JPH08229462A - 塗布用チップを具備した液状からペースト状の粘度を持つ物質用ディスペンサ - Google Patents

塗布用チップを具備した液状からペースト状の粘度を持つ物質用ディスペンサ

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JPH08229462A
JPH08229462A JP7316808A JP31680895A JPH08229462A JP H08229462 A JPH08229462 A JP H08229462A JP 7316808 A JP7316808 A JP 7316808A JP 31680895 A JP31680895 A JP 31680895A JP H08229462 A JPH08229462 A JP H08229462A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲の粘度を持つ物質に使用でき、正確で
快適な塗布が可能で、かつ構造が単純で汚染されにく
く、低価格なディスペンサを提供する。 【解決手段】 液状からペースト状の粘度を持つ物質
用のディスペンサ。管状で少なくとも１つの分配口と連
通し縦長の長孔を少なくとも１つ備えた貯蔵部（２）
と、貯蔵部内を並進摺動可能で、前記長孔を貫通した状
態で並進摺動して物質を分配する作動手段を具備したピ
ストン（４）と、前記貯蔵部に接続された基部（９）
と、前記ピストンの駆動手段とからなり、前記貯蔵部と
基部とが一体に形成され、さらに前記分配口を備えた塗
布用チップ（６）が貯蔵部と一体化されたことを特徴と
するディスペンサ。前記塗布用チップ（６）は、少なく
とも１つのキャビティまたは溝（７）を持ち、前記分配
口（６１）がこのキャビティまたは溝の内部に設けられ
ているのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、液状からペースト
状までの粘度を持つ物質を基体に塗布するための塗布用
チップ（ノズル）を具備したディスペンサに関する。こ
のディスペンサは、特に、皮膚または粘膜への化粧品の
塗布に適しているが、例えばニカワ等の粘性物質の分配
（ディスペンス）用として、他の技術分野でも使用でき
る。より詳細には、本発明は、クリーム状の粘度を持つ
口紅や唇用軟膏組成物、あるいは皮膚手入れ用クリーム
を分配して塗布することを目的とする。
【０００２】
【従来の技術】一般に、唇のメーキャップ用ディスペン
サでは、固体粘度のスティック形状の物質が通常カップ
状の可動性支持体に配置され、さらにケース及び前記ス
ティックを保存中はケース内に収納し、塗布すべきとき
はケースから露出させる機構とを備えている。
【０００３】しかし、このような従来の構造は複雑であ
り、特別な組立手段が必要であった。さらに、口紅の製
造には、スティックの熱成形、真空下での金型からの離
型、スティック表面のフレーム処理、スティックのカッ
プへの固定といった一連の工程が必要である。しかも、
スティックが脆いため、スティックを固定したカップを
組み立てるのには熟練を要する。このような特別な組立
手段や製造工程を要するために、唇用製品のコストは高
かった。さらに、このタイプの従来の口紅は、例えば、
特に高温において、ハンドバックに入れて携帯中の衝撃
に対する耐性があまり良好ではなかった。
【０００４】これらの欠点を克服するために、本出願人
は、液状からペースト状までの粘度を持つ物質の塗布用
のディスペンサを用いることを検討した。このタイプの
物質は、現在この用途に用いられていない染料及び／ま
たは結合剤を使用することを可能にする。
【０００５】仏国特許出願１３２３６３１号公報は、皮
膚手入れ用クリームのディスペンサを開示しており、こ
のディスペンサは、円筒形の本体、その本体方向に放射
状に設けられたスタッドを持つ円筒形のピストン、本体
下部に摺動自在に取り付けられた作動リング、分配口
（ディスペンシング・オリフィス）を備えた外部円筒形
保護ケース、螺旋状の溝を持ち、外部ケースと一体とさ
れた中間円筒形ケース、作動リングと一体とされ、軸方
向の孔を備え、さらに中間ケース内に回転自在に取り付
けられた内部円筒形ケースを具備している。このピスト
ンは、物質を収納した前記内部ケース内を摺動できるよ
うに取り付けられ、スタッドが孔を介して中間ケースに
設けられた螺旋状溝と相互に作用するようにされてい
る。作動リングが回転することにより中間ケースが回転
してピストンが上昇し、物質が分配される。
【０００６】この従来のディスペンサは、高粘度の物質
にしか使用できないという欠点があった。物質が液状で
あると、孔を通して漏洩し、螺旋状溝をつまらせて機構
が作動するのを妨害するからである。
【０００７】また、米国特許４３２３１５７は、斜めに
切られた分配口を持つ長尺の化粧品塗布用具を開示して
いる。この塗布用具は、従来のスティックや口紅といっ
た押し出し成形された固体物質の塗布に適したものであ
り、液状物質の分配には使用できない。物質の分配は、
使用者が片手で操作できる機構によって制御される。し
かし、この操作の間に、斜めに切られた分配口の向きが
変化するので、使用者は、その片方の手の中で、例えば
他方の手を用いて塗布用具を正しい方向に持ち換えねば
ならなかった。
【０００８】米国特許２４４２５０３には、弾性チップ
を備えた液状口紅の塗布用具が開示されている。この塗
布用具の分配機構では、片方の手で容易に分配すること
はできなかった。
【０００９】米国特許２３７４０６５は、複数の分配口
を持つ塗布面を備えた塗布用チップが開示されている
が、このチップは硬質プラスチックから形成されてい
る。従って、物質の唇への塗布は快適さに欠ける。さら
に、得られるメーキャップは不均一ですじ状である。ま
た、物質の塗布を片手で制御できない。さらに、物質が
駆動機構に接して保持されているので、駆動機構が汚染
され、塗布用具を使用不能にすることもある。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、液状から
ペースト状の広い範囲に渡る粘度を持つ物質を塗布する
ためのディスペンサであって、新規な物質に使用でき、
メーキャップの正確で快適な塗布が可能なディスペンサ
を提供することによって上記の欠点を克服することを試
みた。さらに本出願人は、構造が単純であり、液状の塗
布物質によっても汚染されず、実装及びパッケージが簡
単で、よって魅力的な低価格であるディスペンサを製造
することを目的とした。本出願人によって提案されるデ
ィスペンサは実用的であり、片方の手だけで操作するこ
とができる。
【００１１】
【課題を解決するための手段】これらの目的は、弾性材
料からなる所定形状の塗布用チップを具備したディスペ
ンサによって達成される。本出願人は、そのようなチッ
プを選択することにより、深くてつやのある唇のメーキ
ャップが得られることを見いだした。さらに、このチッ
プの塗布面にキャビティまたは拡散用溝を設けることに
より、ブラシで塗布するよりも早く、より均一なメーキ
ャップを得ることができる。また、チップの塗布面にあ
るこれらの溝またはキャビティは、唇に塗布された過剰
の物質を吸収することを可能にする。特に、物質は片手
で操作できる機構によって分配され、この操作によって
チップの塗布面の方向が変わることはない。
【００１２】従って、本発明は、液状からペースト状ま
での粘度を持つ物質を分配し塗布するためのディスペン
サであって、分配する物質を収納する管状の貯蔵部であ
って、少なくとも１つの分配口と連通し、該貯蔵部の前
記分配口と逆側に、上端部及び下端部を有する縦長の長
孔を少なくとも１つ備えた貯蔵部と、前記貯蔵部内を並
進摺動可能であり、前記長孔を貫通して並進摺動し物質
を分配する作動手段を具備したピストンと、前記貯蔵部
に接続された基部と、前記ピストンを駆動させる手段と
からなり、前記貯蔵部と基部とが一体に形成され、前記
スロットが貯蔵部の適当な部分に形成されたディスペン
サに関する。本発明によれば、前記分配口を備えた塗布
用チップが貯蔵部と一体化されている。
【００１３】「液状からペースト状までの粘度を持つ物
質」という用語は、分配手段の作用によって流動し、こ
の物質が分配口を通して放出されるような推力を働かせ
ることのできる組成物全般を意味するものとする。 好
ましくは、この物質の粘度は０．６Ｐａ・ｓから１７Ｐ
ａ・ｓに渡る範囲にある。
【００１４】好ましくは、前記作動手段は、貯蔵部の少
なくとも一部を覆い、並進方向には固定され、この貯蔵
部の回りには自由に回転されるように取り付けられ、内
面に螺旋状の駆動部材が設けられた作用リングと、ピス
トンと一体かつ長孔を貫通するように設けられ、該長孔
内を並進摺動可能な相補的駆動部材とからなり、この螺
旋状の駆動部材と相補的駆動部材とが、作用リングの回
転によってピストンが並進し、物質を分配するように配
設されている。
【００１５】さらに、前記ピストンの相補的駆動部材
が、それが配設されている長孔から外れることを防止す
るための保持手段を備えていてもよい。
【００１６】前記基部の末端が開口しており、前記保持
手段が、好ましくはこの開口端を閉塞する栓体であっ
て、この栓体がスカート部を備え、スカート部の自由端
がリミット・ストップ手段を形成するようにするのが好
ましい。
【００１７】好ましくは、前記駆動部材が、前記作用リ
ング内面のネジ山からなり、前記相補的駆動部材が、ピ
ストンに設けられた外面のネジ山からなり、この外面の
ネジ山と前記内面のネジ山とが螺合する。この作用リン
グは、円筒形のスカート部を備えるのが好ましく、この
スカート部は、内面に溝または環状リブを備え、これが
基部に設けられたリブまたは溝と嵌合する。よって作用
リングは、並進方向に固定され、回転には自由になる。
【００１８】他の可能な実施態様では、前記駆動部材
が、前記作用リングの内面に設けられた少なくとも１つ
の螺旋状溝からなり、前記相補的駆動部材が、ピストン
に設けられた少なくとも１つのスタッドからなり、この
スタッドが前記螺旋状溝内を摺動する。
【００１９】前記ピストンは円筒状のスカート部を備
え、該スカート部が物質に接する円形の底面を持ち、該
物質と逆側に設けた相補的駆動部材が長孔の下端に位置
するとき、前記ピストンの円形底面が長孔の上端より上
方に位置している。
【００２０】特別な実施態様では、塗布用チップは、少
なくとも１つの分配口を備えた塗布面を持ち、このチッ
プの塗布面は、少なくとも１つのキャビティまたは少な
くとも１つの溝を有し、前記分配口は、このキャビティ
または溝の内部に設けられている。
【００２１】好ましい実施態様では、この塗布用チップ
が、実質的に尖塔形状をなし、該尖塔の側面に斜めに設
けられた分配口を持つ平面状または僅かに凸面状の塗布
面を備える。
【００２２】好ましくは、このキャビティまたは溝は、
塗布面に平行に延設されて経路を形成し、物質が基体に
塗布されるときに物質が広がる流路となる。この塗布面
は、平面状、凹面状、または凸面状であってもよい。こ
れらの経路が凹面または凸面に切り込まれている場合
は、「平行」という用語は、実質的に一定の深さで塗布
面に設けられたくぼみからなる経路を意味するものとす
る。
【００２３】他の変形例では、塗布面は格子状に形成さ
れていてもよい。この塗布面は、好ましくは、２組のワ
イヤを織ったものであり、一方のワイヤの組と他方のワ
イヤの組とは交差し、特に互いに直交する方向に沿って
織られている。そのようにして形成された塗布面は、多
数の分配口を持つ。そのような多数の分配口が形成され
た場合は、それらの断面は、変化していても種々の形状
をなしていてもよい。
【００２４】さらに他の変形例では、塗布面は多数のピ
ンを備えており、それらのピンは互いに連通した多数の
キャビティによって隔てられている。キャビティの少な
くとも一部は、その底部において分配される物質を収納
する貯蔵部と連通した分配口を備える。
【００２５】さらに他の変形例では、塗布用チップは、
全部または一部にわたって、等間隔に隔てられた皺を持
つ塗布面を具備する。
【００２６】塗布面に設けられる流路は、直線状でも曲
線状でもよく、閉じた曲線状であってもよい。
【００２７】塗布の柔らかさ及び可撓性が付与されるよ
うに、チップはエラストマー材料から形成するのが好ま
しい。このエラストマー材料は、例えば、ポリエチレ
ン、ポリウレタン、またはポリエステルのエラストマ
ー；ポリエーテルブロックアミド；ポリビニル類；エチ
レン、プロピレン、及びジエン（ＥＰＤＭ）のターポリ
マー(terpolymer)；スチレン−ブタジエン・ブロックコ
ポリマー（ＳＥＢＳ−ＳＩＳ）、シリコーン、ニトリル
ゴム、ラテックスから選択される。これらの材料は、物
質を基体に塗布する際に、その物質を拡散させ、滑らか
にする有利な特性を有している。好ましくは、このエラ
ストマー材料は、４０から７０の範囲のショア硬度(Sho
re A)の硬度を持つ。
【００２８】このディスペンサは着脱自在な保護キャッ
プを備えていてもよい。この場合、塗布用チップは、環
状のシール用ビードを備え、その上に保護キャップを摩
擦係合するようにしてもよい。
【００２９】上述した分配及び塗布用のディスペンサ
は、特に唇用物質の塗布に適している。また、本発明の
実施態様のうち特に好ましい形態では、塗布用チップは
実質的に尖塔形状をなし、その尖塔の側面に斜めに形成
された平面状または僅かに凸面状の塗布面を備え、その
塗布面には少なくとも１つの分配口が設けられていて、
従来の固体棒状の口紅の使用前の形状に類似するように
されている。従来の変形する口紅に比較した非変形の半
硬質チップの利点は、口紅または唇用軟膏のチューブを
使い切るまでその形状が維持され、そのスティックの末
端を用いて正確で均一なメーキャップが確保されること
である。
【００３０】好ましくは、この塗布用チップは、物質の
推力では開口するが、分配していないときは、外気が貯
蔵部に侵入して該物質に接触するのを防止する閉塞手段
を具備する。
【００３１】このディスペンサによれば、きわめて快適
に塗布でき、唇で物質を拡散させ滑らかにする特性を持
ち、過剰な物質は吸収できる。片手だけで操作すること
ができる。また、得られるメーキャップは、正確であり
つやがある。
【００３２】上記の特徴の以外に本発明は多くの他の特
徴を持ち、以下に、それらの特徴をいくつかの実施例を
用いて図面を参照しながら説明するが、それらは本発明
の範囲を限定するものではない。
【００３３】
【発明の実施の形態】図１から４は、液状からペースト
状までの粘度を持つ物質Ｐを分配及び塗布するためのデ
ィスペンサ１を示し、このディスペンサ１は、環状をな
し分配すべき物質Ｐを収納する貯蔵部２を備えている。
この物質は、特に、０．６Ｐａ・ｓから１７Ｐａ・ｓ、
好ましくは２Ｐａ・ｓから１０Ｐａ・ｓの範囲の粘度を
持つ口紅である。
【００３４】特に図２に示したように、貯蔵部２は２つ
の部材、即ち、物質Ｐを収納する上部材２ａと、円筒形
ピストン４が摺動自在に取り付けられた下部材２ｂを具
備する。このピストンは、物質Ｐに接する円形の壁面４
１を有する。部材２ａの自由端には縮径領域３１が設け
られ、この領域は円錐台形状をなして円筒形首部３２に
延設されている。この首部３２は、塗布用チップ６に覆
われているが、この塗布用チップは実質的に尖塔形状を
なし、その尖塔の側面に斜めに形成された平面状または
僅かに凸面状の塗布面６３を備えている。この塗布面６
３には少なくとも１つの分配口６１が、キャビティ７５
の底面に設けられていて、貯蔵部２の首部３２に連通し
ている。好ましくは、塗布面６３は凹凸を有して物質Ｐ
が拡散しやすくされている。
【００３５】好ましくは、塗布用チップ６は弾性材料か
らなる。下部材２ｂのピストン４と同じ側に、少なくと
も１つの縦長の長孔２１が設けられ、ピストン４と一体
の少なくとも１つのスタッド４３が、長孔２１を介して
放射方向に延設されている。下部材２ｂは、底面におい
て、リミット・ストップ手段２２によって、円筒部材２
３に連結されるが、この円筒部材の内径は、貯蔵部２の
外径より僅かに大きい。長孔２１は、円筒部材２３の全
長を越えて下方に延びている。平行四辺形の基部材２７
は、他の円筒部材２５を介して円筒部材２３に連結され
ているが、この円筒部材２５の内径は前記円筒部材２３
の外径と実質的に同じであり、環状のリミット・ストッ
プ手段２４を形成している。部材２２から２７で基部９
が構成されている。
【００３６】基部９は貯蔵部２に連結され、内部に少な
くとも１つの貯蔵部より実質的に大きな断面を持つ領域
を備えている。従って、リミット・ストップ手段が形成
されるとともに、ピストン４の相補的駆動部材（スタッ
ド）４３が長孔２１内を通れるようになっている。この
領域は、長孔まで延設され、即ち、この配置によってピ
ストンが貯蔵部内に導かれる。
【００３７】基部材２７の自由端は開口部２８を備え、
それによってピストン４が貯蔵部２内に導入される。そ
のようにしてピストンが導入された後、開口部２８は栓
体７で塞がれる。この栓体は（如何なる形状でもよい
が）中心スカート部７２を持つ末端７１を備えている。
このスカート部７２の自由端７３は環状のリミット・ス
トップ手段２２まで延設され、ピストン４の底面を支え
てピストンが貯蔵部から飛び出さないようにしている。
【００３８】貯蔵部２内でピストン４がこのように配置
され、貯蔵部２の上部材２ａと下部材２ｂとの間で完全
なシールが得られるので、貯蔵される物質Ｐは外気から
保護されている。必要なら、ピストン４は貯蔵部２の上
部材２ａ内で滑動できるＯ−リングを付けてもよく、こ
れは、低粘度または揮発性物質の分配に好適である。し
かも、パッケージまたは分配の間、物質Ｐは貯蔵部２か
ら漏洩せずこのディスペンサの分配機構の汚染が回避さ
れる。分配終了時での物質の浪費を少なくするためにピ
ストン４の円形壁４１は円筒形のカバー４９を持ち、首
部３２の内部容量も分配させることができる。
【００３９】環状の作用リング５は、その軸方向の長さ
が、貯蔵部２の下部材２ｂの長さより弱冠長く、この下
部材２ｂに回転自在に取り付けられている。円筒部材２
３に形成されたスナップ・フィット・ビード２９は、作
用リング５の内面に形成された環状の溝５２に嵌合して
リングを保持する。
【００４０】作用リング５の長孔に面した内面にはネジ
山が形成され、これがスタッド４３の自由端上に形成さ
れたネジ山４３ａと螺合する。
【００４１】基部材２７と円筒部材２５との間に形成さ
れる段差２６に接触するように、保護キャップ８を取り
付けてもよい。この保護キャップの断面は環状であって
も、基部材２７の断面と同じで形状あってもよい。保護
キャップ８は、円筒形の内部スカート部８１を備え、そ
の自由端８１ａは、塗布チップ６と一体に形成された環
状ビード６５に気密に押し付けられる。このキャップ８
は、スカート部８１の内部に形成されたスタブ８２をさ
らに備えて、分配口６１を閉鎖したり、分配バルブを塞
いでもよい（図６及び７の６１、６６）。
【００４２】本発明のディスペンサの構成部材は組み立
てが容易である。これらを組み立てるためには、まずピ
ストン４を基部材２７の開口部２８に導入し、ピストン
のスタッド４３を長孔２１内で摺動できるようにする。
栓体７を開口部２８に押し込むことにより、スカート部
７２が、ピストン４が貯蔵部２から飛び出すのを防止す
る。次に、作用リング５を、環状リミット・ストップ手
段２２の上方から填める込む。リング５を１〜２回転さ
せることによりスタッド４３のネジ山４３ａを作用リン
グ５の内面のネジ山５１と螺合させる。次いで、物質Ｐ
を、できれば加熱状態で、首部３２を通して貯蔵部２に
導入する。さらに、塗布用チップ６及び保護キャップ８
を取り付ける。これで、ディスペンサは使用可能とな
る。
【００４３】他の可能な方法によると、貯蔵部２は開口
部２８を通して充填され、貯蔵部２／ピストン４／塗布
用チップ６の組立工程を逆にする。この場合、物質Ｐ
は、加熱状態で、ピストンの環状壁面４１に設けられた
孔（図示せず）を通して注入される。充填後、この孔は
薄い被覆用円盤部材によって塞がれる。
【００４４】唇をメーキャップをするために、使用者
は、保護キャップ８を外した後、ディスペンサを片方の
手に持ち、親指と人差指とで作用リングを挟み、他の指
で基部９を握る。作用リング５を回転させることによ
り、押し出された物質が分配口６１の周辺に蓄積され
る。この塗布面６３を唇に適用することにより、使用者
は、容易に塗布物質を正確に塗り広げることができ、得
られるメーキャップは快適でつやがある。
【００４５】図５は、弾性体の塗布用チップ６ａを示す
縦断面図であり、このチップ６ａの塗布面６３には、一
方向バルブ６１を形成する切抜きが設けられている。こ
のバルブ６１は、ディスペンサが休止状態のときは硬い
挿入物６２ａに接しているが、分配の際には物質の推力
で離間する（位置６２ｂ）。
【００４６】図６は弾性体の塗布用チップ６ｂの縦断面
図であり、このチップ６ｂの塗布面６３は凸面であり複
数の分配口６１を有する。さらに、この塗布面６３は閉
塞ピン６６を備え、休止位置において貯蔵部の首部３を
塞ぐが、物質Ｐの推力によって持ち上がり、分配が停止
すると即座に分配口を塞ぐ。
【００４７】図７に示したように、一方向分配バルブ６
３ｂ、４４を備えた塗布用チップ６ｃは、４つの分配口
を設けた凹面状の塗布面６３を持つ。このチップ６ｃ
は、物質輸送用の管４３を設けた硬質または半硬質の挿
入物４０を備えていてもよい。この挿入物４０は、塗布
面６３の内壁に密着している。この挿入物４０は、分配
口６１に連通した環状の溝４５を備えている。管状部材
４４は、環状の溝４５と輸送用管４３とを分離してい
る。さらに、挿入物４０は、塗布用チップ６ｃの内面に
設けられたビード４１と嵌合する凸状４２を外周面に具
備している。休止位置にあるとき、輸送用管４３は、塗
布面の部材６３ａと一体化された中心ピン６３ｂによっ
て塞がれる。チップを形成している材料の弾力性のため
に、この部材６３ａは物質の推力によって持ち上がる
が、分配が停止したときは即座に輸送用管４３を気密に
閉塞し、外気が侵入して物質に接触することを防止す
る。従って、物質は酸化されない。この場合、チップ６
ｃは保護キャップとしての役割も果たす。
【００４８】図８は、ポリエチレン・エラストマーから
なり、多くの部材６４、６５、７２からなる一方向分配
バルブを備えた塗布用チップ６ｄを示す。貯蔵部の首部
３２に装着された通常は円筒形状のノズル６０は、中心
孔６３を持つ円板６２を備える。この円板６２の首部側
には、円筒形のシール用スカート部６０ａが設けられ、
これによって首部３２に密着する力が与えられている。
この円板６２の首部３２の反対側には、中心孔６３の周
囲を延長して上部を塞いで形成された中心ドーム６４が
設けられている。この中心ドーム６４には、放射方向に
数個の孔６５を持つ。さらに円板６２は、末端が斜めに
切断された円筒形スカート部６６を持つ。このスカート
部６６は、外周面に環状ビード３３を持ち、塗布用チッ
プ６ｄの円筒形壁面７０の内面に設けられた相補的形状
の環状溝６８と嵌合することができる。このチップ６ｄ
は、僅かに凹んだ塗布面６３を持ち、その上に分配口６
１が環状に配置されている。この塗布面５は、円板６２
側に向けてシール用スカート部７３を備え、円板６２に
設けられたスカート部６６を気密に閉塞する。塗布面５
は僅かに凸面状をなしている。同じ側において、塗布面
５に結合した手袋の指の形状をなした中心部材７１が、
円板６２方向に延長され、ドーム６４を完全に覆うよう
にされている。この中心部材７１は、孔６５を覆う弾性
の円筒形スカート部７２を備え、物質の推力によって離
間し、分配を停止すると即座に閉位置に戻る。
【００４９】図９から１６は、本発明の塗布用チップの
数種類の実施態様を示すが、同じ構成部材または類似の
機能を果たす部材は、図１と同じ参照符号を付した。
【００５０】図９は、楕円形状の溝１５及び長円状のキ
ャビティ１６とを備えた塗布用チップ６ｅを示してお
り、楕円形状の溝と、その楕円形溝の長軸に沿って形成
されたキャビティ１６とによって、楕円形断面１７が決
定されている。溝１５およびキャビティ１６の底面に
は、規則的に間隔をあけて分配口６１が設けられてい
る。
【００５１】ある実施態様では、図示しないが、塗布面
６３は少なくとも１つの凹凸を形成した領域を有してざ
らざらな面とし、物質が拡散し易くしてもよい。この凹
凸を形成した領域は、例えば図９における楕円形部分１
７であってもよい。
【００５２】図１０は、図７に示したものに類似した塗
布用チップ６ｃの斜視図であり、４つの分配口６１を持
つ凹面状の塗布面６３を備えている。
【００５３】図１１は、塗布用チップ６ｆの斜視図であ
り、その塗布面５は格子状であって、四角形の隙間がキ
ャビティまたは開口部７５を形成し、その底面に物質Ｐ
を輸送する分配口６１が設けられている。
【００５４】図１２は、図１１のチップの変形例６ｇを
示し、キャビティ７５は図２のチップ６ｆのキャビティ
と同じ種類のものであるが、異なった方法で配列されて
いる。
【００５５】図１３は、塗布面６３が２組の平行な一連
の細い棒の組から形成されたチップ６ｈを示しており、
第１の組の棒８１は、異なる深さに並べられた第２の組
の棒８２と直角をなして配列されている。これらの細い
棒によって格子が決定されている。これらの棒は、織物
のように（２組の棒８１及び８２を交互に重ね合わせ
て）配置してもよい。
【００５６】図１４は、多数のピン１１に囲まれて中心
に設けられた分配口６１を備えた塗布面６３を持つチッ
プ６ｉを示す。キャビティ７５は、互いに連通し、円柱
形状のピンの間に形成される。ピンとピンとの間隙が流
路７を決定している。
【００５７】図１５は、四角形の断面を持つキャビティ
７５と四角形の断面を持つピン１２とが交互に並んだ塗
布面６３を有する塗布用チップ６ｊを示し、キャビティ
７５の底面が分配口６１となっている。キャビティ７５
と、そのキャビティの断面の対角線に沿って隣接するキ
ャビティ７５との間に存在する経路が物質の流路とな
る。
【００５８】図１６の塗布用チップ６ｋは、２つの同心
円状リング１４ａ、１４ｂからなる塗布面を持ち、その
底面には放射状に小さな棒状部材７５ａ、７５ｂが配設
されている。これらの小さな棒状部材の隙間が、物質の
分配口６１を形成している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の液状からペースト状までの物質を分
配するためのディスペンサの分解斜視図である。
【図２】 図１のディスペンサの最初の分配前の断面図
である。
【図３】 図１のディスペンサの貯蔵部の拡大図であ
る。
【図４】 図１のディスペンサの分配終了時の断面図で
ある。
【図５】 図１のディスペンサの一部をなす塗布用チッ
プの一変形例の縦断面図である。
【図６】 図１のディスペンサに装着可能なバルブを備
えた塗布用チップの変形例の縦断面図である。
【図７】 一方向分配バルブを備えた塗布用チップの変
形例の縦断面図である。
【図８】 他のタイプの一方向分配バルブを備えた塗布
用チップの変形例の縦断面図である。
【図９】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チッ
プの他の変形例を示す図である。
【図１０】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【図１１】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【図１２】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【図１３】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【図１４】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【図１５】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【図１６】 図１のディスペンサに装着可能な塗布用チ
ップの他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
１…ディスペンサ、２…貯蔵部、４…ピストン、５…作
用リング、６‥塗布用チップ、７…栓体、８…保護キャ
ップ、９…基部、２１…長孔、６１…分配口、６３…塗
布面、Ｐ…塗布物質。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６５Ｄ 47/42 Ｂ６５Ｄ 47/42 Ｊ

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 液状からペースト状の粘度を持つ物質を
    分配し塗布するためのディスペンサであって、 分配すべき物質を収納する管状の貯蔵部であって、少な
    くとも１つの分配口（６１）と連通し、分配口（６１）
    と逆側に、上端部（２１ａ）及び下端部（２１ｂ）を有
    する少なくとも１つの長孔（２１）を備えた貯蔵部
    （２）と、 前記貯蔵部（２）内を並進摺動可能であり、前記長孔
    （２１）を貫通した状態で並進摺動し物質を分配させる
    作動手段（４３）を具備したピストン（４）と、 前記貯蔵部に接続された基部（９）と、 前記ピストン（４）を並進駆動させるピストン駆動手段
    とを具備するディスペンサにおいて、 前記貯蔵部（２）と基部（９）とが一体に形成され、前
    記長孔が貯蔵部の適当な部分に形成され、さらに前記分
    配口（６１）を設けた塗布用チップ（６、６ａから６
    ｋ）を備え、この塗布用チップが前記貯蔵部と一体にさ
    れたことを特徴とするディスペンサ。
  2. 【請求項２】 前記作動手段が、貯蔵部の少なくとも一
    部を覆い、並進方向には固定され、貯蔵部の回りには回
    転自在に取り付けられ、内面に螺旋状の駆動部材（５
    １）が設けられた作用リング（５）と、 ピストン（４）と一体に前記長孔（２１）を貫通して形
    成され、該長孔内を並進摺動可能な相補的駆動部材（４
    ３）とからなり、 この螺旋状の駆動部材（５１）と相補的駆動部材（４
    ３）とが、作用リング（５）の回転によってピストン
    （４）が並進し物質を分配させるように配設されたこと
    を特徴とする請求項１記載のディスペンサ。
  3. 【請求項３】 前記基部（９）が、リミット・ストップ
    手段を形成し、かつピストン（４）の相補的駆動部材が
    長孔（２１）内に通過できるように、貯蔵部より大きな
    断面を持つ少なくとも１つの領域（２５）を備えてお
    り、この領域（２５）が長孔まで延設されていることを
    特徴とする請求項１または２に記載のディスペンサ。
  4. 【請求項４】 前記ピストン（４）の相補的駆動部材
    （４３）が長孔（２１）から外れるのを防止する保持手
    段（７）が設けられたことを特徴とする請求項２または
    ３に記載のディスペンサ。
  5. 【請求項５】 前記基部（９）が、開口端（２８）と、
    この開口端（２８）を閉塞する栓体（７）からなる保持
    手段とを有し、前記栓体（７）がリミット・ストップ手
    段（２２）に当接される自由端（７３）を備えたスカー
    ト部（７２）を支持していることを特徴とする請求項４
    記載のディスペンサ。
  6. 【請求項６】 前記駆動部材が、前記作用リング（５）
    内面に設けられたネジ山（５１）からなり、前記相補的
    駆動部材（４３）が、ピストン（４）に設けられた外面
    のネジ山（４３ａ）からなり、この外面のネジ山（４３
    ａ）と前記作用リング（５）内面のネジ山（５１）とが
    螺合することを特徴とする請求項２から５のいずれかに
    記載のディスペンサ。
  7. 【請求項７】 前記駆動部材（５１）が、前記作用リン
    グ（５）の内面に設けられた少なくとも１つの螺旋状溝
    からなり、前記相補的駆動部材（４３）が、ピストン
    （４）に設けられた少なくとも１つのスタッドからな
    り、このスタッドが前記螺旋状溝内を摺動することを特
    徴とする請求項２から５のいずれかに記載のディスペン
    サ。
  8. 【請求項８】 前記ピストン（４）が円筒状のスカート
    部（４２）を備え、該スカート部が物質に接する円形底
    面（４１）を持ち、該物質と逆側に設けた相補的駆動部
    材（４３）が長孔（２１）の下端（２１ｂ）に位置する
    とき、前記ピストンの円形底面（４１）が長孔（２１）
    の上端（２１ａ）より上方に位置して気密性を保持する
    ようにされていることを特徴とする請求項１から７のい
    ずれかに記載のディスペンサ。
  9. 【請求項９】 前記塗布用チップ（６、６ａから６ｋ）
    が、実質的に尖塔形状をなし、該尖塔の側面に斜めに設
    けられた分配口を持つ平面状または僅かに凸面状の塗布
    面６３を備えることを特徴とする請求項１から８のいず
    れかに記載のディスペンサ。
  10. 【請求項１０】 前記塗布用チップ（６、６ａから６
    ｋ）が、物質の推力で開口するが、分配していないとき
    は外気が貯蔵部（２）に侵入して該物質に接触するのを
    防止する閉塞手段（６２ａ、６２ｂ）を具備することを
    特徴とする請求項１から９のいずれかに記載のディスペ
    ンサ。
  11. 【請求項１１】 前記塗布用チップ（６、６ａから６
    ｋ）が、少なくとも１つのキャビティまたは少なくとも
    １つの溝を設けた塗布面を具備し、前記分配口（６１）
    が、該キャビティまたは溝（７５）の内部に設けられた
    ことを特徴とする請求項１から１０のいずれかに記載の
    ディスペンサ。
  12. 【請求項１２】 前記キャビティまたは溝が、塗布面
    （６３）に平行に延設され、物質が基体に塗布されたと
    きに該物質が拡散する流路となる経路（８）を形成する
    ことを特徴とする請求項１１記載のディスペンサ。
  13. 【請求項１３】 前記塗布用チップ（６、６ａから６
    ｋ）が可撓性材料からなることを特徴とする請求項１か
    ら１２のいずれかに記載のディスペンサ。
  14. 【請求項１４】 前記塗布用チップ（６、６ａから６
    ｋ）が、ポリエチレン、ポリウレタン、またはポリエス
    テルのエラストマー；ポリエーテルブロックアミド；ポ
    リビニル類；エチレン、プロピレン、及びジエン（ＥＰ
    ＤＭ）のターポリマー；スチレン−ブタジエンのブロッ
    クコポリマー（ＳＥＢＳ−ＳＩＳ）、シリコーン、ニト
    リルゴム、ラテックスからなる群から選択されるエラス
    トマー材料からなることを特徴とする請求項１から１３
    のいずれかに記載のディスペンサ。
  15. 【請求項１５】 前記エラストマー材料が４０から７０
    のショア硬度を持つことを特徴とする請求項１４記載の
    ディスペンサ。
  16. 【請求項１６】 塗布面（６３）が、平面状であること
    を特徴とする請求項１１から１５のいずれかに記載のデ
    ィスペンサ。
  17. 【請求項１７】 塗布面（６３）が、凸面状であること
    を特徴とする請求項１１から１５のいずれかに記載のデ
    ィスペンサ。
  18. 【請求項１８】 塗布面（６３）が、凹面状であること
    を特徴とする請求項１１から１５のいずれかに記載のデ
    ィスペンサ。
  19. 【請求項１９】 塗布面（６３）が、格子状（１０）に
    形成されたことを特徴とする請求項１１から１８のいず
    れかに記載のディスペンサ。
  20. 【請求項２０】 塗布面（６３）が、２組のワイヤの織
    物からなり、一方の組のワイヤが他方の組のワイヤと交
    差することを特徴とする請求項１９記載のディスペン
    サ。
  21. 【請求項２１】 塗布面（６３）が、互いに連通した多
    数のキャビティによって離間された多数のピン（１１）
    を備え、前記キャビティの少なくとも一部が少なくとも
    １つの分配口（６１）を備えることを特徴とする請求項
    １１から２０のいずれかに記載のディスペンサ。
  22. 【請求項２２】 前記塗布用チップ（６、６ａから６
    ｋ）が、規則的に間隔をあけた皺をもつ塗布面（６３）
    を備えることを特徴とする請求項１から２１のいずれか
    に記載のディスペンサ。
  23. 【請求項２３】 前記流路が直線状または曲線状である
    ことを特徴とする請求項１２から２２のいずれかに記載
    のディスペンサ。
  24. 【請求項２４】 前記物質が化粧品用組成物であること
    を特徴とする請求項１または２３に記載のディスペン
    サ。
  25. 【請求項２５】 前記物質が、液状からペースト状の粘
    度を持つ唇用組成物であることを特徴とする請求項１か
    ら２４のいずれかに記載のディスペンサ。
  26. 【請求項２６】 分配される物質が、０．６Ｐａ・ｓか
    ら１７Ｐａ・ｓの範囲の粘度を持つことを特徴とする請
    求項１から２５のいずれかに記載のディスペンサ。
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