JPH08145916A - 小角散乱x線装置 - Google Patents

小角散乱x線装置

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JPH08145916A
JPH08145916A JP6284762A JP28476294A JPH08145916A JP H08145916 A JPH08145916 A JP H08145916A JP 6284762 A JP6284762 A JP 6284762A JP 28476294 A JP28476294 A JP 28476294A JP H08145916 A JPH08145916 A JP H08145916A
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ray
rays
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slit
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JP6284762A
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Tatsumi Hirano
辰巳 平野
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】X線異常分散現象を利用して着目した元素に関
与する密度構造に関する知見を得る小角X線散乱の解析
法に最適な小角散乱X線装置を提供する。 【構成】X線源1からの入射X線は、分光器3により単
色化された後、試料5に入射する。試料からの散乱X線
は、スリットを経て、X線検出器上に露光,蓄積され
る。エネルギE1での小角X線の露光後、分光器3とス
リット7を各々、分光器駆動部10,スリット駆動部1
2により計算機14から制御器13を通じて連動して制
御し、エネルギE2での散乱X線をE1とは異なる位置
の検出器上に露光・蓄積する。これを所定のエネルギE
iまで繰り返した後、検出器上の散乱X線像を読み出
す。得られた各エネルギの小角X線散乱パターンより、
着目した元素に関与した密度構造の散乱パターンを抽出
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は小角散乱X線装置に係
り、特に、X線小角散乱で、分散粒子のみの情報をマト
リックスからの情報と分離,抽出する高い精度の計測手
法に最適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線小角散乱は試料中の数nm〜数百n
mのサイズでの密度の不連続領域の存在によって生じる
ため、散乱物質として結晶質だけでなく非晶質物質から
の情報も得ることができる。その対象は、セルロース等
の高分子物質,筋肉,生体膜等の生体超分子といった長
周期構造をもつ物質のほかに、分散粒子を含む合金,セ
ラミックス等の不均一構造を有する構造材料等があり、
その適用範囲は広い。小角X線散乱により得られる情報
は、前述の長周期の構造,分散粒子の粒径分布,形状,
体積率、さらには粒子間距離等である。従来の小角散乱
X線装置の一例を図2に示す。X線源1からの入射X線
2は分光器3により特定のエネルギを有するX線に単色
化された後、X線ビームを成型する四象限スリットを経
て試料5に照射される。試料からの散乱X線8は空気に
よる散乱を抑制する真空パス6を経てX線検出器9によ
り測定される。また試料で散乱されなかった入射X線は
ビームストッパ15により遮られX線検出器に入らない
ようにできる。小角散乱X線装置により得られる散乱X
線パターンの一例を図3に示す。入射X線に対する散乱
X線の散乱角(2θ)に対する散乱X線強度の依存性よ
り分散粒子の粒径や粒子形状がわかる。さらに散乱X線
強度の散乱角に対する積分量(斜線の領域)から分散粒
子の総数が求められ、前述の分散粒子の粒径や粒子形状
を考慮することにより、粒子間距離を求めることができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】構造材料として粒子分
散強化合金や複合セラミックスを利用する上で大切なの
が機械的性質である。粒子分散合金の場合、この機械的
性質を支配しているのが、粒子間距離である。これは分
散粒子による強化機構として、マトリックス中を移動す
る転移の移動を抑制する粒子によるオロワン応力は粒子
間距離の逆数に比例すると考えられている。即ち、粒子
間距離が小さい材料ほど、オロワン応力は強く、クリー
プ特性は良好となる。このため、この粒子間距離を定量
的に把握することは材料を開発する上で重要となる。ま
たクリープ試験では、二千時間もの長い計測が必要とな
るため、材料を開発するプロセスの最適化のために、材
料の機械的特性を支配する粒子間距離を迅速に測定した
いという要望がある。しかし、従来装置では、以下に述
べる問題点がある。
【0004】前述の小角X線散乱から得られる情報に
は、分散粒子からの情報の他に、マトリックス内の空隙
等の密度揺らぎに起因する情報も含まれる。そこで、分
散粒子のみの情報を得るには、粒子を含まないマトリッ
クスからの小角X線散乱のデータで、粒子を含む場合の
それを補正する手法が用いられている。しかし実際に
は、粒子を含まないマトリックスと粒子を含むそれが同
一であるという保証がないため、この補正法で得られる
結果には多くの誤差を含むという問題がある。さらに粒
子を含まないマトリックスを平行して作製する必要があ
るため、複雑な製造プロセスを最適化するという上記の
要求には適さないという問題がある。
【0005】本発明の目的は、分散粒子を含む試料の小
角X線散乱測定から、着目する分散粒子に関する情報の
みを、それ以外の構造に起因する情報と分離させる計測
法に最適な装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の小角散乱X線装置は、試料に入射するX線のエ
ネルギを限定する分光器と試料からの散乱X線の一部を
通過させる開口部及び該開口部の場所を移動できるスリ
ットを備え、X線のエネルギE1に対してスリットの開
口部位置P1,X線のエネルギE2に対してスリットの
開口部位置P2等のように、X線のエネルギに対してス
リットの開口部の場所を連動させる制御機構を具備し
た。
【0007】また本発明の小角散乱X線装置は、X線発
生部に複数個の元素からなるX線ターゲットと試料から
の散乱X線の一部を通過させる開口部及び前記開口部の
場所を移動できるスリットを備え、元素1からのX線に
対してスリットの開口部位置P1,元素2からのX線に
対してスリットの開口部位置P2等のように、X線ター
ゲットを構成する元素からのX線に対してスリットの開
口部の場所を連動させる制御機構を具備してなるもので
ある。
【0008】また発明に於いて、入射するX線光路上
に、前記X線ターゲットを構成する元素からの特性X線
のみを透過させるフィルタを備え、元素1に対して該特
性のフィルタ1,元素2に対して該特性のフィルタ2等
のように、X線ターゲットを構成する元素からのX線に
対してフィルタを選択できるような制御機構を具備して
なるものである。
【0009】また本発明の小角散乱X線装置は、複数の
異なるエネルギを有する入射X線と試料からの異なるエ
ネルギを有する散乱X線を十分にエネルギ分解できる位
置感応型検出器を具備してなるものである。
【0010】
【作用】このような構成にした本発明によれば、次の作
用により上記目的が達成される。最初に、着目する分散
粒子に関する情報のみをそれ以外の構造に起因する情報
と分離する手法であるX線異常分散現象を利用した解析
法について説明する。小角散乱したX線強度Iは原子散
乱因子fに比例する。
【0011】
【数1】 I∝|f|2、 f=f0+f′+if″ …(数1) ここで、f0 はX線エネルギに依存しない原子散乱因
子、f′とf″は異常分散項の実数及び虚数項である。
f′とf″は着目元素の吸収端近傍のエネルギで図4に
示すような依存性がある。今、着目する分散粒子を構成
する元素1がマトリックスに存在しない場合、元素1の
吸収端近傍のエネルギE1及びE2で小角X線散乱の測
定をする。このとき、元素1を含まない散乱物質(例え
ばマトリックス)からの散乱X線強度はE1およびE2
でほとんど変わらない。一方元素1から構成されている
分散粒子からの散乱X線強度は、E1およびE2で大き
く変化するため、E1とE2での散乱X線強度の違いは
分散粒子からのものと考えてよい。また、元素1の
0 ,f′,f″は数表や計算から求めることができ
る。即ち、分散粒子を構成する元素1の異常分散現象を
利用することにより、着目する粒子からの小角X線散乱
強度を得ることができる。このデータから、着目する粒
子に関する粒子径,形状,体積率粒子間距離等の物理量
を小角X線散乱の解析法に従って求めることができる。
【0012】次に、本発明による小角散乱X線装置の構
成を図1に示し、本発明の作用を説明する。X線源1か
らの連続エネルギの入射X線2は分光器3により特定の
エネルギを有するX線に単色化された後、X線ビームを
成型する四象限スリットを経て試料5に照射される。試
料からの散乱X線8は空気による散乱を抑制する真空パ
ス6を経た後、散乱X線の一部を通過させるスリット7
を経て、X線検出器9に露光される。露光後の検出器の
読み出し操作により、露光されたX線の強度と位置の信
号は、制御部13を経て、計算機14に取り込まれる。
また、分光器,試料,スリットは各々分光器駆動部1
0,試料駆動部11,スリット駆動部12によって計算
機より制御部を通して制御される。次に、X線異常分散
現象を利用した本発明による計測法について記述する。
分光器により単色化されたX線のエネルギをE1とす
る。この時、スリットの開口部の位置をP1とする。試
料からの散乱X線のうちスリットの開口部を通過した散
乱X線のみがX線検出器上に露光される。所定の露光時
間後、分光器駆動部により分光器を駆動させ、分光後の
X線のエネルギをE2とすると共に、スリット駆動部に
よりスリットの開口部をP1とは重ならない位置P2に
移動させた後、散乱X線をX線検出器上に露光させる。
この様に、X線のエネルギに対してスリットの開口部の
位置を連動させるような制御を計算機から制御部を通じ
て実施する。これにより、エネルギE2での散乱X線は
E1とは異なる位置に露光・記録されることになる。こ
の操作を所定回数繰り返すことにより、各X線エネルギ
i での散乱X線が、X線検出器上に露光・記録される
ことになる。この一連の操作が終了した後、これを読み
出すことにより、各X線エネルギEi での散乱X線を同
時に検出することができる。これによればX線異常分散
現象を利用した測定の計測時間を短縮でき、本発明によ
る装置は、この計測法に最適な測定装置となる。
【0013】次に、図1とは異なる本発明の小角散乱X
線装置の構成を図5に示し、本発明を説明する。本発明
では、複数の異なるX線を発生するX線発生源と所定の
特性X線を透過させるフィルタを入射X線光路上に設け
たことが図1と異なる。電子銃16からの電子線17は
X線ターゲット20に衝突しX線を発生させる。X線タ
ーゲット20の表面は、複数の異なる元素18や元素1
9等から構成されている。元素18からのX線は、X線
発生部の真空を保持する真空隔壁21、及びフィルタ2
2を経て試料に入射する。フィルタ22の一部は元素1
8からの特性X線のみを選択的に透過させるフィルタを
使用することにより、試料に入射するX線のエネルギは
元素1固有のエネルギE1となり、前述と同様に、その
エネルギの散乱X線を露光する。次に、X線ターゲット
を駆動し元素2からのX線を発生させ、フィルタ駆動部
23により元素2に最適なフィルタがX線光路上にくる
ようにフィルタを駆動し、更にスリット駆動部12によ
り、スリット7の開口部の位置がP2となるようにスリ
ットを駆動する。これら一連の操作を連動させるべく、
計算機14より制御部13を経て実施し、元素2固有の
エネルギE2における散乱X線を露光する。その後、検
出器上に露光されたエネルギE1及びE2における散乱
X線を同時に読み出すことにより、X線異常分散現象を
利用した測定の計測時間を短縮でき、本発明による装置
は、この計測法に最適な測定装置となる。
【0014】最後に、図1,図5とは異なる本発明の小
角散乱X線装置の構成を図6に示し、本発明を説明す
る。本発明においては、複数の異なるエネルギを有する
入射X線と試料からの散乱X線のエネルギを十分識別で
きるエネルギ分解能を有した位置感応型X線検出器を備
えた点が前述の発明と異なる。X線発生源として、例え
ば前述の図5のそれと同様な構成からなり、元素1及び
元素2からの特性X線の発生を交互に連続的に発生させ
てもよい。元素1からのエネルギE1の特性X線により
発生する試料からの散乱X線は、エネルギ分解位置感応
型X線検出器24により随時計測され、X線のエネル
ギ,強度,検出位置の信号が制御器を通じて計算機に取
り込まれる。また元素2からのエネルギE2の特性X線
による試料からの散乱X線も同様に計測される。本装置
によれば、エネルギE1及びE2の各々における小角X
線散乱を同時に計測できることから、X線異常分散現象
を利用した測定の計測時間を短縮でき、本発明による装
置は、この計測法に最適な測定装置となる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0016】図1に、本発明を適用してなる一実施例の
小角X線散乱装置を示す。X線源1からの連続エネルギ
の入射X線2は分光器3により特定のエネルギを有する
X線に単色化された後、X線ビームを成型する四象限ス
リットを経て試料5に照射される。試料からの散乱X線
8は空気による散乱を抑制する真空パス6を経た後、散
乱X線の一部を通過させるスリット7を経て、X線検出
器9に露光される。露光後の検出器の読み出し操作によ
り、露光されたX線の強度と位置の信号は、制御部13
を経て、計算機14に取り込まれる。また、分光器,試
料,スリットは各々分光器駆動部10,試料駆動部1
1,スリット駆動部12によって計算機より制御部を通
して制御される。X線源1には、高強度,連続エネルギ
の放射が可能なシンクロトロン放射光を光源とした。シ
ンクロトロン放射光からのX線は水平面に偏向している
ため、分光器3には垂直分散によりX線を分光する方式
を採った。分光器は、二枚のSi(111)結晶とX線
の結晶に対する入射角を0.1秒の精度で制御できる結
晶あおり機構から構成されている。また、この結晶を所
定の角度回転させる水平一軸回転台(分光器駆動部1
0)により、所望のエネルギを有するX線が分光器より
出射される。四象限スリット4には二枚のタンタル板を
向い合わせて配置した一次元スリットを二組、水平及び
垂直に交差させて使用した。本実施例では、この四象限
スリットを二つ使用した。一つは、分光器の直下に設置
し、分光器3から出射される単色X線のビームを成型す
ると共に、分光器からの所望のエネルギの単色X線以外
のX線を遮蔽する目的がある。他の一つは、試料直前に
設置し、分光器や先の四象限スリット等からの寄生散乱
が試料に入射しないようにX線を制限した。本実施例で
は、四象限スリットの開口幅を1mm×1mmとした。分光
器及び試料直前の四象限スリットまでのX線光路は、空
気による寄生散乱を抑制するため、ヘリウムで置換し
た。試料5は、y,z方向の並進機構を備えた試料駆動
部11により、試料の任意の位置にX線が照射するよう
に計算機14より制御部13を通じて制御できる。真空
パス6は、上流の開口径25mm、下流のそれを140mm
とし、窓材にポリイミド膜を用いて、内部を10-2Torr
程度の真空にし、X線の空気による散乱を抑制した。ス
リット7は、円盤状で、その1/4の領域が散乱X線を
透過させる開口部となっている。X線を遮蔽する領域
は、アルミニウム板に厚さ0.5mm の鉛を張り合わせた
もので、円盤の中心を回転軸として、スリット駆動部に
より任意に回転或いはその位置で保持できる構造となっ
ている。X線検出器9は散乱X線像を蓄積する輝尽性蛍
光板を使用した。この検出器には、その直前に置かれた
スリット7により、試料からの散乱X線像の一部が露光
・蓄積される。
【0017】次に、このように構成される実施例装置を
用いて、X線異常分散現象を利用した試料の小角散乱測
定について説明する。試料はNi基超合金のマトリック
ス内にイットリア(Y23)が微細分散されたもので、
高温での耐熱特性の向上を図った材料である。この試料
の小角散乱により、材料の耐熱特性を支配する分散粒子
イットリアの粒子径分布、体積率さらには粒子間の距離
をX線異常分散現象を利用して測定した。イットリアを
構成するイットリウム(Y)元素のK−吸収端エネルギ
は、17.039keVである。そこで、この吸収端より低
いエネルギの17.038keV,17.031keV,16.
973keV,16.807keVの四つのエネルギで小角散
乱の測定をした。試料は、これらのX線エネルギで光学
的厚さが〜2となるように薄片化(厚み〜20μm)し
て、試料台にセットした。最初に、分光器からの単色X
線のエネルギが、17.038keVとなるように分光器を
調整すると共に、スリット7の開口部の位置がy−z平
面上で第一象限となるように調整した。その後、シンク
ロトロン放射光のビームを出射して、試料からの散乱X
線を検出器上に露光した。露光時間は30分とした。露
光後、放射光のビームを遮断し、分光器からのX線が1
7.031keVとなるように、またスリットの開口部の位
置が第二象限となるように各々調整した後、再び放射光
のビームを出射して露光した。これを、16.807keV
のX線による露光が終了するまで繰り返す。その後、輝
尽性蛍光板に蓄積された各X線エネルギでの散乱X線像
を同時に読み出し、X線の散乱強度と位置の情報を、制
御部13を経て計算機14に取り込んだ。測定データ
は、計算機上で各エネルギ毎に図3に示す散乱角度(2
θ)に対する散乱X線強度となるよう、各X線検出位置
の散乱角度への補正、同じ散乱角度毎のX線強度の積分
等のデータ処理を行った。その後、得られた各エネルギ
での散乱X線パターンより、作用の項で記述したよう
に、イットリウムの原子散乱因子のエネルギ依存性を考
慮することで、イットリアからの小角散乱成分のみを抽
出することができた。これから所定の小角散乱の解析に
より、イットリアの粒子径分布,体積率,粒子間距離な
どの物理量を得ることができた。
【0018】本実施例では、X線源に高強度なシンクロ
トロン放射光源を使用したため、短い露光時間で小角散
乱測定ができるという効果がある。さらに、シンクロト
ロン放射光からのX線は高い平行性を有するため、高い
小角分解能での測定が可能となる効果がある。また、検
出器の直前にスリットを設けることにより、試料に散乱
されない強度の高い透過X線が検出器に直接入射しない
ため、輝尽性蛍光板の過度の露光や、焼き付き等の問題
を回避できる。さらに、本実施例では、検出器に輝尽性
蓄積板を使用しているため、通常のX線フィルムに比べ
帯域が広く精度の高い測定が可能になると共に、散乱画
像のデジタルの読み出しが可能となり、データ処理等が
容易になる。本実施例では光源にシンクロトロン放射光
光源を使用したが、通常の実験室で使用されているX線
管球を光源に用いることで、放射光の実験期間などの制
約を受けずに小角散乱測定ができる。また検出器に輝尽
性蛍光板の代りに、通常のX線フィルムを用いることで
簡単なセットアップで小角散乱測定ができる。また、本
実施例の装置構成によれば、分光器からの単色X線のエ
ネルギを固定する代りに、スリットの開口部位置の駆動
と試料の照射X線位置の駆動を連動させることにより、
非一様な試料中の場所による密度構造を効率良く測定す
ることが可能である。
【0019】次に、本発明を適用してなる他の実施例の
小角散乱X線装置を図5に示す。本実施例は図1の実施
例とX線源、分光器が異なる。電子銃16からの電子線
17はX線ターゲット20に衝突し、特性X線及び連続
エネルギのX線を発生させる。X線はX線源の真空を保
持するベリリウム窓からなる真空隔壁21を通り、所定
の特性X線を主に透過させるフィルタ22を経て試料に
入射する。試料からの散乱X線は、その一部を通過させ
る開口部を有するスリット7を経てX線検出器9上に露
光される。X線ターゲット20の表面には銅元素18と
モリブデン元素19が貼り付けられている。銅のK−α
及びβ線のエネルギは各々8.040keV,8.9keVであ
る。またモリブデンのK−α及びβ線のエネルギは各々
17.46keV,18.99keVである。またフィルタ22はK
−吸収端エネルギ8.332keVのニッケッル箔とK−吸
収端エネルギ18.99keVのニオブ箔から構成されてい
る。これらの構成により、銅からのX線に対しニッケッ
ルをモリブデンからのX線に対しニオブを用いること
で、各々K−α線の特性X線を主に利用することができ
る。また本実施例でのスリット7は円盤の半分が開口部
となっている。
【0020】次に、このように構成される実施例装置を
用いて、X線異常分散現象を利用した試料の小角散乱測
定について説明する。最初に、銅元素18からのX線が
取り出せるようにX線ターゲットを設定し、X線光路上
にニッケッル箔がくるようにフィルタ駆動部23により
フィルタを駆動した。またフィルタ7の開口部がy,z
平面の第一及び第二象限となるようスリット駆動部によ
りスリットを設定した。その後、真空隔壁21の下流に
設けたシャッタを開いて、試料からの散乱X線を検出器
上に所定の時間露光した。露光後、モリブデン元素19
からのX線を利用すべく、X線ターゲット,ニオブのフ
ィルタを設定すると共に、スリットの開口部がy,z平
面の第三及び第四象限となるようスリット駆動した。こ
れら一連の駆動を連動させた後、再度散乱X線を露光す
る。露光後、検出器に蓄積された散乱X線像を読み出
し、前述の実施例と同様な処理によりデータを処理・解
析した。本実施例にいては、分光器を使用しないため装
置の小型化が可能であるという効果がある。
【0021】最後に、本発明を適用してなる他の実施例
の小角散乱X線装置を図6に示す。本実施例は図5の実
施例とフィルタ,スリット及び検出器が異なる。X線タ
ーゲット20からのX線は、真空隔壁21,四象限スリ
ット4を経て、試料に入射する。試料からの散乱X線6
は、エネルギ分解位置感応型検出器により測定される。
X線ターゲット20は円筒型の回転ターゲットでその表
面の半分は銅元素18、あとの半分はモリブデン元素1
9から構成されている。このX線ターゲットの回転によ
りターゲットからのX線は、銅及びモリブデンの特性X
線及び連続エネルギのX線からなっている。連続エネル
ギのX線の各エネルギ幅での強度は特性X線の強度に比
べ、三から四桁弱いため、試料からの散乱X線は銅及び
モリブデンの特性X線によるものと考えてよい。この特
性X線のエネルギは前述の実施例で示したように、離散
的である。検出器24には、X線を直接検出するX線CC
D(Charge Coupled Device)を使用した。このX線CC
Dのエネルギ分解能は、0.3keV以下であるので、K−
α,β線の特性X線を十分に分離できる。このため、検
出した散乱X線のエネルギ、位置の信号を制御器13を
経て計算機14に随時記録させた。所定の露光時間後、
計算機上には各特性X線による散乱X線パターンが得ら
れた。これから、前述の実施例と同様な処理によりデー
タを処理・解析した。本実施例については、フィルタ,
分光器,スリットを使用しないため、装置の小型化が可
能であるという効果がある。また本実施例では、検出器
の直前にビームストッパ15を設け、試料により散乱し
なかった透過X線を遮蔽し、検出器の散乱X線の測定の
障害とならないようにした。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、複数のX線エネルギに
よる小角X線パターンを効率良く測定できるため、試料
中の着目した元素の吸収端近傍のX線異常分散現象を利
用した小角X線散乱の解析手法が適用でき、着目した元
素に関与する密度構造とそれ以外の密度構造との分離が
可能となる効果がある。
【0023】また、本発明によれば、検出器の直前に散
乱X線の一部を通過させるスリットを設けることや、既
存の検出器の代りにエネルギ分解位置感応型検出器を設
けるだけですむので、既存の装置に簡単に適用,設置で
きるという効果がある。
【0024】また、本装置によれば、スリットの開口部
の位置と連動させて試料のX線の照射位置の駆動も可能
であるので、非一様な試料で場所による密度構造の違い
を小角X線散乱で測定する場合でも、それらを効率良く
測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の小角散乱X線装置の説明
図。
【図2】従来法による小角散乱X線装置の説明図。
【図3】小角散乱X線装置により得られる一般的な小角
X線散乱パターンとそれから得られる物理情報を示す特
性図。
【図4】着目元素の吸収端の近くに置ける原子散乱因子
のX線エネルギ依存性を示す特性図。
【図5】本発明の一実施例の小角散乱X線装置の説明
図。
【図6】本発明の一実施例の小角散乱X線装置の説明
図。
【符号の説明】
1…X線源、2…入射X線、3…分光器、4…四象限ス
リット、5…試料、6…真空パス、7…スリット、8…
散乱X線、9…X線検出器、10…分光器駆動部、11
…試料台駆動部、12…スリット駆動部、13…制御
部、14…計算機。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料にX線を照射し、入射X線に対して小
    角度の範囲に前記試料から散乱或いは回折したX線の強
    度を測定する小角散乱X線装置に於いて、前記試料に入
    射するX線のエネルギを限定する分光器と前記試料から
    の散乱X線の一部を通過させる開口部及び前記開口部の
    場所を移動できるスリットを備え、X線のエネルギE1
    に対してスリットの開口部位置P1,X線のエネルギE
    2に対してスリットの開口部位置P2等のように、X線
    のエネルギに対してスリットの開口部の場所を連動させ
    る制御機構を備えたことを特徴とする小角散乱X線装
    置。
  2. 【請求項2】試料にX線を照射し、入射X線に対して小
    角度の範囲に前記試料から散乱或いは回折したX線の強
    度を測定する小角散乱X線装置に於いて、X線発生部に
    複数個の元素からなるX線ターゲットと前記試料からの
    散乱X線の一部を通過させる開口部及び前記開口部の場
    所を移動できるスリットを備え、元素1からのX線に対
    してスリットの開口部位置P1、元素2からのX線に対
    してスリットの開口部位置P2等のように、X線ターゲ
    ットを構成する元素からのX線に対してスリットの開口
    部の場所を連動させる制御機構を備えたことを特徴とす
    る小角散乱X線装置。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記試料に入射するX
    線光路上に、前記X線ターゲットを構成する元素からの
    特性X線のみを透過させるフィルタを備え、元素1に対
    してフィルタ1,元素2に対してフィルタ2等のよう
    に、X線ターゲットを構成する元素からのX線に対して
    フィルタを選択できるような制御機構を備えた小角散乱
    X線装置。
  4. 【請求項4】試料にX線を照射し、入射X線に対して小
    角度の範囲に試料から散乱或いは回折したX線の強度を
    測定する小角散乱X線装置に於いて、複数の異なるエネ
    ルギを有する入射X線と試料からの異なるエネルギを有
    する散乱X線を十分にエネルギ分解できる位置感応型検
    出器を備えたことを特徴とする小角散乱X線装置。
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