JPH08260243A - 抗ピリング性異形断面繊維の製造方法 - Google Patents

抗ピリング性異形断面繊維の製造方法

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JPH08260243A
JPH08260243A JP9010295A JP9010295A JPH08260243A JP H08260243 A JPH08260243 A JP H08260243A JP 9010295 A JP9010295 A JP 9010295A JP 9010295 A JP9010295 A JP 9010295A JP H08260243 A JPH08260243 A JP H08260243A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 テレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸
単位及びエチレングリコール単位を主体とするジオール
単位から主としてなり且つリン酸ジアルキルエステル
(但しアルキル基の炭素原子数3〜8)で変性されてい
て、リン酸ジアルキルエステル由来のリン原子の含有量
が全酸成分に対して0.9〜1.3モル%であるポリエステル
(A);及び5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を
全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で含むポリエス
テル(B)を、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=1/1〜
4/1の重量比で混合し溶融紡糸して異形断面ポリエステ
ル繊維を製造する方法、その繊維、該繊維よりなる布帛
等を水の存在下に110℃以上で熱処理する方法、並びに
前記の方法により得られる繊維、糸、ステープル、スラ
イバー、布帛、その他の繊維製品。 【効果】 本発明による場合は、抗ピリング性に優れ、
しかも目的とする異形断面形状を有する異形断面ポリエ
ステル繊維を円滑に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異形断面ポリエステル
繊維、その製造方法、該方法により得られる異形断面ポ
リエステル繊維、および該繊維を用いてなる布帛等に関
する。より詳細には、本発明は、抗ピリング性に優れる
異形断面ポリエステル繊維を、紡糸時にその所定の異形
断面形状を損なうことなく円滑に製造し得るようにした
異形断面ポリエステル繊維の製造方法、その方法により
得られる異形断面ポリエステル繊維、および該繊維を用
いてなる布帛等に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、強度や伸度などで
代表される力学的特性に優れており、しかも耐熱性、耐
候性、耐薬品性などの特性にも優れているため、衣料や
産業資材をはじめとして多くの分野で広く用いられてい
る。しかし、ポリエステル繊維の高強度や高伸度という
特性は、反面、衣料などに用いた場合、特にニット製品
や組織のルーズな織物に用いた場合には、ピリングが発
生し易く、製品の外観を著しく損ねるという欠点を有し
ている。
【0003】そして、ポリエステル繊維におけるピリン
グの発生を防止するために、ポリエステルにリン酸エス
テルを共重合させたり、ポリエステル中にリン化合物を
添加し、そのようなポリエステルを用いて繊維を製造し
た後、熱水中で処理してポリエステル繊維の強度を低下
させて抗ピリング性を付与する方法が従来から色々提案
されている(特開昭50−135351号公報、特公昭
58−18447号公報等)。しかし、これらの従来法
による場合は、ポリエステルの重合時に重合度の調整が
困難であったり、副生物が多く発生したり、凝集物や異
物が発生したり、着色が生ずるなどの欠点があり、また
抗ピリング性を得ることのできる繊度範囲が限られた
り、繊維製造後の熱処理条件の調整が難しいなどの問題
があった。
【0004】
【発明の内容】そこで、上記のような状況下に、本発明
者らは抗ピリング性に優れるポリエステル繊維を良好な
工程性で円滑に製造することを目的として種々検討を続
けてきた。そしてその結果、エチレンテレフタレート系
ポリエステルの重合時にアルキル基の炭素原子数が3〜
8であるリン酸ジアルキルエステルを加えて該リン酸ジ
アルキルエステルで変性したポリエステルを製造し、そ
のポリエステルを用いて繊維を製造した後に水の存在下
で熱処理する方法を開発して先に出願した(特開昭61
−47818号公報)。そして、本発明者らの開発した
この方法は、目的とするポリエステルを凝集物や異物の
発生、着色などを生ずることなく極めて円滑に所定の重
合度で製造でき、しかもそのポリエステルから製造され
た繊維は抗ピリング性などの特性に極めて優れていると
いう種々の利点を有している。
【0005】そして本発明者らは、本発明者らの開発し
た上記の方法にしたがって横断面が丸型の通常のポリエ
ステル繊維や異形断面を有するポリエステル繊維などの
種々のポリエステル繊維を製造してきたが、異形断面を
有するポリエステル繊維の製造に当たっては、前記した
リン酸ジアルキルエステルで変性したポリエステルにに
対して5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を有す
るポリエステルを混合して、両者の混合物を用いて溶融
紡糸を行うと、目的に適った良好な異形断面形状を有す
るポリエステル繊維を円滑に製造できることを見出し
て、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、 (1) テレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単
位およびエチレングリコール単位を主体とするジオール
単位から主としてなり、且つ下記の式(i);
【0007】
【化2】 (式中R1およびR2はそれぞれ独立して炭素原子数3〜
8のアルキル基を表す)で表されるリン酸ジアルキルエ
ステルを用いて変性されているポリエステルであって、
リン酸ジアルキルエステルに由来するリン原子の含有量
がポリエステルを構成する全酸成分に対して0.9〜
1.3モル%であるポリエステル(A);および5−ア
ルカリ金属スルホイソフタル酸単位をポリエステルを構
成する全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で
含む繊維形成性のポリエステル(B)を、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=1/1〜4/1の重量比
で混合し溶融紡糸を行って異形断面ポリエステル繊維を
製造することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維の
製造方法である。
【0008】そして、本発明は、 (2) 前記(1)の方法で異形断面ポリエステル繊維
を製造した後、それにより得られる異形断面ポリエステ
ル繊維を更に水の存在下に110℃以上の温度で熱処理
することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維の製造
方法である。
【0009】更に、本発明は、前記(1)の方法で製造
される異形断面ポリエステル繊維および該異形断面ポリ
エステル繊維よりなる布帛(すなわち水の存在下での熱
処理を施す前の異形断面ポリエステル繊維およびそれよ
りなる布帛)、並びに前記(2)の方法で製造される異
形断面ポリエステル繊維および該異形断面ポリエステル
繊維よりなる布帛(すなわち水の存在下で熱処理を施し
た後の異形断面ポリエステル繊維およびそれよりなる布
帛)を包含する。また、本発明は、前記(1)の方法で
製造された異形断面ポリエステル繊維、該異形断面繊維
を用いて形成された布帛、または該布帛を用いて形成さ
れた製品を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理す
る方法を包含する。
【0010】ポリエステル繊維を異形断面形状にする
と、その異形断面形状に応じて、丸型断面を有する通常
の繊維とは異なった風合、触感、軽量性、外観などの特
性を有する繊維や布帛を得ることができ、かかる点か
ら、抗ピリング性に優れる異形断面ポリエステル繊維を
円滑に製造することのできる上記した本発明の方法、そ
れにより得られる異形断面ポリエステル繊維や布帛は、
極めてその実用価値が高く、有効である。
【0011】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明で用いるポリエステル(A)は、上記の式(i)で
表されるリン酸ジアルキルエステル[以下「リン酸ジア
ルキルエステル(i)」という]を用いて変性されてい
るポリエステルである。そして、ポリエステル(A)が
リン酸ジアルキルエステル(i)によって変性されてい
ることによって、繊維の形成後、またはその繊維から布
帛を形成したり、該布帛から縫製品などの製品を製造し
た後に、それらの繊維、布帛または製品を水の存在下に
110℃以上の温度で熱処理すると、ポリエステルの部
分的な加水分解が生じてポリエステルの重合度が低下し
て良好な抗ピリング性が繊維に付与される。
【0012】ポリエステル(A)における変性成分であ
る上記の式(i)で表されるリン酸ジアルキルエステル
において、上記したように基R1とR2は、それぞれ独立
して炭素原子数3〜8のアルキル基であり、したがって
基R1およびR2はプロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基から選ばれる
炭素原子数3〜8のアルキル基である。前記したアルキ
ル基は直鎖状のアルキル基であってもまたは分岐したア
ルキル基であってもよいが、直鎖状のアルキル基である
のが好ましい。また、基R1とR2は互いに同じアルキル
基であってもまたは異なるアルキル基であってもよい。
【0013】リン酸ジアルキルエステル(i)の具体例
としては、ジ−n−プロピルホスフェート、ジ−n−ブ
チルホスフェート、ジ−t−ブチルホスフェート、ジ−
n−ペンチルホスフェート、ジ−n−ヘキシルホスフェ
ート、ジ−n−ヘプチルホスフェート、ジ−n−オクチ
ルホスフェート、(n−プロピル)(n−ブチル)ホス
フェート、(n−プロピル)(n−ペンチル)ホスフェ
ート、(n−プロピル)(n−ヘキシル)ホスフェー
ト、(n−プロピル)(n−ヘプチル)ホスフェート、
(n−プロピル)(n−オクチル)ホスフェート、(n
−ブチル)(n−ペンチル)ホスフェート、(n−ブチ
ル)(n−ヘキシル)ホスフェート、(n−ブチル)
(n−ヘプチル)ホスフェート、(n−ブチル)(n−
オクチル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘキ
シル)ホスフェート、(n−ペンチル)(n−ヘプチ
ル)ホスフェート、(n−ぺンチル)(n−オクチル)
ホスフェート、(n−ヘキシル)(n−ヘプチル)ホス
フェート、(n−ヘキシル)(n−オクチル)ホスフェ
ート、(n−ヘプチル)(n−オクチル)ホスフェート
などを挙げることができる。また、前記したそれぞれの
リン酸ジアルキルエステル(i)において、リン酸エス
テルを形成しているその2つのアルキル基のうちの一方
または両方が、n−アルキル基ではなく分岐したアルキ
ル基であるリン酸ジアルキルエステルも勿論使用でき
る。そして、ポリエステル(A)は上記したリン酸ジア
ルキルエステル(i)の1種類によって変性されていて
も、または2種類以上によって変性されていてもよい。
【0014】本発明において、基R1およびR2が炭素原
子数3〜8のアルキル基であるリン酸ジアルキルエステ
ルを用いて変性されているポリエステル(A)を使用す
る理由は、基R1およびR2がメチル基やエチル基の場合
には、リン酸ジアルキルエステルが非常に分解し易く、
ポリエステルの変性用として有効に使用することができ
ないためである。一方、基R1およびR2が炭素原子数9
以上のアルキル基であるリン酸ジアルキルエステルを用
いてポリエステルを変性した場合には、変性により得ら
れるポリエステルが黄色味を帯びてその色調が不良にな
り、好ましくない。
【0015】そして、ポリエステル(A)では、リン酸
ジアルキルエステル(i)に由来するリン原子の含有量
がポリエステル(A)を構成する全酸成分に対して0.
1〜1.3モル%である、すなわちポリエステル(A)
を構成する全カルボン酸成分100モル当たり0.9〜
1.3モルであることが必要である。リン酸ジアルキル
エステル(i)に由来するリン原子の含有量が、全酸成
分に対して0.1モル%未満であると、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)の混合物を溶融紡糸して得
られるポリエステル繊維や布帛等を水の存在下に110
℃以上の温度で熱処理しても抗ピリング性に優れる繊維
や布帛等が得られず、一方1.3モル%を超えると、抗
ピリング性は付与できるが、ポリエステル(A)を製造
する際の重合度の調整が困難になったり、繊維の製造工
程中における加水分解が著しくなってロット間の差が大
きくなったり、得られる繊維の力学的特性などが低下し
て、繊維を紡績したり布帛にしたりする工程での損傷が
著しくなる。
【0016】また、ポリエステル(A)は、テレフタル
酸単位を主体とするジカルボン酸単位およびエチレング
リコール単位を主体とするジオール単位から主としてな
っていることが必要であり、ポリエステル(A)を構成
する全酸成分に対してテレフタル酸単位を70モル%以
上、好ましくは90モル%以上、そしてポリエステル
(A)を構成する全ジオール単位およびポリオール単位
の合計に対してエチレングリコール単位を70モル%以
上、好ましくは90モル%以上有しているのがよい。
【0017】ポリエステル(A)は、テレフタル酸単位
およびエチレングリコール単位以外に、その全構成単位
に基づいて、30モル%未満、好ましくは10モル%未
満であれば他の2官能性化合物から誘導される構造単位
を必要に応じて含有していてもよい。そのような他の2
官能性化合物から誘導される構造単位としては、イソフ
タル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニ
ルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカ
ルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;マロン酸、コハク
酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪
族ジカルボン酸;デカリンジカルボン酸、シクロヘキサ
ンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;グリコール
酸、ヒドロキシアクリル酸、ヒドロキシプロピオン酸、
アシアチン酸、キノバ酸、ヒドロキシ安息香酸、マンデ
ル酸、マトロラクチン酸などのヒドロキシカルボン酸;
ε−カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン;トリメチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレン
グリコールなどの脂肪族ジオール;ヒドロキノン、カテ
コール、ナフタレンジオール、レゾルシン、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジオール;シク
ロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールなどの2
官能性成分から誘導される構造単位を挙げることができ
る。
【0018】また、ポリエステル(A)は、フェノール
とテトラクロロエタンの等重量混合溶媒中、30℃でウ
ベローデ型粘度計を用いて測定したときの極限粘度
[η]が0.45〜0.55dl/gであるのが好まし
く、0.47〜0.53dl/gであるのがより好まし
い。ポリエステル(A)の極限粘度[η]が0.45d
l/g未満であるとポリエステル(A)とポリエステル
(B)を混合して溶融紡糸した際に異形断面繊維を得ら
れにくくなる。一方、ポリエステル(A)の極限粘度
[η]が0.55dl/gを超えると、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)とから形成された繊維、該
繊維より形成された布帛、該布帛より形成された縫製品
などの製品を水の存在下に110℃以上の温度で熱水処
理しても抗ピリング性が付与されにくい。
【0019】ポリエステル(A)の製法は特に制限され
ず、上記した要件を満たすポリエステルであればいずれ
も使用することができるが、好ましくは次のようにして
製造される。すなわち、テレフタル酸またはそのエステ
ル形成性誘導体を主体とするジカルボン酸成分とエチレ
ングリコールを主体とするジオール成分から主としてな
り、必要に応じて上記したような他の2官能性化合物を
含有する原料を用いてエステル化反応またはエステル交
換反応を行ってプレポリマーを製造し(第1段目の反
応)、次いで第1段目の反応により得られたプレポリマ
ーを減圧下に加熱して重縮合反応させて最終的なポリエ
ステルを製造する(第2段目の反応)に当たって、第1
段目の反応の終了後で第2段目の反応が終了するまでの
間の任意の時点で上記したリン酸ジアルキルエステル
(i)を反応系に加えることによって、ポリエステル
(A)を円滑に製造することができる。ポリエステル
(A)の製法に関しては、本出願人の出願に係る上記し
た特開昭61−47818号公報に詳細に記載されてお
り、本発明で用いるポリエステル(A)は、それに記載
されている方法に準じて製造することができる。
【0020】また、ポリエステル(B)としては、繊維
形成性のポリエステルであればいずれも使用できるが、
テレフタル酸単位を主体とするジカルボン酸単位とジオ
ール単位から主としてなるポリエステルであるのが好ま
しく、その場合のジオール単位がエチレングリコール、
トリメチレングリコールおよびテトラメチレングリコー
ルから選ばれる少なくとも1種のジオールからなる単位
であるのがより好ましい。また、前記した好ましいポリ
エステル(B)も、上記したテレフタル酸単位、エチレ
ングリコール、トリメチレングリコールおよびテトラメ
チレングリコールから選ばれる少なくとも1種のジオー
ル単位と共に、その全構成単位に基づいて、30モル%
未満、好ましくは10モル%未満の2官能性化合物から
誘導される構造単位を必要に応じて含有していることが
でき、そのような構造単位としては、ポリエステル
(A)において挙げたのと同様に、種々の芳香族ジカル
ボン酸、脂肪族ジカルボン酸;脂環式ジカルボン酸、ヒ
ドロキシカルボン酸、脂肪族ラクトン、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリ
コールなどの脂肪族ジオール、芳香族ジオール、脂環式
ジオールなどから誘導される構造単位を挙げることがで
きる。
【0021】そして、ポリエステル(B)は、ポリエス
テル(B)を構成する全酸成分に対して3.5〜7.0
モル%、すなわちポリエステル(B)を構成する全カル
ボン酸単位100モル当たり3.5〜7.0モルの5−
アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を有していること
が必要であり、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単
位を4.5〜5.5モル%の割合で有しているのが好ま
しい。
【0022】ポリエステル(B)における5−アルカリ
金属スルホイソフタル酸単位の割合が3.5モル%未満
であると、ポリエステル(A)とポリエステル(B)を
上記した1/1〜4/1の重量比で混合して溶融紡糸す
る場合であっても、目的とする横断面形状を有する異形
断面形状繊維が得られなくなる。そして、異形断面形状
を有する繊維を得るためにポリエステル(B)の重合度
を高くした場合には、溶融紡糸により得られた繊維、該
繊維より形成した布帛などを水の存在下に110℃以上
の温度で熱処理しても抗ピリング性が付与されない。一
方、ポリエステル(B)における5−アルカリ金属スル
ホイソフタル酸単位の割合が7.0モル%を超えると、
5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位による増粘効
果が大き過ぎてポリエステル(B)自体の重合が困難に
なり、しかもポリエステル(A)と均一に混合できなく
なる。そして、ポリエステル(B)では、その5−アル
カリ金属スルホイソフタル酸単位におけるアルカリ金属
は、ナトリウム、カリウムおよびリチウムのうちの少な
くとも1種であるのが好ましく、ナトリウムであるのが
特に好ましい。
【0023】また、ポリエステル(B)は、ポリエステ
ル(A)と同様に、フェノールとテトラクロロエタンの
等重量混合溶媒中、30℃でウベローデ型粘度計を用い
て測定したときの極限粘度[η]が0.45〜0.55
dl/gであるのが好ましく、0.47〜0.53dl
/gであるのがより好ましい。ポリエステル(B)の極
限粘度[η]が0.45dl/g未満であるとポリエス
テル(A)とポリエステル(B)を混合して溶融紡糸を
行った際に異形断面形状を有する繊維を得られにくくな
り、一方ポリエステル(B)の極限粘度[η]が0.5
5dl/gを超えると、ポリエステル(A)とポリエス
テル(B)とから形成された繊維やそれから形成された
布帛などを水の存在下に110℃以上の温度で熱水処理
しても抗ピリング性が付与されにくくなる。
【0024】ポリエステル(B)の製法は特に制限され
ず、上記した要件を満たすポリエステルであればいずれ
も使用することができるが、ポリエステル(A)と同様
に、例えば、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘
導体などからなるジカルボン酸成分とエチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ルなどから選ばれる少なくとも1種のジオール成分、更
には必要に応じて上記したような他の2官能性化合物を
含有する原料を用いてエステル化反応またはエステル交
換反応を行ってプレポリマーを製造する第1段目の反応
を行い、次いで第1段目の反応により得られたプレポリ
マーを減圧下に加熱して重縮合反応させる第2段目の反
応を行い、第2段目の反応が終了するまでの任意の時
点、好ましくは第1段目の反応が終了する以前の時点
で、5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位をポリエ
ステル(B)中に導入し得る化合物を添加して反応を行
うことにより製造することができる。
【0025】上記において、ポリエステル(B)中に5
−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を導入するため
に反応系に添加される化合物としては、例えば3,5−
ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、
3,5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸カリ
ウム、3,5−ジ(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン
酸リチウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、3,5−ジ
(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸カリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシエトキシカ
ルボニル)ベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジ
(β−ヒドロキシブトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、3,5−ジ(β−ヒドロキシブトキシ
カルボニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、3,5−ジ
(β−ヒドロキシブトキシカルボニル)ベンゼンスルホ
ン酸リチウムなどを挙げることができる。そして、これ
らの化合物をポリエステル(B)の反応系に添加して5
−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を有するポリエ
ステル(B)を製造するに当たっては、エーテル形成抑
制剤として、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのア
ルカリ金属の弱酸塩を併用するのが好ましい。
【0026】また、ポリエステル(A)および/または
ポリエステル(B)は、必要に応じて、無機微粒子、芳
香剤、抗菌剤、難燃剤、消臭剤、染顔料、つや消し剤、
制電剤(帯電防止剤)、酸化防止剤、光安定剤などの任
意の添加剤の1種または2種以上を含有していてもよ
い。
【0027】そして、上記したポリエステル(A)とポ
リエステル(B)を、ポリエステル(A)/ポリエステ
ル(B)=1/1〜4/1の重量比で混合して溶融紡糸
を行って異形断面ポリエステル繊維を製造する。その場
合に、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)の値が
1/1よりも小さい、すなわちポリエステル(A)の使
用重量がポリエステル(B)の使用重量よりも少ない
と、溶融紡糸して得られる異形断面ポリエステル繊維や
それからなる布帛などを水の存在下に110℃以上の温
度で熱処理しても抗ピリング性が優れたものにならず、
一方ポリエステル(A)/ポリエステル(B)の値が4
/1を超える、すなわちポリエステル(A)の使用重量
がポリエステル(B)の使用重量の4倍よりも多くなる
と、両者の混合物を溶融紡糸する際に溶融粘度の低下が
著しくなって、異形断面形状を有する繊維が得られるな
くなる。異形断面ポリエステル繊維の製造に当たって
は、ポリエステル(A)/ポリエステル(B)=2.3
〜1.5の重量比になるようにして両方のポリエステル
を混合して用いるのが好ましい。
【0028】ポリエステル(A)とポリエステル(B)
の混合方法は、両者が均一に混合されて溶融紡糸され得
る方法であればいずれでもよく特に制限されず、例え
ば、 (1) ポリエステル(A)とポリエステル(B)の重
合完了後に両者を同時にスタティックミキサーやスルー
ザーミキサーなどの混合装置に供給して混合した後、混
合物をストランド状に押し出し、それを切断してチップ
化して両方の重合体が均一に混合しているチップを製造
してそれを溶融紡糸に用いる方法; (2) ポリエステル(A)およびポリエステル(B)
のうちの一方のポリエステルを重合完了後にチップ状に
しておき、もう一方のポリエステルを重合させ、その重
合が完了した時点でそこに前記の一方のポリエステルの
チップを加えて再溶融させ、それをスタティックミキサ
ーやスルーザーミキサーなどの混合装置で均一に混合し
た後、その混合物からチップを製造し、そのチップを溶
融紡糸に用いる方法; (3) ポリエステル(A)およびポリエステル(B)
のチップを別々に製造し、それらをブレンドして再溶融
して両方のポリエステルが均一に混合しているチップを
製造し、そのチップを溶融紡糸に用いる方法; (4) 溶融紡糸を行うにあたってポリエステル(A)
のチップとポリエステル(B)のチップをそれぞれ個別
に溶融し、各溶融物を溶融紡糸装置の上流側に設けた混
合部で均一に混合してそのまま直接溶融紡糸する方法;
などを挙げることができる。要するに、ポリエステル
(A)とポリエステル(B)の混合が均一に行われるの
であれば、両者の混合をそれぞれの重合体の重合完了後
から溶融紡糸を行う間の任意の時点で適当な方法を採用
して行えばよい。
【0029】また、溶融紡糸を行うに当たっては、ポリ
エステル系重合体から異形断面ポリエステル繊維を製造
する際に従来から知られている溶融紡糸法および溶融紡
糸装置を用いて行えばよく特に制限されない。溶融紡糸
温度、紡糸後の冷却条件、紡糸した繊維の巻取り速度な
どの各種条件も特に制限されず、異形断面ポリエステル
繊維の製造に際して従来から採用されているのと同様の
条件で行うことができる。例えば、ポリエステル(A)
およびポリエステル(B)の両方が、エチレンテレフタ
ル酸系のポリエステルである場合には、約270〜30
0℃の溶融紡糸温度を使用して、約600〜6000m
/分の引き取り速度で溶融紡糸を行うのが好ましい。
【0030】異形断面繊維の横断面形状は特に制限され
ず、非円形をなす異形断面であればいずれでもよく、目
的に応じて適宜選択することができる。限定されるもの
ではないが、本発明における異形断面ポリエステル繊維
の横断面形状としては、例えば、中空形状、Y型、T
型、十字型、偏平型、3〜8葉型、3〜8角形、ドッグ
ボーン型、楕円形などの横断面形状を挙げることができ
る。また、異形断面ポリエステル繊維の単繊維繊度、総
デニール数なども特に制限されず、任意の単繊維繊度を
有するモノフィラメントまたはマルチフィラメントを円
滑に製造することができる。
【0031】そして上記一連の工程によって異形断面ポ
リエステル繊維が製造されるが、それによって得られる
異形断面ポリエステル繊維は、水の存在下での熱処理を
行わずに、そのまま直接流通、販売したり、延伸処理、
捲縮加工、交絡加工、タスラン加工などの加工を施して
から流通、販売することができ、しかもその際の形態も
フィラメント糸、ステープル、スライバー、紡績糸、編
布、織布、不織布などの布帛、縫製して得られる製品な
どのいずれの形態であってもよい。そして、その場合に
は、それらの繊維、糸、布帛、製品などを購入した側
で、それらを水の存在下に110℃以上の温度で熱処理
することによって、抗ピリング性を付与することができ
る。
【0032】また、上記の溶融紡糸により得られる異形
断面ポリエステル繊維は、延伸、捲縮加工、交絡加工、
タスラン加工などの加工を施す前、布帛にする前、或い
は前記の加工を施した後、布帛にした後、布帛などから
縫製品などの最終製品を製造した後に、水の存在下に1
10℃以上の温度で熱処理して抗ピリング性を付与し、
その後に流通、販売してもよい。
【0033】そして、異形断面ポリエステル繊維、それ
よりなるステープル、スライバー、糸、布帛、製品など
を熱処理して抗ピリング性を付与するに当たっては、水
の存在下に熱処理を行うことが必要である。熱処理を水
の不存在下に行うと、抗ピリング性を付与するのに必要
なポリエステル繊維の部分加水分解、およびそれに伴う
繊維物性の低下を発現させることができない。また、熱
処理温度は110℃以上であることが必要であり、11
0℃未満であると抗ピリング性を付与するための熱処理
に極めて長い時間を要するようになる。抗ピリング性を
付与するための熱処理の効率性および異形断面ポリエス
テル繊維の著しい物性低下の防止などの点から、水の存
在下における熱処理を120〜180℃の温度で行うの
が好ましい。また、この熱処理は、熱処理後の異形断面
ポリエステル繊維の引張強さが単繊維で3.5〜5.9
gの範囲になり、且つ引張伸度が12〜18%の範囲に
なるまで行うのが抗ピリング性の付与および熱処理後の
異形断面ポリエステル繊維の力学的特性などの点から好
ましく、引張強さが単繊維で3.8〜4.2gの範囲に
なり且つ引張伸度が14〜16%の範囲になるまで行う
のがより好ましい。
【0034】水の存在下に熱処理を行うに当たっては、
ポリエステル(A)およびポリエステル(B)より得ら
れる異形断面ポリエステル繊維、それからなる糸、スラ
イバー、ステープル、布帛、縫製製品などを、110℃
以上の熱水中に所定の時間浸漬して行うとよく、通常、
圧力装置中に水を入れて水の温度を110℃以上にし、
それに浸漬して行う。上記したように、抗ピリング性を
付与するための水の存在下での熱処理は、繊維、ステー
プル、スライバー、糸、布帛、縫製製品などの最終製品
に至るまでのどの段階で行ってもよいが、特に染色工程
で受ける高温熱水処理を抗ピリング性を付与するための
熱処理として併用するのが工程的にも便利である。
【0035】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。以下
の例において、熱水処理後の繊維の引張強さおよび引張
伸度の測定、並びに織物のピリング性の評価および溶融
紡糸した繊維の横断面形状の評価は次のようにして行っ
た。
【0036】熱水処理後の繊維の引張強さおよび引張伸
度の測定:JIS L 1050 7.7.1 引張強
さ及び伸び率、標準時試験の方法にしたがって測定し
た。用いた試験機は定速荷重型の試験機(容量20g)
であり、試料のつかみ間隔は20mm、引張速度は20
gf/分とした。なお、引張強さの値は、試料が切断し
た時の荷重(gf)で表した。
【0037】織物のピリング性の評価:JIS L 1
076 6.1A法(ICI型試験機を用いる方法)に
したがって評価した。
【0038】繊維の横断面形状の評価:繊維の横断面
(切断面)を顕微鏡により観察して、目的とする異形断
面を有する繊維が得られているか否かを判定した。
【0039】《実施例 1》 (1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホス
フェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.2モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.51dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して5.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.50dl/g)のチップを、ポリエステル(A)/
ポリエステル(B)=9/5の重量比でブレンドし、乾
燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でブレ
ンド物を溶融した後、溶融紡糸装置に供給し、図1の
(a)に示す紡出孔を有する紡糸口金(1個の紡出孔面
積0.25mm2)から単孔当たりの紡出量=0.5g
/分の条件下に温度280℃で溶融紡糸し、1000m
/分で引き取り、次いで70℃で2.5倍に延伸した
後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38mmに切
断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造し
た。このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡に
より観察したところ、図1の(b)に示すような、目的
とする十字型の異形断面形状を有していた。
【0040】(2) 上記(1)で得たステープルを温
度130℃の熱水中に60分間浸漬して処理した後取り
出し、乾燥してその引張強さおよび引張伸度を上記した
方法により測定したところ、それぞれ4.5gおよび1
3.1%であった。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて常法によ
って紡績糸(30番手)を製造して、その紡績糸を用い
て常法により1/1平織物を製織し、織物の糊抜き、精
練、染色(染色浴の温度120℃)を行った後に、その
ピリング性を上記した方法で評価したところ、5級であ
り、抗ピリング性に優れ、ソフト感および嵩高性を備え
る良好な織物であった。
【0041】《実施例 2》 (1) ポリエステル(A)としてジ−n−ヘキシルホ
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.0モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.53dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して4.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.54dl/g)のチップを、ポリエステル(A)/
ポリエステル(B)=3/2の重量比でブレンドし、乾
燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装置でその
ブレンド物を280℃で溶融した後、溶融紡糸装置に供
給し、図2の(a)に示す紡出孔を有する紡糸口金(1
個の紡出孔面積0.17mm2)から単孔当たりの紡出
量=0.5g/分の条件下に温度275℃で溶融紡糸
し、1000m/分で引き取り、70℃で2.2倍に延
伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長38m
mに切断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを
製造した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕
微鏡により観察したところ、図2の(b)に示すよう
な、目的とする偏平型の異形断面形状を有していた。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ4.6gおよび15.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練、染色(染色浴の温度130℃)を行った後に、そ
のピリング性を上記した方法で評価したところ、ピリン
グ性は5級であり、抗ピリング性に優れ、ソフト感を有
する良好な織物であった。
【0042】《実施例 3》 (1) ポリエステル(A)としてジ−n−オクチルホ
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.1モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.47dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して6.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.52dl/g)のチップを用いて、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=3/1の重量比でブレン
ドし、乾燥後に、溶融紡糸装置の上流側に設けた溶融装
置でそのブレンド物を285℃で溶融した後、溶融紡糸
装置に供給し、図3の(a)に示す紡出孔を有する紡糸
口金(1個の紡出孔面積0.20mm2)から単孔当た
りの紡出量=0.5g/分の条件下に温度285℃で溶
融紡糸し、1000m/分で引き取り、70℃で2.5
倍に延伸した後、常法により機械捲縮を付与し、繊維長
38mmに切断して異形断面ポリエステル繊維のステー
プルを製造した。このステープルの切断面(横断面形
状)を顕微鏡により観察したところ、図3の(b)に示
すような、目的とする中空状の異形断面形状を有してい
た。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ3.7gおよび16.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練、染色(染色浴の温度110℃)を行った後に、そ
のピリング性を上記した方法で評価したところ、ピリン
グ性は5級であり、抗ピリング性に優れ、ハリコシおよ
び嵩高性を備える良好な織物であった。
【0043】《比較例 1》 (1) ポリエステル(A)としてジ−n−ブチルホス
フェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
0.8モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.45dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して5.0モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.52dl/g)のチップを用い、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=9/5の重量比でブレン
ドして溶融紡糸を行った以外は実施例1と同様にして溶
融紡糸、延伸、捲縮付与を行って、38mmに切断し、
異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造した。こ
のステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡により観
察したところ、図1の(b)に示すような、目的とする
中空状の異形断面形状を有していた。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ5.1gおよび22.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は2級であり、抗ピリ
ング性に劣っており、不良な織物であった。
【0044】《比較例 2》 (1) ポリエステル(A)としてジ−n−ヘキシルホ
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.4モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.43dl/g)のチップと、
ポリエステル(B)として5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸単位を全酸成分に対して2.5モル%の割合で有
するポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=
0.50dl/g)のチップを用い、ポリエステル
(A)/ポリエステル(B)=21/5の重量比でブレ
ンドして溶融紡糸を行った以外は実施例3と同様にして
溶融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維長38mm
に切断してポリエステル繊維のステープルを製造した。
このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡により
観察したところ、図3の(c)に示すような中実の横断
面形状を有しており、目的とする中空繊維が得られなか
った。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ3.3gおよび10.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は2級であり、抗ピリ
ング性に劣っており、不良な織物であった。
【0045】《比較例 3》 (1) ポリエステル(A)としてジ−n−オクチルホ
スフェート単位をリン原子に換算して全酸成分に対して
1.2モル%の割合で有するポリエチレンテレフタレー
ト(極限粘度[η]=0.53dl/g)のチップと、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位を有していない
ポリエチレンテレフタレート(C)(極限粘度[η]=
0.75dl/g)のチップを用い、ポリエステル
(A)/ポリエステル(C)=9/5の重量比でブレン
ドして溶融紡糸を行った以外は実施例2と同様にして溶
融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維長38mmに
切断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造
した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡
により観察したところ、図2の(b)に示すような偏平
型の異形断面を有していた。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ6.6gおよび19.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は1級であり、抗ピリ
ング性に極めて劣っており、不良な織物であった。
【0046】《比較例 4》 (1) ジ−n−ブチルホスフェート単位をリン原子に
換算して全酸成分に対して1.1モル%の割合で有する
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]=0.5
1dl/g)からなるポリエステル(A)のチップのみ
を単独で使用して溶融紡糸を行った以外は実施例3と同
様にして、溶融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維
長38mmに切断してポリエステル繊維のステープルを
製造した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕
微鏡により観察したところ、図3の(c)に示すような
中実の丸型の横断面を有しており、目的とする中空繊維
が得られなかった。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ4.2gおよび16.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は5級であった。
【0047】《比較例 5》 (1) 5−ナトリウムスルホイソフタル酸単位を全酸
成分に対して5.0モル%の割合で有するポリエチレン
テレフタレート(極限粘度[η]=0.50dl/g)
からなるポリエステル(B)のチップのみを単独で使用
して溶融紡糸を行った以外は実施例2と同様にして、溶
融紡糸、延伸および機械捲縮した後、繊維長38mmに
切断して異形断面ポリエステル繊維のステープルを製造
した。このステープルの切断面(横断面形状)を顕微鏡
により観察したところ、図2の(c)に示すような中央
のくびれのやや大きい偏平型の異形断面形状を有してい
た。 (2) 上記(1)で得たステープルを温度130℃の
熱水中に60分間浸漬して処理した後取り出し、乾燥し
てその引張強さおよび引張伸度を上記した方法により測
定したところ、それぞれ6.5gおよび26.0%であ
った。 (3) 上記(1)で得たステープルを用いて実施例1
の(3)と同様にして平織物を製織し、織物の糊抜き、
精練および染色した後に、そのピリング性を上記した方
法で評価したところ、ピリング性は1級であり、抗ピリ
ング性が極めて劣っていた。
【0048】上記した実施例1〜3および比較例1〜5
の結果をまとめると以下の表1に示すとおりである。
【0049】
【表1】
【0050】上記の表1の結果から、リン酸ジアルキル
エステル(i)に由来するリン原子の含有量がポリエス
テルを構成する全酸成分に対して0.9〜1.3モル%
の範囲にあるポリエステル(A)と、および5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸単位をポリエステルを構成する
全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で含むポ
リエステル(B)を、ポリエステル(A)/ポリエステ
ル(B)=1/1〜4/1の重量比の範囲内で混合して
溶融紡糸を行った後、水の存在下に110℃以上の温度
で熱処理している実施例1〜3の場合には、目的とする
異形断面形状を有するポリエステル繊維を得ることがで
き、しかもそれにより得られた異形断面ポリエステル繊
維のピリング性がいずれも5級であって抗ピリング性に
極めて優れていることがわかる。
【0051】それに対して、リン酸ジアルキルエステル
(i)による変性割合が上記した本発明の範囲よりも少
ないポリエステル(A)を使用している比較例1の場合
には、得られるポリエステル繊維の抗ピリング性が不良
であり、またリン酸ジアルキルエステル(i)による変
性割合が上記した本発明の範囲よりも多いポリエステル
(A)を用い且つポリエステル(A)/ポリエステル
(B)の重量比が4.0よりも大きくなっている比較例
2の場合には、得られるポリエステル繊維の抗ピリング
性が不良であり、しかも異形断面形状を有するポリエス
テル繊維が得られないことがわかる。
【0052】更に、上記の表1の結果から、ポリエステ
ル(A)と5−アルカリ金属スルホイソフタル酸単位を
もたないポリエステルの混合物を用いている比較例3の
場合にも、抗ピリング性のポリエステル繊維が得られな
いこと、ポリエステル(A)のみを用いて溶融紡糸を行
っている比較例4の場合は異形断面形状を有するポリエ
ステル繊維が得られないこと、そしてポリエステル
(B)のみを用いて溶融紡糸を行っている比較例5の場
合には抗ピリング性のポリエステル繊維が得られないこ
とがわかる。
【0053】
【発明の効果】本発明による場合は、抗ピリング性に優
れ、しかも目的とする異形断面形状を有する異形断面ポ
リエステル繊維を円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1で用いた紡糸口金の紡
出孔の形状、並びにこれらの例で得られた異形断面ポリ
エステル繊維の横断面形状を示す図である。
【図2】実施例2、比較例3および比較例5で用いた紡
糸口金の紡出孔の形状、並びにこれらの例で得られた異
形断面ポリエステル繊維の横断面形状を示す図である。
【図3】実施例3、比較例2および比較例4で用いた紡
糸口金の紡出孔の形状、並びにこれらの例で得られたポ
リエステル繊維の横断面形状を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/62 302 D01F 6/62 302F 6/84 305 6/84 305A 306 306A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸単位を主体とするジカルボ
    ン酸単位およびエチレングリコール単位を主体とするジ
    オール単位から主としてなり、且つ下記の式(i); 【化1】 (式中R1およびR2はそれぞれ独立して炭素原子数3〜
    8のアルキル基を表す)で表されるリン酸ジアルキルエ
    ステルを用いて変性されているポリエステルであって、
    リン酸ジアルキルエステルに由来するリン原子の含有量
    がポリエステルを構成する全酸成分に対して0.9〜
    1.3モル%であるポリエステル(A);および5−ア
    ルカリ金属スルホイソフタル酸単位をポリエステルを構
    成する全酸成分に対して3.5〜7.0モル%の割合で
    含む繊維形成性のポリエステル(B)を、ポリエステル
    (A)/ポリエステル(B)=1/1〜4/1の重量比
    で混合して溶融紡糸を行って異形断面ポリエステル繊維
    を製造することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法で異形断面ポリエステル
    繊維を製造した後、それにより得られる異形断面ポリエ
    ステル繊維を更に水の存在下に110℃以上の温度で熱
    処理することを特徴とする異形断面ポリエステル繊維の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の方法で製造された異形断面ポ
    リエステル繊維、または該異形断面ポリエステル繊維を
    用いて形成された布帛。
  4. 【請求項4】 請求項2の方法で製造された異形断面ポ
    リエステル繊維、または該異形断面ポリエステル繊維を
    用いて形成された布帛。
  5. 【請求項5】 請求項1の方法で製造された異形断面ポ
    リエステル繊維、該異形断面ポリエステル繊維を用いて
    形成された布帛、または該布帛を用いて形成された製品
    を水の存在下に110℃以上の温度で熱処理する方法。
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