JP2004107848A - 繊維構造体 - Google Patents

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Motoharu Kitajima
北嶋 基晴
Katsuya Okajima
岡嶋 克也
Hirokuni Ogoshi
大越 博州
Masuji Kojima
小島 眞壽士
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Abstract

【課題】永久接着芯地と表地による繊維構造体において、繰り返し洗濯、濡れ掛けプレスによる黄ばみ、汗ジミ、および剥離を防止する繊維構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】接着芯地を構成する繊維の単繊維繊度に対する表地を構成する繊維の単繊維繊度比が1.0より大きいことを特徴とする繊維構造体。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着芯地と表地で構成された繊維構造体に関するものであり、特にシャツの衿部に好適に利用できる繊維構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
衣類の汚れは大別して人体から分泌される汚れと生活環境からくる外的汚れに大分される。特に人体から排出される皮脂は空気中の酸素により酸化され、黄色物質に変化し、シャツの場合、衿や袖口に黄ばみとなって現れる。
【0003】
また、皮脂同様人体から排出される汗は、汗に含まれる窒素化合物が皮膚表面の細菌によってアルカリ性のアンモニウム化合物に変化し、繊維自体をもろくする。また汗の中には酸性の汗もあり、酸に弱いセルロース繊維もダメージを受ける。その他、汗は塩分を多く含んでおり、塩による影響も起こる。さらに酸化酵素を含んでいるため、他のものを酸化しやすく、染料を退色させて色物が色あせてしまうことも起こる。
【0004】
一方、シャツ衿の構造は表衿、ベース芯、増芯および裏衿により構成される。このベース芯は一般的にフラシ芯とトップヒューズ芯に分けられる。
【0005】
フラシ芯は生地と芯地を接着しない芯地であり、特徴として芯地が接着されていないため、生地のソフトな風合いが生かされる反面、縫製時や洗濯後にパッカリングが発生しやすく、高度な縫製技術が求めら、一般的に国内のワイシャツでは、高級品に採用されている。
【0006】
対してトップヒューズ芯は、生地と芯地を永久接着する芯地で、風合いが硬くなるが、生地が接着固定されているため縫製時にパッカリングが発生しにくく、また洗濯をしてもパッカリングが生じにくく、アイロン掛けの手間が省ける。形態安定シャツはほとんどトップヒューズ芯の設定となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような形態安定シャツは、家庭で洗濯ができ、アイロン掛けが楽になり、縮まないなどの特性が注目され、商品化されている。しかし、家庭洗濯ではアイロン掛けを行わないと形態安定シャツであっても購入時の状態を維持することは出来ないこと、かつクリーニング業界の過当競争により値段が低下し、シャツをクリーニングに出す機会が増加している。
【0008】
クリーニングでは通常「洗濯→脱水→乾燥→仕上げプレス工程」で行われている。この仕上げプレスはクリーニング協会において150℃、30秒の仕上げプレスを推奨していたが、協会への加入率低下、またクリーニングコスト削減のため、プレス温度を160℃または170℃まで高め、処理時間を削減するとともに、「洗濯→脱水→濡れ掛けプレス」と1工程省略しているのが、現状である。
【0009】
一方、永久接着芯地に使用されている熱可塑性樹脂はプレス温度に近いものであり、プレス時に熱可塑性樹脂が再融解し、その熱勾配によりシャツ地表面へ樹脂が浸み出してしまう。その後熱プレスされることにより表地表面が平坦化し、光線反射差による汗ジミ、ひいてはシャツ地と衿芯地の剥離が発生し、使用に耐えがたい状態となるクレームが発生している。
【0010】
また水系洗濯では、人体から排出される皮脂がシャツ地に残留しやすい。この残留皮脂は、そのまま何日も空気中に放置すると繊維内に入り込み、皮脂の成分が空気中で酸化されて着色物質に変化するため、布が黄ばんでくる。特に濡れ掛けプレスのように湿熱状態で熱を加えられることにより酸化反応が助長され、衿部黄ばみが起こりやすい。またこの残留皮脂は皮膚の垢や空気中のちり、ほこりがしっかりと張り付き、ボンドの役目も果たしてしまう。
【0011】
例えば特開平7−102234には、MI値を10g/10分以上の熱可塑性樹脂に、さらに溶融粘度の高い樹脂のエマルジョン/サスペンジョンを混合し、樹脂浸み出しによる表地の汚れを防止する方法が提案されているが、特殊な樹脂を使用し、かつ10g/10分以下では、十分な接着性が得られていない。また熱可塑性樹脂による改善を試みたのみであり、繊維構造体としてとらえた発明ではない。
【0012】
【特許公知文献1】特開平7−102234号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、クリーニングの濡れ掛けプレスによりその発生が助長されるシャツ衿部の汗ジミ、黄ばみ、および接着樹脂の表地への浸み出しを防止し、繰り返し使用に耐えられる表地と永久接着芯地を組み合わせた繊維構造体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するため、本発明は下記(1)から(3)いずれか、または複数を組み合わせる事により構成される。
(1)接着芯地を構成する繊維の単繊維繊度に対する表地を構成する繊維の単繊維繊度比が1.0より大きい。
(2)撥水剤および/または撥油剤が付着している表地と、親水剤および/または親油剤が付着している接着芯地との両方もしくはどちらか一方を含むものからなる。
(3)接着芯地基布表面に配置される熱可塑性樹脂のメルトフローインデックス(MI値)が190℃で0.1〜1g/10分である。
【0015】
またその好ましい形態として(4)から(7)のいずれか、または複数を選択する。
(4)接着芯地が、織物または編物からなり、かつ構成する繊維の総繊度が20〜350dTexである合成繊維マルチフィラメントおよび/または紡績糸単糸または双糸からなる。
(5)接着芯地が、不織布からなり、かつ目付が10〜300g/m2 である。
(6)繊維構造体がポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、木綿、再生繊維を単独または組み合わせた繊維で構成する。
(7)繊維構造物を衿部および/または袖口部に用いてなる衣類。
【0016】
また、本発明の繊維構造体製造方法は、次の(8)から(9)の中のいずれかまたは両方を組合わせるものである。
(8)接着芯地と表地のそれぞれに、またはどちらか一方に撥水剤および/または撥油剤、もしくは親水剤および/または親油剤の加工剤を付与した後、熱可塑性樹脂により表地と接着芯地とを接着する。
(9)接着芯地と表地を熱可塑性樹脂により接着後に表地に撥水剤および/または撥油剤を付与する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の繊維構造体について、原理を含め、説明する。
【0018】
本発明では、接着芯地を構成する繊維の単繊維繊度に対する表地を構成する繊維の単繊維繊度比が1.0より大きいものであり、毛細管現象を大きくするために好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.25以上にするものである。
【0019】
すなわち、表地を構成する繊維の単繊維繊度に対して、より細い単繊維繊度で構成された接着芯地を用いる。この単繊維繊度差は、表地に供給された汗、皮脂等人体排出物が一旦表地に吸収されるが、接着芯地側の毛細管現象により表地で拡散することなく接着芯地に吸収され拡散する効果を発生させる。この状態でクリーニングに出されると、水系洗濯により水溶性成分は除去されるが、皮脂成分は除去されにくく、特に繊維構造体内部にある永久接着芯地中に残留しやすい。しかし残留皮脂成分は表地には少ないため、濡れ掛けプレスにより酸化促進されても、接着芯地側で黄ばみが発生し、表地への影響は少ない。
【0020】
またこの皮脂成分は有機物であり、同じ有機物である熱接着性樹脂を吸い寄せる効果がある。濡れ掛けプレスはシャツ地側から掛けられるため、再融解した樹脂はその熱勾配により表地方向に出ようとするが、皮脂成分による吸引力および表地と芯地間での毛細管現象によりバランスが保たれ、再融解した熱可塑性接着樹脂は表地に浸み出すことが少なくなり汗ジミが発生しにくく、かつ熱接着樹脂が表地と芯地の境界に残存するため、接着力の低下を防ぎ、剥離がしにくくなる。ここで表地とは、芯地と接着される繊維構造体で表側になる生地を指し、例えばドレスシャツ衿の場合、羽根衿表を指す。また接着芯地とは、縫製工程において一時的に接着する仮接着芯地ではなく、最終製品となった繊維構造体においても表地に接着された状態を保持している永久接着芯地を指す。
【0021】
また単繊維繊度比とは表地を構成する繊維の単繊維繊度を接着芯地を構成する繊維の単繊維繊度で除した値を指す。単繊維繊度は合成繊維フィラメント糸の場合、JIS L1013「化学繊維フィラメント糸試験方法」に基づいて、また紡績糸の場合、JIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」に基づいて測定される。紡績糸が2種またはそれ以上の種類で構成されている場合、または合成繊維フィラメント糸と紡績糸によって繊維が構成されている場合等繊度差のある繊維により構成された複合糸や混紡糸の場合、その単繊維繊度の細い成分の単繊維繊度を用いる。
【0022】
繊度測定は上記方法で良いが、分解が難しい場合、JIS L1030−2「繊維製品の混用率試験方法 第2部:繊維混用率」に基づいて適当な倍率で写真撮影を行い、それぞれの繊維種毎に断面積、比重および拡大倍率から単繊維繊度を求める。天然繊維の場合、繊度差が大きいため、20本の単繊維繊度を測定し、その平均値を用いる。
【0023】
接着芯地が不織布の場合、JIS L1085「不織布しん地試験方法」により樹脂を溶解・膨潤させ、単繊維を抜き取りJIS L1015「化学繊維ステープル試験方法」により単繊維繊度を求める。
【0024】
該繊維構造体として毛細管現象を発生させるためには、上記のような繊維構成が必要であるが、別の手法として後加工剤付与による繊維構造体とすることもできる。
【0025】
通常シャツ地であれば、人体排出物を吸収し快適性をもつ繊維構造体とするため、表地には吸水加工を施すが、本発明では接着芯地に、より人体排出物を送り込み、かつ表地での拡散を防止するため、表地に撥水および/または撥油剤を用いる。また逆に接着芯地に親水および/または親油剤を付与することも接着芯地に人体排出物を吸い込ませる効果を発生させ、有効である。
【0026】
該撥水性樹脂、該撥油性樹脂としては撥水性、撥油性を有する各種の樹脂が適用可能であるが、具体的にはフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、パラフィン系樹脂などが好ましく用いられ、中でもフッ素系樹脂が得られる効果の面からは最も好ましい。フッ素系樹脂としては、C3〜20のパーフルオロアルケニル基やパーフルオロアルキル基を有するビニル単量体のみの単独重合体、前記の含フッ素ビニル単量体とフッ素を含まないビニル単量体との共重合体が好ましく用いられる。これらの樹脂に加え、架橋剤としてメラミン系樹脂や、構成繊維にセルロース系繊維が含まれている場合にはグリオキザール系樹脂が共存していてもかまわない。該表地を構成する繊維への該撥水性樹脂、該撥油性樹脂の付与方法としては、一般に繊維の加工方法として用いられている各種の方法が適用可能であり、具体的にはパディング法、スプレー法、コーティング法、浴中吸着法等が好ましく用いられる。
【0027】
該親水性樹脂、該親油性樹脂としては親水性、親油性を有する各種の樹脂が適用可能であるが、具体的にはポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアルキレングリコール系樹脂、これらの共重合体系樹脂などが好ましく用いられ、中でもポリアルキレングリコール−ポリエステルブロック共重合体樹脂が効果の面からは最も好ましい。ポリアルキレングリコール−ポリエステルブロック共重合体とは芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールからなるポリエステルにポリアルキレングリコールをブロック共重合したものである。ここでいうポリアルキレングリコールとは分子中に−C2n−(n=2〜4)なる主鎖を有する分子量が300〜40000、好ましくは1000〜10000の範囲にあるものである。また、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールからなるポリエステルとしては、テレフタル酸やイソフタル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールとからなるポリエステルであることが好ましい。
【0028】
該芯地および表地への後加工剤付与方法としては、一般に繊維の加工方法として用いられている各種の方法が適用可能であり、具体的にはパディング法、スプレー法、コーティング法、浴中吸着法等が好ましく用いられる。
【0029】
汗ジミを防止する繊維構造体は、前述の繊度比の要件を満たすか、あるいは、これら後加工剤を付与するものであり、あるいは、これらを組み合わせることが好ましい。
【0030】
これら加工剤の付与は、表地および接着芯地の両方、またはどちらか一方に施した後、熱可塑性樹脂により接着しても良いが、繊維構造体とした後に、表地に撥水剤および/または撥油剤を付与しても良い。さらに好ましくは、衿羽根部表地にのみ、このような撥水剤および/または撥油剤を付与することが、着用時の快適性の点から好ましい。
【0031】
ただし表地に撥水剤および/または撥油剤を付与することにより、熱可塑性樹脂による表地と芯地の接着力が低下するため、樹脂粘度の選択は耐剥離性を向上させる上で重要であり、熱可塑性樹脂はポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレンビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの熱可塑性樹脂のいずれでも良いが、永久接着芯地であること、溶融温度の点から好ましくは高密度ポリエチレン系樹脂を使用し、かつJIS K7210に定めるメルトフローインデックス(MI値)が測定温度190℃で0.1〜1g/10分、好ましくは0.5〜1g/10分、より好ましくは0.7から1g/10分にすることが好ましい。樹脂粘度を高くすることにより、濡れ掛けプレスにより樹脂が再融解しても流れにくくなり、表地と芯地の間に介在するようになり、ひいては樹脂の浸み出しにより発生する汗ジミを防止することが出来る。ただし樹脂粘度が高すぎる場合、接着時に樹脂の生地への適度な浸透が阻害され、剥離強力が低下する。
【0032】
その他、接着芯地の織物設計も重要であり、毛細管現象を発現させるため表地に対して細い単繊維繊度の繊維を用いつつ、芯地のハリコシ等基本性能を損なわないことが重要である。そのため織物または編物の芯地の場合、その構成する繊維は、合成繊維マルチフィラメント糸および/または紡績糸からなるものであることが好ましい。特に紡績糸の場合、単糸または双糸いずれでも良いが、MI値の高い樹脂を使用する場合、双糸にすることが好ましい。紡績糸は単糸の状態でも表面に毛羽が多くありアンカー効果が期待できるが、この毛羽は、繊維表面に存在しており、紡績糸製造工程で付与される実撚により、繊維内部まで熱可塑性樹脂が浸透できないため、繰り返し洗濯により剥離が発生しやすい。そのため、本発明では紡績糸を使用する場合双糸を使用することが好ましい。双糸を使用することにより、染色加工において解撚トルクにより単糸繊維間隔が広がる事により生じる原綿間空隙に加えて、上撚りにより単糸2本に加えられた下撚りが見かけ上戻される事による原綿間空隙、さらに単糸2本が撚られることによって発生する繊維表面のうねりを得ることが出来、この原綿間空隙、うねりに接着樹脂が入り込むことにより、耐久性のある接着性が得られる。そのため接着性のみを考えた場合は、単糸繊度に関係なく紡績糸双糸を使用できるが、汗ジミ防止効果を両立させる場合、表地に対して細い単繊維繊度の原綿を使用した紡績糸が好ましい。
【0033】
これら繊維糸の総繊度は20〜350dTexが好ましい。また毛細管特性とともにある程度の保水性を付与することが好ましく、80〜350dTex、より好ましくは160〜350dTexである。
【0034】
布帛を構成する繊維形態に特に規定はないが、フィラメント糸の場合、ストレート糸では布帛ふくらみが不足するため、仮撚加工糸またはエア加工糸が好ましい。また布帛にハリコシを付与するため、異繊度混繊糸としたりストレート糸と加工糸を複合させても良い。
【0035】
ただし単繊維繊度が太い単繊維割合を高くしすぎると、毛細管現象が弱くなり、汗ジミ、剥離防止効果が弱くなるため、単繊維繊度の細い単繊維を50重量%以上、好ましくは80重量%以上とすることが好ましい。
【0036】
毛細管現象を増加させるには撚りを加えることも有効であり、無撚に対して有撚品は汗ジミ、剥離防止効果が高くなる。撚り数は100〜1000T/mにすることが好ましい。1000T/mを超えると、シボが発生しやすく、また風合いが粗硬化してしまうので好ましくない。
【0037】
芯地組織は特に規定はないが、シャツ地に対してベース芯はバイアス使いする事が多いため、極端にタテヨコで剛性が異なる組織は、衿左右ののハリコシ差に影響を与えるため、避けるべきであり、また経糸と緯糸のカバーファクターの和がが低いと芯地としてのハリコシが弱く、高いと硬くなるため、経糸と緯糸のカバーファクターの和は700〜2500、好ましくは1500〜2000が良い。
【0038】
ただし、カバーファクターKとは、K=Nw×(Dw)1/2 +Nf×(Df)1/2
Nw:経糸密度(本/2.54cm)
Nf:緯糸密度(本/2.54cm)
Dw:経糸繊度(dtex)
Df:緯糸繊度(dtex)
とする。
【0039】
また、接着芯地は織物または編物に限らず、不織布でも良く、表地種、製造コストにより選択することができるが、表地との単繊維繊度比および加工剤付与における考え方は、織物または編物と同様である。ただしその目付は10〜300g/m2 が好ましく、また縫製後の剛性、厚さの点から目付は50〜150g/m2 がさらに好ましい。
【0040】
繊維構造体を構成する繊維種は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ウレタン系繊維等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、ビスコースレーヨン等の再生繊維、また木綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維等を採用できるが、寸法安定性等の芯地特性および原料コストの面から、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、木綿、再生繊維を単独または組み合わせて使用することが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0042】
実施例1
経緯糸に84dTex−72Filのポリエステル仮撚加工糸で構成されたカバーファクター1250の平織物に熱可塑性樹脂をパウダードッティングした永久接着芯地と、ポリエステル(T100ブロード、原綿単繊維繊度1.5dTex)布を準備した。T100ブロードの表地を30×40cm、芯地を各辺が0.2cm表地より小さいサイズにし、試験片とした。ここで熱可塑性樹脂は、MI値10g/10分の高密度ポリエチレン樹脂を使用した。
【0043】
ついでこの表地と永久接着芯地をJUKI平板プレスを使用し接着条件(170℃×20秒、こて面圧力98.1kPa )で張り合わせた。この繊維構造体を6等分し、各試験片に図1に示す塗布窓を持ったプラスチック板より人口汗(味の素(株)アジノモトマヨネーズ(登録商標))を0.4g均一に塗布し、人口汗塗布片とした。
【0044】
この人口汗塗布片を洗濯小物吊り下げ器を用い室温で12時間放置した後、家庭用2層式洗濯機に40℃のお湯と合成洗剤を入れ、ここに人口汗塗布片を入れ、60分間連続洗いした後、3分間のすすぎ2回と30秒間の脱水を行い、乾燥させることなく濡れ掛けプレスを行った。プレスにはJUKI平板プレスを用い、表地を上にして下こてのほぼ中央に人口汗塗布片をおき、こて面温度160℃、こて面圧力0.5kg/cm2 、加圧時間30秒で実施した。
【0045】
プレスされた人口汗塗布試験片を2層式洗濯機にてすすぎ、脱水および濡れ掛けプレスと一連の動作を5回繰り返した後、再び人口汗を塗布し、前記放置、洗濯、すすぎ、脱水、濡れ掛けプレスを実施後、すすぎ、脱水、濡れ掛けプレスを繰り返し、合計プレス回数が15回まで繰り返した。
【0046】
実施例2
実施例1の平織物に親水剤を付与した後、実施例1同様熱可塑性樹脂をドッティングし、加工を実施した。なお親水剤は高松油脂(株)のポリエステル系樹脂
TO−SR−1を5.0%owfで使用した。
【0047】
実施例3
実施例1に使用した84dTex−72Filを双糸にし、カバーファクター1900の平織物を準備し、実施例1同様に加工を実施した。
【0048】
実施例4
実施例3に使用した平織物を使用し、熱可塑性樹脂をMI値0.75g/10分の高密度ポリエチレン系樹脂に変更し、実施例1同様に加工を実施した。
【0049】
実施例5
経緯糸にポリエステル/綿(T65C、原綿単繊維繊度1.5dTex)の45/2S紡績糸を使用したカバーファクター1700の平織物に加工剤を付与することなく、熱可塑性樹脂をドッティングし、永久接着芯地とした。また表地としてポリエステル/綿(T/65C、原綿繊度1.5dTex、T/Cブロード)布を準備し、表地に親水剤を付与した後、実施例1同様加工を実施した。なお熱可塑性樹脂はMI値0.75g/10分のポリエチレン樹脂を使用した。
【0050】
実施例6
経緯糸にポリエステル/綿(T65/C、原綿単繊維繊度1.2dTex)の23S紡績糸を使用したカバーファクター1700の平織物に親水剤を付与した後、実施例1同様熱可塑性樹脂をドッティングし、永久接着芯地とした。また表地としてポリエステル/綿(T65/C、原綿繊度1.5dTex、T/Cブロード)布を準備し、表地に撥水剤を付与した後、実施例1同様加工を実施した。なお親水剤は高松油脂(株)のポリエステル系樹脂 TO−SR−1を5.0%owfで使用し、また撥水剤は京絹化成(株)のフッ素系撥水剤 EC−400を1.0owfで使用し、かつ熱可塑性樹脂は、MI値10g/10分のポリエチレン樹脂を使用した。
【0051】
実施例7
経緯糸にポリエステル/綿(T65/C、原綿単繊維繊度1.2dTex)の45/2S紡績糸を使用したカバーファクター1700の平織物に親水剤を付与した後、実施例1同様熱可塑性樹脂をドッティングし、永久接着芯地とした。また表地としてポリエステル/綿(T65/C、原綿繊度1.5dTex、T/Cブロード)布を準備し、表地に撥水剤を付与した後、実施例1同様加工を実施した。なお親水剤は高松油脂(株)のポリエステル系樹脂 TO−SR−1を5.0%owfで使用し、また撥水剤は京絹化成(株)のフッ素系撥水剤 EC−400を1.0owfで使用し、かつ熱可塑性樹脂は、MI値0.75g/10分のポリエチレン樹脂を使用した。
【0052】
比較例1
経緯糸に84dTex−36Filのポリエステル仮撚加工糸で構成されたカバーファクター1250の平織物に熱可塑性樹脂を実施例1同様パウダードッティングした永久接着芯地と、ポリエステル(T100ブロード、原綿単繊維繊度1.5dTex)布を準備し、実施例1同様の加工を実施した。なお熱可塑性樹脂は、MI値10g/10分のポリエチレン樹脂を使用した。
【0053】
比較例2
経緯糸にポリエステル/綿(T65/C、原綿単繊維繊度1.5dTex)の23S紡績糸を使用したカバーファクター1700の平織物に加工剤を付与することなく、熱可塑性樹脂をドッティングし、永久接着芯地とした。また表地としてポリエステル/綿(T65/C、原綿繊度1.5dTex、T/Cブロード)布を準備し、表地に親水剤を付与した後、実施例1同様加工を実施した。なお熱可塑性樹脂はMI値10g/10分のポリエチレン樹脂を使用した。
[試験結果]
これら試験片の黄ばみ、汗ジミ発生程度、剥離有無を目視により判定した。結果を表1に示す。なお目視評価に際しては、発生なしを○、実用上耐えられる発生程度を△、実用上耐えられない発生程度を×とした。
【0054】
【表1】
Figure 2004107848
【0055】
【発明の効果】
本発明の繊維構造体を用いると、特にシャツの衿部におけ汗ジミ、黄ばみを防止し、かつ表地と永久接着芯地の繰り返し洗濯による剥離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に用いた人口汗塗布用プラスチック板を示す上面寸法図である。

Claims (7)

  1. 下記構成要素の内、いずれか一つまたは複数を組み合わせたことを特徴とする繊維構造体。
    (1)接着芯地を構成する繊維の単繊維繊度に対する表地を構成する繊維の単繊維繊度比が1.0より大きい。
    (2)撥水剤および/または撥油剤が付着している表地と、親水剤および/または親油剤が付着している接着芯地との両方もしくはどちらか一方を含む。
    (3)接着芯地基布表面に配置される熱可塑性樹脂のメルトフローインデックス(MI値)が190℃で0.1〜1g/10分である。
  2. 該接着芯地が、織物または編物からなり、かつ構成する繊維の総繊度が20〜350dTexである合成繊維マルチフィラメントおよび/または紡績糸の単糸または双糸からなることを特徴とする請求項1に記載の繊維構造体。
  3. 該接着芯地が、不織布からなり、かつ目付が10〜300g/m2 であることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維構造体。
  4. 該繊維構造体がポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、木綿および再生繊維から選ばれる少なくとも1つから構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造体を衿部および/または袖口部に用いてなることを特徴とする衣類。
  6. 該接着芯地と表地のそれぞれに、またはどちらか一方に撥水剤および/または撥油剤、もしくは親水剤および/または親油剤の加工剤を付与した後、熱可塑性樹脂により表地と接着芯地とを接着することを特徴とする繊維構造体の製造方法。
  7. 接着芯地と表地を熱可塑性樹脂により接着後、表地に撥水剤および/または撥油剤を付与することを特徴とする繊維構造体の製造方法。
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