JPH08266455A - ポリアミド製モップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 ナイロン６製捲縮繊維からなる表糸１を、支
持体２に結合させてなる雑巾部３を有する。また、本発
明は、雑巾部３と、ナイロン６製柄部４から構成されて
おり、モップの構成要素全体が再循環可能である。表糸
１は、３００〜２００００デニール、捲縮伸長率５パー
セント以上のナイロン６製捲縮マルチフィラメントから
構成され、さらに、同様の繊度および捲縮伸長率を有す
る炭素繊維含有ナイロン６マルチフィラメントとを混繊
してなり、後者は全体の５％以下が好ましい。 【効果】 長時間使用後も遊び毛が少なく、清掃性能お
よび耐久性がすぐれ、雑巾部のみを取り外して解重合に
供するか、またはモップの構成要素全体をそのまま解重
合に供することにより、ε−カプロラクタムに戻す再循
環が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業用の利用分野】本発明は、遊び毛が少なく清掃性
能および耐久性にすぐれ、かつ再循環可能なポリアミド
製モップに関するものである。

【０００２】なお、本発明でいう再循環可能とは、ナイ
ロン６製モップを解重合反応によりナイロン６のモノマ
ーであるε−カプロラクタムに戻すことが可能であるこ
と、つまり、いわゆるケミカルリサイクル性を有するこ
とを意味する。

【０００３】

【従来の技術】従来の清掃用モップは、綿糸空なる表糸
を、綿布、合繊織物、プラスチックフィルムまたは人工
皮革などからなる支持体に、縫製または縫製により結合
させて構成した雑巾部分と、プラスチック、金属または
木製の柄部と、雑巾部分と柄とを結合させる部位とから
構成されている。

【０００４】しかしながら、綿糸を表糸として利用した
従来のモップは、使用回数が増すにしたがって、遊び毛
と呼ばれる単繊維の抜けが発生したり、耐久性不足のた
め糸切れが発生するという問題があった。

【０００５】また、使用限度がきた雑巾部分は、焼却ま
たは産業廃棄物として処理され、再循環またはリサイク
ル使用することはできなかった。

【０００６】一方、特開昭６１−１００２２２号公報お
よび特開平６−１２３０３４号公報などには、ポリアミ
ド製の表糸を使用することにより、遊び毛や耐久性を改
良したモップが提案されているが、このモップは清掃性
能が劣り、しかも表糸として主にナイロン６６を用いて
いることから、再循環またはリサイクル使用することが
不可能であった。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解消を課題として検討した結果
達成されたものである。

【０００８】したがって本発明の目的は、遊び毛が少な
く清掃性能および耐久性にすぐれ、かつ再循環可能なポ
リアミド製モップを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のポリアミド製モップは、ナイロン６製捲
縮繊維からなる表糸を、ナイロン６製支持体に結合させ
てなる雑巾部を有することを特徴とする。

【００１０】また、本発明のポリアミド製モップは、ナ
イロン６製捲縮繊維からなる表糸を、ナイロン６製支持
体に結合させてなる雑巾部と、ナイロン６製柄部から構
成されており、モップの構成要素全体が再循環可能であ
ることを特徴とする。

【００１１】そして、上記表糸は、繊度３００デニール
〜２００００デニール、捲縮伸長率５パーセント以上の
ナイロン６製捲縮マルチフィラメントから構成されるこ
とが、さらにはこのナイロン６製捲縮マルチフィラメン
トと、同様の繊度および捲縮伸長率を有する炭素繊維含
有ナイロン６マルチフィラメントとを混繊してなり、後
者を全体の５％以下の割合で含むことが好ましい。

【００１２】以下に、本発明を図面にしたがって詳細に
説明する。

【００１３】図１は本発明のポリアミド製モップの一実
施例を示す説明図である。

【００１４】図１に示した実施例において、本発明のポ
リアミド製モップは、ナイロン６製捲縮繊維からなる表
糸１をナイロン６製支持体２に結合させてなる雑巾部３
と、柄部４と、前記雑巾部３と柄部４とを連結する紐状
の連結部５とから構成されており、モップの構成要素全
体を際循環可能な点では、前記柄部４および連結部６も
またナイロン６から形成されていることが望ましい。

【００１５】本発明で表糸１として用いるナイロン６捲
縮繊維は、図２に例示したようなＹ型、田型および長方
型などの異形断面を有するナイロン６紡出糸を、延伸、
捲縮加工して得られた嵩高加工糸を原糸とし、撚糸また
は合糸撚糸、撚糸ヒートセット加工、または合糸撚糸ヒ
ートセット加工した後、染色加工して製造されたマルチ
フィラメントである。

【００１６】このナイロン６捲縮マルチフィラメント
は、その繊度が３００デニール〜２００００デニール、
とくに１０００〜１５０００デニール、捲縮伸長率が５
パーセント以上、とくに７パーセント以上に規制された
ものである。

【００１７】そして、ナイロン６捲縮マルチフィラメン
トは、捲縮糸製造時に、全体の５パーセント以下、とく
に２〜４パーセントの比率で、炭素含有ナイロン６マル
チフィラメントを紡糸混繊するか、または後加工工程で
混繊していることが望ましく、これによりモップの使用
時にナイロン６捲縮繊維から発生する静電気発生が抑制
されて、埃を捕集した後に除塵する際、埃が繊維にから
容易に離れることが可能で、清掃性能が一層すぐれたも
のになるという特徴をモップに具備せしめることができ
る。

【００１８】この炭素含有ナイロン６マルチフィラメン
トは、その単糸断面を図３に示したように、たとえばナ
イロン６マルチフィラメントの中に炭素粒子Ｃを分散さ
せたもの（ａ）、またはナイロン６マルチフィラメント
の内部に、２層構造（ｂ）または三層構造（ｃ）で炭素
繊維層Ｃ´を形成したものが挙げられるが、なかでもナ
イロン６マルチフィラメントの内部に炭素繊維層を形成
したものが好ましく用いられる。

【００１９】なお、上記のナイロン６捲縮マルチフィラ
メントおよび炭素含有ナイロン６捲縮マルチフィラメン
トは、染色加工工程またはその後工程において、抗菌加
工、防臭加工、およびはっ水加工などを付与されたもの
であっても良い。

【００２０】ここで、上記各捲縮マルチフィラメントの
繊度が３００デニール以下では、雑巾部を構成するのに
多数の表糸が必要荷なり、コストアップになる。また大
きい埃の捕集性能が落ちるため好ましくない。また２０
０００デニール以上では、雑巾部の表糸の目付が少ない
ため、全体の表糸の表面積が小さくなり埃の捕集性能低
下するため好ましくない。

【００２１】また、上記各捲縮マルチフィラメントの捲
縮伸長率が５パーセント未満の場合には、嵩高性能が低
すぎて埃の捕集性能が落ち、清掃性能が低下するため好
ましくない。

【００２２】さらに、炭素含有ナイロン６捲縮マルチフ
ィラメントの含有率が、全体の５パーセントを越える場
合は、埃の捕集性能が低下し、清掃性能が阻害される傾
向になるため好ましくない。

【００２３】本発明で使用する支持体２は、ナイロン６
製織物、ナイロン６製不織布またはナイロン６製フィル
ムであるが、ナイロン６製表糸１を確実に結合し得るこ
と、支持体自体の耐久性が良いこと、およびコストが安
いことなどから、ナイロン６織物またはナイロン６不織
布がより好ましく、これら支持体２は通常袋形状に形成
される。

【００２４】また、本発明で用いる柄４は、プラスチッ
ク、金属および木などで形成可能であるが、柄本体もふ
くめて再循環（ケミカルリサイクル）させるためには、
ナイロン６樹脂製であることがより好ましい。

【００２５】支持体２と柄４の結合方法としては、図１
に示したナイロン６製の紐からなる連結部５の使用以外
にも、両者を融着または接着剤を介して接合する方法な
どが挙げられる。

【００２６】表糸１の支持体２に対する結合態様として
は、製織および縫製が採用される。

【００２７】すなわち、製織の場合には、図４に示した
ように、袋形状の支持体２を畳んだ状態において、その
袋表皮に対し表糸１がループ状製織によって直接係合さ
れ、この場合には図６の（ｂ）〜（ｄ）に示したループ
（ｃ）、カット（ｂ）またはループ・カット（ｄ）など
の毛足の短い形態のモップに適している。

【００２８】また、縫製の場合には、図５に示したよう
に、袋形状の支持体２を畳んだ状態において、その袋表
皮に対し表糸１が縫糸６で縫製結合され、この場合には
図６の（ａ）に示したように、毛足の長いカットすなわ
ち紐状の形態のモップに適している。

【００２９】そして、上記毛足の短いカットを持つモッ
プは、机上、および車内など狭い場所の埃を除去する目
的に好ましく使用される。

【００３０】また、毛足の短いループまたはループ・カ
ットを持つモップは、主としてカバン、靴、および衣服
など身の回り品の埃を除去する目的に好ましく使用され
る。

【００３１】さらに、毛足の長いカットを持つモップ
は、主として床面、天井、および壁などの広い場所の埃
を除去する目的に好ましく使用される。

【００３２】以上の構成からなる本発明のポリアミド製
モップは、表糸をナイロン６製捲縮繊維、またはこのナ
イロン６製捲縮繊維と炭素含有ナイロン６製捲縮繊維と
の混繊糸で形成したため、長時間使用後も遊び毛が少な
く、清掃性能および耐久性がきわめてすぐれている。

【００３３】また、ナイロン６製捲縮繊維からなる表糸
をナイロン６製支持体に結合させてなる雑巾部を有する
か、またはこれに加えて柄部をもナイロン６で形成した
ため、雑巾部のみを取り外して解重合に供するか、また
はモップの構成要素全体をそのまま解重合に供すること
により、ε−カプロラクタムに戻す再循環が可能であ
り、資源の有効活用を図ることができる。

【００３４】以下に実施例を挙げて、本発明の構成およ
び効果をさらに詳しく説明する。

【００３５】

【実施例】なお、上述および以下の実施例中の物性値
は、次のようにして求めた。

【００３６】［捲縮伸長率］繊維に無荷重下で９８℃×
５分間の沸騰水処理を与えた後、風乾し、初荷重（２ｍ
ｍｇ／ｄ）をかけて長さ（Ｌ１）を測定し、次いで定荷
重（１００ｍｍｇ／ｄ）をかけて長さ（Ｌ２）を測定し
て、下記の式により求めたものである。◎ 捲縮伸長率（％）＝１００×（Ｌ２−Ｌ１）／（Ｌ１） ［集塵性能および除塵性能］モップを用いて床掃除を行
う場合の集塵性能および除塵性能をフィーリング評価
し、この結果を下記の基準で判定した。 ◎……きわめて良好 ○……良好 ×……不良。

【００３７】［遊び毛］モップを用いて、１日あたり１
０ｍ平方の床を１０分間掃除、毎日、手で１０回表糸を
叩いて除塵、５日に一度水洗・乾燥の条件で毎日掃除を
行った場合に、遊び毛が発生するまでの日数を判定し、
下記の基準で評価した。 ◎……１００日間後でも遊び毛発生せず ×……２０日間で遊び毛発生。

【００３８】［耐久性能］モップを用いて、上記遊び毛
の評価と同様の掃除を毎日行い、表毛形成繊維に清掃性
能を低下させるような捲縮の低下、および繊維のへたり
が発生するまでの日数を判定し、下記の基準で評価し
た。 ◎……１００日間後でも捲縮低下およびへたりが発生せ
ず ×……３０日間で捲縮低下およびへたりが発生。

【００３９】［解重合ラクタム回収率］モップを用い
て、上記遊び毛の評価と同様の掃除を１００日間続けて
行った後、モップの全体を投入して解重合し、出発原料
としての規定の純度を持つε−カプロラクタムの回収率
（％）を測定した。

【００４０】［実施例１〜４］規定の純度を持つε−カ
プロラクタムを重合することにより、相対粘度が２．８
のナイロン６ポリマーを得た。

【００４１】次に、上記ナイロン６ポリマーを溶融紡糸
法にて得た糸条に対し、油剤を付着せしめ、続いて引取
りロールで引取り、加熱延伸ロールにて延伸した後、連
続して特公昭５８−１２１４号公報の捲縮加工装置にて
２５０℃以上での加熱蒸気処理を行い捲縮付与した後、
巻取ることにより、表１に示した繊度を有するナイロン
６原糸（嵩高糸）を得た。

【００４２】なお、実施例２、４では上記ナイロン６原
糸に、さらに炭素粒子を４０重量％含有するナイロン６
繊維を５０デニールの割合で混繊させて巻取った静電気
防止原糸を製造した。

【００４３】次に上記原糸をそれぞれ３本合糸し、スチ
ームでヒートセットし、それぞれ表１に示した繊度を有
するヒートセット糸（表糸）を得た。

【００４４】これらヒートセット糸を綛にして染色、乾
燥処理することにより得られたナイロン６捲縮繊維を表
糸として用い、ナイロン６オックスフォード織物をナイ
ロン６糸で縫製して製造した袋形状のナイロン支持体の
袋表皮の片面に、表糸長１０ｃｍ、２０本／ｃｍ² にな
るように、ナイロン６縫糸による縫製によって結合させ
ることにより、表糸２０００本の雑巾部分を得た。

【００４５】次いで、ナイロン６樹脂製の柄を、上記袋
形状のナイロン６支持体の袋部分に差し入れたのち、ナ
イロン６糸で両者を結びつけて結合さることにより、ナ
イロン６製モップを得た。

【００４６】これら各ナイロン６製モップについて、集
塵性能、除塵性能、遊び毛、耐久制能および解重合ラク
タム回収率を評価した結果を表１に併せて示す。

【００４７】

【表１】 この結果、使用間、使用後において遊び毛が出ることは
なかった。また１００日間使用後も掃除性能を低下させ
るような嵩高性能の低下、繊維のへたりは観察されなか
った。

【００４８】また実施例２および４では炭素含有ナイロ
ン６繊維を混繊させた結果、埃を捕集した後の除塵率を
高めることができた。

【００４９】さらに、各モップは、出発原料である規定
の純度を持つε−カプロラクタムを９０パーセント以上
の収率で回収することができた。

【００５０】［比較例１〜４］比較例１では表糸に捲縮
伸長率が３パーセントと低いナイロン６糸を用い、比較
例２では炭素含有ナイロン６繊維の混繊量を１３０デニ
ール（７％）とした。

【００５１】また、比較例３、４では、表糸としてそれ
ぞれ表２に示した繊度を有するポリエステル捲縮繊維お
よび綿糸をそれぞれ用いた。

【００５２】その他の条件は、すべて上記実施例と同一
条件とした。

【００５３】得られた各モップについて、集塵性能、除
塵性能、遊び毛、耐久制能および解重合ラクタム回収率
を評価した結果を表２に併せて示す。

【００５４】

【表２】 結果は表２に示したとおり、比較例１、２では集塵性能
が不良であった。

【００５５】また、比較例３では３０日間使用後ですで
に掃除性能を低下させるような嵩高性能の低下、繊維の
へたりが観察され、耐久性能が不良であった。

【００５６】さらに、比較例４では２０日間使用後から
遊び毛の発生が問題となり、３０日間使用後では繊維が
へたり、部分的に糸切れ現象がみられた。

【００５７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリアミ
ド製モップは、表糸をナイロン６製捲縮繊維、またはこ
のナイロン６製捲縮繊維と炭素含有ナイロン６製捲縮繊
維との混繊糸で形成したため、長時間使用後も遊び毛が
少なく、清掃性能および耐久性がきわめてすぐれてい
る。

【００５８】また、ナイロン６製捲縮繊維からなる表糸
をナイロン６製支持体に結合させてなる雑巾部を有する
か、またはこれに加えて柄部をもナイロン６で形成した
ため、雑巾部のみを取り外して解重合に供するか、また
はモップの構成要素全体をそのまま解重合に供すること
により、ε−カプロラクタムに戻す再循環が可能であ
り、資源の有効活用を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明のポリアミド製モップの一実施例
を示す説明図である。

【図２】図２は表糸を形成するナイロン６捲縮繊維の断
面図である。

【図３】図３（ａ）〜（ｃ）は表糸に含まれる炭素含有
ナイロン６捲縮繊維の断面図である。

【図４】図４は表糸を支持体に対し製織結合した状態を
示す断面図である。

【図５】図５は表糸を支持体に対し縫製結合した状態を
示す断面図である。

【図６】図６（ａ）〜（ｄ）は表糸と支持体Ｋ結合状態
を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 表糸 ２ 支持体 ３ 雑巾部 ４ 柄部 ５ 結合部（紐） ６ 縫糸

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリアミド繊維からなる表糸を、ポリ
   アミド製支持体に結合させてなる雑巾部を有することを
   特徴とするポリアミド製モップ。
2. 【請求項２】 ナイロン６製捲縮繊維からなる表糸
   を、ナイロン６製支持体に結合させてなる雑巾部を有す
   ることを特徴とするポリアミド製モップ。
3. 【請求項３】 ナイロン６製捲縮繊維からなる表糸
   を、ナイロン６製支持体に結合させてなる雑巾部と、ナ
   イロン６製柄部とから構成されたことを特徴とするポリ
   アミド製モップ。
4. 【請求項４】 表糸を形成するナイロン６製捲縮繊維
   が、繊度３００デニール〜２００００デニール、捲縮伸
   長率５パーセント以上のナイロン６マルチフィラメント
   から構成されることを特徴とする請求項１、２または３
   に記載のポリアミド製モップ。
5. 【請求項５】 表糸を形成するナイロン６製捲縮繊維
   が、繊度３００デニール〜２００００デニール、捲縮伸
   長率５パ−セント以上のナイロン６マルチフィラメント
   と、同様の繊度および捲縮伸長率を有する炭素繊維含有
   ナイロン６マルチフィラメントとを混繊してなり、後者
   を全体の５％以下の割合で含むことを特徴とする請求項
   １、２、３または４に記載のポリアミド製モップ。
6. 【請求項６】 支持体が、ナイロン６製の織物、偏組
   物、不織布またはフィルムからなることを特徴とする請
   求項１、２、３、４または５に記載のポリアミド製モッ
   プ。
7. 【請求項７】 支持体が袋形状であり、袋を畳んだ状
   態において袋表皮に表糸をナイロン６繊維の縫糸で縫製
   結合させたことを特徴とする請求項１、２、、３、４、
   ５または６に記載のポリアミド製モップ。
8. 【請求項８】 支持体が袋形状であり、袋を畳んだ状
   態において袋表皮に表糸を製織によって結合させたこと
   を特徴とする請求項１、２、、３、４、５または６に記
   載のポリアミド製モップ。