JPH08283Y2 - 複合式容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は複合式容器に係り、とく
に板紙から成る包装箱内に液体を充填するための合成樹
脂製の内側バッグを収納するとともに、この包装箱の外
側を合成樹脂製の外側バッグで覆うようにした複合式容
器に関する。

【０００２】

【従来の技術】各種の液体を充填するための容器とし
て、バッグインボックス型の複合式容器が用いられてい
る。この種の容器は、例えば段ボール原紙から成る包装
箱内に液体を充填するための高分子フィルムから成るバ
ッグを配するようにしたものであって、このバッグに取
付けられている筒状の口部を外側の包装箱を通して外部
に臨むようにしたものである。このような包装箱は、不
使用時に偏平に折畳んでおくことでき、このために空の
容器を輸送したり保管したりする際のスペースファクタ
が非常に良好になる。

【０００３】ところがこのような容器は、液体を充填す
るためのバッグを段ボール原紙から成る包装箱内に配す
るようにしたものであって外表面に段ボール箱が臨むた
めに、水に接触すると強度が低下して破損する。また内
容物を充填して冷蔵庫に入れておき、冷えた後に取出す
と、外側の段ボール箱の表面に露結を生ずる。このよう
な欠点を解消するために、図８および図９に示すよう
に、包装箱１の内側に内側バッグ２を配するとともに、
包装箱１の外側を外側バッグ３で覆うようにした包装箱
が提案されている。このような二重袋型の複合式容器に
よれば、外側の段ボール箱が濡れたり露結したりするの
が防止されるようになる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところがこのような二
重袋型の複合容器は、内側バッグ２と接続されている筒
状口部４が貫通される蓋板５と底板６とにそれぞれ内側
バッグ２を接着剤７によって固定するようにしている。
内側バッグ２を接着剤７によって蓋板５と底板６とにそ
れぞれ接合するのは、包装箱１内における内側バッグ２
の位置決めを正確に行なうためのものである。すなわち
包装箱１に対して内側バッグ２がずれていると、このバ
ッグ２内に液体を充填したときに図９に示すように内側
バッグ２が包装箱１の内周面にならうように膨張しなく
なり、これによって内側バッグ２の破断の原因になるか
らである。

【０００５】ところがこのように内側のバッグ２を接着
剤７によって蓋板５と底板６とにそれぞれ点付けし、さ
らに包装箱１の外側を外側バッグ３で覆うようにする
と、複合式容器を製造する工程が非常に複雑になる。ま
たこのような複雑な製造工程によれば、自動化による製
袋は極めて難しく、これによってコストが増大するとと
もに、大量供給に不適当なものとなる。

【０００６】本考案はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであって、とくに内側バッグを包装箱内に接着剤
によって点付けする工程を不要にし、これによって製造
工程の単純化を図るようにした複合式容器を提供するこ
とを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、板紙から成る
包装箱内に液体を充填するための合成樹脂製の内側バッ
グを収納するとともに、前記包装箱の外側を合成樹脂製
の外側バッグで覆うようにした複合式容器において、前
記包装箱を上下が開放された筒状の形状に組立て、該筒
状の形状の包装箱の内外にそれぞれ内側バッグと外側バ
ッグとを装着するとともに、前記包装箱の上下において
内側バッグと外側バッグとを互いに接合し、前記内側バ
ッグおよび前記外側バッグとともに底板と蓋板とを折込
んで上下の開口を閉塞するようにしたものである。

【０００８】

【作用】従って板紙によって筒状に構成された包装箱の
内外にそれぞれ内側のバッグと外側のバッグとを装着す
るとともに、この包装箱の上下から突出している内側の
バッグと外側のバッグとを互いにシールし、この後に内
側バッグおよび外側バッグを包装箱の底板と一緒に折畳
むことによって底部開口が閉塞される。また内側バッグ
と外側バッグとを蓋板とともに折込むことによって上部
開口が閉塞されることになり、これによって複合式容器
が組立てられるようになる。

【０００９】

【実施例】図３および図４は本考案の一実施例に係る複
合式容器の包装箱を組立てるための段ボール原紙１１、
１２をそれぞれ示している。すなわち本実施例に係る容
器の包装箱は、２枚の段ボール原紙１１、１２を組合わ
せて用いられるようになっている。

【００１０】まず図３に示す段ボール原紙１１について
示すと、この段ボール原紙１１は前面板１３を備えると
ともに、その下端側には折曲げ可能に底板１４が連設さ
れている。また前面板１３の上端には折曲げ可能に蓋板
１５が連設されている。蓋板１５の中央部には円形の開
口１６が形成されている。

【００１１】またこの前面板１３の左側には折曲げ可能
に左側面板１７が連設されている。そしてこの側面板１
７の下部と上部とにはそれぞれ３角形のフラップ１８、
１９が折曲げ可能にれ連設されている。また左側側面板
１７には上下に貫通するように折曲げ線２０が形成され
ており、この折曲げ線２０は下側のフラップ１８と上側
のフラップ１９とを横切っている。そして左側側面板１
７の左端には折曲げ可能に接合片２１が連設されてい
る。

【００１２】つぎにもう１つの段ボール原紙１２につい
て説明すると、図４に示すようにこの段ボール原紙１２
は上記段ボール原紙１１とほぼ同一の構成になってお
り、背面板２３の下部と上部とにはそれぞれ底板２４と
蓋板２５とが折曲げ可能に連設されている。また背面板
２３の左側には折曲げ可能に右側面板２７が連設されて
いる。そして側面板２７の下部と上部とにはそれぞれ３
角形のフラップ２８、２９が連設されている。また側面
板２７、フラップ２８、２９を横切るように上下に延び
る折曲げ線３０が形成されている。さらに右側側面板２
７の左端には接合片３１が連設されている。

【００１３】なお２枚の段ボール原紙１１、１２を用い
る代りに、２枚の段ボール原紙が予め連結された状態に
打抜くようにし、単一の原紙によって包装箱を組立てる
ようにしてもよい。

【００１４】図３および図４に示される２枚の段ボール
原紙１１、１２から組立てられる包装箱は、図５に示す
ように内側バッグ３５と外側バッグ３６と組合わされる
ようになっている。なおこれらのバッグ３５、３６はと
もに筒状に構成されており、その上下の部分が開放され
ている。そしてこれらのバッグ３５、３６は包装箱と組
合わされた状態において、図６に示されるように下端側
および上端側がシール部３７、３８によってシールされ
るようになっている。また内側バッグ３５には筒状口部
３４が連設されている。

【００１５】このような複合式容器の組立ての動作をよ
り詳細に説明すると、図５に示すように２枚の段ボール
原紙１１、１２を組合わせて４角筒状をなす包装箱を組
立てる。すなわち前面板１３側の左側面板１７に連設さ
れている接合片２１を背面板２３の端部に連結して接合
する。同様に背面板２３側の右側面板２７の先端部に設
けられている接合片３１を前面板１３の右端の部分に接
合する。これによって２枚の段ボール原紙１１、１２で
４角筒状の包装箱が組立てられる。なおこの包装箱は底
板１４、２４と蓋板１５、２５とがともに開放された状
態になっている。

【００１６】このように２枚の段ボール原紙１１、１２
を接合して組立てられた筒状の包装箱の内側と外側とに
それぞれ内側バッグ３５と外側バッグ３６とを配する。
すなわち内外のバッグ３５、３６間に段ボール原紙１
１、１２とから成る包装箱が挟まれるようになる。なお
これらのバッグ３５、３６はその高さ方向の寸法が段ボ
ール原紙１１、１２の高さ方向の寸法よりもやや大きな
値に設定されている。従って包装箱の上下から突出した
バッグ３５、３６の上端側の部分をシール部３８、３７
によってシールする。

【００１７】これによって図６および図１に示すよう
に、筒状の形状の包装箱の内外にそれぞれ内側のバッグ
３５と外側のバッグ３６とが装着されることになり、包
装箱の上下において内側のバッグ３５と外側のバッグ３
６とがシール部３７、３８でシールされるようになる。

【００１８】このような包装箱は、中に液体を充填する
ために直方体状に組立てる。すなわち内外のバッグ３
５、３６とともに底板１４、２４を内側に折曲げ、さら
に下側のフラップ１８、２８をその外側から底板１４、
２４に重なるように折曲げる。また上部開口について
も、蓋板１５、２５によって閉じるとともに、上側のフ
ラップ１９、２９を折曲げ上部開口を閉塞する。すなわ
ち両側のフラップ１９、２９を蓋板１５、２５と重なる
ように折曲げる。これによって図７に示すように直方体
状に組立てられた複合式容器が得られる。

【００１９】このような容器は、内側バッグ３５に取付
けられた筒状の口部３４が前面板１３側の蓋板１５を貫
通して外部に臨むようになっているために、この筒状口
部３４を通して内部に液体を充填したり、内部に充填さ
れた液体を筒状口部３４を通して排出したりすることが
可能になる。またこのような容器は、不使用時において
は図６および図１に示すように偏平に折畳んでおくこと
ができる。従って輸送や保管の際のスペースファクタが
非常に良好なものになる。

【００２０】しかも本実施例に係る複合式容器は、内側
バッグ３５と外側バッグ３６とが包装箱の上下において
シール部３７、３８でそれぞれシールされるようになっ
ている。従って内容物を充填した場合に図２に示すよう
に、内側バッグ３５がきれいに膨張するようになり、こ
れによって内側バッグ３５の破損が効果的に回避され
る。

【００２１】このように内外のバッグ３５、３６を底部
側のシール部３７および上部側のシール部３８でそれぞ
れシールすることによって、内側のバッグ３５を包装箱
内に接着剤によって点付けする工程が不要になり、接着
の際のホットメルトを使うことによる溶着ピンホールの
危険もなくなる。

【００２２】しかも包装箱の外側における上側のシール
部３８の他に、内側バッグ３５については図１に示すよ
うにシール部３９によって内側バッグ３５をシールする
ようにしており、このようなシール部３９が包装箱の内
側に存在するようになる。従って組立て後における包装
箱のこすれによる上ピンホールの発生を防止することが
可能になる。しかも組立て時に、内側バッグ３５は包装
箱の前面に沿っているために、所定量の内部空間を有し
ており、これによって簡便なノズルタイプの充填器を利
用して液体の充填を行なうことができる。

【００２３】

【考案の効果】以上のように本考案は、包装箱を上下が
開放された筒状の形状に組立て、筒状の形状の包装箱の
内外にそれぞれ内側バッグと外側バッグとを装着すると
ともに、包装箱の上下において内側バッグと外側バッグ
とを互いに接合し、内側バッグおよび外側バッグととも
に底板と蓋板とを折込んで上下の開口を閉塞するように
したものである。従って内側バッグを包装箱の内側に点
付けして固定する必要がなくなり、これによって製造工
程が非常に簡素化されるとともに、組立ての自動化が可
能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る複合式容器の折畳んだ
状態の断面図である。

【図２】同直方体状に組立てた状態の縦断面図である。

【図３】包装箱を構成する段ボール原紙の展開平面図で
ある。

【図４】包装箱を構成する段ボール原紙の展開平面図で
ある。

【図５】組立てを示す分解斜視図である。

【図６】組立てられた複合式容器の斜視図である。

【図７】直方体状に組立てた状態の斜視図である。

【図８】従来の包装箱を折畳んだ状態の断面図である。

【図９】従来の包装箱を直方体状に組立てた状態の断面
図である。

【符号の説明】

１１ 段ボール原紙 １２ 段ボール原紙 １３ 前面板 １４ 底板 １５ 蓋板 １７ 左側面板 １８ ３角形のフラップ １９ ３角形のフラップ ２３ 背面板 ２４ 底板 ２５ 蓋板 ２７ 右側面板 ２８ ３角形のフラップ ２９ ３角形のフラップ ３４ 筒状口部 ３５ 内側バッグ ３６ 外側バッグ ３７ シール部 ３８ シール部 ３９ シール部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 板紙から成る包装箱内に液体を充填する
   ための合成樹脂製の内側バッグを収納するとともに、前
   記包装箱の外側を合成樹脂製の外側バッグで覆うように
   した複合式容器において、前記包装箱を上下が開放され
   た筒状の形状に組立て、該筒状の形状の包装箱の内外に
   それぞれ内側バッグと外側バッグとを装着するととも
   に、前記包装箱の上下において内側バッグと外側バッグ
   とを互いに接合し、前記内側バッグおよび前記外側バッ
   グとともに底板と蓋板とを折込んで上下の開口を閉塞す
   るようにしたことを特徴とする複合式容器。