さらに詳しくは、特開平6−75374号に記
載のホウ素化合物の陰イオンを挙げることができる。こ
れらのホウ素系化合物の陽イオンと陰イオンは適宜組み
合わせて用いることが出来、また単独あるいは2種以上
を混合して用いることもできる。
【0017】本発明で用いられる重合性不飽和化合物と
は重合性不飽和モノマーあるいは重合性不飽和オリゴマ
ー、ポリマーのいずれかあるいは混合物であり、重合性
の不飽和基を有する化合物であれば良い。これらは各々
単独、或いは2種類以上混合して用いることが出来る。
重合性不飽和モノマーとしては特開平4−362935
号、特開平6−75374号明細書に記載されたもの等
を挙げることができるが、例えば(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸と各種アルコールとのエステル化
物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミ
ド、メチレンビスアクリルアミド等の(メタ)アクリル
化合物類、スチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン
などのビニルベンゼン類、ビニルイソブチルエーテル、
2−エチルヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル
類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル
等のビニルエステル類等のビニル化合物、アリルアルコ
ール、酢酸アリル、フタル酸ジアリル類等のアリル基を
含有するモノマー等が挙げられる。
【0018】さらに該モノマーとして、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、含リ
ン重合性不飽和モノマー、ブチルイソシアネート、フェ
ニルイソシアネートなどのイソシアネート化合物と上記
水酸基含有モノマーとの付加物;リン酸と上記水酸基含
有モノマーとの付加物;N−ビニルピロリドン、N−ビ
ニルカルバゾール、Nービニルアセトアミド、ビニルピ
リジン類などの含窒素不飽和モノマーなども使用でき
る。さらに該モノマーとして、ジエチレングリコールジ
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリレートなどの重合性不飽和基を複数
個有する化合物も含まれる。
【0019】また多価アルコールとエチレンオキシドと
の付加物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反
応せしめた生成物;前記の多価アルコールとプロピレン
オキシドとの付加物にアクリル酸および/またはメタク
リル酸を反応せしめた生成物;前記の多価アルコールと
ε−カプロラクトンとの付加物にアクリル酸および/ま
たはメタクリル酸を反応せしめた生成物等のオリゴマー
類も包含され、また重合性不飽和ポリマーの具体例とし
ては、ポリエステル(メタ)アクリル酸を縮合させた樹
脂、エチレン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、エチレ
ン性不飽和基含有エポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含
有含リンエポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含有アクリ
ル樹脂、エチレン性不飽和基含有シリコン樹脂、エチレ
ン性不飽和基含有メラミン樹脂などがあげられる。特に
特開平4−28722号公報に開示されている(メタ)
アクリル官能性ポリオルガノシルセスキオキサンが好適
である。
【0020】本発明の酸性化合物としては、ブレンステ
ッドの酸として知られる、プロトン(水素イオン)を与
える物質、例えば硫酸、塩酸等の無機酸、酢酸、メタン
スルホン酸等の有機酸、フェノール、アルコール類など
の水酸基含有化合物、各種チオール類などのメルカプト
基を有する化合物、あるいはルイスの酸として知られる
電子対を受け取って共有結合をつくり得る物質、例えば
塩化アルミニウム、塩化第二スズ、三塩化ホウ素、三臭
化ホウ素等が挙げられる。これらの酸については例えば
モリソンボイド著「有機化学」第3版43頁に詳細な説
明がある。また本発明の酸性化合物には固体あるいは気
体酸性化合物も含有される。例えば酸性イオン交換樹
脂、カーボンブラック、アルミナ、シリカ等の固体表面
に酸性の活性点を有する物質あるいは塩化水素、亜硫酸
ガス等の酸性気体物質等が挙げられる。
【0021】更に本発明の酸性化合物としては各種の作
用によって酸性化合物を発生する化合物も該当する。例
えば加熱、空気中の水分、酸素等の作用によって酸性化
合物を発生する化合物も本発明の酸性化合物に該当す
る。また光照射によって酸性化合物を発生する化合物が
一般に知られており、例えば光カチオン重合開始剤と呼
ばれて広く利用されているが、これらの化合物も本発明
における酸性化合物に該当する。すなわちそれらの化合
物を本発明のホウ素系重合開始剤と共存させ、紫外線な
どの光を照射することによって光カチオン重合開始剤等
の化合物を分解せしめ、発生した酸性化合物によって本
発明のホウ素系重合開始剤を分解させラジカル重合を行
うことも出来る。
【0022】また、本発明の重合性組成物における重合
性不飽和化合物のうち、例えば(メタ)アクリル基を含
有する化合物は一般に(メタ)アクリル酸などの酸性成
分を微量含有しており、製品の分析表等に酸価、酸成分
等として記載されている。これらの酸成分も本発明の酸
性成分として利用可能であり、特に前記酸性成分が重合
性不飽和化合物の0.01重量%以上含有されていると
好適である。すなわちこれらの酸成分を含有する不飽和
化合物を用いる場合、ホウ素系重合開始剤のみを添加す
ることでそれ以外の酸性化合物を添加することなく重合
性組成物として利用することが出来る。上記(メタ)ア
クリル化合物は製品化に際して品質向上のために酸成分
を除去するための精製操作を行うことがあるが、本発明
の組成物を製造する場合むしろ精製操作を行わず、酸成
分をある程度残した状態で組成物を製造し得るので経済
面でのメリットもある。
【0023】一般に重合性不飽和化合物に少量の酸性成
分が含まれていても室温などの低温では重合速度は極め
て遅く、実用的な保存安定性があるので本発明の重合性
組成物を実用に供することができる。この場合、一般に
は重合性組成物を加熱することにより重合を加速し、実
用的な重合速度で重合を行うことが出来る。重合を加速
するために、必要に応じて酸性化合物を別途添加するこ
とも勿論可能である。
【0024】これらの本発明の酸性化合物は、水溶液中
での酸解離指数(pKa値)が14以下の酸が好まし
い。更に好ましくはpKa値が10以下の酸である。具
体的には例えば一般の無機酸、有機酸等が挙げられ、無
機酸は例えば塩酸、燐酸、硝酸、硫酸、亜硫酸等、有機
酸は例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アク
リル酸、メタクリル酸等の脂肪族カルボン酸類、安息香
酸、フタル酸、トリメリット酸等の芳香族カルボン酸
類、クロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸、トリ
フルオロ酢酸、パーフルオロプロピオン酸等のハロゲン
置換カルボン酸類、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸類、フェ
ノール、カテコール、レゾルシン、フロログルシノー
ル、クレゾール等のフェノール類、チオフェノール等の
メルカプト化合物類等が挙げられる。一般に酸性度が強
いほど開始剤の分解が促進され、重合が速やかに進むの
で、保存安定性を高めるためにはやや酸性度の低い酸性
化合物を用いて材料を製造して低温保存し、使用時に加
熱などの操作によって重合を促進する方法が好ましい。
【0025】また重合を行う直前に酸性化合物以外の成
分を混合した組成物中に酸性化合物を添加することによ
って重合を開始せしめたり、空気、水分との接触、加
熱、光照射などの操作によって組成物中で酸性化合物を
生起せしめる方法も上記酸性化合物の選択によっては可
能である。なお、上記の酸解離指数とは、酸解離定数の
逆数の対数値で、例えば「化学便覧基礎編II」丸善社刊
1984年発行339頁に詳細な記載がある。
【0026】本発明の重合性組成物は酸性化合物の効果
によって任意の温度で重合を開始させることが可能であ
るが、保存安定性などを考慮すると、室温では安定でか
つ必要な際に速やかに重合開始することが望ましい。上
に述べたように室温では安定な組成物を加熱することに
よって重合開始させることが可能であるが、その際、組
成物が吸収可能な波長領域の光を照射することにより更
に重合促進が可能である。すなわち、適度な加熱と適切
な波長領域の光照射の組み合わせにより効率的な重合が
達成される。光照射の効果を高めるためには組成物中に
感光性化合物を添加することが好ましく、例えばホウ素
化合物の置換基あるいは陽イオン部分に先に述べたよう
な感光性置換基を存在させるか、あるいは感光性化合物
を別途添加することができる。その際用いる感光性化合
物は200nm〜2000nmの波長領域に感光性を有
する化合物が好ましい。
【0027】本発明における重合性組成物には任意の顔
料、着色染料等を添加することが出来る。具体例として
は、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、
チタンホワイト、クレー等の白色顔料、アルミパウダ
ー、アルミペースト、金粉、銀粉等のメタル系顔料をは
じめとする市販の各種顔料等の他、各種文献など(例え
ば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、
「最新顔料便覧」日本顔料技術協会編集、昭和51年
刊)に記載されている公知のもの等が使用できる。また
本発明において、重合系組成物に任意の充填剤などを添
加することが出来る。ここでいう充填剤としては、有機
物、無機物、或いはそれらの複合物、混合物が挙げられ
る。有機の充填剤としては、例えば重合物を微細に粉砕
したものが挙げられ、また無機の充填剤としては、シリ
カ、シリカ−アルミナ、アルミナ、石英、ガラス、炭酸
カルシウム、カオリン、タルク、雲母、硫酸アルミニウ
ム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン
酸カルシウム等の粉末及びそれら粉末の表面を多官能
(メタ)アクリレート系モノマーまたはシランカップリ
ング剤で被覆処理したもの等が挙げられる。また複合物
には上記無機充填剤をエチレン性不飽和化合物に混合
し、重合硬化させた後に微細に粉砕したもの等が挙げら
れる。また異種の充填剤を2種以上別途に添加、或いは
混合した後に添加しても何等差し支えない。
【0028】本発明における一般式(1)で表される重
合開始剤は、硬化系配合物の0.001重量%以上用い
ることにより本発明の目的を達成することが出来る。そ
れ以下だと重合が充分に行われず、硬化が不十分に終わ
るおそれがある。好ましくは、0.01〜10重量%の
範囲である。大量に用いすぎることは、経済的観点上、
好ましくない。また本発明の酸性化合物の量は酸の強
度、重合開始剤の安定性、重合性不飽和化合物の重合
性、所望の重合速度などによって最適値が異なるが、一
般にはホウ素系重合開始剤の0.1〜1000モル等量
添加される。
【0029】本発明の重合性組成物は無溶剤型の硬化性
組成物として利用可能であり、地球環境改善に寄与する
ことが期待される。例えば建材、木工、自動車の内装、
外装、バンパー等の塗装用塗料、コーティング分野、接
着剤、印刷インキ、画像形成材料、レジスト、プリント
基板作成など電子材料関連等の分野等に応用可能であ
る。勿論従来の溶剤で希釈した形で用いることも出来、
その際に用い得る溶剤としては、従来の塗料用に用いら
れている一般の溶剤等、例えばトルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の脂
肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチル
エーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢
酸アミル等のエステル類、メチルセルソルブ、エチルセ
ルソルブ等のエチレングリコールのモノエーテル類等が
使用可能である。これらの溶剤は1種または2種以上を
混合して使用することが出来る。これらの溶剤は材料の
粘度調製、組成物の相溶性、作業性向上等の機能も有す
るので、状況に応じて適宜適量添加することが出来る。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明する。な
お、硬化物の評価における硬化とは、硬化後の塗膜の表
面及びカッターナイフで硬化塗膜を傷つけた塗膜の内面
を目視観察及び手で触れ、べとつき、タックが全くない
状態をいう。
【0031】(実施例1)ペンタエリスリトールトリア
クリレート10g、トリメチルスルホニウムn−ブチル
トリフェニルホウ素0.1g、トリクロル酢酸(酸解離
指数pKa=0.65)0.1gを充分に混合し、アル
ミ基板に250μmの厚さで塗布した。約1分後に重合
が始まり、サンプルは硬化した。
【0032】(実施例2)トリクロル酢酸に変えて酢酸
(pKa=4.76)を用いる以外は実施例1と同様に
サンプルを製作した。塗布基板を70℃に加熱すると、
重合が開始し、サンプルが硬化した。
【0033】(実施例3)トリクロル酢酸に変えてカー
ボンブラック(デグサ社 商品名FW200、水分散液
のpH=2.5)を用いる以外は実施例1と同様にサン
プルを製作した。速やかに重合が開始し、サンプルが硬
化した。
【0034】(実施例4)トリクロル酢酸に変えて光カ
チオン重合開始剤であるジフェニルヨードニウムヘキサ
フルオロリン(Ph2+ ・PF6 -)を用いる以外は実
施例1と同様にサンプル4を製作した。高圧水銀ランプ
(セン特殊光源社製 HB−100A)を5分間照射し
た。カチオン重合開始剤の光反応によって生成する酸が
ホウ素化合物を分解し、サンプルは硬化した。
【0035】(実施例5)ペンタエリスリトールトリア
クリレートに変えて、トリエチレングリコールジアクリ
レートを用いる以外は実施例1と同様にサンプル5を作
成した。塗布サンプルは約5分後に重合が開始し、サン
プルが硬化した。
【0036】(実施例6)トリメチロールプロパントリ
アクリレート(酸成分0.15%)10g、トリメチル
スルホニウムn−ブチルトリフェニルホウ素0.1gを
充分に混合し、アルミ基板に250μmの厚さで塗布し
た。基板を100℃に加熱したところ重合が始まり、サ
ンプルは硬化した。
【0037】(実施例7)ホウ素化合物の陽イオン部分
をトリメチルスルホニウムに変えて、近赤外光吸収性を
有する1,1,5,5−テトラキス[4−(ジエチルア
ミノ)フェニル]ペンタジエニリウム(表1、番号3)
に変える以外は実施例2と同様にサンプル7を作成し
た。塗布サンプルに、波長400nm以上の波長領域に
分光分布を有する出力1500Wのハロゲンランプを2
分間照射したところ、光反応及びランプからの熱エネル
ギーの効果によりサンプルが硬化した。
【0038】(実施例8)陽イオン部分が可視吸収性の
表2、番号5の色素であるn−ブチルトリフェニルホウ
素0.1gを用いる以外は実施例7と同様にサンプル8
を作成した。塗布サンプルに、実施例7のハロゲンラン
プを2分間照射したところ、光反応及びランプからの熱
エネルギーの効果によりサンプルが硬化した。
【0039】(実施例9)トリメチルスルホニウムn−
ブチルトリフェニルホウ素に変えてトリフェニルスルホ
ニウムn−ブチルトリフェニルホウ素を用いる以外は実
施例1と同様にサンプル9を作成した。塗布サンプルは
約10分後に重合開始し、サンプルが硬化した。
【0040】(実施例10)実施例9のサンプルに実施
例4で用いた高圧水銀ランプを照射した。光反応によっ
て重合が促進され、約3分後に重合開始し、サンプルが
硬化した。
【0041】(実施例11)実施例2と同じ組成の混合
物を等量のトルエンで希釈し、鋼板上に50g/m2
着するようスプレーコーティングした。このサンプルを
80℃に加熱すると重合が開始し、硬化した。
【0042】(比較例1)トリメチルスルホニウムn−
ブチルトリフェニルホウ素を添加しない以外は実施例1
と同様にサンプルaを作成した。塗布サンプルは1日以
上放置しても重合は開始せず、サンプルは硬化しなかっ
た。
【0043】(比較例2)トリクロル酢酸を添加しない
以外は実施例1と同様にサンプルbを作成した。塗布サ
ンプルは1日以上放置しても重合は開始せず、サンプル
は硬化しなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明により、4置換ホウ素アニオン構
造を有する化合物と酸性化合物との組み合わせで、共存
させた重合性不飽和化合物を重合可能な組成物、及び熱
及び光を利用した効率的な重合方法が提供された。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性不飽和化合物、一般式(1)で表
    わされるホウ素系重合開始剤、及び酸性化合物を含有す
    ることを特徴とする重合性組成物。 一般式(1); 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立して
    アルキル基、アリール基、アリル基,アラルキル基、ア
    ルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、置換
    アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、置換アラ
    ルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基または
    置換シリル基を示し、Z+ は硫黄陽イオン、酸素陽イオ
    ン、炭素陽イオン、ハロゲニウム陽イオン、カチオン色
    素陽イオン、砒素、コバルト、パラジウム、 クロム、チ
    タン、スズ又はアンチモンの各種金属化合物の陽イオ
    ン、ジアゾニウム陽イオン、モルホリニウム陽イオン、
    テトラゾリウム陽イオン、アクリジニウム陽イオンの中
    から選ばれる陽イオンを示す)
  2. 【請求項2】 ホウ素系重合開始剤の陽イオン(Z+
    が感光性を有する陽イオンである、請求項1の重合性組
    成物。
  3. 【請求項3】 酸性化合物が、重合性不飽和化合物中に
    0.01重量%以上含まれている酸性化合物である、請
    求項1又は2の重合性組成物。
  4. 【請求項4】 酸性化合物が水溶液中での酸解離指数が
    10以下の酸、あるいは酸を生成する化合物であること
    を特徴とする、請求項1、2又は3の重合性組成物。
  5. 【請求項5】 重合性組成物に含まれる成分が吸収可能
    な波長を有する光照射及び熱エネルギーの付与を組み合
    わせることにより重合を生起させることを特徴とする請
    求項1、2、3又は4に記載の組成物の重合方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09263604A (ja) * 1996-03-28 1997-10-07 Tokuyama Corp 接着材用光重合開始剤および光重合性接着材
JPH1149833A (ja) * 1997-08-05 1999-02-23 Showa Highpolymer Co Ltd コンクリート構築物用パテ組成物及びその硬化方法

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