JPH08240166A - 燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁部材と座との係合を迅速に行える燃料装置
を提供すること。 【解決手段】 燃料ポンプ（１０）と逃し弁（１１）と
噴射器（１２）とから成る単一のユニットとしての燃料
装置が、開示されている。噴射器（１２）は、圧縮コイ
ルばね（２３）により座の方向に付勢される弁部材（２
１）を含む。ばね（２３）は、弁部材（２１）のばね当
接部（２５）とピストン（２７）との間に取り付けられ
る。ピストン（２７）は、逃し弁（１１）が開いたとき
にばね（２３）と反対側の面が燃料流に晒されて弁部材
（２１）の座との係合を補助するように、構成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、内燃機関に燃料を
供給するための燃料噴射装置に関し、特に、ポンプ室と
該ポンプ室に連通する出口とを有するカム作動式プラン
ジャポンプと、燃料圧力作動式弁部材と該弁部材を座と
係合する閉鎖位置まで弾性的に付勢するように配設され
た手段とを有する燃料噴射ノズルであって前記ポンプ室
内の燃料圧力が十分大きい値を得ると座から持ち上がっ
て燃料流をノズル出口を通って噴出させるように前記弁
部材を配設した燃料噴射ノズルと、前記ポンプ室から燃
料を溢れさせ以てポンプ室内の圧力を降下せしめると共
に前記ノズルの弁部材を閉鎖して前記出口を通って燃料
が更に流出しないようにする逃し弁と、を備えた燃料噴
射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】かかる装置の一例は、ポンプ、ノズル、
逃し弁を単一ユニットとして構成した所謂ユニット噴射
器である。これにより、極めて高い燃料圧力が可能とな
り、連係した機関からの排気ガスの減少に有利である。
しかしながら、かかる利点も、逃し弁が開いてポンプ室
内の燃料圧力が降下するとき、弁部材が迅速にその座に
係合しなければ、相殺されてしまう。

【０００３】弾性手段による弁部材の閉鎖を容易にする
ために、溢れた燃料を弁部材の表面に誘導することが提
案されている。かかる構成の一例は、米国特許出願第４
４７５５１５号に記載されている。弁部材の端部の面積
は、弁部材の開放中の性能や空間条件等の他の設計上の
制約により決定される。その結果、弁閉鎖特性を改善す
るために、ばね室内の圧力を極めて高くする必要があ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、弁部
材と座との係合を迅速にすることにより弁閉鎖特性が改
善された燃料噴射装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明によ
れば、内燃機関に燃料を供給するための燃料噴射装置で
あって、ポンプ室（９）と該ポンプ室に連通する出口
（１８）とを有するカム作動式プランジャポンプ（１
０）と、燃料圧力作動式弁部材（２１）と該弁部材（２
１）を座と係合する閉鎖位置まで弾性的に付勢するよう
に配設された手段（２３）とを有する燃料噴射ノズル
（１２）であって、前記ポンプ室（９）内の燃料圧力が
十分大きい値を得ると、座から持ち上がって燃料流をノ
ズル出口（２２）を通って噴出させるように前記弁部材
（２１）を配設した、燃料噴射ノズル（１２）と、前記
ポンプ室から燃料を溢れさせ、以てポンプ室内の圧力を
降下せしめると共に、前記ノズルの弁部材（２１）を閉
鎖して前記ノズル出口（２２）を通って燃料が更に流出
しないようにする逃し弁（１１）と、を備えた燃料噴射
装置において、前記弾性手段が、圧縮コイルばね（２
３）から成り、該ばねの一方の端部が、前記弁部材（２
１）が座から離れる方向に移動するとき前記ばねを圧縮
するように移動可能な当接部（２５）と係合し、前記ば
ねの他方の端部が、内腔（２４）内で摺動可能なピスト
ン（２７）と係合し、前記ばねと反対側の前記ピストン
の端面が、逃し弁（１１）が開くと、該逃し弁（１１）
を通過した燃料の圧力に晒され、それにより前記ピスト
ンを移動して前記弁部材の座上への係合閉鎖を容易にし
た、ことを特徴とする燃料噴射装置により達成すること
ができる。

【０００６】

【発明の実施形態】以下、添付図面に基づき、本発明に
係る燃料装置の例を説明する。図面の図１を参照する
と、燃料装置は、カム作動式で往復４可能なプランジャ
ポンプ１０と、逃し弁１１と、燃料噴射ノズル１２とか
ら成る。実際の構成において、これらの３つの部品は、
共通の本体上に取り付けられる。

【０００７】プランジャポンプ１０は、内部にポンピン
グプランジャ１４を摺動可能に取り付けた、円筒状の内
腔１３を備えている。プランジャ１４は、圧縮コイルば
ね１５を介して内腔１３の外側に付勢されており、機関
駆動カム１６により内側に移動可能である。図示したよ
うに、カム１６は、直接プランジャ１４上で作動する
が、実際には、タペット組立体を設け、揺れ腕を介して
プランジャを作動させてもよい。内腔１３の内側端部
は、ポンピングプランジャ１４の端部と共働して、ポン
プ室９を構成する。ポンプ室９は、燃料噴射ノズル１２
の入口１９に接続した出口１８を有する。

【０００８】燃料噴射ノズル１２は、内側に移動して開
放する弁部材２１を収容した、ノズル本体２０を備えて
いる。燃料が入口１９から出口２２又は複数の出口に流
れるのを防ぐために、弁部材２１は、内腔２４の盲端部
により画定される室内に収容された圧縮コイルばね２３
を介して、座と係合するように付勢される。弁部材２１
は、シム２６を介して圧縮コイルばね２３の一方の端部
と係合するばね当接部２５を支持し、ばね２３の反対側
端部は、内腔内で摺動可能で内腔の盲端部と係合可能な
ディスク状ピストン２７と係合する。ピストン２７は、
中央オリフィス３４を備え、内腔２４は、その盲端部に
近接して、出口２９を有する。ばね当接部２５は、ピス
トン２７の極近傍まで延びているが弁部材２１の上昇に
必要な距離だけ離間した、スピンドル３３を支持してい
る。スピンドル３３は、当接部２５と一体であってもよ
いし、別個の部材であってもよい。通常の実施における
ように、弁部材２１は、入口１９からの加圧燃料がばね
の作用に抗して弁部材を座から持ち上げるように作用可
能な、領域を画定する。本実施形態では、座から離間す
る弁の移動量は、スピンドル３３がピストン２７と係合
することにより規制される。

【０００９】逃し弁１１は、ポンプ室に接続された入口
４０と、通路２８を介して内腔２４の盲端部に接続され
た出口４１とを有する。逃し弁１１は、好ましくは、電
子機関制御装置の制御下でアクチュエータにより電磁気
的に作動し、開放位置までばね押しされる弁部材４０Ａ
を含む。アクチュエータは、ソレノイドと、弁部材４０
Ａに接続されたアーマチュアとを含み、ソレノイドが励
磁されると、アーマチュアは、弁部材４０Ａを移動させ
て座と係合させ、弁を閉鎖する。

【００１０】作動時、燃料は、ポンピングプランジャ１
４の外側への行程で、入口ポート４２、逆止め弁４３を
経て、開放した逃し弁１１及び出口１８を介し、ポンプ
室９に吸引される。次に、図１に示したカム１６の位置
から始まって、カム１６が回転して従動子がカムローブ
の進み側フランクと係合すると、プランジャ１４に内向
きの運動が加えられる。かかる運動により、燃料は、出
口１８を通って移動し、更に、開いた逃し弁１１を通過
して、通路２８及びオリフィス３４を介して出口２９へ
と流れる。燃料噴射が要求されると、逃し弁１１は閉
じ、ポンプ室９内の燃料は加圧されて、入口１９を介し
て燃料噴射ノズル１２に送出される。圧力が所定の値に
達すると、ノズル１２の弁部材２１は、その座から持ち
上げられ、出口２２を通って燃料を流出させる。この燃
料の流れは、ポンピングプランジャがカムの作用で内側
に移動している間、逃し弁１１が開くまで続く。弁部材
２１の上昇は、スピンドル３３とピストン２７の係合に
より規制される。スピンドルとピストンの係合は、ま
た、オリフィス３４を閉じる機能も果たす。

【００１１】逃し弁１１が開くと、加圧燃料は、内腔２
４の内側端部に流入し、閉鎖されたオリフィス３４によ
り拘留される。これにより、ピストン２７、スピンドル
３３及びばね当接部２５が移動して弁部材２１の閉鎖を
助ける。ピストンの変移により、溢れた燃料は、出口２
９を経てドレン管に排出することができる。その結果、
ポンプ室９内の燃料圧力は降下し、ノズル１２の弁部材
２１を開放位置に維持するように作用する力は、減少す
る。この力の減少とピストン２７に作用する力とが結合
して、弁部材２１をその座に迅速に当接させてノズル１
２を閉鎖し、出口２２を通る燃料流を終結させる。次
に、ピストン２７は、ばね２３の作用で復帰し、内腔２
４の端部と係合する。

【００１２】次に図２を参照すると、弁部材を閉鎖位置
に付勢する圧縮コイルばね３０の一方の端部と係合する
ばね当接部２５を備えた、所謂二段リフト噴射ノズルが
示されている。ここでは、一方の端部がばね室内の段差
部と係合し、他方の端部が可動当接リング３２と係合す
る、第二の圧縮コイルばね３１が設けられている。リン
グ３２は、二本のばねを収容する室の外側端部に形成さ
れた段差部４５と係合するように付勢されている。ばね
当接部２５は、弁部材がその座から所定の距離だけ離れ
ると、当接リング３２と係合するように、位置決めされ
ている。従って、作動時、逃し弁が閉じた状態で、ポン
プ室内の燃料圧力が増加してばね３０により付与される
力により決定されるレベルに達すると、弁部材は、その
座から持ち上げられ、出口２２を通って一定量の燃料を
噴射することができる。ポンプ室内の燃料圧力が増加す
ると、流体圧力により弁部材に加わる力が二本のばねの
作用を最終的に上回り、弁部材は、完全に開放された位
置に移動する。図１に示した構成と同様、ピストン２７
は、逃し弁１１が開くと溢れた燃料の圧力により付勢さ
れて弁部材に閉鎖力を付与し、弁部材を座に対して迅速
に係合させる。

【００１３】図３は、図２に示した構成の変形であり、
ここでは、ピストン２７は、直径が大きく、ばね３０及
び３１の両方と係合している。この構成は、図２に示し
た構成と同様に動作する。しかしながら、この場合、逃
し弁が開くと、ばね室の盲端部に流入する加圧燃料は、
ピストンの全面積に亘り作用する。これにより、弁部材
２１の閉鎖を助ける力が一層大きくなる。いずれの構成
においても、溢れた燃料がピストンに作用する有効面積
の大きさは、ノズル座の性能と寿命に最適な閉鎖特性を
付与すべく、弁部材２１に作用する閉鎖力を調節選定す
ることができる。

【００１４】図４に示した構成は、ピストンがオリフィ
ス３４を備えておらず、ばね室から燃料を流出させる出
口２９が省略されているという点を除いて、図２に示し
た構成と実質的に同じである。その代わりに、通路２８
から延びる分岐通路３５が、設けられている。通路３５
及び通路２８の有効寸法は、逃し弁が開いたときにピス
トンの移動が付与する助力の程度を変更するように、選
定することができる。この構成は、図３に示した大径の
ピストンを含む構成に適用することも可能である。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、ばねと反対側のピスト
ンの端面を、逃し弁が開くと、該逃し弁を通過した燃料
の圧力に晒すことによって、前記ピストンを移動させ、
弁部材と座上との係合を容易且つ迅速に行なえる燃料噴
射装置を提供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】燃料装置の一例の概略図。

【図２】図１に示した装置の一部の変形を示した図。

【図３】図１に示した装置の一部の変形を示した図。

【図４】図１に示した装置の一部の変形を示した図。

【符号の説明】

１０……燃料ポンプ １１……逃し弁 １２……燃料噴射ノズル ２１……弁部材 ２３……圧縮コイルばね ２５……ばね当接部 ２７……ピストン

フロントページの続き (72)発明者 ジョン・ウィリアム・スティーヴンス イギリス国 ケント、ギリンガム、ハンプ ステッド、シェパーズ・ゲート 13

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関に燃料を供給するための燃料噴
   射装置であって、 ポンプ室（９）と該ポンプ室に連通する出口（１８）と
   を有するカム作動式プランジャポンプ（１０）と、 燃料圧力作動式弁部材（２１）と該弁部材（２１）を座
   と係合する閉鎖位置まで弾性的に付勢するように配設さ
   れた手段（２３）とを有する燃料噴射ノズル（１２）で
   あって、前記ポンプ室（９）内の燃料圧力が十分大きい
   値を得ると、座から持ち上がって燃料流をノズル出口
   （２２）を通って噴出させるように前記弁部材（２１）
   を配設した、燃料噴射ノズル（１２）と、 前記ポンプ室から燃料を溢れさせ、以てポンプ室内の圧
   力を降下せしめると共に、前記ノズルの弁部材（２１）
   を閉鎖して前記ノズル出口（２２）を通って燃料が更に
   流出しないようにする逃し弁（１１）と、 を備えた燃料噴射装置において、 前記弾性手段が、圧縮コイルばね（２３）から成り、該
   ばねの一方の端部が、前記弁部材（２１）が座から離れ
   る方向に移動するとき前記ばねを圧縮するように移動可
   能な当接部（２５）と係合し、前記ばねの他方の端部
   が、内腔（２４）内で摺動可能なピストン（２７）と係
   合し、 前記ばねと反対側の前記ピストンの端面が、逃し弁（１
   １）が開くと、該逃し弁（１１）を通過した燃料の圧力
   に晒され、それにより前記ピストンを移動して前記弁部
   材の座上への係合閉鎖を容易にした、 ことを特徴とする燃料噴射装置。
2. 【請求項２】 前記弁部材（２１）が、完全に開放した
   位置を占めるとき、前記ピストン（２７）と係合するよ
   うに配設された延長部（３３）を備えた、 ことを特徴とする請求項１記載の燃料噴射装置。
3. 【請求項３】 前記ピストン（２７）が、出口（２９）
   と連通したばね室（２４）に燃料を流入させるオリフィ
   ス（３４）を備えた、 ことを特徴とする請求項１又は２記載の燃料噴射装置。
4. 【請求項４】 前記弁部材（２１）が、完全に開放した
   位置を占めるとき、前記ピストン（２７）と係合するよ
   うに配設された延長部（３３）を備え、 前記ピストン（２７）が、出口（２９）と連通した内腔
   （２４）に燃料を流入させるオリフィス（３４）を備
   え、且つ、前記弁部材（２１）がその完全に開放した位
   置を占めるとき、前記延長部（３３）が前記オリフィス
   （３４）を閉鎖するように、前記オリフィス（３４）を
   位置決めした、 ことを特徴とする、請求項１に記載の燃料噴射装置。
5. 【請求項５】 更に、第二の弾性手段（３１）を備え、 前記弁部材（２１）が所定の距離を越える距離だけその
   座から持ち上がるとき、前記弁部材（２１）が、前記第
   二の弾性手段（３１）の作用に抗して移動可能である、 ことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の燃
   料噴射装置。
6. 【請求項６】 前記第二の弾性手段（３１）が、当接部
   （３２）と係合するように配設された第二の圧縮コイル
   ばねから成り、 前記当接部（３２）が、前記弁部材（２１）が所定の距
   離を越える距離だけ座から持ち上がったとき、前記弁部
   材（２１）の当接部（２５）と係合するように配設され
   た、 ことを特徴とする請求項５記載の燃料噴射装置。
7. 【請求項７】 前記第二の弾性手段（３１）が、前記ピ
   ストン（２７）と係合する、 ことを特徴とする請求項５又は６記載の燃料噴射装置。
8. 【請求項８】 前記ポンプ室（９）が、前記逃し弁（１
   １）を通って燃料を供給されるように構成されている、 ことを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の燃
   料噴射装置。