JPH08281315A - ローラガイド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 前後長が短く安価で構造が簡単で圧延材の抱
合力を一定に保つことを可能にする。 【構成】 ガイドボックス１内に対向的に配置した保持
箱２を圧延ロールの軸に平行な方向に移動可能に設け、
両保持箱にローラ支持軸を介してローラ４をそれぞれ軸
支し、上記保持箱にガイドボックスに取付けた油圧シリ
ンダ１０を連結させて、油圧シリンダを駆動させること
によって保持箱を介してローラ間隔を調整可能にして、
ローラ支持部に油圧力による弾性を持たせることによ
り、圧延材の寸法変動に対してローラ間隔を追従させる
ことを可能とし、抱合力を一定に保ち得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、油圧シリンダを使用し
てローラの抱合力を一定に保つことができるローラガイ
ド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、入口のローラガイドにはガイドボ
ックスに支点ピンを回転中心として一対のローラホルダ
を開閉可能に設け、各々のローラホルダの一端部側にロ
ーラを回転自在に設け、他端部側にローラの間隔調整装
置を設けてある、いわゆる「ローラホルダ・支点ピン
型」のローラガイド装置が使用されることが多い。一般
にローラガイド装置では、予め設定してあるローラ間隔
に対して太い圧延材が通過すると、ローラガイド装置に
過大な力が作用して最悪の場合にはローラガイド装置が
破損することがある。しかしながらローラホルダ・支点
ピン型のローラガイド装置では予め設定してあるローラ
間隔に対して太い圧延材が通過しても、ローラホルダが
ばね効果により撓んでローラ間隔を広げることにより破
損を防ぐ効果があることは周知のとおりである。ところ
で、ローラホルダ・支点ピン型のローラガイド装置とし
て本出願人が提案した特公平２−４２００６号公報記載
の装置がある。この公告公報には、本装置に油圧シリン
ダとローラの間隔調整装置を設けておき、この油圧シリ
ンダに加える油圧力と予め設定したローラ間隔で圧延材
を案内可能にする技術が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本出願人の提案に係る
上記の従来例によれば、圧延材に寸法変動があっても油
圧力やローラホルダの撓みを利用してローラの間隔を常
に圧延材の寸法変動に対応して追従させる利点があるも
のの、ローラホルダをガイドボックスに支点ピンで開閉
可能に保持した上で、前端部と後端部に各々ローラや間
隔調整装置を設ける必要があることから、本装置の前後
長が長くなること、ローラホルダにばね効果を持たせる
ためにばね性のある鋳物材料を使用するために木型費用
を含めた製造費用が高価になる等の改善すべき点がある
ことが判った。またこの従来例では圧延材を案内するた
めにローラの抱合力に関して、圧延材の先端部や後端部
などの寸法が太い部分ではローラによる圧延材の抱合力
が強すぎて突っ掛けを起こしたり、尻抜けしにくいこと
等の改良すべき点があることも判った。以上から、本発
明の目的は、前後長が短く安価で構造が簡単で圧延材の
抱合力を一定に保つことを可能にすることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明では、ガイドボッ
クスに一対の保持箱を移動可能に設け、この保持箱を油
圧シリンダを使用してその油圧力によって上記保持箱を
移動させしかも保持箱に軸支してあるローラで圧延材を
一定の抱合力で抱合して案内可能とするものである。換
言すれば、本発明のローラガイド装置では、ガイドボッ
クスに一対の保持箱を対向しかつパスラインに直交する
方向に移動可能に設けてあり、各保持箱に回動可能に設
けてあるローラ支持軸の偏心軸部にローラを回転自在に
軸支してあり、各ローラ支持軸の頂部に設けてある互い
に逆ネジのウォームにはピニオンがそれぞれ噛合されて
おり、各ピニオンはピニオン軸を介して保持箱に回動可
能に軸支されており、ピニオン軸はスプラインにより軸
方向に移動可能に連結されており、上記各保持箱には保
持箱に対応するようにガイドボックスに保持した油圧シ
リンダがそれぞれ連結されている。ローラガイド装置
は、圧延ロールの入口に設けて圧延材を圧延ロールに案
内したり、出口に設けて圧延材を圧延ロールから案内す
るためのものである。ローラガイド装置を入口ローラガ
イドとして使用する場合には、ガイドボックスを圧延ロ
ールの入口に設け、圧延材の案内をより一層円滑にする
ために上記ガイドボックスにエントリーガイドを必要に
応じて設ける。またローラガイド装置を出口ローラガイ
ドとして使用する場合には、ガイドボックスを圧延ロー
ルの出口に設け、圧延材の案内をより一層円滑にするた
めにデリバリーガイドをガイドボックスに必要に応じて
設ける。

【０００５】

【作用】圧延材を案内するには、油圧シリンダに油圧力
を加えて保持箱を押圧して一対の保持箱が最小間隔にな
るようにしておいてから、ピニオン軸を回転させてロー
ラ支持軸の偏心軸部に軸支してあるローラの間隔を圧延
材の寸法に合わせる。圧延材がローラに噛込んでいる間
は油圧シリンダに一定圧力を加えて圧延材の寸法変動に
応じて、保持箱の間隔すなわちローラの間隔を変動可能
にしておくことにより、圧延材の寸法が細い場合はシリ
ンダが伸びてローラの間隔が狭くなり、圧延材の寸法が
太くて油圧シリンダの押圧力に抗する力が強い場合には
油圧シリンダが縮んでローラの間隔を広げるから、圧延
材の寸法に応じてローラによる圧延材の抱合力を一定に
できる。

【０００６】

【実施例】本発明の一実施例として、入口のローラガイ
ド装置の例について図１〜図３を参照して説明する。ガ
イドボックス１内には、対向する一対の保持箱２を移動
可能に設けてある。両保持箱２の移動方向はパスライン
に直交する方向であり、図示の例では圧延ロールに平行
な方向としてある。保持箱２の上下部にはガイド部２ａ
を設けてあって、両ガイド部は図１に示すようにガイド
ボックス１のガイド開孔１ａ（図１）内に位置してい
る。各保持箱２に回動可能に設けてあるローラ支持軸３
の偏心軸部３ａには、ローラ４をそれぞれ回転自在に軸
支してある。各ローラ支持軸３の頂部に螺設してある互
いに逆ネジのウォーム３ｂにはピニオン５が噛合されて
いる。各ピニオン５は、ピニオン軸６に取付けられてい
る。各ピニオン軸６は、各保持箱２上に軸受であるペデ
スタル７を介して回動可能に軸支されている。両ピニオ
ン軸６は、スプライン８を介して軸方向（図１の左右方
向）に摺動可能に連結されている。図示の例では、一方
（図左方）に位置しているピニオン軸６の先端はスプラ
イン８の軸心に固着されており、また他方のピニオン軸
の先端がスプライン内の軸心に移動可能に挿入されてい
る。このために、各ピニオン５はピニオン軸６の回転に
伴なってピニオン軸の軸方向に移動可能である。一対の
保持箱２はガイドボックス１に設けてある油圧シリンダ
９とそれぞれ連結されている。このために、各保持箱２
は、油圧シリンダ９の駆動により図１左右方向に移動さ
れる。ガイドボックス１には、圧延材が挿通するガイド
体１０を設けてある。このガイド体は、本装置を入口の
ローラガイドとして使用する場合に、より一層圧延材を
円滑に圧延ロールへ案内するためにガイドボックス１に
取付けられるエントリーガイドであって、このエントリ
ーガイドは必要に応じて設けられる。

【０００７】つぎに、使用方法について説明する。ロー
ラ４の間隔を調整するには、予め油圧シリンダ９に油圧
力を加えて保持箱２が互いに近づく方向のストローク端
まで移動させておいてから、各ピニオン軸６を回動させ
る。ピニオン軸６の回動によって、ピニオン５と噛合し
ているローラ支持軸３が互いに逆方向に回動されるの
で、各ローラ支持軸の偏心軸部３ａに軸支されているロ
ーラ４の間隔が調整されることになる。このような調整
方法によって圧延材の寸法と同一寸法にローラ４の間隔
を調整しておいてから、圧延に使用すると、設定した圧
延材より太い圧延材がローラ４間を通過している間は油
圧シリンダ９に加えてある油圧力に抗してローラの間隔
が広げられ（この時、圧延材のローラ間隔を広げる力が
油圧シリンダの押圧力より大きいことが条件となるの
で、計算と圧延実績により最適な押圧力を求める必要が
ある）、所要の寸法の圧延材が通過している間は油圧力
によりローラの間隔が初期設定の寸法に戻される。ま
た、圧延材の寸法に比べてローラ４の間隔を僅かに狭く
調整した場合には、ローラの間隔に比べて正規の寸法及
びそれより太い圧延材がローラ間を通過するときには、
ローラの間隔がかなり広がりながら圧延材を案内し、ま
た正規の寸法より細い圧延材が通過するときは、ローラ
の間隔が油圧シリンダ９に押圧されて上記の正規寸法に
比べて狭く調整した範囲内で圧延材に追従して案内する
ことにより、正規寸法に比べて太い部分や細い部分のあ
る圧延材を常に一定の抱合力で案内することができる。

【０００８】図４及び図５に示す他の実施例は、本装置
を圧延ロールの出口に設けて出口のローラガイドとして
使用するもので、上例と異なる構成はガイド体としてデ
リバリーガイド１１をガイドボックス１の図４下方に設
けている点にある。その他の構成は図１の例と実質的に
異なるものではない。そのために、本例における図４，
５に示す符号を図１に示すローラガイド装置に記載の符
号と一致させて、対応関係を明らかにしている。このよ
うにガイドボックス１を圧延ロールの出口に設けると共
にデリバリーガイド１１を備えることによって、圧延ロ
ールからの圧延材をより一層円滑に案内できる。

【０００９】

【発明の効果】本発明によれば、ガイドボックス内に一
対の保持箱を移動可能に設け、これらの保持箱で油圧シ
リンダを介してローラの間隔を調整可能であって、しか
も圧延材の寸法変動にローラの間隔を追従させることが
できるので、本装置の前後長を短くでき、安価で構造を
簡単することができる共に、抱合力を一定に保つことが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例の入口のローラガイド装置
を示す平面図である。

【図２】この発明の一実施例の入口のローラガイド装置
を示す正面図である。

【図３】この発明の一実施例の入口のローラガイド装置
を示す側面図である。

【図４】この発明の一実施例の出口のローラガイド装置
を示す平面図である。

【図５】この発明の一実施例の出口のローラガイド装置
を示す側面図である。

【符号の説明】

１ ガイドボックス ２ 保持箱 ３ ローラ支持軸 ３ａ 偏心軸部 ３ｂ ウォーム ４ ローラ ５ ピニオン ６ ピニオン軸 ７ 軸受 ９ 油圧シリンダ １０ エントリーガイド １１ デリバリーガイド

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガイドボックスと、このガイドボックス
   内に対向的に配置すると共に、移動可能に設けてある一
   対の保持箱と、各保持箱に回動可能に軸支しかつ偏心軸
   部を設けているローラ支持軸と、各ローラ支持軸の偏心
   軸部に回転自在に設けてあるローラと、上記各ローラ支
   持軸の頂部に互いに逆ネジ関係に設けてあるウォーム
   と、各ウォームに噛合しているピニオンと、各ピニオン
   を軸支すると共に上記保持箱上に軸受を介して軸支され
   ているピニオン軸と、上記保持箱に対応して上記ガイド
   ボックスに保持し、対応する保持箱と連結している油圧
   シリンダとを具備しており、 上記保持箱の移動方向は、パスラインに直交する方向に
   設定されおり、上記両ピニオン軸は、互いに端部が対向
   しかつ軸方向に一直線上に位置していることを特徴とす
   ることを特徴とするローラガイド装置。
2. 【請求項２】 請求項１において、ガイドボックスは、
   圧延ロールの入口側に設けると共に、エントリーガイド
   を備えていることを特徴とするローラガイド装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、ガイドボックスは、
   圧延ロールの出口側に設けると共に、デリバリーガイド
   を備えていることを特徴とするローラガイド装置。