JPH08312318A - 可変バルブタイミング機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】内燃機関の可変バルブタイミング機構に関し、
高速回転性能に優れ、機構信頼性に優れた機構を提供す
る。 【構成】２つの吸気バルブ又は排気バルブに対し、２つ
の低速用ロッカーアーム４，５と１つの高速用ロッカー
アーム８とを備える。ロッカーアームは、低速用と高速
用の専用のカム駒３，６によって駆動される。ロッカー
アームシャフト１０の内部に、変速用シャフト１１を組
み込む。更に、各ロッカーアームの内部に、相互に連結
したり分離したりするためのピストン群１４，１６，１
８，１９を組み込む。変速用シャフトの表面からピスト
ン群に向けて、２つの接続棒１３，１７を渡し両者を接
続する。プッシュッロッド作動機により機械的に変速用
シャフトを、ロッカーアームシャフト内部でスライドさ
せる。この結果、２つの低速用ロッカーアームと１つの
高速用ロッカーアームは、相互に分離されたり連結され
たりする。 【効果】機械的な機構で切り替えるので、目的に合致し
た機構が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】この発明は、４サイクル内燃機関
に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】従来の４サイクル内燃機関の中でも、特
にＤＯＨＣ機構やＳＯＨＣ機構を有するタイプにおいて
は、可変バルブタイミング機構を備えたものがあった。
これは、吸気バルブ（１）および排気バルブ（２）の開
閉タイミングを、エンジンの低速回転と高速回転とで切
り替えることにより、低速回転での高トルクと高速回転
での高出力とを両立させようとする機構である。この中
でも本発明と関係が深いのは、同一のカムシャフト
（９）上に、低速用と高速用の２種類のカム駒を並べ、
これをロッカーアームを利用した切り替え機構で切り替
えようとする機構である。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のこの
種の機構には、若干の問題が存在した。それは、低速用
と高速用のロッカーアームを切り替える際に、油圧を利
用するものがほとんどだからである。これは、まず第１
に機構の複雑化をもたらす。それは、油圧経路の確保
や、油圧用の開閉バルブなどが、必要だからである。ま
た、機構の反応速度も、油圧を利用する分、若干の遅れ
が存在すると考えられる。 【０００４】 【課題を解決するための手段】本発明においては、従来
のこの種の可変バルブタイミング機構が持つ以上の欠点
を克服するために、低速用と高速用のロッカーアームの
切り替え機構を、油圧を介さない純粋の機械式のものに
した。図１、図２は、本発明の、吸気側もしくは排気側
どちらか一方の２バルブ分のパーツリスト、図３は、本
発明の、吸気側もしくは排気側どちらか一方の２バルブ
分の側面図。図４は、同じく本発明の側面図だが、高速
用ロッカーアーム（８）における断面図である。これら
の図からもわかるように、本発明においては、第１低速
用ロッカーアーム（４）と第２低速用ロッカーアーム
（５）との間に、１つずつの高速用ロッカーアーム
（８）が存在する。また、それぞれのロッカーアームの
直上には、低速カムプロフィールを持つカム駒（３）と
高速カムプロフィールを持つカム駒（６）とが存在す
る。ここまでは、従来の同種の機構と同じ構成である。
これからが本発明の独自の部分である。ロッカーアーム
シャフト（１０）の内部には、機械式可変機構の中心の
部品である変速用シャフト（１１）と介在シャフト（１
２）が存在する。このうち、変速用シャフト（１１）の
両端からは、ロッカーアームシャフト（１０）を飛び出
して、ロッカーアーム内部へと侵入する棒が存在する。
第１接続棒（１３）と第２接続棒（１７）である。ま
た、各ロッカーアームの内部には、機械式可変機構のも
う一方の中心の部品であるピストン群が存在する。すな
わち、第１低速用ロッカーアーム（４）の内部には、第
１ピストン（１４）、タイミングスプリング（１５）、
第３ピストン（１６）などの部品が存在し、第２低速用
ロッカーアーム（５）の内部には、第２ピストン（１
８）が存在する。また、高速用ロッカーアーム（８）の
内部には、第４ピストン（１９）が存在する。このう
ち、第１ピストン（１４）は、第１接続棒（１３）によ
って、ロッカーアームシャフト（１０）内部にある変速
用シャフト（１１）に接続され、また第２ピストン（１
８）は、第２接続棒（１７）によって、変速用シャフト
（１１）に接続される。この場合、図１、図２において
は、本来各ロッカーアームの内部にあるはずのピストン
群が、変速用シャフト（１１）と共に、ロッカーアーム
から離れた位置に描いてあるので、注意してほしい。以
上が本発明の基本的構成である。 【０００５】 【作用】図５は、エンジンが低速回転であるときの、本
発明の様子を示している。すなわち、吸気バルブ（１）
または排気バルブ（２）の２個分のロッカーアームおよ
びロッカーアームシャフト（１０）を、上方から見下ろ
した上面透視図である。この図からもわかるように、エ
ンジンが低速回転のときには、ロッカーアームシャフト
（１０）内部にある変速用シャフト（１１）は、図の左
側寄りに位置している。この結果、変速用シャフト（１
１）と、一体化された第１接続棒（１３）および第２接
続棒（１７）もまた、それぞれが属するロッカーアーム
内部において、左側に寄って位置することになる。この
結果、各ロッカーアーム内部にあるピストン群は、それ
ぞれの属するロッカーアーム内部に収納された状態に位
置するようになる。この結果として、第１低速用ロッカ
ーアーム（４）、第２低速用ロッカーアーム（５）、高
速用ロッカーアーム（８）の３つのロッカーアームは、
相互に独立して作動する。結果として、吸気バルブ
（１）または排気バルブ（２）は、低速カムプロフィー
ルで開閉することになる。また、図６は、エンジンが高
速回転であるときの、本発明の様子を示している。すな
わち、吸気バルブ（１）または排気バルブ（２）の２個
分のロッカーアームおよびロッカアームシャフト（１
０）を、上方から見下ろした上面透視図である。この図
からもわかるように、エンジンが高速回転のときには、
ロッカーアームシャフト（１０）内部にある変速用シャ
フト（１１）は、図５の場合と比べて、僅かに図の右側
にスライドしている。この結果、変速用シャフト（１
１）と一体化された第１接続棒（１３）および第２接続
棒（１７）もまた、それぞれが属するロッカーアーム内
部において、僅かに図の右側にスライドしている。この
結果、各ロッカーアーム内部に存在するピストン群は、
各ロッカーアームから外にせり出して、隣にあるロッカ
ーアームに侵入する。すなわち、第１低速用ロッカーア
ーム（４）内部の第３ピストン（１６）は、隣接する高
速用ロッカーアーム（８）に侵入し、高速用ロッカーア
ーム（８）内部の第４ピストン（１９）は、隣接する第
２低速用ロッカーアーム（５）内部に侵入する。この結
果、第１低速用ロッカーアーム（４）、第２低速用ロッ
カーアーム（５）、高速用ロッカーアーム（８）の３つ
のロッカーアームは、相互に連結され、１体化して作動
するようになる。この結果、吸気バルブ（１）または排
気バルブ（２）は、直接的には低速用ロッカーアームに
押されるものの、間接的には高速用ロッカーアーム
（８）の支配下に入り、高速カムプロフィールで開閉す
るようになる。以上が、本発明の作用である。 【０００６】 【実施例１】図７および図８は、本発明をＤＯＨＣ４気
筒エンジンに適応した場合の実施例を示している。ここ
に描かれているのは、４気筒分のロッカーアームシャフ
ト（１０）およびロッカーアームの配列図である。図７
はエンジンが低速回転である場合、図８はエンジンが高
速回転である場合を示す。この図から、本実施例におい
ては、内支点式のロッカーアームを採用していることが
わかるはずである。また、これらの図においては、図の
左側のロッカーアームシャフト（１０）およびロッカー
アームが透視図になっており、内部の構造が理解できる
ようになっている。すなわち、ロッカーアームシャフト
（１０）内部には、変速用シャフト（１１）や介在シャ
フト（１２）が並んでおり、ロッカーアーム内部には、
ピストン群が並んでいることが見てとれるはずである。
これらの図からもわかるように、本発明においては、多
気筒分の変速用シャフト（１１）や介在シャフト（１
２）が、ロッカーアームシャフト（１０）の中に１列に
並んでいる。そして、これらの部品を、ロッカーアーム
シャフト（１０）の両端からプッシュロッド（２６）を
使って制御している。この結果、何気筒のエンジンで
も、合計４つのプッシュロッド作動機（２７）を使って
変速することができるわけである。またここから、今ま
で不明だった介在シャフト（１２）の機能が明らかにな
る。すなわち、介在シャフト（１２）は、プッシュロッ
ド（２６）によるスライドの力を隣接する変速用シャフ
ト（１１）に伝える一方で、隣り合う変速用シャフト
（１１）の動きが相互に連動してしまうのを防ぐ役割を
果たしているわけである。 【０００７】 【実施例２】図９は、本発明の実施例を示す、エンジン
のシリンダーおよびシリンダーヘッド部分の側面カット
図である。この例では、ロッカーアームの回転軸がカム
シャフト（９）の内側に来る内支点方式のロッカーアー
ムが導入されていることが、図から理解してもらえると
思う。 【０００８】 【実施例３】図１０は、本発明の別の実施例を示す、エ
ンジンのシリンダーおよびシリンダーヘッド部分の側面
カット図である。この図では、図９の場合とは異なり、
ロッカーアームの回転軸がカムシャフト（９）の外側も
しくは直下に来る外支点方式のロッカーアームが導入さ
れていることが理解してもらえると思う。このように、
本発明の実施にあたっては、ロッカーアームの回転軸の
位置のしかたで、２種類の実施の仕方に別れるわけであ
る。 【０００９】 【発明の効果】以上のように、本発明においては、可変
バルブタイミング機構を、油圧を利用しないで、純粋に
機械的に切り替えることに成功した。この結果として、
油圧を利用した従来の可変バルブタイミング機構に比べ
て、より高速で確実に変速することが可能になった。ま
た機構的にも、より複雑な油圧経路や開閉バルブを必要
としない分、高い機構信頼性を得ることが可能になっ
た。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明のロッカーアーム３個分のパーツリス
ト。これだけの部品で、１気筒の吸気側もしくは排気側
どちらか一方のバルブ２個の開閉を担当する。 【図２】本発明のロッカーアーム３個分のパーツリス
ト。図１とは見る角度が違っている上に、カムシャフト
（９）およびバルブスプリングが省略されている。これ
だけの部品で、１気筒の吸気側もしくは排気側どちらか
一方のバルブ２個の開閉を担当する。 【図３】本発明の側面図。低速用ロッカーアームでの断
面図である。 【図４】本発明の側面図。高速用ロッカーアーム（８）
での断面図である。 【図５】本発明のロッカーアーム３個分の上面透視図。
エンジンが低速回転である場合。 【図６】本発明のロッカーアーム３個分の上面透視図。
エンジンが高速回転である場合。 【図７】本発明の４気筒分のロッカーアームおよびロッ
カーアームシャフト（１０）の配列図。エンジンが低速
回転である場合。 【図８】本発明の４気筒分のロッカーアームおよびロッ
カーアームシャフト（１０）の配列図。エンジンが高速
回転である場合。 【図９】本発明の実施例の１つを示すエンジンのカット
図。ロッカーアームが内支点方式である場合。 【図１０】本発明の実施例の１つを示すエンジンのカッ
ト図。ロッカーアームが外支点方式である場合。 【符号の説明】 （１）吸気バルブ （２）排気バルブ （３）低速カムプロフィールを持つカム駒 （４）第１低速用ロッカーアーム （５）第２低速用ロッカーアーム （６）高速カムプロフィールを持つカム駒 （７）動作吸収スプリング （８）高速用ロッカーアーム （９）カムシャフト （１０）ロッカーアームシャフト （１１）変速用シャフト （１２）介在シャフト （１３）第１接続棒 （１４）第１ピストン （１５）タイミングスプリング （１６）第３ピストン （１７）第２接続棒 （１８）第２ピストン （１９）第４ピストン （２０）ロッカーアーム用支持体 （２１）介在シャフト用支持体 （２２）接続棒用連絡用窓 （２３）ロッカーアーム用支持体用連絡用ゲート （２４）介在シャフト用支持体用連絡用ゲート （２５）ロッカーアーム用支持体用スライド用ゲート （２６）プッシュロッド （２７）プッシュロッド作動機

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 ４サイクル内燃機関の中でも、ＤＯＨＣ機構を有し、１
   気筒あたり２つの吸気バルブ（１）と２つの排気バルブ
   （２）とを有するタイプにおいて、 （イ）低速カムプロフィールを持つカム駒（３）によっ
   て駆動され、かつ直接吸気バルブ（１）または排気バル
   ブ（２）を押す、低速用ロッカーアームが、１バルブに
   対して、１つずつ存在する。このうち、ロッカーアーム
   内部に存在する機構の相違により、低速用ロッカーアー
   ムを第１低速用ロッカーアーム（４）と第２低速用ロッ
   カーアーム（５）の２種類に分類する。 （ロ）高速カムプロフィールを持つカム駒（６）によっ
   て駆動され、直接的には、動作吸収スプリング（７）を
   押す、高速用ロッカーアーム（８）が、第１低速用ロッ
   カーアーム（４）と第２低速用ロッカーアーム（５）の
   間に、１つ存在する。 （ハ）第１低速用ロッカーアーム（４）、第２低速用ロ
   ッカーアーム（５）、高速用ロッカーアーム（８）の３
   つのロッカーアームで、１つの組を構成し、この１組
   で、２つの吸気バルブ（１）または、２つの排気バルブ
   （２）を開閉する。 （ニ）低速カムプロフィールを持つカム駒（３）と、高
   速カムプロフィールを持つカム駒（６）とは、同一のカ
   ムシャフト（９）上に存在する。また、その配置は、押
   すべきロッカーアームの位置に対応する。 （ホ）ロッカーアームシャフト（１０）の内部には、ロ
   ッカーアームシャフト（１０）と同じ円筒形状で、ロッ
   カーアームシャフト（１０）より一回り直径が小さい変
   速用シャフト（１１）と介在シャフト（１２）とが存在
   する。 （ヘ）第１低速用ロッカーアーム（４）の内部には、変
   速用シャフト（１１）と一体化された第１接続棒（１
   ３）および、その接続棒と一体化された第１ピストン
   （１４）、そしてタイミングスプリング（１５）、第３
   ピストン（１６）などが存在する。 （ト）第２低速用ロッカーアーム（５）の内部には、変
   速用シャフト（１１）と一体化された第２接続棒（１
   ７）および、その接続棒と一体化された第２ピストン
   （１８）が存在する。 （チ）高速用ロッカーアーム（８）の内部には、第４ピ
   ストン（１９）が存在する。 （リ）エンジンが低速回転のときには、各ロッカーアー
   ム内部に存在するピストン群は、それぞれのロッカーア
   ーム内部に収納された状態である。この結果、第１低速
   用ロッカーアーム（４）、第２低速用ロッカーアーム
   （５）、高速用ロッカーアーム（８）の３つのロッカー
   アームは相互に独立して作動する。この結果、吸気バル
   ブ（１）または排気バルブ（２）は、低速カムプロフィ
   ールで開閉することになる。 （ヌ）エンジンが高速回転のときには、各ロッカーアー
   ム内部に存在するピストン群は、各ロッカーアームから
   外にせり出して、隣にあるロッカーアームに侵入する。
   すなわち、第１低速用ロッカーアーム（４）内部の第３
   ピストン（１６）は、隣接する高速用ロッカーアーム
   （８）に侵入し、高速用ロッカーアーム（８）内部の第
   ４ピストン（１９）は、隣接する第２低速用ロッカーア
   ーム（５）内部に侵入する。この結果、第１低速用ロッ
   カーアーム（４）、第２低速用ロッカーアーム（５）、
   高速用ロッカーアーム（８）の３つのロッカーアーム
   は、相互に連結され、１体化して作動するようになる。
   この結果、吸気バルブ（１）または排気バルブ（２）
   は、高速カムプロフィールで開閉するようになる。 以上の構成よりなる、４サイクル内燃機関の、バルブ開
   閉機構。