JPH08300843A - 平版印刷版用支持体とその製造方法及びそれに用いる電気化学的粗面化装置並びに電極 - Google Patents

平版印刷版用支持体とその製造方法及びそれに用いる電気化学的粗面化装置並びに電極

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JPH08300843A
JPH08300843A JP4617096A JP4617096A JPH08300843A JP H08300843 A JPH08300843 A JP H08300843A JP 4617096 A JP4617096 A JP 4617096A JP 4617096 A JP4617096 A JP 4617096A JP H08300843 A JPH08300843 A JP H08300843A
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aluminum plate
aqueous solution
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aluminum
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JP4617096A
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Akio Uesugi
彰男 上杉
Kiyotaka Fukino
清隆 吹野
Hideto Sasaki
秀人 佐々木
Atsuo Nishino
温夫 西野
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像のシャドウ部及びブランケット上で汚れ
の発生することなく、感光層との密着がよく、かつ印刷
時の湿し水の見やすさを満足する平版印刷用支持体とそ
の製造方法及びそれに用いる電気化学的粗面化装置を提
供する。 【解決手段】 粗面化によって起伏を有する平版印刷版
用支持体において、この起伏が平均ピッチ5μm以上3
0μm以下の大波と、平均直径0.1μm以上3μm以
下のハニカムピットによる中波が重畳された砂目におい
て、原子間力顕微鏡による計測で求めた平均表面粗さが
0.35μm以上1.0μm以下であり、また、原子間
力顕微鏡による計測で求めた表面傾斜度分布の傾斜度が
30度以上の割合が5%以上40%以下である平版印刷
版用支持体及びその製造方法及びラジアル形電解槽を用
いた液体給電によるアルミニウムウェブの連続電解装置
よりなる該製造方法に用いる電気化学的粗面化装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用アル
ミニウム支持体及びその製造方法及びそれに用いる電気
化学的粗面化装置並びに電極に関するものであり、特に
平版印刷版支持体として最適な表面形状を有する平版印
刷版用アルミニウム支持体及びその製造方法及びそれに
用いる電気化学的粗面化装置並びに電極に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】平版印刷法とは、水と油が本質的に混じ
り合わないことを利用した印刷方式であって、これに使
用される平版印刷版の印刷版面には水を受容して油性イ
ンキを反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」と
いう。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域
(以下、この領域を「画像部」という。)が形成され
る。平版印刷版に使用されるアルミニウム支持体は、そ
の表面が非画像部を担うように使用されるため、親水
性、保水性が優れていること、更にはその上に設けられ
る感光層との密着性が優れていること等といった相反す
る種々の性能が要求される。支持体の親水性が低い場
合、印刷時非画像部にインキが付着するようになり、い
わゆる地汚れが発生する。支持体の保水性が低い場合、
印刷時湿し水を多くしないとシャドー部のつまりが発生
する。したがって、いわゆる水幅が狭くなる。
【0003】これらの性能の良好なアルミニウム支持体
を得るためには、アルミニウム板の表面を砂目立てにし
て微細な凹凸を付与するのが通例である。この砂目立て
には、ボールグレイニング、ブラシグレイニング、ワイ
ヤーグレイニング、ブラストグレイニングなどの機械的
粗面化方法、塩酸及び/又は硝酸を含む電解液中でアル
ミニウム板を電解エッチングする電解粗面化方法および
米国特許第4,476,006号明細書に記載されてい
る機械的粗面化方法と電解粗面化方法を組み合わせた複
合粗面化方法などが知られている。
【0004】これらの砂目立て方法の中では、平版印刷
版用支持体としての性能に優れ、かつまた大量生産性に
優れるという点からブラシグレイニングによる砂目立て
方法及びブラシグレイニングと電解粗面化方法とを組み
合わせた砂目立て方法が有利である。
【0005】ブラシグレイン工程で使用されるブラシは
1本または複数本のブラシを用いるのが通例である。こ
のとき、特公昭50−40047号公報に記載のように
ある決まった1種類のものを複数本使用することが記載
されている。特開平6−135175号公報には毛の材
質、毛径、毛の断面形状などが異なるものを使用できる
ことが記載されている。
【0006】一方電気化学的な粗面化工程で使用される
交流電流波形はサイン波、台形波または矩形波を用いる
ことが特開平6−135175号公報に記載されてい
る。電気化学的な粗面化方式で用いる電解槽はラジアル
型を使用し、補助アノード電極を主電極と同一の槽に設
けることが特開平5−195300号公報に記載されい
る。又電流値の一部を2つの主電極とは別に設けた補助
アノード電極に直流電流として分流させることは、特公
平6−37716号公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法ではシャドウ部およびブランケット上で汚れが発
生して、かつ感光層との密着性がよい平版印刷版用支持
体を得ることが難しかった。更に、平版印刷版用支持体
としては、非画像部の汚れ難さと、印刷時の示し水の見
やすさを満足する必要があった。従来、印刷時の湿し水
の見やすさを満足させるには触針式表面粗さ計による平
均表面粗さを大きくすればよいが、このようにすると非
画像部の汚れ難さが悪くなるという問題点があった。
【0008】本発明の目的は、原子間力顕微鏡による物
性値で、平版印刷版よう支持体として最適な表面形状を
有する平版印刷版用アルミニウム支持体及びその製造方
法及びそれに用いる電気化学的粗面化装置を提供するこ
とにある。本発明の他の目的はシャドウ部およびブラン
ケット上で汚れの発生することがなく、感光層との密着
性がよい平版印刷版用アルミニウム支持体及びその製造
方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために種々検討の結果、以下に示す本発明によ
って達成されることを見いだした。即ち、本発明の第1
に態様は、粗面化によって起伏を有する平版印刷版用支
持体において、この起伏が平均ピッチ5μm以上30μ
m以下の大波と、平均直径0.1μm以上3μm以下の
ハニカムピットによる中波が重畳された砂目において、
原子間力顕微鏡による計測で求めた平均表面粗さが0.
35μm以上1.0μm以下であり、また、原子間力顕
微鏡による計測で求めた表面傾斜度分布の傾斜度が30
度以上の割合が5%以上40%以下であることを特徴と
する平版印刷版用支持体である。
【0010】本発明の第2に態様は、連続して走行する
アルミニウム板の表面を順に(a)酸性水溶液中でアル
ミニウム板を電解研磨処理するか、または、酸またはア
ルカリ水溶液中でアルミニウム板を化学的なエッチング
処理し、(b)硝酸または塩酸を主成分とする水溶液中
で交流または直流を用いて10〜1000 C/dm2
の電気量で該アルミニウム板を電気化学的なエッチング
処理し、(c)酸性水溶液中で該アルミニウム板を電解
研磨処理するか、または、酸、あたはアルカリ水溶液中
で該アルミニウム板を化学的なエッチング処理し、
(d)次いで、該アルミニウム板を陽極酸化して陽極酸
化皮膜を形成させる、ことを特徴とする平版印刷版用支
持体の製造方法である。
【0011】なお、本発明においては、上記第2及び第
3に態様において、第1段目の電解研磨処理の前に、毛
径が0.2〜0.9mmの回転するナイロンブラシロー
ルと、アルミニウム板表面に供給されるスラリー液で機
械的に粗面化処理することができる。本発明の第4の態
様は、連続して走行するアルミニウム板の表面を順に、
(a)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理す
るか、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウ
ム板を化学的なエッチング処理し、(b)硝酸または塩
酸を主成分とする水溶液中で交流または直流を用いて1
0〜1000 C/dm2 の電気量で該アルミニウム板
を電気化学的なエッチング処理し、(c)酸性水溶液中
で該アルミニウム板を電解研磨処理するか、または、
酸、あたはアルカリ水溶液中で該アルミニウム板を化学
的なエッチング処理し、(d)硝酸または塩酸を主成分
とする水溶液中で交流または直流を用いて10〜100
0 C/dm2 の電気量で該アルミニウム板を電気化学
的なエッチング処理し、(e)酸性水溶液中で該アルミ
ニウム板を電解研磨処理するか、または、酸、あたはア
ルカリ水溶液中で該アルミニウム板を化学的なエッチン
グ処理し、(f)次いで、該アルミニウム板を陽極酸化
して陽極酸化皮膜を形成させる、ことを特徴とする平版
印刷版用支持体の製造方法である。
【0012】本発明の第4の態様は、連続して走行する
アルミニウム板の表面を順に(a)毛径が0.2〜0.
9mmの回転するナイロンブラシロールとアルミニウム
板表面に供給されるスラリー液で機械的に粗面化し、
(b)アルカリ水溶液中でアルミニウム板の溶解量が1
g/m2 以上30g/m2 以下となるようにエッチング
処理し、またはエッチング処理しないで、(c)酸性水
溶液中でデスマット処理し、またはデスマット処理しな
いで、(d)酸性水溶液中で、電流がゼロからピーク値
に達する時間が1〜3msec、かつ周波数50〜70
Hzの台形波交流を用いて電気化学的粗面化処理し、
(e)アルカリ水溶液中でアルミニウムの溶解量が0.
1g/m2 以上3g/m2 以下となるようにエッチング
処理し、(f)酸性水溶液中でデスマット処理し、
(g)陽極酸化処理して陽極酸化被膜を形成させること
を特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法である。
【0013】また、本発明においては、上記各態様にお
いて、前記スラリー液が珪砂または水酸化アルミニウム
のスラリー液を用いることが有利である。また、本発明
の第5態様は、交流を用いた電気化学的な粗面化に用い
る電流の周波数が50〜70Hzであり、電流が0〜ピ
ーク値に達する時間が1〜3msecの台形波交流であ
り、なおかつ、交流を用いた電気化学的な粗面化に用い
る装置が、ラジアル型電解槽を用いた液体給電による金
属ウエブの連続電解処理装置であり、整流素子またはス
イッチング素子を介して電流値の一部を、主電極とは別
の槽に設けた補助アノード電極に直流電流として分流さ
せることにより、主電極に対向するアルミニウム板表面
上で作用するアノード電流にあずかる電流値とカソード
反応にあずかる電流値との比を制御するように構成され
ていることを特徴とする上記各平版印刷版用支持体の製
造方法に用いられる電気化学的粗面化装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、アルミニウム板の表面が粗面化によっ
て起伏を有する平版印刷版用支持体で、この起伏が平均
ピッチ5μm以上30μm以下の大波と、平均直径0.
1μm以上3μm以下のハニカムピットによる中波が重
畳された砂目であることは、大波の起伏が5μmよりも
小さいピッチであると、平版印刷版としたときの表面の
光沢が目立つようになり検版性が悪くなる。大波の起伏
が30μmよりも大きいピッチであると、印刷枚数が減
少する傾向がある。 大波の起伏の上には平均直径0.
1μm以上3μm以下のハニカムピット、好ましくは、
平均直径0.5μm以上1μm以下のものが全面にわた
って均一に生成している。ピット径が0.1μmより小
さいか、3μmより大きいとブランケットの汚れ性能が
悪くなる。前記ピット密度は1×105 から1×108
個/mm2 のピットが全面にわたって均一に生成してい
ることが好ましい。ハニカムピットが全面に均一に生成
していないと金インキ等の特殊インキでの汚れ性能が悪
くなる。最適なピット個数およびハニカムピットを生成
するための電気量は、ハニカムピット径によって異なる
が、それぞれ最適値を求めることができる。
【0015】電気化学的な粗面化のあとは特開昭56−
47041号公報に記載されているように、アルカリ水
溶液中で化学的にエッチングすることで、電気化学的な
粗面化で生成したスマット成分とハニカムピットの角の
部分を溶解し、汚れ性能が良好な印刷版を得ることがで
きる。
【0016】本発明で測定に使用した原子間力顕微鏡
(Atomic Force Microscope:AFM)は、セイコー電子工業
(株)製SP13700で、測定は1cm角の大きさに
切り取ったアルミニウム板試料ピエゾスキャナー上の水
平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプ
ローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY
方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエ
ゾの変位でとらえた。ピエゾスキャナーはXY150μ
m,Z10μm、走査可能なものを使用した。カンチレ
バーはNANOPROBE社製SI−DF20で共振周
波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/m
のもので、DFMモード(Dynamic ForceMode) で測定
した。また、得られた3次元データを最小二乗近似する
ことにより試料のわずかの傾きを補正し基準面を求め
た。
【0017】大波の起伏、平均表面粗さおよび傾斜度計
測の際は、測定領域120μm角を4視野、すなわち、
240μm角の測定を行った。XY方向の分解能は1.
9μm、Z方向の分解能は1nm、スキャン速度は60
μm/secであった。大波の起伏のピッチは三次元デ
ータを周波数分析することにより算出した。平均粗さ
は、JIS B0601−94で定義されている中心線
平均粗さRaを三次元に拡張したものである。表面傾斜
度は、三次元データより隣り合う3点を抽出し、その3
点で形成する微小三角形と基準面とのなす角を全データ
について算出し、傾斜度分布曲線を求め、これより傾斜
度30度以上の割合を出した。
【0018】中波のピット径の計測は、測定領域25μ
m角を4視野、すなわち、50μm角の測定を行い、X
Y方向の分解能は0.1μm、Z方向の分解能は1n
m、スキャン速度は25μm/secで、ピットのエッ
ジより径を求めた。
【0019】本発明において好ましいAFMによる測定
で求めた平均表面粗さは0.35〜1.0μm、さらに
好ましくは0.35〜0.8μmである。0.35μm
よりも小さいと網転非画像部で汚れやすくなり、1.0
μmよりも大きいとブランケット上で非画像部が汚れや
すくなる。
【0020】本発明においてAFMによる計測で求めた
表面傾斜度分布の傾斜度が30度以上の割合は、好まし
くは5%以上40%以下であり、さらに好ましくは5%
以上30%以下である。5%よりも小さいと網点非画像
部で汚れやすくなり、40%よりも大きいとブランケッ
ト上で非画像部が汚れやすくなる。
【0021】なお、本発明の平版印刷版用アルミニウム
支持体は、常法に従い、感光層または、中間層及び感光
層を塗布・乾燥することによって印刷性能が優れた感光
性平版印刷版(PS版)となる。感光層の上には常法に
従い、マット層等を設けてもよい。また、現像時のアル
ミニウムの溶け出しを防ぐ目的で裏面にバックコート層
を設けてもよい。さらに、本発明は、アルミニウム支持
体の片面のみでなく両面を処理したPS版の製造にも適
用できる。
【0022】また。本発明は、以下に本発明の平版印刷
版用アルミニウム支持体の粗面化のみならず、あらゆる
アルミニウム板の粗面化にも応用することができる。以
下に本発明の平版印刷版用アルミニウム支持体の製造方
法について詳しく説明する。本発明に使用されるアルミ
ニウム板は、純アルミニウム板、アルミニウムを主成分
とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウムが
ラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムの
中から選ばれる。
【0023】該アルミニウム合金に含まれる異元素に
は、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロ
ム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、バナジウムな
どがある。通常は、アルミニウムハンドブック第4版
(1990、軽金属協会発行)に記載の従来公知の素
材、例えば、JIS A 1050材、JIS A 1
100材、JIS A 3103材、JIS A 30
04材、JIS A 3005材または引っ張り強度を
増す目的でこれらに0.1wt%以上のマグネシウムを
添加した合金を用いることが出来る。
【0024】上記アルミニウム板は、通常の半連続鋳造
法(DC法)によるアルミニウム板の他、連続鋳造圧延
法により製造されたものでもよい。連続鋳造圧延の方法
としては双ロール法、ベルトキャスター法、ブロックキ
ャスター法などを用いることができる。合金中の異元素
の含有量は10重量%以下である。
【0025】本発明に用いられるアルミニウム板の厚み
は、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。
【0026】実施態様1 (1−1)酸性水溶液中でアルミニウム板の電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板の化学的なエッチング処理 アルミニウム板にある圧延油、自然酸化皮膜、汚れなど
を除去し、電気化学的な粗面化が均一に行われる目的で
上記の処理を行う。処理によるアルミニウム板の溶解量
は1〜30g/m2 溶解することが好ましく、1.5〜
20g/m2 溶解することがより好ましい。 (1−1−1)酸性水溶液中でアルミニウム板の電解研
磨処理 (なお、電解研磨処理の材質別による処方例は、間宮富
士雄著;「洗浄設計」、No.21,65〜72頁(1
984)に記載されている。) 公知の電解研磨に用いる水溶液が使用できる。好ましく
は、硫酸またはリン酸を主体とする水溶液であり、特に
好ましくは、リン酸を主体とする水溶液である。
【0027】リン酸20〜90重量%(好ましくは40
〜80重量%)、液温10〜90℃(好ましくは50〜
80℃)、電流密度1〜100A/dm2(好ましくは5
〜80A/dm2)、電解時間は1〜180秒の範囲から
選択できる。リン酸水溶液中に、硫酸、クロム酸、過酸
化水素、クエン酸、フッ化水素酸、無水フタール酸など
を1〜50重量%添加してもよい。また、アルミニウム
はもちろんアルミニウム中に合金成分を0〜10重量%
含有していてもよい。
【0028】電流は、直流、パルス直流、または交流を
用いることが可能であるが、連続直流が好ましい。電解
処理装置はフラット型槽、ラジアル型槽など公知の電解
処理の用いられているものを使用することができる。流
速はアルミニウム板に対して、パラレルフロー、カウン
ターフローのどちらでもよく、0.01〜10000c
m/分の範囲から選定される。
【0029】アルミニウム板と電極との距離は0.3〜
10cmが好ましく、0.8〜2cmが特に好ましい。
給電方法はコンダクタロールを用いた直接給電方式を用
いてもよいし、コンダクタロールを用いない間接給電方
式(液給電方式)をもちいてもよい。使用する電極材
質、構造は電解処理に使われている公知のものが使用可
能であるが、陰極材質はカーボン、陽極材質はフェライ
ト、酸化イリジウムまたは白金が好ましい。
【0030】なお、アルミニウム板の処理面は上面でも
下面でも両面でもよい。 (1−1−2)酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウ
ム板を化学的なエッチング処理 かかるエッチング方法の詳細のついては米国3、83
4、398号に記載されており、これらの公知の手段を
用いることができる。
【0031】酸性水溶液に用いることの出来る酸または
アルカリとしては特開昭57−16918号公報などに
記載されているものを単独または組合せて用いることが
出来る。液温は40〜90℃で、1〜120秒間処理す
ることが好ましい。酸性水溶液の濃度は0.5〜25重
量%が好ましく、さらに酸性水溶液中に溶解しているア
ルミニウムは0.5〜5重量%が好ましい。
【0032】アルカリ水溶液の濃度は5〜30重量%が
好ましく、さらにアルカリ水溶液に溶解しているアルミ
ニウムは1〜30重量%が好ましい。エッチング処理が
終了した後には、処理液を次工程に持ち込まないために
ニップローラーによる液切りとスプレーによる水洗を行
うことが好ましい。化学的エッチングを、塩基の水溶液
を用いて行なった場合には、一般にアルミニウムの表面
にスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝
酸、硫酸、クロム酸またはこれらの内の2以上の酸を含
む混酸で処理する。
【0033】さらに、酸性水溶液中にはアルミニウムが
0〜5重量%溶解していてもよい。液温は常温から70
℃で実施され、処理時間は1〜30秒が好ましい。デス
マット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち込
まないために、ニップローラーによる液切りとスプレー
による水洗を行うことが好ましい。また、電気化学的な
粗面化処理で用いる電解液のオーバーフロー廃液を使用
することができる。電気化学的な粗面化処理で用いる電
解液のオーバーフロー廃液を使用するときは、デスマッ
ト処理後の水洗処理は省略してもよいが、アルミニウム
板が乾いてデスマット液中の成分が析出しないように注
意する必要がある。 (1−2)塩酸または硝酸水溶液中で直流または交流を
用いた電気化学的な粗面化処理 塩酸または硝酸水溶液中で直流または交流を用いた電気
化学的な粗面化処理は、平均直径約0.1〜20μmの
ハニカムピットをアルミニウム表面に30〜100%の
面積率で生成し、原子間力顕微鏡で測定したアルミニウ
ム板表面粗さ0.35〜1.0μmとする目的で行う。
この粗面化処理は、印刷版の非画像部の汚れにくさと耐
刷力を向上する作用がる。 (1−2−1)直流を用いた電気化学的な粗面化 塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、通常の交流を用
いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、
1〜100g/リットルの塩酸または硝酸水溶液に、硝
酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等
の塩酸イオンを有する塩酸なたは硝酸化合物の1つ以上
を1g/リットル〜飽和まで添加して使用することがで
きる。また、塩酸または硝酸を主体とする水溶液中に
は、鉄、銅、マンガン、チタン、マグネシウム、シリカ
等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していて
もよい。好ましくは、塩酸または硝酸0.5〜2重量%
水溶液中にアルミニウムイオンが3〜50g/リットル
となるように塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムを添
加した液を用いることが好ましい。温度は10〜60℃
が好ましく、25〜50℃がより好ましい。
【0034】直流を用いた電気化学的な粗面化に用いる
処理装置は公知の直流を用いたものを使用することがで
きるが、特開平1−141094号公報に記載されてい
るように、一対または2対以上の陽極と陰極を交互に並
べた装置を用いることが好ましい。公知の装置の一例と
しては、特開平1−141094号公報、特願平6−2
05657号明細書、特開昭61−19115号公報、
特公昭57−44760号公報等に記載されている。
【0035】電解処理が終了した後には、処理液を次工
程に持ち込まないために、ニップローラーによる液切り
とスプレーによる水洗を行うことが好ましい。電気化学
的な粗面化に使用する直流は、リップル率が20%以下
の直流を用いることが好ましい。電流密度は、10〜2
00A/dm3 が好ましく、アルミニウム板が陽極時の
電気量は10〜1000C/dm3 が好ましい。
【0036】陽極はフェライト、酸化イリジウム、白
金、白金をチタン、ニオブ、ジリコニウムなどのバルブ
金属にクラッドまたはメッキしたものなど公知の酸素発
生用電極から選定して用いることが出来る。陰極は、カ
ーボン、白金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステン
レスや燃料電池用陰極に用いる電極から選択して用いる
ことが出来る。 (1−2−2)交流を用いた電気化学的な粗面化 塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、通常の交流を用
いた電気化学的な粗面化処理に用いるものを使用でき、
1〜100g/リットルの塩酸または硝酸水溶液に、硝
酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等
の硝酸イオン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩
化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸または硝酸
化合物の少なくとも1つを1/リットル〜飽和まで添加
して使用することができる。また塩酸または硝酸を主体
とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタ
ン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含
まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸ま
たは硝酸0.5〜2重量%水溶液にアルミニウムイオン
が3〜50g/リットルとなるように、塩化アルミニウ
ム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好
ましい。温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃
がより好ましい。
【0037】硝酸を主体として水溶液中での電気化学的
な粗面化では平均直径0.5〜3μmのピットが1×1
5 〜6×106 個/mm2 の割合でピットが生成して
いることが好ましい。但し、電気量を比較的多くしたと
きは、電解反応が集中し、3μmを越えるハニカムピッ
トも生成する。塩酸を主体とする水溶液中の電気化学的
な粗面化ではクレーター状の大きなうねりに重畳して平
均直径0.1〜0.4μmのハニカムピットが全面の均
一に生成する。
【0038】電気化学的粗面化に用いる交流電源波は、
サイン波、矩形波、台形波、三角波などが用いられが、
矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好まし
い。本発明の電気化学的な粗面化に用いる台形波は、図
2に示したものをいう。電流が0〜ピークに達するまで
の時間(TP)は1〜3msecが好ましい。1mse
cよりも小さいとアルミニウム板の進行方向と垂直に発
生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。T
Pが3msecよりも大きいと電気化学的な粗面化に用
いる電解液中のアンモニウムイオンなどに代表される硝
酸液中での電解処理で、自然発生的に増加する微量成分
の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てがおこなわれ
にくくなる。その結果、汚れ性能が低下する傾向にあ
る。
【0039】台形波交流のduty比は1:2〜2:1
のものが使用可能であるが、特開平5−195300公
報に記載のようにアルミニウムにコンダクタロールを用
いない間接給電方式においてはduty比1:1のもの
が好ましい。台形波交流の周波数は0.1〜120Hz
のものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが
設備上好ましい。50Hzよりも低いと主極のカーボン
電極が溶解しやすくなり、70Hzよりも大きいと電源
回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、
電源コストが高くなる。
【0040】但し、Cuが0.1wt%よりも多く含まれ
るアルミニウム合金を用いるときには周波数0.1〜1
0Hzの交流を用いることが好ましい。電流密度は電流波
形のピーク値で10〜200A/dm2が好ましい。本発明
で交流を用いた電気化学的な粗面化に用いる電解槽は、
縦型、フラット型、ラジアル型など公知の表面処理に用
いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−19530
0号公報に記載のようなラジアル型電解槽がとくに好ま
しい。電解槽内を通過する電解液はアルミニウムウェブ
の進行とパラレルでもカウンターでもよい。
【0041】電解槽には1個以上の交流電源が接続する
ことができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる
交流の陽極と陰極の電流比をコントロールし、均一な砂
目立てを行うことと、主極のカーボンの溶解を目的で、
図3に示したように補助陽極を設刑、交流電流の一部を
分流させることが好ましい。整流素子またはスイッチン
グ素子を介して電流値の一部を2つの主電極とは別の槽
に設けた補助陽極に直流電流として分流させることによ
り、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノー
ド反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電
流値との比を制御できる。主極に対向するアルミニウム
板上で、陽極反応と陰極反応にあずかる電気量の比(陰
極時電気量/陽極時電気量)は0.3〜0.95が好ま
しい。 (1−3)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニム板
を化学的なエッチング処理 直流または交流を用いた電気化学的な粗面化で生成し
た、水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除
去、生成したピットのエッジ部分を滑らかにし、印刷板
としたときの汚れを良化させる目的で行う。
【0042】アルミニウム板の溶解量は0.1〜3g/m2
が好ましい。処理条件等については実施態様1−1に記
載の範囲から選択する。 (1−4)陽極酸化処理 アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用
いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するもの
ならば、いかなるものでも使用することができる。一般
には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはそれら
の混合液が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質
の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は
用いる電解質によって変わるので一概に特定し得ない
が、一般的には電解質の濃度が1〜80wt%、液温は5
〜70℃、電流密度1〜60A/dm2、電気1〜100
V、電解時間10秒〜300秒の範囲にあれば適当であ
る。
【0043】硫酸法は通常直流電流で処理がおこなわれ
るが、交流を用いることも可能である。陽極酸化皮膜の
量は1〜10g/m2の範囲が適当である。1g/m2よりも少
ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像
部に傷が付きやすくなって、同時にキズの部分にインキ
が付着する、いわゆるキズ汚れが生じやすくなる。
【0044】実施態様2 (2−1)第1番目のリン酸を主体とする水溶液中でア
ルミニウム板を電解研磨処理、または、酸またはアルカ
リ水溶液中でアルミニウム板を化学的なエッチング処理 処理条件等は実施態様1−1に記載の範囲から選択す
る。 (2−2)塩酸または硝酸水溶液中で直流または交流を
用いた電気化学的な粗面化処理 原子間力顕微鏡で測定したアルミニウム板表面を、平均
表面粗さ0.35〜1.0μmとする目的でおこなう。
【0045】処理条件等は実施態様1−2に記載の範囲
から選択する。印刷版の非画像部の汚れにくさと耐刷力
を向上する目的で行われる。 (2−3)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的なエッチング処理 2−1の電気化学的な粗面化で生成したスマットと、ピ
ットのエッジ部分またはピットが生成していないプラト
ーな部分の溶解をおこない、滑らかな凹凸を持つ表面を
得る目的でおこなう。印刷版の非画像部の汚れにくさと
耐刷力を向上する作用がある。
【0046】処理条件等は実施態様1−1と同様であ
る。 (2−4)塩酸または硝酸を主体とする水溶液中で交流
を用いて10〜1000C/dm2の電気量で電気化学的に
粗面化処理 平均直径0.1〜0.4μmまたは0.5〜3μmのハ
ニカムピットがアルミニウム表面に生成している部分の
割合が走査型電子顕微鏡で観察し、写真で撮影した視野
の中に30〜100%の面積率で生成させる。印刷版の
非画像部の汚れにくさと耐刷力を向上する目的で行われ
る。 (2−5)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処
理、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウム
板を化学的なエッチング処理 実施態様1−3同様である。 (2−6)陽極酸化処理 実施態様1−4同様である。
【0047】第1段目の電解研磨処理の前に、毛径が
0.2〜0.9mmの回転するナイロンブラシロールと、
アルミニウム板表面に供給されるスラリー液で機械的に
粗面化処理 原子間力顕微鏡で測定したアルミニウム板表面を、平均
表面粗さ0.35〜1.0μmとする目的で、特開平6
−135175号公報、特公昭50−40047号公報
に記載されている機械的な粗面化処理をおこなう。第1
段目の電解研磨処理の前に行うことが好ましい。毛径が
0.2〜0.9mmの回転するナイロンブラシロ−ルと、
アルミニウム板表面に供給されるスラリ−液で機械的に
粗面化処理することが有利である。もちろんスラリ−液
を吹き付ける方式、ワイヤ−ブラシを用いた方式、凹凸
を付けた圧延ロ−ルの表面形状をアルミニウム板に転写
する方式などを用いても良い。研磨剤としては公知の物
が使用できるが、珪砂、石英、水酸化アルミニウムまた
はこれらの混合物が好ましい。
【0048】機械的な粗面化処理の次に行う実施態様1
−1、2−1に記載の酸性水溶液中でアルミニウム板を
電解研磨処理、または、酸またはアルカリ水溶液中でア
ルミニウム板を化学的なエッチング処理は、機械的な粗
面化によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解し、滑ら
かなうねりを持つ表面を得、汚れ性能がよい印刷版を得
る目的でおこなう。このときのアルミニウム板の溶解量
は1〜30g/m2が好ましい。 陽極酸化皮膜を形成した後の親水化処理 陽極酸化処理が施された後、アルミニウム表面は必要に
より親水化処理が施される。本発明に使用される親水化
処理としては、米国特許第2714066号、第318
1461号、第3280734号及び第3902734
号各明細書に開示されているようなアルカリ金属シリケ
−ト(例えば珪酸ナトリウム水溶液)法がある。この方
法においては、支持体が珪酸ナトリウム水溶液中で浸漬
されるか、また電解処理される。他に特公昭36−22
063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウ
ム、および、米国特許第3276868、第41534
61号および第4689272号各明細書に開示されて
いるようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが
用いられる。
【0049】また、砂目立て処理及び陽極酸化処理後、
封孔処理を施したものも好ましい。かかる封孔処理は熱
水および無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬な
らびに水蒸気浴によっておこなわれる。 その他 このようにして得られた平板印刷版用支持体の上には、
従来より知られている感光層を設けて、感光性平版印刷
版を得ることができ、これを製版処理して得た平版印刷
版は優れた性能を有している。この感光層中に用いられ
る感光性物質は特に限定されるものではなく、通常、感
光性平版印刷版に用いられているものを使用できる。例
えば特開平6−135175号公報に記載のような各種
のものを使用することが出来る。
【0050】アルミニウム板は感光層を塗布する前に必
要に応じて有機下塗層(中間層)が設けられる。この下
塗層に設けられる有機下塗層としては従来より知られて
いるものを用いることができ、例えば特開平6−135
175号公報に記載のものを用いることができる。感光
層はネガ型でもポジ型でもよい。本発明で感光層を塗布
する前のアルミニウム支持体は、JIS Z9741-1983で規定
している85度光沢度が30以下である。また、走査型
電子顕微鏡で観察したときに平均ピット径が0.1〜
0.4μmまたは0.5〜3μmのハニカムピットが生
成している部分が全表面積に占める割合が30〜100
%である。また、原子間力顕微鏡で測定したアルミニウ
ム板表面の平均表面粗さ0.35〜1.0μmであり、
原子間力顕微鏡による計測で求めた表面傾斜度分布の、
傾斜度が30度以上の割合が5%以上40%以下であ
る。
【0051】本発明に於いて、感光層を塗布する前のア
ルミニウム支持体は、JIS Z9741-1983で規定している8
5度光沢度が30以上だと印刷機上の湿し水の量が見に
くくなる。走査型電子顕微鏡で観察したときに平均ピッ
ト径が0.1〜0.4μmまたは0.5〜3μmのハニ
カムピットが生成している部分が前表面積に占める割合
が30%未満だと印刷版としたときの画質が悪くなり、
校正作業がしにくくなる。
【0052】原子間力顕微鏡で測定したアルミニウム板
表面の平均裏面粗さが0.35μm未満だと網点非画像
部で汚れやすくなり、1.0μmよりも大きいとブラン
ケット状で非画像部が汚れやすくなる。原子間力顕微鏡
による計測で求めた表面傾斜度分布の、傾斜度が30度
以上の割合が5%未満だと、網点非画像部で汚れやすく
なり、40%よりも大きいとブランケット上で非画像部
が汚れやすくなる。 実施態様3 まず、アルミニウム板をブラシグレイニングするに先立
ち、所望により、表面の圧延油を除去するための脱脂処
理、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行なわれる。但し、圧延油の付
着が少い場合は脱脂処理は省略することが出来る。引き
続いて、1種類または毛径が異なる少なくとも2種類の
ブラシを用いて、研磨スラリー液をアルミニウム板表面
に供給しながら、ブラシグレイニングを行う。該ブラシ
グレイニングにおいて初めに用いるブラシを第1ブラシ
と呼び、最終に用いるブラシを第2ブラシと呼ぶ。該グ
レイン時、図1に示すように、アルミニウム板1を挟ん
でローラ状ブラシ2及び4と、それぞれ二本の支持ロー
ラ5、6及び7、8を配置する。二本の支持ローラ5、
6及び7、8は互の外面の最短距離がローラ状ブラシ2
及び4の外径よりそれぞれ小なるように配置され、アル
ミニウム板1がローラ状ブラシ2及び4により加圧さ
れ、2本の支持ローラ5、6及び7、8の間に押し入れ
られる様な状態でアルミニウム板を一定速度で搬送し且
つ研磨スラリー液3をアルミニウム板上に供給してロー
ラ状ブラシを回転させることにより表面を研磨すること
が好ましい。
【0053】本発明に用いられるブラシは、ローラ状の
台部にナイロン、ポリプロピレン、動物毛、あるいは、
スチールワイヤ等のブラシ材を均一な毛長及び植毛分布
をもって植え込んだもの、台部に***を開けブラシ毛束
を植込んだもの、又、チャンネルローラ型のものなどが
好ましく用いられる。その中でも好ましい材料はナイロ
ンであり、好ましい植毛後の毛長は10〜200mmで
ある。なおブラシローラに植え込む際の植毛密度は1c
2 当り30〜1000本が好ましく、さらに好ましく
は50〜300本である。
【0054】該ブラシの好ましい毛径は、0.24mm
から0.83mmであり、更に好ましくは0.295m
mから0.72mmである。毛の断面形状は円が好まし
い。毛径が0.24mmよりも小さいとシャドウ部での
汚れ性能が悪くなり、0.83mmよりも大きいとブラ
ンケット上の汚れ性能が悪くなる。毛の材質はナイロン
が好ましく、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6
・10などが用いられるが、引っ張り強さ、耐摩耗性、
吸水による寸法安定性、曲げ強さ、耐熱性、回復性など
でナイロン6・10が最も好ましい。
【0055】ブラシの本数は、好ましくは1本以上10
本以下であり、更に好ましくは1本以上6本以下であ
る。ブラシローラは特開平6−135175号公報に記
載のように毛径の異なるブラシローラを組み合わせても
よい。
【0056】次にブラシローラの回転は好ましくは10
0rpmから500rpmで任意に選ばれる。支持ロー
ラはゴムあるいは金属面を有し真直度のよく保たれたも
のが用いられる。ブラシローラの回転方向は図1に示す
ようにアルミニウム板の搬送方向に順転に行うのが好ま
しいが、ブラシローラが多数本の場合は一部のブラシロ
ーラを逆転としてもよい。
【0057】本発明において、上記太いブラシで粗面化
した後、細いブラシで処理することにより、親水性、保
水性及び密着性のすべてをかねそなえた支持体が得られ
て好ましい。その場合、湿し水が少ない場合のシャドー
部のつぶれがないため水幅が広く、地汚れが発生しにく
く、さらに感光層との密着劣化がないことである。しか
も本発明においては、そのメカニズムは明確ではないが
印刷時のドットゲインの減少効果も見らる。本発明に用
いられる研磨スラリー液は、珪砂、水酸化アルミニウ
ム、アルミナ粉、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の
平均粒径15〜35μの研磨剤を、好ましくは10重量
%から70重量%の範囲で水に分散させたものが好まし
い。なお、本発明の方法により得られる支持体の中心線
平均粗さ(Ra)は0.35〜1.0μ、原子間力顕微
鏡(AFM)による測定となる様に処理されることが好
ましい。
【0058】このようにアルミニウム板をブラシグレイ
ニングした後、次いで、アルミニウム板の表面を化学的
にエッチングしておくことが好ましい。この化学的エッ
チング処理は、ブラシグレイニング処理されたアルミニ
ウム板の表面に食い込んだ研磨剤、アルミニウム屑など
を取り除く作用を有し、その後に施される電気化学的な
粗面化をより均一に、しかも効果的に達成させることが
できる。
【0059】かかる化学的エッチング方法の詳細は、米
国特許第3,834,398号明細書に記されている。
より具体的に説明すると、アルミニウムを溶解し得る溶
液、より具体的には酸または塩基の水溶液へ浸漬する方
法である。上記の酸としては、例えば硫酸、過硫酸、弗
酸、燐酸、硝酸、塩酸などが含まれ、上記の塩基として
は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、第三燐酸ナト
リウム、第三燐酸カリウム、アルミン酸ナトリウム、メ
タ珪酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが含まれる。こ
れらの内でも特に後者の塩基の水溶液を使用する方がエ
ッチング速度が早いのでより好ましい。化学的エッチン
グは、これ等の酸またはアルカリの0.05〜40重量
%水溶液を用い、40℃〜100℃の液温において5〜
300秒処理するのが好ましい。
【0060】アルミニウム板の化学的なエッチング量と
しては1〜30g/m2 が好ましく、とくに4〜30g
/m2 が好ましい。このエッチング量はブラシグレイン
の際の研磨剤の種類および使用するブラシの毛径、回転
数、回転方向、ブラシの押し込み力(ブラシをアルミニ
ウム板に押さえつけたときのブラシの回転駆動モータの
消費電力に比例する)や、これらの組み合わせによって
最適値をもつ。
【0061】研磨剤は珪砂および水酸化アルミニウムが
とくに好ましい。水酸化アルミニウムのように角が丸い
研磨剤を用いたときは、珪砂を研磨剤に用いたときに比
べ機械的な粗面化後のエッチング量は低くても良好な印
刷版が得られる。水酸化アルミニウムの研磨剤は晶折法
によって得ることができ、アルミニウム板の表面処理に
用いた廃液からつくると、処理液のクローズト化ができ
コスト的にも環境保全の上でも好ましい。
【0062】ブラシの押し込み力は、回転駆動モータの
消費電力が2.5〜15kw、更に4〜10kwが好ま
しい。
【0063】上記化学的エッチングを、塩基の水溶液を
用いて行なった場合には、一般にアルミニウムの表面に
スマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、
硫酸、クロム酸またはこれらの内の2以上の酸を含む混
酸で処理する。所謂デスマット処理を施すことが好まし
い。デスマット時間は1〜30秒が好ましい。液温は常
温〜70℃で実施される。
【0064】この電気化学的な粗面化処理の前のデスマ
ット処理は省略することもできる。また、電気化学的な
粗面化処理で用いる電解液のオーバーフロー廃液を使用
することもできる。電気化学的な粗面化処理で用いる電
解液のオーバーフロー廃液を使用するときは、デスマッ
ト処理の後の水洗工程は省略してもよいが、アルミニウ
ム板が乾いてデスマット液中の成分が析出しないように
濡れたままの状態でハンドリングする必要がある。
【0065】引き続き、アルミニウム表面を電気化学的
に粗面化処理する。電気化学的な粗面化法としては塩酸
または硝酸電解液中で交流により行う方法を用いる。ま
た、特開昭54−63902号公報に開示されているよ
うに両者を組み合わせた方法も利用することが出来る。
塩酸、または硝酸の濃度は0.01〜3重量%の範囲で
使用することが好ましく、0.05〜2.5重量%であ
れば更に好ましい。
【0066】また、この電解液には必要に応じて硝酸
塩、塩化物、モノアミン類、ジアミン類、アルデヒド
類、リン酸、クロム酸、ホウ酸、シュウ酸アルミニウム
塩等の腐食抑制剤(または安定化剤)、砂目の均一化剤
などを加えることが出来る。また電解液中には、適当量
(1〜10g/l)のアルミニウムイオンを含んでいて
もよい。電解液の温度は通常10〜60℃で処理され
る。
【0067】次に塩酸、硝酸等の酸性電解液中におい
て、10〜200A/dm2 の陽極時電流密度、10〜
1000クーロン/dm2 の陽極時電気量で交流電解粗
面化する。このとき使用する電流は、特に正負の極性を
交互に交換させて得られる波形の交番波形電流であるこ
とが好ましい。
【0068】また本発明で使用される交番波形電流とし
ては、正弦法の単相及び三相交流の他、台形波、矩形波
の交流も使用することができ、このような電解粗面化方
法は米国特許第4,087,341号明細書に詳細な記
載されている。アルミニウム板の陽極時電気量Qa と陰
極時電気量Qc との比Qc/Qaを調整することによっ
て、平均直径0.1〜0.4μmまたは0.5〜3.0
μmのピット1×105 〜1×108 個の密度で生成さ
せることができる。Qc/Qaは0.3〜0.95が好
ましい。
【0069】本発明の電気化学的な粗面化に用いる台形
波は、図2に示したものをいう。電流が0〜ピークに達
するまでの時間(TP)は1〜3msecが好ましい。
1msecよりも小さいとアルミニウム板の進行方向と
垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しや
すい。TPが3msecよりも大きいと電気化学的な粗
面化に用いる電解液中のアンモニウムイオンなどに代表
される硝酸液中での電解処理で、自然発生的に増加する
微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てがお
こなわれにくくなる。その結果、汚れ性能が低下する傾
向にある。
【0070】台形波交流のduty比は1:2から2:
1のものが使用可能であるが、特開平5−195300
公報に記載のようにアルミニウムにコンダクタロールを
用いない間接給電方式においてはduty比1:1のも
のが好ましい。
【0071】台形波交流の周波数は50〜70Hzが好
ましい。50Hzよりも低いと主極のカーボン電極が溶
解しやすくなり、70Hzよりも大きいと電源回路上の
インダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コス
トが高くなる。
【0072】上記電解粗面化終了後、アルミニウム板を
再度塩基で化学エッチングする。このエッチングは前記
の塩基の水溶液へ浸漬する方法と同様であり、前記の水
酸化ナトリウム等の塩基が使用される。このエッチク量
は0.1〜3g/m2 の範囲である。エッチング量が
0.1g/m2 未満の場合には、電解研磨によって得ら
れたピット間突出部を溶解して、角のないなだらかな構
造とすることができず、地汚れを発生しやすくなる。一
方3g/m2 を超える場合は電解研磨によって得られた
ピットが消失してしまい、保水性等に問題が発生する。
エッチング剤として用いる上記塩基の濃度は0.05〜
20重量%、温度は40〜100℃、処理時間は1〜1
00秒の範囲が好ましい。この塩基による化学エッチン
グの後、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸等でデスマット
処理することが好ましい。
【0073】さらに表面の保水性や耐摩耗性を高めるた
めに陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸
化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形
成するものならば、いかなるものでも使用することがで
き、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸あるい
はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は
電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理
条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し
得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶
液、液温は5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれ
ば適当である。
【0074】硫酸法は通常直流電流で処理が行われる
が、交流を用いることも可能である。硫酸の濃度は5〜
30%で使用され、20〜60℃の温度範囲で5〜25
0秒間電解処理される。この電解液には、アルミニウム
イオンが含まれている方が好ましい。さらにこのときの
電流密度は1〜20A/dm2 が好ましい。リン酸法の
場合には、5〜50%の濃度、30〜60℃の温度で、
10〜300秒間、1〜15A/dm2 の電流密度で処
理される。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 以上が好
適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2
範囲である。
【0075】陽極酸化皮膜が1.0g/m2 より少ない
と耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に
傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着
するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0076】陽極酸化処理を施された後、アルミニウム
表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用
される親水化処理としては、米国特許第2,714,0
66号、第3,181,461号、第3,280,73
4号および第3,902,734号各明細書に開示され
ているようなアルカリ金属シリケート(例えば珪酸ナト
リウム水溶液)法がある。この方法に於いては、支持体
が珪酸ナトリウム水溶液中で浸漬処理されるか、または
電解処理される。他に、特公昭36−22063号公報
に開示されている弗化ジルコン酸カリウムおよび米国特
許第3,276,868号、第4,153,461号お
よび第4,689,272号各明細書に開示されている
ようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用い
られる。
【0077】また、砂目立て処理及び陽極酸化後、封孔
処理を施したものも好ましい。かかる封孔処理は熱水及
び無機塩または有機塩を含む熱水溶液への浸漬ならびに
水蒸気浴などによって行われる。
【0078】その他 このようにして得られた平版印刷版用支持体の上には、
従来より知られている感光層を設けて、感光性平版印刷
版を得ることができ、これを製版処理して得た平版印刷
版は、優れた性能を有している。この感光層中に用いら
れる感光性物質は、特に限定されるものでなく、通常、
感光性平版印刷版に用いられている。例えば特開平6−
135175号公報に記載のような各種のものを使用す
ることができる。
【0079】アルミニウム板は感光層を塗布する前に必
要に応じて有機下塗層が設けられる。この下塗層に用い
られる有機下塗層としては従来より知られているものを
用いることができ、例えば、特開平6−135175号
公報に記載のものを用いることができる。感光層はネガ
型でもポジ型でもよい。本発明で感光層を塗布する前の
アルミニウム支持体は、JIS Z9741-1983で規定している
85度光沢度が30以下である。また、走査型電子顕微
鏡で観察したときに平均ピット径が0.1〜0.4μm
または0.5〜3μmのハニカムピットが生成している
部分が全表面積に占める割合が30〜100%である。
また、原子間力顕微鏡で測定したアルミニウム板表面
を、平均表面粗さ0.35〜1.0μmであり、原子間
力顕微鏡による計測で求めた表面傾斜度分布の、傾斜度
が30度以上の割合が5%以上40%以下である。
【0080】本発明に於いて、感光層を塗布する前のア
ルミニウム支持体は、JIS Z9741-1983で規定している8
5度光沢度が30以上だと印刷機上の湿し水の量が見に
くくなる。走査型電子顕微鏡で観察したときに平均ピッ
ト径が0.1〜0.4μmまたは0.5〜3μmのハニ
カムピットが生成している部分が前表面積に占める割合
が30%未満だと印刷版としたときの画質が悪くなり、
校正作業がしにくくなる。
【0081】原子間力顕微鏡で測定したアルミニウム板
表面と、平均裏面粗さが0.35μm未満だと網点非画
像部で汚れやすくなり、1.0μmよりも大きいとブラ
ンケット状で非画像部が汚れやすくなる。原子間力顕微
鏡による計測で求めた表面傾斜度分布の、傾斜度が30
度以上の割合が5%未満だと、網点非画像部で汚れやす
くなり、40%よりも大きいとブランケット上で非画像
部が汚れやすくなる。
【0082】本発明で用いる電解槽はラジアル型が好ま
しい。縦型およびフラット型ではアルミニウムウエブと
電極間のクリアランスを一定に維持することが難しく、
アルミニウムウエブの幅方向での印刷性能にバラ付きが
出る。ラジアル型セルには各電解槽毎に電解電源を1個
以上接続することができる。主極に対向するアルミニウ
ム板に加わる交流の陽極と陰極の電流比をコントロール
し、均一な砂目立てをおこなうことと、主極のカーボン
の溶解を防止する目的で設ける補助陽極は、主極である
カーボン電極が設置されたラジアルセルとは別のセルに
設けることが好ましい。補助陽極には白金、フェライト
などが用いられるが、交流電流が流れる電解槽と同一の
槽に設置すると交流電流の回りこみにより、補助陽極に
交流成分が流れ、補助陽極の溶解速度が直流のパルス電
流が流れているときに比較して著しく短くなる。
【0083】整流素子またはスイッチング素子を介して
電流値の一部を2つの主電極とは別の槽に設けた補助陽
極に直流電流として分流させることにより、主極に対向
するアルミニウム表面上で作用するアノード電流にあず
かる電流値とカソード反応にあずかる電流値との比を制
御することで電源トランスの偏磁がおきにくくなり、偏
磁制御をしなくてするため電源コストが安価になる利点
がある。
【0084】本発明において電気化学的な粗面化をおこ
なう装置を図3に示す。11はアルミウニムウエブであ
り、12はアルミニウムウエブを支えるラジアルドラム
ローラである。アルミニウムウェブはカーボン製の主極
13a、13bおよびフェライトまたは白金の補助陽極
18とクリアランスを一定に保って走行している。クリ
アランスは通常3〜50mm程度が適当である。主電極
と補助陽極の処理長さの比、主極13aと13bの長さ
の比は求める電解条件によって異なる。主極13aと1
3bの処理長さの比は1:2から2:1の範囲から選択
できるが、できるだけ1:1となるようにすることが好
ましい。主極13aまたは13bと補助陽極18の処理
長さの比は1:1から1:0.1であることが好まし
い。また、チャタマークと呼ばれるアルミニウムウエブ
の進行方向と垂直に発生する横縞状の処理ムラを抑える
ため、特公昭63−16000号公報に記載のように低
電流密度処理をおこなう図4に示すソフトスタートゾー
ンを13a、13bの電極の先頭に設けることが好まし
い。主極13はラジアルドラムローラ12に沿ってRを
つけることが難しいので特開平5−195300号公報
に記載のようにインシュレータと呼ばれる厚さ1〜5m
mの絶縁体を挟んで並べることが通例である。
【0085】補助陽極に流す電流は19の整流素子また
はスイッチング素子により電源から任意の電流値となる
ように制御されて分流する。19の整流素子としてはサ
イリスタが好ましく、点弧角で補助陽極18に流れる電
流を制御することができる。補助陽極に電流を分流する
ことで主極のカーボン電極の溶解を抑え、電気化学的な
粗面化工程での粗面化形状をコントロールすることがで
きる。カーボン電極に流れる電流と、補助陽極に流れる
電流の電流の比は0.95:0.05乃至0.7:0.
3であることが好ましい。
【0086】液流は、アルミニウムウエブの進行とパラ
レルでもカウンターでもよいが、カウンターのほうが、
処理ムラの発生は少ない。
【0087】電解処理液14は電解液供給口15内には
いり、ディストリビュータを経てラジアルドラムローラ
12の幅方向全体に均一に分布するようキャビティー内
にはいり、スリット16より電解液通路17の中に噴出
される。図3の電解装置を図4のように2つ以上並べて
使用してもよい。
【0088】補助陽極は図6に示すように大型のものを
製作できないため、外径φ20〜30mmの丸型フェラ
イト電極をインシュレータを挟んで並べて使用する。フ
ェライト電極21は長さが900mm程度のものしか製
作できないため、図7に示すように別々の電極を両側か
ら突き合わせ、突き合わせ部の配置関係が進行方向で千
鳥になるように設置することで突き合わせ部の影響を小
さくできる。
【0089】また、図7に示したように2本以上の、長
さが100〜900mm程度の円筒状のフェライト20
を、両端にネジを切った導電製の金属棒22に通し、両
端からナット23などで締め付けることによって長さが
1000mm以上の一本のフェライト電極21を製作す
ることができる。導電製の金属棒22はSUS、チタ
ン、銅などを用いることができる。電極と電極の繋ぎ目
は公知の液シール材料24を挟むことで電解液の進入を
防ぐことができる。硝酸水溶液中では弗素ゴム系のシー
ル材料が特に好ましい。繋ぎ目の長さは2mm以下であ
ることが好ましい。2mmよりも大きくなると、繋ぎ目
の影響を受けて処理ムラとなりやすい。液シール材料2
4は電極の断面形状に合わせてドーナッツ状にくり貫い
たものを使用する。シールパッキンは1枚だと両側から
ボルトなどで締め付けたときにねじれやすいので、2枚
以上にし、ねじれを吸収できるようにすることが好まし
い。導電製金属棒22とフェライト電極21の隙間には
導電性接着剤25(藤倉電線、ドータイトD−753な
ど)を密に充填して用いることが好ましい。導電性接着
剤25を用いないと電極内部で電流集中がおこりやすく
なり、フェライト電極21が割れやすくなる。
【0090】前記2本以上の、長さが100〜900m
m程度の円筒状のフェライト20を、両端にネジを切っ
た導電製の金属棒22に通し、両端からナット23など
で締め付けることによって長さが1000mm以上の一
本のフェライト電極は、繋ぎ目が被処理材料に与える影
響が非常に少なく、平版印刷版用支持体を製造する装置
の陽極のみならず、メッキや電解洗浄工程の陽極にも幅
広く使用できる。平版印刷版用アルミニウム支持体の粗
面化装置では、補助陽極のみならず、特開平1−141
094号公報に記載されている酸性水溶液中で、陽極と
陰極を交互に配置し、直流電流を加えて電気化学的にア
ルミニウム板の粗面化をおこなう装置の陽極として使用
することもできる。
【0091】
【実施例】
実施例1 厚さ0.3mmの幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム
板を用いて連続的に処理をおこなった。 (a)比重1.12の研磨剤(水酸化アルミニウムまた
は珪砂)と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニ
ウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイ
ロンブラシにより機械的な粗面化をおこなった。ナイロ
ンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50
mm、毛の直径は0.3、0.48、0.72mmであっ
た。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に
穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本
使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200m
m)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシ
を回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアル
ミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kwプラス
になるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニ
ウム板の移動方向と同じであった。 (b)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アル
ミニウムイオン濃度6.5wt%、液温75℃でスプレー
によるエッチング処理をおこない、アルミニウムアルミ
ニウム板を15g/m2溶解した。その後スプレーによる水
洗をおこなった。 (c)液温30℃の硝酸濃度1wt%水溶液(アルミニウ
ムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマ
ット処理をおこない、その後スプレーで水洗した。前記
デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流
を用いて電気化学的な粗面化をおこなう工程の廃液を用
いた。 (d)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な
粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%
水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウム
イオン0.007wt%含む)、液温20、35、45℃
であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達
するまでの時間TPが1、2、3msec、duty比1:1、
台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として
電気化学的な粗面化処理をおこなった。補助アノードに
はフェライトを用いた。使用した電解槽は図 に示すも
のを2個使用した。
【0092】電流密度は電流のピーク値で40、50、
60A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量
の総和で184、230、276C/dm2であった。補助
陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その
後、スプレーによる水洗をおこなった。 (e)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度5wt%、アルミ
ニウムイオン濃度0.5wt%でスプレーによるエッチン
グ処理をおこない、アルミニウム板を1.1g/m2溶解
し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化をおこなっ
たときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマ
ット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解
し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗
した。 (f)液温60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデス
マット処理をおこない、その後スプレーによる水洗を行
った。 (g)液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電
流密度2A/dm2で陽極酸化被膜量が2.4g/m2になるよ
うに陽極酸化処理をおこなった。その後スプレーによる
水洗をおこなった。 (h)親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt%、
70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレーで水
洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップロー
ラで液切りをおこなった。
【0093】処理されたアルミニウム板の表面を日本電
子製FESEMで観察したところ、5〜30μmの大き
なうねりに、平均直径0.5〜3.0μmのハニカムピ
ットが重畳していた。このアルミニウム板に中間層およ
び感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のネガ形
PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したところ
良好な印刷版であった。得られた結果を表1に示した。
【0094】
【表1】
【0095】実施例2 (h)の珪酸ソーダ水溶液に浸漬しない以外は実施例1
−2と全く同じ条件でおこなった。この処理したアルミ
ニウム板に中間層とポジ形感光層を塗布、乾燥してPS
版を作成した。このPS版を印刷したところ良好な印刷
版であった。
【0096】実施例3 厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 3103アルミニ
ウム板に、マグネシウムを0.3wt%添加したアルミニ
ウム板を用いて連続的におこなった。このJISA 3103ア
ルミニウム材はCuの含有量が0.1wt%以下であっ
た。 (a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アル
ミニウムイオン濃度6.5wt%、液温75℃でスプレー
によるエッチング処理をおこない、アルミニウム板を
6.0g/m2溶解し、圧延油や自然酸化膜を除去した。そ
の後スプレーによる水洗をおこなった。 (b)液温30℃の硝酸濃度1wt%水溶液(アルミニウ
ムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマ
ット処理をおこない、そのスプレーで水洗した。前記デ
スマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で直流を
用いて電気化学的な粗面化をおこなう工程の廃液を用い
た。
【0097】(c)直流電圧を用いて連続的に電気化学
的な粗面化処理をおこなった。このときの電解液は、硝
酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アン
モニウムイオン0.007wt%含む)、液温45℃であ
った。アノードにはフェライト、カソードにはチタンを
用いた。電解にはリップル率20%以下の直流電圧を用
いた。電流密度50A/dm2、アルミニウム板が陽極時の
電気量100、200、400、800C/dm2であっ
た。電気量は電流密度を一定としてアルミニウム板に対
向する電極長さで調整した。 (d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アル
ミニウムイオン濃度6.5wt%、液温75℃でスプレー
によるエッチング処理をおない、アルミニウム板を5g/
m2溶解し、その後スプレーによる水洗を行った。 (e)液温30℃の硝酸濃度1wt%水溶液(アルミニウ
ムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマ
ット処理をおこない、その後スプレーで水洗した。前記
デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で直流
を用いて電気化学的な粗面化をおこなう工程の廃液を用
いた。 (f)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な
粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%
水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウム
イオン0.007wt%含む)、液温20、35、45℃
であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達
するまでの時間TPが1.0msec、duty比1:1、台形
の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気
化学的な粗面化処理をおこなった。補助アノードにはフ
ェライトを用いた。使用した電解槽は図3に示すものを
2個使用した。
【0098】電流密度は電流のピーク値で30、40、
50A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量
の総和で138、184、230C/dm2であった。補助
陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その
後、スプレーによる水洗をおこなった。 (g)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度5wt%、アルミ
ニウムイオン濃度0.5wt%でスプレーによるエッチン
グ処理をおこない、アルミニウム板を0.1g/m2溶解
し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化をおこなっ
たときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマ
ット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解
し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗
した。 (h)液温60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデス
マット処理をおこない、その後スプレーによる水洗をお
こなった。 (i)液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で直流電圧を用い、電流
密度2A/dm2で陽極酸化被膜量が2.4g/m2になるよう
に陽極酸化処理をおこなった。その後、スプレーによる
水洗をおこなった。 (j)親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt%、
70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレーで水
洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップロー
ラで液切りをおこなった。
【0099】処理されたアルミニウム板の表面を日本電
子製FESEMで観察したところ、5〜30μmの大き
なうねりに、平均直径0.5〜3μmのハニカムピット
が重畳しており、更にハニカムピットの中に0.1μm
の凹凸が生成していた。このアルミニウム板に中間層お
よび感光層を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のネガ
形PS版を作成した。このPS版を用いて印刷したとこ
ろ良好な印刷版であった。得られた結果を表2に示し
た。
【0100】
【表2】
【0101】実施例4 (j)の珪酸ソーダ水溶液に浸漬しない以外は実施例3
−4と全く同じ条件でおこなった。この処理したアルミ
ニウム板に中間層とポジ形感光層を塗布、乾燥してPS
版を作成した。このPS版を印刷したところ良好な印刷
版であった。 実施例5 厚さ0.24mm、幅1030mmの、JIS A 1050アルミニ
ウム板を用いて以下の処理を連続して行った。 (a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アル
ミニウムイオン濃度6.5wt%、液温75℃でスプレー
によるエッチング処理をおこない、アルミニウム板を
6.0g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗をおこ
なった。 (b)液温60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデス
マット処理をおこない、その後スプレーで水洗した。 (c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な
粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸1wt%
水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウム
イオン0.007wt%含む)、液温45℃であった。交
流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時
間TPが2.0msec、duty比1:1、台形の矩形波交流
を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面
化処理をおこなった。補助アノードにはフェライトを用
いた。使用した電解槽は図3示すものを1個、2個また
は3個を直列に用いた。
【0102】電流密度は電流のピーク値で40A/dm2
気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で84、
368、552C/dm2であった。補助陽極には電源から
流れる電流の5%を分流させた。
【0103】その後、スプレーによる水洗をおこなっ
た。 (d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度5wt%、アルミ
ニウムイオン濃度0.5wt%でスプレーによるエッチン
グ処理をおこない、アルミニウム板を0.1g/m2溶解
し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化をおこなっ
たときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマ
ット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解
し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗
した。 (e)液温60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデス
マット処理をおこない、その後スプレーによる水洗をお
こなった。 (f)液温35℃の硫酸濃度15wt%水溶液(アルミニ
ウムイオンを0.5wt%含む)で、直流電圧を用い、電
流密度2A/dm2で陽極酸化皮膜量が2.4g/m2になるよ
うに陽極酸化処理をおこなった。
【0104】その後スプレーによる水洗をおこなった。 (g)親水化処理する目的で、珪酸ソーダ2.5wt%、
70℃の水溶液に14秒間浸漬し、その後スプレーで水
洗し、乾燥した。各処理および水洗の後にはニップロー
ラで液切りをおこっなった。処理されたアルミニウム板
の表面を日本電子製FESEMで観察したところ、5〜
20μmの大きなうねりに、平均直径0.5〜5μmの
ハニカムピットが重畳しており、更に平均直径0.5〜
5μmのハニカムピットの中に0.1μmの凹凸が生成
していた。
【0105】このアルミニウム板に中間層および感光層
を塗布、乾燥し、乾燥膜厚2.0g/m2のネガ形PS版を
作成した。このPS版を用いて印刷したところ良好な印
刷版であった。得られた結果を表3に示した。
【0106】
【表3】
【0107】実施例6 (g)の珪酸ソーダ水溶液に浸漬しない以外は実施例5
−2と全く同じ条件でおこなった。この処理したアルミ
ニウム板に中間層とポジ型感光層を塗布、乾燥してPS
版を作成した。このPS版を印刷したところ良好な印刷
版であった。
【0108】実施例7 電源周波数および台形電流波形の0〜ピークまでの時間
を変えた以外は実施例1−1の条件でアルミニウム板を
処理し、下塗液および感光層を塗布し、露光、現像、印
刷評価処理した。結果をまとめて表5に示す。電解粗面
化に使用する交流電流の周波数は50〜70Hz、TP
は1〜3msecが良好であった。実験例2−1,2−
6,2−10は比較例となる。
【0109】
【表4】
【0110】実施例8 図3に示したように電解粗面化に用いる装置が、ラジア
ル型電解槽を用いた液体給電による金属ウエブの連続電
解処理装置で、整流素子またはスイッチング素子19
a,19bを介して電流値の一部を2つの主極とは別の
槽に設けた補助陽極18に直流電流として分流させるこ
とにより、主極13a,13bに対向するアルミニウム
ウエブ面11上で作用するアノード電流にあずかる電流
値とカソード反応にあずかる電流値との比を制御した。
【0111】連続的に電気化学的な粗面化処理をおこな
ったところ、補助陽極18のフェライト電極21の溶解
もわずかであり、主極13a,13bのカーボン電極の
溶解もなく連続操業できた。このときの電気化学的な粗
面化の前後処理および電気化学的な粗面化処理条件は実
施例1−1と同様であった。
【0112】(比較例−1)図5に示したように、補助
陽極18を主極13a,13bと同一の電解槽に設けた
以外は実施例8と同様に連続的に電気化学的な粗面化処
理をおこなった。実施例10に比較して補助陽極18の
フェライト電極21の溶解が著しかった。
【0113】実施例9 実施例1−1の電解槽を図4のように2個並べて電解処
理をおこなった。補助陽極18は図6に示したフェライ
ト電極21を図9(a)・・・実施例9−1、図9
(b)・・・実施例9−2、図9(c)・・・比較例1
のように配置した。図9(a)と(c)は図6の電極を
突き合わせて並べた。図9(b)の電極は図7の電極を
使用し、両側から給電した。第1セルと第2セルの寸法
および電解条件は全くおなじであった。電解電源20は
duty比1:1、60Hz、TP=3msecの台形
波を使用した。電流密度は台形波のピークで53A/d
2 で、アルミニウムウエブ11が1番目の電解槽の入
り口から2番目の電解槽の出口を通過するまでに、アル
ミニウムウエブが陽極時の電気量は第1セルが115C
/dm2 、第2セルが115C/dm2 で合計230C
/dm2 であった。アルミニウムウエブは66m/mi
nで走行した。カーボン主極13aと13bの間隔は5
00mmであった。
【0114】ラジアルドラムローラ12のの直径は20
00mm、カーボンとアルミニウム板のクリアランスは
10mmであった。カーボン電極のアルミニウムウエブ
11の進行方向の長さの総和は13aと13bともそれ
ぞれ2400mmと2300mmであり、100mmの
カーボンを5mmの塩ビ性のインシュレータを挟んで並
べ、ひとつのでんきょくとなるようにした。カーボン主
極の先頭は13a、13bともにそれぞれ300mmを
三角形に電極を切り欠きソフトスタートゾーンを設け
た。カーボン主極13a,13bの厚さは100mmで
あった。15a,15bの電解液供給口からそれぞれ1
500リットル毎分、1000リットル毎分電解液を供
給した。電解液組成は硝酸2%水溶液(アルミニウムイ
オンを0.5重量%含む)で、液温は50℃であった。
アルミニウム幅は1000mm、電解槽の幅は1600
mmであった。
【0115】補助陽極18はφ28mmのものを、5m
m間隔で、それぞれ20本ずつ並べた。アルミニウムウ
エブ11とフェライト電極21の間隔は15mmであっ
た。補助陽極18へはサイリスタ19a,19bにて直
流パルスに変換された電流が流れる。補助陽極18が入
っている電解槽50,51へは500リットル毎分の電
解液を供給した。補助陽極18からアルミニウムウエブ
11に供給される電気量は、それぞれ10C/dm
2 で、合計20C/dm2 であった。 第2セルを通過
したアルミニウムウエブ11の表面を観察結果を以下に
示す。
【0116】 パッキン部の幅、又は 処理ムラ 突き合わせ部のクリアランス −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例9−1 0−1mm A−B 実施例9−2 1mm A 比較例9−1 0−1mm B−C −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 評価:A:処理ムラなし B:処理ムラ良好 C:処理ムラあり
【0117】
【発明の効果】本発明により、画像のシャドウ部及びブ
ランケット上で汚れの発生することがなく、かつ感光層
との密着性は良く、印刷時の湿し水の見やすさ満足する
平版印刷版用支持体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の機械的粗面化装置の側面図
【図2】本発明の電気化学的粗面化に用いる交番波形電
流波形図の一例
【図3】本発明の電気化学的粗面化に用いるラジアルド
ラチムローラの側面図
【図4】本発明の電気化学的粗面化に用いる2つ以上の
ラジアルドラムローラを連結した側面図
【図5】補助陽極の槽を主極槽と連結した装置の側面図
【図6】本発明に用いる補助陽極に用いるフェライト電
極の正面図
【図7】本発明に用いる補助陽極に用いるフェライト電
極の突き合せ構造の正面図
【図8】本発明に用いる補助陽極槽の側面断面図
【図9】本発明に用いる補助陽極槽の各種上面図
(a),(b),(c)
【符号の説明】 1 アルミニウム板 2,4 ローラ状ブラシ 3 研磨スラリー液 5,6,7,8 支持ローラ 11 アルミニウムウエブ 12 ラジアルドラムローラ 13a,13b 主極 14 電解処理液 15 電解液供給口 16 スリット 17 電解液通路 18 補助陽極 19a,19b サイリスタ 20 交流電源 21 フェライト電極 22 導電性金属棒 23 ナット 24 液シール材料 25 導電性接着材 40,41 主電解槽 50,51 補助陽極槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 温夫 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗面化によって起伏を有する平版印刷版
    用支持体において、この起伏が平均ピッチ5μm以上3
    0μm以下の大波と、平均直径0.1μm以上3μm以
    下のハニカムピットによる中波が重畳された砂目におい
    て、原子間力顕微鏡による計測で求めた平均表面粗さが
    0.35μm以上1.0μm以下であり、また、原子間
    力顕微鏡による計測で求めた表面傾斜度分布の傾斜度が
    30度以上の割合が5%以上40%以下であることを特
    徴とする平版印刷版用支持体。
  2. 【請求項2】 走査型電子顕微鏡で観察したとき、視野
    に平均直径0.1μm以上0.4μm以下または平均直
    径0.5以上3μm以下のハニカムビットが占める割合
    が30%以上100%以下であること及び85度光沢度
    が30%以下であることの少なくとも1つが認められる
    ことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用支持体。
  3. 【請求項3】 連続して走行するアルミニウム板の表面
    を順に (a)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理す
    るか、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウ
    ム板を化学的なエッチング処理し、 (b)硝酸または塩酸を主成分とする水溶液中で交流ま
    たは直流を用いて10〜1000 C/dm2 の電気量
    で該アルミニウム板を電気化学的なエッチング処理し、 (c)酸性水溶液中で該アルミニウム板を電解研磨処理
    するか、または、酸、あたはアルカリ水溶液中で該アル
    ミニウム板を化学的なエッチング処理し、 (d)次いで、該アルミニウム板を陽極酸化して陽極酸
    化皮膜を形成させる、ことを特徴とする平版印刷版用支
    持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 連続して走行するアルミニウム板の表面
    を順に (a)酸性水溶液中でアルミニウム板を電解研磨処理す
    るか、または、酸またはアルカリ水溶液中でアルミニウ
    ム板を化学的なエッチング処理し、 (b)硝酸または塩酸を主成分とする水溶液中で交流ま
    たは直流を用いて10〜1000 C/dm2 の電気量
    で該アルミニウム板を電気化学的なエッチング処理し、 (c)酸性水溶液中で該アルミニウム板を電解研磨処理
    するか、または、酸、あたはアルカリ水溶液中で該アル
    ミニウム板を化学的なエッチング処理し、 (d)硝酸または塩酸を主成分とする水溶液中で交流ま
    たは直流を用いて10〜1000 C/dm2 の電気量
    で該アルミニウム板を電気化学的なエッチング処理し、 (e)酸性水溶液中で該アルミニウム板を電解研磨処理
    するか、または、酸、あたはアルカリ水溶液中で該アル
    ミニウム板を化学的なエッチング処理し、 (f)次いで、該アルミニウム板を陽極酸化して陽極酸
    化皮膜を形成させる、ことを特徴とする平版印刷版用支
    持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1段目の電解研磨処理の前に、毛径が
    0.2〜0.9mmの回転するナイロンブラシロール
    と、該アルミニウム板表面に供給されるスラリー液で機
    械的に粗面化処理することを特徴とする請求項3または
    4記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  6. 【請求項6】 該スラリー液が珪砂または水酸化アルミ
    ニウムのスラリー液を用いることを特徴とする請求項5
    の平版印刷版用支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 陽極酸化皮膜を形成した後に親水化処理
    を行う請求項3〜7記載の平版印刷版用支持体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 連続して走行するアルミニウム板の表面
    を順に (a)毛径が0.2〜0.9mmの回転するナイロンブ
    ラシロールとアルミニウム板表面に供給されるスラリー
    液で機械的に粗面化し、 (b)アルカリ水溶液中でアルミニウム板の溶解量が1
    g/m2 以上30g/m2 以下となるようにエッチング
    処理し、またはエッチング処理しないで、 (c)酸性水溶液中でデスマット処理し、またはデスマ
    ット処理しないで、 (d)酸性水溶液中で、電流がゼロからピーク値に達す
    る時間が1〜3msec、かつ周波数50〜70Hzの
    台形波交流を用いて電気化学的粗面化処理し、 (e)アルカリ水溶液中でアルミニウムの溶解量が0.
    1g/m2 以上3g/m2 以下となるようにエッチング
    処理し、 (f)酸性水溶液中でデスマット処理し、 (g)陽極酸化処理して陽極酸化被膜を形成させること
    を特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スラリー液が珪砂または水酸化アル
    ミニウムのスラリー液を用いることを特徴とする請求項
    9記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  10. 【請求項10】 交流を用いた電気化学的な粗面化に用
    いる電流の周波数が50〜70Hzであり、電流が0〜
    ピーク値に達する時間が1〜3msecの台形波交流で
    あり、なおかつ、交流を用いた電気化学的な粗面化に用
    いる装置が、ラジアル型電解槽を用いた液体給電による
    金属ウエブの連続電解処理装置であり、整流素子または
    スイッチング素子を介して電流値の一部を、主電極とは
    別の槽に設けた補助アノード電極に直流電流として分流
    させることにより、主電極に対向するアルミニウム板表
    面上で作用するアノード電流にあずかる電流値とカソー
    ド反応にあずかる電流値との比を制御するように構成さ
    れていることを特徴とする請求項3〜5または8に記載
    の製造方法に用いる電気化学的粗面化装置。
  11. 【請求項11】 2本以上の円筒状のフェライトを、両
    端にネジを切った導電性の金属棒に通し、両端からナッ
    トで締めつけ、一本のフェライト電極としたことを特徴
    とする電気化学的粗面化装置用電極。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1350633A2 (en) 2002-04-02 2003-10-08 Fuji Photo Film Co., Ltd. Presensitized plate for making lithographic printing plate
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US7029820B2 (en) 2001-10-05 2006-04-18 Fuji Photo Film Co., Ltd. Support for lithographic printing plate and presensitized plate and method of producing lithographic printing plate
US7048988B2 (en) 2002-09-06 2006-05-23 Fuji Photo Film Co., Ltd. Support for lithographic printing plate and presensitized plate
JP2006208529A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Mitsubishi Paper Mills Ltd レーザー露光用ネガ型感光性平版印刷版

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