JPH08174270A - Ni基高Cr合金用被覆アーク溶接棒 - Google Patents
Ni基高Cr合金用被覆アーク溶接棒Info
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- JPH08174270A JPH08174270A JP32720194A JP32720194A JPH08174270A JP H08174270 A JPH08174270 A JP H08174270A JP 32720194 A JP32720194 A JP 32720194A JP 32720194 A JP32720194 A JP 32720194A JP H08174270 A JPH08174270 A JP H08174270A
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Abstract
用被覆アーク溶接棒に関する。 【構成】 特定割合のC,Si,Mn,P,S,Cr,
Mo,Cu,Nb,Al,Ti,Fe,Co,W,V,
O及びNを含み、残部がNiからなる合金を心線とし、
特定割合の金属炭酸塩,金属ふっ化物,酸化物を含み、
さらに上記以外の合金剤、脱酸剤、スラグ生成剤、粘結
剤からなる被覆剤を前記心線のまわりに被覆塗装してな
ることを特徴とするNi基高Cr合金用被覆アーク溶接
棒。 【効果】 高温引張特性及び耐溶接割れ性に優れた溶接
金属や溶接継手を得ることができる。
Description
ントなどに代表される300〜350℃の高温で使用さ
れる高温耐食機器に用いられるインコネル690合金
(米国INCO社の商品名)などのNi基高Cr合金の
溶接に適した被覆アーク溶接棒に関し、さらに詳しくは
高温引張強度特性、耐溶接割れ性に優れた溶接金属を得
ることができる被覆アーク溶接棒に関する。
る加圧水型原子力発電プラントの蒸気発生器伝熱管材な
どには耐食性に優れたインコネル600合金が用いられ
ている。さらに伝熱管材として信頼性向上を目指して新
たに開発されたインコネル690合金が使われ始めた。
その代表的な合金組成を表1に示す。
際には被覆アーク溶接を伴うのが普通で、溶接時に被覆
アーク溶接棒を溶融しながら合金を添加し溶接後の強度
を保持するためと耐溶接割れ性を確保するためにライム
型のフラックスタイプの被覆アーク溶接棒を必要とす
る。この被覆アーク溶接棒に関してはアメリカ機械学会
( The American Society of Mechanical Engineers ;
ASME)のASMEボイラ及び圧力容器規程( ASME Boil
er and Pressure Vessel Code ;以下、ASMECod
eという)の規定が用いられており、その溶着金属の化
学成分を表2に示す。
ーク溶接棒の主組成も690合金とほとんど同組成であ
るが、溶接割れを防ぐために被覆アーク溶接棒の方はS
i,Mn,P含有量に特に制限を加え、また、耐食性の
劣化を防ぐためにNbを添加している。この他、ASM
E Codeには定められていないが、実際には被覆ア
ーク溶接棒を製造するとき加える脱酸剤や大気から混入
する不可避不純物が含まれており、その種類と含有量は
本発明者らの分析例によれば0:0.08〜0.15
%、N:0.025%である。
有する材料であるから、この被覆アーク溶接棒を用いて
溶接した構造物の溶接部も室温の機械的性質及び耐溶接
割れ性などについても十分な性能を有している。
ような300〜350℃の高温で稼働する機器の長時間
使用に際しては溶接部の強度不足という問題がある。す
なわち、前記のインコネル690合金とその被覆アーク
溶接棒を用いて、溶接した溶着金属や溶接継手の高温引
張強度は母材に比べて弱いため、高温強度の信頼性が十
分ではない。例えば、350℃の全溶着金属の高温引張
試験を行ったとき、引張強さは480〜500N/mm
2 という低い値しか得られない。さらに、このインコネ
ル690合金被覆アーク溶接棒は組織がオーステナイト
組織を呈するため溶接割れ感受性が高いので耐溶接割れ
性を十分考慮しなければならない。
のであり、その目的はインコネル690合金などNi基
高Cr合金の溶接に用いられ、高温引張特性及び耐溶接
割れ性に優れた溶接金属や溶接継手を得ることができる
被覆アーク溶接棒を提供することにある。
達成のため、Ni基高Cr合金用被覆アーク溶接棒の材
質について種々検討した結果、インコネル690合金被
覆アーク溶接棒の組成のうち、オーステナイトの固溶強
化については、侵入型元素のC,Nがもっとも大きく強
化に寄与していることがわかった。しかし、このインコ
ネル690合金被覆アーク溶接棒の特徴の一つである耐
食性が優れているという特性上、C量を母材並の0.0
5%を超えて添加すると耐食性が劣化するため、C含有
量を増して高温引張強度を改善することは難しい。ま
た、N量のみを増加させた場合は溶接欠陥が生じやすく
なり好ましくない。このため、Nの外にW及びVを複合
添加すれば後述のように溶接欠陥を生じることなく高温
強度を改善できることがわかった。
として、Mo、W、V、Ti及びAlが挙げられる。し
かしこのインコネル690合金被覆アーク溶接棒の組成
のうち、Ti及びAlは脱酸剤として作用するが、溶接
作業性や耐溶接割れ性を考慮して規制している。また、
Moは耐食性を考慮して制限を加えているが強度の改善
を考えれば規制範囲内で高めに合金設計することが望ま
しい。このほか、ASME Codeには定められてい
ないが、W及びVはその他の元素として0.5%以下の
元素添加は許されるのでW及びV量を0.5%範囲内で
増して固溶強化により高温引張強度の改善がはかれるこ
とが判明した。
溶接棒組織がオーステナイト組成を呈するため溶接割れ
感受性が高いので溶接割れに影響を及ぼすP,S,S
i,O量を低めに規制することによって耐溶接割れ感受
性を確保する。これらの元素を低めに抑えるには使用す
る心線と被覆アーク溶接棒のフラックスタイプを考慮し
なければならない。一般にNi基合金用被覆アーク溶接
棒には、石灰石や蛍石を被覆剤の主成分とするライム型
溶接棒とルチールを被覆剤の主成分とするライムチタニ
ア型溶接棒があり、特にライム型溶接棒は脱P・脱S効
果、低Si化、低O化する作用があるのでインコネル6
90合金被覆アーク溶接棒にはこのライム型溶接棒を採
用することにより耐溶接割れ性の改善をはかる。
odeの化学成分規格内でW及びVを添加すると共にO
及びNの含有量範囲を規定し、さらに新しく成分規制を
した被覆剤と組み合わせることによって完成されたもの
である。すなわち、本発明は重量%でC:0.05%以
下、Si:0.75%以下、Mn:2〜5%、P:0.
03%以下、S:0.015%以下、Cr:28〜3
1.5%、Mo:0.5%以下、Cu:0.5%以下,
Nb:1〜2.5%,Al:0.5%以下、Ti:0.
5%以下、Fe:7〜12%、Co:0.1%以下を含
み、W及びVを最大2種、合計0.5%以下を含有し、
さらに不可避不純物としてO:0.1%以下、N:0.
03〜0.3%を含み、残部がNiからなる合金を心線
とし、被覆剤全重量に対して、金属炭酸塩の1種又は2
種以上:20〜50%、金属ふっ化物の1種又は2種以
上:20〜50%、合金剤:3〜20%、脱酸剤:0.
2〜5%、スラグ生成剤:3〜20%及び粘結剤:1〜
5%からなる被覆剤を前記心線のまわりに被覆してなる
ことを特徴とするNi基高Cr合金用被覆アーク溶接棒
である。
分の作用及びその含有量の限定理由を説明する。
増加とともに引張強度は増加するが、一方C量の増加は
耐応力腐食割れ性を劣化させるので、両特性を考慮して
C量は0%を超え0.05%以下とした。
る。また、Si量が多くなると、溶接高温割れ感受性が
高くなるので、ライム型溶接棒を採用することによりス
ラグに高塩基性を与え、溶接金属中のSiを低下させる
ことが可能であるため、低Si化をはかった。Si量は
0%を超え0.75%以下とした。
て有効であり、溶接高温割れに有害なSを固定し溶接割
れ性を抑制する効果があり、この効果を得るには2%以
上が好ましい。しかし、Mn添加量が5%を超えると、
溶接時にスラグの融点が下がりビード表面にこげつき現
象が発生し、溶接欠陥を作りやすくなるのでMnは2〜
5%とした。
耐応力腐食割れ性の効果を十分ならしめるためには28
%以上が必要である。一方、31.5%を超えると心線
の製造時の熱間加工性が著しく劣化するのでCr量は2
8〜31.5%とした。
向上させるが、Mo量の増加は心線の製造時の熱間加工
性が著しく劣化するのでMo量は0%を超え0.5%以
下とした。しかし、引張強度を考慮すればMo量は0.
5%以下という範囲内で高めの0.4%程度に合金設計
することが望ましい。
に微細分散析出して引張強度を高めるが、逆に過剰の添
加は溶接割れ感受性を高めるのでCu量は0%を超え
0.5%以下とした。
させるが、1%未満ではその効果がなく、また、2.5
%を超える量の添加は溶接割れ感受性を高めるので1〜
2.5%とした。
用いられるため、不純物扱いとなる。また、N安定化元
素として溶接金属中のNを固定し強度の改善に寄与する
ことが考えられるが、過剰の添加は溶接中にスラグを発
生し、溶接作業性を劣化させるので0%を超え0.5%
以下とした。
脱酸剤として用いられるため、不純物扱いとなる。ま
た、TiはNとの親和力が強く、TiNとして析出し、
組織を微細化させ、引張強度の改善に寄与するが、Al
と同様に過剰の添加は溶接中にスラグを発生し、溶接作
業性を劣化させるのでTiは0%を超え0.5%以下と
した。
r量の場合に生じるスケール発生を防止又は抑制する。
そして7%未満ではスケール発生が著しくなる。また、
12%を超えて過剰に添加すると応力腐食割れ性を劣化
させる。したがって、Feは7〜12%とした。
ていないその他の元素0.5%以下の範囲内でW及びV
を、最大2種添加して高温引張強度の改善をはかった。
Wはマトリックスに固溶して引張強度を向上させるが、
添加量が多くなると耐溶接割れ感受性が劣化する。ま
た、VはW、Moとほぼ同じようにマトリックスに固溶
して引張強度を向上させるが、0.5%を超えると延性
が低下する。したがって、W及びVを最大2種、合計で
0%を超え0.5%以下とした。
ネル690合金を使用するときは、半減期の長いCoを
含有していると、放射化されたCoが原子炉系統内を酸
化物などとともに循環し、定期検査時などに作業環境の
放射能レベルを高めるのでCoは無い方がよい。しかし
Coは元来Ni原材料中に1〜2%程度含有されてお
り、精錬によってNiの純度を上げても工業的に得られ
る低CoNi原料のCo含有量は0.1%以下程度とな
る。この点を考慮して、Coは0.1%以下とした。
融点の共晶(Ni−Ni3 Pなど)を作り、溶接高温割
れ感受性を高める元素であるので、含有量は少ないほど
よいが、過度な制限は経済性の低下を招く。また、ライ
ム型溶接棒を採用することにより、スラグに高塩基性を
与え脱P作用により低P化をはかった。Pは0.03%
以下とした。
ようにNiと低融点の共晶(Ni−Ni3 S2 など)を
作り、溶接高温割れ感受性を高める元素であるので、含
有量は少ないほどよいが、Sは0.015%以下とし
た。
避不純物であり、溶接金属の結晶粒界に酸化物の形とな
って集まり、結晶粒界の高温強度を弱くする。また、O
は溶接割れ感受性を高めるのでライム型溶接棒を採用す
ることにより低O化をはかった。Oは0.1%以下にす
ることが望ましい。
その含有量の限界値を定めることは重要である。ただ
し、NはTiなどと窒化物(TiNなど)を作り、引張
強度を改善するので積極的に添加する。Nは含有量の増
加とともに引張強度の向上に寄与するが0.03%未満
ではその効果は小さい。ただし、過剰の添加はブローホ
ール等の溶接欠陥発生原因となるので、Nは0.03〜
0.3%とした。
ついて説明する。Ni基高Cr合金用被覆アーク溶接棒
(インコネル系被覆アーク溶接棒に相当)に用いられる
被覆剤には一般にTiO2 、CaCO3 を主成分とする
ライムチタニア型フラックスタイプと、CaCO3 、C
aF2 を主成分とするライム型フラックスタイプのもの
がある。一般にライム型溶接棒は全姿勢での溶接作業性
が良好であるという特徴を持っているが、反面アークの
安定性及びアークの再発生が悪いので、直流電源による
直流溶接機を用いた溶接が行われている。また、CaC
O3 被覆剤を主成分としているので、溶接時にCaCO
3 が分解して溶着金属ののC量を増加させ、耐食性を劣
化させるという欠点がある。その他、スラグに塩基性を
与え溶着金属のSi、P、S分を低下させる効果がある
ので溶接割れ感受性を低く抑えることができる。
接棒はライム型溶接棒で、一般に流通しているコストの
安い交流溶接機を用いて溶接できるようCaCO3 、C
aF 2 が主成分のライム型にチタン酸カリウム(TiK
2 O)などを添加しアークの安定性及び再アーク発生の
改善をはかっている。従来品としては、ライム型溶接棒
で直流専用のもの(交流ではアーク切れを起こし溶接が
できない)と交直両用のライムチタニア型溶接棒が用い
られている。このライムチタニア型溶接棒は下向姿勢で
は美しいビード外観が得られるが、立向及び上向姿勢で
はビード外観が凸形になるなど溶接作業性がやや劣る。
また、ライムチタニア型溶接棒では、TiO2 、SiO
2 などが主成分になるため溶着金属のP、S、Si、O
量が増加するため溶接割れ感受性が高くなるという欠点
がある。
O3 、MnCO3 、BaCO3 などをいうが、これらは
いずれもスラグに塩基性を与え、溶接金属のP、S、S
iを低めに抑える効果があるため耐溶接割れ感受性を良
好ならしめる。これらの金属炭酸塩は溶接中に分解して
CO2 を発生し溶融金属を大気から遮断し、アーク雰囲
気中のH,Nのガス分圧を下げるので被覆剤全重量に対
して20%以上の添加が必要であり、また、50%を超
えて添加するとガス発生量が過剰になるためピットが多
発するようになり、さらに、スラグの融点が上昇するた
めスラグの流動性が悪くなり健全な溶接ビードが得られ
なくなるので、金属炭酸塩を20〜50%とした。
F2 、CeF2 、MgF2 、BaF2 などをいうが、こ
れらはいずれもスラグの流動性を増す効果があるが、添
加量が20%未満の場合にはスラグの流動性が悪いため
ビード外観が劣化する。一方、添加量が50%を超える
と被覆アーク溶接棒の溶接時のシリンダー形状が弱くな
り、片溶けを起こすようになり溶接作業性が劣化するの
で、金属フッ化物を20〜50%とした。
は、前記金属炭酸塩、金属フッ化物及び酸化物に加えて
3〜20%の合金剤、0.2〜5%の脱酸剤、3〜20
%のスラグ生成剤及び1〜5%の粘結剤を含有する。
W、V、Fe、Nb及びCrNの中から選ばれる1種又
は2種以上の金属粉末で心線にこれらの元素の大部分を
含有させているが、溶接時に酸化消耗する成分を補うた
めと溶着金属の目標成分を満足しない場合に、合金剤と
して配合し、溶着金属の機械的性質の向上、耐食性及び
耐割れ性の改善をはかるものである。
Fe−Si、Fe−Alなどの鉄合金及びAl−Mgな
どのいずれか1種以上であり、これを被覆剤に含有さ
せ、耐ブローホール性を改良するものである。
iK2 O、Cr2 O3 、Al2 O3の中から選ばれる1
種又は2種以上の粉末で、スラグは溶融金属の上を覆っ
て、大気による酸化や窒化を防止すると共に、脱酸作用
を助け溶着金属の性能や溶接作業性にも大きく影響す
る。例えばスラグ剤の配合が少ないとスラグの被包性が
悪くなりアークが不安定になる。また、スラグ剤が多す
ぎるとスラグの流動性が悪くなり立向溶接性が劣るよう
になる。特に、TiO2 、TiK2 Oはライム型溶接棒
の欠点である初アーク発生及び再アーク発生の安定性に
効果がある。また、SiO2 は塗装時のスベリ剤の作用
として効果があり、溶接後はスラグになる。これらの添
加量が3%未満の場合にはアーク切れが発生し安定した
溶接ができない。一方、添加量が20%を超えるとライ
ム型溶接棒の特長の一つである高塩基性というバランス
がくずれ、溶接金属のP、S、Siが増す傾向になり、
耐溶接割れ感受性が高くなるので、スラグ生成剤の添加
量は3〜20%とした。
液と硅酸ソーダ水溶液とからなる水ガラスであり、硅酸
カリウムはアークの安定性に効果がある反面、吸湿性が
高い。また、硅酸ソーダはアークの安定性がやや劣る
が、反面、吸湿性は低い。両者の特長を生かし、混合し
てバインダとして使用する。本発明の被覆アーク溶接棒
では特に吸湿性を考慮して硅酸ソーダを主体としたもの
が好ましい。
明する。組成の異なる心線及び被覆剤(フラックス)を
組み合わせた本発明の被覆アーク溶接棒及び組成が本発
明の範囲外である比較例の被覆アーク溶接棒を用いて試
験片を溶接し、常温引張試験、350℃の高温引張試
験、T形溶接割れ試験及びC形ジグ拘束突合せ溶接割れ
試験を行った。母材としてはJIS G4304(熱間
圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)のSUS304を使用し
た。ここで母材としてSUS304を使用したのは実
際の構造物にSUS304を使用した箇所がある、S
US304の方がインコネル690よりもP、Sの含有
量が多く溶接割れが発生しやすく、割れ試験用としては
厳しい条件で評価できる、溶着金属の引張試験では母
材の全表面に肉盛溶接する(JIS規定による)ので材
質の影響がないためである。
の引張及び衝撃試験方法)に準じて行った。試験板のS
US304母材開先面及び裏当て金表面には規定どおり
2層バタリング溶接したものを使用した。継手溶接は、
予熱なし、パス間温度177℃以下、溶接電流140A
(溶接棒径4mm)で行った。継手溶接金属からJIS
Z3111 A2号(試験片の平行部の直径6mm)
引張試験片を機械加工により採取した後、JIS Z2
241(金属材料引張試験方法)に準じて引張試験を行
った。
溶接割れ試験はそれぞれJIS Z3153及びJIS
Z3155に準じて行った。T形溶接割れ試験に用い
た試料の形状を図1に、C形ジグ拘束突合せ溶接割れ試
験に用いた試料の形状を図2に示す。また、比較例及び
実施例で用いた心線の組成をそれぞれ表4に、比較例及
び実施例で使用した被覆剤(フラックス)の組成を表5
に示す。なお、被覆剤には表5の成分の外に粘結剤とし
て適量の硅酸ソーダを添加した。
属の引張強さ(σu)、伸び(EL)及び溶接割れ試験
における割れ率(%)を示したものである。なお、割れ
率は次式により求めたものである。 割れ率(%)=(割れ長さmm/溶接ビード長さmm)
×100 表6においてAC−1は市販のNi基高Cr合金用溶接
棒であり、比較のもとになるデータである。先ずT形溶
接割れ試験の結果からわかるように心線として本発明の
組成範囲内にある材料を使用し、被覆剤としてA〜Dを
使用したRAC−2〜15の耐割れ性がAC−1の比較
例の材料よりも優れている。また、350℃の高温引張
試験における引張強さ(σu)は、市販溶接棒の場合は
497MPaであるのに対し本発明のRAC−2〜15
では534〜560MPaであり、37〜63MPaの
向上が認められた。これらの結果をまとめると表3のよ
うになり、溶接割れ感受性を高めることなく高温強度を
上げることができることがわかる。
ら明らかになった特性値に及ぼす合金元素の影響を示
す。表7中、↑は向上効果、↓は減少効果、−は顕著な
効果が認められない状態を示す。
合金の溶接に用いる被覆アーク溶接棒はASME Co
deに規定のものが用いられていたが、ASME Co
deの規格材は短時間の引張強度は良好であっても溶接
部の高温強度まで考慮されたものではないので、高温引
張強度特性が十分でなく、例えば加圧水型原子炉などの
構造物の構成部材の溶接に適用した場合、これらの装置
を高温度で長時間運転するには信頼性に欠けるものであ
った。本発明の被覆アーク溶接棒は前述のように、AS
ME Codeの規格材の組成を基本としているが、特
にMo量については規格の成分範囲内での上限を狙って
合金設計することにより高温引張強度の改善をはかり、
次にASME Codeに定められていないW及びV元
素の適正範囲を明らかにした。さらに原材料や溶製時の
副原料から混入してくる不可避不純物の残存量を検討
し、これらの中でも高温引張強度の向上に寄与するNを
重視してその許容量を決定することにより、ASME
Codeの被覆アーク溶接棒を用いたとき350℃の溶
着金属の高温引張強度が500N/mm2 であったのに
比べて本発明の被覆アーク溶接棒によれば同一条件で少
なくとも540N/mm2 以上の高温引張強度が得ら
れ、その結果インコネル690合金を使用する高温構造
物の溶接に対して大きな信頼性を付与することができ
る。
略図。
の形状を示す概略図。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%でC:0.05%以下、Si:
0.75%以下、Mn:2〜5%、P:0.03%以
下、S:0.015%以下、Cr:28〜31.5%、
Mo:0.5%以下、Cu:0.5%以下,Nb:1〜
2.5%,Al:0.5%以下、Ti:0.5%以下、
Fe:7〜12%、Co:0.1%以下を含み、W及び
Vを最大2種、合計0.5%以下を含有し、さらに不可
避不純物としてO:0.1%以下、N:0.03〜0.
3%を含み、残部がNiからなる合金を心線とし、被覆
剤全重量に対して、金属炭酸塩の1種又は2種以上:2
0〜50%、金属ふっ化物の1種又は2種以上:20〜
50%、合金剤:3〜20%、脱酸剤:0.2〜5%、
スラグ生成剤:3〜20%及び粘結剤:1〜5%からな
る被覆剤を前記心線のまわりに被覆してなることを特徴
とするNi基高Cr合金用被覆アーク溶接棒。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32720194A JP3170165B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | Ni基高Cr合金用被覆アーク溶接棒 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JPH08174270A true JPH08174270A (ja) | 1996-07-09 |
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ID=18196451
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JP32720194A Expired - Lifetime JP3170165B2 (ja) | 1994-12-28 | 1994-12-28 | Ni基高Cr合金用被覆アーク溶接棒 |
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JP (1) | JP3170165B2 (ja) |
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