JPH0830515B2 - 多節集合伝動ベルトの組立方法及びそのベルトの組立装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はＶ形プーリ用多節集合伝動ベルト（assemble
d transmission belt）の組立方法およびこれに係る装
置に関する。この伝動ベルトは１つまたは複数の無端キ
ャリアおよびこのキャリア上に転置可能に備えられた多
数のエレメントからなり、これらのエレメント同士は両
主側面が相互に当接しかつ前記キャリアを装入するため
の１つまたは複数の凹所を有している。

エレメントの凹所が１つであれば伝動ベルトは１つの
キャリアを有し、エレメントの凹所が２つであればキャ
リア２つになる。キャリアは実質上平坦な１枚の金属帯
材または複数の金属帯材を組合せた金属帯束材により構
成される。以下の説明では「キャリア」は１つまたは複
数のキャリアをいうものとし、そのキャリアは１枚の金
属帯材または複数の金属帯材からなる帯束材からなるも
のとする。また、「エレメント」は１つの凹所を有する
エレメントおよび複数の凹所を有するエレメントの両方
をいうものとする。

本発明は特に２つ無端キャリアからなる伝動ベルトの
組立方法に関し、各キャリアは金属帯束材の形状であっ
て、その上にエレメントを装着し、各エレメントは両側
面に２つの凹所を有している。その他の構成は前述の構
成と同様である。

［従来技術と問題点］ 本発明に関連する前述のような伝動ベルトは米国特許
4,080,841号およびヨーロッパ特許0014013号に開示され
ている。伝動ベルトの使用中には、この伝動ベルトがＶ
形プーリ上を走行し、プーリを構成する円錐状半体によ
りキャリアが横にずれてエレメントから脱落することが
防止される。このプーリの半体は各エレメントの側面と
接触係合する。隣り合うエレメント同士は一方のエレメ
ントの突起が他方のエレメントの対応する孔に嵌入する
ことにより相互に固定される。

この種の伝動ベルトを組立てる場合、手作業で各エレ
メントの凹所を金属帯材または帯束材上に装着するとき
に、最後のエレメントを装着することが困難になるとい
う問題、特に、エレメントに突起が設けられている場合
に困難になるという問題があった。また手作業によるこ
となく完全機械化により迅速に伝動ベルトの組立てが可
能な組立手段が要求されていた。

さらに組立てた伝動ベルトはエレメント同士間および
エレメントとキャリア間の遊びを極力小さくしなければ
ならない。これを達成するための手段がオランダ特許出
願第8501507号に開示されている。

この公知方法においては、 （ａ）無端キャリアの直径より大きい直径の補助組立ジ
グ上にエレメントの一方の凹所を装着し、 （ｂ）該無端帯材の実際の直径に対して必要な最終的な
所定数のエレメントを装着し、 （ｃ）このように装着されたエレメント組立体の直径を
小さくしてエレメント側面の凹所により形成された長溝
内にキャリアを挿入可能な直径とし、 （ｄ）このエレメント側面の凹所により形成された長溝
内にキャリアを装着していた。

このような方法および装置により比較的満足すべき結
果が得られていた。

しかしながら、この公知方法は多くの不具合を併せも
っていた。即ち、最終的な多節集合伝動ベルトの所望の
寸法精度が得られなかった。なぜなら、２つの相互に無
関係な寸法測定、すなわち（１）キャリアの長さに応じ
た直径の測定と、（２）これと無関係な基準枠材（補助
組立ジグ）上の最終的な装着用のエレメント間の間隔の
測定を行なわなければならず、従って測定誤差が加算さ
れて大きくなるからである。このため組立てられた多節
集合伝動ベルトは各エレメント間およびエレメントとキ
ャリア間に大きな遊びを生じていた。

さらにこの公知方法による多節集合伝動ベルトは摩耗
が大きいという問題があった。本発明は上記問題点を解
消することを目的とする。

［発明の構成および作用］ 前記目的を達成するため、本発明に係るＶ形プーリ用
多節集合伝動ベルトの組立て方法は、該伝動ベルトが１
つまたは複数の無端キャリアおよびこの帯材上に転置可
能に備えられた多数のエレメントからなり、該エレメン
トは相互に当接係合しかつ前記無端キャリアを装入する
少なくとも１つの凹所を有し、 （ａ）前記エレメントは最初に最終的に必要な数より少
ない数だけ補助組立ジグ上に装着され、 （ｂ）補充すべき数のエレメントの長さを１つまたは複
数の基準枠材に対応して測定し、 （ｃ）前記決定された長さを満たす数のエレメントを組
立ジグ上の他のエレメントに加え、 （ｄ）無端キャリアをエレメントの凹所内に装着し、 各別の伝動ベルトに対し、専用の基準枠材として、そ
の伝動ベルトに用いられる無端キャリアを用いることを
特徴とする。

本発明に係るさらに発展的な多節集合伝動ベルトの組
立方法の特徴とするところは、 （ａ）最終的に完成した伝動ベルトに必要な数のエレメ
ントより少ない数のエレメントを、各エレメントの少な
くとも１つの凹所を開放した状態で組立ジグ上に装着
し、 （ｂ）クランプされたエレメントを装着した組立ジグの
直径を、帯材または帯束材が、対応する凹所の列に整合
して嵌入できるように変化させ、 （ｃ）帯材または帯束材を凹所内に配設し、各エレメン
トを相互に押圧し、まだ配置されていないエレメントの
なす開放部を測定し、 （ｄ）前記帯材または帯束材を取り外し、 （ｅ）前記組立ジグの直径を拡大し、 （ｆ）既に装着されたエレメント間の開放部に一連の選
択されたエレメントを充足し、該エレメントの装着状態
での連結厚さは前記（ｃ）で測定した開放部に対応し、 （ｇ）前記（ｂ）の帯材または帯束材を、組立ジグの直
径の調整後に、これに割り当てられたエレメントの凹所
内に装着し、 （ｈ）該帯材または帯束材を装着したエレメントの組立
ユニットを取外す工程を含むことである。

前記オランダ特許出願第85−01507号に対する本発明
方法の利点は、未装着エレメントの連結厚さを決定する
ために２回ではなく１回だけの測定を行なえばよいこと
である。これにより伝動ベルトの品質が向上する。本発
明によるこの効果は、帯材または帯束材自体が未装着エ
レメントの合計厚さを決定するための基準枠材として用
いられるために得られるものである。

本発明はまた前記方法を実施するための装置にも関す
る。本発明に係る１つまたは複数の帯材または帯束材を
装入する凹所を１つまたは複数個有する連結集合エレメ
ントの組立装置は以下のとおりである。

（ａ）エレメントを設置可能な補助組立ジグであって、
該ジグの直径または長さは装着されるべき帯材または帯
束材の直径または長さに実質上等しいような補助組立ジ
グと、 （ｂ）該補助組立ジグ上に設置されたすべてのエレメン
トを同時に取り上げこれを移送する手段と、 （ｃ）内側に膨張可能な大径リングと外側に膨張可能な
小径リングとからなる２つの同心状のリングであって、
前記（ａ）に従って装着された一連のエレメントを両リ
ング間にクランプし、該両リングはエレメントをクラン
プした状態で内側および外側の寸法を変えて所定の位置
に移動可能な２つの同心状リングと、 （ｄ）前記エレメントをクランプする両リングの軸の方
向に運動することにより、１つまたは複数の帯材または
帯束材をクランプされたエレメントの凹所内に一時的ま
たは最終的に装着可能とするための１つまたは複数の手
段と、 （ｅ）未装着エレメントのための残された開放部を測定
可能な手段と、 （ｆ）連結したエレメントの合計厚さが前記（ｅ）に従
って測定したスペースに対応するような厚さに形成され
た複数のエレメントを連結する手段および該エレメント
と他のエレメントとを連結する手段とを備えた装置。

本発明に係る装置は前記本発明方法による伝動ベルト
の組立てを可能とし、また両側面に凹所を有するエレメ
ントを用いた場合には、帯材または帯束材を同時に装着
可能とする。この同時装着可能な構成は同心状の膨張可
能なリング装置により達成される。これにより伝動ベル
トの生産能率が向上する。

環状に配設されたエレメントの最初に開放された状態
の開口部の長さはエレメント厚さの公差に基いて定ま
る。また、個々の厚さが分っているエレメントの全体数
から必要な長さの連続体を組立てることができる。この
ような充足用の束を集合連結する方法はいくつかあるが
それらは本発明を構成するものではない。

補助組立グジ上に設置されたエレメントを取り上げる
手段は電磁石で構成することが望ましい。この電磁石は
取り上げられたエレメント列が前記膨張可能な両リング
間に移行された後励磁解除される。

可変直径の円周上に予め仮り装着した一連のエレメン
トをクランプして保持する手段は例えば半径方向に同時
に作動するクランプ手段により構成される。好ましくは
このような手段は、複数の分割セグメントからなる２つ
の同心状金属リングにより構成される。これら金属リン
グは相互の対向面の反対側に例えば膨張可能なゴム材か
らなる伸縮部材が備わり、これによりエレメントの凹所
を塞ぐことなく分割セグメントからなる両金属リング間
に該エレメントをクランプすることができる。

帯材または帯束材をエレメントの上方およびその凹所
内に移送操作するための手段は好ましくはこれも電磁石
により構成し、該電磁石は帯材の装着後に励磁解除され
る。

［実施例］ 以下図面を参照して本発明の限定されない実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図および第２図は各々以下詳細に説明する本発明
に係る装置に装着されるエレメントの正面図および側面
図である、金属帯材は帯束材または２つの相互に反対側
の側面の凹所５内に装入され受容される。該エレメント
にはさらに突起６および孔７からなる一対の接続手段が
備わり、該突起６は隣接するエレメントの対応する孔７
に嵌入する。

第３図は補助組立ジグ11の直立端部10を示す。この直
立端部10を示す。この直立端部10は第１図および第２図
に示すエレメントの凹所５に嵌入してエレメントを該端
部上に設置保持する。

第４図は、エレメントが例えば電磁石（図示しない）
等により補助組立ジグ11から取外され２つの内側および
外側の同心状金属リング12,13間にクランプされた状態
を示す。これらの金属リングは分割セグメントからなり
膨張可能なゴムリング14,15にそれぞれ取付けられる。
これらゴムリングは各々金属リング20,21に取付けられ
その大きさが定まる。この状態は同じ番号を付して第５
図にさらに詳細に示されている。

帯材または帯束材16,17は同心であり、前記各リング1
2〜15に対し軸方向に移動可能な電磁石18,19上に保持さ
れている。２つの帯束材16,17を同時に装着することが
できかつエレメント集合ユニットを180゜反転させる必
要もないことは明らかである。

以上概略説明した装置の操作方法は既に説明したとお
りである。

膨張可能なゴムリングを用いる代りに例えば軸方向に
移動可能な円錐体またはダイヤフラム等のように直径を
変化させることができる他の適当な手段を用いてもよ
い。

重要なことは、補助組立ジグ上に予め仮り装着した状
態の間開放されたままの開放部が大きいため通常の生産
での全体数から厚さを測定したエレメントから正確な充
足用寸法を選定できることであり、また該エレメントの
正確な選定により正確な直線寸法が得られることであ
る。これは（こうしなければ完全に実際の寸法公差に依
存し）、部材12〜16の開放部が充足されるのに要するエ
レメント数を示す。この数を用いれば厚さについて公差
を有するエレメントの全体から充足すべき数の正確な長
さを決定し組立てることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は２つの凹所を有するエレメントを示す図、第２
図は上記エレメントの側面図、第３図はエレメントを装
着した補助組立ジグの断面図、第４図ははクランプされ
た仮装着状態の一連のエレメントと該エレメントの上方
および下方に向けて開放した凹所内に装着される帯束材
の概略断面図、第５図は仮装着エレメントのクランプ装
置の断面図である。 5:凹所、 6:突起、 7:孔、 11:補助組立ジグ、 12,13:金属リング、 14,15:ゴムリング、 16,17:帯束材。

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｖ形プーリ用多節集合伝動ベルトの組立方
   法であって、該伝動ベルトは少なくとも１つの金属帯材
   または帯束材形状の１つまたは複数の無端キャリアと該
   帯材上に転置可能に装着された多数のエレメントからな
   り、前記エレメントは相互に主側面同士が当接しかつ前
   記帯材を装入するための１つまたは複数の凹所を有し、 （ａ）最初に、最終的な数より少ない数のエレメントを
   補助組立ジグ上に装着し、 （ｂ）充足されるべきエレメント数の長さを１つまたは
   複数の基準枠材に対応して測定し、 （ｃ）該決定された長さに適合する数のエレメントを組
   立ジグ上の他のエレメントに加え、 （ｄ）最後に前記無端キャリアを該エレメントの凹所内
   に完全に装着する伝動ベルト組立方法において、 個々の伝動ベルトに対し専用の基準枠材としてその伝動
   ベルトに用いられる無端キャリアを用いることを特徴と
   する多節集合伝動ベルトの組立方法。
2. 【請求項２】（ａ）最終的な伝動ベルトに必要な数のエ
   レメントより少ない数のエレメントを該エレメントの少
   なくとも１つの凹所を開放した状態で組立ジグ上に装着
   し、 （ｂ）クランプされたエレメントを装着した組立ジグの
   直径を、帯材または帯束材がこれに対応する凹所の列に
   整合するように変化させ、 （ｃ）帯材または帯束材を凹所内に設置し、エレメント
   を相互に押圧し、未装着エレメントの開放部を測定し、 （ｄ）前記帯材または帯束材を取り外し、 （ｅ）前記組立ジグの直径を拡大し、 （ｆ）既に装着されているエレメント間の開放部を、装
   着状態での連結厚さが前記（ｃ）で測定した開放部に対
   応する一連の選択されたエレメントで充足し、 （ｇ）前記（ｂ）に記載した帯材または帯束材を、組立
   ジグの直径を調整した後に、これらに割り当てられたエ
   レメントの凹所内に装着し、 （ｈ）該帯材または帯束材を装着したエレメント組立ユ
   ニットを取外すことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載の多節集合伝動ベルトの組立方法。
3. 【請求項３】（ａ）エレメント（１−８）を設置可能で
   かつ直径（または長さ）が装着すべき帯材または帯束材
   の直径と実質上等しい補助組立ジグと、 （ｂ）前記補助組立ジグ上に設置されたすべてのエレメ
   ントを同時に取り上げて移送する手段と、 （ｃ）内側に膨張可能な大径リング（12,14）および外
   側に膨張可能な小径リング（13,15）からなり、前記
   （ａ）に従って装着された一連のエレメントを該両リン
   グ（12〜15）間にクランプ可能であり、該エレメントを
   クランプした状態で内側および外側の寸法を同時に変化
   させ所定の位置に移動可能な２つの同心状のリング（12
   〜15）と、 （ｄ）該クランプ用リング（12〜15）に対する軸方向の
   運動により、１つまたは２つの帯材または帯束材をクラ
   ンプされたエレメント（１−８）の凹所（5,5′）内に
   一時的または最終的に設置可能な１つまたは複数の手段
   （18,19）と、 （ｅ）未装着エレメント（１−８）の開放部を測定可能
   な手段と、 （ｆ）連結したエレメントの合計厚さが前記（ｅ）に従
   って測定されたスペースに対応するように厚さを仕分け
   られたエレメントの連結手段および該エレメントを他の
   エレメントと連結する手段とにより構成したことを特徴
   とする特許請求の範囲第１項または第２項の方法により
   横断エレメント集合体を組立てかつ１つまたは複数の金
   属帯材または帯束材を備えた伝動ベルトの組立装置。
4. 【請求項４】前記補助組立ジグ（10,11）上に設置され
   たエレメント（１−８）を取り上げて移送する手段を備
   えたことを特徴とする特許請求の範囲第３項記載の伝動
   ベルトの組立装置。
5. 【請求項５】電磁石により前記エレメント（１−８）を
   取り上げて移送する手段を構成したことを特徴とする特
   許請求の範囲第４項記載の伝動ベルトの組立装置。
6. 【請求項６】前記仮装着したエレメントをクランプして
   保持する手段は、セグメントに分割された２つの同心状
   の金属リング（12,13）からなり、該金属リングの相互
   に反対側の側面には例えば膨張可能な伸縮ゴム部材（1
   4,15）が備わり、該ゴム部材は凹所（5,5′）を塞ぐこ
   となくエレメント（１−８）をクランプするように構成
   されたことを特徴とする特許請求の範囲第５項記載の伝
   動ベルトの組立装置。
7. 【請求項７】前記帯材または帯束材（16および17）をエ
   レメント（１−８）の凹所（5,5′）の上方および内部
   へ移動操作するための手段は、装着後に励磁解除可能な
   電磁石（18,19）からなることを特徴とする特許請求の
   範囲第３項から第６項までのいずれか１項記載の伝動ベ
   ルトの組立装置。
8. 【請求項８】特許請求の範囲第１項または第２項の方法
   を使用して組立てた伝動ベルト。
9. 【請求項９】特許請求の範囲第３項から第７項までのい
   ずれか１項記載の装置を使用して組立てられた伝動ベル
   ト。