JPH08248003A - 磁気光学欠陥検査装置 - Google Patents

磁気光学欠陥検査装置

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JPH08248003A
JPH08248003A JP5311295A JP5311295A JPH08248003A JP H08248003 A JPH08248003 A JP H08248003A JP 5311295 A JP5311295 A JP 5311295A JP 5311295 A JP5311295 A JP 5311295A JP H08248003 A JPH08248003 A JP H08248003A
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JP
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effect element
faraday effect
signal
defect
magnetizer
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Withdrawn
Application number
JP5311295A
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English (en)
Inventor
Takanori Kajiya
孝 則 加治屋
Shuji Naito
藤 修 治 内
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁化器50による磁束の直接の影響によって
ファラデ−効果素子21が磁気飽和し疵の検出ができな
くなるのを防止する。磁気シ−ルドを不要にする。 【構成】 磁化器による磁束変化SG5と疵による漏れ
磁束変化SG6との位相差を利用し、SG5のゼロクロ
ス点の近傍でファラデ−効果素子21の露光を実施し、
それ以外の期間は露光を禁止する。磁化器の付勢周期T
2を露光周期T1の2倍に定め、SG5の各々のゼロク
ロス点で露光を実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファラデ−効果を利用
して磁気光学的に検査対象物の欠陥を検出する装置に関
し、例えば厚板鋼板等における表面欠陥及び表層内部欠
陥を検出するのに利用しうる。
【0002】
【従来の技術】近年、ファラデ−効果を利用して磁気光
学的に検査対象物の欠陥を検出する方法が注目されてい
る。この方法では、強磁性体でなる検査対象物を磁化
し、その表面に近接配置したファラデ−効果素子(又は
磁気光学効果素子と呼ばれる)に直線偏光の光を入射さ
せ、該素子を透過しその底面の反射膜で反射し、再びフ
ァラデ−効果素子を透過した反射光の偏光状態を、検光
子を介して観察する。
【0003】ファラデ−効果素子上には、全域に渡って
迷路状に磁区が存在している。そして、ファラデ−効果
素子を通過する光の偏光面は、ファラデ−効果素子上の
磁区に応じて回転する。従って、ファラデ−効果素子に
直線偏光を照射した状態で、それを検光子を介して観察
すると、例えば図10に示すような磁区模様を見ること
ができる。
【0004】磁気光学欠陥検査装置においては、検査対
象物の近傍に配置したファラデ−効果素子の磁区模様の
太さが、検査対象物からの漏れ磁束によって変わる。即
ち、磁区の自発磁化の方向と同じ向きの磁束によって磁
区が太くなり、反対方向の磁束によって磁区が細くな
る。検査対象物に欠陥がない時には漏れ磁束がないが、
欠陥があると漏れ磁束が生じるので、検査対象物上の欠
陥の有無に応じて、磁区模様の磁区の太さが変わる。従
って、検光子を通して観察される画像光に基づいて、欠
陥の有無を検出しうる。
【0005】この種の磁気光学欠陥検査装置の従来技術
については、例えば、特開平2−253152号公報及
び特開平3−276050号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】磁気光学欠陥検査装置
においては、検査対象物の欠陥部分で漏れ磁束が生じる
ように、電気コイルなどで構成される磁化器を用いて検
査対象物を磁化する必要がある。検査対象物が大形の鋼
材などである場合には、磁気光学欠陥検査装置の磁化
器,ファラデ−効果素子,照明装置,撮像装置などを一
体に構成するのが望ましい。即ち磁気光学欠陥検査装置
を一体化することにより、それを検査対象物上に乗せ
て、それと検査対象物との間隙を一定に保ったまま移動
するのが比較的容易になる。またもしも、検査対象物の
表側の面にファラデ−効果素子を対向させ、検査対象物
の裏側の面に磁化器を対向させるように配置すると、そ
れらを移動する場合に、表側のファラデ−効果素子と裏
側の磁化器との位置合せが難しくなるし、それらの保持
機構や走査機構が大型化する。
【0007】ところが、磁気光学欠陥検査装置を一体化
し、検査対象物の同一の面上に磁化器とファラデ−効果
素子とを互いに近接させて配置すると、それらの間に遮
蔽物が存在しないので、ファラデ−効果素子が磁化器の
磁界の影響を直接受けることになる。即ち、磁化器の発
生する磁界が、ファラデ−効果素子の検出すべき漏れ磁
束の垂直磁界にノイズとして重畳されるため、それが欠
陥検出に悪影響を及ぼす。特に、磁化器が発生する磁界
は非常に大きいため、そのノイズによってファラデ−効
果素子が磁気飽和し易く、磁気飽和が生じると欠陥検出
が不可能になる。飽和磁束密度の大きなファラデ−効果
素子を用いれば、磁気飽和を防止できるが、そのような
ファラデ−効果素子は感度が低いので、それを用いると
欠陥の検出感度も低下する。
【0008】例えば、ファラデ−効果素子と磁化器との
間に磁気シ−ルド部材を設置すれば、ファラデ−効果素
子が磁化器から受ける垂直磁界の悪影響を低減すること
が可能である。しかし、磁気シ−ルド部材を設置する
と、磁気光学欠陥検査装置の構造が複雑化し、重量も増
大する。
【0009】従って本発明は、高感度のファラデ−効果
素子を磁化器の近傍に配置する場合であっても、ファラ
デ−効果素子の磁気飽和によって欠陥の見落しが生じる
のを防止するとともに、ファラデ−効果素子と磁化器と
の間の磁気シ−ルドを不要にすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、検査対象物の少なくとも表層部を磁化
する磁化手段(50);検査対象物の磁化される面の近
傍に配置され、それが受ける磁界に応じて磁区が変化す
る、ファラデ−効果素子手段(21);直線偏光の光
を、前記ファラデ−効果素子手段の面に照射する、照明
手段(10);前記ファラデ−効果素子手段からの反射
光を受光する検光子(22);該検光子の近傍に配置さ
れ、検光子を通った光の強度から検査対象物上の欠陥を
検出する、欠陥検出手段(24,41〜46);を含む
磁気光学欠陥検査装置において:前記磁化手段の付勢
と、前記ファラデ−効果素子手段の露光もしくはファラ
デ−効果素子手段からの反射光の検出との同期をとる、
同期制御手段(81);及び磁化手段の付勢レベルが小
さい時に、前記ファラデ−効果素子手段の露光もしくは
ファラデ−効果素子手段からの反射光の検出をするよう
に信号の位相を調整する、位相調整手段(85);を設
ける。
【0011】また請求項2の発明では、前記磁化手段を
付勢する交流電力波形の周期が、前記ファラデ−効果素
子手段の露光周期及びファラデ−効果素子手段からの反
射光の検出周期の少なくとも一方の2倍に設定される。
【0012】また請求項3の発明では、前記ファラデ−
効果素子手段の露光期間及びファラデ−効果素子手段か
らの反射光の検出期間の少なくとも一方を、前記磁化手
段の付勢レベルが小さい期間中のみに制限する、期間制
限手段(94)を備える。
【0013】なお上記括弧内に示した記号は、後述する
実施例中の対応する要素の符号を参考までに示したもの
であるが、本発明の各構成要素は実施例中の具体的な要
素のみに限定されるものではない。
【0014】
【作用】図15に示すグラフは、磁気光学欠陥検査装置
における垂直方向磁束密度の分布状態を示している。図
15において、S15A,S15B,S15C及びS1
5Dは、それぞれ磁化器の励磁電流波形に同期した時刻
TA,TB,TC及びTDでサンプリングした信号であ
り、時刻TBは磁化器の励磁電流波形の電流が0になる
位相と一致しており、時刻TA,TC及びTDは、それ
ぞれ時刻TAに対して−30度,+30度及び+60度
ずれた位相と対応している。またこの例では、磁化器の
2つの磁極のほぼ中央に位置する鋼板上の欠陥から漏れ
磁束が生じている場合を想定している。図15を参照す
ると、時刻TA,TC及びTDでは、欠陥が存在しない
位置においても、磁束密度が大きくなっていることが分
かる。また、欠陥の位置から離れるに従って、即ち磁化
器の磁極に近づくにつれて、磁束密度が増大している。
【0015】図16に示すグラフは、磁気光学欠陥検査
装置の磁化器の磁極の近傍での垂直方向磁束密度の時間
変化S16Aと、磁化器の2つの磁極の略中央の検査対
象鋼板上に欠陥(疵)が存在する場合の欠陥近傍の垂直
方向磁束密度の時間変化S16Bとの関係を示してい
る。図16を参照すると、磁化器の付勢によって生じる
垂直方向磁束密度の波形S16Aと欠陥によって生じる
垂直方向磁束密度の波形S16Bとの間には位相差が存
在することが分かる。この例では、位相差が135度に
なっているが、この位相差は一定ではなく、鋼板の厚み
等に応じて位相差が変わる。例えば、鋼板の厚みが薄く
なるに従って、位相差は小さくなる傾向がある。
【0016】このような位相差があるため、磁化器によ
って直接生じる磁束(S16A)の影響が比較的小さい
時に、欠陥によって生じる信号S16Bの存在の有無を
調べることができる。逆に、磁化器によって直接生じる
磁束(S16A)の影響が大きい時に欠陥の検査を禁止
することによって、磁化器によって直接生じる磁束(S
16A)の影響を避けることができる。
【0017】図17は、鋼板上の疵のある領域を磁気光
学欠陥検査装置で検査した時に磁気光学欠陥検査装置の
内部に得られる信号の例を示している。即ち、ファラデ
−効果素子からの反射光を検光子を介して一次元イメ−
ジセンサで撮像した時の1ラインの画像信号が、S17
A及びS17Bに対応する。但し、ノイズであるファラ
デ−効果素子上の磁区模様(ノイズ)の成分は予め消去
されている。また、信号S17AとS17Bとは、同一
の走査位置の画像信号を互いに異なるタイミングでサン
プリングして得られたものであり、信号S17Aは磁化
器の磁極近傍の垂直方向磁束密度がほぼ零の時の信号で
あり、信号S17Bは磁化器の磁極近傍の垂直方向磁束
密度が最大(交流波形のピ−ク)の時の信号である。
【0018】図17を参照すると、信号S17A上に
は、疵の位置で疵の存在を示すレベル変化が現われてい
るのに対し、信号S17Bにおいては、疵の位置での特
徴的なレベル変化は現われておらず、疵が存在しない位
置でレベル変化が生じている。即ち、信号S17Bをサ
ンプリングした時には、磁化器の付勢によって直接生じ
る垂直方向磁束密度が非常に大きいため、その影響によ
ってファラデ−効果素子が両端の近傍で磁気飽和しかか
っている。また、磁化器による磁束と疵によって生じる
漏れ磁束との位相差のために、疵の位置では疵信号が信
号S17Bに現われない。従って、磁化器の磁極近傍の
垂直方向磁束密度が大きい時に疵の検査を実施すると、
疵の検出漏れが生じる可能性があるが、磁化器の磁極近
傍の垂直方向磁束密度がほぼ零の時に疵の検査を実施す
れば、確実に疵を検出できる。
【0019】本発明では、同期制御手段(81)が磁化
手段(50)の付勢と、ファラデ−効果素子手段(2
1)の露光もしくはファラデ−効果素子手段からの反射
光の検出との同期をとり、位相調整手段(85)が、磁
化手段の付勢レベルが小さい時に、前記ファラデ−効果
素子手段の露光もしくはファラデ−効果素子手段からの
反射光の検出をするように信号の位相を調整する。従っ
て、欠陥検出手段(24,41〜46)が検出する信号
については、磁化手段が発生する磁束の直接の影響が小
さい。このため、高感度のファラデ−効果素子手段を用
いる場合であっても、それが磁気飽和しない時に検査対
象物を検査することができ、疵の有無を確実に検出でき
る。
【0020】また請求項2においては、磁化手段を付勢
する交流電力波形の周期(T2)が、ファラデ−効果素
子手段の露光周期(T1)及びファラデ−効果素子手段
からの反射光の検出周期の少なくとも一方の2倍に設定
される。磁化手段が発生する磁束の直接の影響が小さく
なるタイミングは、磁化手段を付勢する交流電力波形の
ゼロクロス点の近傍であるため、このタイミングは交流
電力波形の1周期に2回存在する。従って、周期T2を
周期T1の2倍にすることによって、磁化手段を付勢す
る交流電力波形のそれぞれのゼロクロス点近傍で、疵の
有無を検出できる。即ち、T2とT1の周期を同一にす
る場合と比べ、2倍の速度で疵の検査を実施しうる。
【0021】また請求項3においては、ファラデ−効果
素子手段の露光期間及びファラデ−効果素子手段からの
反射光の検出期間の少なくとも一方が、期間制限手段
(94)によって、磁化手段の付勢レベルが小さい期間
中のみに制限される。
【0022】
【実施例】実施例の磁気光学欠陥検出装置の主要部であ
る検出ユニットの構成を図1に示す。図1を参照して説
明する。ケ−シング20の先端部20aに薄板状のファ
ラデ−効果素子21が固定されている。ケ−シング20
の内部には、ファラデ−効果素子21の面に光軸を向け
て配置された照明装置10が備わっている。また、照明
装置10と別の位置に、CCDイメ−ジセンサが撮像装
置24として設置されている。照明装置10から出た照
明光は、ファラデ−効果素子21を透過し、その底面の
反射膜で反射して再びファラデ−効果素子21を透過
し、検光子22及びレンズ23を通って撮像装置24で
受光される。
【0023】照明装置10の縦断面を拡大して図2に示
し、照明装置10の平面図を図3に示す。図2及び図3
を参照して説明する。光拡散体1は、直方体のガラス材
料で構成してある。大きさは、X軸方向が90mm、Y
軸方向が2mm、Z軸方向が50mmになっている。光
拡散体1の6つの面11,12,13,14,15及び
16のうち、側方の4面11,12,13及び14に
は、アルミニウムの蒸着によって形成した光反射膜1c
がそれぞれ設けてあり、残りの2面15及び16は透明
になっている。
【0024】光拡散体1の面15には、それと対向する
面16の方向に光軸を向けて配置した5個の発光ダイオ
−ド2A,2B,2C,2D及び2EをX軸方向に等間
隔に並べて固定してある。発光ダイオ−ド2A,2B,
2C,2D及び2Eは、全て近赤外線の波長(770〜
790nm)で発光する特性を有している。近赤外線の
波長で発光する発光ダイオ−ドを照明用光源として用い
ることにより、ファラデ−効果素子21の検出感度が高
くなる。
【0025】光拡散体1の上側の面14には、発光ダイ
オ−ド2A,2B,2C,2D及び2Eの近傍に、それ
ぞれ、フォトダイオ−ド6A,6B,6C,6D及び6
Eが受光面を下に向けて設置してある。フォトダイオ−
ド6A,6B,6C,6D及び6Eの受光面と対向する
部分については、面14の光反射膜1cは取除いてあ
る。即ち、フォトダイオ−ド6A,6B,6C,6D及
び6Eは、それぞれ、発光ダイオ−ド2A,2B,2
C,2D及び2Eの近傍での照度を検出することができ
る。
【0026】光拡散体1の側方の4面11,12,13
及び14には光反射膜1cが形成されているので、発光
ダイオ−ド2A,2B,2C,2D及び2Eから出た光
は、入射面1aから光拡散体1に入射し、その内空間で
光反射膜1cによって反射を繰り返し、出射面1bから
光拡散体1の外に出る。発光ダイオ−ドは比較的指向性
が高いため、入射面1aの近傍では、位置によって照度
に大きな差が生じるが、光拡散体1の内部で反射を繰り
返すことによって、照度が均一化され、照度分布が比較
的平担になる。
【0027】照明光の光強度分布を更に平担にするため
に、出射面1bの外側に、2組の光拡散器3及び4を設
置してある。光拡散器3及び4の材料は、半透明の樹脂
フィルムであり、それを透過する光を拡散する機能を有
する。光拡散器3は、出射面1bの全幅に渡ってそれを
覆うように配置した1枚の樹脂フィルムで構成してあ
る。また光拡散器4は、分割された複数の樹脂フィルム
で構成してあり、複数の樹脂フィルムは各々、発光ダイ
オ−ド2A,2B,2C,2D及び2Eの光軸の中心
(A1,A2,A3,A4,A5)が通る位置及びその
周辺部のみを覆うように配置されている。
【0028】光拡散体1の内部での反射の繰り返し、な
らびに光拡散器3及び4のそれぞれによる光の拡散によ
って、図4に示すように、光強度分布は平担化されるの
で、この照明装置10の出力には、均一な照度分布が得
られる。また、光拡散器3,4の外側に偏光板5が設置
されているため、照明装置10の出力には、直線偏光の
照明光が得られる。この照明光が、図1に示すファラデ
−効果素子21に照射される。
【0029】この実施例では、光拡散体1の内部におけ
る照度分布を最適にするために、各位置の光量を検出す
るフォトダイオ−ド6A,6B,6C,6D及び6E
と、発光ダイオ−ド2A,2B,2C,2D及び2Eの
光量を調節する光量調節回路7を設けてある。
【0030】光量調節回路7の構成を図5に示す。図5
を参照すると、光量調節回路7には、それぞれ発光ダイ
オ−ド2A,2B,2C,2D及び2Eの光量を調節す
る、独立した5組の回路が備わっている。各々の回路に
は、可変抵抗器7a,減算器7b,増幅器7c及びドラ
イバ7dが備わっている。5組の回路の可変抵抗器7a
には、それぞれ独立した目標レベルVA,VB,VC,
VD及びVEがセットされる。フォトダイオ−ド6A,
6B,6C,6D及び6Eの出力信号は、増幅器7cで
増幅され、減算器7bに印加される。減算器7bは、可
変抵抗器7aが出力する目標レベルと増幅器7cの出力
レベルとの差の信号をドライバ7dに印加する。従っ
て、各可変抵抗器7aにセットされた目標レベルVA〜
VEと、フォトダイオ−ド6A〜6Eの検出した光量と
に応じて、発光ダイオ−ド2A〜2Eの発光量が自動的
に調節される。この実施例では、フォトダイオ−ド6A
〜6Eの検出する光量分布が均一になるように、予め目
標レベルVA,VB,VC,VD及びVEをセットして
ある。従って、側方の面11,13からの反射の影響な
ども補償され、均一な照度分布が照明装置10の出力に
得られる。
【0031】図1に示した検出ユニットを用いて構成し
た欠陥検出装置を正面から見た状態及び側面から見た状
態の外観を、それぞれ図7及び図8に示す。この欠陥検
査装置は、製造された厚板鋼板61の検査ラインに設置
されている。厚板鋼板61は、図7の矢印方向に高速で
搬送されながら、その表面の全域が欠陥検査装置によっ
て検査される。実際の厚板鋼板61は非常に大きいの
で、その全域を1台の欠陥検査装置で検査することはで
きず、従って実際には、多数の欠陥検査装置が検査ライ
ン上に配列されているが、図では1台の欠陥検査装置の
みが示されている。また、欠陥検査装置は移動しない
が、4つの車輪62を介して厚板鋼板の表面61aと常
時当接しており、表面61aに倣って動くように支持さ
れている。
【0032】この欠陥検査装置は、ファラデ−効果を利
用して、厚板鋼板表面の欠陥を検出する。即ち、厚板鋼
板61を磁化する場合、欠陥が無ければ表面61a上に
漏洩磁束は生じないが、欠陥があると漏洩磁束が生じ
る。従って、表面61a上にファラデ−効果を生じる素
子を配置すれば、漏洩磁束の有無によって、該素子の磁
区幅が変化するので、偏光の方向によって、漏洩磁束の
有無、つまり欠陥の有無が検出できる。従って、この欠
陥検査装置の主要部は、磁化器50,ファラデ−効果素
子21,照明装置10,検光子22,レンズ23及び撮
像装置24で構成されている。
【0033】ファラデ−効果素子21は、薄板状で厚板
鋼板61の幅方向に長い帯状(長方形状)に形成されて
おり、厚板鋼板61の表面1aに近接してそれと対向す
るように配置されている。ファラデ−効果素子21の主
要部は、希土類・鉄・ガ−ネット(RIG)の垂直磁化
膜であり、面に垂直な方向以外は難磁化特性を有し、5
00〜1000エルステッド程度の水平磁界では磁区の
移動や磁気飽和が生じない物が使用されている。また、
膜の上面(光の入射面)には無反射コ−ティング、膜の
底面(鋼板と対向する面)には全反射コ−ティングがそ
れぞれ施されており、ファラデ−効果素子21に入射し
た光は、垂直磁化膜内を通り、底面で反射されて再び垂
直磁化膜内を通り、ファラデ−効果素子21から出る。
光が垂直磁化膜内を往復する間に、各々の位置の磁区に
応じて、偏光面の回転が生じる。従って、検光子22を
介して観察できる画像(偏光パタ−ン)は、ファラデ−
効果素子21上の磁区模様に対応する。そして、各磁区
の幅が垂直方向の磁束(価板表面又は表層部の欠陥から
の漏れ磁束)の大きさによって変化する。このため、検
光子22を介して観察される画像により、欠陥の有無を
識別できる。
【0034】磁化器50の外観を図6に示す。図6を参
照すると、この磁化器50は、強磁性体で構成されたコ
ア51と、それに巻回された2つの電気コイル52及び
53で構成されている。コア51は、4辺51a,51
b,51c及び51dでなる実質上矩形の枠体であり、
互いに対向する2辺51c及び51dに、それぞれ電気
コイル52及び53が巻回してある。また残りの2辺5
1a及び51bには、それぞれ突起51e及び51fが
形成してある。2つの電気コイル52及び53は、巻数
が同一になっており、また互いに対称に磁束を発生する
ように結線されている。つまり、電気コイル52の一端
52aがN極、他端52bがS極になる時には、電気コ
イル53の一端53aがN極、他端53bがS極にな
り、突起51e及び51fがそれぞれN極及びS極の磁
極を形成する。
【0035】図7及び図8に示すように、突起51e及
び51fは、厚板鋼板61の表面61aと近接して配置
されているので、電気コイル52及び53に通電し、突
起51e及び51fに磁極を形成することによって、厚
板鋼板61が磁化される。また、突起51e及び51f
は、各辺51a及び51bの中央部に形成されているの
で、厚板鋼板61は、磁化器50の中心部と対向する位
置が最も強く磁化される。この位置と対向するように、
ファラデ−効果素子21が配置されている。また、コア
51は矩形の枠体であり、その中央部は開口部51gを
形成しているので、この部分に光路が形成されるように
光学系、即ちファラデ−効果素子21,照明装置10,
検光子22,レンズ23及び撮像装置24を含む図1の
検出ユニットが配置されている。
【0036】照明装置10は、スリット状の光をファラ
デ−効果素子21に照射するので、ファラデ−効果素子
21の全領域が同時に照明される。また照明装置10に
は偏光板5が備わっているので、ファラデ−効果素子2
1は直線偏光された光で照明される。照明光の波長は、
ファラデ−効果素子21の感度が高い770〜790n
mの範囲になっている。
【0037】検光子22,レンズ23及び撮像装置24
は、ファラデ−効果素子21の上方に、照明装置10と
光学的に対称な位置関係で配置されている。検光子22
は、偏光板であり、それを透過する光の偏光方向が、偏
光板5に対して45度傾けてある。検光子22を透過し
た光は、レンズ23で集光されて撮像装置24に入射
し、一次元画像として撮像される。
【0038】また、ファラデ−効果素子21を含む検出
ユニットを支持している部材及び突起51eには、それ
ぞれ市販のレ−ザ距離計で構成される間隙センサ71及
び72が設置されている。間隙センサ71は、検出面を
下に向けて配置されており、ファラデ−効果素子21の
底面と厚板鋼板61の表面61aとの間隙を検出する。
また間隙センサ72は、検出面を下に向けて配置されて
おり、突起51e、即ち磁極の先端と厚板鋼板61の表
面61aとの間隙を検出する。この欠陥検査装置は、車
輪62などで構成される倣い機構によって、厚板鋼板6
1の表面61aに倣うように動くので、上記間隙が大き
く変化する機会は少ないが、厚板鋼板61の移動に伴な
う振動などによって、間隙に僅かな変化が生じうる。し
かし、これらの間隙の大きさが変化すると、検査対象物
である厚板鋼板61の磁化の程度が変化し、漏れ磁束の
大きさも変化し、欠陥検出に利用される信号のS/N比
が悪化する。そこでこの実施例では、間隙センサ71及
び72で検出した間隙に基づいて、電気コイル52及び
53に流す電流の大きさを自動的に調整し、常に最高の
S/N比が得られるように制御している。
【0039】この欠陥検査装置の電気回路の構成を図9
に示す。図9を参照して説明する。発振器81は、この
電気回路の基本的な制御タイミングを定める周期が一定
(T1)の同期信号SYNCを出力する。撮像装置24
は、同期信号SYNCに同期して、一次元画像の読取を
繰り返し実施する。図14に示すように、撮像装置24
は、同期信号SYNCが低レベルのある周期T(1)で
は、nライン目の一次元画像の露光とn−1ライン目の
一次元画像信号の撮像装置24からの読み出しを実施
し、次の周期T(2)では、n+1ライン目の一次元画像
の露光とnライン目の一次元画像信号の読み出しを実施
し、次の周期T(3)では、n+2ライン目の一次元画像
の露光とn+1ライン目の一次元画像信号の読み出しを
実施する。この例では、撮像対象の一次元画像は、厚板
鋼板61の移動に伴なって時間とともに変化する。従っ
て、鋼板61上の二次元領域の画像を撮像できる。また
撮像装置24は、同期信号SYNCが高レベルの期間で
は、それまでの露光によって蓄積された1ライン分の各
画素の電荷を、信号読み出し用のシフトレジスタ(図示
せず)に転送する。
【0040】発振器81が出力する同期信号SYNC
は、移相器85にも印加される。移相器85は、入力さ
れた信号の位相を設定量だけシフトした信号を出力す
る。移相器85の位相シフト量ψ1は可変になってお
り、オペレ−タの操作により調整できるが、この例では
同期信号SYNCに対する位相角で、ψ1を約120度
に設定してある。移相器85が出力する信号SG1は、
モノマルチ(単安定マルチバイブレ−タ)94に入力さ
れる。モノマルチ94は、入力信号の立ち上がりに同期
して、パルス幅ψ2が一定のパルス信号を出力する。モ
ノマルチ94が出力する信号のパルス幅ψ2は可変にな
っており、オペレ−タの操作により調整できるが、この
例では同期信号SYNCに対する位相角で、ψ2を約1
20度に設定してある。モノマルチ94が出力する信号
SG2は、ストロボ電源82に印加される。ストロボ電
源82は、入力信号SG2に同期したパルス電力を、照
明装置10にその電源として供給する。従って照明は、
信号SG2が高レベルの時のみ実施され、間欠的な照明
になる。
【0041】発振器81が出力する同期信号SYNC
は、分周器91にも入力される。分周器91は、フリッ
プフロップであり、周期が入力信号の2倍(T2)でデ
ュ−ティが50%の信号SYN2を出力する。この信号
SYN2が、極性変換器42とデ−タセレクタ76に印
加される。デ−タセレクタ76は、信号SYN2が高レ
ベルの時には電流値C+、信号SYN2が低レベルの時
には電流値C−を、それぞれD/A変換器77の入力に
印加する。
【0042】電流値C+,C−は、磁化コイル(電気コ
イル)52及び53に流す電流を決定する値であり、検
出信号のS/N比を最大にするように、マイクロコンピ
ュ−タCPUによって決定され、間隙センサ71が検出
した間隙G1,間隙センサ72が検出した間隙G2,製
造ラインを管理するプロセスコンピュ−タ78から得ら
れる検出対象鋼板の寸法及び鋼種に応じて変更される。
電流の+側の値C+及び−側の値C−は、ラッチ75に
保持され、それらの一方がデ−タセレクタ76を介して
D/A変換器77に印加される。即ち、デ−タセレクタ
76に印加される2つの信号C+,C−は、信号SYN
2の半周期毎に、交互に切換えられ、D/A変換器77
に印加される。従って、D/A変換器77から出力され
る信号SG3の波形は、信号SYN2と同じ方形波であ
り、SG3の高レベル及び低レベルが、それぞれ信号C
+及びC−によって定まる。
【0043】D/A変換器77が出力する信号SG3
は、積分器92によって信号SG4に変換される。信号
SG3が高レベルの期間では積分器92の出力レベルは
一定の傾きで上昇し、信号SG3が低レベルの期間では
積分器92の出力レベルは一定の傾きで下降する。従っ
て、図14に示すように、信号SG4の波形は三角波に
なる。この信号SG4は、ロ−パスフィルタ93を通っ
て信号SG5になる。ロ−パスフィルタ93は、(1/
T2)よりも少し高い遮断周波数を有しており、信号S
G4に含まれる周波数が(1/T2)の基本波成分だけ
を通す。従って、ロ−パスフィルタ93から出力される
信号SG5は、図14に示すように、周期がT2で、波
形が正弦波になる。電力増幅器64は、D/A変換器7
7が出力する信号SG5のレベルを目標値とする一定の
電流を磁化コイル52及び53に流すように制御する。
【0044】磁化コイル52及び53に印加される電力
の極性は周期的に変化するので、磁化コイル52及び5
3によって磁化器50に発生する磁極も周期的に変化す
る。この極性変化の周期は非常に短いので、表皮効果が
現われ、厚板鋼板61中の磁束はその表層部分に集中す
る。これにより、比較的小さい電力で、厚板鋼板61の
欠陥検出に必要な部分だけを磁化することができる。
【0045】撮像装置24は、検光子22を介して入射
する一次元画像光を繰り返し撮像し、画像信号をシリア
ル信号として出力する。画像の露光と画像信号の読み出
しは、1ライン毎に実施され、図14に示すように、n
−1ラインの画像信号の読み出しとnラインの画像の露
光とが同時に実施される。撮像装置24が出力する画像
信号は、A/D変換器41によってデジタル信号に変換
され、極性変換器42に印加される。極性変換器42
は、分周器91が出力する信号SYN2によって制御さ
れる。極性変換器42が出力する画像信号は、ラインバ
ッファ43と加算器44に印加される。加算器44は、
極性変換器42が出力する画像信号とラインバッファ4
3が出力する画像信号とを加算し、その結果を画像処理
装置45に出力する。画像処理装置45は、画像信号に
所定の画像処理を施し、処理の結果を欠陥弁別器46に
出力する。欠陥弁別器46は、欠陥の有無を識別する。
モニタTV47は、画像処理前の画像,画像処理後の画
像,欠陥弁別結果等をその二次元表示画面に表示するこ
とができる。
【0046】撮像装置24の位置で見える2次元画像
(検光子22を通った光像)の例を、図10及び図11
に示す。この2次元画像の中の1ラインの画像が、撮像
装置24によって繰り返し撮像される。図10及び図1
1に示す画像は、人工的に作られた表面欠陥を含む厚板
表面部に、ファラデ−効果素子21を対向させた時に得
られた画像であり、図10は、厚板鋼板61の磁化極性
が正の場合の画像であり、図11はそれから磁化極性変
化周期の半周期後(T1後)の、つまり磁化極性が負の
場合の画像である。画像中の全域にわたって見られる模
様は、ファラデ−効果素子21の磁区模様である。
【0047】極性変換器42は、画像信号の極性(ポジ
/ネガ)を切換える回路であり、信号SYN2に従って
ポジ/ネガを切換え、磁化極性変化周期の半周期T1毎
に、ポジ画像とネガ画像とを交互に出力する。従って例
えば、厚板鋼板61の磁化極性が正の時にはポジ画像が
出力され、厚板鋼板61の磁化極性が負の時にはネガ画
像が出力される。
【0048】図12は、図11の画像のネガ画像を示し
ている。図12を参照すると、磁区模様の白黒が反転し
ており、また欠陥部分の白黒の割合いは磁化極性が逆の
画像(図10)と同様になっているのが分かる。そこで
この実施例では、図10のような画像の信号成分と図1
2のような画像の信号成分とを加算器44で加算するこ
とによって、ノイズである磁区模様の成分を打ち消すよ
うにしている。
【0049】ラインバッファ43は、磁化極性変化周期
の半周期毎に、それまでに記憶していた1ラインの画像
信号の出力と新しい1ラインの画像信号の書き込みとを
同時に行なう。従って加算器44には、極性変換器から
出力される最新の画像信号と、半周期前の画像信号とが
同時に印加されるが、それらのうち一方は反転されたネ
ガ画像であり、他方は反転されないポジ画像であり、し
かも両者は磁化極性が逆であるので、図10のような画
像と図12のような画像とを同じタイミングで加算する
ことができる。
【0050】この加算によって得られる画像は、例えば
図13の最上部に示すようになり、磁区模様の成分はほ
とんど消え、しかも欠陥部分のコントラストが倍増す
る。図13の中央部に示す波形は、加算によって得られ
る画像の1ラインの信号レベル変化を示しているが、欠
陥の有無を識別するためには、更に信号を処理する必要
がある。
【0051】そこで次の画像処理装置45で、様々な信
号処理を実施している。即ち、ロ−パスフィルタ処理,
画像の縦方向の平均化処理,及びハイパスフィルタ処理
を実施している。ロ−パスフィルタ処理(平滑化)によ
って、磁区模様の残留成分が更に減衰され、縦方向の平
均化処理によって、欠陥信号のS/N比が改善され、ハ
イパスフィルタ処理によって、磁化器による緩やかな垂
直磁界分布によって生じる画像の輝度むらを低減するこ
とができる。この処理の結果、図13の最下部に示す信
号波形が得られ、この信号が次の欠陥弁別器46に印加
される。欠陥弁別器46は、図13の最下部に示す信号
のような比較的大きなレベル変化を、欠陥として識別す
る。
【0052】ところで、この実施例では磁化器50の磁
極が、ファラデ−効果素子21に比較的近い位置に存在
しており、それらの間に遮蔽部材は特に設置されていな
い。従って、ファラデ−効果素子21は、厚板鋼板61
の欠陥から生じる垂直方向の漏れ磁束の影響だけでな
く、磁化器50の磁極から発生する磁束の直接の影響を
も受ける。図15は、厚板鋼板61の欠陥を欠陥検出装
置の中央に配置して、磁化器50の励磁電流が互いに異
なる時刻TA,TB,TC及びTDにおいて、ファラデ
−効果素子21の位置における垂直方向磁束密度の分布
を測定した結果を示している。S15A,S15B,S
15C及びS15Dが、それぞれ時刻TA,TB,TC
及びTDで測定したものである。図15を参照すると、
S15Bを除き、欠陥による漏れ磁束以外の影響を受け
ているのが分かる。
【0053】また、磁化器50の磁極から発生する磁束
と、欠陥によって生じる漏れ磁束との間には時間的なず
れ(位相差)が生じる。図16は、磁化器50の磁極の
直下で測定した垂直方向磁束密度の波形S16Aと、欠
陥検出装置の中央位置で測定した欠陥によって生じた垂
直方向磁束密度の波形S16Bを示している。図16を
参照すると、2つの波形S16A,S16Bの間には位
相差が生じているのが分かる。この例では、位相差が1
35度になっているが、この位相差は一定ではなく、鋼
板の厚み等に応じて位相差が変わる。例えば、鋼板の厚
みが薄くなるに従って、位相差は小さくなる傾向があ
る。
【0054】このような位相差があるため、磁化器によ
って直接生じる磁束(S16A)の影響が比較的小さい
時に、欠陥によって生じる信号S16Bの存在の有無を
調べることができる。逆に、磁化器によって直接生じる
磁束(S16A)の影響が大きい時に欠陥の検査を禁止
することによって、磁化器によって直接生じる磁束(S
16A)の影響を避けることができる。
【0055】図17は、実施例に似た実験装置で鋼板上
の疵のある領域を検査した時に、画像処理装置45が出
力する信号の例を示している。信号S17AとS17B
とは、同一の走査位置の画像信号を互いに異なるタイミ
ングでサンプリングして得られたものであり、信号S1
7Aは磁化器50の磁極近傍の垂直方向磁束密度がほぼ
零の時の信号であり、信号S17Bは磁化器50の磁極
近傍の垂直方向磁束密度が最大(交流波形のピ−ク)の
時の信号である。
【0056】図17を参照すると、信号S17A上に
は、疵の位置で疵の存在を示すレベル変化が現われてい
るのに対し、信号S17Bにおいては、疵の位置での特
徴的なレベル変化は現われておらず、疵が存在しない位
置でレベル変化が生じている。即ち、信号S17Bをサ
ンプリングした時には、磁化器の付勢によって直接生じ
る垂直方向磁束密度が非常に大きいため、その影響によ
ってファラデ−効果素子が両端の近傍で磁気飽和しかか
っている。また、磁化器による磁束と疵によって生じる
漏れ磁束との位相差のために、疵の位置では疵信号が信
号S17Bに現われない。従って、磁化器の磁極近傍の
垂直方向磁束密度が大きい時に疵の検査を実施すると、
疵の検出漏れが生じる可能性があるが、磁化器の磁極近
傍の垂直方向磁束密度がほぼ零の時に疵の検査を実施す
れば、確実に疵を検出できる。
【0057】実施例においては、照明装置10への電源
供給が信号SG2によって制御されており、信号SG2
が高レベルの時にのみ照明が実施される。従って、ファ
ラデ−効果素子21の露光も、信号SG2が高レベルの
時にのみ実施される。この例では信号SG2が高レベル
になるのは、図14に示すように、同期信号SYNCの
立上りから移相器85による位相シフト量ψ1だけ遅れ
たタイミングで始まり、それからモノマルチ94によっ
て定まるパルス幅ψ2の期間だけである。この期間は、
磁化器50の付勢波形SG5のゼロクロス点の近傍に定
めてある。従って、ファラデ−効果素子21の露光をす
る時には、磁化器50が発生する磁束の直接の影響はほ
とんどなく、しかも欠陥によって生じる垂直方向磁束密
度の波形SG6は充分に大きなレベルを有している。こ
のため、露光を実施する期間中は、磁化器50が発生す
る磁束の直接の影響によってファラデ−効果素子21が
磁気飽和することがなく、欠陥によって生じる漏れ磁束
を確実に検出できる。
【0058】この実施例では、磁化器50を付勢する信
号SG5の周期T2を、同期信号SYNCの周期T1の
2倍に定めてある。即ち、交流波形のゼロクロス点は該
波形の1周期に2回存在するので、磁化器の付勢周期T
2を露光周期T1の2倍にすることで、磁化器の付勢波
形(SG5)のそれぞれのゼロクロス点で、露光を実施
することができる。これにより、露光周期を短くして欠
陥検査速度を速くすることができる。つまり、磁化器に
よって生じる磁束の直接の影響を避けるためには、ψ2
/T2の比率は小さくせざるを得ないので、1ラインあ
たりの露光周期をあまり短くすると、ψ2が小さくなり
露光量が不足する恐れがあるが、磁化器の付勢周期T2
を露光周期T1の2倍にすることで、露光周期T1を短
くした場合でも、充分な露光量が得られる。
【0059】なお上記実施例においては、磁化器によっ
て生じる磁束密度が小さい時のみに欠陥の検査を実施す
るために、照明装置10の照明を点灯する期間を信号S
G2で制御しているが、照明以外の手段を制御しても本
発明は実施しうる。例えば、照明装置10の発光面と撮
像装置24の受光面との間の光路中に、光学的なシャッ
タ−を設置し、それを制御すれば、露光期間を制限しう
る。また例えば、撮像装置24自体が露光時間を制限す
る機能を有する場合には、その機能を利用して露光を制
御しても良い。
【0060】また実施例では、装置全体で使用する同期
信号SYNCに基づいて、露光時間を定める信号SG2
を生成しているが、次のような変更も可能である。例え
ば、磁化器の磁極近傍に磁気センサを設置して、この磁
気センサが検出した磁束密度のゼロクロス点に同期する
ように、信号SG2を生成してもよい。
【0061】
【発明の効果】以上のとおり本発明によれば、同期制御
手段(81)が磁化手段(50)の付勢と、ファラデ−
効果素子手段(21)の露光もしくはファラデ−効果素
子手段からの反射光の検出との同期をとり、位相調整手
段(85)が、磁化手段の付勢レベルが小さい時に、前
記ファラデ−効果素子手段の露光もしくはファラデ−効
果素子手段からの反射光の検出をするように信号の位相
を調整する。従って、欠陥検出手段(24,41〜4
6)が検出する信号については、磁化手段が発生する磁
束の直接の影響が小さい。このため、高感度のファラデ
−効果素子手段を用いる場合であっても、それが磁気飽
和しない時に検査対象物を検査することができ、疵の有
無を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の欠陥検査装置に用いる検出ユニット
の正面図である。
【図2】 図1の検出ユニットの照明装置10の拡大縦
断面図である。
【図3】 照明装置10の平面図である。
【図4】 照明装置10の各部の光量分布を示すグラフ
である。
【図5】 照明装置10の光量調節回路を示すブロック
図である。
【図6】 図7の磁化器50の外観を示す斜視図であ
る。
【図7】 実施例の欠陥検査装置の主要部の外観を示す
正面図である。
【図8】 図7の欠陥検査装置の側面図である。
【図9】 欠陥検査装置の電気回路の構成を示すブロッ
ク図である。
【図10】 撮像装置24の位置で見える画像の例を示
す平面図である。
【図11】 図10の半周期後の画像を示す平面図であ
る。
【図12】 図11の画像のネガ画像を示す平面図であ
る。
【図13】 処理前及び処理後の画像の輝度変化を示す
波形図である。
【図14】 図9に示す回路各部の信号等を示すタイム
チャ−トである。
【図15】 複数のタイミングにおける垂直方向磁束密
度分布を示すグラフである。
【図16】 磁極近傍の磁束密度と漏れ磁束の磁束密度
とを示すタイムチャ−トである。
【図17】 互いに異なるタイミングで抽出した画像処
理後の2つの信号を示すタイムチャ−トである。
【符号の説明】
1:光拡散体 1a:入射面 1b:出射面 1c:光反射膜 2A,2B,2C,2D,2E:発光ダイオ−ド 3,4:光拡散器 5:偏光板 6A,6B,6C,6D,6E:フォトダイオ−ド 7:光量調節回路 7a:可変抵抗器 7b:減算器 7c:増幅器 7d:ドライバ 10:照明装置 11〜16:面 20:ケ−シング 21:ファラデ−効果素子 22:検光子 23:レンズ 24:撮像装置 41:A/D変換器 42:極性変換器 43:ラインバッファ 44:加算器 45:画像処理装置 46:欠陥弁別器 47:モニタTV 50:磁化器 51:コア 51a,51b,51
c,51d:辺 51e,51f:突起 51g:開口部 52,53:電気コイル 61:厚板鋼板 62:車輪 64:電力増幅器 71,72:間隙センサ 73:磁束密度決定処
理 74:磁化電流決定処理 75:ラッチ 76:デ−タセレクタ 77:D/A変換器 78:プロセスコンピュ−タ 81:発振器 82:ストロボ電源 85:移相器 91:分周器 92:積分器 93:ロ−パスフィルタ 94:モノマルチ A1,A2,A3,A4,A5:光軸 CPU:マイクロコンピュ−タ VA,VB,VC,VD,VE:目標レベル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検査対象物の少なくとも表層部を磁化す
    る磁化手段;検査対象物の磁化される面の近傍に配置さ
    れ、それが受ける磁界に応じて磁区が変化する、ファラ
    デ−効果素子手段;直線偏光の光を、前記ファラデ−効
    果素子手段の面に照射する、照明手段;前記ファラデ−
    効果素子手段からの反射光を受光する検光子;該検光子
    の近傍に配置され、検光子を通った光の強度から検査対
    象物上の欠陥を検出する、欠陥検出手段;を含む磁気光
    学欠陥検査装置において:前記磁化手段の付勢と、前記
    ファラデ−効果素子手段の露光もしくはファラデ−効果
    素子手段からの反射光の検出との同期をとる、同期制御
    手段;及び前記磁化手段の付勢レベルが小さい時に、前
    記ファラデ−効果素子手段の露光もしくはファラデ−効
    果素子手段からの反射光の検出をするように信号の位相
    を調整する、位相調整手段;を設けたことを特徴とす
    る、磁気光学欠陥検査装置。
  2. 【請求項2】 前記磁化手段を付勢する交流電力波形の
    周期が、前記ファラデ−効果素子手段の露光周期及びフ
    ァラデ−効果素子手段からの反射光の検出周期の少なく
    とも一方の2倍に設定された、前記請求項1記載の磁気
    光学欠陥検査装置。
  3. 【請求項3】 前記ファラデ−効果素子手段の露光期間
    及びファラデ−効果素子手段からの反射光の検出期間の
    少なくとも一方を、前記磁化手段の付勢レベルが小さい
    期間中のみに制限する、期間制限手段を備える前記請求
    項1記載の磁気光学欠陥検査装置。
JP5311295A 1995-03-14 1995-03-14 磁気光学欠陥検査装置 Withdrawn JPH08248003A (ja)

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