JPH08296422A - オイルミスト回収装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オイルミスト回収装置の内壁に付着したオイ
ル粒のガス排出管内への飛散を防止する。 【構成】 本体１０は、円筒部１１と逆円錐筒部１２と
オイル受け部１３を設けている。円筒部の上端近傍の開
口部１１ｂにはガス供給管２１が取り付けられ、円筒部
上端には支持板２２が固定されている。支持板にはガス
排出管２３が、貫通して固定されている。ガス排出管の
支持板近傍の開口部２３ａには上部バイパス管２４が接
続される。オイル受け部の上端近傍の開口部１３ａには
下部バイパス管１４が取り付けられ、上部バイパス管と
下部バイパス管は接続管２５により連結されている。ガ
ス排出管側の負圧状態に応じて、オイル受け部側がベン
チュリ効果により負圧状態にされ、旋回流により吹き飛
ばされたオイル粒が、オイル受け部側に引き付けられて
効率よく回収される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オイルミスト回収装置
に係り、特に自動車等の車両用エンジンのクランク室内
に溜ったブローバイガス等に含まれるオイルミストを回
収するのに適した小型のオイルミスト回収装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のオイルミスト回収装置と
しては、例えば実開昭５１ー７５４０号公報に示すよう
に、自動車用エンジンのブローバイガス還流管の一部に
介装されたオイルミスト回収装置（ブローバイガスの還
元装置）が知られている。このオイルミスト回収装置
は、図４に示すように、上端が封止された円筒部２と、
その下端に連結された逆円錐筒部３と、その下側に設け
たオイル受け部４とを有する本体１と、円筒部２の上端
近傍の開口部に連結されたガス供給管５と、円筒部２の
上端を被覆する封止板６の中心を貫通して設けたガス排
出管７とを備えている。そして、ガス供給管５から送ら
れたオイルミストを含んだガスが、本体１内の円筒空間
を旋回することにより、管壁にオイルミストが当たって
凝縮するサイクロン効果により、オイルミストが回収さ
れるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記オイル
ミスト回収装置は、ガス排出管７からガスが高速で排出
されるため、ガス排出管７内が高い負圧状態になってい
る。一方、円筒部２内に流入したガスは、旋回流となり
逆円錐筒部３にまで達するが、このとき逆円錐筒部３の
内壁に付着しているオイル粒の一部がガス旋回流により
吹き飛ばされる。この吹き飛ばされたオイル粒が、ガス
排出管７内の負圧により引っ張られて出口側に運ばれて
しまうという問題がある。

【０００４】これに対処するために、例えば図５に示す
ように、オイル受け部４の上端近傍に開口部を設け、開
口部に連結した吸引管８からガス吸引装置（図示しな
い）を用いてガスを所定割合で吸引することにより、オ
イル受け部４内を負圧状態にして、オイル粒子のガス排
出管７方向への飛散を防止する方法が知られている。し
かし、ガスの供給量は、オイルミスト回収装置が接続さ
れるシステムの使用条件によって変動するものであり、
これに合わせて吸引管８からのガス吸引量を制御しよう
とすると、このガス吸引装置が非常に高価なものになる
という問題がある。特に、自動車のエンジン等の走行条
件によってガス供給量が変動する用途に対しては、簡易
な構成でかつ安価なオイルミスト回収装置が要求されて
いるため、上記ガス吸引装置をオイルミスト回収装置に
付設することは、構造及び価格の両面で困難である。本
発明は上記した問題を解決しようとするもので、簡易な
構成でガスの旋回流による内壁に付着したオイル粒のガ
ス排出管内への飛散を防止することができるオイルミス
ト回収装置を提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、上記請求項１に係る発明の構成上の特徴は、上端面
が蓋体により封止された筒部と、同筒部の下端に連結さ
れた逆円錐筒部と、同逆円錐筒部の下端に連結された筒
状のオイル受け部とを有する筒状本体と、筒部の上端近
傍に設けた開口部に連結されたガス供給管と、蓋体の中
心に蓋体を貫通して設けたガス排出管とを備えたオイル
ミスト回収装置において、ガス排出管の管壁に排出管開
口部を設けると共にオイル受け部の上端近傍位置に受け
部開口部を設け、排出管開口部と受け部開口部とを連結
管により連結してガス排出管内とオイル受け部内を連通
させたことにある。

【０００６】また、上記請求項２に係る発明の構成上の
特徴は、上記請求項１に記載のオイルミスト回収装置に
おいて、排出管開口部を、ガス排出管の蓋体を境とした
筒部の外側部分に設けたことにある。

【０００７】

【発明の作用・効果】上記のように構成した請求項１に
係る発明においては、ガス排出管に設けた排出管開口部
と、オイル受け部の上端近傍位置に設けた受け部開口部
とを連結管により連結したことにより、ガス排出管内に
生じた負圧により、連結管を通してオイル受け部内のガ
スがベンチュリ効果によりガス排出管内に引っ張られ
る。その結果、オイル受け部内が負圧状態にされるの
で、オイル受け部の上方の逆円錐筒部の壁面からガス旋
回流により飛散したオイル粒が、オイル受け部側に引っ
張られて、オイル受け部内に効率よく回収される。

【０００８】また、請求項１に係る発明においては、ガ
ス供給管からのガス供給量の変化に応じてガス排出管内
の負圧の程度が変化するが、ガス排出管とオイル受け部
が連結管を介して連通しているため、オイル受け部側の
負圧も自動的に変化する。そして、かかる負圧の変化に
対するガス排出管内の圧力とオイル受け部側の圧力との
差圧の変化は非常に小さく抑えられる。そのため、ガス
供給量の大小によらずオイル受け部から連結管を通して
ガス排出管に吸引されるガス量の変化が少なくなり、オ
イルミスト回収装置のオイルミスト回収効率も、ガス供
給量の変動によってほとんど影響されない。さらに、本
発明においては、排出管開口部と、オイル受け部の上端
近傍位置に設けた受け部開口部とを連結管により連結さ
せるだけの簡易な構造なので、オイルミスト回収装置を
安価に提供することができる。

【０００９】また、上記のように構成した請求項２に係
る発明においては、排出管開口部を、蓋体を境とした筒
部の外側のガス排出管管壁に設けたことにより、排出管
開口部と受け部開口部の連結管による連結構成をより簡
易にすることができる。その結果、上記請求項１に記載
の発明の効果に加えて、オイルミスト回収装置をさらに
安価に提供することができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
すると、図１及び図２は、同実施例に係る自動車エンジ
ン用のサイクロン方式のオイルミスト回収装置を分解斜
視図及び縦断面により概略的に示したものである。この
オイルミスト回収装置は、プラスチック製の本体１０を
有している。本体１０は、円筒部１１を設けており、円
筒部１１の下端には逆円錐筒部１２が一体的に取り付け
られており、その下側にはオイル受け部１３が一体的に
取り付けられている。

【００１１】円筒部１１は、上端にリング状のフランジ
部１１ａを設けており、上端近傍位置に開口部１１ｂを
設けている。開口部１１ｂにはガス供給管２１の一端が
取り付けられている。ガス供給管２１の他端側はエンジ
ンのクランク室（図示しない）に接続される。円筒部１
１の上端には支持板２２がフランジ部１１ａに固定され
ている。支持板２２の中央の開口にはガス排出管２３
が、支持板２２を貫通して固定されている。ガス排出管
２３の下端は、円筒部１１の略下端位置にまで延出され
ている。ガス排出管２３の上端は、エンジンの吸気管
（図示しない）側に接続される。ガス排出管２３の支持
板２２近傍には、開口部２３ａが設けられている。開口
部２３ａには上部バイパス管２４が接続されており、上
部バイパス管２４は、支持板２２上に一体的に固定され
ている。

【００１２】オイル受け部１３の上端近傍位置には、開
口部１３ａが設けられており、開口部１３ａには下部バ
イパス管１４の一端が取り付けられている。そして、上
部バイパス管２４と下部バイパス管１４とは、樹脂製の
フレキシブルな接続管２５により連結されている。

【００１３】つぎに、上記実施例の動作について説明す
る。上記オイルミスト回収装置においては、ガス供給管
２１から供給されたオイル分を含んだ排ガスが、円筒部
１１内において旋回流となり、内壁面にたたきつけられ
てオイル粒が凝縮するサイクロン効果によりオイル分が
除去される。そして、排ガスの旋回流は、円筒部１１中
央に配置されたガス排出管２３を旋回しつつ高速で排出
され、このため、ガス排出管２３内が高い負圧状態にな
っている。一方、円筒部１１内に流入したガスは、旋回
流となり逆円錐筒部１２にまで達し、逆円錐筒部１２の
内壁に付着しているオイル粒の一部を内壁から吹き飛ば
す。しかし、ガス排出管２３に設けた上部バイパス管２
４とオイル受け部１３に設けた下部バイパス管１４とが
接続管２５により連結されているので、ガス排出管２３
側の負圧状態に応じて、オイル受け部１３側のガスがガ
ス排出管２３側に引っ張られるベンチュリ効果によりオ
イル受け部１３内が負圧状態にされる。従って、旋回流
により吹き飛ばされたオイル粒が、オイル受け部１３側
に引き付けられることにより、オイル粒がオイル受け部
１３内に効率よく回収される。

【００１４】また、このオイルミスト回収装置において
は、自動車の走行状態の変化によってエンジンのクラン
ク室から供給されるガス供給量が変化し、それに応じて
ガス排出管２３内の負圧の程度が変化するが、ガス排出
管２３とオイル受け部１３は接続管２５を介して連通し
ているので、オイル受け部１３側の負圧も自動的に変化
する。そして、ガス排出管内の負圧の変化に対するよる
ガス排出管２３内の圧力とオイル受け部１３内の圧力と
の差圧ＰS の変化は、図３に示すような結果になってい
る。すなわち、エンジンから供給されるガスの流量を４
５〜１００ｌ／ｍｉｎの範囲としたときの差圧ＰS の変
化は、１０〜１５ｍｍＡＱと変動が非常に小さな範囲に
抑えられる。そのため、ガス供給量の大小によらずオイ
ル受け部１３から接続管２５を通してガス排出管２３に
吸引されるガス量の変化も少なくなり、オイルミスト回
収装置のオイルミスト回収効率も、車両の運転状態の変
化に伴うガス供給量の変動によってほとんど影響されな
い。さらに、このオイルミスト回収装置は、上部バイパ
ス管２４と下部バイパス管１４を接続管２５により連結
させるだけの簡易な構造なので、安価に提供されるの
で、自動車等の低価格用途に対して好適である。

【００１５】つぎに、上記実施例に係るオイルミスト回
収装置によるオイルミスト回収実験の結果を示す。オイ
ルミスト回収装置の試験品は、円筒部１１の内径が４０
ｍｍφであり、接続管２５の内径は４ｍｍφである。ま
た、比較のために、同一寸法で上下のバイパス管を設け
ていない従来品を用意した。オイルミスト回収装置に供
給されるガスの流量は４５ｌ／ｍｉｎである。試験品及
び比較品のオイルミスト捕集効率の結果は、試験品が９
３．５％であり、従来品が８７．４％であった。すなわ
ち、試験品は従来品よりオイルミスト回収率が６．１％
高くなっており、本発明の効果が明確にされた。

【００１６】なお、上記実施例においては、上部バイパ
ス管２４は支持板２２上に固定されているが、支持板２
２から離してもよい。また、上部バイパス管２４を円筒
部１１の外部に設ける代わりに、その一部を円筒部１１
の内部に設けるようにしてもよい。また、上記実施例に
おいては、オイルミスト回収装置を自動車エンジン用と
して用いているが、その他のエンジンやガスタービン等
のオイルミスト回収用としても用いることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るサイクロン形式のオイ
ルミスト回収装置を概略的に示す分解斜視図である。

【図２】同オイルミスト回収装置の縦断面図である。

【図３】同オイルミスト回収装置の供給ガス流量に対す
るガス排出管側とオイル受け部側の差圧との関係を示す
グラフである。

【図４】従来例１に係るオイルミスト回収装置を概略的
に示す縦断面図である。

【図５】従来例２に係るオイルミスト回収装置を概略的
に示す縦断面図である。

【符号の説明】

１０…本体、１１…円筒部、１２…逆円錐筒部、１３…
オイル受け部、１３ａ…開口部、１４…下部バイパス
管、２１…ガス供給管、２２ …支持板、２３…ガス排
出管、２３ａ…開口部、２４…上部バイパス管、２５…
接続管。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端面が蓋体により封止された筒部と、
   同筒部の下端に連結された逆円錐筒部と、同逆円錐筒部
   の下端に連結された筒状のオイル受け部とを有する筒状
   本体と、前記筒部の上端近傍に設けた開口部に連結され
   たガス供給管と、前記蓋体の中心に同蓋体を貫通して設
   けたガス排出管とを備えたオイルミスト回収装置におい
   て、 前記ガス排出管の管壁に排出管開口部を設けると共に前
   記オイル受け部の上端近傍位置に受け部開口部を設け、
   前記排出管開口部と受け部開口部とを連結管により連結
   して同ガス排出管内と同オイル受け部内を連通させたこ
   とを特徴とするオイルミスト回収装置。
2. 【請求項２】 上記請求項１に記載のオイルミスト回収
   装置において、 前記排出管開口部を、前記ガス排出管の前記蓋体を境と
   した前記筒部の外側部分に設けたことを特徴とするオイ
   ルミスト回収装置。