JPH0113780Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内燃エンジン内に発生するブローバイ
ガスから潤滑オイルを分離するオイルセパレータ
に関するものである。

（従来技術） ブローバイガスから潤滑オイルを分離するため
の装置は、従来から種々提案されている。例えば
実開昭56−149013号公報に示す如く、シリンダヘ
ツドカバーに気液分離ケースが設けられ、該ケー
ス内に邪魔板が突出してジグザグ通路が形成さ
れ、オイル分を含んだブローバイガスがこのジグ
ザグ通路を流れる時に、その流れ方向を急激に変
化させることにより、ガス中に含まれるオイル成
分を除去するものである。

即ち、気体部分はスムースに流れの方向転換が
できるが、ある質量以上のオイル粒子部分は急激
な方向転換ができにくいため、ジグザグ通路の壁
面に衝突して付着し、この付着するオイル粒子が
増大すると、油粒或は油滴となつて自重で落下す
る。このようにしてオイル成分が除去されたブロ
ーバイガスは、インテークマニホールドに吸引さ
れる。

しかしながら比較的質量の小さい霧状のオイル
粒子は、ブローバイガスと共にジグザグ通路を浮
遊通過してしまうので、ブローバイガス中のオイ
ル分を完全に分離して捕集することは困難であつ
た。そのため潤滑オイルが十分に分離されないま
まインテークマニホールドに流出するので、潤滑
オイルの消費量が多くなると共に、マニホールド
に取付けられる各種センサー類がオイルにより汚
染される欠点があつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は従来各種センサー類がオイルにより汚
染される等の問題点を、ブローバイガス中から完
全にオイル分を除去することにより解決しようと
するものである。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、内燃エンジンのシリンダヘ
ツドの上面室を覆うシリンダヘツドカバーと一体
にブローバイガスの気液分離を行なうケースを設
けると共に、前記シリンダヘツドカバーと一体の
壁と底板により１回以上の迷路を有し、かつブロ
ーバイガスの入口に通じるジグザグ通路を設ける
と共に、該通路の底板より高い位置に発泡金属製
の多孔質フイルタを配設し、該フイルタの下流に
拡張室を設け、該拡張室の底部の上流部下方にオ
イル溜を設けると共に、該底部を下流方向に至る
に従つて徐々に上向きに傾斜させることにより該
拡張室の上下高さが徐々に縮少するようにした構
成であり、これを問題点解決のための手段とする
ものである。

（作用） さて入口からブローバイガスと共に飛散して来
る潤滑オイル飛沫は、ジグザグ通路の壁に衝突す
ることにより、大粒のオイルは気液分離され、そ
の後フイルタによりベーパ状、霧状のオイル分が
分離される。

（実施例） 以下本考案の実施例を図面について説明する
と、第１図及び第２図は本考案の実施例を示し、
１は内燃エンジンで、シリンダヘツドの上面室２
を覆うシリンダヘツドカバー３が、シリンダヘツ
ド上にパツキング４を介して固定されている。

５はオイルセパレータで、シリンダヘツドカバ
ー３と一体的に形成され、ブローバイガスの気液
分離を行なう下面開放型のケース６を有する。ケ
ース６の下面開口部にはバツフルプレート７が固
定され、その内部に気液分離室８が形成されてい
る。９はシリンダヘツドカバー３と一体の壁１０
とバツフルプレート７により形成されるジグザグ
通路の入口で、該入口９より矢印ｌの如くブロー
バイガスは気液分離室８に流入する。またケース
６の側壁には、ブローバイガスの出口ポート１１
が設けられ、該ポート１１は図示しないゴムホー
ス等の通路手段を介してインテークマニホールド
に連通している。

１２は前記ジグザグ通路のバツフルプレート７
により形成される底板より高い位置に、15〜90゜
の傾斜で配設された発泡金属製の多孔質フイルタ
で、バツフルプレート７と壁１０に外周が係止さ
れている。１３はフイルタ１２の下流に設けられ
た拡張室で、バツフルプレート７、壁１０、フイ
ルタ１２により形成され、該拡張室１３の底部は
出口ポート１１までの下流方向に至るに従つて
徐々に上向きに傾斜されている。１４はオイル溜
りで、傘型チエツクバルブ１５を介してシリンダ
ヘツド１のクランクケース内に連通している。

次に以上の如く構成された実施例について作用
を説明すると、入口９からブローバイガスと共に
飛散して来る潤滑油飛沫は、ジグザグ通路を構成
する壁１０に衝突することにより、大粒オイルが
分離される。その後発泡金属製の多孔質フイルタ
１２によりベーパ状オイルが分離されるが、その
際フイルタ１２を通り過ぎた微細なオイル分は、
拡張室１３に入つて速度を失い落下してオイル溜
り１４に溜る。

（考案の効果） 以上詳細に説明した如く本考案は、シリンダヘ
ツドと一体の壁と底板により１回以上の迷路を有
し、かつブローバイガスの入口に通じるジグザグ
通路を設けたので、該通路を構成する前記壁に潤
滑油飛沫が衝突することにより大粒オイルが分離
される。従つてガム状オイル或は塵塊、切粉等を
含んだオイルは、フイルタ部まで到達しないた
め、フイルタの目詰りが起こる虞れは無くなり、
性能が維持できる。そのためフイルタの多孔率を
上げることができ、ベーパ状オイルの気液分離の
効率を向上させることができる。

また本考案は、フイルタの下流に拡張室を設け
たので、該拡張室に流入したオイル成分は速度を
失なつて落下しオイル溜に溜る。また多孔質フイ
ルタはジグザグ通路の底板より高い位置に配置し
てあるので、ジグザグ通路の底板に落下した大粒
オイル等は上方の多孔質フイルタに到達するよう
なことはない。また拡張室の底部を下流方向に至
るに従つて徐々に上向きに傾斜させることにより
該拡張室の上下高さが徐々に縮少するようにした
ので、多孔質フイルタより流入するオイルには流
速の変化が起き易く、これによりオイルの分離が
一層容易となる。更にジグザグ通路を形成する壁
は、シリンダヘツドカバーと一体に形成されてい
るので、別体に形成した場合に比べ構造を極めて
簡単にできる等の多くの利点を有するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すオイルセパレー
タの上半分の側断面図、第２図は第１図のＡ矢視
図である。 図の主要部分の説明、３……シリンダヘツドカ
バー、５……オイルセパレータ、６……ケース、
８……気液分離室、９……入口、１０……壁、１
１……出口ポート、１２……多孔質フイルタ、１
３……拡張室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃エンジンのシリンダヘツドの上面室を覆う
   シリンダヘツドカバーと一体にブローバイガスの
   気液分離を行なうケースを設けると共に、前記シ
   リンダヘツドカバーと一体の壁と底板により１回
   以上の迷路を有し、かつブローバイガスの入口に
   通じるジグザグ通路を設けると共に、該通路の底
   板より高い位置に発泡金属製の多孔質フイルタを
   配設し、該フイルタの下流に拡張室を設け、該拡
   張室の底部の上流部下方にオイル溜を設けると共
   に、該底部を下流方向に至るに従つて徐々に上向
   きに傾斜させることにより該拡張室の上下高さが
   徐々に縮少するようにしたことを特徴とするオイ
   ルセパレータ。