JPH0824637A - 吸着材 - Google Patents

吸着材

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JPH0824637A
JPH0824637A JP6183949A JP18394994A JPH0824637A JP H0824637 A JPH0824637 A JP H0824637A JP 6183949 A JP6183949 A JP 6183949A JP 18394994 A JP18394994 A JP 18394994A JP H0824637 A JPH0824637 A JP H0824637A
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adsorbent
sheet
acf
activated carbon
ptfe
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直樹 酒井
Tetsuo Shigei
哲郎 繁井
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孝之 田中
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ACF本来の吸着活性を失うことなく、引張
強度、引張伸度が高く、成形性に優れ、圧力損失が少な
く、成形時及び吸着材としての使用時にACFの黒粉が
発生することが防止された吸着材を提供する。 【構成】 本発明の吸着材は、ACFを含む炭素材(又
はACFと粉末炭を含む炭素材)がPTFEのフィブリ
ルで相互に結合されたものであり、その引張強度は5〜
1000gf/mm2、引張伸度は10%以上、充填密度は0.4
〜1.0g/cm3である。本発明の吸着材の製造方法は、粉砕
ACFを含む炭素材(又は粉砕ACFと粉末炭を含む炭
素材)とPTFEを混合し、液体成分が40重量%以下
になるまで乾燥し、次いで圧縮剪断応力を吸着材の引張
強度が5gf/mm2以上に増大するまで与えて、PTFEを
フィブリル化して網目構造を発達させるプロセスからな
る。図1において、1はACF、2はフィブルリ化PT
FEである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性炭素繊維(以下、
ACFという)及びフィブリル化性ポリテトラフルオロ
エチレン樹脂(以下、PTFEという)を含む吸着材に
関する。詳しくは、本発明は、高い嵩密度(充填密度と
同じ)、高い機械的強度と高い伸度を持ち、高い吸着活
性と気体透過性を有し、取扱い時に黒粉の発生が少な
く、種々の形状に成形可能な吸着材に関する。さらに本
発明は、吸着材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、活性炭は、吸着材として使用する
ことが知られており、その形態は粉末状又は粒状(以
下、粉末状と略す)が主体であった。これらの活性炭
は、吸着活性を保ったまま成形体とすること、及びその
取扱や加工することが困難であり、その用途の拡大を阻
んでいた。粉末状活性炭を成形したものとして、ハニカ
ム状成形体に成形することや、粉末状活性炭をウレタン
のスポンジに担持させることが提案されているが、これ
らの製品は、脆く且つ破砕による微粉末の発生が生ずる
という問題があった。
【0003】粉末状活性炭の取扱性を改善し、更に用途
の拡大を図るため、近年、粉末状活性炭と樹脂とを組み
合わせる試みがなされている。例えば、粉末状活性炭に
フィブリル化性フッ素樹脂を配合したシート状活性炭
が、特開平3−122008号公報、特開平3−228
813号公報、特開平3−228814号公報により知
られている。これらの方法によれば、PTFEをフィブ
リル化して網目構造を形成させ、その網目構造に活性炭
の粒子を採り込ませることにより、活性炭表面をコーテ
ィングすることをできるだけ防止してその活性を保持さ
せている。
【0004】これに対し、近年開発されたACFは、外
表面積が大きいうえ、吸着に関与する細孔が直接表面に
開孔しているため吸着速度が速く、単位重量あたりの吸
着容量においても粉末状活性炭より優れている。しか
も、ACFは繊維状であるため粉末状又は粒状のものに
比べて加工性に優れ、ACF単独でフエルト、織物、あ
るいは木材パルプ、合成パルプ、有機合成繊維等と混抄
して紙等のシート状ACFとして利用することが知られ
ており、活性炭の用途拡大に貢献している。例えば、有
機合成繊維のミクロフィブリル化繊維とACFとを混抄
したシート状ACFは、特開平3−202108号公報
により知られている。
【0005】活性炭を吸着材として利用したものとし
て、例えば、次のような吸着エレメントがある。汚染さ
れている大気中にはSOxやNOxなどの腐食性成分が
含まれており、この汚染大気が電気機器内部に侵入する
と、コンピューターなどの電子回路や、配線及び接点の
腐食を引き起こし、故障や誤作動の原因となるので、そ
の対策として、粉末状活性炭を充填した吸着エレメント
を、電気機器の通気孔や、電気機器の内部に設置し、汚
染物質の侵入を防いだり、侵入した汚染物質を吸着によ
り除去することが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の粉末状活性炭にフィブリル化性のフッ素樹脂を配合
してシート状にしたものは、シート状に加工する際に粉
末状活性炭の充填密度が急激に上がるため、製造される
シート状活性炭の充填密度は高くなり、そのために成形
されたシート状活性炭の圧力損失が大きくなるという不
都合が発生した。そのような不都合を除去するためにシ
ート状活性炭における充填密度を下げるようコントロー
ルするための特別な手段が必要であった。
【0007】例えば、特開平3−228813号公報に
開示の粉末状活性炭を用いたシート状活性炭は、粉末状
活性炭をフィブリル化性のフッ素樹脂及び易水溶性の無
機塩粉体とアルコール系混練助剤とともに混練し、シー
ト状に成形し、次いでこのシート状活性炭から無機塩を
溶出することにより、充填密度を低下させるものであ
る。該公報によれば、このような易水溶性の無機塩粉体
を添加して製造したシート状活性炭の嵩密度(充填密度
と同義)は0.35g/ccであること、このような処
理をしないと嵩密度が高くなり、圧力損失が大きくなる
ことが示されている。
【0008】さらに、特開平3−228814号公報に
記載の粉末活性炭を用いたシート状活性炭は、抄紙法に
より製造されたシート状活性炭をさらに温度250℃以
上、圧力10kgf/cm2 以上の熱圧処理すること
が、シート状活性炭の充填密度を低下させるために必須
であった。該公報によれば、このようにして製造された
シート状活性炭の嵩密度(充填密度と同義)は概ね0.
5g/cm3 未満であるのに対し、このような熱圧処理
を行なわないで製造したシート状活性炭の嵩密度は0.
65g/cm3 であり、圧力損失も大きいことが示され
ている。
【0009】上記これらの粉末状活性炭を用いたシート
状活性炭において、充填密度を低下させる工程では活性
炭に塩や樹脂による汚染が生じやすく、得られる成形物
の多孔性にも限界があった。また、得られるシート状活
性炭は、強度が低いうえ、特に伸度が10%未満と低い
ため取扱性や加工性に劣り汎用性に問題があった。また
活性炭粒子が密に充填された構造を有するため、得られ
るシート状活性炭は充填密度が極めて高く、気体透過性
の低下や、吸着材内部への気体拡散の悪化が生じ、吸着
特性の発揮を困難にする傾向があった。
【0010】一方、前記従来のシート状ACFは、AC
F自体が嵩高いことから充填密度が低く、シート状AC
Fの充填密度は0.1g/cm3 前後であった。このよ
うに、ACFを成形したものは充填密度が低すぎるた
め、嵩高くなるという欠点があった。さらに、ACF自
体は繊維強度が低く、脆いために、シート状ACFとし
た場合においても繊維が折れて微粉末化し黒粉として脱
落しやすいという欠点があった。
【0011】例えば、ACFを抄紙した紙においては、
吸着材として吸着能力を高めるためにはACFの含有率
が高いことが望まれるが、ACFの含有率を上げると黒
粉の発生量が増大し、紙の強度も低下するため、シート
状物中のACFの含有率は70〜80重量%が限界であ
った。
【0012】さらに例えば、前記有機合成繊維のミクロ
フィブリル繊維とACFとを抄紙したシート状ACF
は、ACFとミクロフィブリル化繊維とを予め混合し、
次いで抄紙するもので、基本的には混抄紙であり、汎用
加工性に欠けるものであった。また、前記従来の粉末状
活性炭を吸着材としてそのまま充填した前記吸着エレメ
ントは、電気伝導性の粉塵が生じやすく、このような粉
塵が電気機器内に混入すると回路の短絡を誘発し、さら
に、粉末状活性炭を単にケースに充填して吸着エレメン
トとしたものは、汚染物質を十分に除去するためにはそ
の充填量を多く必要とし、それゆえ、そのような吸着エ
レメントは嵩高くなってしまうという問題があった。
【0013】このような欠点を改善するために、粉末状
活性炭を吸着材として電気機器用吸着エレメントとする
場合には、例えば、多孔性のメンブレンフィルターでこ
れらの吸着材の周囲を厳重にシールすることにより、電
気機器内へ粉塵や脱落繊維の混入を防ぐ等の特別の処理
加工が必要であった。また、粉塵の発生を防止したり、
吸着性能をあげるために、粉末状活性炭を樹脂で固めた
り、薬品を含浸させることが提案されたが、樹脂で固め
た粉末状活性炭は、圧力損失が大きく、薬品を含浸させ
たものは薬品が溶出するという欠点があった。
【0014】そこで本発明は、前記した従来技術の問題
点を解決し、ACFをシート状吸着材に成形しても、圧
力損失が小さく、しかもACFの本来の吸着活性を殆ど
失うことなく、成型時及び成形物の取扱時に黒粉の発生
が極めて少なく、粉末状活性炭を用いて製造したシート
状活性炭の製造のように、圧力損失を小さくする目的で
シート状活性炭の充填密度を低下させるために特別な手
段を用いる必要がなく、ACF自体の汚染の問題や吸着
材からの薬品の溶出の問題がなく、吸着材自体の伸度が
高く柔軟性に優れ、且つ任意の形状に自由に成形できる
成形性に優れたACFを含む吸着材、及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0015】さらに、本発明は、回路の短絡の原因とな
る黒粉の発生がなく、しかもコンパクトで体積効率の優
れた電気機器等に使用さる吸着エレメント用の吸着材を
提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解決す
るために、本発明の吸着材は、活性炭素繊維を含む炭素
材がポリテトラフルオロエチレン樹脂のフィブリルで相
互に結合されて形成されたものであり、且つ得られた吸
着材は、引張強度5〜1000gf/mm2 、引張伸度
の下限が10%以上、好ましくは20%以上、引張伸度
の上限が100%以下、好ましくは70%以下、充填密
度0.4〜1.0g/cm3 であることを特徴とする。
【0017】別の本発明の吸着材は、活性炭素繊維及び
粉末炭を含む炭素材がポリテトラフルオロエチレン樹脂
のフィブリルで相互に結合されていることを特徴とす
る。
【0018】本発明の吸着材の製造方法は、粉砕された
活性炭素繊維を含む炭素材及びポリテトラフルオロエチ
レン樹脂を混合し、液体成分が40重量%以下、好まし
くは10%以下になるまで乾燥し、次いで圧縮剪断応力
を吸着材の引張強度が5gf/mm2 以上に増大するま
でその混合物に与えてポリテトラフルオロエチレン樹脂
をフィブリル化することを特徴とする。
【0019】本発明に係る吸着素材は、ACF本来の活
性を少しも損なうことなく、種々の形状に成形でき、高
い成形加工性を有し、液体や気体に対し適度な透過性を
発揮でき、優れた強度を持つ吸着物質である。
【0020】本発明の吸着材は、特別な処理工程を導入
することなく多孔質であり、且つ吸着材として使用した
場合には圧力損失の低いものとすることができる。
【0021】本発明において、用語「ACF」とは、通
常の意味で用いられる活性炭素繊維を意味し、例えば、
有機繊維を不融化、炭素化、賦活処理によって、多孔質
の炭素繊維としたものである。
【0022】ACFは、原料の種類によって、ポリアク
リロニトリル系(以下、PAN系と略す)、フェノール
系、ピッチ系、レーヨン系等のACFに分類されるが、
ACFであればいずれの種類に対しても本発明は好適に
適用できる。ACFのなかでは、PAN系ACFが最も
高い強度を持ち汎用性に富む点において本発明には特に
好ましい。
【0023】PAN系ACFの製造法は、例えば、特開
昭51−137694号公報、米国特許明細書第4,2
56,607号、同4,285,831号、同4,36
2,646号、同4,366,085号、同4,41
2,937号、同4,460,650号、同4,50
8,851号、同4,520,623号による方法を使
用することができる。
【0024】SOX 及びNOX 吸収性を考慮に入れれ
ば、180mg/g以上の塩基性基を持つアクリル系活
性炭素繊維は、特開昭54−86490号公報に開示さ
れるようにその塩基性基による優れたSOX 吸収特性を
有し、かつ4〜15重量%の窒素含有量を持つアクリル
系活性炭素繊維は、特公昭56−37865号公報に開
示されるように窒素含有機能基による優れたNOX 吸収
特性を有する。
【0025】本発明に使用されるACFは、その比表面
積が好ましくは400m2 /g以上、さらに好ましくは
600m2 /g以上、最も好ましくは800m2 /g以
上であり、その引張強度は、好ましくは10kgf/m
2 以上、さらに好ましくは20kgf/mm2 以上、
最も好ましくは30kgf/mm2 以上であり、その平
均直径は、好ましくは2〜50μm、より好ましくは3
〜20μm、最も好ましくは5〜15μmである。その
平均直径が2μmより少ない場合、その充填密度は極端
に大きくなる傾向がある。一方、その直径が50μmを
越えると、PTFEのフィブリルが絡みにくくなるため
繊維相互の結合が弱くなり、充分な引張強度を持つ吸収
シートを得るのが困難となる。
【0026】本発明において用語「フィブリル化性PT
FE」とは、剪断応力を与えることにより直径1μm以
下の極めて微細なフィブリルを生ずることのできる特種
のPTFEである。そのようなフィブリル化性PTFE
は、乳化重合によって得られる公知の高分子量のPTF
Eのホモポリマーを含んでいる。米国特許明細書第3,
281,511号、同3,864,124号、同4,1
94,040号、同5,277,729号、特開平3−
122008号公報、特開平3−228813号公報、
特開平3−228814号公報及び特公昭52−328
77号公報に開示されるPTFE材料は、本発明に使用
することができる。三井・デュポンフロロケミカル社か
ら防塵添加剤として市販されているテフロンK10−J
(商品名、三井・デュポンフロロケミカル社製)および
テフロンK20−J(商品名、三井・デュポンフロロケ
ミカル社製)が、本発明の目的にかなう商業的に利用可
能なフィブリル化PTFEとして、好適に使用される。
このテフロンK10−J(商品名、三井・デュポンフロ
ロケミカル社製)とは平均粒径500μmの粉末であ
り、テフロンK20−J(商品名、三井・デュポンフロ
ロケミカル社製)とは平均粒径0.2μmの水性懸濁液
である。このように、ACFと均一に混合することがで
きる分散性のよい微粒子からなるフィブリル化性PTF
Eを用いることが重要である。
【0027】本発明において用語「結合」とは、ACF
がフィブリルによって、絡まれた状態で一体性を有して
いる状態をいう。図1に本発明のシート状吸着材の走査
型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。図1の走査型電子
顕微鏡写真中の矢印1で示した繊維がACFであり、矢
印2で示した相互のACFを絡めて結合している微細な
フィブリルがPTFEからなるフィブリルである。図1
の走査型電子顕微鏡写真から分かるように、ACFが蜘
蛛の糸のようなPTFEのフィブリルによって、相互に
結合されている状態が明瞭に認識できる。また、ACF
の表面の殆どの部分は露出しており、PTFEがACF
表面のごく一部に付着しているのみであるので、ACF
の吸着活性等の活性は殆ど失われないことが理解され
る。
【0028】本発明の吸着材は、次の方法により製造す
ることができる。
【0029】吸着材の生産に使用されるACFの長さは
厳密に限定されない。しかしながら、生産操作を単純に
し、且つACFの吸収特性を保持するためには、PTF
Eと混合されるべきACFは、生産される吸着材中に含
まれるACFの長さとほぼ等しい短い長さに破砕され
る。
【0030】吸着材中におけるACFの長さは、好まし
くは10〜1,000μmの範囲内であり、より好まし
くは20〜500μmであり、最も好ましくは、30〜
200μmである。本発明において、ACFの平均直径
(D)に対する長さ(L)の率(L/D)が3以上であ
るACFの量は、吸着材におけるACFの総量の好まし
くは20以上重量%、より好ましくは30〜60重量
%、最も好ましくは40〜50重量%である。
【0031】3以上のL/D率を持つACFの含量が2
0重量%未満である場合、充填密度があまりにも大きく
なり、またその含量が80重量%を越える場合、機械的
強度が弱くなる。
【0032】3以上のL/D率を持つACFの含量は、
破砕されたACFとPTFEとの混合物に対する剪断応
力の適用条件を調整することによって制御される。その
条件は実験を繰り返すことによって容易に見いだすこと
ができる。
【0033】吸着材におけるPTFEの含量は、吸着材
の全重量に基づき、好ましくは0.5〜50重量%、よ
り好ましくは2〜30重量%、最も好ましくは、5〜2
0重量%である。その理由は、フィブリル化性PTFE
樹脂が0.5重量%未満である場合、ACF間の結合は
あまりにも弱くなり、充分な賦型性を得ることができな
いからである。またフィブリル化性PTFE樹脂が50
重量%を越えると容積密度及び圧力損失が増加し、一
方、吸着能力が減少するからである。シートに成形され
る場合に、充分な引張強さを持つ吸着材を得る目的のた
めには、PTFEの量は好ましくは2重量%以上であ
る。
【0034】一般的に、粉砕されたACFとフィブリル
化性PTFEは80℃以下の温度で混合される。好まし
くはフィブリル化性PTFEの粒子が集合して塊を作ら
ないようにするために、50℃以下で混合される。混合
には、湿式混合または乾式混合があるが、いずれの方法
を用いてもよい。
【0035】湿式混合の場合には、水中に所定量の粉砕
されたACFと、フィブリル化性PTFE粉末又はその
水分散液を加え均一に混合するまでよく攪拌する。清浄
な水を使用することが望まれる。その理由は、水中の不
純物はACF表面に吸収されその吸着能力を減じること
になるからである。分散媒として、フィブリル化性PT
FEが不溶な水以外の無機水溶液や有機溶媒(例えば、
エチルアルコールやプロピルアルコールのようなアルコ
ール)等の液体媒体を用いることも可能であるが、AC
Fの汚染や変性を招きやすく、人体に対して有害なもの
も多い点から避けることが好ましい。混合物中の液体媒
体は、ACFの全重量に基づき通常100〜500重量
%である。
【0036】湿式混合では、混合の終了後に乾燥を行
う。分散媒として水が用いられる場合、その乾燥は、8
0〜120℃にて行うのがよく、剪断応力をかける際の
余熱を兼ねることができる。乾燥は、混合物中の水又は
他の液体含量が混合物の全重量の40重量%未満、より
好ましくは10重量%未満になるまで行うことが望まし
い。
【0037】乾式混合の場合は、ACFとフィブリル化
性PTFE粉末を単に所定量混ぜ合わせ、均一になるま
で攪拌するだけでよい。次いで、得られたACFとフィ
ブリル化性PTFE粉末の均一な混合物に対して剪断応
力が与えられる。ここで、用語「剪断応力」とは、剪断
作用をACFとフィブリル化性PTFEに加えて剪断作
用を引き起こさせるのに必要な力をこの明細書では意味
する。用語「剪断作用」とは、PTFEを通して互いに
接触しあう繊維間における、速度差に基づいて緊密に接
触して相互に擦り合わされるACFとフィブリル化性P
TFEの作用をいう。ACFとフィブリル化性PTFE
の混合物に圧縮剪断応力(本発明において用語「圧縮剪
断応力」と用語「剪断応力」は、同一の意味で使用され
る)を与えると、フィブリル化性PTFEがフィブリル
化され、ACFがPTFEのフィブリルによって結合す
る。
【0038】剪断応力は通常20℃〜320℃の温度で
与えられる。小さい剪断応力を与えることが望ましい場
合、剪断応力を与える際、加熱することは、フィブリル
の生成を容易にし、ACFの細粉化の防止に対して有効
である。好ましい加熱温度は、50℃〜250℃、より
好ましくは80〜200℃が好適である。320℃を越
える温度では軟化したフィブリル繊維の切断が生じやす
くなり、結合の状態が充分ではない。
【0039】上記混合物に剪断応力を加えるために用い
られる装置は、圧縮下で、ACFの粉砕、粉砕されたA
CFとPTFE(粉末あるいは分散状態における)の混
合、その混合物の撹拌、練り合わせを行うことのできる
装置であればよい。例えば、乳鉢を使用することができ
る。工業的規模で圧縮剪断応力を実行するために適した
装置には、自動乳鉢、スクリューニーダー、ボールミ
ル、ロールミル(少なくとも2個以上のローラーを持
つ)、回転羽根付き攪拌機が含まれる。ローラー手段に
よる回転や、押出機における練り合わせは、剪断応力の
付与とともに成形をも促進するため効果的である。
【0040】適切な剪断応力がACF−フィブリル化性
PTFE混合物に与えられたときに、PTFEのフィブ
リルが形成し始める。この時点において、混合物は凝集
しやすくなり、湿ったようにみえ、次いで粘度状の可塑
性材料となる。剪断応力は可塑性が生ずるまで与えれば
充分である。
【0041】処理時間は、攪拌や混合の条件にもよる
が、通常、1〜10分で充分である。また、PTFE−
繊維で形成された網目構造は、使用される個々のACF
によって異なる。直径、長さ、及び上記したように適切
なL/D率を持つACFの量に関して、ACFが絡みに
適した条件である場合、網目構造は直ちに発達する。こ
のために、ACFを混合の前に適宜切断しておくことも
できる。PTFEのフィブリル化と同時にACFの最適
繊維長あるいはその最適繊維長分布になるまで破砕を行
ってもよい。
【0042】ACF及びPTFEの混合物に対し圧縮剪
断応力を与えるのにローラーが使用される場合、一対の
ローラーのニップサイズ(二個のローラー間の隙間のサ
イズ)は、好ましくはACFの直径の少なくとも5倍〜
40倍までである。ACFにフィブリル化を効果的に進
行させるため、且つACFが破砕されて長さが短くなる
のを防ぐためには、そのニップサイズは、より好ましく
は、10倍〜20倍である。その2個のローラー表面の
線速度率は、好ましくは1.0〜3.0である。フィブ
リル化を効率的に進行させるためには、その率は1.5
以上である。その率が3.0を越えると、ACFは折れ
るようになる。その率があまりにも大きくなると、AC
Fは破砕されて短い長さになる。
【0043】この混合物に対する剪断応力の付加は、P
TFEの充分なフィブリル化が行われ、生産物に望まし
い引張強度、引張伸度が得られるまで行われる。本発明
において適切な程度に剪断応力を与えることにより、十
分に高い引張強度及び伸度を持った吸着材が得られる。
この混合物に対し剪断応力を与え続けることにより、そ
の材料の引張強度及び引張伸度は次第に増加する。しか
しながら、その材料の最高引張強度及び最高引張伸度に
到達した後は、剪断応力の付加により形成されたフィブ
リルの切断が原因で、その強度及び伸度は次第に減少し
始める。その最高引張強度及び最高引張伸度は、一連の
実験を行うことによって容易に決定できる。
【0044】望まれる引張強度及び引張伸度を得るため
には、引張強度が好ましくは5gf/mm2 以上、さら
に好ましくは10gf/mm2 以上、最も好ましくは2
0gf/mm2 以上になるまで、剪断応力が与えられ
る。本発明によれば、引張強度が約500gf/mm2
或いはそれ以上の吸着材を得ることができる。
【0045】引張強度の増加とともに引張伸度も増加す
る。引張伸度は、その下限は好ましくは約10%以上、
より好ましくは20%以上、最も好ましくは30%以上
であり、その上限は好ましくは100%以下、より好ま
しくは70%以下である。本発明によれば、下記に詳細
に説明するように、引張伸度60%以上(ほぼ70%)
が得られる。
【0046】例えばロールミルを用いて、剪断応力を与
えた後、その混合物はACFがPTFEフィブリルと結
合した薄片状となる。本発明の吸着材は、高い引張伸度
及びフィブリルの発達の後でさえも良好な熱可塑性を示
す。一般的に、ロールミルを用いたフィブリル化の方法
は、薄片状材料を約5回〜10回、ロールミルを通過さ
せて繰り返し行われる。
【0047】薄片状材料は、集合化され、次いで、例え
ば、シート等に成形される。薄片状材料の集合化は、特
に限定されないが、通常、薄片状材料を重ね、その薄片
状材料を同じ線速度の加熱ロール間を通過させることに
より行う。
【0048】ACFの長さ分布は、圧縮剪断応力を与え
ることにより短い長さの分布範囲に移行する。充分なフ
ィブリル化を達成するためと同様に、優れた引張強度及
び引張伸度を得る目的のためには、その混合物に剪断応
力を与える段階は、好ましくは、ACF長さ分布が前述
したように適正な長さ分布に制御される。
【0049】このようにして得られた混合物は、通常、
シートを得るために同一の表面線速度を持つ少なくとも
二個のローラーを含むプレスローラーを使用して成形さ
れる。この方法で成形を行うと、その材料に剪断応力を
与えることによって、材料の引張強度及び引張伸度はさ
らに増大する。成形時の温度は、好ましくは20〜32
0℃、より好ましくは50〜250℃、最も好ましくは
80〜200℃である。温度が20℃未満である場合、
材料の可塑性は、材料を成形するのに充分ではない。他
方、温度が320℃より高い場合、PTFEフィブリル
は切断されやすくなる。材料温度が80℃以上である場
合、材料の引張伸度は高い。操作の容易性の観点から、
最も好ましい温度は、80℃〜200℃である。
【0050】図2及び図3の各々は、各々吸着材シート
の表面及び切断面のSEM写真を示す。そのシートは多
孔質であるが、短繊維のクラスターで構成されており、
従って高い充填密度を持つことが理解される。そのよう
なシート構造は本発明に特有なものであり従来の紙又は
樹脂フィルムとは異なる。
【0051】シート状吸着材の生産において、ACFの
配向は、圧縮剪断応力を与える方向及び/又はロール加
圧の方向を調整することによって制御される。ACFは
これらの条件下における剪断応力により、同一の方向に
配向するようになる。一方向に繰り返し処理を行うこと
により、一方向に高度に配向したACFを含むシートが
得られる。他方、様々な方向、例えば、互いに直角にク
ロスした二方向になるように処理することによって、所
望に配向したACFを有するシートが得られる。ACF
の大部分がほぼ一方向に配向しているシートである場
合、引張強度はその方向には、直角方向における引張強
度よりも大きい。他方、前者の方向における引張伸度
は、後者の方向における引張伸度よりも小さい。
【0052】ランダムに配向されたACFを含むシート
である場合、如何なる方向の引張強度もほぼ同程度であ
り、且つそのどの方向にも高い引張伸度が得られる。す
なわち、そのようなシートにおいて、引張強度及び引張
伸度は全ての方向に高く、且つ均一であり、優れた加工
性が得られる。
【0053】そのシートの厚みは、所望の厚さに制御す
ることができる。吸着材シートの厚みは、加工性の観点
から好ましくは1〜0.1mmであるが、0.02mm
程度に薄くしてもよい。
【0054】本発明の吸着材の充填密度は所望の値にコ
ントロールすることができる。その好ましい値は、0.
3〜1.0g/cm3 、より好ましくは0.4〜1.0
g/cm3 、最も好ましくは0.6〜0.8g/cm3
である。その密度が0.3g/cm3 より少ない場合、
充分な引張強度及引張伸度を得ることが困難である。他
方、その密度が1.0g/cm3 を越える場合、圧力損
失が増大する。
【0055】このようにして得られたシートは吸着材シ
ートとして利用することができる。そのシートは、切
断、孔明け、ハニカム構造へ成形を行うことによって、
特別なガス、液体、細かい固体粒子の吸着のための所望
の形状にさらに製造してもよい。本発明の吸着材は、従
来のACFの活性と同じ活性を有するので、例えば、オ
ゾン或いは、水道水中のCl2 、HClOのような活性
塩素の分解のための触媒として使用することができる。
【0056】本発明の吸着材がガスのフィルターとして
使用される場合、圧力損失を1,000mmH2 O以下
にすることができ、さらには500mmH2 O以下にま
で減じることが可能である。
【0057】本発明の吸着材において、ACFに混合す
ることのできる粉末炭としては、粉末状活性炭、粉末状
黒鉛、カーボンブラックなどが好適であり、また、AC
F、炭素繊維及び黒鉛繊維を繊維直径以下に粉砕したも
のも用いることができる。より高い吸着活性能を得るた
めには、粉末状活性炭を使用することが望まれる。
【0058】グラファイト、カーボンブラック、炭素繊
維、及び黒鉛繊維のような炭素質導電性材料が、化学的
抵抗物に対して導電性材料を与えるために、且つ、例え
ば、電極を製造するために好ましく使用される。
【0059】ACFに対する前記粉末炭の混合割合は、
所望の性質に従って選択される。一般的に、添加物はA
CFと添加物の総重量に基づいて80重量%以下、さら
に好ましくは50重量%以下の量で使用される。前記の
炭素系粉末或いは粉砕炭素系繊維等の各粉末炭は、50
μm未満の平均粒子径或いは繊維直径を持つ。より大き
い径の炭素系粉末或いは粉砕炭素系繊維は、PTFEの
フィブリルの長さと比較してあまりにも大きくなり過ぎ
て、充分に結合されない。
【0060】本発明の吸着材の引張伸度を増加させるた
めには、粉末炭の存在下にACFとPTFEを混合する
際に圧縮剪断応力を効果的に与える。幾つかのケースに
おいて、例えば、吸着材の調製条件が限定される場合、
或いは充分なPTFEフィブリル化を達成するために適
切なACFの長さ分布が容易に達成できない場合(その
原因が、例えば、ACFの比較的大きな長さ或いは大き
な直径による場合、又は引張強度、引張伸度或いは脆さ
のようなACFの特性による場合)、フィブリルの充分
な網目構造を形成することが困難となり、10%を越え
る引張伸度を持つ吸着材を得ることはできない。しかし
ながら、このような場合には、上述のように粉末炭を使
用することによって、より高い引張伸度が容易に得られ
る。
【0061】粉末炭の粒子は、本発明の吸着材を構成す
るACFの繊維直径よりも大きくない平均サイズ(より
大きな軸、例えば、より長い軸の平均サイズ)が好まし
い。その理由は、粉末炭の粒子サイズがACF繊維直径
よりも小さいと、その粉末炭はACF繊維間の隙間を満
たし、剪断応力を伝えやすいからである。このことは、
ACF繊維間のPTFEフィブリルの形成を加速する。
また、2μm以上で且つ50μmより少ない繊維直径を
持ち、粉砕後にACF繊維直径よりも小さいサイズの粉
末になるACF又はカーボン繊維を使用することも望ま
れる。炭素粉末の平均サイズは、好ましくは0.1〜2
0μmであり、より好ましくは1〜10μmである。そ
のサイズは0.1μmより小さい場合、炭素粒子とAC
Fとの接触効率は充分ではなく、他方、その平均サイズ
が50μmを越えると、引張伸度が低くなる。その粒子
形状は好ましくは球体、不定形、或いは平板状である。
【0062】図4は、ACF及びPTFEを含むシート
状吸着材の断面のSEM写真を示す。矢印1によって示
される繊維はACFであり、矢印2で示される細かいフ
ィブリルは、相互にACFを絡めるPTFEフィブリル
である。
【0063】図5は、ACF、PTFE及び粉末炭を含
む吸着材から得られたシート状吸着材の断面のSEM写
真を示す。そのシート状吸着材において、ACF(矢印
1)と炭素粉末(矢印3)はPTFEフィブリル(矢印
2)によって一緒に結合している。図4に示されるよう
な単にACF(矢印1)とPTFEフィブリル(矢印
2)を含むシート状吸着材と比較して、図5のシート状
吸着材には、PTFEフィブリル(矢印2)のさらなる
発達による網状構造、及び粉末炭(矢印3)を経由した
ACF(矢印1)とによる密度の高い結合が見られる。
図5において示される本発明のシート状吸着材は、粉末
炭(矢印3)の量を適正に限定することによって、多孔
性を充分に保持することができる。比較のために、粉末
状活性炭及びPTFEフィブリルを含む従来のシート状
吸着材の断面のSEM写真を図6に示す。図6は、炭素
材料として粉末状活性炭のみの使用が、シート状吸着材
の内部構造において、PTFEフィブリル(矢印2)と
共に粉末炭(矢印3)が濃密に充填される構造になって
しまうことを示す。このために得られた従来のシート状
吸着材は、多孔性に劣り、且つ図5に示されるようなA
CF及び粉末炭を炭素材として含む本発明のシート状吸
着材よりもガス透過性が低い。
【0064】本発明のシート状吸着材において、ACF
に添加される粉末炭の好ましい量は、ACF及び粉末炭
の総重量に基づいて5〜50重量%、より好ましくは1
0〜40重量%、最も好ましくは15〜30重量%であ
る。この割合がこの範囲にある場合、得られたシート状
吸着材の引張伸度は20〜60%にコントロールするこ
とができる。もし粉末炭の量が5重量%未満ならば、引
張伸度を改善する充分な効果は得られない。もし粉末炭
の量が50重量%超ならば、高い引張伸度は得られず、
多孔性は減少し、充填密度は1g/cm3 を越え、且つ
圧力損失は高くなる。添加されるべきフィブリル化性P
TFEの適切な量(吸着材の総重量に基づき)は、粉末
炭を含まない吸着材として上記に説明したものと同じで
ある。
【0065】ACF、粉末炭、フィブリル化性PTFE
を含む本発明の吸着材は、上記に説明した別の本発明の
吸着材、即ち、ACFとフィブリル化性PTFEとの混
合物から得られた吸着材と同じ方法で調製することがで
きる。ACF、粉末炭及びPTFEの混合は、どのよう
な順番でも行うことができるが、ACFと粉末炭は好ま
しくは最初に混合される。
【0066】最終製品としてのシート状吸着材の充填密
度は、ACFの繊維直径と長さ分布、粉末炭の粒子サイ
ズと量、及び剪断応力の適用とローラーをかける条件を
変更することによって調製することができる。これらの
条件は、ここに述べた条件の範囲内の実験を行うことに
よって容易に決定される。粉末炭を含む吸着材は増大さ
れた引張強度を持ち、その吸着材は、粉末炭を含まない
前述の吸着材と同様に高引張強度、適正な充填密度、及
び吸着特性を保持している。さらに言えば、粉末炭を含
む吸着材の引張伸度は高い引張伸度、即ち高い可塑性を
有するので、ローラーをかけることによってシートに容
易に成形できる。
【0067】本発明の吸着材において粉末炭を使用する
ことによって得られたシート状吸着材は高い引張伸度を
有するので、複雑に形づくられた物品さえも装置の表面
とぴったりと接触できるように製造できる。さらに言え
ば、装置の取付けにおいて自由度が増加する。付け加え
るならば、そのシート状吸着材は高い引張伸度を持つの
で、90°以上にまげても折れない。かくして、紙のよ
うに折り曲げることによって所望の形状を得ることがで
きる。
【0068】上述したように、本発明によるシート状吸
着材は優れた生産性及び取扱特性を有し、高い引張強度
及び高い引張伸度を達成し、従来、達成されていないよ
うな高い吸収性及びガス透過性を有する。
【0069】本発明の吸収材料はシート以外の形に成形
することもできる。その材料を型内にホットプレスし
て、成形物品にすることができる。ホットプレスのため
の温度は、好ましくは80〜320℃、さらに好ましく
は80〜200℃である。この場合、その材料はエクス
トルーダーにより、或いは打ち抜かれた複数のシートを
ラミネートすることによって、その成形材料を型に供給
することができる。その材料はペレットの形態で供給し
てもよい。その材料はいかなる形態、例えば、タブレッ
ト、ハニカム構造、円柱状の形態にでも成形できる。エ
キストルーダを使用して、ストリング、パイプ、テープ
等の形状にすることも可能である。材料を繊維状材料に
成形することもでき、さらに一緒に絡まった綿毛ボール
のように成形されてもよい。
【0070】ACFの表面は実質的に被覆されていない
ので、高レベルの吸着活性が維持されている。それは多
孔質であるので、本発明の吸着材は良好なガス及び液体
に対する透過性を有し、且つ小さい体積で高い吸着特性
を有する。その吸着材は滑らかな表面を有する。本発明
の吸着材は優れた加工特性を有し、薄いフィルム或いは
非常に小さい片に容易に成形できる。成形物品は柔らか
く且つハウジングにピッタリとフィットする。本発明の
吸着材は耐熱性及び薬品耐性に優れている。さらに言え
ば、本発明の成形材料を使用することによって得られた
吸着材は、ACFの脱落や黒粉塵の発生が殆どなく、触
っても快適である。
【0071】したがって、本発明の吸着材は、高性能及
びコンパクト化が要求される電気機器においての使用に
有利である。その吸着エレメントは、外部の汚染物質を
吸着し、その侵入を阻止しするために電気機器の内側に
吸着材を配置することによって、電気回路を保護するた
めの吸着材として有用である。そのような吸着材は安全
に用いることができる。その理由は、黒粉塵が発生しな
いからである(電気伝導性の粉塵は電気回路に添着して
短絡の原因となる)。
【0072】本発明の吸着材は、特にシートの形態で、
好ましくは3μm以下の孔サイズを持つメンブレンフィ
ルターでカバーされていてもよい。
【0073】上述した構成の採用は、特に、電気機器で
の使用に好適なコンパクトで高性能な吸着エレメントを
提供することを可能にする。活性炭素繊維は、PTFE
フィブリルで密接に一緒に結合するので、本発明のシー
ト状吸着材は殆ど粉塵を発生せず、或いは繊維を脱落せ
ず、それゆえ、電気機器におけるハウジング用の吸着エ
レメントとして好適である。したがって、エレメントを
封止するための労力は、軽減される。
【0074】本発明の吸着材によって取り除くことがで
きる汚染物質には、主として、SOx 、NOx 、硫化水
素、及びアンモニアのような空気中の汚染ガス、及び付
け加えるならば、塩素ガスのような無機酸性ガス、カル
ボン酸のような有機酸、炭化水素、及びオゾン等が挙げ
られる。一般の活性炭で吸着又は分解で取り除けるもの
ならば、上記以外の他の物質も取り除くことができる。
【0075】本発明による電気機器内設用の吸着エレメ
ントの特別な例を図7、8及び9に示す。図10は、電
気機器内設用の円柱状吸着エレメントの一例である。こ
れらの電気機器内設用の吸着エレメントの各々は、シー
ト状吸着材4の片側又は両側にメンブレンフィルター5
で圧着することによって調製され、ついで打ち抜きによ
り円板が得られる。シート状吸着材4の打ち抜きはメン
ブレンフィルター5圧着の後に行われる。シート状吸着
材4はこのようにメンブレンフィルター5で封止され、
ケース6に装着される。
【0076】接着剤やガスケット等の封止材7によっ
て、シート状吸着材4をケース6と緊密に接触させてシ
ート状吸着材4の周囲を封止することが好ましい。封止
材の例は、単に、接着剤の塗布による他、両面粘着テー
プを使用する接着によって、或いは樹脂リングの溶融に
よって、或いは図9におけるシート状吸着材4の両側に
くっついた上下のメンブレンフィルター5の溶着(矢印
8)によって行うことができる。
【0077】各々の吸着エレメントに使用されるメンブ
レンフィルター5の孔サイズは、好ましくは活性炭素繊
維の繊維直径よりも大きくない。この方法で、仮に活性
炭素繊維が脱落したとしても、シート状吸着材4の活性
炭素繊維はこの孔から通過しない。その孔サイズは、好
ましくは3μm以内である。メンブレンフィルター5の
材料は、好ましくは、セルロース、ニトロセルロース、
セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリエチレン、
アクリロニトリル及びPTFEである。これらは3μm
以下の均一な孔を持つメンブレンフィルターを提供する
ために好適である。特に、PTFE製のメンブレンフィ
ルターは、その孔の細かさ及び均一性、高い機械強度、
及び高い耐薬品性の面において好適である。
【0078】本発明は、以下の実施例を参照して更に詳
細に説明されているが、当業者にとってこの発明の精神
及び範囲を逸脱することなく、これらの実施例の種々の
変更及び修正が可能であることは明白である。
【0079】
【実施例】本発明の次の実施例において記述される種々
の特性は、以下に述べる方法によって測定した。
【0080】本発明において粉砕されたACFの長さ分
布は、レーザー光を使用した光散乱法による粒子サイズ
分布の測定方法により測定した。質量或いは体積に基づ
いたACFのサイズ分布は、ACF粒子(粉砕されたA
CF)の形状を球体とし仮定して得たものである。AC
F粒子は均一な密度を持つので、分布パターンは、測定
が質量又は体積に基づいて行われようとも同じパターン
である。
【0081】水中でのACFの配向を避けながら、0.
1%ヘキサメタりん酸ナトリウムの水溶液に粉砕された
ACFを均一に分散させることによって測定を行った。
上記のように測定されたサイズは、ACFの直径及び実
際の長さの平均である。したがって、実際のACFの長
さ分布は、図2のSEM写真で見られたようなこの測定
の特徴によって得られた値よりも、より長い繊維長を有
する。
【0082】粉砕されたACFの実際の長さ分布を正確
に決定することは不可能であるので、本発明におけるそ
の長さは、粒子サイズ分布の決定のためにこの分野にお
いて最も広く使用されている上記の技術によって測定す
る。粒子サイズの測定のため好ましく使用される多くの
装置は、商業的に利用可能であり、粉砕されたACFの
平均サイズはその装置を使用して優れた再現可能性で得
られる。
【0083】本発明において、堀場製作所製のモデルL
A−500レーザー回折−散乱式粒度分布が、粉砕され
たACFの長さの測定に使用された。0.1〜200μ
mのACFのサイズ分布を測定し、この分布から、AC
Fの総量に対してL/D≧3であるACF量の割合を計
算した。シート状吸着材に含まれるACFの長さは、シ
ートを600〜800℃、1時間、窒素雰囲気中で加熱
してPTFEを分解することにより、PTFEを取り除
いた後に、測定した。
【0084】本実施例において出発材料として使用され
るACFの平均長は、顕微鏡を使用して肉眼で決定し
た。
【0085】出発材料として使用されるACFにおける
率L/D≧3であるACF量は、60重量%以上であっ
た(上記の光散乱法によって測定)。ACFの直径は、
ACFの生産用のポリアクリロニトリル繊維のような出
発材料の直径を選択することにより制御できる。平均直
径はACFで均一であり、ACFの断面のSEM写真か
ら測定することができる。
【0086】引張強度 シート状吸着材は2.5cm幅で、且つ10cm長さの
短冊型に切断した。その細片の引張強度は引張試験機
(テンシロン−UTM III:東洋測器株式会社製)で引
張速度3cm/分で測定した。引張強度(gf/m
2 )は強力(g)をそのシートの断面積で割って求め
た。引張伸度は、シートの破断時の、元のシート長さに
対する最大に伸びた分の長さの百分率によって示した。
これらの試験はローラー方向と同一の方向、及び直角の
方向で行われた。実施例での値は、いずれかの方向の最
大値で示した。
【0087】比表面積 比表面積は窒素吸着によるBET法により測定した。
【0088】トルエン飽和吸着量 このパラメーターはJIS K−1474の活性炭試験
法に従って測定した。トルエン濃度は1/10飽和、試
料重量は2.5g、測定温度は25℃とした。飽和水分含量 25℃、相対湿度80%のデシケーター中にシート状吸
着材を放置し、その水分含量を測定した。材料中の水分
含量は、120℃、2時間に乾燥された材料の重量に基
づき示した。
【0089】圧力損失 25mmの直径で、0.2mmの厚みを持つ円板を、シ
ート状吸着材から打ち抜き、この円板をフィルターホル
ダー内に装着した。圧力損失を測定するために乾燥空気
を流量率0.2リットル/分で通過させた(ただし、下
記の実施例10のみは流量率20ミリリットル/分で行
った。)。
【0090】本発明の実施例において(下記の実施例1
2を除き)圧縮剪断応力の適用方向は、ランダムに圧延
は同一方向で行われた。
【0091】〔実施例1〕ACFとしては、アクリル系
活性炭素繊維であるファインガードFC300(商品
名:東邦レーヨン株式会社製、平均繊維直径8μm、比
表面積890m2 /g)をヘンシルミキサーで粉砕して
平均繊維長が150μmのミルドファイバーとしたもの
を使用した。そのミルドファイバー95重量部を容器に
とり水300重量部を加えてスラリーとした。このスラ
リーにPTFE水性懸濁液としてテフロンK20−J
(商品名、三井・デュポンフロロケミカル社製、平均粒
径0.2μm)をPTFE換算で5重量部加えて、室温
でよく攪拌した。
【0092】次いで、この混合物を、120℃で水分含
量が10重量%未満になるまで乾燥させた。乾燥後の混
合物を、120℃に保温したロール直径30cmの2軸
式ロールミルにかけ、剪断応力を与えた。各々のローラ
ーの回転数は、それぞれ14rpmと28rpmであ
り、ロール間隔は0.1mm(ACFの径の12.5
倍)であった。ロールミルの通過後、その混合物は薄片
状材料となった。その薄片状材料をさらにロールミルに
7回通過させて、シートを得た。
【0093】得られたシートを、ロール直径30cm、
1rpmの等速2連ロールで、ロール間隙0.5mmの
120℃に保たれたロールに通過させ、厚さ約1mmの
シートを得た。そのシートをさらに繰り返しそのロール
に通過させて、ロール間隙を次第に0.5mmから0.
1mmに狭めることによって厚さ0.2mmのシートを
得た。かくして得られたシート状吸着材は、5重量%の
PTFEを含み、L/D率が3を越えるACFが41重
量%であった。このようにして得られたシート状吸着材
の特性を次の表1に示す。
【0094】
【表1】 表1によれば、本実施例1の材料から製造されたシート
状吸着材は、原料であるACFに極めて近い吸着能力を
発揮することがわかる。また、シートの厚みは、そのシ
ートが高い引張強度及び高い引張伸度を持つため継続的
な圧延により、0.05mmまで薄くすることができ
た。
【0095】図2は、本実施例1で得られたシート状吸
着材の表面のSEM写真であり、図3はそのシート状吸
着材の断面のSEM写真である。
【0096】〔実施例2〕本実施例2はACFとPTF
Eの混合量を変化させて得た成形素材を用いて成形した
シート状吸着材についてのものである。前記実施例1に
準じて各種のシート状吸着材を成形し、その諸特性を測
定した。その結果を次の表2に示す。
【0097】
【表2】 前記表2によれば、本発明の成形素材であるシート状吸
着材は優れた特性を示す。このシート状吸着材の吸着性
はPTFE含量の増加にしたがい減少する。これはAC
F含量が相対的に減少したためであって、ACF含有率
100重量%あたりに換算して統一して比較すると、A
CFとしての能力の低下はいずれも軽微なものである。
このように、本発明のシート状吸着材は、そのPTFE
含量が増加しても、ACF活性の満足できるレベルを保
持している。このことはPTFEの添加によっても、A
CFの表面は実質的に覆われることなく、吸着性能はほ
とんど変化がないことを示している。さらに本発明のシ
ート状吸着材は優れた取扱性を有し、且つ黒粉の発生も
殆どない。
【0098】〔実施例3〕本実施例3は本発明のシート
状吸着材の液体中における吸着性能を示すために行っ
た。
【0099】ACFとしては、アクリル系活性炭素繊維
であるファインガードFC510(商品名:東邦レーヨ
ン株式会社製、平均繊維直径5μm、比表面積1400
2/g)をヘンシルミキサーで粉砕して平均繊維長が
150μmのミルドファイバーとしたものを使用した。
前記実施例1の方法と同様にして、PTFE含量が2重
量%であって、厚み0.2mm及び厚み0.4mmの2
枚のシートを得た。
【0100】厚み0.4mmのシートから直径2.5c
mの円板を打ち抜き、それをフィルターホルダー中に配
置した。(リン酸緩衝液を用いてpHを7に調整した)
メチレンブルー300ppmの100mlを流速1ミリ
リットル/分でシートを通過させた。メチレンブルーの
吸着量は、そのシートを通過する前後において、溶液濃
度を測定することによって得た。ビタミンB12(シアノ
コバラミン)の吸着量も、メチレンブルーと同様な方法
で測定した。
【0101】比較のため、上記に述べた同じ試験をカラ
ム中にファインガードFC510(商品名:東邦レーヨ
ン株式会社製)を充填して行った。得られた結果及びそ
の他のこれらの吸着材の特徴は次の表3に示す。
【0102】
【表3】 表3によれば、本発明のシート状吸着材は、液体中にお
いて優れた性能を有することが分かる。
【0103】〔実施例4〕ACFとしては、アクリル系
活性炭素繊維であるファインガードFC400(商品
名:東邦レーヨン株式会社製、平均繊維直径7μm、比
表面積1000m2/g)をヘンシルミキサー(回転羽
を持つ混合機)で粉砕して平均繊維長が0.1mmのミ
ルドファイバーとしたものを使用した。そのミルドファ
イバー80重量部を容器にとり水300重量部を加えて
ペーストとした。このペーストにPTFE水性懸濁液と
してテフロンK20−J(商品名、三井・デュポンフロ
ロケミカル社製、平均粒径0.2μm)をPTFE換算
で20重量部加えて、室温でよく攪拌した。
【0104】次いで、この混合物を、120℃で水分含
量が10重量%未満になるまで乾燥させた。乾燥後の混
合物を、120℃に保温したロール直径30cmの2軸
式ロールミルにかけ、剪断応力を与えた。各々のローラ
ーの回転数は、それぞれ14rpmと28rpmであ
り、ロール間隔は0.1mmであった。ロールミルを7
回通過させ、シート状の薄片材料を得た。
【0105】その薄片材料を集め、(30cmの直径を
持ち、1rpmで回転する)120℃に保たれている一
対のローラーを通し、厚みが約1mmのシートにした。
得られたシートは、さらに120℃で同じスピードで回
転しているローラーに通し、0.3mmの厚さのシート
を得た。このシートは、20重量%のPTFEを含み、
且つ0.85g/cm3 の充填密度であった。
【0106】各々幅15mmの2個のシートを、このシ
ートから切り出した。その一つにひだ付加工を施した。
処理されたシートと他方のシートが120℃でプレスに
より接合され、図11に示されるハニカム状の吸着材を
得た。1.5gのハニカム状シートを螺旋状に巻き上
げ、これを内径が22mmのステンレススチール製カラ
ム内に充填した。
【0107】典型的な大気汚染物質であるSO2 を含む
ガスを、ハニカムの方向(同じ方向のシートの長さは1
5mm)と平行な方向に、1リットル/分のスピードで
カラムに通過させた。圧力損失は10mmH2 O以下で
あった。そのガスは50ppmのSO2 (相対湿度50
%、25℃)を含む空気であった。SO2 濃度は自動赤
外線分析機を使用して連続的に測定した。テスト開始直
後のカラムの出口におけるSO2 濃度は0ppmであっ
た。このことは、ACFの速やかな吸収特性による。テ
スト開始後10時間目に、SO2 が漏れ始めた。その漏
れ開始までの吸着量は、シート状吸着材の重量に基づい
て5.7重量%であった。この値は、ACFの代わりに
従来の粉末状活性炭から製造されたシート状吸着材の値
よりも高いものであった。
【0108】〔実施例5〕ACFとしては、アクリル系
活性炭素繊維であるファインガードFC410(商品
名:東邦レーヨン株式会社製、平均繊維直径6μm、比
表面積1100m2/g)をヘンシルミキサーで粉砕し
て平均繊維長が0.2mmのミルドファイバーとしたも
のを使用した。この粉砕ACFを用いて前記実施例1と
同じ方法及び装置でシート状吸着材Aを得た。引続き、
異なったPTFE含量のシート状吸着材B、C、D及び
Eは、PTFE含量を変えた以外はシート状吸着材Aと
同様な方法で得た。5重量%のPTFE含量のシート状
吸着材Fは、平均粒径10μmの粉末活性炭である「特
選白鷺」(商品名:武田薬品工業株式会社製、比表面積
1000m2 /g)を使用することを除いて、シート状
吸着材Aと同じ方法で得た。
【0109】比較のため、ファインガードFW410
(商品名:東邦レーヨン株式会社製、平均繊維直径6μ
m、比表面積1100m2 /g)の織物を調製した。得
られたシート状吸着材A〜F及び織物(FW410)の
特性を表4に示す。
【0110】
【表4】 表4によれば、本発明のシート状吸着材A〜Eは、比較
の織物よりも高い充填密度を有し、高い体積効率を示
す。これらのシート状吸着材の引張強度は、PTFE含
量が2重量%で実用的な使用レベルに到達しており、P
TFE含量が5重量%以上で比較の織物(FW410)
と同等或いはそれ以上になる。
【0111】圧力損失に関し、本発明のシート状吸着材
A〜Eは、満足できるものであったが、粉末活性炭を使
用する比較のシート状吸着材Fは、際立った圧力損失が
あり、実用には適さなかった。
【0112】〔実施例6〕直径25mmの円板を、前記
実施例5で調製した各々のシート状吸着材A、C、D及
び織物(FW410)から打ち抜いた。これらの円板
を、フィルターケース内に装着した。亜硫酸ガス(SO
2 )の体積で50ppmを含み、相対湿度で50%の空
気を、この円板状吸着材に通過させた。SO2 が漏れ始
めるのに必要な時間を測定し、このSO2 が漏れ始める
までの時間から吸着量を計算した。同様な方法で、一酸
化窒素(NO)吸着、硫化水素(H2 S)吸収、アンモ
ニア(NH3 )吸収を測定した。さらに1/10飽和の
トルエン中で飽和吸着をJIS−K−1474に規定さ
れた測定法に従い測定した。その結果を次の表5に示
す。
【0113】
【表5】 表5によれば、本発明のシート状吸着材A、C及びD
は、SO2 、NO、H2S、NH3 のような腐食性物
質、及びトルエンのような有機溶媒の高い吸着を示し、
空気から種々の汚染物質を除去できる優れた性能を有す
ることを証明している。活性炭繊維からの織物(FW4
10)と比較した場合、本発明のシート状吸着材は、何
れも満足できる吸着活性を維持していることがわかる。
【0114】〔実施例7〕直径25mmの円板を、前記
実施例6で調製したシート状吸着材A〜E及び織物(F
W410)の各々から打ち抜いた。個々のサンプルにつ
き30個の円板を、100rpm、30分間、アルキル
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.01重量
%を含む水中で撹拌した。撹拌後、水溶液を蒸発させて
乾燥し、脱落した活性炭素繊維の量(生成した黒粉の
量)を測定した(メンブレンフィルターを装着していな
い)。
【0115】次に、直径25mmの円板を、前記実施例
6で調製したシート状吸着材A〜E及び織物(FW41
0)の各々から打ち抜いた。そのディスクを、PTFE
製の一対のメンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社
製)の間に挟み、そしてディスクの周辺は熱可塑性樹脂
リングで融着封止して、吸着エレメントを得た。2種の
メンブレンフィルター、即ち、一方が0.2μm孔径を
持ち、他方が1μmであるメンブレンフィルターを使用
して、各シート状吸着材のサンプルにつきメンブレンフ
ィターの種類の異なる各2種の吸着エレメントを得た。
さらに、3μmの孔径を持つニトロセルロース製のメン
ブレンフィルター(東洋濾紙株式会社製)或いは10μ
mの孔径を持つポリエステル−セルロースアセテート製
のメンブレンフィルターを用いて、吸着エレメントを調
製した。
【0116】このようにして、それぞれのサンプルにつ
き得られた30個の吸着エレメントを、界面活性剤とし
てアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの0.01重
量%を含む水中で30分間撹拌した。撹拌後、水溶液を
蒸発させて乾燥し、脱落した活性炭素繊維の量(生成し
た黒粉の量)を測定した。得られた結果を次の表6に示
す。
【0117】
【表6】 表6によれば、本発明のシート状吸着材は、5g/mm
2 以上の引張強度及び2%以上のPTFE含量であり、
黒粉の発生が殆どなく、メンブレンフィルターなしでも
取扱性がよい。このように本発明の吸着材は電気機器に
使用するのに有利である。孔径3μm以下のメンブレン
フィルターを使用して調製した吸着材エレメントは実質
的にダストの発生がなく、電気機器での使用に最適であ
る。
【0118】〔実施例8〕前記実施例7(サンプルAか
ら調製した)で製造した吸着エレメントの各々、及び織
物(FW410)を、50ppm濃度のSO2 を含む、
且つ相対湿度50%の4リットルのバッグ中に放置し
た。5ppm以下に減少されるSO2 濃度となるのに必
要な時間を測定した。得られた結果を次の表7に示す。
【0119】
【表7】 表7に示すように、本発明のシート状吸着材を使用した
吸着エレメントは、活性炭素繊維織物(FW410)を
含む比較の織物吸着材と同じ速さでSO2 を除去するこ
とができ、且つそれより小さいサイズである(織物吸着
材のほんの1/10の厚み)。
【0120】〔実施例9〕ACFとしては、アクリル系
活性炭素繊維ファインガードFC300(商品名、東邦
レーヨン(株)製、平均繊維直径8μm、比表面積83
0m2 /g)をヘンシルミキサーにて平均繊維長0.1
mmのミルドファイバーとしたものを使用した。粉末炭
としては、粉末状活性炭である白鷺RM(商品名、武田
薬品工業(株)製、比表面積1000m2 /g)をボー
ルミルにより粉砕し、平均粒径を4μmにそろえたもの
を使用した。フィブリル化性PTFEとしては、水性デ
スパージョンであるテフロンK20−J(商品名、三井
・デュポンフロロケミカル社製、平均粒子径0.2μ
m)を使用した。
【0121】まず、FC300のミルドファイバー80
重量部に粉末炭20重量部を容器にとり水を加えてペー
スト状とした。これにK20−JをPTFE換算で2.
1重量部加えよく攪拌した。このペースト状混合物をス
テンレスのバットにあけ、水分率が10重量%となるま
で120℃で乾燥した。
【0122】次いで、乾燥した混合物を120℃に加熱
したロールミルにあけ、剪断応力を与えた。ロールミル
は2軸式であり、ロール回転数は25rpmおよび50
rpm、ロール間隔は0.1mmであった。ロールミル
を通すことにより、混合物は薄片状の成形素材となっ
た。この薄片状の成形素材を滑らかな表面となるまで3
回繰り返してロールミルに通し、PTFEのフィブリル
化を促進した。
【0123】さらに、薄片状の成形素材を120℃に加
熱した5rpmの等速ローラーに重ねて通して集成し、
厚み1mmのシート状吸着材を得た。さらに、このシー
ト状吸着材を、等速ローラーの間隔をより狭めて繰り返
し加熱圧延する方法で順次薄膜化し、厚み0.2mmの
シート状吸着材を得た。この本発明のシート状吸着材を
Gとする。
【0124】一方、シート状吸着材Gの作成方法に準
じ、本実施例9との比較のために、FC300のミルド
ファイバー40重量部と粉末炭60重量部とPTFE換
算で2.1重量部のK20−Jを原料としたシート状吸
着材H、及びFC300のミルドファイバー100重量
部とPTFE換算で2.1重量部のK20−Jを原料と
して、粉末炭を添加しないシート状吸着材Iを作製し
た。
【0125】シート状吸着材G、H、Iの特性を次の表
8に示す。
【0126】
【表8】 表8によれば、実施例9のACFと粉末炭から成る炭素
材全体に対する粉末炭含有率20重量%のシート状吸着
材Gは、特に、高い引張伸度と、低い圧力損失を両立し
ていることがわかる。これに比較して、粉末炭含有率6
0重量%のシート状吸着材Hは引張伸度が低く、且つ圧
力損失が高い。また、本発明の別の吸着材である粉末炭
を加えないシート状吸着材Iでは、圧力損失は低く、引
張伸度は10%未満であった。
【0127】〔実施例10〕本実施例10は、粉末炭の
量を変化させて製造したシート状吸着材に関する。AC
Fとしては、アクリル系活性炭素繊維であるファインガ
ードFC410(商品名:東邦レーヨン株式会社製、平
均繊維直径6μm、比表面積1000m2/g)をヘン
シルミキサーで粉砕して平均繊維長が0.2mmのミル
ドファイバーとしたものを使用した。
【0128】粉末炭としては、粉末活性炭である「白鷺
RM」(商品名:武田薬品工業(株)製、比表面積は1
000m2 /g)をボールミルで粉砕し、その平均粒径
4μmのものを使用した。
【0129】フィブリル化性PTFEとしては、水性分
散液であるテフロンK20−J(商品名:三井・デュポ
ンフロロケミカル社製、平均粒径は0.2μm)を使用
した。まず、ACF(FC410のミルドファイバー)
と、粉末炭である白鷺RM(商品名、武田薬品工業株式
会社製)をそれぞれ単独に採取したもの、及び種々の混
合割合で混合したものを原料として用意した。これらの
各原料95重量部に、それぞれ、水200重量部とテフ
ロンK20−JをPTFE換算で5重量部加えて、ペー
スト状になるまで完全に混合した。このペースト状混合
物をステンレスのバットにあけ、水分率が10重量%と
なるまで120℃で乾燥した。
【0130】次いで、乾燥した各混合物を120℃に加
熱したロールミルにあけ、剪断応力を与えた。ロールミ
ルは2軸式であり、ロールの回転数は25rpmおよび
50rpm、ロール間隔は0.1mmであった。ロール
ミルを通すことにより、混合物は薄片状の成形素材とな
った。この薄片状の成形素材を滑らかな表面となるまで
5回繰り返してロールミルに通し、PTFEのフィブリ
ル化を促進した。
【0131】さらに、薄片状の成形素材を120℃に加
熱した5rpmの等速ローラーに重ねて通して集成し、
厚み1mmのシート状吸着材を得た。このシート状吸着
材を、等速ローラーの間隔をより狭めて繰り返し加熱圧
延する方法で順次薄膜化し、厚み0.2mmのシート状
吸着材を得た。このものはPTFE5重量%を含むシー
ト状吸着材であり、いずれもシート状吸着材としての比
表面積は850〜950m2 /gの範囲内にあり、吸着
特性はよく保たれていた。
【0132】得られたそれぞれのシート状吸着材につい
て、引張強度、引張伸度、圧力損失(空気のフロー率は
20ミリリットル/分)、充填密度を測定し、ACF−
粉末炭の混合比率との関係を調べ、結果を図12、図1
3にまとめた。
【0133】図12によれば、ACFと粉末炭からなる
炭素材全体に対する粉末炭含有率20重量%において、
引張伸度は最大の約60%に達することが分かる。さら
に言えば、粉末炭含有率5〜50重量%を有する本発明
の吸着材は、本発明の粉末炭を含まない吸着材と比較し
て20%以上の高い引張伸度と、5gf/mm2 以上の
高い引張強度の得られることがわかる。なお、粉末炭添
加量が50重量%を越えると引張伸度が低いため、極め
てひび割れしやすく圧延困難であった。
【0134】図13によれば、ACFと粉末炭から成る
炭素材全体に対する粉末炭含有率が5〜50重量%を越
えると、吸着材における充填密度が1g/cm3 を越
え、圧力損失が急速に増大し、吸着材として実用に適さ
ないことがわかる。このように、本発明の吸着材は、炭
素材全体に対する粉末炭含有率5〜50重量%において
のみ、高い引張伸度と低い圧力損失となる。
【0135】〔実施例11〕本実施例11は、ACFと
粉末炭の混合物に対するPTFEの添加量を変化させて
製造したシート状吸着材についてのものである。
【0136】前記実施例10に準じた方法により、AC
F(FC410のミルドファイバー)に80重量部に対
し粉末炭である「白鷺RM」(商品名:武田薬品工業
(株)製、比表面積は1000m2 /g)の粉末を20
重量部加えたものを原料として用意した。次いで、前記
実施例10に準じた方法により、PTFE添加量のみ変
化させてそれぞれのシート状吸着材を得た。得られた各
シートの引張強度と引張伸度を測定した結果を図14に
示す。
【0137】図14によれば、ACFと粉末炭からなる
炭素材全体に対する粉末炭含有率が20重量%である本
実施例11のシート状吸着材は、PTFE含有率2重量
%以上において、引張強度5gf/mm2 以上、引張伸
度20%以上の優れた特性を示すことがわかる。
【0138】〔実施例12〕前記実施例1に準じた原
料、製造装置、運転条件を使用し、原料およびシートの
ロール通過方向をすべて同一方向とすることにより、同
一方向に圧縮剪断及び圧延され、下記の表9に示された
PTFE含有率を有するシート状吸着材J、K、L及び
Mを得た。さらに、すべての圧縮剪断及び圧延が直角方
向に交互に繰り返し行われたこと以外はシート状吸着材
Kと同じ方法で、シート状吸着材Nを得た。
【0139】同一方向に剪断及び圧延して得られたシー
ト状吸着材J、K、L及びMのACFの配向は、ほぼ同
一方向であった。例えば、得られたシート状吸着材Kの
表面の顕微鏡写真(理由:図15、16のみSEMでな
く、光学顕微鏡による写真であるため)を図15に示
す。図15の目視計測によれば、シート状吸着材Kの圧
延方向±45°以内に配向したACFの数は、ACF全
数に対し82%(配向度)であった。
【0140】一方、直角方向に交互に剪断及び圧延して
得られたシート状吸着材Nの表面の顕微鏡写真を図16
に示す。図16によれば、ACFの配向はランダムであ
り、上記の計測法による圧延方向±45°以内のACF
配向度は60%であった。
【0141】上記のようにして得られたシート状吸着材
の機械的性質を下記の表9に示す。
【0142】
【表9】
【0143】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の吸着材
は次の優れた特徴を有する。
【0144】(1)本発明の吸着材は、ACFがPTF
Eのフィブリルによって一緒に密接に結合され、多孔質
の網目構造が発達しており、そのACFの表面は殆どが
露出しているので、高い吸着特性、低い圧力損失、高い
引張強度(5〜1000gf/mm2 )、高い引張伸度
(10%以上)、高いガス透過性を示し、また吸着材と
して適度な充填密度(0.4〜1.0g/cm3 )を持
つ。
【0145】(2)別の本発明の吸着材は、ACF及び
粉末炭がPTFEのフィブリルによって一緒に密接に結
合され、多孔質の網目構造が発達しており、そのAC
F、及び粉末炭の表面は殆どが露出しているので、別の
本発明のシート状吸着材は、上記(1)の優れた性質に
加えて、さらに高い引張伸度(20%以上)を持ち、高
い柔軟性を示す。
【0146】(3)本発明の吸着材は、高い引張伸度を
有し、柔軟性があるので、小さい容器に配置される場合
に、本発明の吸着材は、成形における大きな自由度や応
力変形時の大きな引張強度で容器に緊密に接触し、今ま
で達成されなかったような高性能な吸着材物品となる。
また、極めて薄いシート状に成形することが可能であ
る。
【0147】(4)本発明の吸着材の充填密度は、0.
4〜1.0g/cm3 にコントロールでき、その値は従
来の紙或いはフエルト状成形物品の充填密度よりも高
く、しかも一方においては、高いガス透過性を併せ持っ
ている。したがって、本発明の吸着材は体積効率におい
て優れている。
【0148】(5)上記のように、本発明の吸着材は、
高い吸収性及び高い透過性を有するだけでなく、非常に
薄い厚みが可能で、しかも適度な密度ゆえに、優れた体
積効率を示す。したがって、電気機器内に装備される非
常に薄いタイプの吸着材として、さらには、リチウム電
池のような電池の電極として、或いは鮮度保持材料とし
て好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状吸着材を構成する、活性炭素
繊維とPTFEフィブリルの結合状態を示し、特にその
「繊維の形状」を表す走査型電子顕微鏡(SEM)写真
である。
【図2】実施例1で得られたシート状吸着材の表面につ
いての結合状態を示し、特にその「繊維の形状」を表す
走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】実施例1で得られたシート状吸着材の断面につ
いての結合状態を示し、特にその「繊維の形状」を表す
走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】本発明のACF及びPTFEを含んだシート状
吸着材の断面についての結合状態を示し、特にその「繊
維の形状」を表す走査型電子顕微鏡(SEM)写真であ
る。
【図5】本発明のACF、PTFE及び粉末炭を含んだ
シート状吸着材の断面についての結合状態を示し、特に
その「繊維の形状」を表す走査型電子顕微鏡(SEM)
写真である。
【図6】粉末状活性炭及びPTFEを含んだ従来のシー
ト状吸着材の断面を示し、特にその粉末状活性炭の「粒
子構造」を表す走査型電子顕微鏡(SEM)写真であ
る。
【図7】本発明の電気機器内設用吸着エレメント(コイ
ン型)の一つの例の斜視断面図である。
【図8】本発明の電気機器内設用吸着エレメント(コイ
ン型)の別の例の斜視断面図である。
【図9】本発明の電気機器内設用吸着エレメント(コイ
ン型)の別の例の断面図である。
【図10】本発明の電気機器内設用吸着エレメント(円
筒型)の斜視断面図である。
【図11】ハニカム構造を持つ本発明の吸着材の斜視図
である。
【図12】本発明のACF−粉末炭の混合比率に対す
る、シート状吸着材の引張強度及び引張伸度との関係を
示すグラフである。
【図13】本発明のシート状吸着材のACF−粉末炭の
混合比率に対する、圧力損失(空気のフロー率は20ミ
リリットル/分)及び充填密度との関係を示すグラフで
ある。
【図14】本発明のシート状吸着材のPTFE含有量に
対する、機械的強度(引張強度及び引張伸度)との関係
を示すグラフである。
【図15】ACFがほぼ一方向に配向した本発明のシー
ト状吸着材の表面を示し、特にその「繊維の形状」を表
す光学顕微鏡写真である。
【図16】ACFがランダムに配向した本発明のシート
状吸着材の表面を示し、特にその「繊維の形状」を表す
光学顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 ACF 2 PTFEフィブリル 3 粉末炭 4 シート状吸着材 5 メンブレンフィルター 6 ケース 7 封止材
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D04H 1/42 E 1/44 1/60

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性炭素繊維を含む炭素材がポリテトラ
    フルオロエチレン樹脂のフィブリルで相互に結合されて
    形成されたものであり、且つ得られた吸着材は、引張強
    度5〜1000gf/mm2 、引張伸度10%以上、充
    填密度0.4〜1.0g/cm3 であることを特徴とす
    る吸着材。
  2. 【請求項2】 前記引張伸度が20%以上である請求項
    1記載の吸着材。
  3. 【請求項3】 活性炭素繊維及び粉末炭を含む炭素材が
    ポリテトラフルオロエチレン樹脂のフィブリルで相互に
    結合されていることを特徴とする吸着材。
  4. 【請求項4】 前記粉末炭の平均径が、前記活性炭素繊
    維の繊維直径以下である請求項3記載の吸着材。
  5. 【請求項5】 前記粉末炭が前記炭素材全体に対し5〜
    50重量%配合されている請求項3又は4記載の吸着
    材。
  6. 【請求項6】 前記吸着材に含まれる前記ポリテトラフ
    ルオロエチレン樹脂の含有率が0.5〜50重量%であ
    る請求項1、2、3、4又は5記載の吸着材。
  7. 【請求項7】 前記活性炭素繊維の平均径に対するレー
    ザー光散乱技術によって測定された活性炭素繊維の長さ
    の比が3以上である活性炭素繊維の含量が、吸着材に含
    まれるACFの活性炭素繊維の総量の20重量%以上で
    ある請求項1、2、3、4、5又は6記載の吸着材。
  8. 【請求項8】 前記活性炭素繊維の繊維直径が2〜20
    μmである請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の
    吸着材。
  9. 【請求項9】 前記活性炭素繊維がポリアクリロニトリ
    ル系活性炭素繊維である請求項1、2、3、4、5、
    6、7又は8記載の吸着材。
  10. 【請求項10】 前記吸着材が、シート状である請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の吸着材。
  11. 【請求項11】 前記吸着材中に含まれる活性炭素繊維
    がランダムに配向されている請求項10記載の吸着材。
  12. 【請求項12】 前記吸着材中に含まれる活性炭素繊維
    が一方向に配向されている請求項10記載の吸着材。
  13. 【請求項13】 粉砕された活性炭素繊維を含む炭素材
    及びポリテトラフルオロエチレン樹脂を混合し、液体成
    分が40重量%以下になるまで乾燥し、次いで圧縮剪断
    応力を吸着材の引張強度が5gf/mm2 以上に増大す
    るまで与えてポリテトラフルオロエチレン樹脂をフィブ
    リル化することを特徴とする吸着材の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記炭素材が粉砕された活性炭素繊維
    及び粉末炭を含むものである請求項13記載の吸着材の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記粉末炭は、活性炭素繊維及び粉末
    炭の総重量の5〜50重量%の量である請求項14記載
    の吸着材の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記圧縮剪断応力が、異なった線速度
    で回転する2個のロールを含むロールミルを使用するこ
    とによって与えられる請求項13、14及び15記載の
    吸着材の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記圧縮剪断応力が、異なった線速度
    で回転する2個のロールを含むロールミルを使用するこ
    とによって与えられ、次いで吸着材が、同じ線速度で回
    転する2個以上のロールを含むロールミルを使用するこ
    とによってシートに成形される請求項13、14及び1
    5記載の吸着材の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記圧縮剪断応力を与えるステップ
    が、前記混合物を、一個以上のロールミル、及び互いに
    直角にクロスする方向に2個以上のプレスロールに通過
    させることにより活性炭素繊維がランダムに配向したシ
    ートを形成するステップを含むことを特徴とする請求項
    17記載の吸着材の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記圧縮剪断応力を与えるステップ
    が、前記混合物を繰り返して同一方向にロールプレスし
    て活性炭素繊維が主として一方向に配向されたシートを
    形成するステップを含む請求項17記載の吸着材の製造
    方法。
  20. 【請求項20】 前記ロールミルは、その隙間サイズが
    活性炭素繊維の平均直径の5〜40倍である請求項17
    記載の吸着材の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記吸着材はメンブレンフィルターで
    覆われている請求項1、2、3、4、5、6、7、8、
    9、10、11又は12記載の吸着材。
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